JP3877952B2 - デバイス検査装置および検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子ビームを用いた半導体デバイスの検査に関する。本発明は、特に、コンタクトホール検査に利用するに適する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高性能化を目的として半導体デバイス製造工程においては、微細化、多層化が急速に進んでいる。そのため、エッチングで形成すべき構造の大きさは0.1ミクロンのオーダーとなっており、微細コンタクトあるいはビアホールを安定形成する事が特に困難となってきている。コンタクトホールあるいはビアホールとは、絶縁層を挟んだ2つの配線間の電気的導通をとるために絶縁体に設けられる穴である。
【0003】
ホールサイズはデバイスの微細化に比例して小さくなってきたのと同時に、デバイスの動作クロックが上昇して高速化が進行したため、単に、電気的導通が取れていれば良いとは言えず、ホールを通じて伝達される電気信号の速度が問題となるようになってきた。例えば、ホール一個を通過する際の抵抗値は大きな物では10キロΩにも及び、隣接配線間容量も0.01ピコファラッドオーダー以上と増加しているため、半導体デバイスが動作するクロックの立ち上がり速度に影響を持つほどの大きな時定数を有するようになっている。この時定数がばらつくと、論理回路の動作速度にばらつきが生じるため、判断が落ち着くまで待つ必要が生じる。この時間が長いと論理回路を構成する素子のスピードが向上しても計算速度の向上に繋がらないといった問題が生じる。
【0004】
半導体デバイス全体のスピードを向上させる為には、ホールで生じるクロック立ち上がりの遅れ量を一定の値以下に保って、余分に待つ時間を出来るだけ短くする必要が生じている。これを実現する為には、エッチングプロセスによって形成されるホール径が設計値通りに作製されるように管理する必要がある。また、ホールが大きく形成されすぎると、隣りの素子に接触するため、不要な導通が生じる。これをリークと呼び、不良の1つである。従って、エッチングの良否を判断するには、基準に対して、ホール径がある範囲以内にあるか否かを判断する必要がある。
【0005】
従来はその判断を行う為に、試料を破壊してホール底径を測定する手法が利用されてきた。第1の従来方法としては、断面SEM観察がある。まず、正確にホール中心を通過する断面が得られるように、ガラス切り、より精密にはFIB等を用いてウェハーを切断する。次に切断面を試料台に平行においてSEM観察を行い、断面のホール底の一番長い距離を画像上で測定する。ホールの形状は完全な円では無いので、幾つかの距離を測定してその平均を求めホール底径とする事が行われている。絶対値を正確に測定する為には、標準長さと試料とを同時に観察することにより、画像上の標準長さとホール底画像の長さとを比較する事で正確な長さを求めることが行われている。
【0006】
第2の従来方法は、先ず、ホールを形成した酸化膜をエッチングあるいはCMP等によって除去する。酸化膜が除去された試料表面には、ホールエッチングの際に生じたホール底形状を反映した痕跡が生じているのが認められる。そこで、そのエッチング痕跡をウェハーが試料台に平行になるように配置して試料上部から通常のSEM観察し、長さを求めることが行われている。この方法は断面を切り出す第1の従来方法と比べて、断面を切り出す精度に測定精度が依存しないので測定精度が高い特徴がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの従来法も破壊試験であり、製品を直接測定する事が出来ないという課題があった。また、SEM観察は手作業で行われるため、多大な時間が掛かり多数の試料を高速に処理できない課題があった。そのため、1枚のウェハーでの測定点数も極めて小さくなり、かつ、測定値の信頼性が低くなる課題があった。
【0008】
このような課題を解決する手段として本願出願人による先の出願に係る特開平10-281746号公報には、コンタクトホールを通過して基板に達した電子ビームにより生じる電流を検出し、コンタクトホールの底部の位置や寸法を検出することが開示されている。特開平4-62857号公報には、電子ビームではなくイオンビームを照射して二次電子像を観測することが開示され、イオンビームの照射に伴って発生する基板電流を測定することが記載されている。また、本願出願人による先の出願に係る特開2000-174077(平成12年6月23日公開)には、多数のコンタクトホールを短時間に検査するため、半導体ウェハーを複数の領域に区分けし、それぞれの領域における正常なコンタクトホールの割合を検査することが記載されている。特開2000-174077にはさらに、検査結果の数値を半導体ウェハーの区分けされた領域に対応させて表示することが記載されている。
【0009】
本発明は、電子ビームの照射により生じる基板電流を検出する技術をさらに改善し、試料を破壊することなく高速にデバイスを検査することのできるデバイス検査方法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、低エネルギー電子ビームを照射する事によって試料に生じる電流量から構造を含むデバイスの特性を測定する原理を用いて、試料を破壊することなく、対象に応じて測定モードを設定し高速に任意の領域の特性を測定することを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明の第一の観点によると、試料上の複数の測定位置に同じ個数のホールを含む領域を覆う形状となるように順次電子ビームを照射する手段と、個々の測定位置に電子ビームを照射したときに試料に生じる電流を測定する手段と、測定された電流あるいはその電流から導かれる物理所量を、単なる数値表示ではなく測定位置および測定領域の関数として、二次元平面に表示する表示手段とを備えたことを特徴とするデバイス検査装置が提供される。前記測定する手段は、個々の測定位置に電子ビームが照射された際に試料に生じる総電流量を測定することがよい。
【0012】
本発明は、種々のデバイス検査に利用可能であるが、特に、コンタクトホールの検査に利用することができる。その場合、前記照射する手段は、1または複数のコンタクトホールが設けられた半導体ウェハーを横断する任意の1軸に沿ってあらかじめ定められた間隔の位置、特に一定周期の間隔の位置に電子ビームを照射することがよい。
【0013】
前記照射する手段として、ステッパー露光装置を利用することができる。その場合には、ステッパー露光の1回の露光範囲であるショット領域の決められた間隔の位置に電子ビームを照射することがよく、さらには、1つのデバイスの領域を定めるスクライブ領域を横断する任意の1軸に沿って、決められた間隔の位置に電子ビームを照射することがよい。
【0014】
前記表示手段は、デバイス毎に定められた良否判定アルゴリズムに従って各測定位置における電流量を評価し、ウェハー形状を模した二次元平面上に不良あるいは良品である位置に対応して特定のシンボルを表示する手段を含むことがよい。デバイス毎に定められた不良モードにしたがってそのモードに対応する特定のシンボルを表示する手段を含むこともできる。
【0015】
さらに、前記表示手段は、デバイス毎に定められたホール径測定アルゴリズムに従って各測定位置における電流量を評価し、ウェハー形状を模した二次元平面上に測定位置に対応してホール径の値あるいはその概略値を表示する手段を含むことができる。この場合、ホール径の値の範囲を表すシンボルを表示してもよく、ホール径の値を等高線表示してもよく、ホール径の値の範囲を表す色を表示してもよく、測定された電流量の空間周波数を計算し、二次元平面上に、空間周波数に対応する測定電流の大きさを表示してもよい。また、ウェハー毎のホール径の割合をホール径の関数として表示してもよく、ステッパー露光におけるショット毎のホール径の割合をホール径の関数として表示してもよく、ウェハー上のチップ毎のホール径の割合をホール径の関数として表示してもよく、ウェハー毎のホール径の最大値、最小値、平均値、標準偏差、および標準値からのずれなどの統計量を表示してもよい。
【0016】
本発明は、表面にフォトレジストが設けられ、これをマスクとしてホールが形成された導電性材料基板の検査にも利用できる。その場合には、フォトレジストの露光時に一度に露光される範囲の各チップについて、その露光時に使用されるマスクのレイアウト情報から設計上同じ大きさのホールを抽出して検査対象ホールを指定する手段を備えることが望ましい。
【0017】
本発明は、深さの異なるホールが設けられた素子の検査にも利用できる。その場合には、それらのホールを設計データに基づいて深さ毎にグループ分けし、それぞれのグループ毎に電子ビームが照射されるように前記照射する手段を制御する手段を備えることが望ましい。この場合、前記表示手段は、各ホールの深さに対応する設計図面と、表面をあらわす二次電子像とを同時に表示する手段を含むことが望ましい。
【0018】
個々の測定位置をひとつずつ測定するのではなく、複数の測定位置を一括して測定することもできる。すなわち、前記試料上の複数の測定位置を複数の領域に区分してその区分された領域毎に電子ビームが照射されるように前記照射する手段を制御する手段を備え、前記表示手段は、前記領域毎に測定された電流量をその領域内に含まれる複数の測定位置で得られる平均電流量として表示する平均値表示手段を含むことができる。
【0019】
さらに、前記照射する手段は、前記試料上の複数の測定位置を複数の領域に区分してその区分された領域毎に電子ビームを照射する第一のモードと、個々の測定位置に電子ビームを照射する第二のモードとを切り替え可能であり、前記照射する手段を前記第一のモードに設定して前記測定する手段により測定された電流量をその大きさにより分類し、あらかじめ定められた基準にしたがっていくつかの領域を選択して、その領域に対して前記照射する手段を前記第二のモードに設定して測定を繰り返す制御手段を備えることができる。
【0020】
検査しようとする項目に適した測定位置パターンが登録された記憶手段と、操作者が選択した検査項目に応じて前記記憶手段から対応する測定位置パターンを読み出し、測定対象の大きさに合わせてその測定位置パターンを展開して、実際に検査が行われる座標に変換する手段と、この変換する手段により得られた実座標に基づいて、指定された測定位置および順序で電子ビームが照射されるように前記照射する手段を制御する手段とを備えることもできる。
【0021】
本発明は、量産のためのプロセス条件を決定するために利用することもできる。そのためには、前記試料として、互いに異なるプロセス条件で形成され、検査対象物が異なる密度で形成された複数の領域を含む複数の試作試料が用いられ、前記複数の領域にそれぞれ電子ビームを照射したときに前記測定する手段により測定された電流量をプロセス条件間で比較する手段と、その試作試料に対して行われたプロセス条件をパラメータとし、前記比較する手段の比較結果を記憶する手段と、この記憶する手段に記憶された複数の試作試料に関する比較結果から最適なプロセス条件を選択する手段とを備えることが望ましい。
【0022】
この場合、前記複数の領域には、検査対象物が密に形成された第一領域と検査対象物が孤立して形成された第二領域とを含むことができる。前記検査対象物がホールの場合には、前記比較する手段は、前記第一領域内の1個のホールに流れた電流量と前記第二領域内の1個の孤立ホールに流れた電流量とを比較する手段を含むことが望ましい。前記第一の領域内の複数のホールに流れた電流量をその個数で規格化した1個当たりの電流量と前記第二領域内の1個の孤立ホールに流れた電流量とを比較する手段を含むこともできる。
【0023】
配線パターンについても同様の検査を行うことができる。また、前記複数の領域として、検査対象物が比較的高密度に形成された第一領域と比較的低密度に形成された第二領域と孤立して形成された第三領域とを含むこともできる。
【0024】
本発明は、量産時のプロセス検査に利用することもできる。そのためには、前記試料上で検査対象物が異なる密度で形成された複数の領域を特定する手段と、この複数の領域にそれぞれ電子ビームを照射したときに前記測定する手段により測定された電流量を比較する手段と、この比較する手段の比較結果があらかじめ定められた条件を満たさなくなったときにはその試料に対して行われた製造工程に異常があるものとして警報を発生する手段とを備えることが望ましい。
【0025】
本発明は、専用の装置により実施できるだけでなく、例えば電子ビーム露光装置などの電子ビームを特定領域に照射することのできる装置を流用し、さらに汎用の情報処理装置を用いてデータ処理を行うことでも同様に実施できる。
【0026】
すなわち本発明の第二の観点によると、試料上の複数の測定位置に同じ個数のホールを含む領域を覆う形状となるように順次電子ビームを照射してそのときに前記試料に生じる電流を測定し、各測定位置とその測定位置で測定された電流量とを記憶する第一のステップと、この第一のステップで記憶された電流量および測定位置を読み出し、電流量あるいはその電流量から導かれる物理所量を測定位置の関数として二次元平面に表示する第二のステップとを含むことを特徴とするデバイス検査方法が提供される。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を示すブロック構成図であり、電子ビーム露光装置を用いた構成例を示す。電子ビーム露光装置1には露光制御およびデータ収集を行う制御装置2が接続され、この制御装置2には記憶装置3が接続される。制御装置2にはまた、必要に応じて、または常に、データ処理装置4が接続される。データ処理装置4には、表示装置5およびプリンタ6が接続される。
【0028】
電子ビーム露光装置1は、回路パターンの露光の他に、デバイス検査のために、試料上の複数の測定位置に同一の形状となるように順次電子ビームを照射することができる。制御装置2は、電子ビーム露光装置1の動作を制御し、デバイス検査時には、個々の測定位置に電子ビームを照射したときに試料に生じる電流を測定して、各測定位置とその測定位置で測定された電流量とを記憶装置3に蓄える。データ処理装置4は、制御装置2を介して記憶装置3から電流量および測定位置を読み出し、電流量あるいはその電流量から導かれる物理所量を測定位置の関数として表示装置5に二次元表示し、必要な場合にはプリンタ6に出力する。
【0029】
記憶装置3には、測定データをそのまま蓄えてもよいが、積和、平均等の演算処理を行ってから蓄えてもよい。また、制御装置2とデータ処理装置4とを1台の装置で実施することもできる。さらに、記憶装置3を電子ビーム露光装置1用に独立に設けるのではなく、電子ビーム露光装置1が配置された製造ラインの各データを集中して蓄える記憶装置を利用することもできる。
【0030】
図2は電子ビーム露光装置1の構成を簡略に示す図である。この電子ビーム露光装置1は、電子ビームを照射する電子銃11、放出された電子ビームを平行ビームに変換するコンデンサレンズ12、平行ビームを細い電子ビームに変換するアパーチャー13、試料14を支えるステージ15、試料から電流を取り出すための電極16、電極16で取り出された電流を測定する電流計17、および試料14と照射電子ビームとの位置関係を測定するための移動距離測定装置18を備える。電流計17としてバイアス電源が内蔵されたものを用いる場合には、そのバイアス電源から試料14にバイアス電圧を加えることもできる。
【0031】
電子銃11から放出された一定電流の電子ビームはコンデンサレンズ12によって一旦平行ビームに変換された後、照射されるビームサイズを決定するアパーチャー13を通過して所望の形状あるいはサイズの平行電子ビームへと変換される。アパーチャー13を通過した電子ビームは、試料14に垂直に照射される。照射された電子ビームは、試料14の表面で、その試料14の表面状態に応じた二次電子を発生する。検査される試料14自身は導体であるので、試料14の内部に電界が残存することは許されない。そのため、試料14内部の電位勾配を零にするように飛び出した二次電子を補うように、あるいは直接試料に流入した電子量に対応して、試料14に電流が流れる。それを試料14に接触して配置された電極16にて集める事によって電流を測定する。試料14に照射される電子ビームは、加速電圧が数百から数キロボルト、電流量は、ピコアンペアーからナノアンペアーのオーダーが用いられる。移動距離測定装置18としてはレーザ干渉などを用いた精密測定手段が用いられ、試料移動距離をオングストロームの単位で正確に測定できる。測定された位置および電流は、ウェハーの識別子とともに、記憶装置3(図1参照)へ蓄積される。
【0032】
測定個所への電子ビームの移動は、試料14を移動することで行ってもよく、電子ビームを走査することで行ってもよく、あるいは両者を同時に行ってもよい。試料14の移動は、ステージ15を移動させることによって行ってもよく、ステージ15とは独立に行ってもよい。
【0033】
アパーチャー13は必ずしも必須構成ではないが、アパーチャー13を用いることで照射領域の形状を任意の形状にすることができる。
【0034】
図3は、ある特定のデバイスで観測される電流量とホールの形成状態の関係の例を示した表である。ここで「良品」のホールとは、底に絶縁物が無くて、ホール底径がある決められた最低ホール底径から最大ホール底径までの範囲に収まるホールとして定義される。図3に示したように、電流が全く流れない領域は完全不良、電流が少し流れる領域は部分的に開口部を含む不良品、電流が規定量流れる範囲は良品、それ以上に流れる場合は大きな穴が空きすぎている不良品に対応する。したがって、測定されている試料が図3に示した良品範囲の電流量を示すか否かを判定することで、検査試料の良否を求める事が出来る。
【0035】
図4ないし図6は試料に照射される電子ビームの形状の例を示す。
【0036】
基本的には、図4に示すように、1つのホールが完全に含まれるように電子ビームを照射する。電子ビーム照射は時間的に1度に太いビームを用いて行われてもよいし、細いビームの時間平均として測定領域が覆われるように行われてもよい。
【0037】
図5は複数のホールを同時に測定する場合を示す。エッチング反応の分布は、ごみのような局所的な物を除けば、一般的にマクロ的な変動をする。そのため、1個1個のホールの径を測定しても、複数のホールの平均値を測定しても、両方とも有意義な測定結果が得られる。そのため、10個あるいは100個以上のホールを同時測定して分布を測定することができる。1つの測定領域に含まれるホールは、メモリーのように整列していても、ランダムであっても構わない。但し、エッチング分布を測定するためには、同じパターンあるいは同じ個数のホールを含む領域であることが必要である。
【0038】
照射する電子ビームの形状は、電子ビーム形状を決定するアパーチャー形状を目的とする被計測対象の形状に変更する事によって達成される。例えば、図6に示すように、複数の離れた場所にあるホールを同時計測可能なようにすることも実現できる。特にロジックデバイスでは、同一レイヤーに存在するホールであっても、ホールの底の拡散種が異なったり、材料が異なったり、基板にアースされていたり、そうでなかったり、繋がっている状況が異なる場合がある。このような場合は、正常の場合に同じ電流量を示す物をグループ分けし、その領域に電子ビームを一括、あるいは時間的に走査して照射する。
【0039】
図7はエッチングの分布を調べるための測定点の取り方の例を示す。エッチングプロセス開発のためには、ウェハー全体としての分布、ステッパー等露光機の特性の影響を見る為にショットレベルの分布、あるいは、チップ内の分布、任意領域による分布を知る必要がある。
【0040】
図8はウェハー面内の分布の測定例であり、(a)はウェハー上の測定点、(b)はそれぞれの測定点における電流量のグラフを示す。エッチングは試料面内で同心円上に分布を生じることが多い。一方、半導体集積回路装置の場合は、ウェハー上に半導体集積回路装置が一定間隔で同一の機能を持つ半導体集積回路装置が配置されているものがほとんどである。このような場合、図8(a)のように、試料中心を通過するような直線X−X’に沿って測定点を配置する。それぞれの測定点は同じ性質をもつホールで形成されている事が必要なので、異なるチップの中での各チップに対する相対座標が同じであるホールパターンを測定点として選択使用するのが望ましい。図8(b)のグラフは、同じパターンを有するチップが等間隔に配置されているウェハーにおいて、それぞれのチップの中心を原点とした相対座標が等しい特定領域を測定した際に得られる電流量を測定された位置を横軸として表示している。
【0041】
ある電子ビーム照射条件下で観測される電流は、ホールの底面積に比例する性質がある。そのため、大きな穴が空いている領域では多くの電流が流れ、小さな穴が空いているあるいは空いてないホールを含む領域では少ない電流量が観測される。図8(b)のグクラフは右半分には不良が多く、左半分は良品が存在する試料を検査した結果である。図8(b)のグラフから明らかなように、試料の右半分は観測される電流量が小さく不良が多く存在することに対応し、左半分では、電流が多くしかも一定値を示す傾向があり、左側に良品が存在する事に対応していることが分かる。
【0042】
ウェハーによっては直線X−X’に沿ってコンタクトホールが配置されていない場合もある。その場合には、コンタクトホール底を電子ビームが通過するように測定点を配置してもよい。
【0043】
図9はステッパーショット内の分布の測定例であり、(a)はウェハー上の各ショット内に配置された測定点、(b)はそれぞれの測定点における電流量のグラフを示す。ステッパーの1ショットは小さなチップから成る場合には何百のチップを含む領域であり、システムLSIのように1辺が1cmを超えるような大きなチップでは1個が1ショットである場合がある。図9の例では、4つのチップが1ショットを構成している。ステッパーは露光装置であるが、特有の位置ずれあるいは転写画像の歪みを持っている。そのずれあるいは歪みは1ショット内のエッチング分布を反映する。そこで、1ショット内でのエッチング分布をとると、エッチングの分布がステッパー起因であるか否かを判断できる。つまり、ショット毎の分布の相関をとって、ショット間に相関があれば、ショットの原因であると推定できる。1ショットの場合1つのチップの中の同じ構造を持つ領域を選択して測定点とする。デバイスには必ず繰り返し部分が存在するので、そのような領域を用いるとよい。全く繰り返しが無い場合には、同じ径を持つように設計された1つのホールを検査対象とする。
【0044】
図9(b)に示したグラフはX−X’に沿った測定領域の示す電流量を測定位置の関数として表示している。他のY座標の測定点も同様に測定して3次元マップとして表示すればショット内の面分布が一目で分かる。
【0045】
図10はチップ内の分布の測定例であり、(a)はウェハー上の各ショット内に配置された測定点、(b)はそれぞれの測定点における電流量のグラフを示す。DRAMなど繰り返し構造の多いデバイスでは、ホールがチップのどこの場所でも同じように存在するので、殆ど任意の場所の分布を測定できる。測定点の取り方としては、図10(a)に示すように、等間隔に取る。ロジックデバイスのようにランダムにホールが存在する場合には必ずしもホール位置が等間隔とはならないので、その時は、ホールの位置に合わせて電子ビーム照射位置を調節する。
【0046】
図11は、得られた電流の大小から不良であると判断された測定点の位置をウェハーマップ上に表示した例を示す。この場合には、図8を参照して説明した各チップに1つの測定点を有する場合と比較して、多くの測定点をとる。
【0047】
測定点の選択方法については、これらの例に限定されるものではなく、目的に応じた測定点を任意に選択することが可能である。また、表示方法についても、測定点全てを表示装置上に表示するのではなく、良品のみ、あるいは不良品のみを表示することも可能である。表示方法のいくつかの例を以下に示す。
【0048】
図12は、不良モード表示、すなわち不良モードを分類表示する表示フォーマットの一例を示す。不良のモードとしては、例えば、穴が空いていない未開口モード、開口底に異物が残っているモード、底までエッチングが達しているが底径が不足なモード、径が許容値範囲である事を示すモード、ホール底が大きくなりすぎているモードなどがある。これらのモードを一定のアルゴリズムで区別して検出表示する。これらの基準は、製品毎に異なっているので、製品毎に基準値を決定して、各モードに分類し表示する。分類の方法は単に電流量の大小を用いる場合やレイアウト情報、デバイスの他の特性との相関によって求める場合もある。不良モードを代表するシンボルと不良の内容とを明確にするため、対応表121を同時表示することが望ましい。
【0049】
図13は不良モード表示の別の例を示す。この例では、測定されたホールのうち、ホールの底が抜けているホールについて、そのホール直径の値を直接表示する。
【0050】
図14は不良モード表示の別の例を示す。この例では、直径の範囲毎に、異なったシンボルを用いて測定された場所に表示する例を示している。この様な表示は測定点が多くなった場合に有効である。直径を代表するシンボルと直径を対応表示する対応表141を同時表示する。
【0051】
図15はホール径を等高線として表示する例を示す。本来、本発明の検査ではエッチング装置の加工分布を見るのが目的であるので、等高線としてホール径を表示する。この様な表示を行うと、加工分布が幾何学的に観察可能であり、不良の原因が追跡しやすい。この際に、等高線の間の色を変えて表示すると分布状態を把握しやすくなる。
【0052】
図16はホール径をホール径の範囲毎に別の色を用いて表示する例を示す。色分けは測定点に対して行っても良いし、図15の等高線の値を示す為に色またはグレースケールを用いてもよい。色分けを行う場合には、直径を代表する色と直径を対応表示する対応表161を同時表示する。
【0053】
図17は、電子ビーム照射時に基板に流れる電流量、あるいは、ホール径の空間周波数分析を行って表示するフォーマット例を示す。この表示は測定点の多いときに、不良分布の癖を知る上で重要な分析ができる。特に、エッチングの不良分布は装置内に生じるプラズマの非対称性によると考えられるので、その空間的分布を周波数として調べると特徴が抽出可能である。特に、プラズマのエネルギーを変化させたときには、プラズマ分布が異なるが、それらの変化を追跡するのに役立つ。
【0054】
図18はウェハー毎に測定されたホール径の割合を示した頻度グラフの一例を示す。この頻度グラフより、良品範囲に入っているホールの割合、不良品の割合などを目視することができる。
【0055】
図19はショット毎に測定されたホール径の割合を示した頻度グラフの一例を示す。この頻度グラフより、良品範囲に入っているホールの割合、不良品の割合などを目視することができる。
【0056】
図20はチップ毎など任意に指定された領域にて測定されたホール径の割合を示した頻度グラフの一例を示す。この頻度グラフより、良品範囲に入っているホールの割合、不良品の割合などを目視することができる。
【0057】
図21、22、23は代表的な統計値を表として表示する例を示す。ここでは最大値、最小値、平均値および3σを示すが、その他に、標準ウェハーの示す面内分布からのはずれ量を例えば最小二乗法で求めた値や、特定の指標からのずれ量を表示することも可能である。
【0058】
記憶されたデータを統計処理して表示するには、同一装置で、コンタクトホールを形成したウェハーを多数測定してその測定データを蓄える。この場合の統計処理方法としては、
1.対応する場所毎の良品の発生率を求めて、等高線表示を行う。
2.半導体の製造ラインに数十枚のウェハーを一組として投入し、その一組のウェハーを通常は連続的処理する。この一組のウェハーのうち最初に処理したウェハーと最後に処理したウェハーについて、電流量の変化の割合を等高線表示するか、あるいは、記憶装置内に前工程のデータを持っている場合は、前工程の装置の機器毎にコンタクトホールの形成の状態を統計処理する。
【0059】
更に、統計処理を行った結果から、ウェハーの検査を選択的に行うこともできる。例えば、不良の発生分布の高い箇所、良品の分布の高い箇所のみを選択的に詳しく測定することができる。
【0060】
また、デバイスの構造によっては、穴の深さの異なるホールが存在する場合がある。例えば、ウェハ上に下側絶縁層と上側絶縁層とを含むような構造において、上側絶縁層を形成する前に下側絶縁層の表面の一部に窒化膜等のエッチングストッパを設け、このエッチングストッパを利用した上側絶縁層のみのエッチングと、エッチングストッパを設けていない部分への下側絶縁層までのエッチングとを同時に行うことで、深さの異なるホールを形成できる。そのような場合、深さの異なるホールを同時に測定すると、浅いホールの信号が邪魔をして深いホールのエッチング判定ができなくなる可能性がある。そのような場合には、設計データに基づいて深さの異なるホールをグループ分けし、それぞれのグループ毎に電子ビームを照射して電流を測定することがよい。計測結果を二次元平面に表示するときには、それぞれの深さに対応する設計図面と、表面を表す二次電子像とを同時に表示して、測定された位置が確認できるようにすることが望ましい。
【0061】
以上の説明ではコンタクトホールあるいはバイアホールの検査に本発明を利用する場合について説明した。本発明はこの他に、同様の構造をもつスルーホール、レジスト露光・現像後の開口部、配線、溝の開口判別検査や形状測定に利用することもできる。以下に、フォトレジストの検査に本発明を利用する場合の例を説明する。
【0062】
フォトレジストに形成される開口のサイズは光の波長より小さい0.1ミクロンのオーダであり、光を使用した検査はできないので、従来は電子顕微鏡による検査が行われていた。しかし、電子顕微鏡検査では、二次電子を利用するため、レジスト開口部の表面からの観察しかできず、実際にレジストが抜けているのか否かを調べることができない。また、同一ショット内で露光量分布によるレジスト開口むらが生じる可能性があるが、それを検査することはできなかった。
【0063】
これに対して本発明によれば、下地が導電性材料であれば、コンタクトホールの場合と同様にフォトレジストを検査することができる。すなわち、フォトレジスト開口部に電子ビームを照射して基板に流れる電流を測定し、標準電流量と比較することにより、ホールの開口状態を知ることができる。また、ショットの周辺部と中心部とに順次電子ビームを照射して基板に流れる電流量を測定することで、電流量が開口の大きさに比例して変化することから、露光量むらに起因する開口の大きさの分布を測定することができる。下地が導電性材料とは、フォトレジストが直接に接する層が導電性材料である場合に限定されるものではなく、電子ビームが透過できる程度の薄い絶縁層が存在する場合や、レジストマスク形成後のエッチングによりホールが形成されて導電層が露出している場合を含む。
【0064】
図24にフォトレジスト検査フローの一例を示す。通常、ひとつの露光エリアには複数のチップが割り当てられている。また、必ずしも、検査対象のホールがアレイ状に配列されているとは限らない。したがって、検査対象となる露光で使用されるマスクのレイアウト情報から、設計上同じ大きさに作られているホールを抽出する。続いて、抽出されたホールの中から、1回の露光で露光される範囲の外周部に沿って検査対象ホールを指定し、各ホールに電子ビームを照射して、その位置で流れる電流をホール位置の関数として記録する。検査対象ホールを順次内側のものにして、ショットの中心に至るまで繰り返す。記録された電流と位置の幾何学的関係を保ったまま、電流量を等高線として表示する。等高線表示のかわりに、測定された電流量の最大値対最小値の範囲あるいは分布を統計処理して露光の状態を表示することもできる。また、ホールの測定順は図24に示した例に限定されるものではない。
【0065】
図25および図26はフォトレジスト検査を行う場合の電子ビームの照射位置の例を示し、図25はホール位置がアレイ状に配列されるメモリセルの例、図26はホール位置がアレイ状にはならないロジックデバイスの例である。これらの例では、ひとつの露光エリアに4個のチップが含まれ、各チップ内に複数のホールが含まれる。このようなひとつの露光エリアを検査範囲としてフォトレジスト検査を行う。
【0066】
図27および図28は検査結果の電流量等高線表示例を示し、図27は良品の例、図28は不良品の例である。均一に露光が行われている場合、ショット内の電流はほとんど均一に流れる。したがって、等高線の本数は少なくなる。一方、露光分布があると、フォトレジストに形成される穴の大きさにバラツキが生じるので、電流量に分布が生じ、等高線の本数が増加する。また、中心に偏りが生じることもある。
【0067】
特に等高線の形状が同心円のまま中心に偏りが生じた場合には、露光装置のレンズが傾斜しているなどの不具合があることがわかる。また、等高線の形状が歪んで等高線が横縞となってしまう場合には、露光のときに基板が傾いていたなどの不具合があると考えられる。また、電流分布のレンジ、あるいは最大、最小値に対してしきい値をあらかじめ設定しておき、その値と比較することで、露光の良否を判定することができる。
【0068】
図29は複数の測定位置を一括して測定する検査フローを示す。以上の実施例ではホールなどの個々の測定位置をひとつずつ測定する例を説明したが、複数の測定位置を一括して測定し、その平均値を求めることもできる。すなわち、図2におけるアパーチャー13に開口の大きなものを用い、図1に示した制御装置2の制御より、試料14上の複数の測定位置を複数の領域に区分して、その区分された領域毎に電子ビーム3が照射されるように制御し、電流量を測定する。データ処理装置4は、区分された領域毎に測定された電流量をその領域内に含まれる複数の測定位置で得られる平均電流量として表示装置5に表示する。
【0069】
図30は一括モードと個々の測定位置を測定する個別モードとを切り替えて測定する検査フローを示し、図31は一括モードの測定対象領域と電流量の例を示す。
【0070】
図29に示した一括モードの検査では、比較的広い領域毎の測定を行うため、ある領域に異常があってもそのどの測定位置(コンタクトホール、スルーホール、レジストホール、配線、溝など)に異常があるのかについては判断できない。また、領域により回路パターンの粗密がある場合には、それが測定結果に反映されることになる。そのような場合には、単純には表示装置5の表示から人間が判断して、個々の測定位置を検査する必要がある。図30に示す検査フローは、これを自動的に行うものである。
【0071】
図1および図2を参照して図30の検査フローを説明する。電子ビーム露光装置1は、制御装置2の制御により、試料14上の複数の測定位置を複数の領域に区分してその区分された領域毎に電子ビーム3を照射する一括モードと、個々の測定位置に電子ビーム3を照射する個別モードとを切り替え可能である。制御装置2は、電子ビーム露光装置1を一括モードに設定して測定を行う。データ処理装置4は、その測定結果を表示装置5に表示すると共に、測定値をその大きさにより分類し、あらかじめ定められた基準にしたがっていくつかの領域を選択して、制御装置2に通知する。制御装置2は、その領域に対して、電子ビーム露光装置1を個別モードに設定して測定を繰り返す。得られた測定値は、データ処理装置4により処理され、表示装置5に表示される。このようにすることで、全てを個別モードで測定する場合に較べ、大幅に検査時間を短縮できる。
【0072】
図31に示す例では、ウェハー状に正方形で示す領域毎に一括モードの測定を行い、得られた電流量(図31では規格化して示す)をその大きさの順にソーティングして、電流量の最も大きい領域、電流量が中間の領域、電流量が最も小さい領域を選択し、その領域を個別モードで測定する。個別モードによる測定の対象となる領域を選択する基準としては、この他に、測定された電流量があらかじめ定められた値より小さい領域、大きい領域、中間の領域など、検査項目に適した種々の基準が考えられる。
【0073】
図32は面分布を測定する場合の測定位置の選択フローを示し、図33は選択のためのアイコン表示例を示す。
【0074】
ウェハー面内の分布を検査する場合には、ウェハーの全面をすべて検査する必要はなく、図7ないし図10を参照して説明したように、その測定項目に応じた代表的な位置を測定するだけで十分である。電子ビーム露光装置や電子顕微鏡には従来から電子ビームの照射位置およびその照射順序をあらかじめ設定するスケジュール機能が設けられているが、それを利用したとしても、その入力はテンキーにより座標を個々に指定するものであり、検査目的および検査対象毎にそのような位置および順序を設定することは大変な手間である。
【0075】
そこで、図1に示した記憶装置3に、検査しようとする項目に適した測定位置パターンおよびその内容が視角的に理解できるようなアイコンを記憶装置3に登録し、そのアイコンを表示装置5に検査項目選択画面として表示する。操作者が表示装置5に表示されたアイコンを選択することで、検査条件を設定できる。制御装置2は、記憶装置3から、操作者が選択したアイコンに対応する測定位置パターンを読み出し、測定対象の大きさに合わせてその測定位置パターンを展開して、実際に検査が行われる座標に変換する。そして、これにより得られた実座標に基づいて、指定された測定位置および順序で電子ビームが照射されるように電子ビーム露光装置1を制御する。
【0076】
図33において、(a)にはエッチングバラツキ評価用のアイコン例を示し、(b)には露光バラツキ評価用のアイコン例を示す。測定位置パターンとしては、これらの他に、ウェハー上に分布して形成された特定回路パターンを測定するようなものや、エッチングバラツキ評価、露光バラツキ評価などの検査について、量産時のインラインで検査する場合には測定位置を間引き、不良のなかったものについては詳しく検査するものなどが考えられる。
【0077】
図34は本発明の利用例を示す図であり、量産のためのプロセス条件を決定するための検出フローを示す。
【0078】
電子ビームを試料に照射して電流を測定することでエッチングその他のプロセスのバラツキを評価することは上述したとおりであるが、これを量産時のプロセス条件を決定するために利用することができる。その場合、特に、ホールや配線を孤立して形成する場合と密集して形成する場合とでプロセス条件が異なることに注意する。例えばエッチングの場合、密集して設けられたホールと孤立ホールでは後者のほうがエッチングされにくいことがわかっており、孤立ホールが密集ホールと同じように均一にエッチングされるような条件が最適条件である。
【0079】
図34に示した検出フローによりエッチング条件を決定する場合の例について、図1、図2に示した装置構成を例に説明する。まず、試料14として、互いに異なるエッチング条件で形成され、ある領域には孤立ホールが形成され、別な領域には密集してホールが形成された複数の試作試料を用いる。制御装置2は、電子ビーム露光装置1を制御し、孤立ホールの領域と密集ホールの領域とにそれぞれ電子ビーム3を照射して、電流量を測定する。データ処理装置4は、測定された電流量を比較し、その試作試料に対して行われたエッチング条件をパラメータとし、その比較結果を記憶する。複数の試作試料に関する比較結果から、その比較結果が基準以下である条件を最適なエッチング条件として選択する。
【0080】
図35はエッチング条件の選択例を示す。孤立ホールで測定された電流量と密集ホールで測定された電流量との差が基準値以下のエッチング条件のうち、中心の条件を選択する。
【0081】
密集ホールの電流量については、その中の1個だけを測定してもよく、複数のホールを測定してその平均値を求めてもよく、複数のホールに流れた電流量をその個数で規格化した1個当たりの電流量を求めてもよい。このようにして得られた1個のホールの電流量を、1個の孤立ホールに流れた電流量と比較する。ホールだけでなく、配線パターンについても同様にしてプロセス条件を決定することができる。ホールあるいは配線パターンが比較的高密度に形成された第一領域と、比較的低密度に形成された第二領域と、孤立して形成された第三領域とについて検査してもよい。
【0082】
図36は本発明の別の利用例を示す図であり、量産時のプロセス異常を検出する検査フローを示す。図1、図2に示した装置構成を例に、エッチング装置の異常を検出する場合を例に説明する。この検査のためには制御装置2は、あらかじめCADデータを用いて、試料上14の密に形成されたホールの位置と孤立ホールの位置とを特定しておく。そして、それぞれのホールに電子ビームを照射したときの電流量を測定する。データ処理装置4は測定された電流量を比較し、その比較結果があらかじめ定められた条件を満たさなくなったときには、その試料に対して行われたエッチング工程に異常があるものとして表示装置5に警報を発生する。
【0083】
図37は警報発生条件の一例を示す。孤立ホールで測定された電流量と密集ホールで測定された電流量との差が基準値を越えた場合には、異常が発生したものと判断できる。
【0084】
この検査の場合にも、密集ホールの電流量について、その中の1個だけを測定してもよく、複数のホールを測定してその平均値を求めてもよく、複数のホールに流れた電流量をその個数で規格化した1個当たりの電流量を求めてもよい。このようにして得られた1個のホールの電流量を、1個の孤立ホールに流れた電流量と比較する。エッチング条件だけでなく、配線の形成工程やその他の製造工程についても、同様にしてプロセス条件を決定することができる。ホールあるいは配線パターンが比較的高密度に形成された第一領域と、比較的低密度に形成された第二領域と、孤立して形成された第三領域とについて検査してもよい。また、孤立ホールまたは密集ホールで測定された電流量が基準値に満たない場合は、追加でエッチングする工程を加えることもできる。
【0085】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のデバイス検査装置および検査方法では、試料を非破壊で検査でき、その検査結果を測定点に対応してマップ表示できる。特にコンタクトホールの検査に利用すると、従来は試料を破壊して断面を観察するなどして求めていたコンタクトホール底の直径を、非破壊で求めその値を測定点の位置座標に対応したウェハーマップ上に示す事ができる。等高線図などが得られるのでその模様からプラズマの分布が視覚的に確認でき、不具合原因の特定に力を発揮する。また、コンタクトホールあるいはバイアホールだけでなく、例えば、同様の構造を持つスルーホール、レジスト露光・現像後の開口部、配線、溝の開口判別検査や形状測定にも本発明を利用できる。同様に、種々のエッチング処理後あるいは洗浄処理後の形状検査や底の状態を検査することも可能である。
【0086】
本発明は非破壊なので、従来のように試料断面をSEM観察しなくてもホール底の情報が得られるので、製品を直接測定する事が可能で、モニターウェハーが不要となり、プロセスコストが安くなる。
【0087】
また、従来では不可能であったプロセス途中のコンタクトホール底の面積、あるいは直径が測定電流からの換算によって、高速にかつアナログ的に測定できるので、プロセス改良をその場で進める事ができる。例えば、エッチングの条件出しを行う場合、開口形状とともにコンタクトホール底の形状を制御する必要があるが、本方法を用いれば、その場でウェハー全体でのコンタクトホール径の分布を測定できる。また、従来の検査では、完全に穴が閉じている場合にのみ、良否を判別する事が出来たが、本発明の方法では、作製されたコンタクトホールが抜けているか否か、および底が抜けているホールに関しては、底径の値が常にモニターできるので、開口が閉じてしまう前に前駆的に生じる開口径の変化を検出できる。そのため、本手法では、実際にコンタクトホール開口不良が出る遥か以前に、異常を発見可能である。そのため、実際に不良が生じる前に機械のメンテナンス作業を行う事ができる。異常検出が生じると自動的にエッチング装置に対して割り込みをかけるための信号を発生する事が出来るので、この割込み信号をエッチング装置が用いる事で、自動的にエッチング装置のメンテナンス情報を集める事などができる。
【0088】
単にホールの個別情報からのみでなく分布の統計値や標準量からのずれを用いて良否判定を行う事もできる。これらの検査により、従来では不可能であったインラインでのウェハー選別が可能となり、ウェハー投入量の最適化を行うことができる。
【0089】
マップに表示されるのは電流量そのものが利用できる場合は、特に変換せずにそのままマップに表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック構成図であり、電子ビーム露光装置を用いた構成例を示す図。
【図2】電子ビーム露光装置の詳細を示す図。
【図3】補償電流とホール不良の関係を示す図。
【図4】電子ビーム照射領域の形状の一例を示す図。
【図5】電子ビーム照射領域の形状の別の例を示す図。
【図6】電子ビーム照射領域の形状の別の例を示す図。
【図7】ホール径の面分布測定領域を示す図。
【図8】ウェハー面内分布の測定例を示す図であり、(a)はウェハー上の測定点、(b)はそれぞれの測定点における電流量のグラフを示す図。
【図9】ステッパーショット内の分布の測定例を示す図であり、(a)はウェハー上の測定点、(b)はそれぞれの測定点における電流量のグラフを示す図。
【図10】チップ内の分布の測定例を示す図であり、(a)はウェハー上の測定点、(b)はそれぞれの測定点における電流量のグラフを示す図。
【図11】不良であると判断された測定点の位置をウェハーマップ上に表示した例を示す図。
【図12】不良モード表示の一例を示す図。
【図13】不良モード表示の別の例を示す図。
【図14】不良モード表示の別の例を示す図。
【図15】ホール径を等高線として表示する例を示す図。
【図16】ホール径をホール径の範囲毎に別の色を用いて表示する例を示す図。
【図17】電子ビーム照射時に基板に流れる電流量、あるいは、ホール径の空間周波数分析を行って表示するフォーマット例を示す図。
【図18】ウェハー毎に測定されたホール径の割合を示した頻度グラフの一例を示す図。
【図19】ショット毎に測定されたホール径の割合を示した頻度グラフの一例を示す図。
【図20】任意に指定された領域にて測定されたホール径の割合を示した頻度グラフの一例を示す図。
【図21】代表的な統計値を表として表示する例を示す図。
【図22】代表的な統計値を表として表示する例を示す図。
【図23】代表的な統計値を表として表示する例を示す図。
【図24】フォトレジストの検査フローの一例を示す図。
【図25】メモリセルのフォトレジスト検査を行う場合の電子ビームの照射位置の例を示す図。
【図26】ロジックデバイスのフォトレジスト検査を行う場合の電子ビームの照射位置の例を示す図。
【図27】検査結果の電流量等高線表示例を示す図。
【図28】検査結果の電流量等高線表示例を示す図。
【図29】複数の測定位置を一括して測定する検査フローを示す図。
【図30】一括モードと個々の測定位置を測定する個別モードとを切り替えて測定する検査フローを示す図。
【図31】一括モードの測定対象領域と電流量の例を示す図。
【図32】面分布を測定する場合の測定位置の選択フローを示す図。
【図33】アイコン表示例を示す図であり、(a)はエッチングバラツキ評価用、(b)は露光バラツキ評価用のアイコン例を示す図。
【図34】本発明の利用例の検出フローを示す図。
【図35】エッチング条件の選択例を示す図。
【図36】本発明の利用例の検査フローを示す図。
【図37】警報発生条件の一例を示す図。
【符号の説明】
1 電子ビーム露光装置
2 制御装置
3 記憶装置
4 データ処理装置
5 表示装置
6 プリンタ
11 電子銃
12 コンデンサレンズ
13 アパーチャー
14 試料
15 ステージ
16 電極
17 電流計
18 移動距離測定装置

Claims (28)

  1. 導電性の試料上の複数の測定位置に同じパターンのホールを含む領域を覆う形状となるように順次電子ビームを照射する手段と、前記試料に接触された電極を有し、個々の測定位置に電子ビームを照射したときに前記試料に生じる電流を、前記電極を介して測定する手段と、測定された電流あるいはその電流から導かれる物理所量を測定位置の関数として二次元平面に等高線またはグラフにより表示する表示手段を備えたことを特徴とするデバイス検査装置。
  2. 前記測定する手段は、個々の測定位置に電子ビームが照射された際に試料に生じる総電流量を測定する請求項1記載のデバイス検査装置。
  3. 前記試料は半導体ウェハーであり、前記照射する手段は、その半導体ウェハーを横断する任意の1軸に沿ってあらかじめ定められた間隔の位置に電子ビームを照射する請求項1または2記載のデバイス検査装置。
  4. 前記あらかじめ定められた間隔は一定周期の間隔である請求項3記載のデバイス検査装置。
  5. 前記照射する手段はステッパー露光の露光範囲であるショット領域の決められた間隔の位置に電子ビームを照射する請求項3または4記載のデバイス検査装置。
  6. 前記照射する手段は1つのデバイスの領域を定めるスクライブ領域を横断する任意の1軸に沿って決められた間隔の位置に電子ビームを照射する請求項3記載のデバイス検査装置。
  7. 前記表示手段は、デバイス毎に定められた良否判定アルゴリズムに従って各測定位置における電流量を評価し、ウェハー形状を模した二次元平面上に不良あるいは良品である位置に対応して特定のシンボルを表示する手段を含む請求項3記載のデバイス検査装置。
  8. 前記表示手段は、デバイス毎に定められた不良モードにしたがってそのモードに対応する特定のシンボルを表示する手段を含む請求項7記載のデバイス検査装置。
  9. 前記表示手段は、デバイス毎に定められたホール径測定アルゴリズムに従って各測定位置における電流量を評価し、ウェハー形状を模した二次元平面上に測定位置に対応してホール径の値あるいはその概略値を表示する手段を含む請求項3記載のデバイス検査装置。
  10. 前記表示手段はホール径の値の範囲を表すシンボルを表示する手段を含む請求項9記載のデバイス検査装置。
  11. 前記表示手段はホール径の値を等高線表示する手段を含む請求項10記載のデバイス検査装置。
  12. 前記表示手段はホール径の値の範囲を表す色を表示する手段を含む請求項10記載のデバイス検査装置。
  13. 前記表示手段は、測定された電流量の空間周波数を計算し、二次元平面上に、空間周波数に対する測定電流の大きさを表示する手段を含む請求項9記載のデバイス検査装置。
  14. 前記表示手段は、ウェハー毎のホール径の割合をホール径の関数として表示する手段を含む請求項9記載のデバイス検査装置。
  15. 前記照射する手段はステッパー露光装置の電子ビーム照射手段により構成され、
    前記表示手段は、ステッパー露光におけるショット毎のホール径の割合をホール径の関数として表示する手段を含む
    請求項9記載のデバイス検査装置。
  16. 前記表示手段は、ウェハー上のチップ毎のホール径の割合をホール径の関数として表示する手段を含む請求項9記載のデバイス検査装置。
  17. 前記表示手段は、ウェハー毎のホール径の最大値、最小値、平均値、標準偏差、および標準値からのずれを含む統計量を表示する手段を含む請求項9記載のデバイス検査装置。
  18. 前記試料は表面にフォトレジストが設けられて該フォトレジストにホールが形成された導電性材料基板であり、そのフォトレジストの露光時に一度に露光される範囲の各チップについて、その露光時に使用されるマスクのレイアウト情報から設計上同じ大きさのホールを抽出して検査対象ホールを指定する手段を備えた請求項1記載のデバイス検査装置。
  19. 前記試料は深さの異なるホールが設けられた素子であり、それらのホールを設計データに基づいてグループ分けし、それぞれのグループ毎に電子ビームが照射されるように前記照射する手段を制御する手段を備えた請求項1記載のデバイス検査装置。
  20. 前記表示手段は、各ホールの深さに対応する設計図面と、表面をあらわす二次電子像とを同時に表示する手段を含む請求項19記載のデバイス検査装置。
  21. 前記照射する手段は、前記試料上の複数の測定位置を複数の領域に区分してその区分された領域毎に電子ビームを照射する第一のモードと、個々の測定位置に電子ビームを照射する第二のモードとを切り替え可能であり、
    前記照射する手段を前記第一のモードに設定して前記測定する手段により測定された電流量をその大きさにより分類し、あらかじめ定められた基準にしたがっていくつかの領域を選択して、その領域に対して前記照射する手段を前記第二のモードに設定して測定を繰り返す制御手段を備えた
    請求項1記載のデバイス検査装置。
  22. 前記試料として、互いに異なるプロセス条件で形成され、ホールが異なる密度で形成された複数の領域を含む複数の試作試料が用いられ、
    前記複数の領域にそれぞれ電子ビームを照射したときに前記測定する手段により測定された電流量を比較する手段と、
    その試作試料に対して行われたプロセス条件をパラメータとし、前記比較する手段の比較結果を記憶する手段と、
    この記憶する手段に記憶された複数の試作試料に関する比較結果から最適なプロセス条件を選択する手段と
    を備えた請求項1記載のデバイス検査装置。
  23. 前記複数の領域はホールが密に形成された第一領域とホールが孤立して形成された第二領域とを含む請求項22記載のデバイス検査装置。
  24. 記比較する手段は、前記第一領域内の1個のホールに流れた電流量と前記第二領域内の1個の孤立ホールに流れた電流量とを比較する手段を含む
    請求項23記載のデバイス検査装置。
  25. 記比較する手段は、前記第一の領域内の複数のホールに流れた電流量をその個数で規格化した1個当たりの電流量と前記第二領域内の1個の孤立ホールに流れた電流量とを比較する手段を含む
    請求項23記載のデバイス検査装置。
  26. 前記複数の領域はホールが比較的高密度に形成された第一領域と比較的低密度に形成された第二領域と孤立して形成された第三領域とを含む請求項22記載のデバイス検査装置。
  27. 前記試料上でホールが異なる密度で形成された複数の領域を特定する手段と、
    この複数の領域にそれぞれ電子ビームを照射したときに前記測定する手段により測定された電流量を比較する手段と、
    この比較する手段の比較結果があらかじめ定められた条件を満たさなくなったときにはその試料に対して行われた製造工程に異常があるものとして警報を発生する手段と
    を備えた請求項1記載のデバイス検査装置。
  28. 導電性の試料上の複数の測定位置に同じパターンのホールを含む領域を覆う形状となるように順次電子ビームを照射してそのときに前記試料に生じる電流を、前記試料に接触された電極を介して測定し、各測定位置とその測定位置で測定された電流量とを記憶する第一のステップと、
    この第一のステップで記憶された電流量および測定位置を読み出し、電流量あるいはその電流量から導かれる物理所量を測定位置の関数として二次元平面に等高線またはグラフにより表示する第二のステップと
    を含むことを特徴とするデバイス検査方法。
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