JP4132627B2 - ポリオレフィン系強化複合体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系強化複合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系強化複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、構造部材、建材、土木資材、自動車部材といった高剛性、高強度が要求される部材には、主として鋼材が用いられてきた。近年、この種の部材の軽量化を果たす手段として合成樹脂をガラス繊維で強化してなる複合材料、所謂FRPやFRTPが使用されている。しかしながら、FRPやFRTPを用いた部材では、ガラス繊維を含むためリサイクルが困難であるという問題があった。また、焼却炉により焼却を行う場合には、焼却温度を高くする必要があり、更に残差としてスラグが発生し焼却炉の寿命が短くなるという問題もある。
【0003】
上記問題から、ガラスを全く使用しない延伸ポリオレフィン樹脂を強化材とした複合材が提案されつつあるが、このような複合材はリサイクル性が向上する反面、その製造方法が難しくなる。即ち、熱可塑性樹脂同士を接着するために熱融着方法が一般的に使用されるが、この際に過剰に熱をかけると延伸が緩和し、十分な機械物性を発現出来なくなるからである。
【0004】
他方、強化材を発泡体と組合わせ、複合体を軽量化する手法が一般的に用いられる。例えば、特開平5−77236号公報では、強化材である連続モノフィラメントよりなる強化繊維束を粉体状発泡性熱可塑性樹脂に付着させ、粉体状発泡性熱可塑性樹脂の発泡温度未満の温度でそれらを加熱加圧し一体化後、発泡開始温度以上で加熱し繊維複合体を得る方法が提案されている。
【0005】
しかし、前記問題により延伸ポリオレフィン系樹脂を強化材とする場合には、延伸ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱することが出来ず、前記方法を適応することが出来なかった。又、延伸ポリオレフィン樹脂の融点以下で積層一体化する場合には、発泡体の厚みムラがあると強化材と十分な接着を行えない部分が発生し、機械強度を十分発現せず部材として使えないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記問題を鑑み、延伸ポリオレフィン系シートの物性を損なう事なく容易に製造出来また、成形した発泡体の圧縮特性を低下させる事なく積層一体化する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値が1.1〜5を有するポリオレフィン系発泡シートの一面であって、前記シート厚みの1〜10%に該当するシート表層部分を、シート表面側から加熱により溶融または軟化させ、内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値が1.0以下になる状態とし、前記溶融または軟化された発泡シートの一面に、熱接着性樹脂層を介して延伸ポリオレフィン系シートを貼合わせ積層一体化することを特徴とするポリオレフィン系強化複合体の製造方法である。
【0008】
上記ポリオレフィン系発泡シート(以下、発泡シート)の原料樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂であれば特に限定されるものではなく例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等のポリプロピレン;ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレン成分を主成分とする共重合体等が挙げられる。上記の中でも特にポリエチレンやポリプロピレンが特に好ましい。上記樹脂は、単独又は2種以上を併用出来る。
【0009】
上記原料樹脂には、上記ポリオレフィン系樹脂以外にも30重量%未満の範囲で、ポリスチレン、スチレン系エラストマー等の樹脂が配合されても良い。30重量%以上になると、ポリオレフィンの特徴である軽量性、耐薬品性、柔軟性、弾性等が発揮出来ないばかりか、発泡に必要な溶融粘度を確保することが困難となる場合がある。
【0010】
上記原料樹脂には、発泡前の原反シートの架橋が低い場合でも常圧で発泡がし易くなるという点で、ジオキシム化合物、ビスマレイミド、ジビニルベンゼン、アクリル系多官能モノマー、キノン化合物等が配合されている方が好ましい。
【0011】
本発明における発泡シートを得る手段としては、化学発泡により得られるものと、物理発泡により得られるものが挙げられる。化学発泡の手段としては、加熱により分解ガスを発生する熱分解型化学発泡剤を予め、上記ポリオレフィン系樹脂に分散させて置き、一旦シート状の発泡原反(以下、発泡性シート)に賦形した後、加熱して発泡剤より発生するガスにより発泡させる方法が挙げられる。
【0012】
上記熱分解型化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。
【0013】
上記物理発泡の手段としては、高圧下でポリオレフィン系樹脂に発泡剤を一旦溶解し、それを常圧下に置く際に発生するガスにより発泡させる方法が挙げられる。上記発泡剤としては水、二酸化炭素、窒素、有機溶剤等が挙げられる。
【0014】
上記発泡シートに内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyは、1.1〜5である。上記Dz/Dxyは、ポリオレフィン系発泡シート中の気泡(セル)における定方向最大径の比の平均値であり以下のように定義される。上記発泡シートの厚み方向(Z方向)に平行な任意な断面の10倍の拡大写真をとり、無作為に選ばれる少なくとも50個の気泡の定方向最大径を、以下の2方向で測定し、個数平均値を算出する。その概念図として図1に示した。
Dz :発泡シート中の気泡でZ方向に平行な最大径
Dxy:発泡シート中の気泡でZ方向に垂直な最大径
【0015】
Z方向に配向している紡錘形状のセルを持つ発泡体は、Z方向からの圧縮力に対して、弾性変形領域内では高剛性に物体として機能するが、圧縮降伏応力を超える荷重を及ぼすと、セルが座屈するため圧縮弾性率、圧縮強度が極端に低下し、構造体として機能しなくなる。また、セルが圧縮方向に配向することにより、圧縮強度・弾性率が、そのアスペクト比は1.1〜5以下であり、好ましくは、1.3〜3以下である。アスペクト比が1.1を下回ると気泡がほぼ球形となり、紡錘形状に起因する圧縮特性の向上が得られず、結果として部材としての曲げ強度・曲げ弾性率が低下する。又、5を超えるセルの製造はポリオレフィン系樹脂に過度の変形を生じさせるので非常に困難になる。
【0016】
又、上記発泡シートの密度としては、0.05〜0.5g/ccが好ましい。0.05g/cc未満になると気泡のセル厚みが薄くなり、圧縮強度が低下し、0.5g/ccを超えると軽量部材としての使用が困難となる上に、コストが高くなり実用的でない。
【0017】
本発明に用いられる延伸ポリオレフィン系シート(以下、延伸シート)の原料樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂であれば特に限定されないが例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、1ーブテン、1ーペンテン等の単独重合体等が挙げられるが、高密度ポリエチレンが物性の向上という点で好ましい。
【0018】
上記高密度ポリエチレンを用いる場合、延伸した際、強度及び弾性率の向上という点で、密度は0.94g/cm3 以上のものが好ましい。又、メルトインデックス(MI)は0.1〜10が好ましく、より好ましくは1〜7である。
MIが0.1より小さいと押出機等の成形機に負担がかかり、10より大きくなると成形が困難になる。上記ポリオレフィンは単独で使用しても良いし、他のポリオレフィン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等を併用しても良い。
【0019】
上記ポリオレフィン原料樹脂を押出機等で溶融成形する場合、その溶融成形温度は、130℃以上、より好ましくは140℃以上である。溶融成形温度が130℃未満の場合には、ポリオレフィン樹脂の溶融が不完全となり押出機等の成形機に負担がかかる。又、あまり高温で溶融成形すると、ポリオレフィン原料樹脂が分解し変色等が発生したり分子量低下に伴う強度低下等を招く恐れがある。従って、溶融成形温度の上限は実質的に300℃以下である。
【0020】
上記方法により溶融させたポリオレフィン系樹脂は、通常は一旦、原反シートに成形するが、その成形方法は特に限定されず、通常のロール成形法やカレンダ成形法等を用いることが出来る。また,原反シートの厚みは特に限定されなく、原反シートの厚みが1mm以上の場合、延伸工程前に圧延処理を行うことが好ましい。
【0021】
上記圧延処理は、一対の互いに反対方向に回転する圧延ロールのクリアランスを上記原反シートの厚みよりも狭くし、圧延ロール間に原反シートを挿入し、該シート厚みを減少させると共に、長さ方向に伸長することにより行われる。上記圧延工程における圧延ロールの温度が低過ぎると均一な圧延が困難となり、高過ぎるとシートが圧延中に溶融切れする恐れがあるので、圧延ロール温度は、70〜125℃が好ましく、さらに好ましくは90〜120℃である。
【0022】
圧延倍率が低過ぎると、圧延効果が発現出来ないばかりでなく後の延伸工程に負担がかかる。逆に、圧延倍率が大き過ぎると均一な圧延が困難となるばかりでなく圧延後のシート厚みが薄くなり過ぎて、後の延伸工程中に該シートが切断する恐れがあるので、圧延倍率は2〜12倍が好ましい。尚、ここでの圧延倍率とは次式により定義されるものである。
圧延倍率=(原反シートの厚さ)/(原反シートの圧延後の厚さ)
【0023】
上記原反シートや圧延シートはその後、延伸処理が施されるが特別な装置を必要とせず、延伸倍率の制御も容易で生産性の良いという点でロール延伸法が好ましく挙げられる。その際のシートの加熱方法は、熱風加熱、熱水加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱等があるが、その中でも装置が簡便で温度制御も容易な点で、熱風加熱が好ましい。又、延伸温度は、50℃〜原料樹脂融点までの範囲が好ましい。
【0024】
尚、上記融点とは、示差走査型熱量測定機(DSC)等の熱分析に懸けた際に見られる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。融点より高い温度では延伸による強度向上効果があまり得られず、シートが延伸切れを起こす恐れがある。また、総延伸倍率としては、10倍以上が好ましく、より好ましくは20倍以上である。総延伸倍率が10倍未満ではシートの強度および弾性率の向上が望めない。尚、上記総延伸倍率とは次式により定義されるものである。
総延伸倍率=(原反シートの断面積)/(シートの延伸後断面積)
【0025】
本発明で用いる熱接着性樹脂は、上記発泡シートと延伸シートを積層一体化させるためのもので、上記延伸シートより融点が低く、加熱により接着性を発現しうる熱可塑性樹脂が挙げられ例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの単独重合体等のポリオレフィン類;これらポリオレフィン樹脂に酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、アクリル酸、マレイン酸等が共重合されたポリマー類等が挙げられるが、接着性の良さという点で、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、酢酸ビニル等が好ましい。上記熱接着性樹脂は一旦、シート状にして用いるのが製造上好ましい。又、熱接着性樹脂層の厚みとしては、5μm〜100μmが好ましい。5μm未満になると接着性が低下するし、100μmを超えると複合体として強度が低下する。
【0026】
上記熱接着性樹脂は、熱接着性樹脂の融点が低過ぎると耐熱性が低下する恐れがあり、高過ぎると延伸シートの配向が緩和する恐れがあり、積層一体化工程が困難になるので、好ましくは延伸シートの融点に対し40〜5℃低い範囲が好ましく、より好ましくは30〜10℃低い範囲である。上記融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)等の熱分析に懸けた際、みられる結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点である。
【0027】
本発明においては、強化材である上記延伸シートを、上記発泡シートに均一に積層一体化するため、上記発泡シートの一面において、上記発泡シート厚の1〜10%に該当する表層部分を加熱により溶融または軟化させる。より好ましくは、2〜8%である。溶融又は軟化する厚みが1%未満の場合には、均一に接着出来ず接着されていない部分が生じ、10%を超えると得られる複合体が十分な曲げ物性を発現出来ない恐れがあり、全体密度も高くなってしまう。
【0028】
尚、上記発泡シートの一面とは、シートの片面又は両面を意味する。
又、上記発泡シートにおける溶融又は軟化は、発泡シートに内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値が1.0以下になる状態にする。
【0029】
上記溶融又は軟化させる方法としては、赤外線加熱又は接触加熱が好ましい。上記赤外線の波長領域としては、0.1μm〜50μmが好ましい。上記接触加熱とは加熱された熱板、金属ロール等の熱伝達の良い部材を介して被加熱体を伝熱により加熱する方法である。このときの加熱温度は、成形速度に応じて150〜300℃程度が通常良く用いられる。上記加熱方法を用いることにより、発泡シートの表層部分のみを効率的かつ選択的に溶融又は軟化することが出来る。
【0030】
本発明では、上記溶融または軟化された発泡シートの一面に上記熱接着性樹脂層を介して延伸シートを貼合わせ積層一体化する。上記熱接着性樹脂層は、一旦、熱融着性樹脂のシート状物とし、それを発泡シートと延伸シートの間に挟み、貼合わせて積層する方法が挙げられる。
【0031】
上記積層一体化の具体的方法として、熱ラミネート方法や熱プレス成形方法が挙げられる。上記熱ラミネート方法は、加熱温調された一対のロール間に上記発泡シート、熱融着性樹脂シート、延伸シートの積層物を挿入し、ロールにより加圧一体化する。上記熱プレス成形は、加熱温調された上下型内に上記同様の材料を投入し、加圧しつつ型締めを行う。これら成形法を用いる際、成形速度を向上させる為に、延伸シートを予め加熱して置いても良く、その加熱温度は該延伸シートの融点より5℃以下の温度が好ましい。
【0032】
又、上記熱接着性樹脂のシート状物は、熱接着性樹脂組成物を溶融してTダイ法やインフレーション法による押出成形することにより得られる。上記熱接着性樹脂層の厚みは、積層する延伸シートの厚みによるが、10〜100μmが好ましい。厚みが10μm未満では、接着性が不足し、100μmを超えると強度・剛性が不足する恐れがある。
【0033】
延伸シートと発泡シートの積層構成としては、用途に応じて延伸シートの延伸方向軸と同方向に発泡シートを積層しても良いし、延伸方向軸とに対し30〜90゜の範囲で角度を持たせて良い。また、前記の方法で発泡シートの片面又は両面に熱接着性樹脂層を介して延伸シートを積層一体化する。
【0034】
(作 用)
本発明の方法により、過剰な熱を加えないため延伸シートの引張特性を損なうことなく、また発泡シートの表面部分を効率的にかつ選択的に溶融又は軟化させ、発泡シートに内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値が1.0以下になる状態とすることにより、発泡シートの内部に過剰な圧力がかからないため、圧縮特性を損なわずに積層一体化を行うことが出来る。特に、積層一体化する際、発泡シート表面の加熱方法を赤外線加熱、接触加熱方法にすることで、より効率的にかつ選択的に溶融軟化させる事が出来、より圧縮特性の高い強化複合体を得ることが出来る。
【0035】
【発明の実施の形態】
(1)ポリオレフィン系樹脂
ポリプロピレンランダム共重合体(日本ポリケム製;EX6、MI=1.8、密度0.9g/cm3 )100重量部、ジビニルベンゼン0.5重量部を、2軸スクリュー押出機(プラスチック工学研究所製、BT40)内に注入し、これらを溶融混和してポリオレフィン系樹脂を得た。この際、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空引きした。上記溶融混和によって得られた変性樹脂をストランドダイから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断してポリオレフィン系樹脂のペレットを得た。
【0036】
(2)発泡性ポリオレフィン系樹脂シート
上記で得られたポリオレフィン系樹脂に、ホモタイプポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品名「FY4」、MI5.0、密度0.9g/cm3 )、及びアゾジカルボンアミドを各々、100重量部、100重量部、1重量部、発泡剤混練用2軸スクリュー押出機(TEX−44型、日本製鋼所製)を用い、供給混連によりTダイより押出して厚み0.8mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0037】
(3)ポリオレフィン系発泡シート
上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを、上記発泡剤(アゾジカルボンアミド)の分解温度以上で加熱炉により加熱することにより、厚み約2cmのポリオレフィン系発泡シート5を得た。
【0038】
(4)延伸ポリオレフィン系シート
重量平均分子量3.3×105 、融点135℃の高密度ポリエチレン(日本ポリケム製、グレード:HY540)を2軸混練押出機(池貝鉄鋼社製、PCM30)を用いて、約200℃で溶融混練し、ロール温度を90℃に制御したカレンダ成形機にて、幅70mm、厚さ2.4mmのシートに成形して巻取った後、120℃に加熱した6インチ径ロールを用いて10倍に圧延した。得られた延伸原反を、100℃に温調した熱風式縦一軸延伸機にて総延伸倍率25倍に延伸成形を行い、厚み0.2mm、幅約35mmの延伸ポリオレフィン系シート6を得た。前記延伸シートに融点110℃の低密度ポリエチレン樹脂製、30μm厚みの熱接着性樹脂シートを、熱ラミネート装置で130℃にて積層一体化した。
【0039】
(実施例1)
図2に示した成形装置を用いて、250℃に加熱された遠赤外線ヒーター4により発泡シート5を30秒加熱し、120℃に加熱された延伸シート6と積層し、120℃に加熱温調されたラミネートロール7により一体化し空冷により冷却し、引取ロール8により引き取って、ポリオレフィン系強化複合体9を得た。
上記発泡シートの気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値を測定したところ、表面から0.4mmまでのアスペクト比は1.0以下であり、0.4mm以上の深部ではアスペクト比は1.5〜2.5であった。また、延伸シートと発泡シートの剥離試験を行ったところ、発泡シートが破壊した。
【0040】
(実施例2)
図3に示した成形装置を用いて、200℃に加熱温調された金属製ロール11により発泡シート5の表面を接触加熱処理した以外は、実施例1と同様にして、ポリオレフィン系強化複合体9を得た。得られた発泡シートの気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値を測定したところ、表面から0.4mmまでのアスペクト比は1以下であり、0.4mm以上の深部ではアスペクト比は、1.8〜2.5であった。又、延伸シートと発泡シートの剥離試験を行ったところ、発泡シートが破壊した。
【0041】
(比較例1)
図4に示した成形装置を用いて、発泡シート5を150℃に加熱温調した熱風炉10により加熱した以外は、実施例1と同様の方法にて、ポリオレフィン系強化複合体9を得た。上記発泡シートの気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値を測定したところ、表面から0.2mmまでのアスペクト比は1.5であり、0.2mm以上の深部ではアスペクト比は1.9〜2.5であった。又、得られたポリオレフィン系複合体における延伸シートと発泡シートの剥離試験を行ったところ、延伸シートと発泡シートの界面が容易に剥離する部分が多数存在した。
【0042】
(比較例2)
熱風炉10で250℃に加熱した以外は、比較例1と同様にして発泡シートを得た。この発泡シートの気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値を測定したところ、表面から3.0mmまでのアスペクト比は1以下であり、3.0mm以上の深部ではアスペクト比は1.1〜1.5であった。また、得られたポリオレフィン系複合体における延伸シートと発泡シートの剥離試験を行ったところ、発泡シートが破壊した。
【0043】
実施例1〜比較例2について
曲げ弾性率 (JIS K7056、FRPの3点曲げ試験)
圧縮弾性率 (JIS K7181、プラスチック圧縮特性の試験)
延伸シートと発泡シートの剥離強度(JIS Z0238、T型剥離試験)
以上の試験方法に従って各性能の確認を行った。
【0044】
【表1】
Figure 0004132627
【0045】
【発明の効果】
上述のように本発明の方法によると、ポリオレフィン系樹脂の材料を使用することでリサイクル性が容易で、且つ軽量・高曲げ弾性率、高曲げ強度の部材を簡便な成形方法により得ることが出来る。しかも、本発明により得られる強化複合体は、延伸シートと発泡シートとの接着性が十分なので剥がれることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強化複合体における発泡シートの説明図。
【図2】本発明の実施例1で使用した成形装置を示す概念図。
【図3】本発明の実施例2で使用した成形装置を示す概念図。
【図4】比較例1、及び2で使用した成形装置を示す概念図。
【符号の説明】
1、5 ポリオレフィン系発泡シート
2 ポリオレフィン系発泡シートの断面
3 ポリオレフィン系発泡シート断面における気泡
4 赤外線ヒータ
6 延伸ポリオレフィン系シート
7 ラミネートロール
8 引取ロール
9 ポリオレフィン系強化複合体
10 熱風加熱炉
11 加熱温調された金属製ロール

Claims (2)

  1. 内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値が1.1〜5を有するポリオレフィン系発泡シートの一面であって、前記シート厚みの1〜10%に該当するシート表層部分を、シート表面側から加熱により溶融または軟化させ、内在する気泡のアスペクト比、Dz/Dxyの平均値が1.0以下になる状態とし、前記溶融または軟化された発泡シートの一面に、熱接着性樹脂層を介して延伸ポリオレフィン系シートを貼合わせ積層一体化することを特徴とするポリオレフィン系強化複合体の製造方法。
  2. 上記ポリオレフィン系発泡シートの表面加熱方法が、赤外線加熱、又は接触加熱である請求項1記載のポリオレフィン系強化複合体の製造方法。
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