JP2005126340A - 置換ピリドン類の製造法、その原料化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボニル基が活性化されたα−ハロゲノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体と、β−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸エステルあるいはβ−アミノ−α−,β−不飽和シアノ化合物のいずれかを反応させることを特徴とする置換ピリドン類の製造方法。
【選択図】なし
Description
また、本発明は置換ピリドン類を製造するために用いる原料化合物及びその製造方法、さらに置換ピリドン類を用いて医薬品中間体として有用な置換ピリジン誘導体を製造する方法にも関する。
(1)3−アミノ−2−ブテン酸エチルとエチルプロピオレートとをメタノール中で加熱することにより、5−エトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(収率50%:特許文献1)、(2)3−アミノ−2−ブテン酸エチルとエチルプロピオレートとをTHF中でピリジン存在下加熱することにより、5−エトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(収率36%:特許文献1)、(3)3−アミノ−2−ブテン酸エチルと1,3−ジカルボエトキシアレンとを酢酸−トルエン中、トリエチルアミン存在下加熱することにより、5−エトキシカルボニル−4−エトキシカルボニルメチル−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(収率70%:非特許文献1)、(4)アミノブテンニトリルと3−メトキシアクリル酸クロライドとをピリジン/DMF/THF中で縮合させることにより、5−シアノ−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(特許文献2)、(5)3−アミノ−2−ブテン酸エチルとメチルプロピオレートとをベンゼン中で加熱して、Z,E−5−アミノ−4−カルベトキシ−ソルビン酸メチルエステルを単離し、これをDMF中で加熱することにより、5−エトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(収率62%:非特許文献2)、(6)アミノブテンニトリルとメチルプロピオレートとをDMF中で加熱させることにより、5−シアノ−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(収率34%:特許文献3)、(7)3−アミノ−2−ヘキセン酸エチルとエトキシメチレンマロン酸ジエチルとを加熱することにより、3,5−ジエトキシカルボニル−6−プロピル−2−ピリドンを合成する方法(収率32%:特許文献4)、(8)2−アザジエンとメチルプロピオレートとをベンゼン中で加熱することにより、5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを合成する方法(収率52%:非特許文献3)等である。
しかしながら、これらの文献に記載されている製法は、使用原料が高価で入手困難、操作が煩雑、収率等の面で満足のいくものではなく、工業的に実用的ではない。
しかしながら、これらのハロゲノピリジンをアルコキシピリジン化合物へと変換する従来法では、収率がそれぞれ39%,44%と低く、また、危険で取り扱いの困難な金属ナトリウムを使用するため工業的に実用的ではない。
すなわち、本発明は、安価で安全にかつ高収率で、任意の置換基を有するピリドン類を工業的に製造する方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、置換ピリドン類から置換ニコチン酸エステル類を製造する方法における従来技術の問題点を解決しようとするもので、収率が高く安全性の高い方法を提供することも課題とする。
より詳細には、本発明者らは、式(1)で示されるカルボニル基が活性化されたα−ハロゲノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体を、式(2)で示されるβ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸エステルまたはβ−アミノ−α,β−不飽和シアノ化合物と縮合させることで、式(3)のピリドン化合物を効率よく得る方法を見出した。
本発明によれば、設備装置類や操作法も特別なものを必要とせず、安全衛生や環境対策も特別問題はなく、工業的に有利に置換ピリドン類の製造が実施可能である。
(1)カルボニル基が活性化されたα−ハロゲノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体と、β−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸エステルあるいはβ−アミノ−α−,β−不飽和シアノ化合物のいずれかを反応させることを特徴とする置換ピリドン類の製造方法。
(2)下記式(1)
(3)2−ブロモアクリル酸クロライドと3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステルとを反応させて5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを製造する上記(2)に記載の方法。
(4)2−ブロモアクリル酸クロライドとβ−アミノクロトノニトリルとを反応させて5−シアノ−6−メチル−2−ピリドンを製造する上記(2)に記載の方法。
(5)2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステルと3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステルとを反応させて5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを製造する上記(2)に記載の方法。
(6)2−ブロモアクリル酸とイソブトキシカルボン酸との混合酸無水物と3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステルとを反応させて5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを製造する上記(2)に記載の方法。
(7)下記式(4)
(8)下記式(4)
(9)2,3−ジブロモプロピオン酸クロリドとp−ニトロフェノールとを塩基の存在下に反応させて2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステルを製造する方法。
(10)塩基としてトリエチルアミンまたはN−メチルモルフォリン(NMN)を用いる上記(7)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)下記式(6)
(12)2,3−ジブロモプロピオン酸4−ニトロフェニルエステルを塩基で処理して、2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステルを製造する方法。
(13)塩基としてトリエチルアミンまたはN−メチルモルフォリン(NMN)を用いる上記(11)または(12)に記載の方法。
(14)下記式(5)
(15)2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステル。
(16)下記式(7)
(17)下記式(7)
(18)α,β−ジハロゲノカルボン酸とクロロ炭酸イソブチルとを、塩基の存在下に反応させて、α−ハロゲノカルボン酸とイソブトキシカルボン酸との混合酸無水物を製造する方法。
(19)塩基としてN−メチルモルフォリン(NMM)を用いる上記(16)〜(18)のいずれかに記載の製造方法。
(20)下記式(8)
(21)2−ブロモアクリル酸とイソブトキシカルボン酸との混合酸無水物。
(22)a)下記式(3’)
b)式(I)のハロゲノピリジンと下記式(II)
c)式(III)のアルコキシピリジンのエステル基を適当な有機溶媒中で、塩化アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムを作用させることにより還元して、下記式(A)
(23)式(3’)の化合物を請求項1〜6のいずれかの製造方法によって製造することを特徴とする上記(22)記載の置換ピリジン誘導体の製造方法。
(24)下記式(I)
上記一般式のR1の定義において、炭素数1〜4の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリーブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基等の直鎖状または分岐したアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、炭素数3〜8のシクロアルキル基で置換した低級アルキル基としては、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基等が挙げられ、無置換または置換の炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等、無置換または置換の炭素数6〜20のアリール基で置換した低級アルキル基としては、ベンジル基、メチルフェニルメチレン基、メトキシフェニルメチレン基等が挙げられる。R1として、特に好ましいのは水素原子である。
上記一般式におけるYはシアノ基あるいはCOOR3基であり、R3で示される炭素数1〜4の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリーブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基等の直鎖状または分岐したアルキル基等が挙げられる。
本発明の置換ピリドン類を製造するためのZがハロゲンである原料化合物(1)は、例えば、2−ブロモアクリル酸をTHF中で塩化チオニルと反応させることにより、また、2−クロロアクリル酸をベンゼン中で五塩化リンと反応させることにより得ることができる(特開2001−66777)。さらに、2,3−ジクロロプロピオン酸クロリドにジエチルアニリンを作用させることによっても得ることができる(JACS,3495(1940);収率37%)。
これらの反応自体は、公知であり、例えば、2,3−ジクロロプロピオン酸クロリドとサリチル酸シクロヘキシルを減圧下で縮合させ、その後、苛性ソ−ダを添加して、2−シクロヘキシロキシカルボニルフェニル2−クロロアクリレートを製造する方法(特開2001−66777)、2,3−ジブロモプロピオン酸イソブチルエステルにジメチルアニリン等の塩基を作用させ、2−ブロモアクリル酸イソブチルエステルを製造する方法(JACS,3495(1940))、p−ヒドロキシフェネチル−2,3−ジクロロプロピオネートにトリエチルアミンを作用させ、p−ヒドロキシフェネチル−2−クロロアクリレートを製造する方法(特開2000−227660)等が知られている。しかしながら、式(1)のZをZ2に特定した本発明の化合物(5)の製造のために、これらの反応を用いている例はない。
適当な有機溶媒としては、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒が好ましく、更に好ましくは、THFが挙げられる。
反応時間は10分〜2日間、好ましくは1〜24時間である。
適当な有機溶媒としては、ジオキサン、ジエチルエーテル、THF、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒が好ましく、更に好ましくは、THFが挙げられる。
反応温度は−50〜50℃、好ましくは−20〜20℃である。
反応時間は10分〜2日間、好ましくは1〜24時間である。
適当な有機溶媒としては、トルエン、あるいは、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒が好ましく、更に好ましくは、トルエンが挙げられる。
反応温度は−60〜50℃、好ましくは−30〜20℃である。
反応時間は30分〜2日間、好ましくは1〜24時間である。
得られた化合物(1)から置換ピリドン類(3)への変換は、例えば、適当な有機溶媒中で、塩基の存在下に、化合物(1)とβ−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸エステルあるいはβ−アミノ−α,β−不飽和シアノ化合物(2)を混合することにより行なうことができる。
化合物(1)としては、例えば、2−ブロモアクリル酸クロライド、2−ブロモアクリル酸イソブトキシ酸無水物、2−ブロモ−3−メチルアクリル酸クロライド、2−ブロモ−3−フェニルアクリル酸クロライド等が例示でき、用いる量は、化合物(2)に対して、0.8〜1.5当量であり、好ましくは1.0〜1.3当量である。
また、化合物(2)としては、例えば、3−アミノ2−ブテン酸メチルエステル、3−アミノ2−ブテン酸エチルエステル、3−アミノ−2−ブテンニトリル等が例示できる。
用いる溶媒は、反応に関与しないなら特に限定されないが、例えば、トルエン、THF、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル等が例示でき、用いる溶媒量は化合物(2)の1〜40倍量、好ましくは10〜30倍量である。
用いる塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、NMM等が例示でき、好ましくは、トリエチルアミンであり、用いる塩基量は1.6〜4.5当量、好ましくは2.0〜4.0当量である。
反応温度は−20〜80℃、好ましくは0〜30℃で、反応時間は1〜24時間、好ましくは2〜5時間である。
上記のように製造された化合物(3)及び各種中間体を、次の工程の原料として用いる場合、単離及び/または精製しても良いし、あるいは単離及び/または精製することなく、次工程にそのまま用いる場合もある。
その方法について以下に詳細に説明する。
(I)の合成: ハロゲン化反応
上記の方法で合成した置換ピリドンを、公知の方法(日本特許3355797号)を応用させることで得ることができる。すなわち、トルエンなどの適当な溶媒中、触媒量のDMFを加えて、塩化チオニルなどのハロゲン化剤を作用させることにより収率良く進行させることができる。
式(3’)で表される置換ピリドンは、上記の方法以外に、例えば、本発明者らが開発した、カルボニル基が活性化されたα,β−ジハロゲノカルボン酸誘導体と、β−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸エステルあるいはβ−アミノ−α,β−不飽和シアノ化合物のいずれかを反応させる方法(特願2003−296722)によって合成しても良いし、また、従来公知の他の方法によって合成しても良い。
得られた化合物(I)からアルコキシピリジン(III)への変換は、不活性溶媒中にて(II)で示される金属塩を加え、加熱することにより行なう。(II)としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が例示でき、用いる量は、(I)に対して、0.8〜2.0当量であり、好ましくは、1.0〜1.3当量である。用いる不活性溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等の場合によりハロゲン化された芳香族炭化水素系溶媒が例示できる。最も好ましくは、トルエンが挙げられる。用いる溶媒量は、(I)の0.5〜10倍量、好ましくは5〜10倍量である。反応温度は0〜200℃、好ましくは80〜120℃である。反応時間は加熱開始から30分〜1日間、好ましくは1〜5時間である。
上記の方法により得られたアルコキシピリジン(III)は、エステル基を還元して、ヒドロキシメチル基に変換し、医薬品の重要中間体である、3−ヒドロキシメチル−6−メトキシ−2−メチルピリジンを得ることができる。
この還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム−塩化アルミニウム系で還元する方法を応用することにより〔Tetrahedron,35,567(1979)、J.Amer.Chem.Soc.,78,2528 (1956)〕、収率良く行なうことができる。
また、得られた置換ピリドン類から医薬品の重要中間体である置換ピリジン誘導体を有利に効率的に製造することができる。
滴下終了から10分後、反応系中の沈殿物を濾別し、得られた淡黄色の透明な溶液をA液とした。
2)塩化カルシウム管、滴下ロート、温度計を付した200mlナスフラスコに1.15gの3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステル3と15mlのトルエンを加え、溶解させた。これに氷浴中撹拌下、2.42g(2.4当量)のトリエチルアミンを加え、続いて上記で調製したA液[2.03g(1.2当量)に相当する2−ブロモアクリル酸クロライド2のトルエン溶液(45ml)]を20分かけて滴下した。滴下中に析出物を生じ、内温は5℃から10℃まで上昇した。その後、20℃以下の温度で1時間反応させた。
反応終了後、反応系中の沈殿物を濾別し、トルエン、蒸留水で十分に洗浄して単離すると、4が白色の粉末として861mg(51%)得られた。また、水層から31mg(2%)の結晶の4が得られ、さらに、水層をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧濃縮すると、4が白色の固体として82mg(5%)得られた。また、トルエン層を減圧固化させ、それを酢酸エチルにて洗浄すると、白色の結晶の4が261mg(16%)得られた。
収 量 :1.23g
重量収率 :74%
性 状 :白色の結晶性粉末
融 点 :222〜223℃
TLC :Rf=0.2(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):12.93(br,1H,−NH), 8.01(d,1H,C4−H),
6.41(1H,d,C5−H), 3.85(s,3H,−COOCH 3 ),
2.74(s,3H,C2−CH 3 )
13C−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):165.9(−COOEt), 165.7(−CONH), 153.5(C4),
143.2(C2), 116.6(C5), 109.2(C3), 52.2(−OCH3),
20.1(C2−CH3)
反応後、上層のトルエン溶液をのみを濃縮し、カラムクロマトグラフィー(80g,ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にとおすと、7.36gの淡黄色の油状物が得られた。これをトルエンに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液をろ過し、ろ液を濃縮すると、5.58gの2,3−ジブロモプロピオン酸−4−ニトロフェニルエステル5が、淡黄色の油状物として得られた。
収 量 :5.58g
重量収率 :44%
性 状 :淡黄色の油状物
TLC :Rf=0.6(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):8.30(m,2H,Ph), 7.36(m,2H,Ph),
4.68(dd,1H,J=11.6Hz,J=4.4Hz,α−H),
4.02(dd,1H,J=11.6Hz,J=10.0Hz,β−H),
3.80(dd,1H,J=10.0Hz,J=4.4Hz,β−H)
13C−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):165.7(C=O), 155.1(Ph−O−), 146.4(Ph−NO2),
125.8(Ph), 122.6(Ph), 40.61(α−C), 29.45(β−C)
2) 50mlナスフラスコに447mgの2,3−ジブロモプロピオン酸−4−ニトロフェニルエステル5と10mlのエーテルを加え、溶解させた。これに室温撹拌下、154mg(1.2当量)のトリエチルアミンを滴下すると、塩酸塩が析出してきた。その後、30分間反応した。
反応後、析出した結晶を濾別し、少量のエーテルで洗浄して濾液を濃縮すると、343mgの白色の結晶の6が得られた。
収 量 :343mg
重量収率 :100%
性 状 :白色の結晶
融 点 :80−82℃
TLC :Rf=0.6(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):8.30(m,2H,Ph), 7.36(m,2H,Ph),
7.23(d,1H,J=2.0Hz), 6.52(d,1H,J=2.0Hz)
13C−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):156.0(C=O), 155.6(Ph−O−), 146.2(Ph−NO2),
133.9(C=C), 125.8(Ph), 122.7(Ph), 120.1(C−Br)
TLCにて原料消失を確認後、反応系中の沈殿物を濾別し、トルエン、蒸留水で十分に洗浄して単離すると、4が白色の結晶性粉末として294mg得られた。
収 量 :294mg
重量収率 :61%
反応後、内温が0℃になるまで自然昇温し、すぐに塩酸塩を濾過、濾液を減圧濃縮して、1.93gの淡黄色半油状固体の8を得た。
収 量 :1.93g
収 率 :89%
性 状 :淡黄色半油状の固体
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):7.08(1H,d,J=2.2Hz,β−H),
6.47(1H,d,J=2.2Hz,β−H),
4.07(2H, d,J=6.6Hz,−OCH 2 −), 2.02(1H,m,−CH−),
0.96(6H,d,J=6.8Hz,−Me 2 )
滴下終了から3時間後、室温に戻し、ろ過して塩酸塩を除いた。得られた無色透明溶液を、滴下ロートに仕込んだ(A液とする)。
2)500ml三ツ口フラスコに、10.0g(1.0当量)の3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステル3、100mlのトルエンを加え、攪拌した。10.6g(1.2当量)のトリエチルアミンを室温で加え、次いでA液を約30分かけて滴下し、その後50℃で2時間攪拌した。
反応が終了しなかったので、10.6g(1.2当量)のトリエチルアミンを加え、85℃で9時間反応させた。
反応終了後、200mlの氷水に反応液を加えると、白色結晶が析出した。結晶をろ過し、トルエンで洗浄すると、白色結晶の4が、6.78g(47 %)得られた。
トルエン層と水層とを分液し、トルエン層を水洗(50ml×2回)した。水層を、クロロホルムにて抽出(100ml×3回)、水洗(50ml×2回)し、有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層をろ過し、ろ液を濃縮すると、2.3g(収率16 %)の4が、黄白色結晶として得られた。
滴下終了から20分後、反応系中の沈殿物を濾別し、得られた淡黄色の透明な溶液をA液とした。
2)塩化カルシウム管、滴下ロート、温度計を付した300mlナスフラスコに880mgのβ−クロトノニトリル(純度96%)9と40mlのTHF、2.60g(2.4当量)のトリエチルアミンを加え、溶解させた。続いて上記で調製したA液[2.33g(1.2当量)に相当する2−ブロモアクリル酸クロライド2のTHF溶液(55ml)]を10分かけて滴下した。滴下中に析出物を生じ、内温は5℃から10℃まで上昇した。その後、20℃以下の温度で1時間反応させた。
反応終了後、反応系中の沈殿物を濾別し、THF、蒸留水で十分に洗浄して単離すると、10が白色の粉末として645mg(47%)得られた。また、濾液を減圧濃縮して得られた水層から43mg(3%)の結晶の10が得られた。さらに、水層をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルを加えて再沈殿させると、白色の結晶の10が174mg(13%)得られた。
収 量 :862mg
重量収率 :63%
性 状 :白色の粉末
融 点 :320℃
TLC :Rf=0.2(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)
1H−NMR(400MHz,DMSO,δppm):12.4(br,1H,−NH), 7.57(d,1H,C4−H),
6.24(1H,d,C5−H), 2.37(s,3H,C2−CH 3 )
TLCにて原料消失を確認後、反応系を室温に戻し、蒸留水を加えた。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して2.32gの淡黄色の油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40g,ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、IIIを白色の固体として1.94g得た。当初油状物であったが、冷蔵庫に入れておくと固化した。
収 量 :1.94 g
収 率 :79%
性 状 :白色の固体
融 点 :31−32℃
TLC :Rf=0.5(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):8.11(d,1H,J=8.8Hz,Ar4−H),
6.58(d,1H,J=8.8Hz,Ar5−H), 3.98(s,3H,−COOCH 3 ),
3.88(s,3H,−OCH 3 ), 2.76(s,3H,C2−CH 3 )
13C−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):167.3(−COOCH3), 165.3(C6), 160.7(C2), 141.7(C4),
118.4(C5), 108.0(C3), 54.1(−OCH3), 52.2(−COOCH3),
25.2(C2−CH3)
TLCにて反応を確認すると、原料は完全には消失していなかったが、反応系を室温に戻し、蒸留水を加えて反応を停止した。有機層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して0.52gのこげ茶色の油状物を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10g,ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製し、Iを白色の固体として0.43g得た。当初油状物であったが、冷蔵庫に入れておくと固化した。
収 量 :0.43g
重量収率 :90%
性 状 :白色の固体
融 点 :34−35℃
TLC :Rf=0.4(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):8.15(d,1H,J=8.0Hz,Ar4−H),
7.24(d,1H,J=8.0Hz,Ar5−H), 3.92(s,3H,−COOCH 3 ),
2.82(s,3H,C2−CH 3 )
13C−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):166.4(−COOCH3), 161.8(C2),153.7(C6), 141.4(C4),
124.4(C3), 121.8(C5), 52.8(−COOCH3), 25.0(C2−CH3)
TLCで原料消失を確認後、反応系を約40mlの氷を入れた10%塩酸水溶液に少しずつ加えると、激しく発泡して、懸濁状態から透明な溶液になった(ここでの抽出は困難であった)。この溶液に約20mlの飽和炭酸水素ナトリウム水を加え、pH=8に調製すると、激しく発泡してまた懸濁状態になった。
この溶液に50mlの酢酸エチルを加え、目的物を抽出すると、3回で抽出は完了した。集めた有機層を30mlの蒸留水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、1.40gの無色透明な油状物(重量収率95%)を得た。この濃縮物は、冷蔵庫に放置していても結晶化しなかった。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30g,ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、Aを白色の固体として1.30g得た。当初油状物であったが、冷蔵庫に入れておくと固化した。
収 量 :1.30g
収 率 :88%
性 状 :白色の固体
融 点 :39−40℃
TLC :Rf=0.6(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):7.48(d,1H,J=8.4Hz,Ar4−H),
6.51(d,1H,J=8.4Hz,Ar5−H),
4.56(s,2H,−CH 2 OH), 3.88(s,3H,−OCH 3 ),
2.46(br,1H,−CH2OH), 2.42(s,3H,−CH 3 )
13C−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):163.3(C6), 154.9(C3), 139.4(C4), 126.8(C2),
107.4(C5),62.4(−CH2OH), 53.8(−OCH3), 21.7(−CH3)
Claims (24)
- カルボニル基が活性化されたα−ハロゲノ−α,β−不飽和カルボン酸誘導体と、β−アミノ−α,β−不飽和カルボン酸エステルあるいはβ−アミノ−α−,β−不飽和シアノ化合物のいずれかを反応させることを特徴とする置換ピリドン類の製造方法。
- 下記式(1)
- 2−ブロモアクリル酸クロライドと3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステルとを反応させて5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを製造する請求項2に記載の方法。
- 2−ブロモアクリル酸クロライドとβ−アミノクロトノニトリルとを反応させて5−シアノ−6−メチル−2−ピリドンを製造する請求項2に記載の方法。
- 2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステルと3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステルとを反応させて5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを製造する請求項2に記載の方法。
- 2−ブロモアクリル酸とイソブトキシカルボン酸との混合酸無水物と3−アミノ−2−ブテン酸メチルエステルとを反応させて5−メトキシカルボニル−6−メチル−2−ピリドンを製造する請求項2に記載の方法。
- 下記式(4)
- 2,3−ジブロモプロピオン酸クロリドとp−ニトロフェノールとを塩基の存在下に反応させて2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステルを製造する方法。
- 塩基としてトリエチルアミンまたはN−メチルモルフォリン(NMN)を用いる請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
- 2,3−ジブロモプロピオン酸4−ニトロフェニルエステルを塩基で処理して、2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステルを製造する方法。
- 塩基としてトリエチルアミンまたはN−メチルモルフォリン(NMN)を用いる請求項11または12に記載の方法。
- 2−ブロモアクリル酸4−ニトロフェニルエステル。
- α,β−ジハロゲノカルボン酸とクロロ炭酸イソブチルとを、塩基の存在下に反応させて、α−ハロゲノカルボン酸とイソブトキシカルボン酸との混合酸無水物を製造する方法。
- 塩基としてN−メチルモルフォリン(NMM)を用いる請求項16〜18のいずれかに記載の製造方法。
- 2−ブロモアクリル酸とイソブトキシカルボン酸との混合酸無水物。
- a)下記式(3’)
b)式(I)のハロゲノピリジンと下記式(II)
c)式(III)のアルコキシピリジンのエステル基を適当な有機溶媒中で、塩化アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムを作用させることにより還元して、下記式(A)
- 式(3’)の化合物を請求項1〜6のいずれかの製造方法によって製造することを特徴とする請求項22記載の置換ピリジン誘導体の製造方法。
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