JP2007523098A - 光学的に活性なα−ハロ−カルボニル化合物の触媒的不斉合成 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、式(1)の光学的に活性なα−ハロ−カルボニル化合物の触媒的不斉合成方法に関する。
式中、Rは有機基であり;Xはハロゲンであり、R1及びR2は同一であるか又は異なっていてもよく、H又は有機基を表すか、R1及びR2が一緒に架橋し環構造の一部を形成していてもよく;R及びR2は一緒に架橋し環構造の一部を形成していてもよく;ただし、R及びR1は異なる。またR2がHでないとき、炭素−炭素結合を通して結合している。
不斉触媒の重要な目的は、簡単で容易に利用できる出発物質及び触媒を用いて、光学的に活性な基礎単位を提供する新規反応を開発することである。光学的に活性なハロゲン含有化合物は、その合成中間体としての高い有用性のために特に魅力的である。過去数年間にわたる徹底的な研究にもかかわらず、エナンチオ選択的ハロゲン化反応の具体例は十分でなく、しばしば高価な試薬を必要とする1,3−ジカルボニル化合物又は多段階手段に限定される。
一般式(1)の化合物は、例えば、抗生物質、農薬、化学薬品の原材料等の医薬品の合成のための有用な中間体である。
第1の実施態様において、本発明は、式(1a)又は(1b)の光学的に活性な化合物の一段階触媒的不斉合成方法であって、
式中、Rは有機基であり;Xはハロゲンであり;R1及びR2は同一であっても又は異なっていてもよく、H又は有機基であるか、又はR1及びR2は一緒に架橋し環構造の一部を形成していてもよく;R及びR2は一緒に架橋し環構造の一部を形成していてもよく;ただし、R及びR1は異なっており、またR2がHでないとき、炭素−炭素結合を通して結合している。
式(2)の化合物を、触媒量のキラル窒素含有有機化合物の存在下にハロゲン化剤と反応させる工程を含む方法を提供する。
一般式(1)で表わされる化合物は、本発明の目的を妨げない限りは特定のものに限定されない。一般式(1)において、R、R1、R2は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アルキルアリール基、アリール基及び複素環基を含み、それぞれは1以上の置換基を有していてもよい。
便宜のため、本明細書、実施例及び請求項において用いられている特定の用語を、ここにまとめる。
「触媒量」なる用語は当業界において認識されており、反応物質に対する半化学量論的量を意味する。本明細書で用いられるように、触媒量は、反応物質に対して0.0001〜90モル%、好ましくは0.001〜50モル%、更に好ましくは反応物質に対して0.1〜20モル%を意味する。
鏡像体過剰率(ee)なる用語は当業界で周知であり、ラセミ混合物の分解について定義される。
ab→a+bの時、
eea=((aの濃度−bの濃度)/(aの濃度+bの濃度))×100
ab→a+bの時、
eea=((aの濃度−bの濃度)/(aの濃度+bの濃度))×100
eeの値は、0〜100の間の数字であり、0はラセミ体であり、100は純粋な単一の鏡像異性体である。
「アルキル」なる用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を表す。更に、本明細書及び請求の範囲を通じて用いられているアルキルなる用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含むことを意図し、後者は炭化水素骨格の1以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を表す。このような置換基は、例えば、ヒドロキシル、カルボニル、アルコキシル、エステル、ホスホリル、アミン、アミド、イミン、シリル、シリルエーテル、チオール、チオエーテル、チオエステル、スルホキシド、スルホニル、アミノ、ニトロ、フォスフィノ、ホスフェート、アリール、複素環又は有機金属部分を含んでもよい。アルキル基の代表的な具体例は、その炭化水素骨格中に1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する基を含む。適切な場合、置換基についての炭化水素骨格中で設計される炭素原子の数が指定される(すなわち、C1-7は1〜7個の炭素を意味する。)。もし、適切であれば、炭化水素鎖上で置換される部分は、それ自身置換され得ることが当業者に理解されるだろう。
「アルケニル」なる用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する、2〜約20個の炭素原子、又は好ましくは2〜約8個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖基を表す。該用語は、前述したアルキルと同様、「非置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両方を含むことを意図する。
「アルキニル」なる用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する、2〜約20個の炭素原子、又は好ましくは2〜約8個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖基を表す。該用語は、前述したアルキルと同様、「非置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両方を含むことを意図する。
「ハロアルキル」なる用語は、前述したのと同様、1以上の水素原子がハロゲン原子によって置換されているアルキル基を表す。
「アリール」なる用語は、環が一緒に結合していてもよく、又は融合していてもよい、1以上の環を含む芳香族系を表す。アリール基の具体例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン及びフェニルを含む。芳香環は、1以上の環部位において、例えば、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、カルボニル、カルボキシル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、スルホキシド、フォスフィノ、ホスホネート、ケトン、アルデヒド、エステル等の、前述したような置換基で置換されていてもよい。
「アルキルアリール」なる用語は、アリール置換されたアルキル基を表す。好ましいアルキルアリール基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基に結合したアリール基を有する「低級アルキルアリール」基である。更に好ましい低級アルキルアリール基は、1〜3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合したフェニルである。このような基の具体例は、ベンジル、ジフェニルメチル及びフェニルエチルを含む。前記アルキルアリールにおけるアリールは、前述したように更に置換されていてもよい。適切な場合、アルキル部分の炭化水素骨格において炭素原子の数が指定される(すなわち、C1-3アルキルアリールは、アルキル部分が1〜3個の炭素原子を含むアルキルアリール基を意味する)。
「複素環」なる用語は、好ましくはO、S又はNから選択される、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、芳香族であってもよい(ヘテロアリール)3〜10員環構造を表す。このような構造の具体例は、ピリジン、ピリミジン、ピペリジン、トリアゾール、チオフェン、フラン、モルフォリン、クロマン、インドール、オキサゾール等を含む。複素環は、アリール基について前述したように1以上の環部分において置換されていてもよい。
「アミノ」なる用語は、アルキル又はフェニル置換基を有している二級アミノ基、及び類似又は異なる2個の置換基を有しているか又は一緒に環を形成している2個の窒素置換基を有している三級アミノ基については、窒素原子によって結合された、一級、二級又は三級アミノ基を表わす。置換基は、前述したように、更に置換されていてもよく、アミノ基それ自体はアミノ酸部分の一部を形成していてもよい。
「シリル」なる用語は、−Si Z1Z2Z3基を表わし、Z1、Z2及びZ3は、それぞれ独立に水素及び任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、複素環、アルコキシ及びアミノ基からなる群から選択される。
「ホスフィノ」なる用語は、−PZ1Z2基を表わし、Z1及びZ2は、それぞれ独立に水素及び任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、複素環及びアミノからなる群から選択される。
「ホスフェート」なる用語は、-O(P=O)(OZ1)(OZ2)基を表わし、Z1及びZ2は、それぞれ独立に水素及び任意に置換されたアルキル及びアリールからなる群から選択される。
本明細書において用いられる「チオ」なる用語は、-SZ1基を表わし、Z1は、水素、及び任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール及び複素環からなる群から選択される。
「スルホキシド」なる用語は、-S(=O)Z1基を表わしZ1は、任意に置換されたアルキル及びアルキルアリールからなる群から選択される。
「スルホニル」なる用語は、-SO2Z1基を表わし、Z1は、任意に置換されたアルキル及びアルキルアリールからなる群から選択される。
2個の置換基が一緒に架橋する場合、それらは、例えば、任意に1以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルキレン、アルケニレン、又はアルキニレン遊離基鎖(前記鎖が任意に1以上の置換基で置換されている)により、架橋原子団を通して一緒になる。
「ハロゲン」なる用語は、F、Cl、Br又はIを示す。
化合物のいずれかの式において、いずれかの変化が一度以上発生してもよい場合は、それぞれの発生における定義は、他の全ての存在において、その定義は独立している。
Rは、好ましくは任意に置換されたC1-10アルキル基、任意に置換されたC2-8アルキレン基、又はC1-3アルキルアリール基である。更に好ましくは、Rは、任意に置換されたC1-6アルキル基、任意に置換されたC2-4アルキレン基、又はC1-2アルキルアリール基である。
R1は好ましくはH又は任意に置換されたC1-10アルキル基である。
R2は、好ましくはH又は任意に置換されたC1-10アルキル基であるか、R及びR2が一緒に架橋して環構造の一部を形成している。更に好ましくは、R2はH又はRと一緒に、任意に置換されたC3-5−アルキレン架橋を形成している。
Xは、好ましくはF、Cl又はBrである。
本発明の好ましい実施態様においては、R1及びR2は、いずれもHを表わし、Rは任意に置換されたC1−10アルキル基、任意に置換されたC2−4アルキレン基、又はC1−2−アルキルアリール基を表す。更に好ましくは、Rは−CH2−基を通して結合している。
本発明の他の好ましい実施態様においては、R1はHであり、R及びR2は、それぞれ、任意に置換されたC1−10アルキル基であるか、R2はRと一緒にC3−5−アルキレン架橋を形成しており、任意に置換された1以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
原則として、試薬及び触媒を適切な量で溶解することができ、反応に関して不活性である、いかなる溶媒も用いられる。反応において用いられる溶媒は、プロトン性、非プロトン性、両者又はイオン性液体の混合物のいずれかである。適当なプロトン性溶媒は、水、アルコール、例えば、直鎖、分岐又は環状アルカノール及びハロゲン化アルカノール、芳香族アルコール;アミン及び有機酸を含む。適当な非プロトン性溶媒は、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン、アルカン及びハロアルカン、エーテル、ケトン、アルデヒド、ニトリル及びニトロアルカンを含む。式(2)の化合物は、また反応温度における液体状態にある場合に、溶媒の目的を果たす。
ハロゲン化剤の具体例は:N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド又はN−ヨードスクシンイミド等のN−ハロスクシンイミド、N−クロロフタルイミド等のN−ハロフタルイミド等のN−ハロゲン化アミド、N,N’−ジクロロジメチルヒダントイン等のN,N’−ジハロジメチルヒダントイン、N−クロロサッカリン又はN−ブロモサッカリン等のN−ハロサッカリン、1,3,5−トリクロロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン等の1,3,5−トリハロ−1,3,5トリアジン−2,4,6−トリオン、N−クロログルタルイミド等のN−ハログルタルイミド、N−クロロ−N−シクロヘキシル−ベンゼンスルホンイミド;ICl又はIBr等のハロゲン間化合物;SO2Cl2等のSO2X2;(Ph)3PCl2又は(Ph)3PBr2等の(Ph)3PX2;[(Ph)3CCl3]Cl等の(Ph)3/CX4;ピリジン−HBr−Br2又は(CH3)2S-Br2等の複合型ハロゲン;t-BuOCl;Cl2又はBr2等の元素状態で存在するハロゲン;2,3,4,5,6,6−ヘキサクロロ−2,4−シクロヘキサジエン−1−オン;2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサジエン−1−オン;4,4−ジブロモ−2,6−ジ−tert−ブチル−シクロヘキサ−2,5−ジエノン及びN−フルオロジベンゼンスルホンイミド(NFSI)、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス−(テトラフルオロボレート)(Selectflour(登録商標))及び1−メチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス−(テトラフルオロボレート)等の求電子性フッ素化剤を含む。
好ましいハロゲン化剤は、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、4,4−ジブロモ−2,6−ジ−tert−ブチル−シクロヘキサ−2,5−ジエノン及びN−フルオロジベンゼンスルホンイミド(NFSI)である。
化合物(2)に対するハロゲン化剤の量は、ハロゲン化剤上の活性なハロゲン原子の量に依存するが、N−ハロスクシンイミドのように1個の活性ハロゲン原子の場合、該量は通常0.25〜4当量であり、好ましくは0.25〜2.5である。
更に、反応媒体への酸の付加は、反応速度及び化合物(1)の収率についてポジティブな効果を有することが見出された。好ましくは、酸は、脂肪族及び芳香族カルボン酸等のカルボン酸の中から選択される。このような酸の具体例は、酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、安息香酸、及び2−ニトロ安息香酸等のニトロ置換安息香酸である。化合物(2)に対する酸の量は、0〜200モルパーセントであり、好ましくは0〜60モルパーセントである。
不斉ハロゲン化を誘導し得る、キラル窒素含有有機化合物は触媒として用いることができる。好ましくは、一級又は二級窒素原子を有する触媒である。キラル窒素含有有機化合物は、それ自体で、又はその塩形態の1種において適切な場合に用いられることが理解される。
触媒として用いられる、キラル窒素含有有機化合物の具体例は、下記化合物(3)を含むが、これに限定されない。
式中、qは0又は1であり;
R5、R6、R7、R8は同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシル、OH、アミノ、アミド、シリル、シリルエーテル、COR11、任意に置換されたアリール、任意に置換された複素環、少なくとも1個のOH基で置換されたアルキル、任意に置換されたアミノ基又は任意に置換されたアリール又は複素環を表わすか、又はR5及びR6、又はR7及びR8が一緒にカルボニル基を表すか、qが1の時、R5がR7又はR8と一緒に架橋して環構造の一部を形成し;R11が任意に置換されたアミノ基又はOR12を表わし、OR12がH、アルキル又はフェニルを表し;
R9及びR10が同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル、OH又はアルコキシを表わし;又はR9及びR10が一緒に架橋して環構造の一部を形成し;
ZがS、O、C=O、C(R14)2、N−R14であり、R14はR5であり;
ただし、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R14及びZは、化合物(3)がキラル化合物であるように選択される。
R5、R6、R7、R8は同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル、ハロアルキル、アルコキシル、OH、アミノ、アミド、シリル、シリルエーテル、COR11、任意に置換されたアリール、任意に置換された複素環、少なくとも1個のOH基で置換されたアルキル、任意に置換されたアミノ基又は任意に置換されたアリール又は複素環を表わすか、又はR5及びR6、又はR7及びR8が一緒にカルボニル基を表すか、qが1の時、R5がR7又はR8と一緒に架橋して環構造の一部を形成し;R11が任意に置換されたアミノ基又はOR12を表わし、OR12がH、アルキル又はフェニルを表し;
R9及びR10が同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル、OH又はアルコキシを表わし;又はR9及びR10が一緒に架橋して環構造の一部を形成し;
ZがS、O、C=O、C(R14)2、N−R14であり、R14はR5であり;
ただし、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R14及びZは、化合物(3)がキラル化合物であるように選択される。
化合物(3)がキラル化合物であるように、適当な基R5、R6、R7、R8、R9、R10、R14及びZを選択することは、当業者の能力の範囲内である。この但し書きが選択に対しどの限定を提供するかは、当業者には直ちに明瞭であろう。qが0の場合には、R5及びR6は、R5がR6と異なるように選択され、qが1の場合には、R5、R6、R7及びR8はR5、R6、R7及びR8の少なくとも1個が他の3個と異なるように選択される。
本発明の好ましい実施態様においては、qは1であり;R5、R6、R7、R8は同一であっても異なっていてもよく、H、COR11、任意に置換されたアリール、好ましくはフェニル又はベンジルであるか、又はOH基、任意に置換されたアミノ基又は任意に置換されたアリール又は複素環基の少なくとも1種で置換されたメチルであるか、又はR5及びR7が一緒にC3-5アルキレン架橋を表わし;
R11がOH、NH2又はNHアルキレン架橋を表わし;
R9及びR10がHであるか、又はR9及びR10は、共にフェニル、ベンジル、COOH又はCO−アルコキシで任意に置換されたメチレン架橋を表わし;
ZがCH−R14又はN−R14であり、R14がH又はアルキルを表す。
R11がOH、NH2又はNHアルキレン架橋を表わし;
R9及びR10がHであるか、又はR9及びR10は、共にフェニル、ベンジル、COOH又はCO−アルコキシで任意に置換されたメチレン架橋を表わし;
ZがCH−R14又はN−R14であり、R14がH又はアルキルを表す。
更に好ましい実施態様においては、置換基対(R5/R6)は対(R7/R8)と同一である。
更に好ましい実施態様においては、R5又はR6のいずれかがHを表わし、R7及びR8がHを表わし;R9及びR10が、共にメチレン架橋を表わし、ZがCH2である。
触媒として用いられる、キラル窒素含有有機化合物は、表1aに示す化合物から選択され、示される立体配置は、単に図示の目的に役立つのみである。
触媒の立体化学の選択は、所望の化合物の立体化学に依存し、触媒の適切な選択により、実施例に図示するような式(1a)又は(1b)のいずれかの化合物を調製することができる。前記触媒は、担体に結合することができ、又は担体に結合していない。
触媒の量は、化合物(2)に対して90モル%と同じくらい高くてよい。原則として、使用される触媒量の下限はないが、実際には、適切な反応率の要求は、特定の下限を決定する。前記触媒は、好都合に最終反応混合物から分離することができ、本発明の後の反応において再使用される。
反応は、好都合には−90℃〜100℃、好ましくは−30℃〜50℃の間の温度で実施される。
化合物(2)上のα−水素原子以外のハロゲンを有する他のいかなる置換基の置換も、本発明の反応において観察されない。
出発化合物(2)、及び触媒として用いられるキラル窒素含有有機化合物は、商業的に入手できるか、公知の方法に従って合成することができる。
中では、一般式(3)は、化合物(2)に対して5モル%以下の量で適用されたた時でも、光学的に活性なα−ハロ−カルボニル化合物、特にα−フルオロ−カルボニル化合物の不斉合成において顕著な触媒効果を示すことが知られている、式(4)の新規な触媒作用のサブクラスである。
式中、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6は同一であってもよく異なっていてもよく、H、アルキル、ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、複素環、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アルコキシル、エステル、アミン、アミド、シリル、シリルエステルを表すか、Y2及びY3又はY4及びY5が一緒に架橋して環構造の一部を形成していてもよく、Q1及びQ2の1つがH、アルキル、ハロアルキル、アルキルアリール及び他の基CY7Y8(OY9)を表わし、ここで、Y7及びY8は同一であっても異なっていてもよく、アルキル、ハロアルキル、アルキルアリール、複素環又は任意に置換されているアリールを表わし、Y9はシリル基を表す。
本発明の好ましい実施態様においては、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6が、それぞれHを表わし;Q1及びQ2の1つがHを表わし;Y7及びY8が、それぞれ任意に置換されたアリール基を表わし、前記置換はアルキル及びハロアルキルの中から選択され;Y9がトリ−アルキルシリルを表す。
本発明のより好ましい実施態様においては、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6が、それぞれHを表わし;Y7及びY8がそれぞれ3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニルを表し;Y9がトリメチルシリを表す。
式(4)の化合物の実例を表1bに示す。
式(4)の化合物は、以下の反応スキームに従って調製される。
式中、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Q1は、前記に定義した通りであり;PgはC(O)O−アルキル等の保護基を表わし;Lgは塩素等の脱離基を表わし;X1は、例えば、塩素、臭素又はヨウ素を表わし、X2は例えばハロゲン又はトリフレートを表す。
本発明は、以下の非限定的な実施例によって説明される。
(実施例1 (R)−2−クロロ−3−メチルブタナールの調製)
65mlのCH2Cl2中の5.4ml(50ミリモル)の3−メチルブタナールの撹拌溶液に、0.57g(5.0ミリモル)の(L)−プロリンアミドを加え、氷浴中で0℃に冷却した。次いで、8.7g(65ミリモル)のN−クロロスクシンイミドを加え、氷浴を除去し、混合物を20℃に加温した。1〜2時間後に混合物の1H−NMR及びガスクロマトグラフィー(GC)により示されるように、アルデヒドが消費されるまで撹拌を続けた。次いで、200mlのペンタンを加え、沈殿した固体をろ過した。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣に50mlのペンタンを加えた。ろ過及びペンタンの蒸発後、(R)−2−クロロ−3−メチルブタナールが得られた。収率5.1g(理論の85%)。非キラルGC及び1H−NMRに基づき、前記化合物は真正なラセミ試料と一致した。eeは、Chrompack CP-Chirasil Dex CB-カラムによるGC、及びMeOH中、NaBH4による2−クロロ−3−メチル−ブタン−1−オールへの還元による(R)としての絶対配置、及び文献値(Koppenhoefer, B.; Weber, R.; Schurig, V. Synthesis 1982, page 317)によるこの生成物の旋光度の比較により80%と決定された。
65mlのCH2Cl2中の5.4ml(50ミリモル)の3−メチルブタナールの撹拌溶液に、0.57g(5.0ミリモル)の(L)−プロリンアミドを加え、氷浴中で0℃に冷却した。次いで、8.7g(65ミリモル)のN−クロロスクシンイミドを加え、氷浴を除去し、混合物を20℃に加温した。1〜2時間後に混合物の1H−NMR及びガスクロマトグラフィー(GC)により示されるように、アルデヒドが消費されるまで撹拌を続けた。次いで、200mlのペンタンを加え、沈殿した固体をろ過した。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣に50mlのペンタンを加えた。ろ過及びペンタンの蒸発後、(R)−2−クロロ−3−メチルブタナールが得られた。収率5.1g(理論の85%)。非キラルGC及び1H−NMRに基づき、前記化合物は真正なラセミ試料と一致した。eeは、Chrompack CP-Chirasil Dex CB-カラムによるGC、及びMeOH中、NaBH4による2−クロロ−3−メチル−ブタン−1−オールへの還元による(R)としての絶対配置、及び文献値(Koppenhoefer, B.; Weber, R.; Schurig, V. Synthesis 1982, page 317)によるこの生成物の旋光度の比較により80%と決定された。
(実施例2)
実施例1の方法を用いて、以下の2−クロロカルボニルを得た。
実施例1の方法を用いて、以下の2−クロロカルボニルを得た。
(実施例3 (R)−2−クロロ−3,3−ジメチルブタナールの調製)
1mlのCH2Cl2中の50mg(0.5ミリモル)の3,3−ジメチルブタナールの撹拌溶液に、5.7mg(0.05ミリモル)の(L)−プロリンアミドを加え、ドライアイス浴中で−78℃に冷却した。次いで87mg(0.65ミリモル)のN−クロロスクシンイミドを加え、混合物を−24℃に加温した。混合物の1H−NMR及びガスクロマトグラフィー(GC)に示されるように、アルデヒドが消費されるまで撹拌を−24℃で続けた(約12時間)。(R)−2−クロロ−3,3−ジメチルブタナールのGCによる収率は理論の>90%であった。eeは、Chrompack CP-Chirasil Dex CB-カラムによるGC、
NaBH4による(2R)−クロロ−3,3−ジメチルブタン−1−オールへの還元後のX−線結晶学による(R)としての絶対配置により95%と決定された。
1mlのCH2Cl2中の50mg(0.5ミリモル)の3,3−ジメチルブタナールの撹拌溶液に、5.7mg(0.05ミリモル)の(L)−プロリンアミドを加え、ドライアイス浴中で−78℃に冷却した。次いで87mg(0.65ミリモル)のN−クロロスクシンイミドを加え、混合物を−24℃に加温した。混合物の1H−NMR及びガスクロマトグラフィー(GC)に示されるように、アルデヒドが消費されるまで撹拌を−24℃で続けた(約12時間)。(R)−2−クロロ−3,3−ジメチルブタナールのGCによる収率は理論の>90%であった。eeは、Chrompack CP-Chirasil Dex CB-カラムによるGC、
NaBH4による(2R)−クロロ−3,3−ジメチルブタン−1−オールへの還元後のX−線結晶学による(R)としての絶対配置により95%と決定された。
(実施例4 2−クロロ−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ブタノールの調製)
実施例3の方法により、0.10ml(0.50ミリモル)の4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ブタナールを用いて、(2R)−クロロ−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ブタノールを得た。理論の95%の収率、81%ee、絶対配置は決定しなかった。
実施例3の方法により、0.10ml(0.50ミリモル)の4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ブタナールを用いて、(2R)−クロロ−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ブタノールを得た。理論の95%の収率、81%ee、絶対配置は決定しなかった。
(実施例5−2−クロロ−3−メチルブタナールの鏡像異性体の調製)
3−メチルブタナールを用いる実施例1の方法を用いて、種々の触媒及び1.3当量のN−クロロスクシンイミドを用いて以下の結果が得られた。
3−メチルブタナールを用いる実施例1の方法を用いて、種々の触媒及び1.3当量のN−クロロスクシンイミドを用いて以下の結果が得られた。
(実施例6)
3−メチルブタナールを用いる実施例1の方法を用いて、種々のハロゲン化剤及び20モル%の種々の触媒を用いて以下の結果が得られた。
3−メチルブタナールを用いる実施例1の方法を用いて、種々のハロゲン化剤及び20モル%の種々の触媒を用いて以下の結果が得られた。
(実施例7 2−ブロモ3,3−ジメチルブタナールの調製)
1mlのCH2Cl2中の50mg(0.5ミリモル)の3,3−ジメチルブタナールの撹拌溶液に、11.1mg(0.05ミリモル)の(2R,5R)−ジフェニルピロリジンを加え、ドライアイス浴中で−78℃に冷却した。次いで、115.7mg(0.65ミリモル)のN−ブロモスクシンイミドを加え、混合物を−24℃に加温した。混合物の1H−NMR及びガスクロマトグラフィー(GC)により示されるように、アルデヒドが消費されるまで、−24℃での撹拌を続けた(約2時間)。2−ブロモ−3,3−ジメチルブタナールの収率はGCにより、理論値の約10%であると決定された。eeはChrompack CP-Chirasil Dex CB-カラムによるGCにより、80%と決定され、絶対配置は決定しなかった。
1mlのCH2Cl2中の50mg(0.5ミリモル)の3,3−ジメチルブタナールの撹拌溶液に、11.1mg(0.05ミリモル)の(2R,5R)−ジフェニルピロリジンを加え、ドライアイス浴中で−78℃に冷却した。次いで、115.7mg(0.65ミリモル)のN−ブロモスクシンイミドを加え、混合物を−24℃に加温した。混合物の1H−NMR及びガスクロマトグラフィー(GC)により示されるように、アルデヒドが消費されるまで、−24℃での撹拌を続けた(約2時間)。2−ブロモ−3,3−ジメチルブタナールの収率はGCにより、理論値の約10%であると決定された。eeはChrompack CP-Chirasil Dex CB-カラムによるGCにより、80%と決定され、絶対配置は決定しなかった。
(実施例8 2−クロロシクロヘキサノンの調製)
実験の系を実施し、以下の方法を用い種々の触媒の存在下で、シクロヘキサノンから光学的に活性な2−クロロシクロヘキサノンを調製した。シクロヘキサノン及びCH2Cl2中の触媒の混合物に、N−クロロスクシンイミド(0.5ミリモル)を加え、反応混合物を、室温で表5に示す時間撹拌した。eeをCSP−GCで決定し、収率をGCで決定した。
実験の系を実施し、以下の方法を用い種々の触媒の存在下で、シクロヘキサノンから光学的に活性な2−クロロシクロヘキサノンを調製した。シクロヘキサノン及びCH2Cl2中の触媒の混合物に、N−クロロスクシンイミド(0.5ミリモル)を加え、反応混合物を、室温で表5に示す時間撹拌した。eeをCSP−GCで決定し、収率をGCで決定した。
(実施例9 有機酸の付加の影響)
実験の系を実施し、以下の方法を用い種々の溶媒中で、触媒として(R,R)−4,5−ジフェニルイミダゾリジンを用いて、有機酸の存在下で、テトラヒドロピラン−4−オンから光学的に活性な3−クロロテトラヒドロピラン−4−オンを調製した。テトラヒドロピラン−4−オン、有機酸(0.4モル当量)、溶媒(1mL)及び触媒(0.05ミリモル)の混合物に、N−クロロスクシンイミドを加え、反応混合物を−10℃で24時間撹拌した。eeをCSP−GCで決定し、収率をGCで決定した。
実験の系を実施し、以下の方法を用い種々の溶媒中で、触媒として(R,R)−4,5−ジフェニルイミダゾリジンを用いて、有機酸の存在下で、テトラヒドロピラン−4−オンから光学的に活性な3−クロロテトラヒドロピラン−4−オンを調製した。テトラヒドロピラン−4−オン、有機酸(0.4モル当量)、溶媒(1mL)及び触媒(0.05ミリモル)の混合物に、N−クロロスクシンイミドを加え、反応混合物を−10℃で24時間撹拌した。eeをCSP−GCで決定し、収率をGCで決定した。
(実施例10 α−ハロ環式及び非環式ケトンの調製)
実験の系を実施し、以下の一般的な方法を用いて、対応するケトンから、光学的に活性なα−ハロ環式及び非環式ケトンを調製した。ケトン、触媒としての(R,R)−4,5−ジフェニルイミダゾリジン及びMeCN中の2−NO2−PhCO2Hの混合物に、N−クロロスクシンイミド(1.0ミリモル)を加え、撹拌しながら20時間反応を行った。eeをCSP−GCで決定し、内部標準を用いて収率を1H NMRで決定し、GC分析を用いて確認した。
実験の系を実施し、以下の一般的な方法を用いて、対応するケトンから、光学的に活性なα−ハロ環式及び非環式ケトンを調製した。ケトン、触媒としての(R,R)−4,5−ジフェニルイミダゾリジン及びMeCN中の2−NO2−PhCO2Hの混合物に、N−クロロスクシンイミド(1.0ミリモル)を加え、撹拌しながら20時間反応を行った。eeをCSP−GCで決定し、内部標準を用いて収率を1H NMRで決定し、GC分析を用いて確認した。
(実施例11 α−ブロモシクロヘキサノンの調製)
実験の系を実施し、α−ブロモシクロヘキサノンを調製した。
実験の系を実施し、α−ブロモシクロヘキサノンを調製した。
(実施例12 α−ブロモテトラヒドロピラン−4−オンの調製)
実験の系を実施し、α−ブロモテトラヒドロピラン−4−オンを調製した。
実験の系を実施し、α−ブロモテトラヒドロピラン−4−オンを調製した。
(実施例13 α−フルオロ−3,3−ジメチルブタナールの調製)
触媒(0.1ミリモル)及び3,3−ジメチル−ブチルアルデヒド(0.5ミリモル)をCH3CN(1.0mL)中で室温で30分間撹拌した。Selectfluor(106mg、0.60ミリモル、1.2当量)を加え、反応混合物を20時間撹拌した。GC解析は、α−フルオロ−3,3−ジメチルブタナールに関してアルデヒドの65%変換、及び71%eeを示した。Selectfluorはエアープロダクツの登録商標であり、化合物名は1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ〔2.2.2〕オクタンビス(テトラフルオロボレート)である。
(実施例14 α−フルオロアルデヒドの調製)
種々のアルデヒド、フッ素化剤及び触媒を用いて、室温で実験の系を実施した。
種々のアルデヒド、フッ素化剤及び触媒を用いて、室温で実験の系を実施した。
(実施例15 ((S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルシラニルオキシ−メチル〕ピロリジンにより触媒される、フッ素化剤としてNFSIを用いたアルデヒドの有機触媒的なα−フッ素化方法)
触媒((S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルシラニルオキシ−メチル〕ピロリジン、0.005ミリモル、1モル%)及びアルデヒド(0.75ミリモル、1.5当量)をMTBE(1.0ml)中で、室温で30分間撹拌した。NFSI(158mg、0.50ミリモル、1.0当量)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。変換をGC解析で測定した。また、以下の方法により、触媒的生成物を、対応するアルコールに還元した後、収率を確認した。ペンタン(4.0ml)を加え、ろ過により沈殿を除去した。MeOH(4.0ml)、次いでNaBH4(2当量)を加えた。1時間後に、KHSO4の1M溶液により反応を停止し、生成物をEt2Oを用いて抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、溶媒の濃縮後にシリカによるフラッシュクロマトグラフィーによりアルコールを分離した。
触媒((S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルシラニルオキシ−メチル〕ピロリジン、0.005ミリモル、1モル%)及びアルデヒド(0.75ミリモル、1.5当量)をMTBE(1.0ml)中で、室温で30分間撹拌した。NFSI(158mg、0.50ミリモル、1.0当量)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。変換をGC解析で測定した。また、以下の方法により、触媒的生成物を、対応するアルコールに還元した後、収率を確認した。ペンタン(4.0ml)を加え、ろ過により沈殿を除去した。MeOH(4.0ml)、次いでNaBH4(2当量)を加えた。1時間後に、KHSO4の1M溶液により反応を停止し、生成物をEt2Oを用いて抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、溶媒の濃縮後にシリカによるフラッシュクロマトグラフィーによりアルコールを分離した。
(実施例16 触媒(S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルラニルオキシ−メチル〕ピロリジンの調製)
4段階合成により、L−プロリンから、触媒((S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルシラニルオキシ−メチル〕ピロリジンを調製した。詳細な工程は以下の通りである。
1.(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−エチルエステル2−メチルエステル:
4段階合成により、L−プロリンから、触媒((S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルシラニルオキシ−メチル〕ピロリジンを調製した。詳細な工程は以下の通りである。
1.(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−エチルエステル2−メチルエステル:
45ml(477ミリモル)のエチルクロロホルメートを、300mlのMeOH中の25g(217ミリモル)のL−プロリン及び30g(217ミリモル)の炭酸カリウムの懸濁液に加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。溶媒の蒸発、200mlの水の添加、CH2Cl2(4×100ml)を用いた抽出、Na2SO4による有機相の乾燥、及び溶媒の留去で純粋な生成物44g(99%)を得た。
2.(S)−1,2−ビス−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−テトラヒドロ−ピロール〔1,2−c〕オキサゾール−3−オンの調製
0.84g(34ミリモル)のMgを20mlの乾燥THFに、N2雰囲気下に懸濁し、60mlの乾燥THF中の5.9ml(34ミリモル)の2,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンの溶液をゆっくりと加えた。次いで、混合物を加熱して1時間環流した。反応物を0℃に冷却し、50mlの乾燥THF中の3.11g(15ミリモル)のピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−エチルエステル2−メチルエステルの溶液を加えた。次いで、2時間の還流前に反応物を室温にした。反応混合物を室温に冷却し、次いで氷及び飽和NH4Cl溶液に注いだ。EtOAcを用いた抽出(3×50ml)、Na2SO4による乾燥及び溶媒の蒸発で、49.0g(99%)の暗褐色固体/オイルを得た。Et2Oから再結晶し、白色固体として、4.3g(50%)の生成物を得た。
3.(S)−ビス(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−2−イル−メタノールの調製
4.3g(76ミリモル)のKOH及び4.2g(7.6ミリモル)の(S)−1,2−ビス−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−テトラヒドロ−ピロール〔1,2−c〕オキサゾール−3−オンを、20mlのMeOHに懸濁し、加熱して2時間環流した。室温に達した後、溶媒を除去し、水を加え、混合物をCH2Cl2を用いて抽出した。Na2SO4による乾燥及び蒸発で、無色のオイルとして4.2g(99%)の生成物を得た。
4.(S)−2−〔ビス−(3−5−ビストリフルオロメチル−フェニル)−トリメチルシラニルオキシ−メチル〕ピロリジンの調製
Claims (17)
- R2がH、又は任意に置換されたC1-10アルキル基であるか、又はR及びR2が一緒に架橋して環構造を形成している、請求項1記載の方法。
- R1が水素、又は任意に置換されたC1-10アルキル基である、請求項1又は2記載の方法。
- Rが任意に置換されたC1-10アルキル基、任意に置換されたC2-8アルキレン基、又はC1-3アルキルアリール基である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- Rが任意に置換されたC1-6アルキル基、任意に置換されたC2-4アルキレン基、又はC1-2アルキルアリール基である、請求項4記載の方法
- R1及びR2がHである、請求項4又は5記載の方法。
- 前記キラル窒素含有有機化合物が、一級又は二級窒素原子を、又は適切な場合はその塩形態で有する化合物から選択さえる、請求項1記載の方法。
- キラル窒素含有有機化合物が、
式(3)の化合物から選択される、請求項7記載の方法。
R9及びR10が同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル、OH又はアルコキシを表わし;又はR9及びR10が一緒に架橋して環構造の一部を形成し;
ZがS、O、C=O、C(R14)2、N−R14であり、R14はR5であり;
ただし、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R14及びZは、化合物(3)がキラル化合物であるように選択される。) - qが1であり;R5、R6、R7、R8が同一であっても異なっていてもよく、H、COR11、任意に置換されたアリール、又は、OH基、任意に置換されたアミノ基、又は任意に置換されたアリール又は複素環基の少なくとも1種で置換されたメチルを表わし;又はR5及びR7が一緒にC3−5アルキレン架橋を表わし;
R11がOH、NH2又はNH−アルキルを表わし;
R9及びR10がHであるか、又はR9及びR10が、一緒に、フェニル、ベンジル、COOH又はCO−アルコキシで任意に置換されたメチレン架橋を表わし;
ZがCH−R14又はN−R14であり、R14がH又はアルキルを表す、請求項8記載の方法。 - R5又はR6のいずれかがHを表わし;R7及びR8がHを表わし;R9及びR10が一緒にメチレン架橋を表わし、ZがCH2である、請求項9記載の方法。
- R1がHであり、R及びR2が、それぞれ、任意に置換されたC1-10アルキル基を表わすか、又はR2がRと一緒に、ヘテロ原子によって置換されている1以上の炭素原子で任意に置換されている、C3-5−アルキレン架橋を形成している、請求項3記載の方法。
- 反応媒体に1以上の酸を添加する、請求項1記載の方法。
- 式(3)の化合物が式(4)の化合物である、請求項8記載の方法。
- 請求項13に記載されている、式(4)の化合物。
- Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6が、それぞれHを表わし;Q1及びQ2の1つがHを表わし;Y7及びY8が、それぞれ任意に置換されたアリール基を表わし、ここで、置換基がアルキル及びハロアルキルの中から選択され;Y9がトリアルキルシリルを表す、請求項14記載の化合物。
- Y7及びY8が、それぞれ3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニルを表わし、Y9がトリメチルシリルを表す、請求項15記載の化合物。
- Y7及びY8が、それぞれ3,5−ジ−メチルフェニルを表わし、Y9がトリメチルシリルを表す、請求項15記載の化合物。
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