JP2001222972A - 放電電極用エミッタ、放電ランプ用電極、放電ランプおよび照明装置 - Google Patents

放電電極用エミッタ、放電ランプ用電極、放電ランプおよび照明装置

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JP2001222972A
JP2001222972A JP2000032387A JP2000032387A JP2001222972A JP 2001222972 A JP2001222972 A JP 2001222972A JP 2000032387 A JP2000032387 A JP 2000032387A JP 2000032387 A JP2000032387 A JP 2000032387A JP 2001222972 A JP2001222972 A JP 2001222972A
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emitter
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Yuichiro Takahara
雄一郎 高原
Ariyoshi Ishizaki
有義 石崎
Takeo Yasuda
丈夫 安田
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】短寿命化を防止した焼結形の放電電極用エミッ
タ、これを用いた放電ランプ用電極、低圧水銀蒸気放電
ランプおよび照明装置を提供する。 【解決手段】放電電極用エミッタは、アルカリ土類元素
および遷移金属元素を含む化合物の焼結体を主体として
なり、焼結体はその比表面積aが10m<a<200
を満足する微粒子である。または、アルカリ土類元
素および遷移金属元素の化合物の焼結体を主体としてな
り、焼結体はその1次粒子の平均粒径が10〜500n
mで、1次粒子の多孔質状集合体を構成している2次粒
子を用いることができる。2次粒子は、空孔率が30%
以上であるか、または平均粒径0.5〜5μmに構成す
ることができる。放電電極用エミッタをコイルフィラメ
ントまたはカップ状導電性に担持させて、放電ランプ用
電極を構成することができる。そうして、上記の放電電
極用エミッタを用いると、少ないグロー放電電力でグロ
ー・アーク転移が行われ、消耗が少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電電極用エミッ
タ、これを用いた放電ランプ用電極、放電ランプ用およ
び照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光ランプなどの放電ランプには、始動
性および発光効率を良好にするために、電極にエミッタ
を被着している。エミッタとしては、酸化バリウムBa
Oなどのアルカリ土類金属酸化物が主に使用されてい
る。これらの物質は、仕事関数が低く、放出電子量も多
いので、放電電極用エミッタとして好適である。アルカ
リ土類金属としては、BaOの他にストロンチウムS
r、カルシウムCaを含む一般式(Ba、Sr、Ca)
Oで表す複合酸化物なども用いられる。
【0003】そうして、上記した従来のエミッタを被着
した熱陰極形の放電ランプ用電極は、電極表面から放電
空間に必要数の電子を放出するための陰極降下電圧が1
1V程度で、液晶バックライト用などで用いられている
冷陰極を備えた放電ランプの陰極降下電圧が100〜2
00V程度の範囲であることに比較すると格段に低く、
このため発光に寄与しない陰極損失が少なく、したがっ
て高いランプ効率が得られるという利点がある。
【0004】しかし、この種のエミッタは、大気中では
化学的に極めて不安定なため、放電ランプ製造工程中に
分解、活性化する必要がある。この分解、活性化の工程
は、たとえば炭酸バリウムBaCOのような炭酸化物
をタングステンコイルフィラメントに塗布し、排気工程
の後半に真空中か不活性ガス中で短時間1200℃程度
に加熱することによって、BaCO→BaO+CO
のような化学変化を行わせることによって遂行される。
この工程で発生する炭酸ガスCOは、放電ランプの特
性に悪影響を与えるガスであって、場合によっては、放
電ランプの管壁に吸着されて残留して、放電ランプの光
束維持率を低下させる一因になる。COは、透光性放
電容器内に残留すると、分子性のガスで低いエネルギー
準位の振動・回転励起を起こすため、水銀Hgの励起が
妨げられて発光効率が著しく低下したり、放電ランプの
絶縁破壊を起こして、始動電圧が上昇し、放電ランプが
不点になることがある。また、COは、放電空間内で
COとOとに解離し、余ったOがHgと結合してHgO
を生成する。このHgOは、透光性放電容器の内面に付
着してしまい、放電に寄与しないので、いわゆる消費水
銀となって水銀を消費する。さらに、HgOは、透光性
放電容器の内面に付着して黒化を生じ、外観を阻害する
とともに、光束低下をもたらす。さらにまた、CO
透光性放電容器内への残留により、陽光柱が揺れるいわ
ゆるスネーキング現象など放電が不安定になりやすい。
透光性放電容器の内部へのCOの残留は、前記炭酸化
物が未分解ないし分解不十分によって発生し、これによ
って蛍光ランプに上述のような致命的な欠陥を与えるこ
とになる。蛍光ランプの排気および電子放射性物質の分
解工程をライティング工程と称するが、上述の事情から
製造者はこのライティング工程に慎重を極めている。そ
の結果、蛍光ランプの製造時間が長くなり、生産スピー
ド向上のネックになっている。また、ランプ製造機械も
ライティング工程に関する部分を必要とするため、その
分大形化を免れない。
【0005】さらに、上記の分解、活性化は、一般にコ
イルフィラメントに対する通電により、または放電ラン
プ中に放電を生起させることにより、加熱して行うた
め、分解、活性化できる量に限界がある。このため、炭
酸化物の塗布量が多いと、分解不足や加熱過剰により放
電用電極としての必要特性が得られない。したがって、
使用できるエミッタの量に制限がある。また、加熱分解
に適したコイルフィラメントを用いる必要があるので、
放電ランプのサイズおよびまたは形状に制限があり、た
とえば管径の小さな放電ランプにこの種のエミッタを採
用するはが困難である。
【0006】一方、上述した従来のエミッタ(以下、
「炭酸塩分解形エミッタ」という。)の問題点を回避で
きる放電電極用エミッタとして、アルカリ土類元素と、
遷移金属元素との酸化物/窒化物を焼結してなる材料を
主体とするエミッタ(以下、「焼結形エミッタ」とい
う。)が、たとえば特開平6−267404、特表平9
−507956号公報などに記載されて知られている。
焼結形エミッタは、大気中でも比較的安定なので、前
記の炭酸塩を用いたエミッタと異なり、次に示す利点が
ある。分解工程が不要であるため、放電ランプ製造工程
を簡略化できる。分解による炭酸ガスの発生がないの
で、放電ランプ内に不純ガスが残留する可能性が小さ
く、したがって放電ランプの特性が安定する。タングス
テンコイルフィラメントなどの特定の保持構造が必須で
ないので、管径の小さな放電ランプなどにも対応でき
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼結形
エミッタは、以下に示すような課題をも有しているのが
現状である。 点滅を繰り返すことによる放電ランプの短寿命化 熱陰極形の放電ランプ用電極を備えた放電ランプは、始
動から定常点灯状態まで次のようないわゆるタウンゼン
ト放電の経過を辿る。すなわち、始動時にはグロー放電
が生起し、イオン衝突による2次電子放出によって放電
に必要な電子が供給される。このとき、陰極降下電圧は
非常に高く、数100Vに達する。グロー放電中に陰極
に投入された電力により、陰極温度が上昇すると、熱電
子放出が多くなって、それが2次電子放出より多くなる
と、陰極の一部に千数百℃の輝点すなわちアークスポッ
トが形成され、アーク放電に移行する。この状態では、
陰極降下電圧は10V程度になり、発光効率の良好な放
電を行うことができる。
【0008】以上説明した放電の経過の中で、グロー放
電中においては、高い陰極降下電圧のために、イオンの
衝突エネルギーが大きく、エミッタのスパッタリングに
よる消耗が激しい。そのため、できるだけ少ないグロー
放電電力により、またはできるだけ速やかに定常点灯状
態であるアーク放電に移行させる方がエミッタの消耗を
低減できるとともに、エミッタが管壁に付着することに
よる黒化も低減できる。
【0009】ところが、焼結形エミッタは、炭酸塩分解
形エミッタに比較してグロー放電電力を多く要し、また
グロー・アーク転移に時間がかかる。これは焼結形エミ
ッタが熱伝導度および電気伝導度が高いことに起因して
いると考えられる。すなわち、グロー放電中に投入され
た電力によって生じるジュール熱およびイオン衝突エネ
ルギーにより、エミッタは加熱されるが、電気伝導度が
高いために、ジュール熱の発生が少なく、また熱伝導が
良好なため、熱の拡散が大きくなる。そのため、エミッ
タの温度を上昇させるためにより多くのエネルギー(電
力×時間)を投入する必要があり、同じ電力を投入した
場合は、グロー・アーク転移に時間がかかることにな
る。
【0010】すなわち、焼結形エミッタを用いた放電ラ
ンプは、上述したようにグロー放電に移行するために電
力を多く要し、またグロー・アーク転移に時間がかかる
ために、始動時におけるエミッタの消耗が相対的に多く
なり、したがって点滅での消耗が早くなり、短寿命の要
因となる。 定常点灯時の短寿命化 一般に、熱陰極形の放電ランプ用電極においては、アー
ク放電の定常点灯中にエミッタの一部にアークスポット
が形成されて、熱電子を効率よく放出している。ところ
が、熱伝導度が高いエミッタの場合、熱の拡散が早いの
で、温度の高い部分が一点に形成されにくい。したがっ
て、アークスポットの温度が上がりにくいために、十分
な熱電子を放出することができないことで、陰極降下電
圧が高くなり、イオンスパッタリングの影響が大きくな
る。このため、エミッタの消耗が激しくなり、短寿命化
の要因になる。
【0011】本発明は、短寿命化を防止した焼結形の放
電電極用エミッタ、これを用いた放電ランプ用電極、低
圧水銀蒸気放電ランプおよび照明装置を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の放電電
極用エミッタは、アルカリ土類元素および遷移金属元素
を含む化合物の焼結体を主体としてなり、焼結体はその
比表面積aが下式を満足する微粒子であることを特徴と
している。 10m/g<a<200m/g 本発明および以下の各発明において、特に指定しない限
り用語の定義および技術的意味は次による。
【0013】<本発明の構成について>「放電電極用エ
ミッタ」とは、放電電極に用いるのに好適な電子放射性
物質を意味する。ここで、「放電電極」とは、放電ラン
プに封装される電極を意味し、点灯用電源に接続する導
電性基体を備えている。本発明の放電電極用エミッタ
は、アルカリ土類元素および遷移金属元素を含む化合物
の焼結体を主体として構成されている。また、焼結体
は、その比表面積aが10m/g<a<200m
gの微粒子によって構成されている。
【0014】アルカリ土類元素は、Ba、Ca、Srお
よびMgのグループから選択された一種または複数種で
あるが、Ba、CaおよびSrは仕事関数が低いので、
本発明においてはこれら元素の少なくとも一種を含むも
のとする。一方、遷移金属は、元素周期律表の3Aない
し7A、8および1B族の元素をいうが、Ti、Zr、
Ta、V、Mo、Ru、Rh、Hf、W、Os、Irお
よびNbは遷移金属の中でも仕事関数が低いので、本発
明においてはこれらの元素の少なくとも一種を含むもの
とする。本発明において、「化合物」とは、酸化物、窒
化物および酸窒化物などの一種または複数種を意味す
る。焼結形エミッタとしての化合物の一例を掲げると以
下のとおりである。酸化物としては、BaTaO(タ
ンタル酸バリウム)、BaTiO(チタン酸バリウ
ム)、BaZrO(ジルコニウム酸バリウム)、Sr
TiO(チタン酸ストロンチウム)、BaO・5Sr
O・5TiOなどである。また、酸窒化物としてBa
TaON、(Ba、Sr、Ca)(Zr、Ta)O
Nなどもある。しかし、これらの化合物の中でも、酸窒
化物は、大気中でも安定で、ガス吸着がなく、しかも仕
事関数が低いので、本発明においては、特に好適であ
る。
【0015】「焼結体を主体とする」とは、アルカリ土
類元素および遷移金属元素を含む化合物の焼結体のみだ
けでなく、この焼結体を主成分としていて、その他の副
成分を焼結体またはその他の形態で含有している場合を
含む意味である。なお、不純物は副成分に含まれる。
「比表面積」とは、単位重量(1g)当たりの微粒子の
総表面積をいい、BET法により測定して求めることが
できる。この場合、たとえばユアサアイオニクス社製の
BET法測定器(モノソープ)を用いることができる。
そして、比表面積の下限値の10m/gは概ね平均粒
径300nm程度に相当し、また上限値の200m
gは概ね平均粒径10nmに相当している。次に、焼結
体の上記微粒子は1次粒子であり、1次粒子の形で用い
ることもできるが、1次粒子が集合して形成された2次
粒子の形で用いることができる。
【0016】<本発明の作用について>本発明において
は、アルカリ土類元素および遷移金属元素を含む化合物
の焼結体の比表面積aを10m/g<a<200m
/gに規定した微粒子を主体としてエミッタを構成して
いるので、グロー・アーク転移が少ないグロー放電電力
で行われる。これにより、エミッタの蒸発やスパッタに
よる消耗が少なくなることが分かった。また、アーク放
電状態での電子の放出性を表す陰極降下電圧も低くなる
ことが分かった。これに対して、比表面積が10m
g未満であると、微粒子の平均粒径が大きすぎてグロー
・アーク転移に時間がかかりすぎる。反対に、比表面積
が200m /gを超えると、エミッタにHO、O
などの吸着が生じるとともに、点灯中のエミッタの蒸発
が多くなって放電が不安定になったり、寿命が短くなる
などの不具合が生じやすくなる。
【0017】請求項2の発明の放電電極用エミッタは、
アルカリ土類元素および遷移金属元素を含む化合物の焼
結体を主体としてなり、焼結体はその1次粒子が平均粒
径10〜500nmであり、2次粒子が1次粒子による
多孔質状集合体構造を構成していることを特徴としてい
る。
【0018】本発明は、アルカリ土類元素および遷移金
属元素を含む化合物の焼結体の1次粒子の平均粒径の範
囲および2次粒子の集合体の構成を規定している。ま
ず、1次粒子について説明する。すなわち、1次粒子の
平均粒径は、一般的には上記のとおり10〜500nm
の範囲とするが、好適には300nm以下である。1次
粒子の平均粒径が10nm未満であると、エミッタにH
O、Oなどの吸着が生じやすく、エミッタの塗布液
を調整してエミッタを導電性基体に担持させる場合に、
エミッタ中に溶剤の残留が発生しやすい。反対に、50
0nmを超えると、1次粒子の平均粒径が大きすぎてグ
ロー・アーク転移に多くのグロー放電電力を要し、本発
明の効果が得られない。次に、2次粒子について説明す
る。2次粒子は、1次粒子の集合体によって形成された
粒子であるが、本発明においては多孔質状集合体構造に
構成されているのが特徴である。2次粒子が多孔質状集
合体構造に構成されていると、エミッタの熱伝導度およ
び電気伝導度が減少してエミッタが温度上昇しやすくな
る。本発明においては、1次粒子が凝集する際に1次粒
子間に隙間を形成させることによって多孔質状集合体構
造の2次粒子を得ているので、安定して熱伝導度および
電気伝導度を適切な値にできる。これは本発明のような
1次粒子の場合、分散条件、液剤の放置時間によりエミ
ッタの充填密度が変化し、熱伝導度および電気伝導度が
不安定になりやすいので、予め2次粒子状態にすること
が望ましいためである。
【0019】そうして、本発明においては、アルカリ土
類元素および遷移金属元素を含む化合物の焼結体の1次
粒子の粒径を前述のように小さくするとともに、2次粒
子を1次粒子の多孔質状集合体構造に構成することによ
り、熱伝導度および電気伝導度を低減させることがで
き、これによりグロー・アーク転移に要するグロー放電
電力を少なくすることができる。
【0020】請求項3の発明の放電電極用エミッタは、
請求項2記載の放電電極用エミッタにおいて、2次粒子
は、空孔率が30%以上であることを特徴としている。
【0021】本発明は、アルカリ土類元素および遷移金
属元素を含む化合物の焼結体を主体とする1次粒子の多
孔質状集合体構造をなす2次粒子の空孔率を30%以上
に規定している。また、好適には60%以上である。な
お、「空孔率」とは、多孔質状集合体構造をなす2次粒
子における充実部のほぼ体積に対する空孔部のほぼ体積
の比率をいい、ポロシメーター(たとえば、マイクロテ
ック・ニチオン社製の「水銀圧入式ポロシメーター」)
によって求めることができる。そうして、本発明におい
ては、2次粒子の空孔率を上記の範囲に規定することに
より、熱伝導度および電気伝導度を低減させることがで
き、これによりグロー・アーク転移に要するグロー放電
電力を少なくすることができる。
【0022】請求項4の発明の放電電極用エミッタは、
請求項2または3記載の放電電極用エミッタにおいて、
2次粒子は、平均粒径が0.5〜5μmであることを特
徴としている。
【0023】本発明は、エミッタの塗布液を調整してフ
ィラメント電極に塗布して担持させる場合に好適なアル
カリ土類元素および遷移金属元素を含む化合物からなる
焼結体の2次粒子の平均粒径の範囲を規定している。す
なわち、2次粒子の平均粒径が0.5μm未満である
と、塗布液の粘度が大きくなりすぎ、コイルフィラメン
トの内部まで浸透しにくくなり、所要の量を担持させる
ことが困難になる。反対に、2次粒子の平均粒径が5μ
mを超えると、コイルフィラメントへの付着力が弱くな
りすぎるために、エミッタの欠落を生じやすくなる。
【0024】請求項5の発明の放電ランプ用電極は、タ
ングステンのコイルフィラメントからなる導電性基体
と;導電性基体に担持された請求項1ないし4のいずれ
か一記載の放電電極用エミッタと;を具備していること
を特徴としている。
【0025】「導電性基体」とは、適度な導電性を備え
ていて、請求項1ないし4に規定する放電電極用エミッ
タを担持する部材であり、本発明においてはさらにタン
グステンのコイルフィラメントからなる。放電電極用エ
ミッタが1次粒子の微粒子または2次粒子を主体として
いることから、炭酸化物分解形エミッタにおけるのと同
様にタングステンのコイルフィラメントに担持させるこ
とにより、このコイルフィラメントを通電加熱してエミ
ッタから熱電子放出を行わせることができる。この場合
に、コイルフィラメントは、従来から低圧水銀蒸気放電
ランプなどの放電ランプにおいて用いられているものを
流用することができる。
【0026】次に、放電電極用エミッタを導電性基体に
担持させる手段の一例について説明する。すなわち、放
電電極用エミッタをコイルフィラメントに被着させるに
は、たとえばバインダーおよび溶剤中に放電電極用エミ
ッタを分散させた塗布液を調整して、これをコイルフィ
ラメントに塗布し、500゜C程度に加熱してバインダ
ーを分解させればよい。そうすれば、放電電極用エミッ
タが導電性基体の表面に被着して担持される。なお、コ
イルフィラメントがタングステンで形成されているとき
は、不活性ガス雰囲気で過熱するのが望ましい。
【0027】なお、バインダーの加熱分解は、上記のよ
うに、高々500℃程度の加熱でよいので、従来の80
0〜1200℃の加熱分解に比べれば極めて容易であ
り、バインダー成分からのCOの放出が殆どないた
め、排気に影響することがない。
【0028】また、バインダーを用いないで放電電極用
エミッタを水などの直接溶剤に分散させた含浸液を調整
し、導電性基体をこの含浸液に浸漬して、放電電極用エ
ミッタを導電性基体に含浸させ、自然乾燥によって放電
電極用エミッタを付着させ電極を形成してもよい。
【0029】そうして、本発明においては、従来の炭酸
塩分解形エミッタを用いるとの同様なタングステンのコ
イルフィラメントからなる導電性基体を用いて放電ラン
プ用電極を構成することができる。また、コイルフィラ
メントに対する前述の放電電極用エミッタを担持させる
ことにより、その保持力が強く、振動によるエミッタの
欠落が生じにくい。
【0030】請求項6の発明の放電ランプ用電極は、カ
ップ状の導電性基体と;導電性基体内に収納されて担持
された請求項1ないし4のいずれか一記載の放電電極用
エミッタと;を具備していることを特徴としている。
【0031】カップ状の導電性基体は、適度の導電性を
有する金属、たとえばTa、Wなどの遷移金属からなる
か、アルカリ土類元素および遷移金属元素を含む化合物
の焼結体からなるものが好適である。そうして、本発明
においては、導電性基体がカップ状をなしていることに
より、内部に放電電極用エミッタを多量に収納させて、
放電ランプ用電極の長寿命化を図ることができる。
【0032】また、カップ状の導電性基体をコイルフィ
ラメントより小さく形成できるので、たとえば液晶バッ
クライト用蛍光ランプのように透光性放電容器が小径に
も対応する放電ランプ用電極を得ることができる。
【0033】請求項7の発明の低圧水銀蒸気放電ランプ
は、透光性放電容器と;透光性放電容器内に離間対向し
て封装された一対の請求項5または6記載の放電ランプ
用電極と;透光性放電容器内に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴としている。
【0034】低圧水銀蒸気放電ランプは、低圧水銀蒸気
放電を行う放電ランプである。そして、低圧水銀蒸気放
電によって主として波長254nmの紫外線が放電空間
から放射されるので、この紫外線をそのまま透光性放電
容器の外部へ導出するか、紫外線を蛍光体層に照射し
て、これを励起することにより、さらに波長の長い紫外
線、可視光または赤外線に波長変換することができる。
前者には殺菌ランプ、また後者のうち波長の相対的に長
い紫外線を得るものにはブラックライトおよびケミカル
ランプ、可視光を得るものには一般に称されるところの
蛍光ランプ、さらに赤外線を得るものには赤外線蛍光ラ
ンプなどがある。
【0035】したがって、本発明において、「低圧水銀
蒸気放電ランプ」とは、上記の各ランプを包含する概念
であることを意味する。そして、低圧水銀蒸気放電ラン
プは、透光性放電容器、透光性放電容器の内部に封装さ
れた一対の電極および透光性放電容器の内部に封入され
た水銀および希ガスを含む放電媒体を具備している。以
下、各構成要素ごとに分説する。
【0036】(透光性放電容器について)透光性放電容
器は、バルブの両端をたとえば端板などを用いて封止す
るか、または用いないで直接封止することにより形成さ
れる。端板を用いて封止する場合、端板の部分は、一般
的にはステムによって構成される。ステムを用いる場
合、フレアステム、ビードステムおよびボタンステムな
どの既知のステム構造を採用することができる。また、
直接封止する場合は、ピンチシールなどを採用すること
ができる。
【0037】バルブは、直管、湾曲管または屈曲管の形
状であることを許容する。また、バルブは、直管、湾曲
管または屈曲管の複数個を接続管によって1本の放電路
が形成されるように連結してなる構造であることを許容
する。さらに、バルブの管径および透光性放電容器の管
軸、換言すれば放電路に沿った長さは制限されない。し
かし、一般的には透光性放電容器の管径は40mm以
下、また管軸に沿った長さは2400mm以下である。
比較的管壁負荷の小さい一般照明用の蛍光ランプの場
合、管径25〜38mmで、管軸に沿った長さ300〜
2400mmである。また、高周波点灯専用形蛍光ラン
プの場合、管径15〜25.5mm、管軸に沿った長さ
500〜2400mmである。さらに、コンパクト形蛍
光ランプの場合、管径25mm以下、たとえば12〜2
2mm、管軸に沿った長さ2400mm以下、たとえば
200〜2300mmである。さらにまた、電球形蛍光
ランプの場合、管径13mm以下、たとえば8〜11m
m、管軸に沿った長さ500mm以下、たとえば400
〜500mmである。さらにまた、液晶バックライト用
蛍光ランプの場合、管径1〜10mm、管長は500m
m以下である。
【0038】次に、透光性放電容器の材質は、気密性、
加工性および耐熱性を備えていれば特に制限されない
が、一般的にはこの種蛍光ランプに用いられている軟質
ガラスが好適である。軟質ガラスには、鉛ガラスやソー
ダライムガラスがあるが、そのいずれでもよい。環境対
応としては、ソーダライムガラスが望ましい。しかし、
加工性などの点から、ソーダライムガラスと鉛ガラスを
併用することができる。たとえば、最もガラスの使用量
の多いバルブの部分をソーダライムガラスで形成し、ス
テムの部分を鉛ガラスで形成することができる。
【0039】さらに、要すれば、硬質ガラス、半硬質ガ
ラス、紫外線透過ガラス、石英ガラスなど軟質ガラス以
外のガラスを用いることができる。また、ガラス以外の
たとえば透光性の多結晶または単結晶のセラミックスを
用いて透光性放電容器を構成することを除外するもので
はない。
【0040】次に、透光性放電容器の形状について説明
する。透光性放電容器は、直管形および環形のいずれで
あってもよい。さらに要すれば、U字状、半円状、U字
状部分を2〜4個直列に接続するとともに適当な配置に
した形状など種々の形状であることを許容する。
【0041】<一対の電極について>透光性放電容器の
両端には一対の電極が封装される。各電極は、請求項5
または6記載の放電ランプ用電極であり、放電電極用エ
ミッタおよびこれを担持する導電性基体を含んで構成さ
れている。
【0042】次に、電極の配設について説明する。透光
性放電容器の両端内部に一対のセラミックス電極を配設
するには、フレアシール、ビードシール、ボタンシー
ル、ピンチシールなどの常法にしたがって透光性放電容
器に封装すればよい。
【0043】<放電媒体媒体について>透光性放電容器
に封入する放電媒体媒体は、低圧水銀蒸気放電を行わせ
るために、Hgおよび100〜1000Pa程度の希ガ
スを封入する。Hgは、純水銀を滴下したり、カプセル
に収納して導入するなどにより、直接透光性放電容器に
封入してもよいし、TiHg合金などからなる水銀ゲ
ッターまたはBi−In−Hg、Bi−Sn−In−H
gまたはBi−Pb−Sn−Hgなどのアマルガムの形
で封入することができる。
【0044】なお、Hgをアマルガムの形で封入する場
合、点灯時の光束立ち上がり特性を良好にするために、
補助アマルガムを用いることができる。補助アマルガム
としては、In−Hg、Au−Hgなどを用いることが
できる。また、補助アマルガムは、ステンレス鋼などの
板状またはメッシュ状の基体にアマルガム形成金属を鍍
金するなどにより、これを担持させることができる。
【0045】希ガスとしては、Ar、Ne、Kr、Xe
などの一種または複数種用いることができる。
【0046】<その他の構成について>透光性放電容器
の内面側に所望により蛍光体層を配設することができ
る。蛍光体層は、放電によって発生した紫外線を波長変
換して所望波長域の紫外線、可視光または赤外線を得る
ために用いる。この場合、用いる蛍光体の種類は限定さ
れない。一般照明用の可視光を得る場合、3波長発光形
蛍光体は、短波長紫外線耐性、耐熱特性および負荷特性
などに優れたものを得ることができるとともに、演色性
に優れているので、好適である。
【0047】また、本発明において、蛍光体層が「透光
性放電容器の内面側に配設されている」とは、蛍光体層
は透光性放電容器の内面に直接形成されていてもよい
し、保護膜、反射膜などを介して間接的に形成してもよ
いことを意味している。
【0048】<本発明の作用について>本発明において
は、アルカリ土類元素および遷移金属元素を含む化合物
の焼結体を主体とし、比表面積または平均粒径が所定範
囲にある1次粒子をそのまま、または1次粒子の多孔質
集合体構造からなる2次粒子を放電電極用エミッタとし
て、これを導電性基体に担持させた電極を用いているこ
とにより、グロー・アーク転移に要するグロー放電電力
が少なくなるので、エミッタの消耗が少なく、短寿命化
を防止することができる。また、低圧水銀蒸気放電ラン
プの製造時にライティングと称する排気・電極通電加熱
によるアルカリ土類金属の炭酸塩の分解処理を行わなく
てよいので、炭酸塩の未分解または分解不良によって透
光性放電容器内にCOが残留するようなことがない。
このため、以下に示す問題が発生しない。 1 COが残留することによって低いエネルギー準位
の振動や回転励起が生じて、Hgの励起が阻害され、こ
れに伴い発光効率が著しく低下したり、蛍光ランプが絶
縁破壊を生じて始動電圧が上昇し、不点に至るような問
題がない。 2 COが放電空間内でCOとOとに解離し、余った
OがHgと結合してHgOを形成し、透光性放電容器の
内面に付着するようなことがない。このため、HgOが
黒化を生じて外観が阻害されたり、光束の低減が生じる
ようないことがない。 3 HgOが形成されると、発光に寄与するHgが消費
されてしまうため、消費される分を見込んで予めHgを
多めに封入する必要がない。換言すれば、Hgの封入量
を低減することができる。 4 放電電極用エミッタの加熱分解処理が不要のため、
低圧水銀蒸気放電ランプの製造時間が短縮され、生産ス
ピードを向上することができる。 5 放電電極用エミッタの加熱分解処理が不要のため、
工程数の低減により、製造機械の小形化が可能になる。
【0049】請求項8の発明の照明装置は、照明装置本
体と;照明装置本体に支持された請求項7記載の低圧水
銀蒸気放電ランプと;を具備していることを特徴として
いる。
【0050】本発明において、「照明装置」とは、低圧
水銀蒸気放電ランプの発光を何らかの目的で用いるあら
ゆる装置を含む広い概念である。照明装置を例示すれ
ば、照明器具、バックライト装置、表示装置、信号灯装
置、殺菌装置、化学反応装置などである。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0052】図1は、本発明の低圧水銀蒸気放電ランプ
の一実施形態としての20形の直管蛍光ランプを示す一
部切欠正面図である。
【0053】図2は、同じく拡大要部断面図である。
【0054】各図において、1は透光性放電容器、2は
蛍光体層、3は電極、4は口金である。
【0055】<透光性放電容器1について>透光性放電
容器1は、細長い管1aおよび一対のフレアステム1b
からなり、内部に放電媒体を封入している。
【0056】細長い管1aは、ソーダライムガラスから
なり、管径25.5mm、内径24mm、管長580m
m(口金を含む。)の直管形をなしている。
【0057】一対のフレアステム1bは、鉛ガラスから
なり、それぞれ排気管1b1およびフレア1b2を備
え、一対の内部導入線5および外部導入線6を封着して
いる。排気管1b1は、基端がチップオフされていると
ともに、先端が透光性放電容器1内に連通している。フ
レア1b2は、細長い管1aの両端に封止されて気密な
透光性放電容器1を形成する。内部導入線4および外部
導入線5は、フレアステム1bの内部でジュメット線を
介して接続し、フレアステム1bに対して気密性を維持
している。
【0058】放電媒体は、アルゴン約530Paおよび
少量の水銀である。
【0059】<蛍光体層2について>蛍光体層2は、3
波長発光形蛍光体からなり、透光性放電容器1の内面側
に形成されている。3波長蛍光体は、青色発光用がBa
MgAl1627:Eu、緑色発光用がLaPO
CeTb、赤色発光用がY:Euである。
【0060】<電極3について>電極3は、導電性基体
3aおよび放電電極用エミッタ3bを備えている。導電
性基体3aは、タングステンのトリプルルコイルフィラ
メントからなり、中央部にコイル部3a1と、コイル部
3a1の両端から横方向に延在する一対のレグ部3a2
とを含んでいる。そして、一対のレグ部3a2を一対の
内部導入線5の先端部がピンチすることによって、導電
性基体3aを内部導入線5に継線している。
【0061】放電電極用エミッタ3bには、Baおよび
Taの複合酸窒化物で、化学式がBaTaONの焼結
体を1次粒子とし、さらに1次粒子の多数を集合して多
孔質状集合体からなる2次粒子を形成しているものを用
いている。そして、1次粒子は、その比表面積が50m
2/g、平均粒径が40nmである。また、2次粒子
は、その平均粒径が1μmである。
【0062】1次粒子は、ボールミルなどを用いて上記
焼結体を微細化することにより形成した。また、多孔質
状集合体からなる2次粒子は、上記1次粒子をエチルア
ルコールなどの有機溶剤に分散させ、溶剤を加熱蒸発さ
せた後、乳鉢で細分化して得た。この2次粒子の空孔率
は、水銀圧入ポロシメーターで測定した結果、80%で
あった。次に、放電電極用エミッタ3bを有機バインダ
ーとしてニトロセルローズおよび溶剤として酢酸ブチル
に分散して塗布液を調整し、導電性基体3aのコイル部
3a1に塗布した。そして、約500℃に通電加熱して
有機バインダーを除去した。
【0063】<口金4について>口金4は、その一対が
透光性放電容器1の両端に装着されている。そして、口
金4は、口金本体4aおよび口金ピン4bを備えてい
る。口金本体4aは、アルミニウムのキャップ状をなし
ていて、接着剤によって透光性放電容器1の管端部に固
定されている。口金ピン4bは、口金本体4aに絶縁体
を介して植立されているとともに、口金本体4aの内部
で外部導入線が所要に接続している。
【0064】<放電電極用エミッタおよび放電ランプ用
電極の評価試験結果について>放電電極用エミッタおよ
び放電ランプ用電極を評価するために、第1の実施形態
と同じ管径および内径を備え、長さ100mmの細長い
ガラス管からなる透光性放電容器の用意して、その両端
に第1の実施形態と同じ一対の電極を封装し、かつ第1
の実施形態と同じ放電媒体を封入した評価用の放電ラン
プを試作した。そして、この評価用の放電ランプは、そ
の電極間の最短距離が約5mmである。
【0065】図3は、本発明の低圧水銀蒸気放電ランプ
の一実施形態における評価試験としての評価用の放電ラ
ンプによるグロー・アーク転移特性を比較例のそれとと
もに示すグラフである。
【0066】図において、横軸はグロー放電電力(W)
を、縦軸はグロー・アーク転移時間(秒)を、それぞれ
示す。また、曲線Aは本発明、曲線Bは比較例、をそれ
ぞれ示す。なお、比較例は、1次粒子の平均粒径が3μ
mである以外は、本発明の評価用の放電ランプと同一仕
様である。
【0067】図から明らかなように、本発明によれば、
少ないグロー放電電力でグロー・アーク転移が行われる
ことが分かる。
【0068】図4は、本発明の低圧水銀蒸気放電ランプ
の一実施形態における評価試験としての評価用の放電ラ
ンプによるアーク放電状態における電流・電圧特性を比
較例のそれとともに示すグラフである。
【0069】図において、横軸はランプ電流(mA)
を、縦軸はランプ電圧(V)を、それぞれ示す。また、
曲線Cは本発明、曲線Dは比較例、をそれぞれ示す。な
お、比較例は、図3におけるのと同じである。
【0070】評価用の放電ランプは、電極間距離が極め
て小さく設定されていることから、ランプ電圧はほぼ陰
極降下電圧に等しいといえる。したがって、図から明ら
かなように、本発明によれば、陰極降下電圧が比較例の
それより低いことが分かる。このことは、本発明によれ
ば、陰極降下電圧が低いために、エミッタのスパッタリ
ングが最小限に抑えられることを意味する。
【0071】図5は、本発明の低圧水銀蒸気放電ランプ
の一実施形態における点滅寿命試験結果を比較例のそれ
とともに示すグラフである。
【0072】図において、横軸は点灯時間(h)を、縦
軸は残存率(%)を、それぞれ示す。また、曲線Eは本
発明、曲線Fは比較例、をそれぞれ示す。なお、比較例
は、放電用エミッタが1次粒子の平均粒径が3μmであ
る以外、本実施形態と同一仕様である。点滅寿命試験
は、点灯600秒、消灯300秒を繰り返して行い、不
点となった時点を寿命とした。
【0073】図から明らかなように、本発明によれば、
寿命の長い低圧水銀蒸気放電ランプが得られる。
【0074】図6は、本発明の照明装置の一実施形態と
してのコードペンダント形照明器具を示す断面図であ
る。
【0075】図において、11は照明器具本体、12
A,12Bは低圧水銀蒸気放電ランプとしての蛍光ラン
プである。
【0076】照明器具本体11は、器具ケース11a、
ペンダントコード11b、引掛シーリングキャップ11
cおよびセード11dを備えている。
【0077】器具ケース11aは、下面が膨出してその
外面が反射面に形成され、内部にインバータを含む点灯
回路11a1、コネクタ11a2、スイッチユニット1
1a3および常夜灯11a4を収納している。
【0078】また、器具ケース11aは、外部周縁にラ
ンプホルダ11a5を備えている。上面にコード吊下・
収納装置11a6が配設されている。
【0079】ペンダントコード11bは、下端部が器具
ケース11aのコード吊下・収納装置11a6内に引き
込まれて、コネクタ11a2に接続されている。また、
ペンダントコード11bの上端は、引掛シーリングキャ
ップ11cに接続されている。そして、ペンダントコー
ド11bおよび引掛シーリングキャップ11cを介して
照明器具は天井から吊り下げられて使用される。
【0080】照明器具の吊り下げ長さは、ペンダントコ
ード11bの余剰部をコード吊下・収納装置11a6内
に収納することにより、所望の吊下高さに設定すること
ができる。
【0081】引掛シーリングキャップ11cは、天井に
予め配設され、かつ電源に接続された引掛シーリングボ
ディにワンタッチで着脱されて照明器具を機械的および
電気的に接続することができる。
【0082】蛍光ランプ12Aは、FCL30形であ
り、12Bは、FCL32形である。
【0083】これらの蛍光ランプ12A、12Bは、図
1およびし図2に示す蛍光ランプと同様な放電電極用エ
ミッタおよび放電ランプ用電極を備えた構成であり、ラ
ンプホルダ11a5に支持されるとともに、図示しない
ランプソケットを口金ピンに装着されて、点灯回路に接
続されている。
【0084】セード11dは、透光性合成樹脂からな
り、笠形をなし、上端がコード吊下・収納装置11a6
の周囲において係止して器具ケース11aに支持されて
いる。そして、蛍光ランプ12A,12Bによる発熱で
温度上昇したセード11dの内部の空気が通気孔11d
1を通じて照明器具外に排出されることにより、室内空
気の熱対流によって冷却されるように構成されている。
【0085】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、アルカリ土類
元素および遷移金属元素を含む化合物の焼結体を主体と
してなり、焼結体の比表面積aが10m/g<a<2
00m/gを満足する微粒子であることにより、グロ
ー・アーク転移に要するグロー放電電力が少なくてよ
く、短寿命化を防止するとともに、ランプの製造時にラ
イティングと称する排気・電極通電加熱による電子放射
物質の炭酸塩の分解処理を行わなくてよいので、炭酸塩
の未分解または分解不良により、発光効率が低下し、始
動電圧が上昇して不点に至る、HgOが形成されて黒化
となり外観が阻害されたり光束が低下する、Hgが消費
される、といった不具合がない放電電極用エミッタを提
供することができる。
【0086】請求項2の発明によれば、アルカリ土類元
素および遷移金属元素を含む化合物の焼結体を主体とし
てなり、焼結体の1次粒子の平均粒径が10〜500n
mであり、2次粒子が1次粒子の多孔質状集合体構造で
あることにより、熱伝導度および電気伝導度が低いため
に、グロー・アーク転移に要するグロー放電電力が少な
くてよく、短寿命化を防止するとともに、ランプの製造
時にライティングと称する排気・電極通電加熱による電
子放射物質の炭酸塩の分解処理を行わなくてよいので、
炭酸塩の未分解または分解不良により、発光効率が低下
し、始動電圧が上昇して不点に至る、HgOが形成され
て黒化となり外観が阻害されたり光束が低下する、Hg
が消費される、といった不具合がない放電電極用エミッ
タを提供することができる。
【0087】請求項3の発明によれば、加えて2次粒子
の空孔率が30%以上であることにより、熱伝導度およ
び電気伝導度が小さくて少ないグロー放電電力でグロー
・アーク転移を行う放電電極用エミッタを提供すること
ができる。
【0088】請求項4の発明によれば、加えて2次粒子
の平均粒径が0.5〜5μmであることにより、熱伝導
度および電気伝導度が小さくて少ないグロー放電電力で
グロー・アーク転移を行う放電電極用エミッタを提供す
ることができる。
【0089】請求項5の発明によれば、タングステンの
コイルフィラメントからなる導電性基体に請求項1ない
し4の放電電極用エミッタを担持させたことにより、こ
れら請求項の効果を有するとともに、放電電極用エミッ
タの保持力が強くて振動による欠落が生じにくい放電ラ
ンプ用電極を提供することができる。
【0090】請求項6の発明によれば、カップ状の導電
性基体に請求項1ないし4の放電電極用エミッタを担持
させたことにより、これら請求項の効果を有するととも
に、小径の透光性放電容器にも対応可能で、しかも長寿
命な放電ランプ用電極を提供することができる。
【0091】請求項7の発明によれば、請求項5または
6の放電ランプ用電極を備えることにより、請求項1な
いし4の効果を有するとともに、放電電極用エミッタを
多量に担持させて長寿命な低圧水銀蒸気放電ランプを提
供することができる。
【0092】請求項8の発明によれば、請求項7の低圧
水銀蒸気放電ランプを備えることにより、請求項1ない
し4の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態
としての20形の直管蛍光ランプを示す一部切欠正面
図。
【図2】同じく拡大要部正面断面図
【図3】本発明の低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態
における評価試験としての評価用の放電ランプによるグ
ロー・アーク転移特性を比較例のそれとともに示すグラ
【図4】本発明の低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態
における評価試験としての評価用の放電ランプによるア
ーク放電状態における電流・電圧特性を比較例のそれと
ともに示すグラフ
【図5】本発明の低圧水銀蒸気放電ランプの一実施形態
における点滅寿命試験結果を比較例のそれとともに示す
グラフ
【図6】本発明の照明装置の一実施形態としてのコード
ペンダント形照明器具を示す断面図
【符号の説明】
1…透光性放電容器 1a…細長い管 1b…フレアステム 1b1…排気管 1b2…フレア 2…蛍光体層 3…電極 3a…導電性基体 3a1…コイル部 3a2…レグ部 3b…放電電極用エミッタ 4…口金 4a…口金基体 4b…口金ピン 5…内部導入線 6…外部導入線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 丈夫 東京都品川区東品川四丁目3番1号東芝ラ イテック株式会社内 Fターム(参考) 5C015 AA01 BB02 CC02 CC03 CC04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ土類元素および遷移金属元素を含
    む化合物の焼結体を主体としてなり、焼結体はその比表
    面積aが下式を満足する微粒子であることを特徴とする
    放電電極用エミッタ。 10m/g<a<200m/g
  2. 【請求項2】アルカリ土類元素および遷移金属元素を含
    む化合物の焼結体を主体としてなり、焼結体はその1次
    粒子が平均粒径10〜500nmであり、2次粒子が複
    数の1次粒子による多孔質状集合体構造を構成している
    ことを特徴とする放電電極用エミッタ。
  3. 【請求項3】2次粒子は、空孔率が30%以上であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の放電電極用エミッタ。
  4. 【請求項4】2次粒子は、平均粒径が0.5〜5μmで
    あることを特徴とする請求項2または3記載の放電電極
    用エミッタ。
  5. 【請求項5】タングステンのコイルフィラメントからな
    る導電性基体と;導電性基体に担持された請求項1ない
    し4のいずれか一記載の放電電極用エミッタと;を具備
    していることを特徴とする放電ランプ用電極。
  6. 【請求項6】カップ状の導電性基体と;導電性基体内に
    収納されて担持された請求項1ないし4のいずれか一記
    載の放電電極用エミッタと;を具備していることを特徴
    とする放電ランプ用電極。
  7. 【請求項7】透光性放電容器と;透光性放電容器内に離
    間対向して封装された一対の請求項5または6記載の放
    電ランプ用電極と;透光性放電容器内に封入された水銀
    および希ガスを含む放電媒体と;を具備していることを
    特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
  8. 【請求項8】照明装置本体と;照明装置本体に支持され
    た請求項7記載の低圧水銀蒸気放電ランプと;を具備し
    ていることを特徴とする照明装置。
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