JPH11329347A - 放電ランプ及びその製造方法 - Google Patents

放電ランプ及びその製造方法

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JPH11329347A
JPH11329347A JP12565498A JP12565498A JPH11329347A JP H11329347 A JPH11329347 A JP H11329347A JP 12565498 A JP12565498 A JP 12565498A JP 12565498 A JP12565498 A JP 12565498A JP H11329347 A JPH11329347 A JP H11329347A
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electron
discharge
electrode
discharge lamp
emitting substance
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JP12565498A
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Shigeo Suzuki
重夫 鈴木
Ryuji Kashio
龍治 樫尾
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EREBAMU KK
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EREBAMU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランプ組み立て工程において電子放射性物質
の生成に高温による熱分解を要することのない放電ラン
プを提供する。 【解決手段】 放電電極(4)には、仕事関数の比較的
小さなBa,Sr,Mg,Ca,Cs,Wなどの金属と
炭素との結合を有する有機金属化合物を出発材料として
形成された第1の電子放射性物質(10)を採用する。
有機金属化合物は、芳香族炭化水素などと金属との化合
物であり、大気中で比較的安定し、電極基体への塗布や
水銀放出構体への含浸などの処理が容易である。この有
機金属化合物は熱分解して組成金属の酸化物を生成す
る。この酸化物が第1の電子放射性物質とされる。熱分
解に要する熱は、Baなどの炭酸塩の熱分解に必要な温
度ほど高温であることを要さず、ガラス製容器に放電電
極を気密に封入するときの温度で十分である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
のバックライト用光源などに利用される小型若しくは細
型の放電ランプ、更にはそのような放電ランプの製造方
法に関し、特にその電子放射性物質を放電電極に形成す
る技術に係り、例えば、パーソナルコンピュータや携帯
情報端末の液晶ディスプレイに適用して有効な技術に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光ランプなどの放電電極には、ランプ
の始動を容易化すると共に、寿命中の光束劣化を少なく
するために、電子放射性物質が用いられている。
【0003】代表的な電子放射性物質として、BaO,
SrO,CaOの三元酸化物がある。これら酸化物は空
気中で水分を吸収し易いので炭酸塩を出発材料とし、真
空中で加熱して酸化物に変えることが行なわれる。例え
ば、蛍光ランプの放電電極の場合、放電電極の電極基体
にBaの炭酸塩を塗布し、これをランプ排気工程中で加
熱することにより、前記酸化物を主体とする電子放射性
物質を形成する。この電子放射性物質のBa原子によっ
て放電電極の仕事関数が低くなり、電子放射が容易とな
る。前記炭酸塩を熱分解して電子放射性物質を生成する
時の温度は約1000°Cであり、例えば高周波コイル
などを用いてランプを加熱する。
【0004】尚、放電ランプの電子放射性物質について
記載された文献の例としては照明学会誌第64巻、第3
号(昭和55年)の第124〜126頁がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
バリウムなどの炭酸塩から電子放射性物質を形成する時
の熱分解に要する加熱温度は容器に放電電極を封入する
ときの容器の加熱温度を遙かに越える高温であるため、
その処理に大掛かりな設備を要し、また、処理時間も長
くなってしまう。さらに、ゲッタ化合物と水銀放出合金
とを有する水銀放出構体が放電電極の周りに配置される
と、前記熱分解の熱で水銀放出構体から不所望に水銀が
放出される事態も予想される。
【0006】また、電子放射性物質は放電時のイオン衝
撃を受けて蒸散し、それに応じて始動特性は漸次劣化す
る。
【0007】本発明の目的は、ランプ組み立て工程にお
いて電子放射性物質の生成に高温による熱分解を要する
ことのない放電ランプを提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、経時的に電子放射性
物質が減少して始動特性が漸次劣化する度合を緩和する
ことができる放電ランプを提供することにある。
【0009】本発明のその他の目的は、電子放射性物質
を生成する出発材料の取り扱いが容易な、放電ランプの
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0011】本発明に係る放電ランプは、電子放射性物
質を生成する出発材料の取り扱いの容易性という点に関
し、放電電極(4)には、元素の周期表のIA、IIA、I
IIA又はVIA属の金属と炭素との結合を有する有機金属
化合物を出発材料として形成された第1の電子放射性物
質(10)を採用する。元素の周期表のIA、IIA、III
A又はVIA属の金属は、例えば仕事関数の比較的小さな
Ba,Sr,Mg,Ca,Cs,Wなどである。前記有
機金属化合物は、主にエチル基等を持った炭化水素(ア
ルコキシドとも称する)などと金属との化合物であり、
大気中で比較的安定し、電極基体への塗布や水銀放出構
体への含浸などの処理が容易である。この有機金属化合
物は熱分解して組成金属の酸化物を生成する。この酸化
物が第1の電子放射性物質とされる。熱分解に要する熱
は、前記Baなどの炭酸塩の熱分解に必要な温度ほど高
温であることを要しない。放電ランプにおいて、ガラス
製容器に放電電極を気密に封入するときの温度(例えば
800°Cの輻射熱)で十分である。したがって、前記
有機金属化合物を出発材料として形成された第1の電子
放射性物質を採用することにより、放電ランプ組み立て
工程において電子放射性物質の生成に高温による熱分解
を要しない。また、前記有機金属化合物は酸化バリウム
などに比べて空気中で比較的安定である。よって、電子
放射性物質を生成する出発材料の取り扱いという点で、
前記放電ランプの製造は容易である。
【0012】また、本発明に係る放電ランプは、経時的
な電子放射性物質の減少という点に関し、放電電極に
は、イットリウムの酸化物、又はタングステンの酸化物
とバリウム・タングステンの酸化物を蒸着して成る第2
の電子放射性物質(15)を更に追加することができ
る。バリウムやイットリウムの仕事関数も比較的小さ
い。蒸着された第2の電子放射性物質は塗布状態の第1
の電子放射性物質に比べて電極基体との結合が強固であ
る。それ故に、蒸着された第2の電子放射性物質の経時
的な減少は塗布状態の第1の電子放射性物質に比べて緩
やかであり、第1の電子放射性物質の減少による電子放
射機能の低下の度合を第2の電子放射性物質で緩和でき
る。換言すれば、経時的に電子放射性物質が減少して始
動特性が漸次劣化する度合を緩和できる。
【0013】前記電子放射性物質は、ニッケル、鉄とニ
ッケルの合金、又はステンレスから成る電極基体の筒状
部の内部に設けることができる。これによって当該放電
電極はホロー電極とされる。このとき、放電が放電電極
の外周面を包み込むと、陰極降下電圧が上昇して発光効
率が低下するが、当該電極基体の外周面に絶縁性被覆を
施すことにより、放電電極の放電面積を絞り込むことが
できる。よって、放電の電流密度を増して電子放出効果
を増加させることができる。
【0014】本発明を蛍光放電ランプに適用する場合、
水銀蒸気の供給は水銀放出構体によって行うことができ
る。例えば、前記筒状部の内部に水銀放出構体を設け
る。このとき、当該水銀放出構体に前記有機金属化合物
を含浸させ、これを熱分解して前記第1の電子放射性物
質を形成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1には本発明の一例に係る放電
ランプの部分縦断面が示される。この放電ランプ1は例
えば直管型でランプ電流は3mA程度の冷陰極蛍光放電
ランプである。この放電ランプ1は、透光性のガラス管
から成る外周容器として、硼珪酸ガラスから成る硬質直
管状のガラスバルブ2を有する。ガラスバルブ2は外径
(本明細書では直径を意味する)が2mm、内径が約
1.6mm、全長が約65mmのサイズを有する。ガラ
スバルブ2の両端の封止部6には例えば鉄、ニッケル及
びコバルトの合金で成る導線5が導出されて封着され、
ガラスバルブ2の内部には、前記導線5の先端に位置し
て放電電極4が形成されている。
【0016】前記ガラスバルブ2の内周面には例えば青
色、緑色、及び赤色の発光領域を有する蛍光体を混合し
て塗布した3波長蛍光体膜3が形成され、また、ガラス
バルブ2の内部には、放電維持媒体として希ガスAr
(アルゴン)、Ne(ネオン)の混合ガス(例えば13,3
00Pa)と水銀が封入されている。
【0017】図2には放電電極の部分縦断面が示され
る。放電電極4は、ガラスバルブ2との熱膨張率が合わ
せられた外部導入線を兼ねた外径が0.35mmの前記
導線5の一端に、直径が約1.2mmで長さが約5mm
の円柱状のステンレス製パイプ(シリンダ)から成る電
極基体7を、例えば互いの端面を突き合わせるように4
個所のかしめ部9でかしめ付け固定して、構成される。
前記かしめ付けなどによる固定状態は図3に示した放電
電極の右側端面図を参照すれば明らかである。
【0018】図2において電極基体7の内周面に第1の
電子放射性物質10が形成されている。この第1の電子
放射性物質10は、例えば仕事関数の比較的小さなB
a,Sr,Mg,Ca,Cs,Wなど元素の周期表のI
A、IIA、IIIA又はVIA属の金属と炭素との結合を有
する有機金属化合物を出発材料として形成される。例え
ばBaの有機金属化合物は、Ba(OC252,Ba
(OCH32、Ba(O−i−C372,Ba(O−
n−C372,Ba(O−i−C492,Ba(O−
n−C492等がある。第1の電子放射性物質10の
生成に用いる有機金属化合物は一種類であってもよい
し、或いはBa,Sr,Mg,Ca,Cs,Wなどの有
機金属化合物を複数種類混合させてもよい。前記有機金
属化合物は、アルコキシドと金属との化合物であり、大
気中で比較的安定し、電極基体7への塗布や後述する水
銀放出構体11への含浸などの処理が容易である。この
有機金属化合物は熱分解して組成金属の酸化物を生成す
る。例えば、有機金属化合物としてBa(OC252
を用いる場合には、熱分解によってBaOが生成され
る。この酸化物が第1の電子放射性物質10とされる。
有機金属化合物の性質上、熱分解に要する熱は、前記B
aなどの炭酸塩の熱分解に必要な温度ほど高温であるこ
とを要しない。分解に必要な温度は、放電ランプ1にお
いて、ガラスバルブ2に放電電極を気密に封入するとき
の温度、例えば800°C程度で十分である。
【0019】図9の(A)には放電ランプの製造工程を
放電電極の形成に着目して示してある。ステップS1で
は電極基体に導線5をかしめ付け固定して、その組体を
形成する。そして、当該組体の電極基体7にBa(OC
252などの有機金属化合物を設ける(ステップS
2)。図2の構成に従えば、電極基体の内周面に有機金
属化合物を塗布する。そして、ガラスバルブの一端を熱
で溶融し封止部6に導線5を固定して一方の放電電極4
を封止する(S3)。この状態で、ガラスバルブ2の他
方の開口から、排気を行い、且つ前記放電維持媒体を充
填し、最後にガラスバルブ2の当該他方の開口を、同じ
く、熱で溶融し封止部6に導線5を固定して他方の放電
電極4を封止し、これによって放電ランプ1のガラスバ
ルブ2に一対の放電電極4と放電維持媒体が気密に封入
され、放電ランプの所謂ランプシールが完了される(S
4)。ここで、前記有機金属化合物の熱分解は、ステッ
プS3,S4において放電電極4を封止部6に封止する
ときのガラス溶融加熱によって達成される。図9の
(C)には、比較例としてBaなどの炭酸塩を熱分解し
てBaの酸化物等の電子放射性物質を生成する場合の製
造過程を示してあり、この場合には、ステップS11で
形成された電極基体にBaCO3などの炭酸塩を塗布し
(S12)、その後、ステップS13で前記ステップS
3と同様の電極封止を行い、ステップS14で前記ステ
ップS4と同様のランプシールを行うが、当該ステップ
S13,S14において放電電極を封止部に封止すると
きのガラス溶融加熱による温度では前記炭酸塩を熱分解
することはできない。したがって、その熱分解のため
に、放電電極を1000°Cのような高温に加熱して電
子放射性物質の活性化を行う処理S15を特別に追加し
なければならない。
【0020】したがって、前記有機金属化合物を出発材
料として形成された第1の電子放射性物質10を採用す
ることにより、放電ランプ組み立て工程においてBaの
酸化物等の第1の電子放射性物質の生成に特別な高温に
よる熱分解を要しない。また、前記有機金属化合物は酸
化バリウムなどに比べて空気中で安定である。よって、
第1の電子放射性物質を生成する出発材料の取り扱いと
いう点で、前記放電ランプの製造は容易である。
【0021】以上のように構成された放電ランプを所定
の高周波点灯回路(図示せず)に接続して給電すると、
一対の電極基体7の先端から放電が開始され、管電流の
増加と共に、電極基体7の内周面に形成されている第1
の電子放射性物質10から電子が放射され、放電電極4
の間に定常的な放電が生成される。放電初期は前記放電
維持媒体であるNeやArが主として発光する。この放
電の熱によってガラスバルブ2の内部の温度が上昇して
水銀蒸気が発生し、この水銀蒸気が放電により電子と衝
突して紫外線を発生する。この紫外線がガラスバルブ2
の内周面に形成されている蛍光体を励起して所定の可視
光をガラスバルブ2の外に放射する。
【0022】図10の(A)には有機金属化合物を用い
た放電ランプの管電流対管電圧の特性図が示される。図
10の(C)は電子放射性物質を特別に設けないステン
レス製板状の放電電極を採用した放電ランプの特性であ
る。前者のほうが当然管電圧が低いが、その程度は、特
に図示はしないが、Baの炭酸塩を用いて形成した電子
放射性物質を有する放電ランプと同等である。したがっ
て、有機金属化合物を出発材料として電子放射性物質を
形成しても、その電子放射機能は、Baの炭酸塩を出発
材料とする電子放射性物質と同等にできる。
【0023】図4には放電電極の別の例が示される。同
図に示される放電電極は電極基体7の表面に絶縁性被覆
8が形成されている。絶縁性被覆8は、例えばアルミナ
を塗布して構成することができる。図4に示される放電
電極も図1と同様にホロー電極とされる。放電が放電電
極の外周面を包み込むと、電極降下電圧が上昇して発光
効率が低下するが、図4のように電極基体の外周面に絶
縁性被覆8を施すことにより、放電電極の放電面積を絞
り込むことができる。よって、放電の電流密度を増して
電子放出効果を増加させることができる。
【0024】本発明者の実験によれば、図4の放電電極
を管電流3.5mA以下で使用する場合、放電グローは
筒状の電極基体の内部に収束し、陰極降下電圧と管電流
は直線的に比例するが、管電流が3.5mAを越えると
放電グローが電極基体の外周面まで拡散し、電子放射性
物質の電流密度が低下する。そのため、電流に対する陰
極降下電圧の低下率が小さくなる。同時に、電極外周面
がイオン衝撃によってスパッタし、電極付近のガラスバ
ルブ内壁が黒化し、水銀の消耗が不所望に多くなる。こ
の点に関し、図4の構成を採用した場合、管電流を3.
5mA〜6mAで使用しても、放電グローが電極基体7
の外周面に拡散せず、その上、第1の電子放射性物質1
0の電流密度が増加し、陰極電圧降下が159Vのよう
に低下し、ランプの発光効率を向上させることができ
る。また、図4の構成を有する放電電極は陰極降下電圧
が更に低下し、また、放電グローが電極基体の外周面に
拡散しないので、イオン衝撃によるスパッタも低減さ
れ、電流を増加しても寿命を延ばすことができる。
【0025】図5には水銀放出構体を有する放電電極の
例が示される。図5において11が水銀放出構体であ
り、これは、ステンレスなどから成る筒体12にアルミ
ニウムとジルコニウムの合金などから成る合金ゲッタ1
3とチタン及び水銀から成る水銀放出合金14とを充填
して成り、加熱されると水銀蒸気を放出し、且つ不純ガ
スを吸収する。図5の例では、水銀放出構体11の表面
及び同構体11の内部には前記第1の電子放射性物質1
0が形成されている。即ち、水銀放出構体11を形成す
るとき、同構体11の表面に有機金属化合物を塗布し、
また、同構体の内部に前記有機金属化合物を含浸させて
おく。そのようにして形成された水銀放出構体11は電
極基体7の筒内に挿入され、外側から電極基体7を塑性
変形して水銀放出構体11を電極基体7に固定する。塗
布及び充填された有機金属化合物は、前記電極封止やラ
ンプシール時の熱で分解されて前記第1の電子放射性物
質10になる。図5の電極構成の場合も図1と同様の効
果がある。
【0026】図6には水銀放出構体を有する放電電極の
更に別の例が示される。図5との相違点は、図1のよう
に、電極基体7の内周面にも第1の電子放射性物質10
が形成されている点である。図5に比べて放電電極4に
第1の電子放射性物質10を多く保持させることができ
る。特に図示はしないが、図5、図6の放電電極におい
ても、電極基体7の外周に絶縁性被覆8を施してもよ
い。
【0027】図7には更に別の放電電極の例が示され
る。同図に示される放電電極は、電極基体7の内周面及
び外周面に、イットリウムの酸化物(Y23)、又はタ
ングステンの炭化物とバリウム・タングステンの酸化物
(WC+BaWO4)を蒸着して成る第2の電子放射性
物質15を有する。第2の電子放射性物質15を有する
放電電極を採用した放電ランプの管電流対管電圧特性は
図10の(B)に例示される。電子放射機能は前記アル
コキシドを熱分解した第1の電子放射性物質10を採用
したものに比べて劣っている。但し、蒸着された第2の
電子放射性物質15は塗布状態の第1の電子放射性物質
10に比べて電極基体7との結合は強固である。
【0028】図8には、第1の電子放射物質及び第2の
電子放射物質の双方を有する放電電極の例が示される。
同図に示される放電電極は、電極基体7の内周面に蒸着
されたイットリウムの酸化物(Y23)、又はタングス
テンの炭化物とバリウム・タングステンの酸化物(WC
+BaWO4)の上に、前記有機金属化合物が塗布さ
れ、これが熱分解されて形成された第1の電子放射性物
質10を有する。蒸着された第2の電子放射性物質15
の経時的な減少は塗布状態の第1の電子放射性物質10
に比べて緩やかであり、第1の電子放射性物質10の減
少による電子放射機能の低下の度合を第2の電子放射性
物質15で緩和できる。換言すれば、図8の構成を有す
る放電電極は、経時的に電子放射性物質が減少して始動
特性が漸次劣化する度合を緩和できる。
【0029】図9の(B)には放電ランプの製造工程を
図8の放電電極の形成に着目して示してある。図9の
(A)のステップS1と同様のステップS21で形成し
た組み立て体の電極基体にY23、又はWC+BaWO
4を蒸着して第2の電子放射物質を形成し、更に、その
上から前記有機金属化合物を塗布する。(ステップS2
2)。図8の構成に従えば、電極基体の内周面に有機金
属化合物を塗布する。その後、ステップS23で前記ス
テップS3と同様の電極封止を行い、ステップS24で
前記ステップS4と同様のランプシールを行うが、当該
ステップS23,S24において放電電極を封止部に封
止するときのガラス溶融加熱による温度で前記有機金属
化合物が分解されて、第1の電子放射性物質10が生成
される。
【0030】以上本発明者によってなされた発明を実施
形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限
定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更可能であることは言うまでもない。
【0031】例えば、放電ランプは蛍光ランプに限定さ
れず、殺菌用などの紫外線ランプなどであってもよい。
また、本発明は、水銀が封入されずNe(ネオン)やX
e(キセノン)等を単体又は混合して封入した希ガス発
光による放電ランプにも適用することができる。さら
に、ガラスバルブに反射面を形成した反射型の放電ラン
プとしてもよい。また、ガラスバルブのような外周容器
は、直管状ガラス管に限定されず、U字、W字、環状、
その他の屈曲状であっても、またそれら形状を並列接続
した形状であってもよい。更には、外周容器は平板状若
しくは偏平状であってもよい。何れにしても、外周容器
の形状は限定されない。また、外周容器の材質は、鉛ガ
ラス、或いはソーダライムガラスなどの軟質ガラスであ
ってもよい。更に、外周容器に封入される希ガスは、N
e(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプト
ン)、Xe(キセノン)などの希ガスを単独或いは混合
して利用でき、ランプの特性などに合わせて混合比や封
入圧力を適宜決定すればよい。また、有機金属化合物の
組成金属は、Ba,Sr,Mg,Ca,Cs,Wに限定
されず、元素の周期表のIA、IIA、IIIA又はVIA属の
中のその他の金属を採用してもよい。
【0032】
【発明の効果】本願発明によれば、放電ランプは、電子
放射性物質を生成する出発材料の取り扱いの容易性とい
う点に関し、放電電極には、元素の周期表のIA、II
A、IIIA又はVIA属の金属と炭素との結合を有する有
機金属化合物を出発材料として形成された第1の電子放
射性物質を採用するから、放電ランプ組み立て工程にお
いて電子放射性物質の生成に高温による熱分解を要しな
い。また、前記有機金属化合物は酸化バリウムなどに比
べて空気中で安定である。よって、電子放射性物質を生
成する出発材料の取り扱いという点で、前記放電ランプ
の製造は容易である。
【0033】また、本発明に係る放電ランプは、経時的
な電子放射性物質の減少という点に関し、放電電極に
は、イットリウムの酸化物、又はタングステンの炭化物
とバリウム・タングステンの酸化物を蒸着して成る第2
の電子放射性物質を更に追加すれば、蒸着された第2の
電子放射性物質は塗布状態の第1の電子放射性物質に比
べて電極基体との結合が強固であり、それ故に、蒸着さ
れた第2に電子放射性物質の経時的な減少は塗布状態の
第1の電子放射性物質に比べて緩やかであり、第1の電
子放射性物質の減少による電子放射機能の低下の度合を
第2の電子放射性物質で緩和でき、経時的に電子放射性
物質が減少して始動特性が漸次劣化する度合を緩和でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る放電ランプの部分縦断面図
である。
【図2】有機金属化合物を出発材料として形成された第
1の電子放射性物質を有する放電電極の部分縦断面図で
ある。
【図3】放電電極と導線のかしめ付け固定状態の一例を
示す放電電極の右側端面図である。
【図4】表面に絶縁性被覆を追加した放電電極の部分縦
断面図である。
【図5】第1の電子放射性物質と共に水銀放出構体を有
する放電電極の部分縦断面図である。
【図6】第1の電子放射性物質の形成部位が図5とは相
違される別の放電電極の部分縦断面図である。
【図7】Y23等を蒸着して成る第2の電子放射性物質
を有する放電電極の部分縦断面図である。
【図8】第1の電子放射物質及び第2の電子放射物質の
双方を有する放電電極の部分縦断面図である。
【図9】放電ランプの製造工程を放電電極の形成手法に
着目して示したフローチャートである。
【図10】電子放射性物質の異なる放電電極を適用した
放電ランプの管電流対管電圧の特性図である。
【符号の説明】
1 放電ランプ 2 ガラスバルブ 3 3波長蛍光体被膜 4 放電電極 5 導線 6 封止部 7 電極基体 8 絶縁性被覆 10 第1の電子放射性物質 11 水銀放出構体 13 合金ゲッタ 14 水銀放出合金 15 第2の電子放射物質

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器に放電電極を内蔵する放電ランプで
    あて、前記放電電極は、元素の周期表のIA、IIA、III
    A又はVIA属の金属と炭素との結合を有する有機金属化
    合物を出発材料として形成された第1の電子放射性物質
    を有する放電ランプ。
  2. 【請求項2】 前記有機金属化合物は、Ba,Sr,M
    g,Ca,Cs,Wの中から選ばれた金属と炭素との結
    合を有するものである請求項1に記載の放電ランプ。
  3. 【請求項3】 前記放電電極は、イットリウムの酸化
    物、又はタングステンの炭化物とバリウム・タングステ
    ンの酸化物を蒸着して成る第2の電子放射性物質を更に
    有する請求項1又は2に記載の放電ランプ。
  4. 【請求項4】 前記放電電極は、ニッケル、鉄とニッケ
    ルの合金、又はステンレスから成る筒状部を備えた電極
    基体を有し、前記筒状部の内部に前記電子放射性物質を
    有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の放電ランプ。
  5. 【請求項5】 前記筒状部の内部に水銀放出構体が設け
    られ、当該水銀放出構体に含浸された前記有機金属化合
    物が熱分解されて前記第1の電子放射性物質が形成され
    た請求項4に記載の放電ランプ。
  6. 【請求項6】 前記電極基体の外周面に絶縁性被覆が形
    成された請求項4又は5に記載の放電ランプ。
  7. 【請求項7】 容器に放電電極を内蔵する放電ランプの
    製造方法であって、電極基体に元素の周期表のIA、II
    A、IIIA又はVIA属の金属と炭素との結合を有する有
    機金属化合物を設ける第1処理と、前記容器に前記第1
    処理を経た電極基体を気密に封入すると共に前記有機金
    属化合物を熱分解して第1の電子放射性物質を形成する
    第2処理とを含む放電ランプの製造方法。
  8. 【請求項8】 容器に放電電極を内蔵する放電ランプの
    製造方法であって、電極基体にイットリウムの酸化物、
    又はタングステンの炭化物とバリウム・タングステンの
    酸化物を蒸着して第2の電子放射性物質を形成する第1
    の処理と、電極基体に元素の周期表のIA、IIA、IIIA
    又はVIA属の金属と炭素との結合を有する有機金属化合
    物を設ける第2処理と、前記容器に前記第1処理及び第
    2の処理を経た電極基体を気密に封入すると共に前記有
    機金属化合物を熱分解して第1の電子放射性物質を形成
    する第3処理とを含む放電ランプの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記有機金属化合物は、Ba,Sr,M
    g,Ca,Cs,Wの中から選ばれた金属と炭素との結
    合を有するものである請求項7又は8に記載の放電ラン
    プの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100459219C (zh) * 2001-05-15 2009-02-04 工程吸气公司 铯释放器及其使用方法

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