JP3804208B2 - アズレン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品、触媒配位子、電子写真感光体、液晶素子、有機電導体、化粧品、染料等の原料として有用なアズレン誘導体の改良された製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アズレン誘導体は古くから民間で薬用とされてきたニガヨモギやカミツレ精油の成分として知られているが、最近になって抗炎症剤、高脂血症治療剤、抗癌剤等の医薬品としての用途、更には電子写真感光体、液晶素子、有機電導体、化粧品、染料、触媒配位子としての用途も注目されつつある化合物である。中でも2位にアルキル基を有するアズレン類は、重要な基本化合物と目されており、このものの工業的生産に適した製造方法の開発が要望されている。
【0003】
2位にアルキル基を有するアズレン類の合成法のひとつとして、例えばTetrahedron,27,3357(1971)に、2−クロロトロポンとアセト酢酸エチルを原料とする方法が記載されている。この方法では、まず2−クロロトロポンとアセト酢酸エチルとを反応させて3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンを合成し、次にこれにシアノ酢酸エチル又はマロン酸ジエチルを反応させて1−カルボキシ−3−シアノ(又はエトキシカルボニル)−2−メチルアズレンを合成する。さらにこの1−位と3−位が置換された2−メチルアズレンを硫酸等とともに加熱することにより、置換基を脱離させて2−メチルアズレンを得ている。
【0004】
しかしながら、この方法を追試した結果、1−カルボキシ−3−シアノ(又はエトキシカルボニル)−2−メチルアズレンを合成する反応では、反応中に析出物により反応液が撹拌困難な懸濁状態になることが判明した。そのため撹拌下に反応を円滑に進めるには、原料である3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込濃度を著しく低くしなければならず、この方法は工業的規模で実施するには適当な方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応中に析出物の発生がなく、従って高濃度で反応が可能で生産性に優れ、また、1−位にカルボキシル基を有し、3−位にもシアノ基やアルコキシカルボニル基などの置換基を有する2−メチルアズレンなどを工業的に生産可能な製造法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記式(1)で表されるシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体と、
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、R1 は置換基を有していてもよい脂肪族若しくは芳香族炭化水素基を示し、R2 〜R6 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい脂肪族若しくは芳香族炭化水素基を示す。なお、R2 〜R6 は任意に結合して環を形成していてもよい。)
下記式(2)で表される活性メチレン基を有する化合物とを、
【0009】
【化6】
【0010】
(式中、R7 は水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族若しくは芳香族炭化水素基を示す。R8 は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイル基又はアミド基を示す。)
アミジン骨格を有する有機塩基の共存下に反応させることにより、下記式(3)で表されるアズレン誘導体を工業的規模で容易に製造することができる。
【0011】
【化7】
【0012】
(式中、R1 〜R6 及びR8 は式(1)、式(2)と同義である。)
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で反応原料として用いられる式(1)のシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体において、R1 が示す脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜5程度の低級アルキル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。また、これらにさらに置換基が結合したものとしては、トリフルオロメチル基、p−フルオロフェニル基、メトキシメチル基、p−メトキシフェニル基など、上記の炭化水素基から誘導されるハロ炭化水素基やアルコキシ炭化水素基などが挙げられる。
【0014】
R2 〜R6 は本質的に反応には関与しない部位であり、反応に不活性な任意の置換基であって差支えない。R2 〜R6 が示す脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜5程度の低級アルキル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。また、これらにさらに置換基が結合したものとしては、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、p−クロロフェニル基など、ハロゲンやアルコキシ基が結合したものが挙げられる。また、R2 〜R6 が任意に結合して形成する環としては、隣接する2つのRが結合して形成する炭化水素環や、この炭化水素環の炭素に隣接するRがさらに結合して形成する環などが挙げられる。式(1)で表されるシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体のいくつかを次に例示する。
【0015】
3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−プロパノイル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
5−イソプロピル−3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
5−イソプロピル−3−プロパノイル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−トリフルオロアセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−メトキシアセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−ベンゾイル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−(p−メチルベンゾイル)−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−(p−フルオロベンゾイル)−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−(p−メトキシベンゾイル)−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−アセチル−6,7−ベンゾ−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−プロパノイル−6,7−ベンゾ−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−アセチル−5,6−ベンゾ−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
3−プロパノイル−5,6−ベンゾ−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン
【0016】
式(1)のシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体は、Tetrahedron,27,3357及び6023(1971)に記載の方法によって製造することが出来る。例えば、アルコール等の溶媒中、2−クロロトロポン、2−メトキシトロポン又は2−アレーンスルホニルオキシトロポン等のトロポン誘導体と、アセト酢酸エステル、3−オキシブタン酸エステル等のβ−ケトカルボン酸エステル類とを、ナトリウムアルコキシドや第3ブチルアミン等の強塩基の存在下に反応させればよい。
【0017】
式(2)で表される活性メチレン基を有する化合物において、R7 が示す脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜5程度の低級アルキル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。またこれらに置換基が結合したものとしては、トリフルオロメチル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基など、ハロゲンやアルコキシ基が結合したものが挙げられる。R7 で示される基は反応途中で脱落して、生成物には含まれない。式(2)で表わされる活性メチレン基を有する化合物のいくつかを例示すると、R8 がシアノ基であるものとしては、シアノ酢酸、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸フェニル、シアノ酢酸p−フルオロフェニルなどが挙げられる。
【0018】
R8 がアルコキシカルボニル基であるものとしては、マロン酸、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ジ(p−フルオロフェニル)、マロン酸tert−ブチルエチル、メルドラム酸などが挙げられる。
R8 がアルカノイル基であるものとしては、アセト酢酸、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、アセト酢酸p−フルオロフェニル、3−ケトペンタン酸、3−ケトペンタン酸メチル、3−ケトペンタン酸エチル、3−ケトペンタン酸フェニル、3−ケトペンタン酸p−フルオロフェニルなどが挙げられる。
R8 がアミド基であるものとしては、メトキシカルボニルアセトアミド、エトキシカルボニルアセトアミドなどが挙げられる。これらの活性メチレン基を有する化合物は、式(1)のシクロペンタ[b]フラン−2−オン誘導体に対して通常1〜10倍モル、好ましくは1〜4倍モルとなるように用いる。
【0019】
本発明では式(1)のシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体と、式(2)の活性メチレン基を有する化合物とを反応させるに際し、反応系にアミジン骨格を有する有機塩基を存在させる。本発明者らの検討によれば、前述のTetrahedron,27,3357(1971)に記載の方法において反応系が撹拌困難な懸濁状態となるのは、反応助剤としてナトリウムアルコキシドを用いているため、反応生成物のナトリウム塩及び副生した炭酸ナトリウムが析出することによる。従ってこのような析出物を生じない反応助剤を用いれば、工業的に有利な高濃度の反応系で反応を行うことができると考えられる。
【0020】
本発明者らはこのような知見に基づき、ナトリウムアルコキシドに代る反応助剤を検討した結果、アミジン骨格を有する有機塩基が反応助剤として優れており、かつ反応途中において反応系を懸濁状態としないことを見出したものである。アミジン骨格を有する有機塩基としては、通常は下記式(4)で表されるものが用いられる。
【0021】
【化8】
【0022】
(式中、R9 は、置換基を有していてもよい脂肪族若しくは芳香族炭化水素基、又は1級ないし3級アミノ基を示し、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族若しくは芳香族炭化水素基を示す。但し、R9 〜R12は任意に結合して環を形成していてもよい)。
【0023】
式(4)において、R9 〜R12が示す脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基など炭素数1〜5程度の低級アルキル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。また、これらにさらに置換基が結合したものとしては、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基などが挙げられる。
【0024】
R9 が示す2級ないし3級アミノ基としては、上述の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基がアミノ基の窒素原子に結合したものが挙げられる。また、R9 〜R12が任意に結合して形成する環としては、R9 〜R12のいずれか2つが結合した部分が2〜6個の炭素原子から成る炭素鎖を形成するものが挙げられる。
式(4)で表されるアミジン構造を有する有機塩基のいくつかを例示すると、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン等が挙げられる。アミジン構造を有する有機塩基はそれぞれ単独で用いても良いが、2種以上の混合物として用いても良い。これらの有機塩基は、シクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体に対して、通常1から10倍モル、好ましくは1から4倍モルとなるように使用する。
【0025】
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、水など常用の溶媒を用いることができる。好ましくはメタノール、エタノール等のアルコール類が用いられる。所望ならば2種以上の溶媒の混合物を用いることもできる。溶媒は反応原料のシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体に対して、通常0.5〜20重量倍、好ましくは1〜10重量倍用いる。また、溶媒は添加しなくてもよい場合がある。溶媒の使用量が少くて反応開始時に反応系がスラリー状を呈しても、良好な撹拌が行ない得る状態であれば、反応途中で逐次溶解していくので反応は円滑に進行させることができ、これが本発明の大きな特徴である。反応溶媒へのシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体、活性メチレン基を有する化合物及びアミジン骨格を有する有機塩基の添加順序は任意であり、例えばシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体を含む溶媒に活性メチレン基を有する化合物及びアミジン骨格を有する有機塩基を順次加えてもよく、又はアミジン骨格を有する有機塩基を含む溶媒に、シクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体と活性メチレン基を有する化合物とを順次加えてもよい。
【0026】
反応温度は、通常−30ないし30℃、好ましくは−10ないし20℃で行われる。これより低温では反応速度が十分でないため、反応に長時間を要するし、またこれより高温では、副反応により、目的物の収率を著しく損なう傾向にある。反応時間は、反応温度や仕込み組成などにより異なるが、通常は10時間以下で十分である。
反応終了後は、塩酸又は硫酸を添加して反応液を酸性にすると、生成したアズレン誘導体が結晶として析出してくる。濾過してこれを分取し、アルコールや水などで洗浄して乾燥すると、目的物のアズレン誘導体が高純度で取得できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[参考例]
室温下、1.5リットルのガラス製セパラブルフラスコに、エタノール274mlを入れ、これに2−(p−トルエンスルホニルオキシ)トロポン91.18g及びアセト酢酸エチル128.84gを加えて懸濁させた。約5℃まで冷却したのち、これにナトリウムエトキシド53.90gをエタノール274mlに溶解させた液を約40分かけて滴下した。引続き約5℃で約30分反応させたのち、反応液を室温まで昇温し、さらに約1時間反応させた。反応液に水684mlを添加したのち約5℃まで冷却し、約1時間撹拌した。析出した結晶を濾別し、水228mlで2回洗浄したのち真空乾燥した。得られた結晶は、高速液体クロマトグラフィー及びNMRスペクトロスコピーにより分析した結果、3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンであった。収量56.81g、純度99.5%、収率92%。
【0029】
[比較例1]
室温下、200mlのガラス製フラスコに、エタノール100mlを入れ、これに3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン 5.70g及びシアノ酢酸エチル6.85gを加えて懸濁させた。これにナトリウムエトキシドのエタノール溶液(1.0mol/L)100mlを約50分かけて滴下し、さらに室温で約7時間反応させた。反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込濃度は約3.3重量%である。反応液は析出物により終始懸濁状態であったが、辛うじて撹拌することが出来た。反応液に水500mlを加えたのち、クロロホルム200mlで2回抽出した。水層に濃塩酸16mlを加え、析出した結晶を濾別し、水10mlで2回洗浄したのち真空乾燥した。得られた淡赤色結晶は、高速液体クロマトグラフィー、NMR及びIRスペクトロスコピーにより分析した結果、1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンであった。収量5.39g、純度84%、収率71%。
【0030】
1H−NMRスペクトル[(CD3 )2 SO、400MHz、δ/ppm]:
12.9(br,COOH,1H),9.64(d,J=10Hz,CH,1H),8.66(d,J=10Hz,CH,1H),8.17(t,J=10Hz,CH,1H),7.97(t,J=10Hz,CH,1H),7.94(t,J=10Hz,CH,1H),2.85(s,CH3 ,3H)
IR(KBr disk,ν/cm-1):
2217(CN),1658(COOH)
【0031】
[比較例2]
室温下、30mlのガラス製フラスコに、エタノール7.68mlを入れ、これに3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン 0.50g及びシアノ酢酸エチル0.60gを加えて懸濁させた。これにナトリウムエトキシド0.54gを約5分かけて添加し、さらに室温で約3時間反応させた。反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は約6.5重量%である。反応液は析出物により終始懸濁状態であり、撹拌は全く出来ない状態であった。反応液を少量分取し、高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンの収率は、64%であった。
【0032】
[比較例3]
室温下、30mlのガラス製フラスコに、エタノール3mlを入れ、これに3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン 0.15g及びマロン酸ジエチル0.26gを加えて懸濁させた。これにナトリウムエトキシドのエタノール溶液(約1.0mol/L)3.2mlを約5分かけて滴下し、さらに室温で約4時間反応させた。反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は約5.1重量%である。反応液は析出物により懸濁状態であり、撹拌は全く出来ない状態であった。反応液を少量分取し、高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの転化率は、93%、1−カルボキシ−3−エトキシカルボニル−2−メチルアズレンの収率は、41%であった。
【0033】
[実施例1]
反応温度のみを、5、15、23及び50℃と変化させて、下記の方法に従って実施した結果を表−1に示した。但し、15℃での反応の場合のみ、下記の方法の3.6倍のスケールで実施した。
30mlのガラス製フラスコに、エタノール6.3mlを入れ、これに3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン1.00g及びシアノ酢酸エチル1.41gを加えて懸濁させた。この懸濁液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン2.43gをエタノール2.5mlに溶解した液を、所定の温度で、約30分かけて滴下した。反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は約8.5重量%である。滴下途中から原料が溶解し始め、滴下終了時には溶液は濃赤色の均一状態となった。滴下終了後、さらに所定の温度で、約5時間反応させた。反応液に濃塩酸1.99gを加え、析出した結晶を濾別し、水約3mlで2回、エタノール約3mlで3回洗浄したのち真空乾燥した。得られた淡赤色結晶は、高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、目的とする1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンであった。
【0034】
【表1】
【0035】
[実施例2]
反応温度を約5℃として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのかわりに、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン1.98gを用いる他は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、反応は同様に進行し、1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンの収率は、83%であった。なおこの実験における反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は、約8.8重量%であった。
【0036】
[実施例3]
反応温度を約5℃として、溶媒として、エタノールのかわりに、メタノール(全使用量6.97g)を用いる他は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、反応は同様に進行し、1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンの収率は、82%であった。なおこの実験における反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は、約8.5重量%であった。
【0037】
[実施例4]
反応温度を約5℃として、溶媒として、エタノールのかわりに、水(全使用量1.50g)を用いる他は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、反応は同様に進行し、1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンの収率は、80%であった。なおこの実験における反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は、約15.8重量%であった。
【0038】
[実施例5]
反応温度を約5℃として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのかわりに、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン1.84gを用いる他は、実施例1と同様に反応を行った。その結果、反応は同様に進行し、1−カルボキシ−3−シアノ−2−メチルアズレンの収率は、82%であった。なおこの実験における反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は、約8.9重量%であった。
【0039】
[実施例6]
室温下、10mlのガラス製フラスコに、エタノール1.00mlを入れ、これに3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オン0.20g及びマロン酸ジエチル0.53gを加えて懸濁させた。この懸濁液に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.49gをエタノール0.50mlに溶解させた液を約5分かけて滴下した。反応液中の3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの仕込み濃度は約8.3重量%であった。滴下途中から原料が溶解し始め、滴下終了時には溶液は濃赤色の均一状態となった。滴下終了後室温で約4時間反応させたのち、さらに約75℃で約2時間反応させた。反応液を少量分取し、高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンの転化率は、68%、1−カルボキシ−3−エトキシカルボニル−2−メチルアズレンの収率は、22%であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によればアミジン骨格を有する有機塩基を用いることにより、反応液中の原料の濃度を高くしても反応を円滑に実施することができる。
Claims (7)
- 下記式(1)で表されるシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体と、
下記式(2)で表される活性メチレン基を有する化合物とを、
アミジン骨格を有する有機塩基の共存下に反応させることを特徴とする、下記式(3)で表されるアズレン誘導体の製造方法。
- R2 〜R6 が、全て水素原子であることを特徴とする請求項1に記載のアズレン誘導体の製造方法。
- 式(1)で表されるシクロヘプタ[b]フラン−2−オン誘導体が、3−アセチル−2H−シクロヘプタ[b]フラン−2−オンであることを特徴とする請求項1に記載のアズレン誘導体の製造方法。
- 式(2)で表される活性メチレン基を有する化合物が、シアノ酢酸エステル又はマロン酸ジエステルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアズレン誘導体の製造方法。
- アミジン骨格を有する有機塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン及び1,1,3,3−テトラメチルグアニジンより成る群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のアズレン誘導体の製造方法。
- シクロヘプタン[b]フラン−2−オン誘導体と活性メチレン基を有する化合物とを、−30〜30℃の温度で反応することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のアズレン誘導体の製造方法。
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