JP2003193131A - 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Abstract
も、一次再結晶板における粒成長を適正に制御して、仕
上焼鈍後に磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を安定して
うる。 【解決手段】 所定の成分組成に調整した鋼スラブを、
熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1
回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終
板厚とし、ついで一次再結晶と脱炭のための焼鈍を施し
たのち、最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる方向性
電磁鋼板の製造方法において、一次再結晶と脱炭のため
の焼鈍に関して、一次再結晶完了まではCを0.01mass%
以上含有させ、一次再結晶完了後にCを 0.005mass%以
下まで低減する。
Description
方向性電磁鋼板を安定して製造する方法に関するもので
ある。
かし、変圧器や発電機の鉄心材料として広く用いられて
いる。近年、省エネルギーの観点から、これらの電気機
器においては、エネルギーロスの低減に対する要求が高
まっており、鉄心材料として用いられている方向性電磁
鋼板についても、従来にも増して、良好な磁気特性が求
められるようになってきた。
<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組
織を有するもので、かような集合組織は、方向性電磁鋼
板の製造工程中、仕上焼鈍の際にいわゆるゴス方位と称
される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨
大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。従っ
て、二次再結晶粒の結晶方位が磁気特性に大きな影響を
及ぼす。
は、磁気特性と共に被膜特性も重要視される。というの
は、方向性電磁鋼板の被膜には、トランスの鉄心におい
て絶縁性を保つ役割はもとより、ビルディングファクタ
ーを改善する役割、さらには騒音に影響する磁歪・歪み
感受性を低下させる役割があるからである。
mass%以下のSiを含む鋼スラブを、スラブ加熱後、熱間
圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回ま
たは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板
厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中にて連続焼鈍を施した
のち、マグネシアを主成分とする焼純分離剤を塗布して
から、1200℃,5時間程度の仕上焼鈍を行うことによっ
て製造されてきた。例えば、米国特許第1965559 号公
報、特公昭40−15644 号公報、特公昭51−13469号公報
などに、その技術が開示されている。
再結晶粒を効果的に生成させる技術として、従来から一
次再結晶粒の正常粒成長を抑制するインヒビターと呼ば
れる分散相を、均一かつ適正なサイズに分散させること
が重要であると言われてきた。このインヒビターの作用
により、最終仕上焼鈍時に一次再結晶粒の正常粒成長が
抑制され、最も粒成長の優位性の高い{110}<00
1>方位の粒だけが、他の方位を蚕食して大きく成長す
るのである。
のは、MnS,MnSe,AlNおよびVNのような硫化物やSe
化合物、窒化物等で、鋼中への溶解度が極めて小さいも
のが用いられており、熱延前のスラブ加熱時にインヒビ
ターを一旦完全に固溶させたのち、その後の工程で微細
に析出させる方法が採られてきた。インヒビターを十分
に固溶させるためのスラブ加熱温度は1400℃程度であ
り、普通鋼のスラブ加熱温度に比べると約 200℃も高
い。
て、以下に述べるような問題が指摘されるようになって
きた。 1)高温加熱を行うためにエネルギー原単位が高い。 2)溶融スケールが発生し易く、またスラブ垂れが生じ
易い。 3)スラブ表層の過脱炭が生じる。 上記2),3)の問題を解決するために、方向性電磁鋼
専用の誘導加熱炉が考案されたが、依然として、エネル
ギーコストが高いという問題は残っている。
を図る研究が進められるようになった。しかしながら、
スラブ加熱温度の低下は、インヒビター成分の固溶不足
を招くために、必然的に抑制力の低下を引き起こす。
の低下を、後の工程で補う技術として、途中窒化技術が
開発された。例えば、特開昭57−207114号公報には、脱
炭焼鈍時に窒化する技術が、特開昭62−70521 号公報に
は、仕上焼鈍条件を特定し、仕上焼鈍時に途中窒化する
ことによって低温スラブ加熱を可能にする技術が、それ
ぞれ開示されている。また、特開昭62−40315 号公報に
は、Al,Nはスラブ加熱時に完全に固溶していなくて
も、後工程の途中窒化によってインヒビターを適正状態
に制御する方法が開示されている。
イントとして、インヒビターの存在の他に、一次再結晶
組織における方位差角に注目し、インヒビターに頼らな
くても二次再結晶を生じさせる技術が開発された。すな
わち、方位差角が20〜45°である粒界(高エネルギー粒
界)が二次再結晶発現に重要な役割を果たしていること
が、Acta Material 45巻で報告され、これに基づいて、
インヒビターを使用しない方向性電磁鋼板の研究がさか
んに行われるようになってきた。
び高エネルギー粒界を利用する技術はいずれも、二次再
結晶のための最終仕上焼鈍時の粒成長を制御する技術で
あるため、その前工程の一次再結晶板については、粒成
長の制御がうまくいかず、粒径が不ぞろい(非整粒)と
なり、製品の磁気特性がコイルの部位によって不安定に
なり易いというところに問題を残していた。
を有利に解決するもので、スラブ加熱温度が普通鋼なみ
に低い条件下でも、一次再結晶板における粒成長を適正
に制御し、ひいては仕上焼鈍後に磁気特性の優れた方向
性電磁鋼板を安定して製造することができる方法を提案
することを目的とする。
ブ加熱温度が普通鋼なみに低い場合に、磁気特性がコイ
ルの部位によって大きくばらつく原因について、詳細な
検討を行った。その結果、(1) 脱炭焼鈍板において粒径
の小さな粒と大きな粒が混在している、(2) また、集合
組織が測定部位によって大きくばらついていることが判
明した。このようなバラツキが生じる主因としては、イ
ンヒビターの抑制力が弱いために、脱炭焼鈍中に一次再
結晶粒が粒成長し易いことが考えられる。
ルギー粒界が高移動度を有する性質を利用することによ
り、あるいは窒化処理によるインヒビター補強により、
引き続く仕上焼鈍において二次再結晶を生じさせること
は可能である。しかしながら、脱炭焼鈍終了時点での組
織の不均一は製品の磁気特性の不均一を引き起こしてし
まう。
化する方法について鋭意研究を行った結果、従来は並行
して行われていた一次再結晶と脱炭とを分離して行う方
法に想い至った。すなわち、一次再結晶が完了するまで
の期間は脱炭を抑制し、一次再結晶完了後に脱炭を促進
するように制御する方法が極めて有効であることが新た
に見出されたのである。本発明は、上記の知見に立脚す
るものである。
である。 1.C:0.01〜0.1 mass%、Si:2.0 〜4.5 mass%およ
びMn:0.03〜2.5 mass%を含有し、必要に応じてインヒ
ビター成分を含有する鋼スラブを、1300℃以下に加熱
後、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したの
ち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によ
り最終板厚とし、ついで一次再結晶と脱炭のための焼鈍
を施したのち、最終仕上焼鈍を施す一連の工程からなる
方向性電磁鋼板の製造方法において、一次再結晶と脱炭
のための焼鈍に関して、一次再結晶完了まではCを0.01
mass%以上含有させ、一次再結晶完了後にCを 0.005ma
ss%以下まで低減することを特徴とする磁気特性の優れ
た方向性電磁鋼板の製造方法。
て、昇温過程では水素:60 vol%以下でかつ露点:15℃
以下の雰囲気として一次再結晶を完了させ、均熱過程で
は水素:40 vol%以上でかつ露点:30℃以上の雰囲気と
することを特徴とする上記1記載の磁気特性の優れた方
向性電磁鋼板の製造方法。
パスを 100℃以上の温度で行うことを特徴とする上記1
または2記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造
方法。
なくとも1回のパス間において、150℃以上の温度域で
1分以上保持することを特徴とする上記1,2または3
記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
て、 500℃から 700℃までの昇温過程を50℃/s以上の昇
温速度で加熱することを特徴とする上記1〜4のいずれ
かに記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方
法。
る。本発明のスラブは、製鋼−連続鋳造(あるいは造
塊)によって製造される。その際、スラブ組成は、少な
くともSi,C,Mnについては、所定の範囲に制限する必
要があるが、その他の元素については従来公知の組成い
ずれもが適合する。
5 mass%以下とする。Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低
減する作用があり、そのためには 2.0mass%以上の含有
を必要とするが、4.5 mass%を超えると冷間圧延性が著
しく劣化するため、4.5 mass%以下とした。Cは、組織
改善のため、0.01mass%以上、0.1 mass%以下の範囲で
含有させるものとした。Mnは、Siと同じように電気抵抗
を増加させ、鉄損を改善する効果があり、また製造時の
熱間加工性を向上させる上でも有用な成分である。この
目的のためには、0.03mass%以上の含有が必要である
が、2.5 mass%を超えて含有させた場合、γ変態を誘起
して磁気特性が劣化するので、Mnは0.03mass%以上、2.
5 mass%以下の範囲とした。
ンヒビターとなる微量のSやSeならびに硫化物形成元
素、セレン化物形成元素(Mn,Cuなど)および粒界偏析
元素(Sb,Sn,Biなど)を含有させることもできる。こ
れらのインヒビター形成元素を含有させる場合の適正量
は、次のとおりである。
てインヒビター機能を発揮する元素であり、単独添加ま
たは複合添加いずれの場合も 0.005mass%以上、0.03ma
ss%未満の範囲で含有させることが好適である。という
のは、含有量が 0.005mass%未満ではインヒビター機能
を十分に発揮できず、一方0.03mass%以上ではスラブ加
熱時に均一固溶させることが困難となり、かえってイン
ヒビターとしての機能が損なわれてしまうからである。
として機能する他、被膜特性の改善にも有効に寄与す
る。この目的のためには、0.01mass%以上の含有を必要
とするが、0.5 mass%を超えると表面性状が悪化するの
で、0.01mass%以上、0.5 mass%未満が好適である。
てインヒビター機能を発揮する元素であるが、過剰に含
有させると製品のベンド特性などの機械的特性が劣化す
る。従って、Sbは 0.001mass%以上、0.1 mass%未満、
Snは 0.001mass%以上、0.1mass%未満、Biは0.0005mas
s%以上、0.05mass%未満の範囲が好適である。
ブ加熱の条件下では有効なインヒビターであるが、1300
℃以下の低温スラブ加熱を前提とする本発明において
は、均一に析出させることが困難なため、一次再結晶組
織および集合組織を不均一たらしめる。従って、Alの含
有量は0.01mass%未満に低減することが好ましい。
特に添加しなくても二次再結晶させる技術が開示されて
いるが、この技術は本発明においても好適に適用でき
る。
1300℃以下の低温でスラブ加熱し、熱間圧延を施す。つ
いで、熱間圧延板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施した
のち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を
施して、最終板厚とする。冷間圧延は常温で行っても良
いが、圧延温度を 100℃以上に上げ、動的歪時効によっ
て集合組織を制御する、いわゆる温間圧延方法、また圧
延のパス間に 150℃以上の温度域で1分以上保持し、静
的歪時効によって集合組織を制御する、いわゆるパス間
時効処理も、本発明において好適に適用することができ
る。
脱炭のための焼鈍を施す。この焼鈍においては、一次再
結晶完了までは脱炭を抑制し、一次再結晶完了後に脱炭
を促進することが重要であり、本発明の中心技術であ
る。具体的には、一次再結晶完了までは炭素を0.01mass
%以上含有させ、一次再結晶完了後に炭素を0.005 mass
%以下まで低減する。このような制御のためには、昇温
過程では水素:60 vol%以下でかつ露点:15℃以下の雰
囲気として脱炭を抑制しつつ一次再結晶を生ぜしめ、均
熱過程では水素:40 vol%以上でかつ露点:30℃以上の
雰囲気として脱炭を促進させる方法が有効である。ここ
で、一次再結晶完了まで脱炭を抑制する理由は、一次再
結晶の進行過程での粒成長抑制力を補強するためであ
り、一次再結晶後に脱炭を促進する理由は、製品鉄損の
時効劣化を防ぐためである。
次再結晶を生じさせ、一次再結晶完了後に脱炭を行うこ
とによって、組織、集合組織が均一化される理由につい
ては、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者ら
は次のように考えている。すなわち、一次再結晶完了ま
での期間に炭素を含有していると、炭素によって粒成長
の抑制力が補強される。再結晶初期から再結晶完了まで
の期間は、局所的に再結晶の進行具合が異なり、比較的
早期に核生成する粒と遅れて核生成する粒が混在する。
この段階での抑制力は重要であり、抑制力が弱い場合に
は、早期に核生成した粒が粗大化するため、粒径が不均
一になり、これが集合組織の不均一につながる。従っ
て、一次再結晶が完了するまでの間は、炭素によって抑
制力を補強することが有効である。一方、一次再結晶が
鋼板全体で完了してしまえば、炭素による抑制力の必要
性は弱まるので、脱炭を促進すればいいと考えられる。
速加熱にすることによって、ゴス核を増加させ、二次再
結晶粒径を小さくして低鉄損化を図る技術が知られてい
るが、この技術は、一次再結晶進行過程での抑制力を確
保する本発明の技術と併用することで、より一層の効果
を発揮する。この急速加熱法を適用する場合には、少な
くとも 500℃から 700℃までの昇温過程を50℃/s以上の
昇温速度で加熱することが好適である。なお、一次再結
晶焼鈍の際の昇温過程を急速加熱とすることは、一次再
結晶完了後の脱炭を促進する効果もあり、本発明には好
都合である。
てから、最終仕上焼鈍を施す。この最終仕上焼鈍には特
に制限はなく、従来から周知の方法に従って行えば良
い。さらに、得られた仕上焼鈍板の表面に、絶縁被膜を
塗布、焼き付ける。絶縁被膜の種類は特に限定されず、
公知の絶縁被膜いずれもが適合する。例えば、特開昭50
−79442 号公報や特開昭48−39338 号公報に記載されて
いる、リン酸塩−クロム酸−コロイダルシリカを含有す
る塗布液を鋼板に塗布し、800 ℃程度で焼き付ける方法
が好適である。また、フラットニング焼鈍により、鋼板
の形状を整えることも可能であり、さらには絶縁被膜焼
き付けを兼ねたフラットニング焼鈍を行うこともでき
る。
l:0.003 mass%, N:0.003 mass%およびS:0.001 m
ass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成
になる鋼スラブを、1200℃に加熱後、熱間圧延により
2.2mm厚の熱延板としたのち、1000℃で30秒の熱延板焼
鈍を施し、酸洗後、1回で冷間圧延により最終板厚:0.
34mmに仕上げた。冷間圧延後、コイルの長手方向10箇所
で、それぞれ幅方向3箇所から合計:30個の試験片を採
取した。
晶と脱炭のための焼鈍を施した。焼鈍条件は、均熱温度
を 850℃、均熱時間を 120秒に統一し、焼鈍雰囲気を以
下の4通り(a〜d)に変化させた。 a;加熱帯露点:50℃(水素 50vol%)、均熱帯露点:40℃(水素 50vol%) b;加熱帯露点:50℃(水素 50vol%)、均熱帯露点:60℃(水素 50vol%) c;加熱帯露点:0℃(水素 50vol%)、均熱帯露点:40℃(水素 50vol%) d;加熱帯露点:0℃(水素 50vol%)、均熱帯露点:60℃(水素 50vol%)
線回折による鋼板表面の極密度測定で評価した。また、
焼鈍の途中、加熱を終了した時点で試験片を抽出し、C
含有量の測定も行った。なお、加熱終了時点でいずれの
試験片も 100%再結晶が完了していた。
鋼板表面に焼純分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を
施した。焼純分離剤としては、MgOを主成分とし、副成
分として Sr(OH)2・8H2Oを5重量部添加したものを用い
た。最終仕上焼純後、未反応の焼鈍分離剤を除去したの
ち、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを
主成分とする絶縁コーティングを塗布し、800 ℃で焼き
付け、製品とした。各製品について、磁束密度B8 と鉄
損W17/50 を測定した。かくして得られた結果を表1に
示す。
再結晶と脱炭のための焼鈍条件を制御することにより、
一次再結晶集合組織のバラツキが軽減され、その結果、
磁気特性が良好な方向性電磁鋼板を安定して得ることが
できた。
l:0.005 mass%、Se:0.007 mass%, N:0.003 mass
%およびSb:0.030 mass%を含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物の組成になる鋼スラブ3本(A,B,C)
を、1250℃に加熱後、熱間圧延により 2.5mm厚の熱延板
とした。ついで、酸洗後、常温で1回目の冷間圧延を施
して中間板厚:1.5 mmとした。次に、これらのコイルを
脱脂後、1000℃で60秒間の中間焼鈍を施したのち、酸洗
し、Aのコイルは、常温で0.22mm厚まで冷間圧延し、B
のコイルは 200℃の圧延温度で0.22mm厚まで圧延し、C
のコイルはパス間で 250℃に5時間保持したのち、200
℃の圧延温度で0.22mm厚まで圧延した。冷間圧延後、コ
イルの長手方向10箇所で、それぞれ幅方向3箇所から合
計:30個の試験片を採取した。
晶と脱炭のための焼鈍を施した。焼鈍条件は、均熱温度
を 825℃、均熱時間を 150秒に統一し、焼鈍雰囲気を以
下の2通り(b,e)に変化させた。 b;加熱帯露点:50℃(水素 50vol%)、均熱帯露点:
60℃(水素 50vol%) e;加熱帯露点:0℃(水素 10vol%)、均熱帯露点:
60℃(水素 60vol%)
線回折による鋼板表面の極密度測定で評価した。また、
焼鈍の途中、加熱を終了した時点で試験片を抽出し、C
含有量の測定も行った。なお、加熱終了時点でいずれの
試験片も 100%再結晶が完了していた。
鋼板表面に焼純分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を
施した。焼純分離剤としては、MgOを主成分とし、副成
分としてTiO2を5重量部添加したものを用いた。最終仕
上焼純後、未反応の焼鈍分離剤を除去したのち、コロイ
ダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とす
る絶縁コーティングを塗布し、800 ℃で焼き付け、製品
とした。各製品について、磁束密度B8 と鉄損W17/50
を測定した。かくして得られた結果を表2に示す。
再結晶と脱炭のための焼鈍条件を制御することにより、
一次再結晶集合組織のバラツキが軽減され、良好な磁気
特性の方向性電磁鋼板を安定して得ることができた。
l:0.005 mass%、N:0.003 mass%、Cu:0.15mass%
およびSn:0.03mass%を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物の組成になる鋼スラブを、1200℃に加熱後、熱
間圧延により2.5mm厚の熱延板としたのち、1000℃で60
秒間の熱延板焼鈍を施した。ついで、酸洗後、常温で1
回目の冷間圧延を施して中間板厚:1.5 mmとした。次
に、これらのコイルを脱脂後、1000℃で60秒間の中間焼
鈍を施したのち、酸洗し、200 ℃の圧延温度で最終板
厚:0.22mmに仕上げた。冷間圧延後、コイルの長手方向
10箇所で、それぞれ幅方向3箇所から合計:30個の試験
片を採取した。
晶と脱炭のための焼鈍を施した。焼鈍条件は、均熱温度
を 850℃、均熱時間を 120秒に統一し、焼鈍雰囲気を以
下の4通り(b-1,b-2,e-1,e-2)に変化させた。 b-1;加熱帯露点:50℃(水素 50vol%, 500→700 ℃
を20℃/s)、均熱帯露点:60℃(水素 50vol%) b-2;加熱帯露点:50℃(水素 50vol%, 500→700 ℃
を 120℃/s)、均熱帯露点:60℃(水素 50vol%) e-1;加熱帯露点:0℃(水素 10vol%, 500→700 ℃
を20℃/s)、均熱帯露点:60℃(水素 60vol%) e-2:加熱帯露点:0℃(水素 10vol%, 500→700 ℃
を 120℃/s)、均熱帯露点:60℃(水素 60vol%)
線回折による鋼板表面の極密度測定で評価した。また、
焼鈍の途中、加熱を終了した時点で試験片を抽出し、C
含有量の測定も行った。なお、加熱終了時点でいずれの
試験片も 100%再結晶が完了していた。
鋼板表面に焼純分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を
施した。焼純分離剤としては、MgOを主成分とし、副成
分としてTiO2を5重量部、SrSO4 を5重量部添加したも
のを用いた。最終仕上焼純後、未反応の焼鈍分離剤を除
去したのち、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネ
シウムを主成分とする絶縁コーティングを塗布し、800
℃で焼き付け、製品とした。各製品について、磁束密度
B8 と鉄損W17/50 を測定した。かくして得られた結果
を表3に示す。
再結晶と脱炭のための焼鈍条件を制御することにより、
一次再結晶集合組織のバラツキが軽減され、その結果、
磁気特性が良好な方向性電磁鋼板を安定して得ることが
できた。
温度が普通鋼なみに低い条件下でも、一次再結晶板にお
ける粒成長を適正に制御して、仕上焼鈍後に磁気特性の
優れた方向性電磁鋼板を安定して製造することができ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 C:0.01〜0.1 mass%、Si:2.0 〜4.5
mass%およびMn:0.03〜2.5 mass%を含有し、必要に応
じてインヒビター成分を含有する鋼スラブを、1300℃以
下に加熱後、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施
したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧
延により最終板厚とし、ついで一次再結晶と脱炭のため
の焼鈍を施したのち、最終仕上焼鈍を施す一連の工程か
らなる方向性電磁鋼板の製造方法において、 一次再結晶と脱炭のための焼鈍に関して、一次再結晶完
了まではCを0.01mass%以上含有させ、一次再結晶完了
後にCを 0.005mass%以下まで低減することを特徴とす
る磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 一次再結晶と脱炭のための焼鈍に関し
て、昇温過程では水素:60vol%以下でかつ露点:15℃
以下の雰囲気として一次再結晶を完了させ、均熱過程で
は水素:40 vol%以上でかつ露点:30℃以上の雰囲気と
することを特徴とする請求項1記載の磁気特性の優れた
方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 冷間圧延工程において、少なくとも1パ
スを 100℃以上の温度で行うことを特徴とする請求項1
または2記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造
方法。 - 【請求項4】 冷間圧延工程において、圧延途中の少な
くとも1回のパス間において、150 ℃以上の温度域で1
分以上保持することを特徴とする請求項1,2または3
記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 一次再結晶と脱炭のための焼鈍に関し
て、 500℃から 700℃までの昇温過程を50℃/s以上の昇
温速度で加熱することを特徴とする請求項1〜4のいず
れかに記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方
法。
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