JP3878582B2 - 放電灯 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明や液晶ディスプレイのバックライト等に用いられる放電灯に係わり、特に冷陰極を用いた放電灯に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電灯は、全照明光源の約半数を占める産業上及び生活上重要な技術分野であり、特に、最近冷陰極型の放電灯が液晶ディスプレイのバックライト光源として、急激に生産が拡大している。
【0003】
冷陰極型放電灯の一例として冷陰極蛍光ランプがある。これは、一対の冷陰極をガラス管内部に対向して配置し、ガラス管内部には希ガスと微量のHgが封入されているものである。これらの一対の冷陰極間に高電圧を印加することによって、両電極間に放電を開始させ、この放電を維持することによって、水銀の励起による紫外線発光を生じさせて蛍光体を発光させる仕組みとなっている。また、バリヤ型と呼ばれる冷陰極放電灯も知られており、放電空間を形作る管の外部に電極が設けられ、当該電極は直接放電面に接していない構成となっている。
【0004】
このような冷陰極型放電灯は、従来より用いられている熱陰極型蛍光灯に比べて、加熱フィラメントの断線や電子放出用エミッタ物質の消耗などが少なく寿命が極めて長いという特徴を持っている。このため、光源の交換が困難な産業用機器の照明として用途が拡大しつつあり、特に液晶ディスプレイ用のバックライトとして近年急激な生産拡大を示している。この一方で、冷陰極型は、熱陰極型に比べて発光効率が低いという問題がある。この発光効率の向上が実現されれば、産業用としてのみでなく広く一般に照明として現在の蛍光灯に対する置き換えを狙うことができる。
【0005】
冷陰極放電灯の性能向上を図るために、発明者らは陰極の電子放出材料としてダイヤモンドを用いた冷陰極放電灯を考案した(特許文献1及び2参照。)。ダイヤモンドは二次電子放出効率が高くスパッタ耐性も高いので、発光効率が高く寿命も長い放電灯を提供することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−298777公報
【特許文献2】
特開2003−132850号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた冷陰極放電灯では、陰極の電子放出効率が全体の発光効率を左右しており、また陰極の劣化が寿命を制限している。陰極の電子放出材料としてダイヤモンドを用いた冷陰極放電灯によれば、ある程度は発光効率が高く寿命も長い放電灯を提供することができる。
【0008】
しかしながら、本発明者の研究によれば、陰極の電子放出材料としてダイヤモンドを用いた冷陰極放電灯においても、それが本来持つ高い発光効率及び長い寿命を十分に発揮することができないことが見出された。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、高い発光効率及び長い寿命を十分に発揮できる放電灯を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上述した課題を解決するために、本発明の第1の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器内に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が含まれていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器内に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が0.002%以上12.5%以下含まれていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第1乃至第の放電灯において、前記ダイヤモンド部材は、前記電極の表面の少なくとも一部を覆うダイヤモンド膜であることが望ましい。
【0014】
また、本発明の第4の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器外面に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記外囲器内面に前記電極と対向して設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が含まれていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第5の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器外面に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記外囲器内面に前記電極と対向して設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が0.002%以上12.5%以下含まれていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第4乃至第の放電灯において、前記ダイヤモンド部材は、前記外囲器内面の少なくとも一部を覆うダイヤモンド膜であることが望ましい。
【0018】
また、本発明の第1乃至第6の放電灯において、以下の構成要件を備えることが望ましい。
【0019】
(1)前記放電用ガスは、200nm以下の主要発光ピークを有する元素を含むガスを含むこと。
【0020】
(2)前記放電用ガスは希ガスと水銀とを含むこと。
【0021】
(3)前記放電用ガスはXeを含むこと。
【0022】
(4)前記放電用ガスは水素ガスを含むこと。
【0023】
(作用)
本発明者の研究によれば、放電灯を長い間使用すると、放電の継続により電極表面のダイヤモンド部材の一部がスパッタリングされ、これにより放電空間に放出された炭素原子が前記ダイヤモンド部材の表面(放電面)に再付着することが見出された。即ち、ダイヤモンドは炭素原子によって構成されており、同じく炭素原子によって構成されるグラファイトのような同素体が存在し、自然にはグラファイトになりやすいため、上記再付着によって前記ダイヤモンド部材の表面には主にグラファイト成分からなる薄層やダイヤモンド成分とグラファイト成分を含み非晶質のアモルファカーボンからなる薄層等が形成される。
【0024】
グラファイト等の非ダイヤモンド成分はダイヤモンドと同様にスパッタ率は小さいが、二次電子放出効率は高くないため、この非ダイヤモンド成分を含む炭素薄層により放電面のダイヤモンドが被覆されてしまうと、陰極の電子放出効率が低下してしまい、ダイヤモンドの使用による高発光効率の効果が低減するという問題が生じていた。さらに、非ダイヤモンド成分を含む炭素薄層により放電面のダイヤモンドが被覆される状態が続くと、陰極にダイヤモンドを用いた冷陰極放電灯は放電しにくくなり、その寿命が著しく小さくなってしまうという問題もあった。
【0025】
本発明の放電灯によれば、ダイヤモンド部材の放電面からスパッタされた炭素原子が該放電面に再付着して形成される非ダイヤモンド成分を含む炭素薄層を、放電用ガス中に含まれる酸素により選択的に除去し、該放電面においてダイヤモンドが常に露出するようにできるため、ダイヤモンドを用いた陰極の二次電子放出性能を維持し、実用的な長寿命を持つ高効率冷陰極放電灯を実現することが可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放電灯の構造を示す断面図である。本実施形態に係る放電灯はいわゆる内部電極型の放電灯である。
【0028】
図1に示すように、ガラス管1の内部には一対の電極12a、12b(冷陰極)がガラス管1の両端部分に設けられている。これらの電極12a、12bはそれぞれ、W(タングステン)やMo(モリブデン)等からなる金属ロッド15a、15bと、これらの表面にそれぞれ形成されたダイヤモンド膜14a、14bから構成される。電極12a、12bの金属ロッド15a、15bは、引き出しリード16a、16bを介して外部電源と接続される構造となっている。また、ガラス管1の内部2には放電用ガスが封入されている。例えば、ガラス管1内には放電を容易にするために封止ガスとして、希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスと水素ガスが60hPaの圧力で封止されている。水素ガスの分圧は1%である。また、数mgの微量の水銀10が封入されている。本実施形態では、さらに微量の酸素ガス11が全圧に対する分圧の割合で1%封入されている。
【0029】
本実施形態の放電灯では、一対の電極12a、12bに対して、外部電源より高電圧、例えば500Vが引き出しリード16a、16bを介して印加される。ここで、一般的には放電を生じさせるために交流電圧を電極12a、12b間に印加する構成となっており、電極12a、12bの片方がエミッタ(陰極)として作用するときは他方は陽極として作用する。
【0030】
電圧を印加する前は、ガラス管1内は絶縁状態であるが、電極12a、12bに電圧を印加すると、管内に残存する電子が陽極に引かれて高速に移動する間に希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスの原子に衝突し、新たな電子と希ガスイオンが生成される。この衝突過程が繰り返され、増殖した陽イオン13aがエミッタ(陰極)12a(或いは12b)に対して入射する。これによりダイヤモンド膜14a(或いは14b)から二次電子17が放出されて放電が開始する。
【0031】
2次電子17も同様に封止された希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスの原子に衝突し、衝突された原子は陽イオン13aとなってエミッタ(陰極)12a(或いは12b)に対して入射する。これによりダイヤモンド膜14a(或いは14b)から再び二次電子17が放出されて放電が維持されることになる。放電の維持に必要な電圧は放電の開始に必要な電圧よりも低下する。
【0032】
この時、二次電子放出効率の大きなダイヤモンドを用いているため、放電の開始及び維持に要する電圧は従来のNi等の金属を冷陰極として用いたものよりも大幅に低下する。また、放電用ガス中の水素がダイヤモンド膜14a、14bの表面に終端することにより、電子17を効率よく放電空間2に放出させることが可能であり、放電の開始電圧と維持電圧をさらに下げることが可能である。
【0033】
この放電により電子17の一部はガラス管1内に封止した水銀原子10と衝突する。或いは放出された電子17の一部は、希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスの原子に衝突してこれを励起し、励起された原子13bは水銀原子10と衝突する。水銀原子10は衝突によりエネルギーを受け紫外線18を放出する。この紫外線18により蛍光体4が励起され可視光線19を発生する。発光色は蛍光体の種類によって異なり、白色、昼光色、青色など数々の色種の光がランプから放射される。
【0034】
以上のようにダイヤモンド膜14a、14bを電子放出源として用いることにより、放電の開始及び維持を低電圧で行うことができ、消費電力の少ない放電灯を提供することができるが、本実施形態の放電灯によれば、かかる効果に加えて、放電用ガス中に微量の酸素11を含ませることにより以下に述べる効果を奏する。
【0035】
まず、放電用ガス中の原子のイオン化により生じた陽イオン13aがダイヤモンド膜14a、14bの表面(放電面)に衝突すると、放電の維持に必要な二次電子17が放出される他に、スパッタリングが生じてダイヤモンドを構成する炭素が主に中性原子状で放出される。放出された中性原子は希ガス原子13b、水銀原子10等に衝突してその一部はダイヤモンド膜14a、14bの表面(放電面)に再付着する。
【0036】
この再付着層は、前述したように主にグラファイト成分からなる薄層やダイヤモンド成分とグラファイト成分を含み非晶質のアモルファカーボンからなる薄層等であり、非ダイヤモンド成分を含む炭素層となっている。この再付着層は二次電子放出効率が小さいため、陰極12a、12bの電子放出効率は低下し、ダイヤモンドの使用による高発光効率の効果が低減するという問題が生じていた。さらに、非ダイヤモンド成分を含む再付着層により放電面のダイヤモンド膜14a、14bが被覆される状態が続くと、陰極にダイヤモンドを用いた冷陰極放電灯は放電しにくくなり(放電開始電圧の増加に相当。)、その寿命が著しく小さくなってしまうという問題もあった。
【0037】
本実施形態の放電灯によれば、放電用ガス中に微量の酸素11を含ませることにより、ダイヤモンド膜14a、14bの放電面からスパッタされた炭素原子が該放電面に再付着して形成される非ダイヤモンド成分を含む再付着層を、放電用ガス中に含まれる酸素により選択的に除去することができる。即ち、酸素を含むプラズマ中では、グラファイトやアモルファスカーボンのような非ダイヤモンド成分はダイヤモンドに比較してエッチングレートが高い。このため、ダイヤモンド膜14a、14bに対して非ダイヤモンド成分を含む再付着層を酸素により選択的に除去することが可能である。したがって、該放電面においてダイヤモンドが常に露出するようにできるため、ダイヤモンドを用いた陰極の二次電子放出性能を維持し、実用的な長寿命を持つ高効率冷陰極放電灯を実現することが可能である。
【0038】
次に、本発明の放電灯において、ガラス管内に封入する酸素ガスの分圧について、その好ましい範囲を説明する。図3は、ガラス管内に封入する酸素ガスの分圧と放電開始電圧との関係を示す特性図である。
【0039】
図3において、横軸はガラス管内の全圧(p[Pa])と一対のダイヤモンド膜14a、14b間の最短距離(d[cm])との積の値(p×d[Pa・cm])を示し、縦軸は放電開始電圧(Vf[V])の値を示す。図中には参考として陰極に金属(本例ではMo)を用いた場合の値も併記している。積の値p×dが大きくなるにつれて一般的に放電開始電圧Vfの値も大きくなる。図3に示すように、酸素ガスの割合(全圧に対する酸素ガス分圧の割合,%表示)が大きくなるにつれて放電開始電圧Vfも上昇する。これは、電離しにくい酸素ガスの割合が増え、放電が起こりにくくなるためである。酸素ガスの割合が12.5%以下では放電開始電圧Vfは金属よりも十分低い水準にあるが、酸素ガスの割合が15%を越えると放電開始電圧Vfは金属の値よりも高くなってしまう。したがって、酸素ガス分圧の割合は12.5%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であることが望ましい。
【0040】
ここで、酸素ガスの割合が0%、即ち酸素ガスが含まれていない場合は、放電開始電圧Vfはかなり低い値であるが、これは放電継続時間が0、即ち初めて放電を行う場合の値である。酸素ガスが含まれていない場合、この放電開始電圧Vfの値は放電継続時間が長くなるにつれて大きくなってしまい、放電が不可能となる場合もある。表1は、酸素ガスの割合(全圧に対する酸素ガス分圧の割合,%表示)と放電継続時間と放電開始電圧Vfの関係を示す表である。表1における放電開始電圧Vfは、交流電圧を印加し、半サイクルで放電の開始と停止を繰り返す場合の放電が開始する電圧であり、表1では放電開始電圧Vfが放電継続時間とともにどのように変化するかを示している。
【0041】
【表1】
Figure 0003878582
【0042】
表1に示されるように、酸素ガスの割合が0%、即ち酸素ガスが含まれていない場合は、放電継続時間が長くなるにつれて、放電開始電圧Vfは大きくなり、さらには放電が不可能となってしまう。また、酸素ガスの割合が0.001%、0.0015%の場合も同様に、放電継続時間が長くなるにつれて放電開始電圧Vfの増大、さらには放電不能を招いてしまう。これは、酸素が存在しないか或いは殆ど存在しないため、ダイヤモンド膜14a、14bの放電面に非ダイヤモンド成分を含む再付着層が形成されることを抑制できないためである。
【0043】
これに対して、酸素ガスの割合が0.002%、0.005%、1%の場合は、放電開始電圧Vfは増加しないか、或いはあまり増加しない。これは、酸素が十分存在し、この酸素によりダイヤモンド膜14a、14bの放電面に非ダイヤモンド成分を含む再付着層が形成されることを抑制できるためである。したがって、酸素ガス分圧の割合は0.002%以上、好ましくは0.005%以上であることが望ましい。
【0044】
次に、本実施形態に係る放電灯の製造方法について説明する。まず、W(タングステン)やMo(モリブデン)等からなる金属ロッド15a、15bを準備し、この金属ロッド15a、15bの表面に厚さ10μm程度の多結晶のダイヤモンド膜14a、14bを形成する。ダイヤモンド膜14a、14b中にはB(ホウ素)がドーピングされる。ダイヤモンド膜14a、14bの成膜にはマイクロ波プラズマCVD法を用いた。メタノール2.68ccにホウ酸(B23)を0.2g溶かし、これを137ccのアセトンと混合させ、キャリアガスとして水素を用いて、反応室内に原料供給を行い、マイクロ波プラズマCVDによりダイヤモンド膜14a、14bを成膜する。アセトンとメタノールの混合液が炭素(ダイヤモンド)源となり、ホウ酸(B23)がB(ホウ素)源となる。この時の成膜条件は、基板温度を850℃、反応室内圧力を80Torr、キャリアガスの流量を200sccm、マイクロ波パワーを2kW、成膜時間を3時間とした。以上により、電極12a、12bが完成し、この電極12a、12bに引き出しリード16a、16bを取り付ける。
【0045】
次に、蛍光体膜4を内面に塗布形成したガラス管1を準備した。蛍光体膜4の材料としてはハロリン酸カルシウム蛍光体等を用いることができ、スラリー状に調製した原料をガラス管1の内面に塗布すればよい。次に、引き出しリード16a、16bを取り付けた電極12a、12bをガラス管1の両端位置に配置するとともに、ガラス管1内部に前述した放電用ガスを導入して、ガラス管1両端の封止部においてガラス管1の封止を行う。例えば、800℃の温度でガラス管1両端の封止部を熱処理することにより当該部分を軟化、流動させて封止を行うことができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る放電灯の構造を示す断面図である。図1と同一部分には同一の符号を記す。本実施形態に係る放電灯はいわゆるバリヤ型の放電灯であり、放電管の外面に電極が設けられ、この電極に対して電圧が印加されることにより、放電管内部に放電を誘起して発光させるものである。
【0047】
図2に示されるように本実施形態に係る放電灯は、ガラス管21と、その内面に形成され紫外線により可視光を発生する蛍光体膜26と、ガラス管21の両端内面に取り付けられた円筒状の一対のダイヤモンド層24a、24bと、これらのダイヤモンド層24a、24bに対してガラス管21を介して対向するようにガラス管21の両端外面に取り付けられた円筒状の一対の外部電極23a、23bとを有する。一対の外部電極23a、23bのそれぞれはW(タングステン)やMo(モリブデン)等からなるものである。外部電極23a、23bとダイヤモンド層24a、24bが電極22a、22bを構成する。
【0048】
ガラス管21の内部25には第1の実施形態と同様に放電用ガスが封入されている。即ち、希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスと水素ガス、微量の水銀10、さらに微量の酸素ガス11が全圧に対する分圧の割合で1%封入されている。
【0049】
次に、本実施形態のバリア型放電灯の動作について説明する。
【0050】
まず、放電を開始させるために、一対の外部電極23a、23b間に周波数40kHz、1500Vの高周波電圧を印加する。電極22a、22bの片方がエミッタ(陰極)として作用するときは他方は対極電極(陽極)として作用する。この高周波電圧の印加により、管内に残存する電子が陽極に引かれて高速に移動する間に希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスの原子に衝突し、新たな電子と希ガスイオンが生成される。この衝突過程が繰り返され、増殖した陽イオン13aがエミッタ(陰極)12a(或いは12b)に対して入射する。これによりダイヤモンド層24a(或いは24b)から電子が放出されて放電が開始する。
【0051】
この時、放電用ガス中の水素がダイヤモンド層24a、24bの表面に終端することにより、電子を効率よく放電空間25に放出させることが可能である。放出された電子は対極電極(陽極)側に移動し、放電が開始する。
【0052】
以上の機構により第1の実施形態と同様に断続放電が生じ、それによって生じる紫外線18により蛍光体膜26が励起されて発光19が生じる。本実施形態では水銀蒸気を用いたが、バリア型放電灯では、外部電極23a、23bを放電空間25に晒していないため、外部電極23a、23bが消耗されるのを抑制するためにガラス管21内に水銀蒸気を存在させる必要がない。したがって、ガラス管21の内部に封入するガスとして水素ガスと希ガスのみを使用することも可能である。
【0053】
本実施形態のバリヤ型放電灯においても、二次電子放出効率の大きなダイヤモンドを用いているため、放電の開始に要する電圧は従来のNi等の金属を冷陰極として用いたものよりも大幅に低下する。また、放電用ガス中の水素がダイヤモンド層24a、24bの表面に終端することにより、電子17を効率よく放電空間に放出させることが可能であり、放電の開始電圧を下げることが可能である。
【0054】
以上のようにダイヤモンド層24a、24bを電子放出源として用いることにより、放電の開始を低電圧で行うことができ、消費電力の少ない放電灯を提供することができるが、本実施形態の放電灯によれば、かかる効果に加えて、放電用ガス中に微量の酸素11を含ませることにより第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0055】
即ち、放電用ガス中に微量の酸素11を含ませることにより、ダイヤモンド層24a、24bの放電面からスパッタされた炭素原子が該放電面に再付着して形成される非ダイヤモンド成分を含む再付着層を、放電用ガス中に含まれる酸素により選択的に除去することができる。したがって、該放電面においてダイヤモンドが常に露出するようにできるため、ダイヤモンドを用いた陰極の二次電子放出性能を維持し、実用的な長寿命を持つ高効率冷陰極バリヤ型放電灯を実現することが可能である。
【0056】
本実施形態の放電灯においても、ガラス管内に封入する酸素ガスの分圧について調べたところ、その好ましい範囲は第1の実施形態と同様であり、酸素ガス分圧の割合が0.002%以上、好ましくは0.005%以上であることが望ましく、12.5%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であることが望ましい。
【0057】
次に、本実施形態に係る放電灯の製造方法について説明する。まず、マスク等を用いることにより、ダイヤモンド層24a、24bをガラス管21両端内面のみに形成し、次に蛍光体膜26をガラス管21の内面に塗布形成した。ダイヤモンドの成膜方法は、導電性が不要であるために、ホウ酸(B23)を添加しないことを除き第1の実施形態と同様である。また、蛍光体膜26の材料及び作製方法も第1の実施形態と同様である。蛍光体膜26は、マスク等を用いることにより、ダイヤモンド層24a、24bが設けられたガラス管21両端内面には形成しないようにした。
【0058】
次に、ガラス管21内部に前述した放電用ガスを導入して、ガラス管21両端の封止部においてガラス管21の封止を行う。例えば、800℃の温度でガラス管21両端の封止部を熱処理することにより当該部分を軟化、流動させて封止を行うことができる。最後に、ガラス管21の外面の両端部に一対の外部電極23a、23bを形成して本実施形態の放電灯が完成する。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、電極材料はタングステン、モリブデンに限定されず、他の材料、例えばTa(タンタル)を用いることが可能である。また、電極の形状も膜状に限定されず、例えば板状、棒状、線状、コイル状その他の形状を採用することが可能である。
【0060】
また、バリヤ型の放電灯の場合において、蛍光膜及びダイヤモンド部材がそれぞれ外囲器内面の異なる位置に設けられているが、これに限られず、例えば蛍光膜とダイヤモンド部材とを重ねて設けても良い。即ち、外囲器内面に蛍光膜を設けその上にダイヤモンド部材を設けても良い。
【0061】
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、ダイヤモンドを用いた陰極の二次電子放出性能を維持し、実用的な長寿命を持つ高効率な放電灯を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係わる冷陰極放電灯を示す断面図。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係わる冷陰極放電灯を示す断面図。
【図3】 ガラス管内に封入する酸素ガスの分圧と放電開始電圧との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 ガラス管
2 ガラス管1の内部(放電空間)
10 水銀原子
11 酸素
12a、12b 一対の電極(冷陰極)
13a 希ガス陽イオン
13b 希ガス原子
14a、14b ダイヤモンド膜
15a、15b 金属ロッド
16a、16b 引き出しリード
17 電子(二次電子)
18 紫外線
19 可視光線
21ガラス管
22a、22b 電極
23a、23b 外部電極
24a、24b ダイヤモンド層
25 ガラス管21の内部(放電空間)
26 蛍光体膜

Claims (10)

  1. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器内に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が含まれていることを特徴とする放電灯。
  2. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器内に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が0.002%以上12.5%以下含まれていることを特徴とする放電灯。
  3. 前記ダイヤモンド部材は、前記電極の表面の少なくとも一部を覆うダイヤモンド膜であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の放電灯。
  4. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器外面に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記外囲器内面に前記電極と対向して設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が含まれていることを特徴とする放電灯。
  5. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器外面に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記外囲器内面に前記電極と対向して設けられたダイヤモンド部材とを具備し、前記放電用ガス中には酸素が0.002%以上12.5%以下含まれていることを特徴とする放電灯。
  6. 前記ダイヤモンド部材は、前記外囲器内面の少なくとも一部を覆うダイヤモンド膜であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の放電灯。
  7. 前記放電用ガスは、200nm以下の主要発光ピークを有する元素を含むガスを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の放電灯。
  8. 前記放電用ガスは希ガスと水銀とを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の放電灯。
  9. 前記放電用ガスはXeを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の放電灯。
  10. 前記放電用ガスは水素ガスを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の放電灯。
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