JP2005108564A - 放電灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電子放出物質としてダイヤモンドを用いる放電灯において、放電灯内の水素ガス分圧を維持し、効率の低下を抑制し、寿命、耐久性等を改善すること。
【解決手段】 放電用ガス13が封入された外囲器10と、外囲器10内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜12と、外囲器10内に設けられ外囲器10内に放電を生じさせる電極15a、15bと、電極15a、15bの表面に設けられたダイヤモンド部材1bと、外囲器10内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材16とを具備することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、照明等に用いられる放電灯に係わり、特に熱陰極、冷陰極を用いた放電灯に関する。
従来の一般的な照明における放電では、放電により陰極から放出された電子は放電管内に封止した水銀原子と衝突し、水銀原子は衝突によりエネルギーを受け紫外線を放出する。この紫外線により蛍光体が励起され可視光線を発生する。発光色は蛍光体の種類によって異なり、白色、昼光色、青色など数々の色種の光がランプから放射される。
熱陰極を用いた放電では、放電中のフィラメントは1000度以上にも達し、コイルに塗布しているエミッタは蒸発したり、イオンまたは電子衝突を受けスパッタされて消耗していく。このような蒸発やスパッタによりエミッタの電子放出物質はガラス管内に拡散する。拡散した電子放出物質はガラス管内面に付着し、水銀と反応してアマルガムを形成し黒化する。この現象は外見を損なうばかりでなくランプの光束低下をきたす主因ともなる。
電子放出物質の消耗を防ぐための手段は数々なされている。例えば、電子放出物質をスパッタされ難い物質であるダイヤモンドにする構造がある(特許文献1及び2参照)。
これらの文献に記載の発明では、電極材料にダイヤモンド粒子が塗付により付着させられている。塗付、付着させるために、例えばダイヤモンド粒子を有機溶剤に混ぜ電極材料をこの溶液に浸して超音波洗浄を行う。
電子放出物質をダイヤモンドにする場合、放電管内に水素ガスを導入することにより効率が向上する。しかしながら、本発明者の研究によれば、電子放電物質をダイヤモンドにした場合、長時間使用すると効率が低下することが判明した。さらに、この現象は、ダイヤモンドを熱陰極に使用した熱陰極放電灯に限らず、ダイヤモンドを冷陰極に使用した冷陰極放電灯に対しても同様に起こることも判明した。
特開平10−69868号公報 特開2000−106130公報
以上のように、従来、電子放出物質としてダイヤモンドを用いる放電灯においては、長時間使用すると効率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電子放出物質としてダイヤモンドを用いる放電灯の効率低下を改善した放電灯を提供することを目的とする。
(構成)
上述した課題を解決するために、本発明の第1の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材と、前記外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材とを具備することを特徴とする。
また、本発明の第2の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器内に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材と、前記外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材とを具備することを特徴とする。
また、本発明の第3の放電灯は、放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器外面に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記外囲器内面に前記電極と対向して設けられたダイヤモンド部材と、前記外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材とを具備することを特徴とする。
上記した本発明の第1〜第3の放電灯において、以下の構成を備えることが好ましい。
(1)前記放電用ガスは水素ガスを含むこと。
(2)前記水素吸蔵合金を含む部材は、前記ダイヤモンド部材の周囲に設けられたこと。
(3)前記水素吸蔵合金を含む部材は、前記前記外囲器内面に設けられた膜であること。
(4)前記水素吸蔵合金を含む部材は、前記ダイヤモンド部材と前記電極との間に設けられたこと。
(5)前記ダイヤモンド部材は前記水素吸蔵合金を含む部材の表面の一部分を覆い、該表面の他部分は前記ダイヤモンド部材から露呈してなること。
(6)前記水素吸蔵合金を含む部材は、多結晶の結晶状態を有すること。
(7)前記ダイヤモンド部材は、前記電極の表面の少なくとも一部を覆うダイヤモンド膜であること。
(8)前記ダイヤモンド部材は、ドナー性不純物を含有するダイヤモンドからなること。
(9)前記放電用ガスは200nm以下の主要発光ピークを有する元素を含むガスを含むこと。
(10)前記放電用ガスは希ガスと水銀を含むこと。
(11)前記放電用ガスはXeを含むこと。
(作用)
本発明者の研究によれば、電子放電物質をダイヤモンドにした場合、長時間使用すると効率が低下する理由の一つに、以下の現象に基づくものであることが見出された。即ち、外囲器内の水素ガスが外囲器や電極部材等の隙間や亀裂等の不良箇所から漏れ出すことにより、外囲器内の水素ガス分圧が減少し、このため電子放出物質としてのダイヤモンドからの電子放出効率が減少したことである。
この現象は、ダイヤモンドを熱陰極に使用した熱陰極放電灯に限らず、ダイヤモンドを
冷陰極に使用した冷陰極放電灯に対しても同様に起こることも判明した。
本発明によれば、外囲器内に水素吸蔵合金を含む部材が設けられているので、外囲器内の水素ガス分圧は以下のように作用する。即ち、放電灯が点灯した場合には、熱陰極を用いた放電灯では陰極自体が発熱し温度が上昇する。冷陰極を用いた放電灯ではイオン等の衝突により熱陰極ほどではないが陰極の温度が上昇する。陰極の温度が上昇すると外囲器内温度も上昇し、外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材が暖められる。水素吸蔵合金からの水素ガスの放出は、水素解離圧力と温度との間に相関関係があり、温度が上昇すると水素解離圧力は上昇し水素を放出する。適切な水素吸蔵合金を選択して外囲器内に設けることにより、外囲器内の水素分圧は常にダイヤモンドを用いた陰極に適したものに維持され、ダイヤモンドを用いた陰極からの電子放出効率を向上させ、放電灯の効率低下を抑制することが可能となる。
本発明によれば、放電灯の効率低下を抑制して放電灯の耐久性を向上させることが可能である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る放電灯の構造を示す断面図である。図1(a)に示されるように本実施形態に係る放電灯は熱陰極を用いた放電灯であり、内面に蛍光体12(例えば、ハロリン酸カルシウム蛍光体等)を塗布した透明な細長いガラス管10と、ガラス管10両端に取り付けられた一対の電極15a、15bは、電極部材11a、11bと、これらの電極部材11a、11bに対する導入線11c及び11dと、一対の金具14a、14bとにより構成されている。導入線11c及び11dは電極部材11a、11bをそれぞれ保持し通電を行うためのものであり、一対の金具14a、14bによりそれぞれ保持される。図1(b)に示されるように、電極部材11a及び11bは、2重または3重のコイル状のフィラメント1a(例えば、タングステン等からなる。)にエミッタと呼ばれる電子放出物質1bが塗布されている。電子放出物質1bは単結晶又は多結晶のダイヤモンドからなるものである。
ガラス管10内には放電を容易にするために封止ガス13として希ガス(Ar、Ne、Xe等)又はこれらの混合希ガスと微量の水銀が約700Paの圧力で封入されており、さらに水素ガスが約7Paの分圧で封止されている。また、ガラス管10内には、管内の水素ガス分圧を保持するために、水素吸蔵合金、例えばマグネシウム系のCeMg2合金からなる水素吸蔵合金部材16が設けられている。この水素吸蔵合金部材16はペレット状であり、ガラス管10内壁にガラスフリットにより融着固定されている。
放電の際は、電極部材11a、11bに電流を流し予熱すると、高温になったエミッタ1bから電子が放出される。放出された電子は対極電極(陽極)に移動し、放電が開始する。ここで、一般的には放電を生じさせるために交流電圧を電極部材11a、11b間に印加する構成となっており、電極部材11a、11bの片方がエミッタとして作用するときは他方は対極電極(陽極)として作用する。この放電により電子はガラス管10内に封止した水銀原子と衝突する。或いは、放電により放出された電子は希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスの原子に衝突し、新たな電子と希ガスイオンが生成され、これらの電子と希ガスイオンもまた水銀原子と衝突する。これらの衝突により水銀原子はエネルギーを受け紫外線を放出する。この紫外線により蛍光体12が励起され可視光線を発生する。発光色は蛍光体の種類によって異なり、白色、昼光色、青色など数々の色
種の光がランプから放射される。
次に、本実施形態の水素吸蔵合金の作用について説明する。水素系ガスをキャリアガスとした化学気相成長法(CVD)において作製したダイヤモンドは、その表面が水素により終端されていることが一般的である。この水素終端層はダイヤモンドの特性に大きく寄与しており,負の電子親和力(NEA)特性を示すための重要な役割を担っている。この負の電子親和力特性によりダイヤモンドからは低温からの熱電子放出が可能となる。
しかしながら、本発明者の研究によれば、ある時間を経過すると管内の水素ガス分圧は様々な理由により減少していき、長時間使用すると、ダイヤモンド(電子放電物質)からの電子放出効率が低下して放電効率も低下してしまうことが見出された。水素ガス分圧が減少する理由としては、例えば、管内の水素ガスがガラス管や電極部材等の隙間や亀裂等の不良箇所から漏れ出すことが考えられる。
本実施形態では、ガラス管10内に、水素吸蔵合金、例えばマグネシウム系のCeMg2合金からなる水素吸蔵合金部材16が設けられているので、管内の水素ガス分圧が上述したように減少した場合、水素吸蔵合金から水素が解離して管内に放出される。これにより管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。
より具体的には、放電が起こると管内の温度は上昇する。管内温度は水銀の励起に非常に関連があり、水銀等の封入ガスの封入圧力により最適温度が存在する。通常、管内温度は約80度に設定されている場合が多い。但し、放電灯の応用例により管内温度は変わってくる。本実施形態では80度となっていた。管内温度が80度になると、室温では非常に水素解離圧力が小さいCeMg2合金は徐々に水素解離圧力が上昇し、80度においては約7Paの解離圧力となる。即ち、放電灯の管内の水素分圧は7Paを維持する。この状態でガラス管10内から水素ガスが減少しても、解離圧力を保つため水素吸蔵合金から水素が放出される。
次に、本実施形態の熱陰極放電灯における熱陰極の製造方法について説明する。まず、コイル状フィラメント1a表面へのダイヤモンド種付け処理について説明する。ダイヤモンド粒子を有機溶剤、例えばアルコール等に混ぜ、この溶剤をフィラメント1aの表面に塗布した。有機溶剤に混ぜたダイヤモンド粒子の粒径としては0.1ミクロン以上1ミクロン以下のものを用いた。また、塗布は、ダイヤモンド粒子を混ぜた有機溶剤にコイル状フィラメント1aを浸し超音波洗浄を行う方法を採用した。超音波洗浄による処理時間は30分とした。超音波洗浄することによりダイヤモンド粒子は均等にコイル状フィラメント1aの表面に付着した。その後、必要に応じて、例えば窒素雰囲気中、200度の温度において60分加熱処理を行い、有機溶剤及び不純物の除去を行った。ダイヤモンド種付け処理を行った後、マイクロ波プラズマCVD装置内に設置し、コイル状電極表面にダイヤモンド部材を形成する。
図6は、上記プラズマCVD装置の構成を示す断面図である。図6に示すように、マイクロ波はマイクロ波ヘッド62aからマイクロ波導波路62bを通り、更にマイクロ波導入用石英窓64を経て反応室63に導入される。
反応ガスは反応ガス導入口65から反応室63に導入される。試料60(ダイヤモンド種付け処理済みのフィラメント1a)はヒータステージ61に設置する。ヒータステージ61の支持台は上下位置の調整が可能であり、最適な位置に調整できる機構を有している。反応室63の圧力は図示しない圧力調整バルブにより制御され、排気はロータリーポンプにより行われる。また、真空排気は、ロータリーポンプ66a、66cとターボ分子ポ
ンプ66bの排気システム66により行われる。
この場合のダイヤモンド薄膜の成膜条件は次の通りである。即ち、マイクロ波パワーを4kW、反応ガス圧力を13.3kPa、水素ガス流量を400sccm、メタンガス流量を8sccm、原料ガスのメタン濃度を2%、成膜温度を850℃として、成膜時間120分でフィラメント1aの表面に厚み5μmの多結晶からなるダイヤモンド薄膜1bを形成した。
本実施形態ではダイヤモンド薄膜の形成には水素ガスとメタンガスのみを使用したが、燐、窒素、硫黄等のn型を示すものや、ボロン等のp型を示すものを不純物としてドーピングしても差し支えない。なお、n型のドーパントについては詳細に後述する。また、ダイヤモンド薄膜の成膜方法もマイクロ波プラズマCVD法に限らず、例えばECRCVD法、高周波(RF)CVD法等によっても形成可能である。
(第2の実施形態)
図2は、本実施形態に係る放電灯の構造を示す断面図である。図1と同一部分には同一の符号を記す。本実施形態に係る放電灯も熱陰極を用いた放電灯であり、第1の実施形態と異なる点は、ガラス管10内面に水素吸蔵合金、例えばマグネシウム系のCeMg2合金からなる水素吸蔵合金膜26a、26bが設けられている点である。水素吸蔵合金膜26a、26bは、それぞれ一対の電極15a、15bの周囲に設けられている。これらの水素吸蔵合金膜26a、26bは、CeMg2合金等からなるスパッタリングターゲットを用いてArを含む減圧下(例えば、約5Pa)で斜めスパッタリングを行うか、或いはまたCeMg2合金等からなる原料を減圧下(例えば、約10-6Pa)に置いて斜め蒸着を行うことにより形成することができる。
ガラス管10内における電極部材11a、11b間の放電領域は非常に温度が高くなるので、本実施形態のように水素吸蔵合金膜26a、26bの各々は電極部材11a、11bよりもガラス管10端部側に後退して設けられていることが望ましい。しかし、放電領域の温度、位置等に応じて、水素吸蔵合金膜26a、26bをガラス管10中心部側により近づけても良い。
本実施形態では、水素吸蔵合金膜26a、26bにより、第1の実施形態と同様に管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。水素吸蔵合金を膜状に形成するので、水素吸蔵膜26a、26bの表面の温度分布を均一とし、均一な水素放出、均一な水素分圧分布を得ることができ、放電特性の安定化を図ることが可能となる。
(第3の実施形態)
図3は、本実施形態に係る放電灯の構造を示す断面図である。図3に示されるように本実施形態に係る放電灯は冷陰極を用いた放電灯であり、第1の実施形態と同様の材料からなる蛍光体32を内面に塗布した透明な細長いガラス管30の両端からリード線34a、34bが挿入されてガラス封着されている。リード線34a、34bのガラス管30内に突出する部分にはNi等の金属からなる陰極支持体31a、31bがそれぞれ設けられている。これらの陰極支持体31a、31bの表面にはそれぞれ電子放出物質(エミッタ)であるダイヤモンド材料からなる膜33a、33bが形成されており、陰極支持体31a、31bとともに冷陰極35a、35bを構成している。
ガラス管30内には放電を容易にするために封止ガス37として希ガス(Ar、Ne、Xe等)又はこれらの混合希ガスと微量の水銀が約3.5kPaの圧力で封入されており、さらに水素ガスが約35Paの分圧で封入されている。また、ガラス管30内には、管内の水素ガス分圧を保持するために、水素吸蔵合金、例えばMg2Ni合金からなる水素吸蔵
合金部材36が設けられている。この水素吸蔵合金部材36はペレット状であり、ガラス管30内壁にガラスフリットにより融着固定されている。
ガラス管30から外部に露出したリード線34a、34bは、例えば交流電源に接続され、交流電圧が印加されると、ダイヤモンド材料からなる膜33a、33bの表面には強い電界が発生し、この電界により残存電子が高速に移動し、膜33a、33bの表面からは電子が放出される。この電界により残存電子が対極電極に引かれて高速に移動する間に希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスに衝突する。衝突により増殖した陽イオンが陰極に衝突し、陰極から2次電子が放出されて放電が開始する。放電により流れる電子及び陽イオンは水銀原子と衝突する。これらの衝突により水銀原子はエネルギーを受け紫外線を放出する。この紫外線により蛍光体32が励起され可視光線を発生する。発光色は蛍光体の種類によって異なり、白色、昼光色、青色など数々の色種の光がランプから放射される。
本実施形態においても、ガラス管30内に、水素吸蔵合金、例えばMg2Ni合金からなる水素吸蔵合金部材36が設けられているので、管内の水素ガス分圧が減少した場合、水素吸蔵合金から水素が解離して管内に放出される。これにより管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。
より具体的には、放電が起こると管内の温度は上昇する。管内温度は水銀の励起に非常に関連があり、水銀等の封入ガスの封入圧力により最適温度が存在する。通常、管内温度は約80度に設定されている場合が多い。但し、放電灯の応用例により管内温度は変わってくる。本実施形態では80度となっていた。管内温度が80度になると、室温では非常に水素解離圧力が小さいMg2Ni合金は徐々に水素解離圧力が上昇し、80度においては約35Paの解離圧力となる。即ち、放電灯の管内の水素分圧は35Paを維持する。この状態でガラス管30内から水素ガスが減少しても、解離圧力を保つため水素吸蔵合金から水素が放出される。
次に、本実施形態における冷陰極35a、35bの製造方法について説明する。まず、モリブデンからなる陰極支持体31a、31bを用意し、この陰極支持体31a、31bの表面に対して第1の実施形態と同様にダイヤモンド種付け処理を行う。この後、ダイヤモンド種付け処理済みの陰極支持体31a、31bを、図6に示すプラズマCVD装置の中に移して、陰極支持体31a、31bの表面にダイヤモンド薄膜33a、33bを成膜した。成膜条件は、マイクロ波パワーを4kW、原料ガスの圧力を15kPa、水素ガス流量を300sccm、メタンガス流量を6sccm、原料ガスのメタン濃度を2%、成膜温度を800℃とした。成膜時間120分で厚み4μmの多結晶からなるダイヤモンド薄膜33a、33bを形成した。
本実施形態ではダイヤモンド薄膜の形成には水素ガスとメタンガスのみを使用したが、燐、窒素、硫黄等のn型を示すものや、ボロン等のp型を示すものを不純物としてドーピングしても差し支えない。なお、n型のドーパントについては詳細に後述する。また、ダイヤモンド薄膜の成膜方法もマイクロ波プラズマCVD法に限らず、例えばECRCVD法、高周波(RF)CVD法等によっても形成可能である。
(第4の実施形態)
図4は、本実施形態に係る放電灯の構造を示す断面図である。図3と同一部分には同一の符号を記す。本実施形態に係る放電灯も冷陰極を用いた放電灯であり、第3の実施形態と異なる点は、ガラス管30内面に水素吸蔵合金、例えばMg2Ni合金からなる水素吸蔵合金膜46a、46bが設けられている点である。水素吸蔵合金膜46a、46bは、
それぞれ一対の電極15a、15bの周囲に設けられている。これらの水素吸蔵合金膜46a、46bは、Mg2Ni合金等からなるスパッタリングターゲットを用いてArを含む減圧下(例えば、約5Pa)で斜めスパッタリングを行うか、或いはまたMg2Ni合金等からなる原料を減圧下(例えば、約10-6Pa)に置いて斜め蒸着を行うことにより形成することができる。
ガラス管30内における冷陰極35a、35b間の放電領域は非常に温度が高くなるので、本実施形態のように水素吸蔵合金膜46a、46bの各々は冷陰極35a、35bの先端よりもガラス管30端部側に後退して設けられていることが望ましい。しかし、放電領域の温度、位置等に応じて、水素吸蔵合金膜46a、46bをガラス管30中心部側により近づけても良い。
本実施形態では、水素吸蔵合金膜46a、46bにより、第1の実施形態と同様に管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。水素吸蔵合金を膜状に形成するので、水素吸蔵膜46a、46bの表面の温度分布を均一とし、均一な水素放出、均一な水素分圧分布を得ることができ、放電特性の安定化を図ることが可能となる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、前述したダイヤモンド薄膜にn型導電性を示す不純物をドーピングする例について説明する。図7は本実施形態の原理を説明する図であり、n型不純物をドープしたダイヤモンドのバンド図である。ダイヤモンドはEvacで示す真空準位がEcで示すダイヤモンドの伝導帯の底よりも低い位置に存在し、NEA(Negative Electron Affinity)と称される負の電子親和力を持つことが知られている。電子親和力は伝導帯の底にある電子を真空中に移動させるのに必要なエネルギーであり、これが負の値をもつということは電子が極めて放出されやすいことを意味している。
しかしながら、n型にドープしたダイヤモンドは室温では抵抗がかなり高い。これは、電子を与えるドナーの準位と伝導帯の底とのエネルギー差EdがSi等の通常の半導体に比較して10倍以上あり、室温では電子が伝導帯にほとんど存在しないためである。
ところが、n型にドープしたダイヤモンドを蛍光ランプ等の放電装置に適用し加熱して用いることにより十分優れた電子放出特性を得ることが判明した。本実施形態では、このように優れた電子放出特性を利用した熱陰極及び優れた発光特性を有する放電装置について説明する。
上述したようにn型にドープしたダイヤモンド加熱をする場合には、温度が上昇することにより電子が伝導帯に上がるため、NEA特性を利用した電子放出が可能となる。即ち、NEA特性のダイヤモンドにおいては、伝導帯にある電子が真空中へ放出されるのを妨げる障壁が存在しないので、結局、電子を放出するのに必要なエネルギーはEd程度となる。一方、NEA特性を有しない通常の電子放出物質においては、真空準位Evacは伝導帯の底Ecよりも上にあり、真空中に電子を放出するのに必要なエネルギーは仕事関数程度の値となる。Edの値としては、ダイヤモンドに燐をドープした場合で0.6eV程度の値が得られており、一方、仕事関数の値は熱電子放出用エミッタによく用いられるBaOにおいて1.1eV程度の値である。これらの値は熱電子放出に対し指数関数的に影響を及ぼすので、n型にドープしたダイヤモンドでは低い温度で熱電子を放出できることになる。したがって、かかる熱陰極を用いた蛍光ランプ等の放電装置においては、低温で一様な熱電子放出を実現することができ、これにより発光特性が優れ長寿命の熱陰極型放電装置を提供することができる。
また、仕事関数は表面状態の影響に極めて敏感であり、作製プロセス、雰囲気等の影響を強く受ける。このため、電子放出面内での均一性を期待し難い。仕事関数の値は熱電子放出に対し指数関数的に影響を及ぼすので、熱電子放出の面内での不均一は大きなものとなりやすい。一方、NEA特性のダイヤモンドにおいては、電子親和力が負である限りはその値が多少変動しても、熱電子放出に影響を与えることはなく、熱電子放出を決めるのはドナーの準位と伝導帯の底とのエネルギー差Edである。この値は表面の性質ではなく、ドーパントによって決まるバルクの性質である。このため、n型のダイヤモンドにおいては面内で均一な熱電子放出が期待できる。さらに、ダイヤモンドは熱伝導率が最も大きな物質であり、ジュール熱やイオン・電子の流入、衝撃による加熱があっても熱が速やかに周囲に伝わり、温度が均一になる。n型のダイヤモンドを用いるだけでも十分な効果を得ることができるが、その形態を均一な連続膜とした場合にはその効果は絶大なものとなる。
次に、本実施形態に係わる熱陰極及び放電装置について説明する。まず、線径が30μmのタングステン線をコイル状に巻いたフィラメントを準備する。このフィラメントの処理は第1の実施形態と同様に行った。このフィラメントに、例えばマイクロ波プラズマCVD法により5ミクロン程度の厚みの多結晶からなるダイヤモンド層を形成する。多結晶ダイヤモンド層の成長条件は、マイクロ波パワーを4kW、水素流量を200sccm、メタンガス流量を4sccmとし、原料ガスのメタン濃度は2%とした。原料ガスの圧力は13.3kPa、フィラメントは850℃に加熱し、成膜時間は120分とした。n型のドーパントには燐を用い、ダイヤモンド成長時にホスフィンガスを同時に供給した。メタンガスに対するホスフィンガスの割合は1000ppmとした。
その後、支持台にフィラメントを保持し通電を行うための導入線を設け、この導入線に金具を付けてガラス管に取り付け、封止ガスで封止を行って放電装置が完成する。
本実施形態においても、水素吸蔵合金からなる部材を放電管内に設ければ、第1の実施形態と同様に、水素吸蔵合金により管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。さらに、上記したように、低温で一様な熱電子放出を実現することができ、これにより発光特性が優れ長寿命の熱陰極型放電灯を提供することができる。
(第6の実施形態)
図8は、本実施形態に係る放電灯における陰極の他の構造を示す断面図である。
図8に示すように、Ni等の金属からなる陰極支持体81の表面には、水素吸蔵合金、例えばMg2Niからなる水素吸蔵合金膜82が膜厚0.5μmで形成されており、この水素吸蔵合金膜82の表面には多結晶ダイヤモンドからなるダイヤモンド層83が膜厚2μmで形成されている。このダイヤモンド層83は平均粒径0.2μmの結晶粒から構成されており、ダイヤモンド層83中に存在する結晶粒界84は水素吸蔵合金膜82の表面から外界(放電灯の放電空間)へ通じている。
本実施形態の陰極を上記実施形態の放電灯の陰極に用いることにより、放電管内の水素ガス分圧が上述したように減少した場合、水素吸蔵合金膜82から水素が解離し、解離した水素は多結晶ダイヤモンドからなるダイヤモンド層83の粒界84を経由して、外界即ち放電灯の放電空間に放出される。これにより管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。
より具体的には、放電が起こると管内の温度は上昇するが、管内温度は水銀の励起に非
常に関連があり、水銀等の封入ガスの封入圧力により最適温度が存在する。通常、管内温度は約80度に設定されている場合が多い。但し、放電灯の応用例により管内温度は変わってくる。例えば、本実施形態における陰極を第3の実施形態の陰極に用いる場合(水素吸蔵合金部材36は設けない。)には、管内温度が約80度になると、室温では非常に水素解離圧力が小さいMg2Ni合金は徐々に水素解離圧力が上昇し、80度においては約35Paの解離圧力となる。ここで、解離した水素は、水素吸蔵合金膜82からダイヤモンド層83の粒界84を経由して放出されることにより、放電灯の管内の水素分圧は35Paを維持する。この状態でガラス管30内から水素ガスが減少しても、解離圧力を保つため水素吸蔵合金から水素が放出される。
次に、本実施形態における陰極の製造方法について説明する。まず、モリブデンからなる陰極支持体81を用意し、この陰極支持体81の表面に水素吸蔵合金膜82を形成する。水素吸蔵合金膜82は、上記実施形態と同様に斜めスパッタリング蒸着法や斜め蒸着法等により形成することができる。次に、水素吸蔵合金膜82に対してダイヤモンド種付け処理を行う。このダイヤモンド種付け処理は第1の実施形態と同様の方法で行う。この後、ダイヤモンド種付け処理済みの水素吸蔵合金膜82を有する陰極支持体81を、図6に示すプラズマCVD装置の中に移して、水素吸蔵合金膜82の表面に多結晶ダイヤモンドからなるダイヤモンド層83を成膜した。成膜条件は、マイクロ波パワーを2kW、原料ガスの圧力を10kPa、水素ガス流量を300sccm、メタンガス流量を6sccm、原料ガスのメタン濃度を2%、成膜温度を750℃とした。成膜時間150分で厚み2μmで、平均粒径0.2μmの結晶粒からなる多結晶ダイヤモンド層83を形成した。
本実施形態ではダイヤモンド薄膜の形成には水素ガスとメタンガスのみを使用したが、燐、窒素、硫黄等のn型を示すものや、ボロン等のp型を示すものを不純物としてドーピングしても差し支えない。なお、上述したようにn型のドーパントを用いてもよい。また、ダイヤモンド薄膜の成膜方法もマイクロ波プラズマCVD法に限らず、例えばECRCVD法、高周波(RF)CVD法等によっても形成可能である。
なお、多結晶ダイヤモンド層83は、ダイヤモンド層の粒界を経由した水素の放出を確保するために、その厚みが1μm以上5μm以下で、平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
また、図8に示した陰極は、熱陰極に適用することも可能であるが、特に冷陰極(バリア型放電灯も含む。)に対して適用することが好ましい。その理由は、熱陰極ではフィラメント等により水素吸蔵合金が極度に加熱されることにより、放電灯としての応用例、使用条件等によっては、水素吸蔵合金の解離圧力が急上昇して放電特性の劣化すなわち放電灯としての性能の劣化が生じてしまう場合があるからである。また、水素吸蔵合金の解離圧力の急上昇により水素吸蔵合金の水素吸蔵特性が低下して放電灯としての耐性が劣化する場合もある。
(第7の実施形態)
図9は、本実施形態に係る放電灯における陰極の他の構造を示す断面図である。
図9に示すように、Ni等の金属からなる陰極支持体91の表面には、水素吸蔵合金、例えばMg2Niからなる水素吸蔵合金膜92が膜厚0.5μmで形成されており、この水素吸蔵合金膜92の表面には多結晶ダイヤモンド層93が膜厚2μmで形成されている。このダイヤモンド層93は、所定のパターン形状(ストライプ状、島状等)を有しており、隣接するダイヤモンド層93パターン部の間には水素吸蔵合金膜92が露出部94として露出している。また、ダイヤモンド層93は平均粒径0.2μmの結晶粒から構成されており、ダイヤモンド層93中に存在する結晶粒界は水素吸蔵合金膜92の表面から外
界(放電灯の放電空間)へ通じている。
本実施形態の陰極を上記各実施形態の放電灯の陰極に用いることにより、放電管内の水素ガス分圧が上述したように減少した場合、水素吸蔵合金膜92から水素が解離し、解離した水素は、隣接するダイヤモンド層93パターンから露呈する水素吸蔵合金膜92の露出部94を経由して外界即ち放電灯の放電空間に放出される。また、解離した水素は、水素露出部94以外に、第7の実施形態と同様に多結晶ダイヤモンドからなるダイヤモンド層93の粒界を経由して、外界即ち放電灯の放電空間に放出される。これにより管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。
より具体的には、例えば、本実施形態における陰極を第3の実施形態の陰極に用いる場合(水素吸蔵合金部材36は設けない。)には、管内温度が約80度になると、室温では非常に水素解離圧力が小さいMg2Ni合金は徐々に水素解離圧力が上昇し、80度においては約35Paの解離圧力となる。ここで、解離した水素は、水素吸蔵合金膜92から水素吸蔵合金膜92の露出部94を経由して外界即ち放電灯の放電空間に放出される。また、解離した水素は、露出部94以外に、第7の実施形態と同様にダイヤモンド層93の粒界を経由して、外界即ち放電灯の放電空間に放出される。このように水素が外界即ち放電灯の放電空間に放出されることにより、放電灯の管内の水素分圧は35Paを維持する。この状態でガラス管30内から水素ガスが減少しても、解離圧力を保つため水素吸蔵合金から水素が放出される。
次に、本実施形態における陰極の製造方法について説明する。まず、モリブデンからなる陰極支持体91を用意し、この陰極支持体91の表面に水素吸蔵合金膜92を形成する。水素吸蔵合金膜92は、上記実施形態と同様に斜めスパッタリング蒸着法や斜め蒸着法等により形成することができる。次に、水素吸蔵合金膜92に対してダイヤモンド種付け処理を行う。このダイヤモンド種付け処理は第1の実施形態と同様の方法で行う。この後、ダイヤモンド種付け処理済みの水素吸蔵合金膜92を有する陰極支持体91を、図6に示すプラズマCVD装置の中に移して、水素吸蔵合金膜92の表面に単結晶ダイヤモンドからなるダイヤモンド層93を成膜した。成膜条件は、マイクロ波パワーを2kW、原料ガスの圧力を10kPa、水素ガス流量を300sccm、メタンガス流量を6sccm、原料ガスのメタン濃度を2%、成膜温度を750℃とした。成膜時間150分で厚み2μmで、平均粒径0.2μmの結晶粒からなる多結晶ダイヤモンド層93を形成した。さらに、このダイヤモンド層上にエッチングマスクとしてアルミニウムからなるパターンを形成し、RIE(Reactive Ion Etching)により所定のパターン形状にパターン加工する。エッチングガスとしては、例えばCF4及びO2ガスの混合ガスを用いる。これにより、ダイヤモンド層93パターン及び露出部94が形成される。
本実施形態ではダイヤモンド薄膜の形成には水素ガスとメタンガスのみを使用したが、燐、窒素、硫黄等のn型を示すものや、ボロン等のp型を示すものを不純物としてドーピングしても差し支えない。なお、上述したようにn型のドーパントを用いてもよい。また、ダイヤモンド薄膜の成膜方法もマイクロ波プラズマCVD法に限らず、例えばECRCVD法、高周波(RF)CVD法等によっても形成可能である。
なお、ダイヤモンド層93として多結晶ダイヤモンド層を用いる場合は、ダイヤモンド薄膜の成膜方法として第7の実施形態の方法を用いることが可能であり、ダイヤモンド層の粒界を経由した水素の放出を確保するために、その厚みが1μm以上5μm以下で、平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
また、図9に示した陰極も、第7の実施形態と同様の理由により、熱陰極に適用するこ
とも可能であるが、特に冷陰極(バリア型放電灯も含む。)に対して適用することが好ましい。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、本発明はバリヤ型の放電灯に対しても適用可能である。本発明をバリヤ型放電灯に対して適用した場合の放電灯の断面構造を図5に示す。このバリヤ型放電灯は、放電管の外面に電極が設けられ、この電極に対して電圧が印加されることにより、放電管内部に放電を誘起して発光させるものである。
図5に示されるように本実施形態に係る放電灯は、ガラス管50と、その内面に形成され紫外線により可視光を発生する蛍光体膜52と、ガラス管50の両端内面に取り付けられた円筒状の一対のダイヤモンド層53a、53bと、これらのダイヤモンド層53a、53bに対してガラス管50を介して対向するようにガラス管50の両端外面に取り付けられた円筒状の一対の外部電極51a、51bとを有する。一対の外部電極51a、51bのそれぞれはW(タングステン)やMo(モリブデン)等からなるものである。外部電極51a、51bとダイヤモンド層53a、53bが電極55a、55bを構成する。
ガラス管50の内部には放電用ガス57が封入されている。即ち、希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスと微量の水銀が封入されており、さらに水素ガスも封入されている。また、ガラス管50の端部の内面には、管内の水素ガス分圧を保持するために、水素吸蔵合金膜56a、56bが設けられている。
ガラス管50内におけるダイヤモンド層53a、53b間の放電領域は非常に温度が高くなるので、本実施形態のように水素吸蔵合金膜56a、56bの各々はダイヤモンド層53a、53bよりもガラス管50端部側に後退して設けられていることが望ましい。しかし、放電領域の温度、位置等に応じて、水素吸蔵合金膜56a、56bをガラス管50中心部側により近づけても良い。
次に、本実施形態のバリア型放電灯の動作について説明する。
まず、放電を開始させるために、一対の外部電極51a、51b間に周波数40kHz、1500Vの高周波電圧を印加する。電極55a、55bの片方がエミッタ(陰極)として作用するときは他方は対極電極(陽極)として作用する。この高周波電圧の印加により、管内に残存する電子が陽極に引かれて高速に移動する間に希ガス(Ar、Ne、Xe等)或いはこれらの混合希ガスの原子に衝突し、新たな電子と希ガスイオンが生成される。この衝突過程が繰り返され、増殖した陽イオンがエミッタ(陰極)としてのダイヤモンド層53a(或いは53b)に対して入射する。これによりダイヤモンド層53a(或いは53b)から電子が放出されて放電が開始する。
この時、放電用ガス中の水素がダイヤモンド層53a、53bの表面に終端することにより、電子を効率よく放電空間に放出させることが可能である。放出された電子は対極電極(陽極)側に移動し、放電が開始する。
以上の機構により断続放電が生じ、それによって生じる紫外線により蛍光体膜52が励起されて発光が生じる。本実施形態では水銀蒸気を用いたが、バリア型放電灯では、外部電極51a、51bを放電空間に晒していないため、外部電極51a、51bが消耗されるのを抑制するためにガラス管50内に水銀蒸気を存在させる必要がない。したがって、ガラス管50の内部に封入するガスとして水素ガスと希ガスのみを使用することも可能である。
本実施形態においても、ガラス管50内に、水素吸蔵合金膜56a、56bが設けられているので、管内の水素ガス分圧が減少した場合、水素吸蔵合金から水素が解離して管内に放出される。これにより管内の水素ガス分圧を保持することができ、ダイヤモンドを陰極に用いた放電灯の最適な条件に管内の水素分圧を維持することが可能となる。
次に、本実施形態に係るバリア型放電灯の製造方法について説明する。まず、ガラス管50を用意し、このガラス管50内面のダイヤモンド層53a、53bを形成しない部分にマスク等を形成し、ガラス管50内面のダイヤモンド層53a、53bを形成する部分(ガラス管50両端内面の円筒状領域)に第1の実施形態と同様にダイヤモンド種付け処理を行う。次に、マスク等を除去した後、上記各実施形態と同様にマイクロ波プラズマCVD法等の成膜法を用いることにより、ダイヤモンド種付け処理の終わったガラス管50内面のダイヤモンド種付け処理済みの部分に選択的にダイヤモンド層53a、53bを形成する。この成膜工程によりガラス管50両端内面のみに円筒状にダイヤモンド層53a、53bが形成される。なお、ダイヤモンド層53a、53bは、導電性が不要であるために、p型やn型のドーパントを添加しても良いし添加しないでも良い。
次に、水素吸蔵合金膜56a、56bを、ダイヤモンド層53a、53bよりもガラス管50端部側に後退した位置に形成する。さらに、蛍光体膜52をガラス管50の内面に塗布形成した。蛍光体膜26は、マスク等を用いることにより、ダイヤモンド層53a、53bが設けられたガラス管50両端内面には形成しないようにした。
次に、ガラス管50内部に前述した放電用ガスを導入して、ガラス管50両端の封止部においてガラス管50の封止を行う。例えば、750℃の温度でガラス管50両端の封止部を熱処理することにより当該部分を軟化、流動させて封止を行うことができる。最後に、ガラス管50の外面の両端部に一対の外部電極51a、51bを形成して本実施形態の放電灯が完成する。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、水素吸蔵合金はCeMg2合金、Mg2Ni合金に限定されず、放電管内水素分圧を満足する特性を有するものであれば採用することは可能である。また、水素吸蔵合金部材は、上記実施形態のようにペレット状、膜状でも良いし、その他、板状、棒状、針状等の形状でも良い。さらにまた、水素吸蔵合金を含む部材は、水素吸蔵合金のみからなる部材でも良いし、水素吸蔵合金のみからなる部材に他の材料からなる部材を組み合わせたものとしても良い。他の材料からなる部材としては、例えば水素吸蔵合金部材を放電管の内壁に固定するために部材や蛍光体の部材等が用いられる。
また、外囲器としては、その内部で放電が可能であり、光を内部から外部に取り出せる透明な容器であれば良く、材料はガラスに限定されることは無く、その形状は、管状の他、平板状、曲面を有する板状、球状等であっても良い。また、電極材料はタングステンに限定されず、他の材料、例えばモリブデンやタンタル等を用いることが可能である。
また、バリヤ型の放電灯の場合においては、蛍光膜及びダイヤモンド部材がそれぞれ外囲器内面の異なる位置に設けられているが、これに限られず、例えば蛍光膜とダイヤモンド部材とを重ねて設けても良い。即ち、外囲器内面に蛍光膜を設けその上にダイヤモンド部材を設けても良い。
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、
実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る熱陰極放電灯の構造を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る熱陰極放電灯の構造を示す断面図。 本発明の第3の実施形態に係る冷陰極放電灯の構造を示す断面図。 本発明の第4の実施形態に係る冷陰極放電灯の構造を示す断面図。 本発明をバリヤ型放電灯に適用した場合の構造を示す断面図。 ダイヤモンドを成膜するのに用いた成膜装置を示す断面図。 ダイヤモンドにn型導電性を示す不純物をドーピングした場合のダイヤモンドのバンド図。 本発明の第6の実施形態に係る放電灯の陰極の構造を示す断面図。 本発明の第7の実施形態に係る放電灯の陰極の構造を示す断面図。
符号の説明
10…ガラス管
11a、11b…一対の電極部材
11c、11d…導入線
12…蛍光体
13…封止ガス
14a、14b…一対の金具
15a、15b…一対の電極
16…水素吸蔵合金部材

Claims (14)

  1. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材と、前記外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材とを具備することを特徴とする放電灯。
  2. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器内に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記電極の表面に設けられたダイヤモンド部材と、前記外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材とを具備することを特徴とする放電灯。
  3. 放電用ガスが封入された外囲器と、前記外囲器内面に設けられた蛍光体からなる蛍光膜と、前記外囲器外面に設けられ該外囲器内に放電を生じさせる電極と、前記外囲器内面に前記電極と対向して設けられたダイヤモンド部材と、前記外囲器内に設けられた水素吸蔵合金を含む部材とを具備することを特徴とする放電灯。
  4. 前記放電用ガスは水素ガスを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放電灯。
  5. 前記水素吸蔵合金を含む部材は、前記ダイヤモンド部材の周囲に設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放電灯。
  6. 前記水素吸蔵合金を含む部材は、前記前記外囲器内面に設けられた膜であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放電灯。
  7. 前記水素吸蔵合金を含む部材は、前記ダイヤモンド部材と前記電極との間に設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の放電灯。
  8. 前記ダイヤモンド部材は前記水素吸蔵合金を含む部材の表面の一部分を覆い、該表面の他部分は前記ダイヤモンド部材から露呈してなることを特徴とする請求項7に記載の放電灯。
  9. 前記水素吸蔵合金を含む部材は、多結晶の結晶状態を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の放電灯。
  10. 前記ダイヤモンド部材は、前記電極の表面の少なくとも一部を覆うダイヤモンド膜であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の放電灯。
  11. 前記ダイヤモンド部材は、ドナー性不純物を含有するダイヤモンドからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の放電灯。
  12. 前記放電用ガスは200nm以下の主要発光ピークを有する元素を含むガスを含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の放電灯。
  13. 前記放電用ガスは希ガスと水銀を含むことを特徴とする1乃至12のいずれかに記載の放電灯。
  14. 前記放電用ガスはXeを含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の放電灯。
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