JP3876086B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性を向上した空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、他のタイヤ性能に殆ど影響を与えることなく摩耗寿命の延長を可能にした空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空気入りラジアルタイヤではトレッドにセンター摩耗や片落ち摩耗を生じ、その摩耗の少なくとも一部が必要最小限の溝深さに到達したときが摩耗寿命となる。そこで、トレッド展開幅や溝面積等を変更することにより摩耗寿命を延長する方法が種々提案されている。
【0003】
しかしながら、例えばトレッド展開幅を広げると重量やコストの増加を招くと共に、タイヤが轍に捕らわれやすくなり、いわゆる轍ワンダリング性が悪化してしまい、溝面積を減少させるとトラクション性能やウェット路面での走行性能が低下してしまうという問題があった。また、タイヤ回転方向を指定した方向性トレッドパターンを構成した場合、耐摩耗性を向上することは可能であるものの、使用上の制約が増えるという不利があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トラクション性能などのタイヤ性能に殆ど影響を与えることなく摩耗寿命の延長を可能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッドにタイヤ周方向に延びる5本の主溝を設けて6列の陸部を分割形成し、各陸部をタイヤ幅方向に延びる複数本の副溝で複数のブロックからなるブロック列に分割し、トレッド面積に対する溝面積の比率を25±10%の範囲にすると共に、各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:0.9〜1.1:1.8〜2.2の関係にしたことを特徴とするものである。
【0006】
このように各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:1:2(±10%以内の変動は可能)の関係にしたことにより、溝面積比率を25±10%の高い範囲に設定してトラクション性能などのタイヤ性能を十分に確保しているにも拘らず、耐摩耗性を向上して摩耗寿命を延長することができる。
本発明において、ブロックの面積は最大ベルト幅に対応する領域内で測定されたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤのトレッドパターンを例示するものである。図において、トレッド1は優れた耐摩耗性を得るためにJIS−A硬度50〜75のキャップコンパウンドから構成されている。このトレッド1にはタイヤ周方向に延びる5本の主溝2が設けられており、これら主溝2によって6列の陸部が分割形成されている。主溝2はストレート状であってもよく、或いはジグザグ状であってもよい。
【0008】
また、トレッド1にはタイヤ幅方向に延びる複数本の副溝3が設けられており、これら副溝3によって最もショルダー側の陸部が複数のブロック4aからなるブロック列4に分割され、その内側の陸部が複数のブロック5aからなるブロック列5に分割され、最もセンター側の陸部が複数のブロック6aからなるブロック列6に分割されている。各ブロック列4,5,6において、副溝3のタイヤ周方向の配置間隔は略同一になっており、かつその配置位置がタイヤ周方向に互いにずれている。
【0009】
上記空気入りラジアルタイヤにおいて、主溝2及び副溝3を含む総溝面積のトレッド面積に対する比率は25±10%の範囲に設定されている。この溝面積比率が15%未満であるとトラクション性能やウェット路面での走行性能が低下し、逆に35%を超えると耐摩耗性が低下する。一方、各ブロック4a,5a,6aの面積比はショルダー側のブロック列4からセンター側のブロック列6へ1:1:2(±10%以内の変動は可能)の関係に設定されており、トレッド全体としてはブロック面積比が1:1:2:2:1:1(±10%以内の変動は可能)の関係になっている。このようにブロック4a,5a,6aの面積比をショルダー側からセンター側へ1:1:2の関係にすることにより、センター摩耗や片落ち摩耗等の偏摩耗の発生を抑制して摩耗寿命を延長することができる。但し、ブロック4a,5a,6aの面積比が上記関係から10%を超えて外れると耐摩耗性の向上効果が得られなくなる。
【0010】
上述のように副溝3のタイヤ周方向の配置間隔を各ブロック列4,5,6で略同一にした場合、各ブロック4a,5a,6aのタイヤ幅方向の長さ比は概ね1:1:2の関係になっている。即ち、トレッド展開幅をタイヤ幅方向に4分割する位置にそれぞれ主溝2を設けてセンター部とショルダー部のブロック面積の割合を1:1とし、更に左右両側のショルダー部のブロックをタイヤ幅方向に2分割する位置にそれぞれ主溝2を設けることにより、各ブロック4a,5a,6aの面積比を1:1:2の関係に設定することができる。
【0011】
本発明において、主溝2の総面積に対する副溝3の総面積の比は0.4〜0.8に設定することが好ましい。このように主溝2の総面積に対する副溝3の総面積の比を上記範囲にすることにより、最良のトラクションを発揮することが可能になる。また、図2〜図4に示すように、副溝3がタイヤ周方向に対して傾斜するようにトレッドパターンを構成し、その副溝3のタイヤ周方向に対する傾斜角度を65±10°に設定することが好ましい。副溝3の傾斜角度が55°未満であるとブロックの横剛性が低下してタイヤ幅方向に偏摩耗を生じやすくなり、逆に75°を超えるとウェット路面での走行性能が不十分になる場合がある。これと同様の理由から、副溝2のタイヤ周方向に投影したときの投影長さに対するタイヤ幅方向に投影したときの投影長さの比を0.6〜0.8に設定することが好ましい。
【0012】
また、副溝2に傾斜角度を付与するに当たって、図2のように全ての副溝2を同一方向に傾斜させるとハンドル流れを生じる虞があるので、図3のように副溝2の傾斜方向をショルダー側のブロック列4とセンター側のブロック列5,6とで互いに異ならせたり、或いは図4のように副溝2の傾斜方向をショルダー側のブロック列4,5とセンター側のブロック列6とで互いに異ならせることにより、ハンドル流れの発生を防止することが好ましい。なお、本発明のトレッドパターンは回転方向が指定されたものであってもよいが、方向性トレッドパターンであると使用上の制約が増えるので、非方向性(車両に対する装着方向を反転しても同一パターンを持つ)トレッドパターンにすることが好ましい。
【0013】
更に、本発明は図5に示すようにタイヤ赤道断面におけるタイヤ半径R1 と、タイヤ子午線断面におけるトレッド半径R2 との比R1 /R2 が0.8〜1.2となる空気入りラジアルタイヤに適用することが好ましい。このような曲率を有する空気入りラジアルタイヤに上記トレッドパターンを適用することにより、摩耗寿命の延長効果が顕著に得られる。
【0014】
本発明において、ブロックの面積は図5に示すように最大ベルト幅Bに対応する領域内で測定されたものである。即ち、図6の展開図からなるトレッドパターンにおいては、図7に示すように最大ベルト幅Bに対応する領域内におけるブロック面積に基づいて面積比を設定するようにする。
【0015】
【実施例】
タイヤサイズを185R14 8PR LTとし、図4に示すトレッドパターンを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、トレッド面積に対する溝面積の比率を25%にすると共に、各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:1:Xとし、このX値を種々異ならせた試験タイヤをそれぞれ製作した。なお、主溝の総面積に対する副溝の総面積の比を0.6とし、副溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度を65°とした。
【0016】
これら試験タイヤを小型トラックに装着し、空気圧450kPaとして走行し、摩耗寿命(センター摩耗又は片落ち摩耗による取り外しを含む)に到達するまでの走行距離を測定し、その結果を図8に示した。評価結果は、X=1の従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど摩耗寿命が長く、耐摩耗性が優れている。図8から判るように、ブロック面積比が1:1:1.8〜2.2となる範囲において摩耗寿命の向上が顕著に現れていた。
【0017】
次に、上記タイヤにおいて、トレッド面積に対する溝面積の比率を25%にすると共に、各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:Y:2とし、このY値を種々異ならせた試験タイヤをそれぞれ製作した。
【0018】
これら試験タイヤを小型トラックに装着し、空気圧450kPaとして走行し、摩耗寿命(センター摩耗又は片落ち摩耗による取り外しを含む)に到達するまでの走行距離を測定し、その結果を図9に示した。評価結果は、Y=1の本発明タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど摩耗寿命が長く、耐摩耗性が優れている。図9から判るように、ブロック面積比が1:0.9〜1.1:2となる範囲において摩耗寿命が優れていた。
【0019】
次に、上記タイヤにおいて、トレッド面積に対する溝面積の比率を25%にすると共に、各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:1:2の関係にし、主溝の総面積に対する副溝の総面積の比を種々異ならせた試験タイヤをそれぞれ製作した。
【0020】
これら試験タイヤを小型トラックに装着し、空気圧450kPaとしてドライ路面とウェット路面においてそれぞれ牽引力を測定し、その結果を図10に示した。評価結果は、溝面積比(副溝/主溝)を1にした比較タイヤのドライ路面での牽引力を100とする指数で示した。この指数値が大きいほどトラクション性能が優れている。図10から判るように、溝面積比(副溝/主溝)が0.4〜0.8となる範囲においてドライ路面でのトラクション性能とウェット路面でのトラクション性能とが共に良好であった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トレッドにタイヤ周方向に延びる5本の主溝を設けて6列の陸部を分割形成し、各陸部をタイヤ幅方向に延びる複数本の副溝で複数のブロックからなるブロック列に分割し、トレッド面積に対する溝面積の比率を25±10%の範囲にすると共に、各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:0.9〜1.1:1.8〜2.2の関係にしたことにより、トラクション性能などのタイヤ性能に殆ど影響を与えることなく摩耗寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤのトレッドパターンを例示する展開図である。
【図2】本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤのトレッドパターンの変形例を示す展開図である。
【図3】本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤのトレッドパターンの変形例を示す展開図である。
【図4】本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤのトレッドパターンの変形例を示す展開図である。
【図5】本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤの子午線半断面図である。
【図6】本発明の空気入りラジアルタイヤの具体的なトレッドパターンを例示する展開図である。
【図7】図6のトレッドパターンにおいて最大ベルト幅に対応する領域を示す展開図である。
【図8】ブロック面積比(1:1:X)と摩耗寿命(指数)との関係を示すグラフである。
【図9】ブロック面積比(1:Y:2)と摩耗寿命(指数)との関係を示すグラフである。
【図10】溝面積比(副溝/主溝)とトラクション性能(指数)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 トレッド
2 主溝
3 副溝
4〜6 ブロック列
4a〜6a ブロック
Claims (7)
- トレッドにタイヤ周方向に延びる5本の主溝を設けて6列の陸部を分割形成し、各陸部をタイヤ幅方向に延びる複数本の副溝で複数のブロックからなるブロック列に分割し、トレッド面積に対する溝面積の比率を25±10%の範囲にすると共に、各ブロックの面積比をショルダー側のブロック列からセンター側のブロック列へ1:0.9〜1.1:1.8〜2.2の関係にした空気入りラジアルタイヤ。
- 前記主溝の総面積に対する前記副溝の総面積の比を0.4〜0.8にした請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記副溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度を65±10°にした請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記副溝のタイヤ周方向に投影したときの投影長さに対するタイヤ幅方向に投影したときの投影長さの比を0.6〜0.8にした請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- タイヤ子午線断面におけるトレッド半径に対するタイヤ赤道断面におけるタイヤ半径の比を0.8〜1.2にした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記副溝の傾斜方向をショルダー側のブロック列とセンター側のブロック列とで互いに異ならせた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 非方向性のトレッドパターンを有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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