JP3882856B2 - α−フルオロ−β−ケトエステルの製造方法 - Google Patents

α−フルオロ−β−ケトエステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−フルオロ−β−ケトエステルの新規な製造方法に関する。また、本発明は、新規な環状α−フルオロマロン酸エステルを提供する。
【0002】
【従来の技術】
α−フルオロ−β−ケトエステルは、医薬品、農薬の中間体として、また様々な機能性材料の原料または中間体として有用な化合物である。たとえば、β−ケトエステル化合物のうちマロン酸エステルは、塩基で処理した後にアルキル化して、ついで脱炭酸を行うことにより、種々のアルキル置換カルボン酸誘導体へ導くことができる。アルキル置換カルボン酸誘導体は、種々の機能性材料の中間体として応用される有用な化合物である。
【0003】
また、マロン酸の2つのカルボキシル基をメチレン基を介して結合させて6員環にした化合物、すなわち1, 3−ジオキサン−4, 6−ジオン類は、医薬品、農薬の合成中間体として有用であり、なかでも2, 2−ジメチル−1, 3−ジオキサン4, 6−ジオン(メルドラム酸)は、C32 のビルディングブロックとして知られている。
【0004】
一方、医薬品や農薬のような生理活性物質の化合物中にフッ素原子を導入して、生理活性を高めたり、副作用を低減させる試みがなされており、実際に上市された例もある。
【0005】
マロン酸化合物等のβ−ケトエステル化合物のα位の活性メチレン炭素の水素原子をフッ素原子で置換してα−フルオロ−β−ケトエステルとする試みは、数多く報告されている。
たとえば(1)マロン酸ジエステルとFClO3 との反応、(2)マロン酸ジエステルを塩基で処理した後、XeF2 と反応させる方法(J.Fluorine Chem.,39,1988,415)、(3)マロン酸ジエステルを、N−フルオロピリドンと反応させる方法(J.Org.Chem.,48,1983,761) 、(4)マロン酸ジエステルをフルオロピリジニウムトリフルオロメタンスホナートと反応させる方法(J.Am.Chem.Soc.,112,1990,8563)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来の方法は、フッ素化剤の取扱いが困難であり、また、反応に用いる試薬が高価で入手しにくい問題があった。さらに、反応に用いる試薬を別途調製しなければならない欠点もあった。
【0007】
課題を解決するための手段】
本発明者らは、出発物質としてマロン酸エステル等のβ−ケトエステル類の活性メチレン基がヒドロキシメチレン化されたα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステルを選択し、また、フッ素原子源として安価なフッ素ガスを採用し、両者を反応させると効率的にα−フルオロ−β−ケトエステルを製造できることを見いだし本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、下式1で表されるα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステルをフッ素ガスと反応させることを特徴とする下式2で表されるα−フルオロ−β−ケトエステルの製造方法を提供する。
【0009】
ただし、式1および式2において、R1 は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルアルキル基を示し、R2 は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基を示す。また、R1 およびR2 は連結して6員環、または、6員環と他の環構造からなるスピロ環を形成していてもよく、該6員環に含まれる水素原子は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基に置換されていてもよい。
【0010】
【化8】
Figure 0003882856
【0011】
【化9】
Figure 0003882856
【0012】
なお、以下において、式1で表されるα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステルをα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)とも記載する。他の化合物についても同様に記載する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、「アルキル基」とは、炭素原子と水素原子からなりヘテロ原子を含まない狭義のアルキル基を意味する。また、「アルアルキル基」は、炭素原子と水素原子からなりヘテロ原子を含まない狭義のアルアルキル基を意味する。
【0014】
本明細書における「炭素数1〜12のアルキル基」としては、炭素数が1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖でってもよい。炭素数1〜12のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0015】
本明細書おける「アルアルキル基」としては、炭素数7〜12のものが好ましく、ベンジル基、フェネチル基、炭素数1〜3のアルキル基で置換されたベンジル基などが挙げられる。炭素数1〜3のアルキル基で置換されたベンジル基の例としては、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0016】
本明細書における「ヘテロ原子を含むアルキル基」としては、アルキル基の炭素−炭素単結合間にヘテロ原子が挿入された基、ケトン基に結合するアルキル基の末端炭素原子にヘテロ原子が結合した基、ケトン基に結合するアルキル基の末端炭素原子に低級アルキル置換ヘテロ原子が結合した基、アルキル基の水素原子の1個以上がヘテロ原子を含む基に置換された基等が挙げられる。
【0017】
本明細書における「ヘテロ原子を含むアルアルキル基」としては、アルアルキル基の炭素−炭素結合間にヘテロ原子が挿入された基、ケトン基に結合するアルアルキル基の末端炭素原子にヘテロ原子が結合した基、ケトン基に結合するアルアルキル基の末端炭素原子に低級アルキル置換ヘテロ原子が結合した基、アルアルキル基の水素原子の1個以上がヘテロ原子を含む基に置換された基等が挙げられる。
【0018】
ヘテロ原子を含むアルキル基およびヘテロ原子を含むアルアルキル基は、ヘテロ原子を1個以上含むのが好ましく、特に1個を含むのが好ましい。
ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、イオウ原子が好ましく、酸素原子はエーテル性の酸素原子(−O−)であるのが好ましく、窒素原子は第三アミンであるのが好ましく、イオウ原子はチオエーテル性のイオウ原子(−S−)であるのが好ましい。
【0019】
さらに、ヘテロ原子を含む炭素数1〜12のアルキル基、または、ヘテロ原子を含むアルアルキル基としては、下式7で表される基が好ましい。
【0020】
−(CH2n −X・・・式7
【0021】
ただし、式7において、nは0〜11の整数を示し、0、1、または2が好ましい。Xは、ヘテロ原子を含むアルキル基またはヘテロ原子を含むアルアルキル基を示し、−S−R10、−N(R11)(R12)、−OR13が好ましい。ここで、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ、炭素数(12−n)以下のアルキル基またはアルアルキルから選ばれる1種の基を示す。R11とR12は、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R11またはR12 少なくとも一方がアルキル基である場合には、R11とR12の炭素数の総和は1〜12である。
10〜R13の具体例としては、前記のアルキル基またはアルアルキル基と同様の例が挙げられる。
【0022】
式7で表される基の具体例としては、以下の基が挙げられる。
−OCH3 、−OCH2 CH3 、−O(CH23 CH3 、−CH2 OCH3 、−(CH22 OCH3 、−OCH265 、−OCH2 −C64 (CH3 )。
−SCH3 、−SH2 CH3 、−S(CH23 CH3 、−CH2 SCH3 、−(CH22 SCH3
−N(CH32 、−N(CH3 )(C25 )、−(CH2 )N(CH32 、−(CH22 N(CH32 、−N(CH3 )(CH265 )、−N(CH2652
【0023】
つぎに、α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル化合物(式1)について説明する。式1におけるR1 は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルアルキル基を示し、R2 は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基を示す。
また、R1 およびR2 は連結して6員環構造を形成していてもよく、6員環に含まれる水素原子の1個または2個は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基に置換されていてもよい。
式1におけるR1 は、ヘテロ原子を含む炭素数1〜12のアルキル基であるかR2 と連結して6員環構造を形成している場合が好ましい。
【0024】
また、式1におけるR2 は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基を示す。
α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)において、炭素−炭素二重結合に結合するヒドロキシ基の相対配置については、−COOR2 なる基に対してシスまたはトランスのいずれであってもよく、特に限定されない。また、式1の記載は、シスおよびトランスの両方の場合も含む記載である。α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式3)についても同様である。
α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)におけるR1 が炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基である場合の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0025】
2−メチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸メチル、
2−メチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸エチル、
2−メチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸プロピル、
2−メチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸ベンジル、
2−エチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸メチル、
2−エチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸ブチル、
2−エチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸ヘキシル、
2−イソプロピルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸メチル、
2−ベンジルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸メチル、
2−フェネチルカルボニル−3−ヒドロキシ−2−プロペン酸メチル。
【0026】
式1におけるR1 が、ヘテロ原子を含む基である場合、R1 は、エーテル性の酸素原子を含む炭素数1〜12のアルキル基、または、エーテル性の酸素原子を含むアルアルキル基が好ましく、特に、式7で表される基におけるnが0であり、Xが−OR13(R13は、前記と同じ意味を示す。)である基が好ましい。
さらに、R1 が、OR13である場合のα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)としては、式3で表されるα−ヒドロキシメチレンマロン酸エステルが好ましい。
ただし、式3におけるR3 およびR4 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、または、アルアルキル基を示す。
【0027】
【化10】
Figure 0003882856
【0028】
3 およびR4 は、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、置換基を有していてもよいベンジル基等が好ましい。
【0029】
α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
α−ヒドロキシメチレンマロン酸ジメチルエステル、
α−ヒドロキシメチレンマロン酸ジエチルエステル、
α−ヒドロキシメチレンマロン酸ジベンジルエステル、
α−ヒドロキシメチレンマロン酸ジ−t−ブチルエステル。
【0030】
また、α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)の他の好ましい態様は、R1 およびR2 が連結して6員環、または、6員環と他の環構造からなるスピロ環を形成している場合である。該6員環に含まれる水素原子は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基に置換されていてもよい。
【0031】
1 およびR2 が連結して6員環を形成している場合には、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基であるのが好ましく、特にエーテル性の酸素原子を含むアルキレン基となって6員環構造を形成している場合が好ましく、とりわけR1 およびR2 が−OC(R5 )(R6 )−となって6員環構造を形成している場合の、式5で表される環状α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステルが好ましい。
【0032】
【化11】
Figure 0003882856
【0033】
ただし、式5におけるR5 およびR6 は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基、または、アルアルキル基を示し、R5 およびR6 は連結して3〜7員環を形成していてもよい。R5 およびR6 が炭素数1〜12のアルキル基、または、アルアルキル基である場合には、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、または、置換基を有していてもよいベンジル基等が好ましい。R5 およびR6 は、炭素数1〜12のアルキル基である場合が好ましく、特に、いずれもがメチル基である場合が好ましい。
【0034】
また、R1 およびR2 が連結して6員環と他の環構造からなるスピロ環を形成している場合には、他の環構造は3〜7員環が好ましく、特に6〜7員環を形成しているのが好ましい。すなわち、[5.5]または[5.6]のスピロ環を形成しているのが好ましい。
1 およびR2 が連結してスピロ環を形成する場合には、上記のR5 およびR6 が連結して環を形成しているのが好ましく、R5 およびR6 が連結して6員環を形成するのが好ましい。
【0035】
環状ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式5)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
5−ヒドロキシメチレン−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、
5−ヒドロキシメチレン−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、
5−ヒドロキシメチレン−2,2−ジベンジル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、
3−ヒドロキシメチレン−1,5−ジオキスピロ[5.5]ウンデカン−2,4−ジオン。
【0036】
本発明の式1で表される化合物は公知の化合物であり、公知の方法で入手できる。たとえば、α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式3)は、マロン酸エステルとオルトギ酸トリメチルとを加熱還流条件下で反応させてα−メトキシメチレンマロン酸エステルとした後、塩化メチレンなどの有機溶媒中で10%塩酸を用いて処理することにより入手できる(G.A.Bihlmayer,G.Derflinger,Monatsh.Chem.,98,1967,564 、R.M.Coate,S.J.Hobbs,J.Org.Chem.,49,1984,140)。
【0037】
つぎに、本発明の製造方法をα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)をもって説明する。本発明においては、α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)とフッ素ガスとを反応させる。
反応に用いるフッ素ガスは、通常使用されているフッ素ガスを使用できるが、反応制御を容易にするには、窒素ガスなどの不活性ガスで希釈したものを用いるのが好ましい。不活性ガスで希釈した場合のフッ素ガス濃度は、0. 5〜20%が好ましく、特に1〜10%が好ましい。
【0038】
反応温度は、−78℃〜室温程度の温度範囲が好ましく、特に−50〜0℃の範囲が好ましい。また、反応時間は、0.1〜10時間が好ましい。
【0039】
α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)とフッ素ガスとの反応においては、α−位のヒドロキシメチレン基のフッ素原子への置換反応がおこり、式2で表されるα−フルオロ−β−ケトエステルが生成する。ただし、式2におけるR1 およびR2 は、式1における意味と同じである。
【0040】
本発明の反応は、無溶媒で実施しても溶媒の存在下に実施してもよい。
溶媒の存在下に実施する場合には、本発明の反応に関与しない有機溶媒から選択するのが好ましく、たとえば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系の溶媒や、アセトニトリル、またはメタノール、エタノールなどのアルコール系の溶媒等が好ましい。溶媒の量は、α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)の1重量部に対して、1〜1000重量部が好ましい。
【0041】
上記の反応条件は、α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式3)および環状α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式5)をフッ素ガスと反応させる場合においても同様に適用できる。
α−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステル(式1)のかわりに、α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式3)をフッ素ガスとを反応させた場合には、α−フルオロマロン酸エステル(式4)が生成する。
ただし、式4における および は、式3における意味と同じである。
【0042】
【化12】
Figure 0003882856
【0043】
また、環状α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステル(式5)とフッ素ガスとを反応させた場合には、環状α−フルオロマロン酸エステル(式6)が生成する。
ただし、式6におけるR5 およびR6 は、式5における意味と同じである。
【0044】
【化13】
Figure 0003882856
【0045】
本発明における目的化合物であるα−フルオロ−β−ケトエステル(式2)、α−フルオロマロン酸エステル(式4)、および、環状α−フルオロマロン酸エステル(式6)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0046】
【化14】
Figure 0003882856
【0047】
目的化合物のうち、特に式6で表される環状α−フルオロマロン酸エステルは文献未記載の新規化合物である。
【0048】
本発明で目的化合物であるα−フルオロ−β−ケトエステルは、医薬品、農薬の中間体として、また様々な機能性材料の原料または中間体として有用な化合物である。
【0049】
たとえば、α−フルオロマロン酸エステル(式4)は、適当な条件下で加水分解することによって、ハーフエステルに導くことが可能であり、また2つのアルコキシカルボニル基の一方を脱炭酸反応することにより、対応するα−フルオロカルボン酸誘導体へと変換することもできる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0051】
[合成例1]5−フルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(式6におけるR5 =R6 =CH3 )の製造方法
5−ヒドロキシメチレン−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(688mg、4.0mmol)のクロロホルム溶液(40ml)を−40℃に冷却し、撹拌した。ここに窒素で3%に希釈したフッ素ガスを0.2mmol/minとなるように制御しながら60分間(F2 として3当量:12.0mmol)導通した。N2 ガスを10分間導通後、エーテル(150ml)で希釈した。析出した結晶を濾取し、エーテルで洗滌後ジクロロメタンとヘキサンの混合液から再結晶して表記の化合物327mg(50%)を得た。
【0052】
得られた化合物のスペクトルデータなどを以下に示す。
Figure 0003882856
【0053】
[合成例2]5−フルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(式6におけるR5 =R6 =CH3 である化合物)の製造方法
5−ヒドロキシメチレン−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンを用い、有機溶媒としてクロロホルムの代わりにアセトニトリルを用いて合成例1と同様に反応を行い、収率70%で表記化合物を得た。
【0054】
[合成例3]α−フルオロマロン酸ジメチル(式4におけるR3 =R4 =CH3 である化合物)の製造方法
α−ヒドロキシメチレンマロン酸ジメチル(480mg, 3.0mmol)のクロロホルム溶液(30ml)を−40℃に冷却して撹拌した。ここに窒素ガスで3%に希釈したフッ素ガスを0.2mmol/minとなるように制御しながら30分間(F2 として2当量:6.0mmol)導通した。N2 ガスを10分間導通後、反応液を水洗して無水硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮した。得られた油状化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン/酢酸エチル=3/1体積比)で精製し、無色油状の表記化合物288.4mg(64%)を得た。スペクトルデータは、公知の文献値と一致した(H.Suzuki,K.Ohnishi,Chem.Lett.,1981,111)。
【0055】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、入手容易なα−フルオロ−β−ケトエステルを原料とし、安価なフッ素ガスを用いることにより、高収率かつ効率的にα−フルオロ−β−ケトエステルを得ることができる。また、本発明の製造方法により得られる新規な環状α−フルオロマロン酸エステル、すなわち5−フルオロ−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン類は、医薬品、農薬の中間体として、また様々な機能性材料の原料または中間体として有用な化合物である。

Claims (5)

  1. 下式1で表されるα−ヒドロキシメチレン−β−ケトエステルとフッ素ガスとを反応させることを特徴とする下式2で表されるα−フルオロ−β−ケトエステルの製造方法。
    ただし、式1および式2において、R1 は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルアルキル基を示し、R2 は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基を示す。また、R1 およびR2 は連結して6員環、または、6員環と他の環構造からなるスピロ環を形成していてもよく、該6員環に含まれる水素原子は、炭素数1〜12のアルキル基またはアルアルキル基に置換されていてもよい。
    Figure 0003882856
    Figure 0003882856
  2. 1 が、エーテル性の酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、エーテル性の酸素原子を含んでいてもよいアルアルキル基である請求項1の製造方法。
  3. 下式3で表されるα−ヒドロキシメチレンマロン酸エステルとフッ素ガスとを反応させることを特徴とする下式4で表されるα−フルオロマロン酸エステルの製造方法。
    ただし、式3および式4におけるR3 およびR4 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、または、アルアルキル基を示す。
    Figure 0003882856
    Figure 0003882856
  4. 下式5で表される環状α−ヒドロキシメチレンマロン酸エステルをフッ素ガスと反応させることを特徴とする下式6で表される環状α−フルオロマロン酸エステルの製造方法。
    ただし、式5および式6におけるR5 およびR6 は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または、アルアルキル基を示し、R5 およびR6 は連結して3〜7員環を形成していてもよい。
    Figure 0003882856
    Figure 0003882856
  5. 下式6で表される環状α−フルオロマロン酸エステル。
    ただし、式6におけるR5およびR6は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または、ベンジル基を示す。
    Figure 0003882856
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