JP3874891B2 - インストルメントパネル - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に設備されるインストルメントパネル構造に係り、特に、インストルメントパネルの表面一部分に取付けるべきクラッシュパッド部とインストルメントパネルの本体部とを展開状態で一体成形し、その成形後、クラッシュパッド部をインストルメントパネル本体部に対して折り曲げてインストルメントパネル本体部の表面に、クラッシュパッド部を重ね合わせるインストルメントパネル構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インストルメントパネルの表面一部分に、自動車が、例えば衝突(追突)等を起したときに発生する乗員とインストルメントパネルとの衝撃力を緩和せしめるための手段として、インストルメントパネルの一部分つまりインストルメントパネルにおける乗員の衝撃を受けやすい部分に、クラッシュパッド部材を添設して、搭乗者の安全性を高めるようにしたインストルメントパネル構造が既に提案されている。
【0003】
上記のようにクラッシュパッド部材を添設した従来のインストルメントパネルは、例えば図4、図5で示すように、硬質樹脂で成形されたインストルメントパネル本体部材1には、計器嵌入口2、エアバッグリッド取付口3が形成されており、さらにそのエアバッグリッド取付口3の下部、つまり自動車の助手席対応位置には、クラッシュパッド取付け凹部4が形成されている。そしてこのクラッシュパッド取付け凹部4には、インストルメントパネル本体部材1とは、別構成部材であるクラッシュパッド部材5が嵌着されている。このクラッシュパッド部材5は、芯材5Aと、この芯材5Aの表面に層成される発泡層5Bと、この発泡層5Bの表面に形成される表皮層5Cとの三層構造からなっており、このクラッシュパッド部材を、インストルメントパネル本体1に設けられているクラッシュパッド取付け凹部4に取付けるには、例えばビス等の取付手段により固定しているものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来例によるクラッシュパッド付きインストルメントパネルにあっては、インストルメントパネル本体部材1の他にクラッシュパッド部材5をそれぞれの別工程で製作し、その後、そのインストルメントパネル本体部材1とクラッシュパッド部材5を組付けなければならないことから、製作工数と組立工数が増し、生産性、経済性に欠けるものであった。
【0005】
また上記のクラッシュパッド部材5の製作時においては、そのクラッシュパッド部材5を構成している芯材5A、発泡層5B、表皮層5Cの各部材による層成を確保せしめるための端末処理が必要となり、このためにクラッシュパッド部材5の製作にも手間がかかるという不具合があった。
【0006】
さらに上記インストルメントパネル本体部材1へのクラッシュパッド部材5の組付時にはビス等の金属を使用しているために、解体時のリサイクル性が悪いものでもあった。
【0007】
本発明は、かかる従来の欠点に着目してなされたもので、インストルメントパネル本体部を射出成形するとき、そのインストルメントパネル本体部の辺縁に薄肉ヒンジ部を介して連続するクラッシュパッド部の芯材部分を一体成形し、さらにその芯材部の表面に発泡層及び表皮層を層成して、インストルメントパネル本体部と、クラッシュパッド部が一体である樹脂成形品を得、その樹脂成形品の製作後、上記クラッシュパッド部を薄肉ヒンジを境にインストルメントパネル本体部の表面に折り返し固定することができるようにして、クラッシュパッド部を有するインストルメントパネルの生産性、経済性を高めることを第1の目的とする。
【0008】
また本発明では、インストルメントパネル本体部の表面にクラッシュパッド部を重ね合わせてなるインストルメントパネルの外観(見栄え)及び品質を高めることを第2の目的とする。
【0009】
また本発明では、インストルメントパネル本体部の表面側にクラッシュパッド部を薄肉ヒンジを介して折り返すときの折り返し作業性を高めると共にこの折り返し部の外観を高めることを第3の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1では、インストルメントパネル本体部の樹脂成形時に、そのインストルメントパネル本体部の辺縁より薄肉ヒンジ部を介してクラッシュパッド部の芯材を一体成形し、さらに該芯材の表側となる面に発泡層、表皮層を層成して、インストルメントパネル本体部とクラッシュパッド部とが薄肉ヒンジ部を介して連設された樹脂成形品を成形し、かつその上記クラッシュパッド部を上記薄肉ヒンジ部を回転中心としてインストルメントパネル本体部の表側へ折り返し固定してなるインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0011】
また上記第2の目的を達成するために、請求項2では、請求項1に加えて、クラッシュパッド部の回転中心側辺縁を上記インストルメントパネル本体部の裏面側まで延設してなるインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0012】
さらに上記第2の目的を達成するために請求項3では、請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、インストルメントパネル本体部の表面に、クラッシュパッド部嵌入用の凹段部を形成し、該凹段部内に、クラッシュパッド部の自由端側辺縁を嵌着せしめたインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0013】
また請求項4では、請求項1ないし3のいずれかにおいて、インストルメントパネル本体部とクラッシュパッド部とを連設している薄肉ヒンジ部は、平行する2条の薄肉溝で構成されているインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に示す実施形態に基いて詳細に説明する。
【0015】
先ず本発明よりなるインストルメントパネルの構成を図1に基いて説明する。11はインストルメントパネルの樹脂成形品であって、この樹脂成形品11は、インストルメントパネル本体部12と、このインストルメントパネル本体部12の下縁に、薄肉ヒンジ部13を介して連設されているクラッシュパッド部14とからなっている。このクラッシュパッド部14は、上記のインストルメントパネル本体部12の射出成形と同時に形成される芯材14Aと、この芯材14Aの表面となる側に層成される発泡層14Bと、この発泡層14Bの表面に形成される表皮層14Cとにより構成されている。
【0016】
上記芯材14Aの先端縁には、係止爪15が一体形成されており、この係止爪15は、クラッシュパッド部14を薄肉ヒンジを境としてインストルメントパネル本体部12の表面側に折り返して重ね合わせたときに、そのインストルメントパネル本体部12に設けている係止孔16に係止されて、そのクラッシュパッド部14の折り返し重ね合わせ状態が維持されるようになっている。
【0017】
17は、インストルメントパネル本体部12及びクラッシュパッド部14の裏面に設けられている補強用のリブであり、また上記クラッシュパッド部14の表面に層成されている発泡層14B及び表皮層14Cの辺縁は、芯材14Aの辺縁を包むようにして折り曲げられており、さらに、それら発泡層14B及び表皮層14Cの薄肉ヒンジ部13との対向辺縁は、その薄肉ヒンジ形成位置よりインストルメントパネル本体部12の裏面方向へ延長形成されている。
【0018】
また上記薄肉ヒンジ部13は、平行する2条の薄肉溝13A,13Bで構成されている。なお12Aは、インストルメントパネル本体部12の正面に凹設したクラッシュパッド嵌入用の凹段部を示す。
【0019】
次に上記構成の樹脂成形品の成形工程を、図2に基いて説明する。
【0020】
予め用意されている可動型18のクラッシュパッド成型面19に、発泡層14Bと表皮層14Cが別工程で予め賦形されている多層シート(ラミネートシート)を位置せしめた後、該多層シートを真空吸引装置20及び真空吸引通気入れ子(焼結合金又は通気孔付ブロックからなる)26の働きにより吸引し、多層シートの位置決めを行なう。
【0021】
次にその可動型18と固定型21とによる型閉め後、ゲート22を開き、射出シリンダー23の動作で、上記多層シートの裏面に芯材樹脂を射出して芯材14Aを成型する。次いでゲート24を開き、同様にして射出シリンダー23の動作で型閉めされているキャビティー内に樹脂を射出し、上記芯材14Aと一体のインストルメントパネル本体部12を射出成形するものである。なお25はスライド型を示す。また30はグローブボックスである。
【0022】
このようにして、多層シートを添着せしめたクラッシュパッド部14を薄肉ヒンジ部13を介してインストルメントパネル本体部12と一体に連設せしめてなる樹脂成形品11を作成する。次いで、この樹脂成形品11を、図3で示すように、薄肉ヒンジ13を境としてクラッシュパッド部14をインストルメントパネル本体部12の表側へ折り返して、そのクラッシュパッド部14に設けられている係止爪15を、インストルメントパネル本体部12に設けられている係止孔16内へ係止させるようにして、そのクラッシュパッド部14をインストルメントパネル本体部12の凹段部12A内に嵌合させ、これによってインストルメントパネルを完成するものである。
【0023】
このようにして構成されるインストルメントパネルは、一部材構成であり、しかもクラッシュパッド部14をインストルメントパネル本体部12に対して薄肉ヒンジ13を介して折り返すという簡単な作業で、クラッシュパッド部14を具備するインストルメントパネルを構成することができるので、上記インストルメントパネル成形のための型費、組立工数を大幅に削減することができ、これにより部分的位置にクラッシュパッド部を具備するインストルメントパネルの製作経済性が大幅に高められる。
【0024】
またインストルメントパネル本体部12とクラッシュパッド部を結合する手段は、係止孔16と係止爪15による係止力の採用であって、従来のようにビス(金属)等の結合部材を使用していないので、該インストルメントパネルの解体時におけるリサイクル性が良い。
【0025】
またクラッシュパッド部14の回転中心側辺縁141は、その芯材14Aの辺縁を包むように折り曲げ形成されており、さらにこのクラッシュパッド部14の自由端側辺縁142をインストルメントパネル本体部12の凹段部12A内に嵌合位置せしめたとき、凹段部12A内で隠蔽されて外部へ露出されることがないようにしたので、発泡層14B及び表皮層14Cを部分的に取付けてなるインストルメントパネルの外観(見栄え)を良くし、品質を高めることができる。
【0026】
また薄肉ヒンジ13は、平行する二条の薄肉溝13A,13Bで構成していることから、薄肉ヒンジによる折り曲げ曲率を大きくすることができ、これにより薄肉ヒンジ13を境とする折り返し作業を円滑かつ容易ならしめることができると共に、発泡層14B及び表皮層14Cに対し無理の少ない曲げ加工が可能となる。
【0027】
さらにインストルメントパネル本体部12の裏面及びクラッシュパッド部の裏面に、補強用リブ17を設けているのでインストルメントパネルの全体的強度を一層高めることが可能である。
【0028】
クラッシュパッド部14に対する真空吸引通気入れ子26の当接部を、外部に露出することなく隠蔽される辺縁141,142としたので、インストルメントパネルの外観をそこなうことがない。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、請求項1のインストルメントパネルによれば、インストルメントパネルの表面一部に発泡層及び表皮層を設けてなるインストルメントパネルの製作設備及び製作工程を簡素化することができ、これにより生産性と経済性に優れたインストルメントパネルを提供することができる。
【0030】
また請求項2及び3のインストルメントパネルによれば、表面一部に発泡層及び表皮層を設けてなるインストルメントパネルの外観(見栄え)を良好ならしめることと、製品(インストルメントパネル)の品質を高めることができる。
【0031】
さらに請求項4のインストルメントパネルによれば、表皮層及び発泡層の折り曲げ部に無理な伸張力を作用させることがなく、特に表皮層、発泡層の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よりなるインストルメントパネルの展開状態を示した断面図。
【図2】本発明よりなるインストルメントパネルの製造説明図。
【図3】本発明よりなるインストルメントパネルの組立時の断面説明図。
【図4】従来のクラッシュパッド付きインストルメントパネルの外観斜視図。
【図5】図4のV−V線断面説明図。
【符号の説明】
11…樹脂成形品
12…インストルメントパネル本体部
13…薄肉ヒンジ部
14…クラッシュパッド部
15…係止爪
16…係止孔
17…補強用リブ
18…可動型
19…クラッシュパッド成型面
20…真空吸引装置
21…固定型
22…ゲート
23…射出シリンダー
24…ゲート
25…スライド型
26…真空吸引通気入れ子
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に設備されるインストルメントパネル構造に係り、特に、インストルメントパネルの表面一部分に取付けるべきクラッシュパッド部とインストルメントパネルの本体部とを展開状態で一体成形し、その成形後、クラッシュパッド部をインストルメントパネル本体部に対して折り曲げてインストルメントパネル本体部の表面に、クラッシュパッド部を重ね合わせるインストルメントパネル構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インストルメントパネルの表面一部分に、自動車が、例えば衝突(追突)等を起したときに発生する乗員とインストルメントパネルとの衝撃力を緩和せしめるための手段として、インストルメントパネルの一部分つまりインストルメントパネルにおける乗員の衝撃を受けやすい部分に、クラッシュパッド部材を添設して、搭乗者の安全性を高めるようにしたインストルメントパネル構造が既に提案されている。
【0003】
上記のようにクラッシュパッド部材を添設した従来のインストルメントパネルは、例えば図4、図5で示すように、硬質樹脂で成形されたインストルメントパネル本体部材1には、計器嵌入口2、エアバッグリッド取付口3が形成されており、さらにそのエアバッグリッド取付口3の下部、つまり自動車の助手席対応位置には、クラッシュパッド取付け凹部4が形成されている。そしてこのクラッシュパッド取付け凹部4には、インストルメントパネル本体部材1とは、別構成部材であるクラッシュパッド部材5が嵌着されている。このクラッシュパッド部材5は、芯材5Aと、この芯材5Aの表面に層成される発泡層5Bと、この発泡層5Bの表面に形成される表皮層5Cとの三層構造からなっており、このクラッシュパッド部材を、インストルメントパネル本体1に設けられているクラッシュパッド取付け凹部4に取付けるには、例えばビス等の取付手段により固定しているものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来例によるクラッシュパッド付きインストルメントパネルにあっては、インストルメントパネル本体部材1の他にクラッシュパッド部材5をそれぞれの別工程で製作し、その後、そのインストルメントパネル本体部材1とクラッシュパッド部材5を組付けなければならないことから、製作工数と組立工数が増し、生産性、経済性に欠けるものであった。
【0005】
また上記のクラッシュパッド部材5の製作時においては、そのクラッシュパッド部材5を構成している芯材5A、発泡層5B、表皮層5Cの各部材による層成を確保せしめるための端末処理が必要となり、このためにクラッシュパッド部材5の製作にも手間がかかるという不具合があった。
【0006】
さらに上記インストルメントパネル本体部材1へのクラッシュパッド部材5の組付時にはビス等の金属を使用しているために、解体時のリサイクル性が悪いものでもあった。
【0007】
本発明は、かかる従来の欠点に着目してなされたもので、インストルメントパネル本体部を射出成形するとき、そのインストルメントパネル本体部の辺縁に薄肉ヒンジ部を介して連続するクラッシュパッド部の芯材部分を一体成形し、さらにその芯材部の表面に発泡層及び表皮層を層成して、インストルメントパネル本体部と、クラッシュパッド部が一体である樹脂成形品を得、その樹脂成形品の製作後、上記クラッシュパッド部を薄肉ヒンジを境にインストルメントパネル本体部の表面に折り返し固定することができるようにして、クラッシュパッド部を有するインストルメントパネルの生産性、経済性を高めることを第1の目的とする。
【0008】
また本発明では、インストルメントパネル本体部の表面にクラッシュパッド部を重ね合わせてなるインストルメントパネルの外観(見栄え)及び品質を高めることを第2の目的とする。
【0009】
また本発明では、インストルメントパネル本体部の表面側にクラッシュパッド部を薄肉ヒンジを介して折り返すときの折り返し作業性を高めると共にこの折り返し部の外観を高めることを第3の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1では、インストルメントパネル本体部の樹脂成形時に、そのインストルメントパネル本体部の辺縁より薄肉ヒンジ部を介してクラッシュパッド部の芯材を一体成形し、さらに該芯材の表側となる面に発泡層、表皮層を層成して、インストルメントパネル本体部とクラッシュパッド部とが薄肉ヒンジ部を介して連設された樹脂成形品を成形し、かつその上記クラッシュパッド部を上記薄肉ヒンジ部を回転中心としてインストルメントパネル本体部の表側へ折り返し固定してなるインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0011】
また上記第2の目的を達成するために、請求項2では、請求項1に加えて、クラッシュパッド部の回転中心側辺縁を上記インストルメントパネル本体部の裏面側まで延設してなるインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0012】
さらに上記第2の目的を達成するために請求項3では、請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、インストルメントパネル本体部の表面に、クラッシュパッド部嵌入用の凹段部を形成し、該凹段部内に、クラッシュパッド部の自由端側辺縁を嵌着せしめたインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0013】
また請求項4では、請求項1ないし3のいずれかにおいて、インストルメントパネル本体部とクラッシュパッド部とを連設している薄肉ヒンジ部は、平行する2条の薄肉溝で構成されているインストルメントパネルであることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に示す実施形態に基いて詳細に説明する。
【0015】
先ず本発明よりなるインストルメントパネルの構成を図1に基いて説明する。11はインストルメントパネルの樹脂成形品であって、この樹脂成形品11は、インストルメントパネル本体部12と、このインストルメントパネル本体部12の下縁に、薄肉ヒンジ部13を介して連設されているクラッシュパッド部14とからなっている。このクラッシュパッド部14は、上記のインストルメントパネル本体部12の射出成形と同時に形成される芯材14Aと、この芯材14Aの表面となる側に層成される発泡層14Bと、この発泡層14Bの表面に形成される表皮層14Cとにより構成されている。
【0016】
上記芯材14Aの先端縁には、係止爪15が一体形成されており、この係止爪15は、クラッシュパッド部14を薄肉ヒンジを境としてインストルメントパネル本体部12の表面側に折り返して重ね合わせたときに、そのインストルメントパネル本体部12に設けている係止孔16に係止されて、そのクラッシュパッド部14の折り返し重ね合わせ状態が維持されるようになっている。
【0017】
17は、インストルメントパネル本体部12及びクラッシュパッド部14の裏面に設けられている補強用のリブであり、また上記クラッシュパッド部14の表面に層成されている発泡層14B及び表皮層14Cの辺縁は、芯材14Aの辺縁を包むようにして折り曲げられており、さらに、それら発泡層14B及び表皮層14Cの薄肉ヒンジ部13との対向辺縁は、その薄肉ヒンジ形成位置よりインストルメントパネル本体部12の裏面方向へ延長形成されている。
【0018】
また上記薄肉ヒンジ部13は、平行する2条の薄肉溝13A,13Bで構成されている。なお12Aは、インストルメントパネル本体部12の正面に凹設したクラッシュパッド嵌入用の凹段部を示す。
【0019】
次に上記構成の樹脂成形品の成形工程を、図2に基いて説明する。
【0020】
予め用意されている可動型18のクラッシュパッド成型面19に、発泡層14Bと表皮層14Cが別工程で予め賦形されている多層シート(ラミネートシート)を位置せしめた後、該多層シートを真空吸引装置20及び真空吸引通気入れ子(焼結合金又は通気孔付ブロックからなる)26の働きにより吸引し、多層シートの位置決めを行なう。
【0021】
次にその可動型18と固定型21とによる型閉め後、ゲート22を開き、射出シリンダー23の動作で、上記多層シートの裏面に芯材樹脂を射出して芯材14Aを成型する。次いでゲート24を開き、同様にして射出シリンダー23の動作で型閉めされているキャビティー内に樹脂を射出し、上記芯材14Aと一体のインストルメントパネル本体部12を射出成形するものである。なお25はスライド型を示す。また30はグローブボックスである。
【0022】
このようにして、多層シートを添着せしめたクラッシュパッド部14を薄肉ヒンジ部13を介してインストルメントパネル本体部12と一体に連設せしめてなる樹脂成形品11を作成する。次いで、この樹脂成形品11を、図3で示すように、薄肉ヒンジ13を境としてクラッシュパッド部14をインストルメントパネル本体部12の表側へ折り返して、そのクラッシュパッド部14に設けられている係止爪15を、インストルメントパネル本体部12に設けられている係止孔16内へ係止させるようにして、そのクラッシュパッド部14をインストルメントパネル本体部12の凹段部12A内に嵌合させ、これによってインストルメントパネルを完成するものである。
【0023】
このようにして構成されるインストルメントパネルは、一部材構成であり、しかもクラッシュパッド部14をインストルメントパネル本体部12に対して薄肉ヒンジ13を介して折り返すという簡単な作業で、クラッシュパッド部14を具備するインストルメントパネルを構成することができるので、上記インストルメントパネル成形のための型費、組立工数を大幅に削減することができ、これにより部分的位置にクラッシュパッド部を具備するインストルメントパネルの製作経済性が大幅に高められる。
【0024】
またインストルメントパネル本体部12とクラッシュパッド部を結合する手段は、係止孔16と係止爪15による係止力の採用であって、従来のようにビス(金属)等の結合部材を使用していないので、該インストルメントパネルの解体時におけるリサイクル性が良い。
【0025】
またクラッシュパッド部14の回転中心側辺縁141は、その芯材14Aの辺縁を包むように折り曲げ形成されており、さらにこのクラッシュパッド部14の自由端側辺縁142をインストルメントパネル本体部12の凹段部12A内に嵌合位置せしめたとき、凹段部12A内で隠蔽されて外部へ露出されることがないようにしたので、発泡層14B及び表皮層14Cを部分的に取付けてなるインストルメントパネルの外観(見栄え)を良くし、品質を高めることができる。
【0026】
また薄肉ヒンジ13は、平行する二条の薄肉溝13A,13Bで構成していることから、薄肉ヒンジによる折り曲げ曲率を大きくすることができ、これにより薄肉ヒンジ13を境とする折り返し作業を円滑かつ容易ならしめることができると共に、発泡層14B及び表皮層14Cに対し無理の少ない曲げ加工が可能となる。
【0027】
さらにインストルメントパネル本体部12の裏面及びクラッシュパッド部の裏面に、補強用リブ17を設けているのでインストルメントパネルの全体的強度を一層高めることが可能である。
【0028】
クラッシュパッド部14に対する真空吸引通気入れ子26の当接部を、外部に露出することなく隠蔽される辺縁141,142としたので、インストルメントパネルの外観をそこなうことがない。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、請求項1のインストルメントパネルによれば、インストルメントパネルの表面一部に発泡層及び表皮層を設けてなるインストルメントパネルの製作設備及び製作工程を簡素化することができ、これにより生産性と経済性に優れたインストルメントパネルを提供することができる。
【0030】
また請求項2及び3のインストルメントパネルによれば、表面一部に発泡層及び表皮層を設けてなるインストルメントパネルの外観(見栄え)を良好ならしめることと、製品(インストルメントパネル)の品質を高めることができる。
【0031】
さらに請求項4のインストルメントパネルによれば、表皮層及び発泡層の折り曲げ部に無理な伸張力を作用させることがなく、特に表皮層、発泡層の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よりなるインストルメントパネルの展開状態を示した断面図。
【図2】本発明よりなるインストルメントパネルの製造説明図。
【図3】本発明よりなるインストルメントパネルの組立時の断面説明図。
【図4】従来のクラッシュパッド付きインストルメントパネルの外観斜視図。
【図5】図4のV−V線断面説明図。
【符号の説明】
11…樹脂成形品
12…インストルメントパネル本体部
13…薄肉ヒンジ部
14…クラッシュパッド部
15…係止爪
16…係止孔
17…補強用リブ
18…可動型
19…クラッシュパッド成型面
20…真空吸引装置
21…固定型
22…ゲート
23…射出シリンダー
24…ゲート
25…スライド型
26…真空吸引通気入れ子
Claims (4)
- インストルメントパネル本体部(12)の樹脂成形時に、そのインストルメントパネル本体部(12)の辺縁より薄肉ヒンジ部(13)を介してクラッシュパッド部(14)の芯材(14A)を一体成形し、さらに該芯材(14A)の表側となる面に発泡層(14B)及び表皮層(14C)を層成して、インストルメントパネル本体部(12)とクラッシュパッド部(14)とが薄肉ヒンジ部(13)を介して連設された樹脂成形品(11)を成形し、かつその上記クラッシュパッド部(14)を上記薄肉ヒンジ部(13)を回転中心としてインストルメントパネル本体部(12)の表側へ折り返し固定してなることを特徴とするインストルメントパネル。
- クラッシュパッド部(14)の回転中心側辺縁(141)を上記インストルメントパネル本体部(12)の裏面側まで延設してなることを特徴とする請求項1に記載のインストルメントパネル。
- インストルメントパネル本体部(12)の表面に、クラッシュパッド部(14)嵌入用の凹段部(12A)を形成し、該凹段部(12A)内に、クラッシュパッド部(14)の自由端側辺縁(142)を嵌着せしめたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のインストルメントパネル。
- インストルメントパネル本体部(12)とクラッシュパッド部(14)とを連設している薄肉ヒンジ部(13)は、平行する2条の薄肉溝(13A),(13B)で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインストルメントパネル。
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