JP3874352B2 - 列車内通信システム及び列車内通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両内への情報提供及び車両からの監視情報や保守データの送信又はこれらのいずれかを行う列車内通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、列車内の乗客に対し各種情報の提供サービスが行われるようになってきており、専用の通信ケーブルを新たに敷設して客車入り口の上部に設置したテロップ表示器に情報を通信して表示させたり、無線を利用した車両内からの情報通信などがなされている。このような列車内の各種情報の提供について、従来技術としては次のものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1には、専用の通信ケーブルを利用して、各車両に動画像を配信する技術が開示されている。また、特許文献2には、車両内の乗客が座ったまま所望の商品を無線通信により注文できる技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−209193号公報(段落〔0012〕−〔0017〕)
【特許文献2】
特開2002−215914号公報(段落〔0005〕−〔0012〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術においては、各車両に動画像を配信するために、専用の通信ケーブルを新たに敷設する必要がある。ケーブルは、各車両の床下に敷設する構造となっており、狭隘部での敷設作業になり、その工事費が膨大になるという問題がある。さらに、各車両のケーブルは、車両連結部の各電気コネクタにより相互に接続されるが、空き端子がない場合には新たに敷設する専用の通信ケーブルを連結できなく、情報の配信ができないなどの問題が生じる。また、前記車両の床下には、走行性能向上や快適な走行のために、モータ駆動用、各種制御用の各種容量のインバータが取り付けてある。このインバータを構成するスイッチング素子(例えばIGBT、バイポーラトランジスタ、FET、サイリスタなどの半導体スイッチング素子)からは、そのオン・オフ動作によって電磁ノイズが発生する。この電磁ノイズは、スイッチング素子がオンあるいはオフした際に、回路内の配線によるインダクタンスや浮遊容量及びスイッチング素子のスイッチング速度によって決まる高周波ノイズである。この周波数を実験により評価した結果、数百kHzから数十MHz、場合によっては数百MHzまで及ぶことが分かった。さらに、車両は、速度制御のためにモータ電圧の周波数が可変になっており、この周波数の基本波やその高調波が発生することにより数十kHz以下の電磁ノイズも発生する。ノイズは低周波成分ほどパワーが高く、列車走行時における電磁ノイズは数MHz以下が主体であることも分かった。さらに、列車走行中に、トロリー線(電車線とも言う)とパンタグラフ間の放電によって数MHz程度までの電磁ノイズ、場合によっては数百MHzまでの電磁ノイズが発生し、これが前記通信ケーブルを用いた通信に影響を及ぼすことがある。このように、各車両の床下は、強い電磁ノイズ環境下であるため、前記専用ケーブルは耐ノイズ性を確保するためにツイストペア線、シールド付きツイストペア線、あるいは同軸ケーブルが必要となり、通信ケーブル自体が高価になる。
【0005】
また、無線による通信については、車両内での通信はあまり障害がなく通信することが可能であるが、車両自体が金属であるため電波が遮断され、車両間の通信ができなくなり、無線から有線による通信に変換して車両間を有線で通信し、再び無線に変換しなければならなく、無線通信機器及び有線通信機器の数が増え、通信システムが高価なものになるという問題が生じる。一方、各車両には昔から放送線が敷設されている。最近では、文字情報を表示するテロップ表示器に情報を通信するためのテロップ表示用通信線も敷設されている。これらのケーブルをそのまま利用して情報を伝送することが実現できれば、新たなケーブル敷設工事が発生することもなく、各車両への情報配信を可能とするシステムを容易にかつ短時間で構築することが可能になる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、車両に設置したスピーカへ音声信号を送信するための放送線、テロップ情報を送信するためのテロップ表示用通信線、直流電圧や交流電圧を供給するための電線等の列車に敷設されているケーブルを利用して、列車走行中にも、運転室あるいは乗務員室と各車両に設ける通信装置間で安定した通信が可能な列車内通信システム等を提供することにある。
【0007】
なお、本発明における列車とは、電車及びディーゼル車などの鉄道列車に限らずモノレール車両、トロリー電車、タイヤ電車なども含む。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、列車内通信装置は、運転室あるいは乗務員室と各車両に通信手段を設け、これらの通信手段を放送線あるいはテロップ表示用通信線で接続し、前記の放送線あるいはテロップ表示用通信線を通信線として通信を行う。そしてこれら通信手段は、複数の搬送波信号(マルチキャリアともいう)を用い、各搬送波信号に送信データを割り付けて通信するものであり、各搬送波信号に対してS/N(信号とノイズの強さの比)の値に応じて、送信データ割り付け量を変更して通信する。また、これら通信手段は、各搬送波信号に対して伝送誤り率を評価し、評価した伝送誤り率に応じて、送信データ割り付け量を変更して通信する。さらに、これら通信手段は、前記に加えOFDM(直交周波数多重分割)方式によって通信する。また、これら通信手段は、搬送波信号に対してあらかじめ定めているS/Nが得られるか否かを判断し、判定結果があらかじめ定めているS/N以下の場合に、あらかじめ定められている異なった周波数に搬送波の周波数を変更して通信するものである。さらに、これら通信手段は、通信信号をより広い周波数帯域に拡散して通信するスペクトル拡散通信方式によって通信するようにする。
【0009】
また、列車内通信装置は、スピーカへの音声信号やテロップ表示器への情報信号の通信帯域より高い周波数帯域を通信帯域として利用し、両周波数帯域を分離する周波数スプリッタを放送線あるいはテロップ表示用通信線に接続して通信する。
【0010】
そして、運転室あるいは乗務員室の通信装置と各車両の通信装置間での通信においては、前記通信装置を列車に敷設されているケーブルで接続し、前記ケーブルを通信線として車両内への情報提供及び車両からの情報送信又はこれらのいずれかを行う。
【0011】
本発明によれば、S/Nの高い搬送波信号による通信や、S/Nの高い周波数帯域での通信や、通信帯域より広い帯域に拡散して通信するスペクトル拡散通信によるS/N向上を図った通信により、トロリー線とパンタグラフ間の放電によって電磁ノイズが発生したり、列車のインバータが動作して電磁ノイズが発生しても、これに大きく影響を受けることなく、既設の放送線あるいは既設のテロップ表示用通信線を用いて車両内への情報及び車両からの情報又はこれらのいずれかを安定して送信することが可能になる。また、この通信のために新たなケーブル敷設工事を行う必要がない。さらに、乗客へ、広告情報、列車運行情報(現在の速度、次の停車駅、次の停車駅までの所要時間など)などの情報提供が可能になったり、乗客の状況(特に、マナーの悪い乗客の状況、盗難、セキュリティなど)をカメラで監視した画像情報や、モータ、インバータなどの機器の温度、振動、電圧、電流などの保守に必要な保守データを運転室あるいは乗務員室で収集したり、遠隔監視したり、集中管理することができるなどの効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の実施形態は、(1)列車内の放送線を利用して運転室あるいは乗務員室と各車両間で通信する列車内通信装置である第一の実施形態と、(2)通信装置間で一度プロトコール変換された信号で相互にデータ授受を行い、列車内の放送線を利用して、運転室あるいは乗務員室と各車両間で通信する第二の実施形態と、(3)運転室あるいは乗務員室から各車両に伝送されてきた情報提供サービスを各乗客に個別に提供できる第三の実施形態とに大別して説明する。なお、本発明の実施形態における放送線は、車両に設置したスピーカへ音声信号を送信するための通信線であり、テロップ表示用通信線は、テロップ表示機にテロップ情報を送信するための通信線である。また、本発明の実施形態における列車とは、電車及びディーゼル車などの鉄道列車に限らずモノレール車両、トロリー電車、タイヤ電車なども含む。
【0013】
〔第一の実施形態〕
図1は、第一の実施形態の列車内通信装置の構成を示す図である。運転室あるいは乗務員室1には、放送装置2が設置されており、各車両9,10(N台の車両として図示している)に設置しているスピーカ12a,12bまでを放送線4で接続し、この放送装置2を利用して各車両の乗客や乗務員に音声による必要事項(次の停車駅の告知、呼び出しなど)の連絡がなされるが、この放送線4を共有して利用して、音声信号の伝送以外に乗客への情報提供サービス、乗客状況の監視画像や保守データの通信を運転室あるいは乗務員室1と各車両9,10間で行う。運転室あるいは乗務員室1の放送装置2は、後記する周波数スプリッタ3aを介して放送線4に接続されている。放送線4は、各車両9,10の周波数スプリッタ3b,3cを介してアンプ11a,11bに接続される。なお、放送線4は、2本の電線であるが、ここでは単線図で示している。アンプ11a,11bは、スピーカ12a,12bに接続される。さらに、運転室あるいは乗務員室1には、通信装置5aが設置され、通信装置5aは前記の放送線4に接続されている。この通信装置5aは、情報提供装置6、監視装置7にも接続されている。監視装置7はカメラで監視した画像情報や、モータ、インバータなどの機器の温度、振動、電圧、電流などの保守に必要な保守データを通信装置5aから取り込み、監視画像情報は、画像蓄積サーバ8に出力される。
【0014】
情報提供装置6は、各車両の乗客に各種情報を提供するためのものであり、図示していないが、例えばニュース、野球などの実時間情報を無線受信機から取り込み、これを内部の記憶部に保存して、定期的に通信装置5aに出力したり、広告情報、イベント案内、映画、録画情報などの各種データが記録されているVTRやCDROM、ハードディスク、メモリなどの記録媒体からの情報を読み出して通信装置5aに出力したり、停車駅情報や到着時間情報などの列車運行情報、現在の列車の位置や始発駅からの走行距離を示す列車位置情報、停車駅でのドア開閉情報や空調運転状況などの列車情報などを通信装置5aに出力する。一方、監視装置7は各車両に取り付けたカメラからの画像情報を後記するように通信装置5aで受信し、この受信した画像情報を表示したり、画像蓄積サーバ8に記録させる。画像蓄積サーバ8は、所定時間分の画像情報を記録しており、例えば,必要に応じて記録媒体に書き込んで列車外に提供できるようにしてもよい。
【0015】
各車両9,10においては、通信装置5b,5cは、放送線4に接続されていると共に、カメラ13a,13b、表示装置14a,14b、データ収集装置15a,15bにも接続されている。通信装置5b,5cは、通信装置5aから送信されてくる情報を受信し、表示装置14a,14bに出力する。この結果、前記した各種情報が表示装置14a,14bに表示される。表示装置14a,14bは、各車両に取り付けられ、乗客に対して共通の情報が提供される。また、表示装置14a,14bは、各車両ごとに、通信装置5aから分岐して前記提供情報を表示させるようにしてもよい。また、加速度振動計16a,16b、温度センサ17a,17b、図示していないが電圧センサや電流センサなどの各種センサの出力であるデータは、データ収集装置15で取り込まれ、保守データとして通信装置5b,5cに取り込まれる。また、カメラ13a,13bで監視する監視画像情報も通信装置5b,5cに取り込まれる。これらの保守データ及び監視画像情報は、放送線4を介して通信装置5aに伝送され、監視装置7に出力される。カメラ13a,13bと通信装置5b,5cは、専用のケーブル、例えばイーサ(R)ケーブルや同軸ケーブルで接続される。監視画像は動画あるいはこま落し画像で通信装置5b,5cから伝送されるが、カメラ13a,13bが例えばウエブカメラの場合には、カメラ13a,13bからこま落し画像が出力されるために、このこま落し画像が通信装置5b,5cから伝送される。また、ウエブカメラの場合には、イーサ(R)ケーブルでカメラ13a,13bと通信装置5b,5cで接続する。
【0016】
通信装置5aと通信装置5b,5c間で通信する情報は、前記監視画像や保守データを含んだ大容量の情報であるため、少なくとも通信速度は、1Mbps以上が要求される。このため、通信装置5aと通信装置5b,5cは、後記するメガヘルツ(MHz)帯域を利用して大容量通信を行う。一方、音声信号は、約4kHz以下の信号であり、両者の周波数に大きな差がある。この周波数の差を利用し、通信装置5aと通信装置5b,5c間で通信するメガヘルツ(MHz)帯域の通信信号が放送装置2、アンプ11a,11bに通信されないように、周波数を分離して通信することにより、両者の信号を一本の放送線4を利用して通信することが可能になる。この周波数分離のために周波数スプリッタ3a,3b,3cを放送線4に接続している。なお、アンプ11a,11bは、音声信号の減衰を補償するために設けている。
放送線4は各車両の床下に敷設する構造となっており、床下から分岐してアンプ11a,11bを介してスピーカ12a,12bに接続されている。各車両間は、車両連結部の各電気コネクタにより相互に接続されている。前記車両の床下には、走行性能向上や快適な走行のために、モータ駆動用、各種制御用の各種容量のインバータが取り付けてある。
【0017】
インバータを構成するスイッチング素子(例えばIGBT、バイポーラトランジスタ、FET、サイリスタなどの半導体スイッチング素子)は、そのオン・オフ動作によって電磁ノイズが発生する。この電磁ノイズは、スイッチング素子がオンあるいはオフした際に、回路内の配線によるインダクタンスや浮遊容量及びスイッチング素子のスイッチング速度によって決まる高周波ノイズである。この周波数を実験により評価した結果、数百kHzから数十MHz、場合によっては数百MHzまで及ぶことが分かった。さらに、速度制御のためにモータ電圧の周波数が可変になっており、この周波数の基本波やその高調波が発生することにより数十kHz以下の電磁ノイズも発生する。ノイズは、低周波成分ほどパワーが高く、列車走行時における電磁ノイズは数MHz以下が主体であることも分かった。その一例を図3に示す。図3では放送線4に重畳されるノイズと通信の送信信号及び受信信号を合わせて示している。これらの関係については後記する。ノイズは、約1MHz以下のパワーが高く、約5MHz以上ではあまり高くないことが分かる。通信帯域としては1MHz以上及び30MHz以下が望ましいが、5MHz以上及び30MHz以下とすればさらに良い。しかし、両帯域でもノイズは重畳しており、この帯域を利用する通信にとって障害になってしまう。
【0018】
通信装置5a,5b,5cは、このようなノイズの影響を非常に低減した通信を可能にするものであり、図2を参照して以下に説明する。図1で示した通信装置5a,5b,5cは同一構成であり、図2に示す通信装置5aを基に説明する。通信装置5aは、バンドパスフィルタ(BPフィルタ)50,60、受信アンプ51、送信アンプ59、アナログ/ディジタル変換器(A/D)52、ディジタル/アナログ変換器(D/A)58、等化器53、復調器54、変調器57、アクセスコントローラ55、プロトコール変換器56からなっている。
【0019】
通信装置5aは、情報提供装置6や監視装置7とのインタフェースをとるために、プロトコール変換器56を設けている。情報提供装置6や監視装置7は、パソコンをベースとした装置で構成すると各種汎用ソフトウェアを利用でき、情報管理やデータ処理などが容易になるため、プロトコール変換器56は、例えばイーサ(R)やUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースとすることが有効である。プロトコール変換器56は、情報提供装置6から車両の乗客に提供するためのデータを受け取ると、このデータを通信装置5aで扱う所定フォーマットの通信パケットに変換する。アクセスコントローラ55は、プロトコール変換器56からの通信パケットを受信すると、このデータを変調器57に出力する。変調器57は、別途入力している搬送波ごとのデータ割り付け量情報55bに基づいて、各搬送波に前記データを割り付ける。このことをビット割り付けともいう。搬送波にデータが割り付けられた信号はD/A58によりアナログ信号に変換され、送信アンプ59によって増幅され、BPフィルタ60を介して放送線4に出力され、通信装置5b,5cに送信される。
【0020】
一方、通信装置5b,5cから送信されてきた信号は、BPフィルタ50によって通信帯域以外の信号を抑制し通信帯域の信号を受信アンプ51に出力する。受信アンプ51は、受信信号を増幅してA/D52に出力し、A/D52によってディジタル信号に変換された信号が等化器53に出力される。等化器53は、放送線4の通信路歪(伝送路歪ともいう)を補正するためのものであり、通信路歪の補正処理を行った信号が復調器54に出力される。復調器54では、別途入力している搬送波ごとのデータ割り付け量情報55aに基づいて、各搬送波に割り付けられているデータを取り出し、アクセスコントローラ55に出力する。アクセスコントローラ55では、この取り出したデータを所定フォーマットの通信パケットに変換し、プロトコール変換器56に出力する。プロトコール変換器56は、この通信パケットを、情報提供装置6や監視装置7とのインタフェース(例えばイーサ(R)やUSBなど)が取れるようにプロトコールの変換をして情報提供装置6や監視装置7に情報を出力する。
【0021】
アクセスコントローラ55は、復調器54及び変調器57にデータ割り付け量情報55a,55bを出力するが、この情報で示されるデータ割り付け量は常に一定ではなく、一定時間ごとに通信装置5aと5b間の通信特性に対するトレーニング(学習ともいう)を行って搬送波ごとにS/Nを推定(測定あるいは判定という)するか、あるいは通信時の伝送誤り率を評価し、これらの結果に応じて、搬送波ごとあるいは全搬送波に対してデータ割り付け量を変更する。またS/N(信号とノイズの強さの比)の推定と伝送誤り率の評価を併用してデータ割り付け量を変更しても良い。このように、通信装置5aと5b,5c間で放送線4の通信特性(伝送誤りやS/N)をダイナミックに評価し、この結果に基づいて変復調の処理(データ割り付け量の変更)を変更することで伝送エラーを発生させないように通信することが可能になる。以下では、この点を詳細に説明する。
【0022】
なお、通信装置5b,5cは、車両9,10の内側壁と外側壁の二重構造でできている空間を利用して設置する。すなわち、車両9,10の天井と屋根(車両外部)との間の空間、車両9,10の床と床下機器取り付け部との間の空間又はドアの戸袋などの空間に設置する。これらの個所は、いずれも二重構造であり、この空間に設置することにより新たなスペースを必要とすることがなく、また車内の美観を損なうこともない。
【0023】
図3に示したように、放送線4に重畳されるノイズは低周波ほどパワーが高い。具体的には、1MHz以下が高く、7MHz近傍でノイズの部分的なピークがあるものの5MHz以上ではあまり高くない。通信装置5aから通信装置5bにデータを送信するとして、通信装置5aが放送線4に送信した信号の強さが図3に示したように一定であっても、放送線4の特性が周波数依存性を持っているため、通信装置5bで受信した信号の強さは、高周波ほど低下し、かつ変動している。これは、通信線のインダクタンスや通信線の往路及び復路間の静電容量により通信信号の減衰や、放送線4の分岐点や端点での反射などによるものである。安定した監視画像の通信(通信速度は1Mbps程度以上)のためには、受信信号とノイズの強さの比(dB表現では差)であるS/Nを所定以上とする必要があり、受信信号の高周波帯域での減衰を評価すると、30MHz以下の周波数帯域を通信帯域として使用することが望ましい。帯域を狭くすると、通信速度が低くなるという問題があるため、通信帯域としては少なくとも1MHz以上で30MHz以下が望ましい。さらに、通信帯域として5MHz以上で30MHz以下の帯域を利用すると、ノイズの影響が低くなり、より安定した高速通信が可能である。等化器53は、放送線4の通信路歪を補正し、復調器54が正しくデータを復調するために必要である。等化器53は、通信におけるプリアンブル信号を用いて通信路歪を評価し、この評価の結果を用いて通信路歪を補正する。図3のように、等化器53は減衰した受信信号の通信路歪を補正するが、その際ノイズ成分も増幅されるためS/Nは改善されない。この等化器53がなければ、通信路歪の影響でデータの復元にエラーが生じる。つまり伝送エラーになってしまう。この点についても後記する。
【0024】
搬送波として使用帯域内で複数の搬送波(マルチキャリア)を用いる場合を例に、S/Nを評価してデータ割り付け量を変更する仕組みについて以下に説明する。図4にマルチキャリアのスペクトルを示す。帯域Δfの搬送波は、使用帯域に複数割り当てるが、搬送波と搬送波が重ならないようにするために、搬送波間で所定帯域だけスペースを取るのが一般的である。各搬送波には所定の送信データのビットが割り付けられる。マルチキャリアの特殊なケースであるOFDM(直交周波数多重分割)は、図5に示すように、搬送波のピーク点では、他の搬送波のパワーがゼロとなるように各搬送波が配置され、各搬送波の帯域をΔfとすると、時間1/(Δf/2)での逆フーリエ変換による直交性の維持を図っている。このため、一般のマルチキャリアとは異なって、各搬送波が重なり合っても信号が復元可能であるため、使用帯域が一般のマルチキャリアより狭くて良く、周波数利用効率が一般のマルチキャリアより高いという特徴をもっている。なお、OFDMもマルチキャリアの一種である。
【0025】
搬送波を用いて通信する方式として、前記のような複数の搬送波を用いて通信する方式(マルチキャリア通信方式という)と、単一の搬送波(単一キャリアともいう)を用いて通信する方式(単一キャリア通信方式という)があり、いずれも搬送波(キャリア)にデータ(ビット)を割り付けて伝送する。このように搬送波(キャリア)にデータを割り付けて伝送するわけであるが、キャリアごとのS/Nによりそのデータ割り付け量には制限がある。マルチキャリア通信方式は、使用帯域内で複数の狭帯域のキャリアを設けて通信する方式である。このため、放送線4に重畳したノイズの内、特定の周波数のノイズのパワーが高いと、そのノイズの周波数に合致するキャリアのS/Nが他のキャリアよりも低くなり、そのキャリアへのデータ割り付け量が低くなるだけであり、全キャリアとして高いデータ割り付け量を維持できる。この結果、高い通信速度を確保することが可能である。このように、マルチキャリア通信方式は、複数のキャリアを用いて通信しているため、S/Nの低くなった特定の搬送波(キャリア)に対してデータ割り付け量が低くなるだけである。これに対して、単一キャリア通信方式では、特定の周波数のノイズのレベルが高いだけであっても、キャリアが一つであるため、そのキャリアに割り付けるデータ量が低くなり、マルチキャリア通信方式と比べ、かなり通信速度が低下する。特に車両における動きのある監視画像を伝送するためには1Mbps以上の通信速度が必要であるために、単一キャリア通信方式より、マルチキャリア通信方式の方が適している。
【0026】
各搬送波(キャリア)ごとに複数の波形(振幅と位相が異なる)を使用し、この波形にデータ(ビット)を割り付けて伝送するが、多数の送信波形を用いて伝送する際の変調は多値変調と呼ばれ、各キャリアごとのS/Nによりそのデータ割り付け量(ビット割り付け量ともいう)には制限があり、図6のような関係になっている。例えば、伝送誤り率を1/105に設定すれば、256QAM、64QAM、16QAM、QPSK、BPSKでは、S/Nがそれぞれ約22.5dB、約17.7dB、約13.5dB、約9.5dB、約6.3dB必要である。256QAMでは8ビットの割り付けが可能であり、64QAMは6ビット、16QAMは4ビット、QPSKは2ビット、BPSKは1ビットの割り付けが可能であり、S/Nが約6.3dB未満であれば、ビットの割り付けをしない。なお、QAMはQuadrature Amplitude Modulation、QPSKはQuadrature Phase Shift Keying、BPSKはBinary Phase Shift Keyingと呼ばれ、QAMは振幅変調、QPSK及びBPSKは位相変調である。前記例では128QAM、32QAMなどを示していないが、その他のQAMもある。なお、誤り訂正機能を付加することにより、伝送誤り率を1/105から1/107程度にすることが可能である。従って、例えば、通信速度が1Mbpsであれば、確率的に10秒に1回誤りが発生することになり、誤りが発生した伝送フレームあるいはパケットを再送することにより、何ら問題なく安定した通信が可能になる。
【0027】
〔S/Nの推定評価〕
次に、図7を用いて、S/Nの評価について説明する。図7は通信装置5aから通信装置5bにS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する例を示している。通信装置5aから通信装置5cにS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する場合も同一である。逆に、通信装置5b,5cから通信装置5aにS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する場合も同一である。通信装置5aから通常のデータを送信する場合は、ステップ1からステップ5の手順により実施しており、S/N評価のための処理は割込み処理によって実施する。ここでは、割込み処理として、一定時間で起動する割込み処理を例にしている。図7に示す処理は、アクセスコントローラ55によってなされる。通常のデータ送信においては、まずステップ1にて、プロトコール変換器56から取り込んだデータを基に通信装置内のパケットデータを作成する。次にステップ2で、作成したパケットデータを変調器57に出力する。これによって、データが変調され通信装置5bに送信される。通信装置5bから送信されてくるデータについては、ステップ3で復調器54からのパケットデータを取り込む。ステップ4にてCRC(Cycle Redundancy Check:巡回冗長検査)の評価を実施して、伝送誤り検出を行う。ステップ5にて、伝送誤りがあれば、通信装置5bに再送要求をし、伝送誤りがなければ取り込んだデータをプロトコール変換器56に出力する。
【0028】
このような通常のデータ通信処理を実施している状態で、S/N評価のための割込み処理を実施する。ステップ6で、あらかじめ用意しているトレーニングデータを変調器57に出力する。この結果、トレーニングデータが変調されて、通信装置5bに送信される。これに対して、通信装置5bは、ステップ10でトレーニングデータを受信し、ステップ11で搬送波ごとのS/Nを計算する。この計算については後記する。さらに、ステップ12で、搬送波番号とビット割り付け量をペアとしてパケットデータに変換し、変調器に出力する。搬送波番号とビット割り付け量のペアをビット割り付け情報とよぶ。この結果、通信装置5bから通信装置5aにビット割り付け情報(搬送波番号とビット割り付け量)が送信されてくる。また、自局である、通信装置5b自体のビット割り付け情報を更新するためにビット割り付け情報テーブルの書き換えを実施する。このビット割り付け情報は、通信装置5aから伝送されてきたデータを通信装置5bの復調器で復調する際に使用する。その後、通信装置5aは通信装置5bから送信されてくるビット割り付け情報をステップ7で受信し、ステップ8にてビット割り付け情報テーブルの書き換えを実施する。この処理が終了すると、ステップ9にてビット割り付け情報テーブルの書き換え完了を示すACKを送信する。通信装置5bでは、ステップ13にてACKを受信し、処理を終了する。この処理が終了すると、通信装置5bから通信装置5aにトレーニング情報を送信し、通信装置5bから通信装置5aへの伝送に対するS/Nを評価する。これは、通信線のS/Nが対称になっていれば必要はないが、S/Nに対称性がないが場合には有効である。列車の場合、ノイズ源であるインバータが通信装置5b側にあることが多く、インバータは、通信装置5b側のノイズが通信装置5aのノイズより強いことが考えられる。しがって、通信装置5bにおけるS/Nが低くなるため、通信装置5aから通信装置5bにデータを送信する場合には、各搬送波に割り付けるビットをS/Nに応じて低くする必要が生じる。このように各通信装置でのS/Nに差がある場合には、双方向でのS/N評価を実施し、この結果得られるビット割り付け情報を各アクセスコントローラに記憶しておき、変調及び復調に対応して利用する。
【0029】
トレーニングデータを送信するか通常のデータを送信するかを区別する必要があるが、これは図8のように伝送フォーマットを構成することにより実現できる。この伝送フォーマットは、プリアンブル信号、ヘッダ、データ、CRCからなっており、ヘッダの中にトレーニング情報か通常のデータ情報かを示すようにしている。ヘッダがトレーニング情報を示せば、データの中にはトレーニング用データが入っており、ヘッダがデータ情報を示せば、データの中には通常の送信データが入っている。トレーニング用データとしては、256QAM、64QAM、QPSKなどがあるが、ここでは理解を容易にするために、QPSKを例に説明する。なお、プリアンブル信号はシンボル同期のために用いる。QPSKは各搬送波に2ビットを割り付ける変調方式であり、信号点配置は図9のようになっている。I軸は信号の同相成分を表し、Q軸は信号の直交成分を表している。信号点へのデータ割り付けは、例えば、第1象限の信号点でデータ“00”を示し、第2象限の信号点でデータ“01”、第3象限の信号点でデータ“11”、第4象限の信号点でデータ“10”を表す。そこで、全ての象限のデータを送信した方がS/Nをより一層正確に評価することが可能である。厳密でなければ、2ビットからなる適当なデータを利用しても良い。例えば、第1象限と第3象限のデータで構成し、“00”、“11”としても良いし、すべて第1象限のデータとし、“00”としても良い。
【0030】
図7のトレーニング用データとして“00”、“01”、“11”、“10”が設定される。そして、この場合、図2において、アクセスコントローラ55から変調器57に出力するビット割り付け情報として各搬送波ごとに2ビットの割り付け(QPSKである)であることを出力する。これにより、変調器57はQPSK変調により、2ビットづつのトレーニング用データを、各搬送波に2ビットを割り付け伝送する。トレーニングの場合には、各搬送波のS/Nを評価することが目的であるため、全搬送波に対してQPSK変調を施してデータを送信する。トレーニングの際にはあらかじめQPSK変調で伝送することが決まっているため、受信側ではQPSKで復調する。なお、QPSKではどの信号点に対しても振幅が一定であり、位相のみが異なるだけであり、復調処理が簡単であるが、256QAM、64QAMなどを利用してトレーニングを実施しても良い。
【0031】
S/Nの評価は以下のように実施される。QPSKの場合、通信線上にノイズもなく減衰もなければ、復調した際の信号点は図10のようになる。しかし、通信線上にはノイズがあり、かつ減衰もする。減衰については図2の等化器53によって補正されるため、復調された信号は信号点配置において、基本的には真値の周りに復元されることになる。図10において、丸で示した範囲が復調後の信号点位置である。原点から真値までの距離が信号の強さSであり、真値から復調後の信号点位置までの距離がノイズの強さNである。従って、両者の比を計算すればS/Nが求まる。トレーニングでは、変調方式をあらかじめ定めているので、真値がどこにあるかをあらかじめ通信装置に記憶させておくことができる。真値を用いてS/Nを計算する方式の他には、平均値を用いる方式がある。これは、復調後の信号点位置の平均を算出し、この結果を用いて原点からの距離をSとし、各復調後の信号点位置からの距離をNとする方式である。なお、いずれの方式においても、ノイズをより正確に評価(推定あるいは測定)するためには、各搬送波に対して何度もトレーニングデータを送信する必要がある。セキュリティを考慮すると1秒ごとに監視画像情報を画像蓄積サーバで保存することが必要と思われるため、秒オーダ、望ましくは1秒ごとにトレーニングを実施するのがよい。
【0032】
〔伝送誤り率評価〕
次に、トレーニングをイベントで実施する方式について説明する。このための処理を図11に示す。図7と異なる点は、一定時間毎にトレーニングを実施するのではなく、通常のデータ伝送を実施し、伝送誤りが多数発生する場合に、トレーニングを実施させるようにしている点である。このために、ステップ4でのCRCによる誤りチック結果を基に、ステップ5で所定時間内での誤り発生頻度(伝送誤り率)を算出し、この結果があらかじめ定めた所定値以上の場合にトレーニングを実施する。トレーニングについては、図7と同様に、ステップ6からステップ13を実施することにより達成される。このトレーニングが終了したら、通常のデータ通信を実施する。なお、この例では、通信装置5bから通信装置5aへのデータ送信時に発生した伝送誤り率に基づいて、通信装置5aから通信装置5bへのトレーニングを示したが、逆に、通信装置5aから通信装置5bへのデータ送信時に発生した伝送誤り率に基づいて、通信装置5bから通信装置5aへのトレーニングも同様にして実施される。
【0033】
このように、伝送誤り率に応じてトレーニングをすること(イベント駆動のトレーニング)、つまり、S/Nが悪化したときにトレーニングをするため、一定時間毎にトレーニングを実施する方式に比べ伝送効率が高くなるとういう特徴がある。
【0034】
さらに、このイベント駆動のトレーニングと一定時間毎にトレーニングを併用するとさらに伝送効率がよくなる。つまり、イベント駆動のトレーニングによりS/Nが悪化したときのトレーニングが可能であり、S/Nが改善した場合には一定時間のトレーニングにより、高いS/N状態でのデータ割り付けが可能になるため、通信速度をより一層速くできる。イベント駆動のトレーニングのみでは悪化したときのトレーニングによって決まるデータ割り付け量のみになってしまうため、伝送路のS/Nが向上しても既にトレーニング済のデータ割り付け量のままであり、通信速度の改善ができないが、両方式を併用することにより、S/N低下時にイベント駆動のトレーニングによりデータ割り付け量が低下しても、一定時間ごとのトレーニングにより、伝送路のS/Nが向上していれば、データ割り付け量は多くなる。このように伝送路のS/N状態に応じて最適なデータ割り付け量が決定できる。このための処理は、アクセスコントローラ55により、イベント駆動のトレーニングを図11の処理で実施し、一定時間毎のトレーニングを割込み処理(図7)で実施すればよい。
【0035】
〔OFDM通信〕
前記に加え、OFDMを含むマルチキャリア通信方式を利用して通信装置5a,5b間で通信することにより、十分なS/Nが確保できない周波数が存在し、この結果、データの割り付けのできないキャリアが存在しても、その他の周波数のS/Nが高ければ、これらの周波数の搬送波に多くのデータ割り付けが可能になり、全体として1Mbps以上の十分な通信速度を確保できる効果がある。さらに、OFDMは周波数利用効率が高いため、一般のマルチキャリア通信方式より狭い帯域で同等の通信速度を確保することが可能になる。このため、インバータノイズによりS/Nが周波数によって変化するが、そのS/Nの変化がある程度の周波数範囲にわたっていても、OFDMでは比較的S/Nの高い周波数帯域を使用周波数帯域として設定し、通信速度を確保できるという特徴がある。
【0036】
〔単一搬送波のS/N評価〕
次に、単一キャリア(単一搬送波)を使用した場合のS/N評価について説明する。単一キャリアを使用して、マルチキャリアと同一の通信速度を実現するには単一キャリアの帯域を広くする必要がある。単一キャリアの帯域を広くすることにより、通信速度を速くすることが可能になる。変調方式としては、マルチキャリアと変わらないため、図7及び図11に示したトレーニングがそのまま適用できる。また、S/N評価も図10に示す通りである。
【0037】
〔搬送波周波数の変更方式〕
次に、S/N評価結果に基づいて搬送波(キャリア)周波数を変更する方式を説明する。図7及び図11ではデータ割り付け量を変更することを示したが、この代わりに、データ割り付け量を変更せずに搬送波の周波数をS/Nが同等以上の周波数帯に変更(シフトともいう)することも可能である。この場合、図2に示したデータ割り付け量情報55a,55bの代わりに搬送波周波数変更情報がアクセスコントローラ55から変調器57、復調器54に出力される。なお、あらかじめS/Nの測定を実施しておき、どの周波数帯に変更するかを決めておく。この方式では、単一キャリアの場合、搬送波が1本であるため、この変更処理は容易である。ただし、通信の使用帯域は、周波数変更が可能なように十分広い帯域である必要がある。
【0038】
〔周波数スプリッタ〕
放送装置2から出力される音声信号は約4kHz以下の信号であり、図1で示した通信装置5a,5b,5c間の通信信号はメガヘルツ(MHz)帯域を利用した通信であり、両者の周波数に大きな差があり、周波数の差を利用し、周波数を分割して通信することにより、両者の信号を一本の放送線4を利用して通信している。このために、図1で示したように周波数スプリッタ3a,3b,3cを用いているが、3aを例としてその構成を図12に示す。放送線4は単線図でなく、2本の電線で示している。周波数スプリッタ3aは、放送線4の途中に高周波遮断フィルタ3a1を備え、高周波遮断フィルタ3a1を介して放送装置2に接続される。高周波遮断フィルタ3a1は、通信装置間で通信するメガヘルツ(MHz)以上の信号を遮断させ、約4kHz以下の音声信号を通過させることが目的である。このため、高周波遮断フィルタ3a1の代わりに低周波通過フィルタであってもよい。高周波遮断フィルタ3a1の遮断周波数は100kHzで十分である。低周波通過フィルタの場合には遮断周波数は100kHzで十分であるが、不必要な高周波を抑制させるために40kHz程度(4kHzの10倍)で十分である。通信装置5a,5b,5c間の通信は、各周波数スプリッタ3a,3b,3c間の高周波遮断フィルタ3a1間で挟まれる放送線4を利用して通信することになる。通信装置5a,5b,5cには、通信帯域のみを通過させるためのバンドパスフィルタ(BPフィルタ)50,60が設けられているため、音声信号が通信装置内に取り込まれることはない。以上のように構成することにより、音声信号と、通信装置5a,5b,5c間の通信信号が混信することなく、周波数を分離して通信することが可能になる。
【0039】
なお、放送装置2及びアンプ11a,11bは音声信号を通信するために、この音声信号の帯域のみを通過させるように、フィルタが組み込まれている場合がある。このフィルタは低周波通過、つまり高周波遮断フィルタであり、通信装置5aのBPフィルタ50及び60で示したように、放送線とのインタフェースをとるところに設置されることになる。従って、図12に示した高周波遮断フィルタ3a1の機能をこのフィルタによって達成することが可能になる。この結果、図12の高周波遮断フィルタ3a1は取り外すことが可能になる。つまり、周波数スプリッタ3aそのものが不要になり、通信装置5aのBPフィルタ50及び60を放送線4に接続するだけで、放送線4を利用して、通信装置5a,5b,5c間の通信が可能になる。当然、図1に示す放送装置2及びアンプ11a,11b間で、通信装置5a,5b,5cの通信に何ら影響を受けることなく、音声通信が可能である。
【0040】
以上の実施形態では、放送線4を利用して通信装置5a,5b,5c間の通信を可能とした。しかし、放送線4の代わりに、直流電圧や交流電圧を供給する電線を利用し、通信装置5a,5b,5c間で通信することが可能になる。この場合、通信装置5aと直流電圧や交流電圧を供給する電線とのインタフェースが異なるだけであり、その他は同一である。この直流電源線又は交流電源線での構成を図13に示す。通信装置5aは結合器65を備え、この結合器65を介して直流電源線あるいは交流電源線41に接続される。結合器65はコンデンサで直流電源あるいは商用周波数の交流電源の電圧をカットあるいは十分抑制させ、トランスのインダクタンスとこのコンデンサの静電容量の値で決まる高周波通過特性を持たせることにより、メガヘルツ(MHz)の高周波を減衰させることなしに直流電源線あるいは交流電源線41に重畳させるようにしている。直流電源あるいは交流電源がメガヘルツ(MHz)帯域の通信信号に対して何ら影響されなければ、周波数スプリッタ3aが不要になり、通信装置5aを直流電源線あるいは交流電源線41に接続するだけで通信が可能となる。このように、直流電源線あるいは交流電源線41を利用して、通信装置5a,5b,5c間の通信が可能になり、新たなケーブルを敷設する必要がなく、安価な通信手段を提供できる。
【0041】
最近では、車両でのテロップ表示がなされるようになっているが、情報の出力元である運転室あるいは乗務員室1からの各車両のテロップ表示まで専用のテロップ用通信線が敷設されている。テロップ表示とは文字表示であり、時間当たりの情報量はあまり多くなく、例えば、9.6Kbps程度の通信速度でデータを送信している。通信信号としては、一般にパルスコード変調された通信信号である。2値AMI符号やその他の符号を使用しても通信帯域は2倍の19.2KHz程度である。通信信号のパワースペクトルの96%はこの19.2KHzの帯域であり、残りの4%が側波帯であり、ほぼ通信帯域は19.2KHz程度と考えて良い。従って、音声信号の帯域4kHzと異なるものの、通信装置5a,5b,5cによる通信帯域であるメガヘルツ(MHz)帯域とは周波数帯域が大きく異なっている。従って、テロップ情報の通信信号と通信装置5a,5b,5c間の通信信号は図12に示す周波数スプリッタで分離することができる。従って、テロップ用通信線を利用して、図1に示す構成で通信装置5a,5b,5c間の通信が可能になる。ただし、この場合には、放送装置2がテロップ情報出力装置となり、放送線4はテロップ用通信線となり、アンプ11a,11bとスピーカ12a,12bがテロップ表示装置になり、その他は変更ない。つまり、テロップ用通信線を利用して、通信装置5a,5b,5c間の通信が可能になり、新たなケーブルを敷設する必要がないという効果がある。
【0042】
〔スペクトル拡散通信方式〕
通信装置5a,5b,5cとして、スペクトル拡散通信方式を適用した実施形態について、通信装置5aを代表としてその構成を図14に示す。図2と異なる点は、変調器57及び復調器54に係わる部分であり、その他は同一である。OFDMを含めたマルチキャリア方式は、各搬送波ごとにビット割り付け変更を行ったが、スペクトル拡散通信方式はこのような処理はなく、その代わりにベースバンドの帯域をより広い帯域に拡散して通信し、復調時に帯域をベースバンドの帯域に圧縮して、データを復元する方式である。このスペクトル拡散通信方式は、通信路上にランダムのノイズが重畳される状況下での通信に対してS/Nを高くでき、安定した通信が可能であり、インバータ機器から特定周波数帯域でのノイズ(周波数選択性ノイズという)のレベルが高くなるような場合の通信に好適である。図2との相違点を説明する。変調器57はスペクトル拡散通信方式の場合、1次変調器とも呼ばれ、通常の伝送で用いられる振幅変調、周波数変調、位相変調(BPSK、QPSK)、位相と振幅を同時に変調する16QAM、64QAM、256QAMなどの各種変調方式が採用される。変調器57の出力信号(1次変調された信号)は、スペクトル拡散変調器63に入力される。スペクトル拡散変調器63は、1次変調された信号に対して拡散符号発生器64から出力されるPN(Pseudorandom Noise)系列と呼ばれる特殊な波形を乗積されてD/A58に出力する。この処理をアナログ処理回路で実現することも可能であり、その場合にはD/A58が不要である。これらの処理により、拡散変調された信号が通信装置5aから通信装置5bに通信されることになる。拡散変調後の帯域幅は、1次変調の帯域幅とPN系列のそれの和になる。通常は帯域拡散の倍率が大きいので、実質的にPN系列の帯域幅が拡散信号の帯域幅になる。従って、使用帯域は1次変調の帯域幅(ベースバンドの帯域)より広い帯域にする必要があり、拡散率は5倍以上とするが、列車の場合、ノイズレベルが比較的高いため、少なくとも10倍以上が望ましい。車両内への情報提供(映像情報含む)、車両からの監視画像伝送や保守データなどの伝送のために、通信装置5aから通信装置5b,5cへの通信、通信装置5b,5cから通信装置5aへの通信に対し、それぞれ最低でも1Mbpsの通信速度が要求されるため、ベースバンドの帯域は少なくとも1MHz以上が必要であり、その10倍の帯域である10MHz以上の帯域が使用帯域として必要である。しかも図3に示したように、その測定結果から判断して1MHz以上、望ましくは5MHz以上を使用することが有効である。つまり、列車の場合、少なくとも5MHz以上の帯域を使用帯域として使用することが望ましい。
【0043】
一方、復調については、次のように処理される。A/D52の出力信号はタイミング/同期回路61及びスペクトル拡散逆拡散器62に出力される。スペクトル拡散逆拡散器62では送信側で用いたものとまったく同一のPN系列を再度乗積して、1次変調の信号を復元する。この処理を帯域圧縮とも呼ぶ。この帯域圧縮により、S/NのうちSが向上し、車両走行時のインバータノイズのような周波数選択性ノイズのNが抑制される。このため、復調器54での復調処理でのS/Nが十分高く、通信路上でのノイズの影響を受けることなく、元の信号を復元することが可能になる。なお、タイミング/同期回路61は、スペクトル拡散逆拡散器62にてPN系列を再度乗積するための同期をとるために用いられる。また、タイミング/同期回路61及びスペクトル拡散逆拡散器62がアナログ回路で実現される場合にはA/D52は不要になる。
【0044】
以上のように、スペクトル拡散通信方式を用いて通信装置5a,5b,5c間で通信することにより、マルチキャリア通信方式の時に必要であったビット割り付け量を決定するためのトレーニングを実施する必要がない。このため情報通信においてトレーニングのために一時的に伝送中断が発生することがないという特徴をもたせることが可能になる。
【0045】
〔第二の実施形態〕
次に、列車内の放送線4を利用して、乗客への情報提供サービス、乗客状況の監視画像や保守データの通信を運転室あるいは乗務員室1と各車両9,10間で通信する第二の実施形態について図15を用いて説明する。図15では車両9を示し、車両10を示していないが、同一構成である。ただし、最終車両には、通信装置5b1は不要である。列車は新幹線に代表されるように多数の車両が連結されており、新幹線の場合には現状で最大16両編成であり、400mの長さになる。従って、放送線4も同等あるいはそれ以上の長さになる。つまり、通信装置5a,5bとしては、通信距離が長く、通信信号の減衰が多くなり、かつインバータ機器からのノイズの影響を受けやすい環境である。この結果、編成車両台数が多い場合には、通信エラーが発生する可能性が高い。この問題を解決するために、各車両、あるいは所定間隔の車両に対して、図15の車両9に示すように、通信装置5bと5b1間で一度プロトコール変換された信号で相互にデータ授受を行い、再び放送線4を利用して通信するようにしている。これにより、一度、通信信号がディジタル信号に変換され、S/Nが向上した後に、再び放送線4を利用して通信を行うことができ、前記問題を解決できる。フィルタ18aは、例えば、放送線4を利用して通信装置5aから通信されてきた通信信号と通信装置5b1から出力される通信信号が衝突しないようにするために、通信信号を遮断するためのブロッキングフィルタである。つまり通信信号であるメガヘルツ(MHz)帯域の高周波のみを抑制し、音声信号はそのまま通過させるものである。従って、このフィルタの特性としては、図12に示した高周波遮断フィルタ3a1(低周波通過フィルタでも良い)と同じである。
【0046】
〔第三の実施形態〕
次に、図16を用いて、運転室あるいは乗務員室1から各車両9,10に伝送されてきた情報提供サービスを各乗客に個別に提供できる第三の実施形態について説明する。図16では車両9を示し、車両10を示していないが、同一構成である。図1と異なる点は、各車両に無線送信装置20、無線端末26,27を設けている点である。無線送信装置20はチャネル分配装置21、送信部22,23、送信アンテナ24,25からなる。無線端末26,27は同一構成であり、受信アンテナ28、選局部29、表示部30、選局入力手段からなる。チャネル分配装置21は、通信装置5bの提供情報を一連の情報(映画、ニュース、番組など)ごとに分配し、送信部22,23にそれぞれの情報を出力する。送信部22,23は、無線端末26,27と無線により通信するために、入力した情報を無線通信の搬送波に割り付け、送信アンテナ24,25に出力する。送信アンテナ24,25から出力される電波は無線端末26,27で受信可能である。車両は金属でできているため、電波が遮蔽され、この電波が別の車両内に伝播されることがなく混信の問題も生じない。乗客は無線端末26,27の選局入力手段31からの操作により無線通信装置から送信されてくる複数のチャネルの電波の内から任意のチャネルを選局する。選局部29は前記選局操作に従って、対応するチャネルを選局し、表示部30にその選局した信号を出力する。表示部30は受信した信号を表示情報とし表示する。これにより、乗客ごとに異なった情報を提供することが可能になる。特に、新幹線や特急列車に適用すると、乗客への情報サービスが一層向上する。
【0047】
〔監視画像及び保守データを監視可能な列車内通信方法〕
図1に示した各車両9,10の通信装置5b,5cは、放送線4を介して運転室あるいは乗務員室1の通信装置5aと接続されている。図17を用いて適宜図1を参照しながら、通信装置(列車内通信装置)5a,5b,5cを用いて行う運転室/乗務員室1と各車両9,10間での保守データや監視画像などの収集及び情報提供のフローについて説明する。
【0048】
各車両9,10に取り付けたカメラ13a,13bにより車両内の監視画像を取得し、またデータ収集装置15a,15bにより加速度振動計16a,16b、温度センサ17a,17b、図示していないが電圧センサ、電流センサから保守データを収集することができる。図17において、保守データや監視画像などを収集して(S1)、通信装置5b,5cにより放送線4を用いて運転室/乗務員室1に送信する(S2)。運転室/乗務員室1の通信装置5aで保守データや監視画像などを受信(S3)した後、必要なら保守データや監視画像などを監視装置で監視する(S4)。そして、監視画像を画像蓄積サーバ8に蓄積したり、保守データをファイルに蓄積したりする(S5)。一方、通信装置5aは、情報提供装置6に接続されている。この情報提供装置6により、ニュース、広告情報、映画などを各車両9,10に提供したり、列車運行情報や列車位置情報などの列車に関する情報を提供することができる。
【0049】
図17において、情報提供の開始(S10)により通信装置5aは放送線4を用いて各車両9,10に情報を送信する(S11)。各車両9,10の通信装置5b,5cは、この情報を受信して(S12)表示装置14a,14bに表示する(S13)。乗客は、表示装置14a,14bに表示されるニュースなどのサービスを受けることができる。また情報提供以外にも、社内サービスとして、社内での商品の販売などに関して、乗客からの購入要求データを社内販売員や列車内の車内売店などに送信することができる。さらに、乗客から乗務員室や移動中の乗務員に通信装置5a,5b,5cを使って連絡するなどのサービスを行うことができる。
【0050】
このように通信装置5a,5b,5cによって得られる監視画像や保守データなどは、車両内9,10の状況及び列車の走行状態などを運転室あるいは乗務員室1から遠隔監視するために使用できるなどの効果がある。また、運転室あるいは乗務員室1からの情報提供により乗客のサービス向上につながる。
【0051】
以上説明した本発明は、前記した実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、電磁ノイズを発生するインバータが取り付けられた乗り物に限らず、外部からノイズが入ってくる環境、例えばインバータ機器の多い工場や地域などのノイズ源の近くを走行する乗り物などにも適用できる。
【0052】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、列車走行時にノイズが発生してもこれに大きく影響を受けることなく、放送線やテロップ表示用通信線を用いて、車両への提供情報や車両からの監視画像や保守データを安定して通信することが可能になる。また、通信のために新たな通信線を敷設する工事を行う必要がない。さらに、監視画像や保守データは、列車内のセキュリティ及び走行状態などを遠隔監視するために使用することができるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を説明する図である。
【図2】図1の通信装置5aの構成図である。
【図3】通信特性を説明する図である。
【図4】一般のマルチキャリアのスペクトルを説明する図である。
【図5】OFDMのスペクトルを説明する図である。
【図6】ガウス雑音下での通信誤り特性を説明する図である。
【図7】一定時間毎のS/N評価のための処理フロー図である。
【図8】伝送フォーマットを説明する図である。
【図9】QPSKの信号点配置を説明する図である。
【図10】QPSKのS/N評価を説明する図である。
【図11】イベント駆動によるS/N評価のための処理フロー図である。
【図12】図1の周波数スプリッタ3aの構成例である。
【図13】直流電源線又は交流電源線との接続構成例である。
【図14】スペクトル拡散通信方式を適用した通信装置5aの構成図である。
【図15】本発明の第二の実施形態を説明する図である。
【図16】本発明の第三の実施形態を説明する図である。
【図17】保守データや監視画像などの収集及び情報提供のフローを説明する図である。
【符号の説明】
1・・・運転室/乗務員室
2・・・放送装置
3a,3b,3c・・・周波数スプリッタ
4・・・放送線
5a,5b,5c・・・通信装置
6・・・情報提供装置
7・・・監視装置
8・・・画像蓄積サーバ
9,10・・・車両
13a,13b・・・カメラ
14a,14b・・・表示装置
15a,15b・・・データ収集装置
Claims (12)
- 運転室又は乗務員室と前記各車両とに通信装置を設け、前記通信装置を列車に敷設されているケーブルで接続し、前記ケーブルを通信線として車両内への情報提供及び車両からの情報送信又はこれらのいずれかを行う列車内通信システムであって、
前記通信装置は、
所定時間ごとに、トレーニングデータを他の通信装置に送信し、
前記他の通信装置は、
受信した前記トレーニングデータに基づいて搬送波ごとのS/Nを推定又は測定し、この搬送波ごとのS/Nに基づいて搬送波ごとのビット割り付け量を算出し、搬送波番号と算出した前記ビット割り付け量を含んでなるビット割り付け情報を生成し、この生成したビット割り付け情報を前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、
受信した前記ビット割り付け情報に従ったビット割り付けによって通信を行うこと、
を特徴とする列車内通信システム。 - 運転室又は乗務員室と前記各車両とに通信装置を設け、前記通信装置を列車に敷設されているケーブルで接続し、前記ケーブルを通信線として車両内への情報提供及び車両からの情報送信又はこれらのいずれかを行う列車内通信システムであって、
前記通信装置は、
伝送誤り率が所定値以上になったときに、トレーニングデータを他の通信装置に送信し、
前記他の通信装置は、
受信した前記トレーニングデータに基づいて搬送波ごとのS/Nを推定又は測定し、この搬送波ごとのS/Nに基づいて搬送波ごとのビット割り付け量を算出し、搬送波番号と算出した前記ビット割り付け量を含んでなるビット割り付け情報を生成し、この生成したビット割り付け情報を前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、
受信した前記ビット割り付け情報に従ったビット割り付けによって通信を行うこと、
を特徴とする列車内通信システム。 - 運転室又は乗務員室と前記各車両とに通信装置を設け、前記通信装置を列車に敷設されているケーブルで接続し、前記ケーブルを通信線として車両内への情報提供及び車両からの情報送信又はこれらのいずれかを行う列車内通信システムであって、
前記通信装置は、
所定時間ごとと伝送誤り率が所定値以上になったときとの双方に、トレーニングデータを他の通信装置に送信し、
前記他の通信装置は、
受信した前記トレーニングデータに基づいて搬送波ごとのS/Nを推定又は測定し、この搬送波ごとのS/Nに基づいて搬送波ごとのビット割り付け量を算出し、搬送波番号と算出した前記ビット割り付け量を含んでなるビット割り付け情報を生成し、この生成したビット割り付け情報を前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、
受信した前記ビット割り付け情報に従ったビット割り付けによって通信を行うこと、
を特徴とする列車内通信システム。 - 前記列車内通信システムは、その通信装置において複数の搬送波を用いて各搬送波に送信データを割り付けて通信するものであって、
各搬送波に対して、信号とノイズの比であるS/Nを推定又は測定し、その推定又は測定したS/Nの値と前記ビット割り付け情報とを用いて、各搬送波への送信データ割り付け量を変更して通信を行うこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の列車内通信システム。 - 前記列車内通信システムは、その通信装置において複数の搬送波を用い、各搬送波に送信データを割り付けて通信するものであって、
各搬送波に対して伝送誤り率を評価し、この評価した伝送誤り率と前記ビット割り付け情報を用いて、各搬送波への送信データ割り付け量を変更して通信を行うこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の列車内通信システム。 - 前記列車内通信システムは、その通信装置において直交周波数多重分割通信方式によって通信を行うこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の列車内通信システム。 - 前記列車内通信システムは、その通信装置において少なくとも1本の搬送波を用い、その搬送波に送信データを割り付けて通信するものであって、前記搬送波に対してあらかじめ定められている、信号とノイズの比であるS/Nが得られるか否かを判定し、この判定結果があらかじめ定められているS/N以下の場合に、あらかじめ定められている異なった周波数に前記搬送波の周波数を変更して通信を行うこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の列車内通信システム。 - 前記ケーブルは、放送線、テロップ表示用通信線、及び電力線のいずれかであること、
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の列車内通信システム。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の列車内通信システムであって、
車両に設置した前記通信装置は、車両内へ提供する情報を一連の情報に分割し、分割した前記情報を無線受信機による周波数のチャネル選択により受信可能とするために複数のチャネルの周波数に割り付けて送信する無線送信手段を備えること、
を特徴とする列車内通信システム。 - 請求項1に記載の列車内通信システムに用いられる通信装置であって、
所定時間ごとに、トレーニングデータを他の通信装置に送信する機能と、
受信した前記トレーニングデータに基づいて搬送波ごとのS/Nを推定又は測定し、この搬送波ごとのS/Nに基づいて搬送波ごとのビット割り付け量を算出し、搬送波番号と算出した前記ビット割り付け量を含んでなるビット割り付け情報を生成し、この生成したビット割り付け情報を、前記トレーニングデータを送信した通信装置に送信する機能と、
受信した前記ビット割り付け情報に従ったビット割り付けによって通信を行う機能と、
を備えることを特徴とする通信装置。 - 請求項2に記載の列車内通信システムに用いられる通信装置であって、
伝送誤り率が所定値以上になったときに、トレーニングデータを他の通信装置に送信する機能と、
受信した前記トレーニングデータに基づいて搬送波ごとのS/Nを推定又は測定し、この搬送波ごとのS/Nに基づいて搬送波ごとのビット割り付け量を算出し、搬送波番号と算出した前記ビット割り付け量を含んでなるビット割り付け情報を生成し、この生成したビット割り付け情報を、前記トレーニングデータを送信した通信装置に送信する機能と、
受信した前記ビット割り付け情報に従ったビット割り付けによって通信を行う機能と、
を備えることを特徴とする通信装置。 - 請求項3に記載の列車内通信システムに用いられる通信装置であって、
所定時間ごとと伝送誤り率が所定値以上になったときとの双方に、トレーニングデータを他の通信装置に送信する機能と、
受信した前記トレーニングデータに基づいて搬送波ごとのS/Nを推定又は測定し、この搬送波ごとのS/Nに基づいて搬送波ごとのビット割り付け量を算出し、搬送波番号と算出した前記ビット割り付け量を含んでなるビット割り付け情報を生成し、この生成したビット割り付け情報を、前記トレーニングデータを送信した通信装置に送信する機能と、
受信した前記ビット割り付け情報に従ったビット割り付けによって通信を行う機能と、
を備えることを特徴とする通信装置。
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