JP3884670B2 - 積層複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木建設資材、建築資材、車両用部材等に用いられるものであって、高い剛性を有する積層複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木建設資材、畳芯材を含む建築資材、車両用部材等においては、従来使用されていた木質ボードに代わる素材として、プラスチック発泡体を軽量芯材とし、両表面に高強度面材を積層したいわゆるサンドイッチ構造体の開発が活発化し、例えば、特開平6−134913号公報には、ポリプロピレン発泡体シートをガラス繊維補強ポリプロピレン系樹脂層でサンドイッチした積層成形品が記載され、その製造方法として、ガラス繊維補強ポリプロピレン層を融点以上に加熱して融解状態にした後、これを発泡体シート表面に重ね合わせて密着させ、同ポリプロピレン層の保有する熱で発泡体シートの表面を溶融させ、両者を互いに溶着させた後、冷却固化して一体化する方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記のようなサンドイッチ構造体の開発を進めた結果、ポリオレフィン系樹脂発泡体シート(密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の一例)に、10倍以上に延伸されたポリオレフィン系樹脂延伸シートからなる補強面材を積層した複合積層体を提案した(特願2001−13553号明細書)。この複合積層体は、上記特開平6−134913号公報記載のものと比較して、以下のような利点を有する。
【0004】
・ガラス繊維を使わないので、作業環境、使用環境に優しい。
【0005】
・素材がポリオレフィン系樹脂のみで構成されているので、再溶融、再加工が可能であり、リサイクルができる。
【0006】
・複合積層体はある曲げ歪み領域で塑性変形し、形状保持する。
【0007】
しかし、この複合積層体を上記特開平6−134913号公報記載の方法で製造しようとしても、補強面材がポリオレフィン系樹脂延伸シートからなるので、これをその融点以上に加熱すると分子の延伸配向がなくなってしまい、所望の曲げ剛性、線膨張特性が得られない。
【0008】
また、上記のような積層は通常積層圧力で制御されるが、積層温度により発泡体の圧縮特性が変化するため、温度によって積層圧力を変化させる必要があり、さらに製品厚みがばらつくという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ガラス繊維等の無機繊維を用いない複合積層体を、ポリオレフィン系樹脂延伸シートの性能を損なうことなく、かつ高い厚み精度で製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材と延伸シートの間に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを介在させ、重ね合わせ前または後に、該合成樹脂またはゴムを、その流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法である。
【0011】
請求項2の発明は、密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材と延伸シートの間に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルムを介在させ、得られた重ね合わせ体を該合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法である。
【0012】
請求項3の発明は、密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材および/または延伸シートの接着すべき面に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを塗布または含浸し、芯材および延伸シートの重ね合わせ前または後に、該合成樹脂またはゴムを、その流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法である。
【0013】
請求項4の発明は、密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材および/または延伸シートの接着すべき面に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを塗布または含浸し、芯材と延伸シートを該塗布または含浸面にて重ね、得られた重ね合わせ体を該合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法である。
【0014】
請求項5の発明は 加熱した際の延伸シートの収縮開始温度が、積層時の加熱温度より低い場合、シートの配向方向に対し0.1〜3kgf/1cm幅の張力をシートにかけながら、積層することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層複合体の製造方法である。
請求項6の発明は、シートの延伸倍率が5〜40倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層複合体の製造方法である。
【0015】
請求項7の発明は、芯材が、内在するセルのアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0の樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層複合体の製造方法である。
【0016】
請求項8の発明は、ポリオレフィン系樹脂延伸シートとして、その接着すべき面が少なくとも局所的に同樹脂の融点より10℃以上高い温度で加熱融解されるかもしくは同面が粗面化された延伸シートを用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の積層複合体の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明による複合積層体を構成する密度30〜300kg/m3のシート状芯材について、説明をする。
【0018】
密度が30〜300kg/m3のシート状芯材は、例えば、樹脂シートを膨張させた発泡体、プラダン(プラスチックダンボール)のような中空体、ハニカム構造体により形成される。
【0019】
密度が30〜300kg/m3である理由は、300kg/m3を越えると、軽量効果が少なく、30kg/m3未満では、必要な強度が得られないためである。
【0020】
一般的に、シート状芯材の厚みは1〜40mmとされる。40mmを越えると、複合積層体としての機械物性が低下するため好ましくなく、また、1mm未満では、積層するポリオレフィンシートの占有率が大きくなるため、軽量化が望めない。芯材の厚みは、好ましくは3〜20mmである。
【0021】
芯材の作製に用いられる素材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紙、金属などがある。
【0022】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン等である。これらは単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されても良い。
【0023】
熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂等である。
【0024】
ハニカムを形成する材料としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の他に紙、アルミのような金属がある。
【0025】
上記の素材のうち、芯材の素材としてより好ましいのは、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂製芯材は、再溶融による再加工ができるので、リサイクルに有利である。その中でも特に好ましいのは、ポリオレフィン系樹脂による芯材である。ポリオレフィン系樹脂を補強シートの素材としても使用することで、リサイクルがより容易となる。
【0026】
密度が30〜300kg/m3の芯材としては、ポリオレフィン系樹脂による発泡体が最も好適であるため、以下、ポリオレフィン系樹脂発泡体で詳細に記載する。
【0027】
ポリオレフィン系樹脂は、モノマーの単独重合体もしくは共重合体であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムポリマー、プロピレンブロックポリマー等のポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体などが好適に用いられるが、なかでもポリエチレンやポリプロピレンが特に好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
また、上記ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に対し30重量%未満の他の樹脂が添加されているポリオレフィン系樹脂組成物であっても良い。上記他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレンやスチレン系エラストマー等が挙げられる。これらの他の樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂に対する他の樹脂の添加量が30重量%以上であると、軽量、耐薬品性、柔軟性、弾性等のポリオレフィン系樹脂が有する優れた特性が阻害されることがあり、また、発泡時に必要な溶融粘度を確保することが困難となることがある。
【0030】
また、上記ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に対し30重量%未満の他の樹脂が添加されているポリオレフィン系樹脂組成物であっても良い。上記他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレンやスチレン系エラストマー等が挙げられる。これらの他の樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0031】
ポリオレフィン系樹脂に対する他の樹脂の添加量が30重量%以上であると、軽量、耐薬品性、柔軟性、弾性等のポリオレフィン系樹脂が有する優れた特性が阻害されることがあり、また、発泡時に必要な溶融粘度を確保することが困難となることがある。
【0032】
さらに、上記ポリオレフィン系樹脂は、変性用モノマーが添加されているポリオレフィン系樹脂組成物であっても良い。上記変性用モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマー、キノン化合物等が挙げられる。これらの変性用モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0033】
一般に、ポリオレフィン系樹脂は弾性率が低く、発泡体にすると圧縮弾性率が低く、積層複合体のコア材としては弱いため、発泡倍率を必要な値にまで上げることができないという問題があった。しかし、発泡体の気泡形状を厚み方向に対して紡錘形状に配向させることで、この問題を解決することができる。具体的には、セル(気泡)のアスペクト比(Dz/Dxy)の平均値は、1.1〜4.0、好ましくは1.3〜2.5である。
【0034】
図1(a)は、シート状芯材としての発泡体シートを示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)中のA部の拡大図である。上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値とは、図1に示す発泡体シート(1) 内部のセル(3) における定方向最大径の比の個数(算術)平均値を意味し、以下の方法で測定される。
【0035】
アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値の測定方法:
発泡体シート(1) のシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意の断面(2)の10倍の拡大写真を撮り、無作為に選ばれた少なくとも50個のセル(3) の定方向最大径を下記2方向で測定し、各アスペクト比(Dz/Dxy)の個数(算術)平均値を算出する。
【0036】
Dz:発泡体シート(1) 中のセル(3) のZ方向に平行な最大径
Dxy:発泡体シート(1) 中のセル(3) のz方向に垂直な面方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径(例えば、シート幅方向またはシート長さ方向)
【0037】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値を1.1〜4.0(好ましくは1.3〜2.5)とすることにより、発泡体シート(1) 中のセル(3) は発泡体シート(1) の厚み方向に長軸を有する紡錘形のセル(3) となる。従って、発泡体シート(1) が厚み方向に圧縮力を受けた場合、圧縮力は紡錘形のセル(3) の長軸方向に負荷されることになるので、発泡体シート(1) は厚み方向に高い圧縮強度(圧縮弾性率)を発現し得るものとなる。
【0038】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値が1.1未満であると、セル(3)の形状がほぼ球形となって、上記紡錘形のセル(3) に起因する圧縮強度(圧縮弾性率)向上効果が十分に得られないので、本発明の目的である複合積層体の曲げ剛性が小さくなる。逆に上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値が4.0を超えると、発泡性樹脂はz方向にのみ、相当量の伸長歪みを受けることになり、発泡の制御が困難となり、均質な発泡体シートの製造がしにくい。
【0039】
発泡体シートの密度は30〜300kg/m3がよい。300kg/m3を越えると、目的の複合積層体が重くなる上にコスト高となって実用性が低下し、逆に発泡体シートの密度が30kg/m3未満となると、セル壁の厚みが薄くなって、圧縮強度(圧縮弾性率)が不十分となる。
【0040】
密度の測定方法;
発泡体シートより試料をカッターで切り出した後、試料の重量を測定する。
【0041】
次に、浮力計により体積を測定し、重量/体積により密度を測定する。
【0042】
上記のような紡錘形のセルを持つ発泡体シートを製造するには、特に限定されないが、リサイクル性、生産性の観点から以下の方法が好適に用いられる。
【0043】
一般に、ポリオレフィン系樹脂組成物から成る発泡体は、化学発泡法によって得られる発泡体と物理発泡法によって得られる発泡体とに大別される。本発明においては上記いずれの発泡体であっても良いが、発泡操作の容易な化学発泡法によって得られる発泡体が好ましい。
【0044】
化学発泡法による発泡体シートは、加熱により分解ガスを発生する熱分解型化学発泡剤を予めポリオレフィン系樹脂組成物中に分散させておき、同組成物を一旦シート状の発泡性原反に賦形した後、加熱して上記発泡剤より発生するガスによりポリオレフィン系樹脂組成物を発泡させる方法で製造され得る。
【0045】
上記熱分解型化学発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が好適に用いられるが、なかでもADCAがより好ましい。これらの熱分解型化学発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
物理発泡法による発泡体シートは、高圧下でポリオレフィン系樹脂組成物中に物理発泡剤を一旦溶解し、同組成物を常圧下に戻したときに発生するガスによりポリオレフィン系樹脂組成物を発泡させる方法で製造され得る。
【0047】
上記物理発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、二酸化炭素、窒素、有機溶剤などが好適に用いられる。これらの物理発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
発泡体シートを製造するより具体的な方法は下記の通りである。主成分としてのポリオレフィン系樹脂と前述した変性用モノマーや他の樹脂とを溶融混練して得られる変性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、上記熱分解型化学発泡剤2〜20重量部を添加分散させ、同組成物を一旦シート状に賦形して発泡性シートを作製した後、この発泡性シートを熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度まで加熱して発泡させる方法を採ることにより、所望の発泡体シートを成形することができる。
【0049】
ポリオレフィン系樹脂を変性用モノマーで変性することにより、賦形された発泡性シートは、架橋度が低いにも拘らず、常圧で発泡し得るものとなる。尚、ここで言う架橋度とはゲル分率を意味し、架橋度が低いとはゲル分率が25重量%以下であることを言う。上記ゲル分率は、試料の初期重量に対する、試料を120℃の熱キシレン中で24時間溶解させた後の未溶解分(ゲル分)の乾燥重量の百分率で求められる。
【0050】
上記発泡性シートは、電子線で架橋させた架橋シートや熱分解型化学架橋剤で架橋させた架橋シートに比較して、架橋度(ゲル分率)が低く且つ常圧で加熱発泡するため、発泡体のセルが上記架橋シートから得られる発泡体のセルに比べて大きくなり、セル壁が厚くなる。従って、圧縮強度や耐座屈性等の機械的物性に優れる発泡体シートとなる。
【0051】
また、発泡体シートは、架橋度が小さいことから、加熱することで再溶融が可能であり、リサイクル性に富むものである。このことにより、材料の再利用、転用が可能となる。
【0052】
発泡性シートの賦形方法は、特に限定されるものではなく、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、カレンダリング成形法、射出成形法等のプラスチックの成形加工で一般的に行われている成形方法のいずれであっても良いが、なかでも例えばスクリュー押出機より吐出されるポリオレフィン系樹脂組成物を直接シート状に賦形する押出成形法が生産性に優れていることから好ましい。この方法により、一定寸法幅の連続した発泡性シートを得ることができる。
【0053】
上記発泡性シートから化学発泡法によって発泡体シートを作製する方法は、通常、熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度からポリオレフィン系樹脂の熱分解温度未満の温度までの温度範囲で行われる。
【0054】
上記発泡は連続式発泡装置を用いて行われることが好ましい。連続式発泡装置を用いて発泡を行う方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、加熱炉の出口側で発泡体シートを引取りながら連続的に発泡性シートを発泡させる引取り式発泡機、ベルト式発泡機、縦型もしくは横型発泡炉、熱風恒温槽等を用いて発泡を行う方法や、オイルバス、メタルバス、ソルトバス等の熱浴中で発泡を行う方法等が挙げられる。
【0055】
こうして得られる発泡体シートの前記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値を1.1〜4.0とする方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、発泡中の発泡性シートの面内方向(xy方向)の発泡力を抑制し得る強度を有する面材を発泡前の発泡性シートの少なくとも片面に積層する方法が好ましい。
【0056】
発泡前の発泡性シートの少なくとも片面に上記面材を積層することにより、発泡時における発泡性シートの面内の二次元方向(xy方向)の発泡を抑制し、厚み方向(z方向)にのみ発泡させることが可能となって、得られる発泡体シート内部のセルは厚み方向にその長軸を配向した紡錘形のセルとなる。
【0057】
上記面材は、発泡性シートの発泡温度以上の温度、即ちポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度および熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度に耐え得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、紙、布、木材、鉄、非鉄金属、有機繊維や無機繊維から成る織布や不織布、寒冷紗、ガラス繊維、炭素繊維、後述するポリオレフィン系樹脂延伸シート等が好適に用いられる。また、例えばテフロン(登録商標)シートのような離型性を有するシートを面材として用い、発泡性シートを厚み方向に発泡させた後、上記離型性シートを剥離して、発泡体シートを得ても良い。
【0058】
ただし、ポリオレフィン系樹脂以外の材料からなる面材を用いるときは、リサイクル性の観点より、その使用量は最小限度に留めることが好ましい。
【0059】
上記面材のなかでも、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する際の投錨効果(アンカー効果)に優れ、人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼすことの殆どない不織布や寒冷紗がより好適に用いられる。
【0060】
つぎに、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂延伸シート(以下、延伸シートと略記する)について、説明をする。
【0061】
延伸シートの作製に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムポリマー、プロピレンブロックポリマー等のポリプロピレン等が挙げられ、なかでも、延伸後の弾性率を考慮すると、理論弾性率の高いポリエチレンがより好適に用いられ、結晶性の高い高密度ポリエチレンが最も好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0062】
延伸シート作製用のポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10万〜50万であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が10万未満であると、ポリオレフィン系樹脂自体が脆くなるため、延伸性が損なわれることがあり、逆にポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が50万を超えると、延伸性が悪くなって、延伸シートの成形が困難となったり、高倍率の延伸が困難となることがある。
【0063】
上記重量平均分子量の測定方法としては、加温した例えばo−ジクロルベンゼンのような有機溶剤にポリオレフィン系樹脂を溶解した後、カラムに注入し、溶出時間を測定する所謂ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(高温GPC法)が一般的であり、上記重量平均分子量もo−ジクロルベンゼンを有機溶剤として用いた上記高温GPC法により測定した値である。
【0064】
延伸シート作製用のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されるものではないが、0.1〜20g/10分であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂のMFRが0.1g/10分未満であるか、20g/10分を超えると、高倍率の延伸が困難となることがある。尚、上記MFRは、JIS K−7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」に準拠して測定される。
【0065】
延伸シート作製用のポリオレフィン系樹脂としては、重量平均分子量が10万〜50万であり、かつ、MFRが0.1〜20g/10分である高密度ポリエチレンが特に好適に用いられる。
【0066】
また、延伸シート内部には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、主成分であるポリオレフィン系樹脂以外に、架橋助剤や光ラジカル重合開始剤等が添加されていても良い。
【0067】
架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルフタレート等の多官能モノマーが挙げられ、また、光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、アセトフェノンなどが挙げられる。これらの架橋助剤や光ラジカル重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0068】
上記架橋助剤や光ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、架橋助剤や光ラジカル重合開始剤1〜2重量部であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂100重量部に対する架橋助剤や光ラジカル重合開始剤の添加量が1重量部未満であると、ポリオレフィン系樹脂の架橋や光ラジカル重合が速やかに進行しないことがあり、逆にポリオレフィン系樹脂100重量部に対する架橋助剤や光ラジカル重合開始剤の添加量が2重量部を超えると、高倍率の延伸が困難となることがある。
【0069】
延伸シートの作製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、主成分としてのポリオレフィン系樹脂と必要に応じて添加される上記架橋助剤や光ラジカル重合開始剤とから成るポリオレフィン系樹脂組成物を押出機等により溶融混練して可塑化させた後、溶融物をTダイを通してシート状に押出し、冷却して、ポリオレフィン系樹脂の未延伸シート(延伸原反)を先ず作製する。
【0070】
上記未延伸シートの厚みは、特に限定されるものではないが、0.5〜10mmであることが好ましい。未延伸シートの厚みが0.5mm未満であると、これに延伸処理を施して得られる延伸シートの厚みが薄くなり過ぎて、強度が不十分となり、取扱い性が損なわれることがあり、逆に未延伸シートの厚みが10mmを超えると、延伸処理が困難となることがある。
【0071】
次いで、上記未延伸シートに延伸処理を施すことにより延伸シートが作製される。
【0072】
上記延伸処理を施す際の延伸倍率は、延伸シートの引張弾性率が5GPa以上となるように設定すればよく、5〜40倍であることが好ましく、より好ましくは10〜40倍、さらに好ましくは20〜40倍である。上記延伸倍率が5倍未満であると、ポリオレフィン系樹脂の種類の如何に拘わらず、延伸シートの引張弾性率が低くなったり、後述する平均線膨張率が小さくならなかったりして、目的の積層複合体において、所望の曲げ剛性、寸法安定性が得られない。逆に延伸倍率が40倍を超えると、延伸の制御が困難となることがある。
【0073】
また、延伸シートの幅は基本的には任意であるが、幅が狭すぎると、平面を形成する際に、多数のシートを配列する必要があり、プロセスが煩雑となり、生産性が悪くなる。したがって、延伸シートの幅は、好ましくは10mm以上、より好ましくは50mm以上、さらに好ましくは100mm以上である。
【0074】
また、延伸処理を施す際の延伸温度は、特に限定されるものではないが、85〜120℃であることが好ましい。上記延伸温度が85℃未満であると、延伸シートが白化し易くなったり、高倍率の延伸が困難となることがあり、逆に延伸温度が120℃を超えると、未延伸シートが切れ易くなったり、高倍率の延伸が困難となることがある。
【0075】
延伸方法についても、特に限定されるものではなく、通常の一軸延伸方法で良いが、特にロール延伸方法が好適に採用される。
【0076】
上記ロール延伸方法とは、速度の異なる二対の延伸ロール間に未延伸シートを挟み、未延伸シートを加熱しながら引っ張る方法であり、一軸延伸方向のみに強く分子配向させることができる。この場合、二対の延伸ロールの速度比が延伸倍率となる。
【0077】
未延伸シートの厚みが比較的厚い場合、ロール延伸方法のみでは円滑な延伸を行うのが困難となることがあるが、このような場合には、ロール延伸に先立ってロール圧延処理を施してもよい。
【0078】
上記ロール圧延処理は、一対の反対方向に回転する圧延ロール間に該圧延ロール間の間隔より厚い未延伸シートを挿入し、未延伸シートの厚みを減少させると共に長さ方向に伸長させることにより行われる。上記ロール圧延処理が施された未延伸シートは、予め一軸方向に配向処理されているので、次工程のロール延伸により、一軸方向に円滑に延伸される。
【0079】
上記延伸工程において、延伸温度を好ましい範囲(85〜120℃)とするためには、未延伸シートの予熱温度、延伸ロールの温度、雰囲気温度等を適宜調節すれば良い。
【0080】
こうして得られる延伸シートに対して、耐熱性を高めるために或いは最終的に得られる複合積層体の耐熱性や耐クリープ性を高めるために、架橋処理を施しても良い。
【0081】
上記架橋処理は、特に限定されるものではないが、例えば、電子線照射や紫外線照射によって行い得る。
【0082】
電子線照射により架橋処理を行う場合の電子線照射量は、延伸シートの組成や厚み等を考慮して適宜設定すれば良く、特に限定されるものではないが、一般的には1〜20Mradであることが好ましく、より好ましくは3〜10Mradである。また、電子線照射による架橋処理の場合、前記架橋助剤を予め延伸シート内部に添加しておくことにより、円滑な架橋を行うことができる。
【0083】
紫外線照射により架橋処理を行う場合の紫外線照射量は、延伸シートの組成や厚み等を考慮して適宜設定すれば良く、特に限定されるものではないが、一般的には50〜800mW/cm2であることが好ましく、より好ましくは100〜500mW/cm2である。また、紫外線照射による架橋処理の場合、前記光ラジカル重合開始剤や架橋助剤を予め延伸シート内部に添加しておくことにより、円滑な架橋を行うことができる。
【0084】
延伸シートの架橋の程度は、特に限定されるものではないが、前記ゲル分率が50〜90重量%程度であることが好ましい。
【0085】
延伸シートは、5倍以上に延伸されたものであるため、温度変化に対する熱伸縮の度合いが小さくなる。このため、同延伸シートを発泡体シートと積層させることにより、延伸シートが発泡体シートの熱伸縮を抑制し、目的の複合積層体において温度に対する寸法安定性が確保できる。
【0086】
この熱伸縮の度合いを示す数値として、平均線膨張係数がある。
【0087】
本発明で用いられる延伸シートは、平均線膨張率5×10−5/℃以下、好ましくは3×10−5/℃以下、より好ましくは−2×10−5〜2×10−5/℃のものである。
【0088】
平均線膨張率は、物体の寸法が温度によって膨張していく割合を示す尺度である。平均線膨張率を測定するには、TMA(機械分析)により、昇温中の物体の寸法を順次精密に測定していく方法があるが、延伸シートの5℃および80℃における寸法を測定し、その差から平均線膨張率を算出することもできる。
【0089】
一般に、ポリオレフィン系樹脂製の物体の平均線膨張率は5×10−5/℃より大きいが、延伸処理を施すことにより、平均線膨張率が5×10−5/℃以下の延伸シートを得ることができる。また、この延伸シートは、延伸倍率を大きくするほど平均線膨張率が低いものとなる。
【0090】
発泡体シートは、それ単独ではポリオレフィン系樹脂シートの平均線膨張率が凡そ5×10−5〜15×10−5/℃であって、熱収縮による寸法変化が大きいという問題点を有するが、その少なくとも片面に上記平均線膨張率が5×10−5/℃以下の延伸シートを積層することにより、平均線膨張率が小さく、熱収縮による寸法変化を起こし難い積層複合体を得ることができる。
【0091】
また、上記延伸シートでは、平均線膨張率を5×10−5/℃以下とするために延伸倍率を大きくするので、延伸方向の引張強度(引張弾性率)も大きくなり、上記発泡体シートの少なくとも片面に上記延伸シートが積層されて成る複合積層体の曲げ強度(曲げ弾性率)が飛躍的に向上し、相乗効果が生じる。
【0092】
請求項1の発明では、接着用の合成樹脂またはゴムの加熱は、芯材と延伸シートの間にこれらを介在させる前でも後でもよい。例えば、芯材および延伸シートは加熱せずに、合成樹脂またはゴムのみを押出機等で加熱溶融させ、これを芯材と延伸シートの間に介在させた後、この重ね合わせ体を加圧して固着するということもできる。請求項2の発明では、芯材と延伸シートの加熱積層の前に、芯材と延伸シートの間に接着用の合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルム、好ましくは合成樹脂フィルムを介在させる。
【0093】
合成樹脂フィルムを用いれば、芯材/合成樹脂フィルム/延伸シートからなる重ね合わせ体を得ることが容易となる。芯材と延伸シートの間に合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルムを介在させる方法は、特に限定されず、バッチ式でも連続式でもよい。
【0094】
請求項3および4の発明では、芯材と延伸シートの加熱加圧の前に、芯材および/または延伸シートの接着面に接着用の合成樹脂またはゴムを予め塗布または含浸しておく。請求項3の場合には、合成樹脂またはゴムの加熱は、重ね合わせ前に行ってもよい。
【0095】
この塗布または含浸処理により、芯材と延伸シートの加熱加圧を短時間にしかもより低圧で行うとができる。
【0096】
合成樹脂またはゴムを芯材に塗布する方法としては、特に限定されず、一般に使用されている方法が用いられる。例えば、スクリュー押出機などを用いて、合成樹脂またはゴムをその流動開始温度以上の温度に加熱して溶融させた後、得られた溶融物を芯材にロールコーティングしたり、クロスヘッドダイによりライニングする方法、合成樹脂またはゴムのフィルムまたはシートをその流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度以下の温度に加熱しながら芯材に圧着する方法などが挙げられる。
【0097】
ここで、芯材の熱変形温度とは、ASTM D648に記載されている方法(試料に一定荷重を加え、一定速度で温度上昇させたときに所定の変化を示す温度を求める方法)により得られる温度をいい、流動開始温度とは、結晶性樹脂の場合には、融点を意味し、非晶性樹脂の場合には、ガラス転移温度を意味する。
【0098】
合成樹脂またはゴムを芯材に含浸させる方法も特に限定されない。上述したように、芯材を作成する際には、不織布や寒冷紗等の面材を使用することが多い。この面材に予め合成樹脂またはゴムからなるフィルムまたはシートをその流動開始温度以上の温度に加熱しながら圧着しておき、この面材を合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度以下の温度に加熱しながら芯材に圧着することにより、合成樹脂またはゴムを均一に含浸した面材付き芯材が得られる。また、面材付きの芯材の面材に、上記のように合成樹脂またはゴムからなるフィルムまたはシートを加熱圧着してもよい。
【0099】
合成樹脂またはゴムを延伸シートに含浸させる方法も特に限定されない。例えば、投錨(アンカー)効果の大きな不織布や寒冷紗等の面材を延伸シートに積層し、この面材に合成樹脂またはゴムからなるフィルムまたはシートをその流動開始温度以上の温度に加熱しながら延伸シートに圧着することにより、合成樹脂またはゴムを均一に含浸した面材付き延伸シートが得られる。また、面材に予め合成樹脂またはゴムからなるフィルムまたはシートを上記のように加熱圧着しておき、この面材を延伸シートに加熱圧着してもよい。
【0100】
このように投錨(アンカー)効果の大きい面材を使用することで、合成樹脂またはゴムが含浸されやすくなり、結果としてポリオレフィン系樹脂延伸シートとの接着強度を高めることができる。
【0101】
請求項8の発明では、ポリオレフィン系樹脂延伸シートとして、その接着すべき面が少なくとも局所的に同樹脂の融点より10℃以上高い温度で加熱融解されたもしくは同面が粗面化された延伸シートを用いる。
【0102】
ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、高度に配向された繊維構造を有するので、後述する合成樹脂またはゴムとの接着性を向上させるために、延伸シートの強度を損ねることなく、その表面層において上記繊維構造を解除するように表面層の融解処理を施す。
【0103】
ポリオレフィン系樹脂延伸シートの少なくとも片面の表面層を融解されるには、例えば、表面温度が延伸シートのポリオレフィン系樹脂の融点+10℃より高い温度に保持された第1のロールと、表面温度が上記ポリオレフィン系樹脂の融点より低い温度に保持された第2のロールとに延伸シートを接触させつつこれらの間を通過させる。表面層の融解とは、延伸シートの表面層のみを融解させることを意味し、機械的強度の維持を考慮すると、表層部は好ましくは全体厚みの1〜10%の部分である。表面層の融解により表面層における繊維構造が解除される。
【0104】
上記融解処理は、延伸シートの少なくとも片面に施される。片面のみが融解処理された延伸シートでは、融解処理された面が合成樹脂またはゴムに対して良好な接着性を示す。また、両面が融解処理された延伸シートでは、何れの面も合成樹脂またはゴムに対する接着性もしくは融着性が高められる。
【0105】
第1のロールの表面温度は、延伸シートのポリオレフィン系樹脂の融点より10℃以上高い温度に設定されるが、この温度は、好ましくは、該融点より10℃高い温度〜融点より100℃高い温度の範囲内、より好ましくは融点より30℃高い温度〜融点より60℃高い温度の範囲で選択される。融点より10℃高い温度未満の場合には、融解処理による表面層における繊維構造の解除が十分に進まず、接着性や融着性を改善する効果が十分得られない。また、融点より100℃以上高い温度では、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが第1のロールに融着する恐れがある。
【0106】
第2のロールの表面温度は、上記のように、該ポリオレフィン系樹脂の融点以下の温度とされるが、好ましくは、0℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の範囲、より好ましくは50℃〜100℃の間で制御される。第2のロールの表面温度がポリオレフィン系樹脂の融点を超えると、第2のロールによる冷却効果が十分でなく、ポリオレフィン系樹脂延伸シートの物性が低下する恐れがある。また、第2のロールの表面温度が0℃より低いと、ロールに水分が凝縮、付着して適正なロール処理が困難となることがある。
【0107】
なお、ポリオレフィン系樹脂の融点は、示差走査型熱量測定器(DSC)などの熱分析により測定され、結晶融解に伴う吸熱ピークの最大値を意味する。
【0108】
ポリオレフィン系樹脂延伸シートはその接着すべき面を粗面化したものでも良い。この粗面化により、合成樹脂またはゴムとの接着性が向上し、上述した塗布、含浸等もしやすくなる。粗面化方法としては、特に限定されないが、例えば、サンドブラスト等のエンボス手段等が挙げられる。
【0109】
延伸シート表面の粗面化により形成される微細な凹凸の程度は、例えば、JIS B 0601に準拠する中心線平均粗さ(Ra)によって表現して、好ましくは0.5μm以上である。Raが0.5μm未満であると、上記粗面化効果が十分に得られない恐れがある。
【0110】
その他の表面を改質する方法として、コロナ処理により、表面に極性をもたせるとともに、接着性をもたせてももちろんよい。
【0111】
上記のようなポリオレフィン系樹脂延伸シートの融解または粗面化により、合成樹脂またはゴムを介して延伸シート同士の多層積層も可能となる。
【0112】
本発明で用いられる接着用の合成樹脂またはゴムは、芯材の熱変形温度および延伸シートを構成しているポリオレフィン系樹脂の融点よりも低い流動開始温度を持つ熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム系高分子等である。このような特徴を持つ合成樹脂またはゴムを用いることで、芯材が熱変形せずかつ延伸シートが融解しない温度で、合成樹脂またはゴムのみを流動開始させることができ、曲げ剛性、寸法安定性等の性能を損ねることなく、良好な接着強度が得られる。合成樹脂またはゴムの流動開始温度は、芯材の熱変形温度または延伸シートを構成するポリオレフィン系樹脂融点のうち低い方をTmlower℃とすると、好ましくは(Tmlower−5)℃以下、より好ましくは(Tmlower−10)℃以下である。
【0113】
本発明で用いられる合成樹脂またはゴムは、上記の要件を満たすものであれば特に限定されず、例えば以下のものが挙げられる。
【0114】
○ポリオレフィン系樹脂
・ポリエチレン(PE):超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)
・ポリプロピレン(PP):ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン
・ポリブテン
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
・アイオノマー:エチレン−メタクリル酸共重合体金属塩
・エチレン−(メタ)アクリル共重合体:エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)
・変性ポリオレフィン:マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン
・塩素化ポリエチレン
【0115】
○その他の樹脂
・接着性ポリエステル樹脂
・ポリスチレン
【0116】
○熱可塑性エラストマー
・スチレン系エラストマー:ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)
・塩化ビニル系エラストマー
・ポリオレフィン系エラストマー:エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)
・熱可塑性ポリウレタン
【0117】
○ゴム系高分子
・天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン(PIB)
【0118】
これらのうちでも、ポリオレフィン系樹脂の芯材および延伸シートとの接着性の良いものとして、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマーもしくはスチレン系エラストマーが好適に用いられ、中でもポリオレフィン系樹脂がさらに好適に用いられる。
【0119】
また、ポリオレフィン系樹脂以外の芯材および延伸シートとの接着性の良いものとして、ポリオレフィン系エラストマーもしくはスチレン系エラストマーが好適に用いられ、中でもポリオレフィン系エラストマーがさらに好適に用いられる。
【0120】
請求項2の発明で用いられる合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルムの厚み、および請求項3および4の発明で用いられる合成樹脂またはゴムの塗布層の厚みは、接着性を考慮して適宜決定されるが、通常5μm〜2mm程度である。この厚みが5μm未満であると、接着性が悪化し、2mmを越えると、曲げおよび剪断強度が下がる。
【0121】
請求項1の発明では、合成樹脂またはゴムを加熱するか、芯材/合成樹脂またはゴム/延伸シートの重ね合わせ体を加熱し、請求項2の発明では、芯材/合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルム/延伸シートの重ね合わせ体を加熱し、請求項3の発明では、合成樹脂またはゴムを塗布または含浸した芯材および/または延伸シートを加熱するか、これらの重ね合わせ体を加熱し、請求項4の発明では、合成樹脂またはゴムを塗布または含浸した芯材および/または延伸シートの重ね合わせ体を加熱する。
【0122】
いずれの発明においても、加熱温度は、合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下である。加熱温度が合成樹脂またはゴムの流動開始温度未満であると、合成樹脂またはゴムの融解が進まず、充分な接着力が得られない。加熱温度が芯材の熱変形温度または延伸シートの融点を越えると、芯材または延伸シートを構成している樹脂が融解してしまい所望の機械物性が確保できない。
【0123】
加熱手段は特に限定されず、例えば熱風加熱、赤外線加熱、電子線加熱、ヒーターを用いた接触加熱等が挙げられる。
【0124】
加熱と同時もしくはその後、請求項1の発明では、芯材/合成樹脂またはゴム/延伸シートの重ね合わせ体を加圧し、請求項2の発明では、芯材/合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルム/延伸シートの重ね合わせ体を加圧し、請求項3および4の発明では、合成樹脂またはゴムを塗布または含浸した芯材および/または延伸シートの重ね合わせ体を加圧する。
【0125】
いずれの発明においても、負荷される圧力は、芯材に圧縮歪み0.01〜10%が加わるような値である。
【0126】
一例として、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂からなる発泡体シートの圧縮試験の応力−歪み(S−S)カーブを図2に示す。温度が変化すると、圧縮降伏が変化するため、加熱の状況によっては加圧する圧力を変化させる必要がある。しかし、本発明者らは、温度が変化しても発泡体シートの圧縮弾性領域はほとんど変化しないことを見出し、本発明では圧力制御ではなく、圧縮弾性領域範囲内で変位を制御することにより上記加圧を行う。この方法によると、加熱温度や発泡体シートの厚みが変化しても、厚み精度の良好な積層複合体を得ることができる。
【0127】
圧縮歪み0.01%未満では、充分な接着力が得られず、10%を越えると発泡体シートの降伏点を越えてしまい、発泡体シートの圧縮強度が下がったり、厚みが回復しなかったりする。
【0128】
圧縮歪みのより詳しい範囲は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の発泡体では、0.01〜10%であり、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の中空体及びハニカム構造体では、0.01〜5%である。中空体及びハニカム構造体の場合、発泡体よりも降伏点が低いため、上限値を比較的小さくすることが好ましい。
【0129】
変位(厚み)を制御する方法は特に限定されない。バッチ式では、例えば、ストロークを制御するプレス方式等が、連続式では、例えば、重ね合わせ体を、間隙を規制したロール間を通す方法等が挙げられる。
【0130】
このように、加熱と同時にもしくはその後に加圧を行うにより、接着用の合成樹脂またはゴムが発泡体シートと延伸シートを接着することとなる。加圧時間も特に限定されないが、好ましくは0.01秒〜10分である。加圧時間が0.01秒未満であると充分な接着力が得られず、また10分を越えると生産性が下がり、好ましくない。
【0131】
上記の加熱操作と加圧操作は、別々に行われても良いし、同時に行うこともできる。例えばバッチ式の接触ヒーターを用いたプレス方式などでは、重ね合わせ体を両面から加熱しながら加圧することが可能である。
【0132】
また、上記のように加熱および加圧された積層体は、冷却され、合成樹脂またはゴムが固化して複合積層体となる。冷却方法も特に限定されない。冷却過程でも圧縮歪み0.01〜10%の範囲で積層体を加圧することが好ましい。
【0133】
加熱した際の延伸シートの収縮開始温度が、積層時の加熱温度より低い場合は、収縮がおこり、シート形状が変形するため、きれいに配列することが困難となる。このため、シートの配向方向に対し0.1〜3kgf/1cm幅の張力をシートにかけながら、積層することが好ましい。この張力は、素材や延伸倍率により異なるが、0.1〜3kgf/1cm幅の張力を加えることで、積層する事が可能になる。0.1kgf/1cm幅未満では張力が弱く、収縮を抑制する事ができない。一方 3kgf/1cm幅を越えると張力が強すぎて、加熱した延伸シートの保持力がもたず、シートが切断するため好ましくない。
上記で記載したシートの収縮開始温度は以下の方法で測定した。
【0134】
まず、延伸シートを100mm角に切り出し、縦横の寸法を測定した。次に各種温度設定したオーブン中に約40秒間シートをセットし、取り出して冷却した後、シートの寸法を測定した。(加熱後の寸法 / 初期寸法)×100(%)を求め、これが99%より小さくなる温度を収縮開始温度として設定した。
【0135】
素材の違いや、延伸倍率で異なるが、ポリオレフィン系材料の場合、延伸倍率が高くなると、収縮開始温度は上がり、延伸倍率が低いものほど、収縮開始温度は下がる。
【0136】
収縮開始温度と積層する時の加熱温度の関係は以下のようになる。
【0137】
芯材と延伸シートを接着させるための合成樹脂またはゴムの流動開始温度
<積層するときの加熱温度 < 延伸シートの収縮開始温度
< 芯材の熱変形温度または延伸シートの融点
しかし、シートの種類によっては、
芯材と延伸シートを接着させるための合成樹脂またはゴムの流動開始温度
< 延伸シートの収縮開始温度 <積層するときの加熱温度
< 芯材の熱変形温度または延伸シートの融点
の場合もある。この場合収縮するシートを抑制するために上記の張力をかける必要がある。張力が弱いと収縮によってシートが浮き、積層することが困難となる。張力が強すぎると、シートが切断する。シートに掛ける張力は、0.1〜3kgf/1cm幅が良い。
【0138】
【作用】
請求項1の発明では、芯材と延伸シートの間に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを介在させ、重ね合わせ前または後に、該合成樹脂またはゴムを、その流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧するので、また、請求項2の発明では、芯材と延伸シートの間に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルムを介在させ、得られた重ね合わせ体を該合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧するので、芯材および延伸シートを構成する樹脂を変形ないしは融解させることなく、接着用の合成樹脂またはゴムのみを融解させることが可能となり、芯材および延伸シートをその物性を損ねることなく積層することができる。
【0139】
請求項3および4の発明では、芯材と延伸シートの加熱加圧の前に、芯材および/または延伸シートの接着すべき面に接着用の合成樹脂またはゴムを塗布または含浸するので、該合成樹脂またはゴムを均一に被着体(芯材および/または延伸シート)に浸透させることができ、短時間の加圧でも充分な接着力が得られる。
【0140】
請求項5の発明では、延伸シートの配向方向に対し0.1〜3kgf/1cm幅の張力をシートにかけながら積層することにより、延伸シートが収縮しやすい条件下においても、積層を容易に行うことができる。
【0141】
請求項6の発明では、シートの延伸倍率を5〜40倍とすることにより、所要の剛性を有する積層複合体を実現できる。
【0142】
請求項7の発明では、芯材が、内在するセルのアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0の発泡樹脂体とされることで、軽量で高剛性の積層複合体が得られる。
【0143】
請求項8の発明では、延伸シートとして、その接着すべき面が少なくとも局所的に同樹脂の融点より10℃以上高い温度で加熱融解されるかもしくは同面が粗面化された延伸シートを用いるので、接着用の合成樹脂またはゴムが延伸シートに相溶しやすく、投錨効果により接着しやすくなる。
【0144】
【実施例】
本発明を実施例によってより具体的に説明する。
【0145】
i)面材付きシート状芯材(面材付き発泡体シート)の調製
(1) 変性ポリオレフィン系樹脂の調製
変性用スクリュー押出機として、BT40(プラスチック工学研究所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機を用いた。これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、Dは39mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜6バレルからなり、ダイは3穴ストランドダイであり、揮発分を回収するため第4バレルに真空ベントが設置されている。
【0146】
操作条件は下記の通りである。
【0147】
・シリンダーバレル設定温度:第1バレル;180℃
第2〜6バレル;220℃
ダイ;220℃
・スクリュー回転数:150rpm
【0148】
上記構成の変性用スクリュー押出機に、まず、ポリオレフィン系樹脂を後端ホッパーから押出機内に投入し、第3バレルから変性用モノマーと有機過酸化物の混合物を押出機内に注入し、これらを溶融混和して変性樹脂を得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空引きした。
【0149】
ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製「EX6」、MFR;1.8、密度;0.9g/cm3)であり、その供給量は10kg/hとした。変性用モノマーはジビニルベンゼンであり、その供給量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.5重量部とした。また、有機過酸化物は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3であり、その供給量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部とした。
【0150】
ポリオレフィン系樹脂、変性用モノマーおよび有機過酸化物の溶融混和によって得られた変性樹脂を、ストランドダイから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性樹脂のペレットを得た。
【0151】
(2) 発泡性樹脂組成物の調製
発泡剤混練用スクリュー押出機はTEX−44型(日本製鋼所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機であり、これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、Dは47mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜12バレルからなり、成形ダイは7穴ストランドダイである。温度設定区分は下記の通りである。
【0152】
第1バレルは常時冷却
第1ゾーン;第2〜4バレル
第2ゾーン;第5〜8バレル
第3ゾーン;第9〜12バレル
第4ゾーン;ダイおよびアダプター部
【0153】
発泡剤を供給するために第6バレルにサイドフィーダーが設置され、揮発分を回収するため第11バレルに真空ベントが設置されている。操作条件は下記の通りである。
【0154】
・シリンダーバレル設定温度:第1ゾーン;150℃
第2ゾーン;170℃
第3ゾーン;180℃
第4ゾーン;160℃
・スクリュー回転数:40rpm
【0155】
上述のようにして得られた変性樹脂と、ホモタイプのポリプロピレン(日本ポリケム社製「FY4」、MFR;5.0、密度;0.9g/cm3)を、それぞれ10kg/hの供給量で、発泡剤混練用スクリュー押出機に供給した。また、同押出機にそのサイドフィーダーから発泡剤を供給した。発泡剤はアゾジカルボンミド(ADCA)であり、その供給量は1.0kg/hとした。こうして変性樹脂と発泡剤の混練によって発泡性樹脂組成物を得た。
【0156】
(3) 発泡性シートの調製
この発泡性樹脂組成物をTダイから押し出し、幅350mm×厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡性シートを得た。
【0157】
(4) 面材付き発泡性シートの調製
実施例1〜6、比較例2〜4では、上記ポリオレフィン系樹脂発泡性シートの両面に、面材としてポリエチレンテレフタレート製の不織布(東洋紡績社製、「スパンボンド エクーレ 6301A」、秤量30g/m2)を積層し、プレス成形機を用いて温度180℃でプレス成形を行い、面材付き発泡性シートを得た。
【0158】
比較例1においては、上記発泡性シートの両面に、テフロンシートを積層し、ハンドプレス機を用いて180℃で賦形を行い、面材付き発泡性シートを得た。
【0159】
(5) 発泡
得られた面材付き発泡性シートから縁部を取り除き、一辺300mmの正方形サンプルを得た。このサンプルを230℃のオーブン中、約5分間加熱し、発泡性シートを発泡させ、厚み8mmのポリオレフィン系樹脂発泡体シートを得た。
【0160】
比較例1においては、発泡後、樹脂を冷却固化させた後、積層したテフロンシートを剥し、表面がポリオレフィン系樹脂である発泡体シートを得た。
【0161】
(6) 合成樹脂の含浸
実施例2、3および5においては、前工程(5) で得られた面材付き発泡体シートの面材に、後述する厚み60μmの合成樹脂フィルムを重ね合わせ、120℃に加熱したハンドプレス機を用いて、発泡体シートに圧縮歪み0.4mm(5%)が加わるように重ね合わせ体に荷重をかけ、1分間加熱して、合成樹脂含浸発泡体シートを得た。
【0162】
(7) 合成樹脂含浸発泡体シートの評価
得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シートを下記の項目について評価した。
【0163】
・発泡倍率:
積層複合体より面材をカッターで削り取った後、JIS K−6767「ポリエチレンフォーム試験方法」に準拠して、見かけ密度を測定し、その逆数を発泡倍率とした。
【0164】
・セル形状(平均アスペクト比):
積層複合体シートを厚み方向(z方向)にカットし、断面の中央部を光学顕微鏡で観察しつつ15倍の拡大写真を撮った。写真に写った全てのセルのDzとDxyをノギスで測り、セル毎にDz/Dxyを算出し、セル100個分のDz/Dxyの個数平均を算出し、平均アスペクト比とした。ただし測定中、Dz(実際の径)が0.05mm以下のセル、および10mm以上のセルは除外した。
【0165】
・融点
上記工程(2) において、発泡剤(ADCA)を含まない、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整し、これについて、示差走査型熱量測定器(DSC)を用いて、ピーク温度を読みとった。融点は148℃であった。
【0166】
ii)合成樹脂フィルム積層延伸シートの調製
(1) 押出シートの調製
高密度ポリエチレン(商品名:HY540、三菱化学社製、MFR=1.0、融点133℃、重量平均分子量30万)100重量部に対して、ベンゾフェノン(光重合開始剤)1重量部を配合し、この配合物を30mm二軸押出機にて樹脂温度200℃で溶融混練し、Tダイにてシート状に押出し、冷却ロールにて冷却し、厚み1.0mm、幅200mmの未延伸シートを得た。
【0167】
(2) 圧延・架橋
この未延伸シートを、表面温度100℃に設定された6インチロール(小平製作所社製)を用いて圧延倍率9倍にロール圧延し、その後、得られた圧延シートを繰り出し速度2m/分のロールで繰り出し、雰囲気温度85℃に設定された加熱炉を通して、引き取り速度6m/分のロールで引き取り、3倍にロール延伸し、巻き取った。ついで、得られたシートに両面より高圧水銀灯を5秒間照射して架橋処理を施した。最後に、得られたシートに無張力下にて130℃で1分間の緩和処理を施した。
【0168】
上記操作を経て得られた延伸シートは、幅100mm、厚み0.20mmのサイズを有し、透明であった。このシートの総延伸倍率は27倍であり、線膨張係数は、−1.5×10−5であり、この延伸シートの融点[DSC(示差走査熱量計)におけるピーク温度]は135℃であった。
【0169】
(3) 局所融解
実施例3、4、5においては、上記のようにして得たポリオレフィン系樹脂延伸シートを、3m/分の回転速度で回転しかつ表面温度が180℃とされた第1のロールと、同じ速度で回転しかつ表面温度が50℃とされた第2のロールとの間を、圧力が100kg/cm2となるようにして通過させ、連続的に圧縮した。その結果、延伸シートの第1のロールに接触している面が融解処理された。次に、同様の方法で、延伸シートの反対側の面も処理することにより、両面が融解処理された延伸シートを得た。
【0170】
(4) 合成樹脂フィルム積層延伸シート
実施例3、4、5においては、表面温度を160℃とした第1のロールと、表面温度を50℃とした第2のロールをそれぞれ3m/分で回転させ、前工程(3)で得られた延伸シートの上に、後述する厚み60μmの合成樹脂フィルムを重ね合わせ、この重ね合わせ体を合成樹脂フィルムが第1ロールに接するようにして、2つのロールとの間を、圧力が100kg/cm2となるようにして通過させ、連続的に積層を行い、合成樹脂フィルム積層延伸シートを得た。
【0171】
(5) 延伸シートの評価
上記延伸シートの線膨張係数および引張弾性率の測定は次の方法で行った。
【0172】
・線膨張係数:
サンプルに約150mm間隔の標線を記入した後、サンプルを5℃の恒温槽中で1時間放置し、標線間距離を5℃の状態で測定した。次いで、サンプルを80℃の恒温槽中で1時間放置した後、同様に標線間距離を測定した。この操作を3回繰り返し、2回目と3回目の5℃と80℃の各標線間距離の平均を求め、下記の式により線膨張係数を計算した。
【0173】
【数1】
・引張弾性率:
JIS K 7113の引張試験方法に準じて、引張弾性率を測定した。
【0174】
合成樹脂フィルムの調製
低密度ポリエチレン(三菱化学社製、「LC600A」、MFR;7、融点;107℃)を二軸押出機にて樹脂温度180℃で溶融混練し、Tダイにてシート状に押出し、冷却ロールで冷却し、厚み60μm、幅100mmの合成樹脂フィルムを得た。
【0175】
iii)積層複合体の製造
(1) シートまたはフィルムの重ね合わせ
実施例2において、図3に示すように、各材料シートまたはフィルムを上から重ね合わせ、延伸シート(4) /合成樹脂フィルム(5) /合成樹脂含浸発泡体シート(6) /合成樹脂フィルム(5) /延伸シート(4) からなる重ね合わせ体を得た。
【0176】
実施例1、3〜5、比較例1〜3においても、以下に記すように、各材料シートまたはフィルムを上から重ね合わせた。また、積層複合体の上下面に来る複数枚の延伸シートは、延伸方向が発泡体シートを挟んで面対称になるように配した。
【0177】
実施例1:延伸シート/合成樹脂フィルム2枚/発泡体シート/合成樹脂フィルム2枚/延伸シート
実施例2:延伸シート/合成樹脂フィルム/合成樹脂含浸発泡体シート/合成樹脂フィルム/延伸シート
実施例3:合成樹脂フィルム積層延伸シート/合成樹脂フィルム/発泡体シート/合成樹脂フィルム/合成樹脂フィルム積層延伸シート
実施例4:合成樹脂フィルム積層延伸シート/合成樹脂含浸発泡体シート/合成樹脂フィルム積層延伸シート
実施例5:合成樹脂フィルム積層延伸シート(0°)/合成樹脂フィルム積層延伸シート(90°)/合成樹脂含浸発泡体シート/合成樹脂フィルム積層延伸シート(90°)/合成樹脂フィルム積層延伸シート(0°)
比較例1:後述する160℃に加熱後の延伸シート/面材なし発泡体シート/160℃に加熱後の延伸シート
比較例2および3:延伸シート/合成樹脂フィルム2枚/発泡体シート/合成樹脂フィルム2枚/延伸シート
(2) 加熱・加圧・冷却
実施例1〜5においては、上記重ね合わせ体を、ハンドプレス機を用いて上下から120℃(実施例1では110℃でも)で加熱し、発泡体シートに0.4mm(5%)の圧縮歪みが加わるように、圧力をかけて、2分間プレス成形を行った。その後水冷プレスで同じく5%の圧縮歪みが生じるように圧力をかけて、重ね合わせ体を冷却固化して積層複合体を得た。
【0178】
実施例6は、実施例1で使用した延伸シートのうち、延伸工程において9倍にロール圧延したシートを使用した。また、プレスによる積層時、延伸シートの両端をクリップし、シート配向方向に0.5kgf/1cmの張力をかけた状態で加熱積層したこと以外は同じである。結果、良好な積層複合体を得た。
【0179】
実施例7は、実施例1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シートに代えて、アクリル発泡体樹脂(Rohm社製、Rohacell発泡倍率20倍、熱変形温度130℃)を使用し、貼り合わせに使用する合成樹脂フィルムとして、積水フィルム(株)社製SEBSフィルムCS-Sを使用した。貼り合わせの構成および加熱温度は実施例1と同じにした。
【0180】
実施例8は、実施例1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シートに代えて、熱可塑性樹脂プラスチック中空体(スミカプラステック社製 サンプライ 厚み7mm)を使用し、貼り合わせに使用する合成樹脂フィルムとして、タマポリ社製、VLDPEフィルムSE605Mを使用した。貼り合わせの構成および加熱温度は実施例1と同じにした。
【0181】
比較例1においては、延伸シートをクリップで固定し、160℃に加熱されたオーブンに2分間放置した。延伸シートは全体に収縮し、一部融解していた。この延伸シートをオーブンから取り出し、即座に同延伸シートで上記面材なし発泡体シートをサンドイッチし、ハンドプレス機を用いて上下から50℃で加熱し、面材なし発泡体シートに5%の圧縮歪みが生じるように圧力をかけ、2分間放置し、積層複合体を得た。この積層複合体の表面は、凹凸が無数生じ、平滑ではなかった。
【0182】
比較例2および比較例3においては、上記のような厚み制御を圧力制御方法に切り替え、0.8MPaの圧力で、比較例2を110℃、比較例3を120℃として、実施例1と同様の方法で、加熱加圧、冷却加圧を行い、積層複合体を得た。
【0183】
比較例4は、実施例6のうち、プレスに加熱積層時、張力をかけずに積層した。その結果、シートは収縮し、積層複合体の表面は、凹凸が無数に生じ、平滑でなかった。
【0184】
(3) 積層複合体の評価
得られた積層複合体を下記の項目について評価した。
【0185】
・厚み
ノギスを用いて積層複合体の厚みを測定した。
【0186】
・曲げ強度、曲げ弾性率:
JIS K 7203に基づき、試験速度10mm/分で曲げ弾性率および曲げ強度を測定した。方向性のあるサンプルは延伸方向でのみ測定をした。
【0187】
・線膨張係数
前述した方法と同様にして線膨張係数を求めた。方向性のあるサンプルは延伸方向でのみ測定をした。
【0188】
実施例および比較例の構成および評価結果を表1にまとめて示す。
【0189】
【表1】
【0190】
表1から明らかなように、実施例1〜8で得られた積層複合体は、延伸シートが収縮することなく、また発泡体が座屈することのないものであり、比較例1と比較して、曲げ強度、曲げ弾性率が大きく、高強度な積層複合体であり、また線膨張係数が小さくなり、寸法安定性の良いものである。なお、実施例1は、接着剤層として合成樹脂をフィルムの形式で介在させている点で、請求項1および2に対応し、実施例2は、接着剤層として合成樹脂を発泡体に含浸させる形式で介在させている点で、請求項3および4に対応し、実施例3は、接着剤層として合成樹脂をフィルムの形式で介在させている点(実施例1との相違点は、2枚のフィルムのうちの1枚を延伸シートにラミネートしている点)で、請求項1および2に対応し、実施例4は、接着剤層として合成樹脂を発泡体に含浸させる形式で介在させている点(実施例2との相違点は、含浸用でない方の合成樹脂フィルムを延伸シートにラミネートしている点)で、請求項3および4に対応し、実施例5は、接着剤層として合成樹脂を発泡体に含浸させる形式で介在させている点(実施例4との相違点は、延伸シートが1軸1枚から直交2枚に変更されている点)で、請求項3および4に対応し、実施例6は、実施例1に対して収縮開始温度および張力の有無において異なるという点で、請求項5に対応し、実施例7および8は、接着剤層として合成樹脂をフィルムの形式で介在させている点(実施例1との相違点は、発泡体シートの素材)で、請求項1および2に対応している。
【0191】
また、実施例1〜8では、発泡体シートの圧縮歪み量で加圧量を制御するため、加熱温度等が変化しても、圧力制御を行う比較例3と比較して、厚みが均一な積層複合体が製造できる。比較例2および3は、「圧力制御方式」であり、比較例3は、加熱温度が110℃から120℃とされている点で比較例2と相違している。この相違点は、実施例1の左欄のもの(加熱温度が110℃)と右欄のもの(加熱温度が120℃)との相違点と同様の関係にある。比較例2の「圧力制御方式」によると、実施例1の「厚み制御方式」と同じシートおよび同じ合成樹脂を使用することで、ほぼ、同じ特性の積層複合体を得ることができる。しかしながら、「圧力制御方式」において加熱温度を120℃とした比較例3によると、発泡体の圧縮量が大きく(厚みが薄く)なって、曲げ強度が低下している。これに対し、実施例1の右欄のものは、実施例1の左欄のものと(比較例3と同様に)加熱温度が110℃から120℃となっている点で相違しているものの、厚み制御としているので、発泡体の圧縮歪みは同じであり、曲げ強度については増加している。このことから、厚み制御方式は、加熱温度が変化した場合でも好ましい特性を維持できる点で、圧力制御方式よりも優れていることが分かる。また、比較例4は、実施例6と同じシートおよび合成樹脂を使用するとともに、実施例6で付与されているシート張力を付与しなかったもので、比較例1と同様に、曲げ強度および曲げ弾性率が小さいものとなっている。これは、実施例6および比較例4のものでは、延伸シートの収縮開始温度が105℃と他の実施例のものに比べて低く、収縮開始温度が積層時の加熱温度よりも低くなっているためで、これを他の実施例と同じ条件で加圧すると、比較例4のようになってしまうところ、実施例6では、シートへ張力を付与することで、収縮開始温度が低いことに伴う欠点が解消されている。
【0192】
【発明の効果】
請求項1および2の発明によれば、発泡体シートおよび延伸シートを構成するポリオレフィン系樹脂を融解させることなく、接着用の合成樹脂またはゴムのみを融解させることが可能となり、発泡体シートおよび延伸シートをその物性を損ねることなく積層することができる。
【0193】
請求項3および4の発明によれば、該合成樹脂またはゴムを均一に被着体に浸透させることができ、短時間の加圧でも充分な接着力が得られる。
【0194】
請求項5の発明によれば、積層を容易に行うことができる。
【0195】
請求項6の発明によれば、安定した積層複合体を得ることができる。
【0196】
請求項7の発明によれば、軽量で高剛性の積層複合体が得られる。
【0197】
請求項8の発明によれば、接着用の合成樹脂またはゴムが延伸シートに相溶しやすく、投錨効果により接着しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A) は紡錘形セルの概略斜視図、図1(B) は図1(A) 中のz方向に平行な断面の一部の拡大概略図である。
【図2】 図2はポリオレフィン系樹脂からなる発泡体シートの圧縮試験の応力−歪み(S−S)カーブを示すグラフである。
【図3】 図3は実施例2における重ね合わせ体を示す斜視図である。
【符号の説明】
(1) :発泡体シート(シート状芯材)
(2) :断面
(3) :セル
(4) :延伸シート
(5) :合成樹脂フィルム
(6) :合成樹脂含浸発泡体シート
Claims (8)
- 密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材と延伸シートの間に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを介在させ、重ね合わせ前または後に、該合成樹脂またはゴムを、その流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法。 - 密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材と延伸シートの間に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムからなるシートまたはフィルムを介在させ、得られた重ね合わせ体を該合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法。 - 密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、
芯材および/または延伸シートの接着すべき面に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを塗布または含浸し、芯材および延伸シートの重ね合わせ前または後に、該合成樹脂またはゴムを、その流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法。 - 密度が30〜300kg/m3のシート状芯材の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを積層する製造方法において、芯材および/または延伸シートの接着すべき面に、芯材の熱変形温度および延伸シートの融点よりも低い流動開始温度を有する接着用の合成樹脂またはゴムを塗布または含浸し、芯材と延伸シートを該塗布または含浸面にて重ね、得られた重ね合わせ体を該合成樹脂またはゴムの流動開始温度以上でかつ芯材の熱変形温度および延伸シートの融点以下に加熱すると同時にもしくはその後、芯材の圧縮歪みが圧縮弾性領域範囲内にあるように、重ね合わせ体の厚みを制御して重ね合わせ体を加圧することを特徴とする積層複合体の製造方法。
- 加熱した際の延伸シートの収縮開始温度が、積層時の加熱温度より低い場合、シートの配向方向に対し0.1〜3kgf/1cm幅の張力をシートにかけながら、積層することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層複合体の製造方法。
- シートの延伸倍率が5〜40倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層複合体の製造方法。
- 芯材が、内在するセルのアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0の樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層複合体の製造方法。
- ポリオレフィン系樹脂延伸シートとして、その接着すべき面が少なくとも局所的に同樹脂の融点より10℃以上高い温度で加熱融解されるかもしくは同面が粗面化された延伸シートを用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の積層複合体の製造方法。
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