図6は、本実施形態の画像形成装置の構成例を示した図である。図6に示す画像形成装置は、商用電源の交流電圧を直流変圧へ変換する直流スイッチング電源100と、紙を搬送するためのローラ等を作動させるためのステッピングモータを駆動制御するモジュール、レーザスキャナを駆動制御するモジュール、レーザ走査を制御するモジュール、画像処理を実行するモジュールといった複数のスレーブモジュールとしての書き込みモジュール101、102とを備えている。
ここでは、2つの書き込みモジュール101、102しか示されていないが、上述したモジュールの中の3つ、もしくは4つ全部、または他の機能を実現するためのモジュールを含む4つ以上のモジュールを備えていてもよい。
また、画像形成装置は、各書き込みモジュール101、102を制御して画像形成処理を実行するシステムコントローラとして参照される書き込み制御モジュール103をさらに備えている。
直流スイッチング電源100は、変換した直流電圧を、各書き込みモジュール101、102、書き込み制御モジュール103と接続された電源ケーブル104に対して出力する。この直流電圧は、画像形成装置内の各書き込みモジュール101、102がモータやファン等の駆動ユニットを駆動し、制御するために共通に使用される電圧とされる。
書き込み制御モジュール103は、電源ケーブル104上に制御信号を重畳し、書き込みモジュール101、102と電力線を用いた通信を行う。この書き込み制御モジュール103は、変復調部110と、電圧変換部111と、制御部112とを含んで構成される。
制御部112は、各書き込みモジュール101、102を制御するための制御信号を生成し、変復調部110へ生成した制御信号を送信する。変復調部110は、受信した制御信号を変調し、所定の搬送周波数に周波数変換して、高周波信号へ変換された通信信号を、電源ケーブル104上に重畳し、各書き込みモジュール101、102へ送信する。電圧変換部111は、電源ケーブル104によって供給された直流電圧を他のレベルの直流電圧、例えば供給される直流電圧より低い電圧へ変換する。
書き込みモジュール101、102はいずれも、変復調部120、130と、電圧変換部121、131と、制御部122、132と、センサI/F部123、133と、モータドライバ124、134とを含んで構成されている。そして、書き込みモジュール101、102にはそれぞれ、3つのセンサ125〜127、135〜137と、モータ128、138とが接続されている。
変復調部120、130および電圧変換部121、131は、電力線である電源ケーブル104に接続されている。変復調部120、130は、電源ケーブル104を介して送信された通信信号を受信し、その通信信号を制御信号へ復調する。電圧変換部121、131は、上記電圧変換部111と同様、電源ケーブル104によって供給された直流電圧を他のレベルの直流電圧へ変換する。
制御部122、132は、変復調部120、130で復調された制御信号を受信し、それがモータ128、138を制御するための信号である場合には、モータドライバ124、134へ送信し、モータドライバ124、134によってモータ128、138を駆動させ、制御させる。
センサI/F部123、133は、接続されるセンサ125〜127、135〜137により検出された情報を制御部122、132へ送信する。センサ125〜127、135〜137は、例えば、用紙検出用のフォトインタラプタ、トナーセンサ、感光体ドラムの表面電位を測定するための表面電位センサ等の各種センサとされ、各種状態を検出するために使用される。
制御部122、132は、センサ125〜127、135〜137で検出された情報をセンサI/F部123、133を介して受信し、センサデータ信号を生成し、変復調部120、130へ送信する。変復調部120、130は、センサデータ信号を受信すると、そのセンサデータ信号を変調し、所定の搬送周波数に周波数変換を行い、高周波信号へ変換した通信信号を、電源ケーブル104上に重畳し、書き込み制御モジュール103へ送信する。
書き込み制御モジュール103は、電源ケーブル上に重畳された通信信号を変復調部110にて受信し、センサデータ信号へ復調して制御部112へ送信し、制御部112では、制御が必要であるか否かを判断して、必要である場合に制御信号を生成し、上述したようにして制御信号を各書き込みモジュール101、102へ送信する。
図7を参照して、書き込みモジュール101、102が実際に行う処理について詳細に説明する。書き込みモジュール102は、書き込みモジュール101の構成と同様のものであるため、書き込みモジュール101についてのみ説明を行い、書き込みモジュール102については説明を省略する。書き込みモジュール101は、図6に示したように、変復調部120と、電圧変換部121と、制御部122と、センサI/F部123と、モータドライバ124とを含むが、変復調部120は、変調部140と、復調部141とから構成されている。
書き込みモジュール101は、電源ケーブル104と変調部140との間に、送信ミキサー部142と、送信アンプ部143と、送信コンデンサ部144と、送信インピーダンス部145とをさらに備えている。また、書き込みモジュール101は、電源ケーブル104と復調部141との間に、受信ミキサー部146と、受信アンプ部147と、受信コンデンサ部148とをさらに備えている。
書き込みモジュール101は、変調部140と制御部122との間、復調部141と制御部122との間に、通信インタフェース部149を備え、送信ミキサー部142および受信ミキサー部146で所定の搬送周波数に周波数変換を行うために、所定の周波数の信号を生成する局部発振部150を備えている。
図7では、送信コンデンサ部144と、送信インピーダンス部145とを用いて、電源ケーブル104により供給される直流電圧に通信信号を重畳しているが、変圧器であるトランスを用いて接続してもよい。この場合、MHz帯域の高周波を減衰させることなく通信信号を重畳させることができるので好ましい。
また、トランスと送信コンデンサ部144とを用いると、送信コンデンサ部144で直流電圧をカットし、トランスのインダクタンスと送信コンデンサ部144の静電容量の値で決定される高周波通過特性を利用して通信信号のみを重畳することができるので好ましい。
まず、この構成を採用して通信信号を受信する動作について説明する。電源ケーブル104上に重畳された通信信号は、受信コンデンサ部148を通過した後、受信アンプ部147で増幅される。増幅された通信信号は、受信ミキサー部146によって局部発振部150からの信号と混合されて周波数変換(ダウンコンバージョン)されることにより、高周波信号の周波数からベースバンド(基底帯域)周波数へ変換される。
受信ミキサー部146でベースバンド周波数へ変換された通信信号は、ベースバンド信号として復調部141へ送られ、復調部141でデジタルデータへ復調される。そして、復調部141は、復調されたデジタルデータを制御部122へ送り、制御部122が、そのデジタルデータがモータ制御データであれば、モータドライバ124へ出力する。モータドライバ124は、そのモータ制御データを基に、モータ128を駆動し、制御する。なお、モータ128は、例えばステッピングモータであれば、電源ケーブル104の直流電圧を使用して駆動されるため、モータドライバ124にも電源ケーブル104からの直流電圧が供給される。
制御部122、変調部140、復調部141も直流電圧が供給されて駆動するが、電源ケーブル104の直流電圧より低い電圧で駆動することから、電圧変換部121により低い電圧へ変換された後の直流電圧が供給される。電圧変換部121には、DC−DCコンバータを用いることができ、この電圧変換部121と電源ケーブル104との間には、インピーダンスアッパ回路と呼ばれるインダクタンス素子が挿入され、通信信号がこの電圧変換部121へ入力されないようにしている。
次に、この構成を採用して通信信号を送信する動作について説明する。書き込みモジュール101に接続されているセンサ125〜127は、センサI/F部123を介して制御部122へ情報を入力する。センサ125が給紙を検出するフォトインタラプタである場合、センサ125は、デジタル信号を出力し、そのデジタル信号をセンサI/F部123を介して制御部122へ入力する。センサ126が温度を検出するセンサである場合、センサI/F部123がA/Dコンバータを備え、センサ126から出力されるアナログ信号をデジタル信号へ変換し、そのデジタル信号を制御部122へ入力する。
制御部122へ入力されたデジタル信号は、通信インタフェース部149を介して変調部140へ入力され、変調部140でベースバンド信号へ変換される。送信ミキサー部142は、変調部140からベースバンド信号と、局部発振部150から所定の周波数の信号とが入力され、それらを混合して、ベースバンド信号を高周波信号の周波数へ周波数変換(アップコンバージョン)する。
送信ミキサー部142で周波数変換されたベースバンド信号は、高周波信号として、送信アンプ部143へ送られ、増幅される。増幅された高周波信号は、送信コンデンサ部144で電源ケーブル104の直流電圧がカットされ、送信インピーダンス部145を介して電源ケーブル104上に重畳される。すなわち、高周波信号は、電源ケーブル104内の直流電圧と重ね合わされ、受信側モジュールへ送信される。
高周波信号の周波数は、ベースバンド信号と局部発振部150からの信号とにより決定されるが、送信ミキサー部142で実施されるアップコンバージョンでは、局部発振部150からの信号の周波数を搬送波周波数としてベースバンド信号を変調した高周波信号となる。
具体的には、局部発振部150からの信号の周波数が10MHzで、ベースバンド信号の周波数が0〜10kHzである場合、送信ミキサー部142で混合すると、搬送波中心周波数が10MHzで信号帯域が±100kHzの高周波信号へ変換されることを意味する。
これに対し、受信ミキサー部146で実施されるダウンコンバージョンでは、通信信号である高周波信号が、局部発振部150からの信号の周波数を使用してベースバンド周波数へ変換される。すなわち、搬送波中心周波数が上記の10MHzで、信号帯域が±100kHzの高周波信号は、局部発振部150からの10MHzの信号を使用し、0〜100kHzの周波数のベースバンド信号へ変換されることを意味する。
上記の例では、ベースバンド信号を直接周波数変換して高周波信号を得ているが、これに限られるものではなく、ベースバンド信号をIF(Intermediate Frequency)信号へ変調した後、高周波信号へ周波数変換することも可能である。したがって、受信の場合も同様に、高周波信号を直接ベースバンド信号へ復調することに限定されるものではなく、一度IF信号へ復調した後、ベースバンド信号へ周波数変換することも可能である。
上述したように、画像形成装置の電源ケーブル104において、印刷時のステッピングモータのノイズの影響が、スイッチングノイズの影響より大きいことが分かっている。このステッピングモータのノイズの影響は、電源ケーブル104におけるノイズで最も大きいものである。そして、このノイズは、実験的に低域から5MHz程度の周波数帯に存在している。このことから、電力線を使用した通信において、5MHz以上の周波数を使用して通信を行えば、高い通信品質を得ることができる。
一般に、通信品質を向上させるためには、通信信号のSN比(信号対雑音比)を大きくする必要がある。SN比は、信号(S)に対する雑音(N)の量を対数で表したもので、デシベル(dB)という単位で表される。EMI(Electro Magnetic Interference)の規定では、30MHz以上に対し、10m離れた地点で放射電界が30dBμV/m以下と定められている。したがって、使用する周波数帯域を30MHz以下に限定することで、外部への放射電界、すなわち放射ノイズを抑制することができる。
以上の要因から画像形成装置の通信は、5MHz〜30MHzの周波数帯を使用することで最も高い通信品質を得ることができる。そこで、画像形成装置は、局部発振部150により入力される信号の周波数を、通信信号の高周波信号が5MHz〜30MHzの周波数になるように選択するための発振周波数選択部をさらに備えることができる。発振周波数選択部は、予め実験的に決めておいた周波数を選択することもできるし、下記式1および式2を用い、式1および式2の両方を満たすように、ベースバンド信号の周波数bwから局部発振部150が入力する信号の周波数fcを決定することも可能である。
なお、上記5MHzという値は、実験的に得られたノイズの周波数であり、このノイズの周波数は、画像形成装置の構成によって変化することから、5MHzという値に限定されるものではない。また、変復調部120、送信ミキサー部142、受信ミキサー部146は、アナログ方式、デジタル方式のいずれであってもよい。
変復調部120により実施される変調方式は、波形にデータ(ビット)を割り付けて伝送するが、変調方式に応じて伝送誤り率とSN比(dB)との関係が決定される。図8は、この伝送誤り率とSN比との関係を示した図である。例えば、伝送誤り率を10−6に設定すれば、256QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、16QAMといった直角位相振幅変調、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、BPSK(Binary Phase Shift Keying)といった位相偏移変調では、SN比が順に、約36dB、約27dB、約21dB、約14dB、約10dBであることが必要となる。
その一方で、各方式で割り付け可能なビットは順に、8ビット、6ビット、4ビット、2ビット、1ビットである。このことから、高いSN比を確保できるほど、ビット割り付けが大きい変調方式を選択することができ、同じ伝送誤り率でも高い伝送レートを実現することができる。
例えば、伝送速度を100kbpsとすると、伝送誤り率が10−6程度であれば、確率的に1秒に1回誤りが発生することになり、誤りが発生した伝送フレームを再送することで、何ら問題なく安定した通信を行うことができる。
このように、安定した通信を行うためには、通信を行う変復調方式により決まる必要なSN比を確保しなければならない。受信側モジュールのノイズレベルが一定値であれば、必要なSN比を満足する受信側モジュールの受信信号レベルを計算することができ、その信号レベルを出力する送信側モジュールの送信アンプ部143のゲイン(入力と出力の比)を調整することにより、その必要なSN比を確保することができる。
画像形成装置の待機時では、ノイズレベルが印刷時と比較して、図1〜図4に示すように小さいことから、この変復調方式により決まる必要なSN比を確保するための受信信号レベルを、設計時のノイズレベルの測定データ等から決定することができる。このため、予め決定した値により送信側モジュールの送信アンプ部143のゲインを設定することで、所望の信号レベルを出力することができる。
しかしながら、印刷時のノイズレベルは、待機時に比較して大きく、かつ電源ケーブル104に接続されている受信側モジュールの接続されている場所、すなわち直流スイッチング電源100から遠いか、近いかにより大きく変化する。
図9(a)、(b)に、印刷時における受信側モジュールのノイズスペクトラムが直流スイッチング電源100からの距離に応じて変化することを示す。図9(a)が直流スイッチング電源100から遠い場所で、ステッピングモータを駆動するブロックを含んでいる場合、図9(b)が直流スイッチング電源100から近い場所で、そのブロックを含まない場合のノイズスペクトラムを示した図である。
図9(a)、(b)はいずれも、縦軸が電力1mWを基準としたノイズレベル(dBm)を示し、横軸は周波数(MHz)を示している。図9(a)、(b)を参照すると、例えば、周波数が12.4MHz付近のノイズレベルはそれぞれ、約−55dBm、約−70dBmであり、直流スイッチング電源100からの距離によって約15dBmもの差が生じている。このため、変復調方式により決まる必要なSN比は、送信レベル(電源ケーブル104へ出力する送信信号の強さ)を受信側モジュールまでの距離に合わせて調整することが必要となる。このことは、上記式1および式2を用いて周波数を決定する場合も同様である。
そこで、本発明では、送信レベルを受信側モジュールまでの距離に合わせて調整する処理を行う。まず図10を参照して、この処理の流れについて説明する。画像形成装置には、上述したように、書き込みモジュール101、102、書き込み制御モジュール103といった複数の書き込みモジュールが実装されている。書き込み制御モジュール103は、書き込みモジュール101、102に対し、制御信号を送信し、書き込みモジュール101、102は、書き込み制御モジュール103に対し、センサデータ信号等を送信する。したがって、制御信号については、書き込み制御モジュール103が、送信側モジュールであり、書き込みモジュール101、102が、受信側モジュールである。これに対し、センサデータ信号については、書き込みモジュール101、102が、送信側モジュールであり、書き込み制御モジュール103が、受信側モジュールである。
図10には、送信側モジュールが行う送信側処理と、受信側モジュールが行う受信側処理とが併記され、どのタイミングでどういう処理が行われ、どのタイミングでコマンドやデータがどちら側へ送信されるかが分かりやすく示されている。送信側処理は、ステップ1000から開始し、ステップ1010で画像形成装置を待機モードに設定する。待機モードは、印刷指示を受け付けたときに即座に印刷を実行することができるように定着ヒータをONにする等して準備し、待機している状態のモードである。送信側処理と同時に受信側処理も開始され、ステップ1100から開始された受信側処理は、待機モードへの設定中、ステップ1110において、送信側モジュールから送信されるコマンドの受信待ち状態とされる。
送信側処理において、ステップ1010で待機モードに設定した後、ステップ1020で受信側モジュールへノイズ測定開始を指示するノイズ測定開始コマンドを送信する。このコマンド送信時は、画像形成装置が待機状態であるため、送信レベルが予め設定された待機時用の送信レベルで出力するように送信側モジュールの送信アンプ部のゲインが設定される。
受信側処理では、ステップ1120で、送信側モジュールから送信されたノイズ測定開始コマンドを受信すると、そのコマンドにパラメータとして付加されている測定待機時間と送信待機時間とを取得し、それらの時間を設定する。受信側モジュールは、それらの時間の設定後、ノイズ測定開始コマンドを受信した時刻から各待機時間を経過するまで時間を計測し始める。
送信側処理では、ステップ1020でノイズ測定開始コマンドを送信した後、ステップ1030で、待機モードに設定したモードを測定用印刷モードに設定変更する。この測定用印刷モードは、実際に印刷は実行しないが、印刷を実行した場合とほぼ同等のノイズが電源ケーブル104に現れるようにステッピングモータ等のノイズ源となるブロックのみを駆動する、印刷モードとは別個に設けられたモードである。この測定用印刷モードでは、実際に印刷を実行しないので、紙の無駄を防止することができる。
測定用印刷モードに設定されると、画像形成装置は、ステッピングモータ等を駆動し、電源ケーブル104には印刷時とほぼ同等のノイズが現れる。受信側処理では、ステップ1130で、測定待機時間が経過した後、この測定用印刷モードにおけるノイズレベルの測定を行う。なお、測定待機時間は、ノイズ測定開始コマンドを受信した時刻から測定用印刷モードに設定されてノイズが電源ケーブル104に現れる時間に、ある程度の余裕時間を付加して定めた時間とされる。
送信側処理では、ノイズ測定開始コマンドに付加した測定待機時間と送信待機時間の間の時間で、受信側モジュールがノイズレベルの測定を終了するものと見込まれる時間が経過した後、ステップ1040において、測定用印刷モードに設定したモードを再び待機モードへ設定変更する。そして、ステップ1050で、受信側モジュールからのデータの受信待ち状態へ入る。
受信側処理において、ステップ1130のノイズレベル測定が終了し、ステップ1140において送信待機時間が経過した後、測定したノイズレベルを送信側モジュールへ送信する。なお、この送信待機時間は、測定待機時間にある程度の余裕時間を付加して定めた時間である。この余裕時間、上述した余裕時間はいずれも、設計時における測定データ等により決定することができる。受信側処理は、ステップ1140でノイズレベルを送信側モジュールへ送信したところで、ステップ1150へ進み、受信側の処理を終了する。
送信側処理では、ステップ1060で、受信側モジュールからノイズレベルをノイズレベルデータとして受信し、ステップ1070で、そのノイズレベルと受信側モジュールが受信に必要なSN比とから送信レベルを決定する。そして、ステップ1080で、決定した送信レベルで出力するために送信ゲインを設定する。例えば、SN比が10dBであれば、測定したノイズレベルより10dBほど大きな信号レベルを送信する必要があり、このような10dBほど大きい信号レベルになるように送信ゲイン値が決定され、その値が設定される。この送信ゲイン値の設定が終了したところで、ステップ1090へ進み、送信側の処理を終了する。
送信側モジュールは、設定されたゲインに信号レベルが調整され、調整された信号レベルの信号を受信側モジュールへ電源ケーブル104を介して送信することにより、印刷時においても信頼性の高い通信が可能となる。
図10に示した処理を実現するための画像形成装置が備えるべき送信側モジュールの構成例を図11に、受信側モジュールの構成例を図12に示し、それらを参照して、各モジュールの動作について詳細に説明する。いずれのモジュールも、先に説明した変調部、復調部、通信インターフェース部、送信ミキサー部、受信ミキサー部、電圧変換部、送信アンプ部、受信アンプ部、送信コンデンサ部、受信コンデンサ部、局部発振部、送信インピーダンス部を備えており、それら以外にさらに以下の各部を備える構成とされている。
まず、送信側モジュールについて図11を参照して説明する。送信側モジュールは、上記通信インタフェース部と接続される制御部200と、制御部200に接続されるモード設定部201および送受信制御部202および測定ノイズレベル記憶部203および送信ゲイン値決定部204および送信ゲイン設定部205と、送受信制御部202に接続される受信データ解析部206および測定開始コマンド送信部207とを含んで構成されている。送信ゲイン設定部205は、上記送信アンプ部と接続され、送信アンプ部が設定された送信ゲイン値を参照し、そのゲイン値で信号の送信を行うようにされている。
制御部200は、モードの設定を行うモード設定部201に対し、待機モードに設定するように依頼し、待機モードに設定させる。モード設定部201は、図示しない画像形成装置のコントローラへ待機モード信号を送り、モードを変更させ、画像形成装置を待機状態にさせる。
次に、制御部200は、送受信制御部202に対し、ノイズ測定開始コマンドを受信側モジュールへ送信するように依頼し、送受信制御部202は、その依頼を測定開始コマンド送信部207へ送り、測定開始コマンド送信部207が、依頼に含まれる宛先となる受信側モジュールを特定し、そのノイズ測定開始コマンドを送信する。依頼には、受信側モジュールを識別するためのモジュール識別情報を含めることができ、測定開始コマンド送信部207は、そのモジュール識別情報を基に、宛先を特定し、その宛先へコマンドを送信することができる。
このノイズ測定開始コマンドの送信時には、上述したように画像形成装置が待機状態であるため、送信レベルは予め決定された待機時用の送信レベルで出力するように、送信ゲイン設定部205は、送信ゲイン値を設定し、送信アンプ部がそのゲイン値でノイズ測定開始コマンドを受信側モジュールへ送信する。
送信側モジュールがノイズ測定開始コマンドを送信した後、制御部200は、モード設定部201に対し、待機モードから測定用印刷モードへ設定変更するように依頼する。モード設定部201は、測定用印刷モード信号を図示しないコントローラへ送り、そのモードへモード変更させ、画像形成装置を測定用印刷モードの状態にさせる。このため、画像形成装置では、ステッピングモータやファン等の各駆動ユニットが駆動する状態となる。
制御部200は、受信側モジュールにおいてこの測定用印刷モードにおけるノイズレベルの測定が終了したと想定される時点で、再びモード設定部201に対し、測定用印刷モードから待機モードへ設定変更するように依頼する。画像形成装置が待機状態になった後、制御部200は、受信側モジュールから測定されたノイズレベルの受信を送受信制御部202に指示し、送受信制御部202が送信側モジュールを受信待ちの状態にする。
送信側モジュールがノイズレベルを受信すると、受信データ解析部206へ送られ、受信データ解析部206が、受信したノイズレベルを解析し、そのノイズレベルを測定ノイズレベル記憶部203へ記憶する。ノイズレベルは、ノイズレベルデータとして一般に決められたプロトコルやフレーム構成に従って送受信される。
送信ゲイン値決定部204は、送信レベルを決定する送信レベル決定部として機能し、測定ノイズレベル記憶部203に記憶されたノイズレベルデータから、受信側モジュールが受信に必要なSN比に対応した送信レベルを決定する。そして、送信ゲイン値決定部204は、決定した送信レベルで送信信号を出力するために送信アンプ部で用いられる送信ゲイン値を決定する。送信ゲイン設定部205は、送信ゲイン値決定部204が決定した送信ゲイン値を受け取り、それを設定する。これにより、それ以降、送信信号は、設定された送信ゲイン値に従って送信レベルが調整され、送信されることになる。
次に、受信側モジュールについて図12を参照して説明する。受信側モジュールは、上記通信インタフェース部と接続される制御部210と、上記復調部と接続されるノイズレベル測定部211と、ノイズレベル測定部211と接続されるノイズレベル記憶部212および測定開始指示部213と、制御部210と接続されるタイミング生成部214および測定待機時間記憶部215および送信待機時間記憶部216および送受信制御部217と、送受信制御部217と接続される受信コマンド解析部218およびノイズレベル送信部219とを含んで構成されている。
受信側モジュールの制御部210は、コマンドの受信を送受信制御部217へ指示し、送受信制御部217が受信側モジュールを受信待ちの状態にする。送信側モジュールからノイズ測定開始コマンドが送信されてくると、受信側モジュールはそのコマンドを受信し、受信コマンド解析部218へ送り、受信コマンド解析部218が、そのコマンドにパラメータとして付加された測定待機時間および送信待機時間のデータを解析し、それを、制御部210を介して測定待機時間記憶部215および送信待機時間記憶部216へ記憶させる。
タイミング生成部214は、測定待機時間記憶部215に記憶された測定待機時間のデータを参照し、ノイズ測定開始コマンドを受信した時刻からその測定待機時間が経過するまで時間を計測する。そして、タイミング生成部214は、測定待機時間が経過した時点で測定開始指示部213へ測定待機時間が経過した旨を通知し、測定開始指示部213がノイズレベル測定部211へノイズレベルの測定を開始するように指示する。
ノイズレベル測定部211は、上記復調部で復調された出力レベルを測定し、その測定結果をノイズレベルデータとしてノイズレベル記憶部212へ出力し、記憶させる。測定開始時点の電源ケーブル104のノイズは、測定用印刷モードでのノイズレベルとなっている。
タイミング生成部214は、測定待機時間が経過した後、さらに送信待機時間記憶部216に記憶された送信待機時間のデータを参照し、ノイズ測定開始コマンドを受信した時刻からその送信待機時間が経過するまで時間を計測し、送信待機時間が経過した時点で制御部210へその旨を通知する。
制御部210は、送信待機時間が経過した旨の通知を受領したことを受けて、ノイズレベル記憶部212に記憶されたノイズレベルデータを読み出し、それを送受信制御部217へ送る。送受信制御部217は、ノイズレベル送信部219にそのノイズレベルデータを送信側モジュールへ送信するように指示し、ノイズレベル送信部219がそのノイズレベルデータを送信側モジュールへ送信する。
図10、図11および図12を参照して、本発明の画像形成装置が備えるモジュールの構成例および送信レベルを調整する処理の一例を説明してきた。上記の実施形態は、変復調方式により決まる必要なSN比を確保するために、送信レベルを受信側モジュールに合わせて調整するものであった。SN比を決定するファクターとしては、変復調方式だけではなく、受信信号レベルも存在する。このことは、実際の画像形成装置において、電源ケーブル104に接続されている受信側モジュールの接続場所や条件によって受信信号レベルが変化することからも明らかである。そこで、この受信信号レベルも考慮した実施形態について、以下に詳細に説明する。
まず、図13を参照して、電源ケーブル104に接続されている受信側モジュールの接続場所や条件が異なる受信側モジュールの伝達特性、すなわち送信側モジュールから受信側モジュールへの伝達特性について説明する。画像形成装置で使用される電源ケーブル104は、数メートルの電源ケーブルが直流スイッチング電源100を基点として、スター状に数本以上接続された構成とされている。この電源ケーブル104は、直流スイッチング電源100から各モジュールを経由する構成にすることも可能であるが、この場合、そのケーブル長は10m以上となる。
図13(a)は、数メートルの電源ケーブル104が直流スイッチング電源100を基点としてスター状に数本以上接続された構成の場合の伝達特性を示した図である。縦軸は、ノイズレベル(dB)を示し、横軸は、周波数(MHz)を示す。このケースでは、スター状に配置された電源ケーブル104がスタブとなることで反射が起こり、複数の周波数で伝達特性にディップ(くぼみ)が現れている。
図13(b)は、電源ケーブル104が各モジュールを経由する場合の伝達特性を示した図である。これも、縦軸は、ノイズレベル(dB)を示し、横軸は、周波数(MHz)を示す。このケースでは、電源ケーブル104が一筆書きのように各モジュールを経由して連続していることから、スタブがなく、単純な反射特性を有するため、伝達特性に現れるディップが少なくなっている。
図13(a)、(b)を参照すると、周波数が21MHz付近では、スター状に接続された構成についてはスタブの影響で、ノイズレベルが大きく落ち込み、約−25dBとなっており、各モジュールを経由する構成についてはスタブの影響がないため、約−2dBとなっている。このように受信側モジュールの接続条件の違いにより、伝達特性が約23dBもの差となっている。
通信信号が21MHzの場合の受信信号レベルは、送信レベルに伝達特性を乗じることになるため、上記接続条件の違いによる受信信号レベルの差も、約23dBとなる。このため、送信レベルを受信側モジュールに合わせて調整することにより調整することができる。このことは、上記式1および式2を満たすように周波数が決定される場合においても同様である。
図14は、送信レベルを受信側モジュールで受信される受信信号レベルにも合わせて調整する処理の流れを示した図である。この図は、図10に示したフロー図とほぼ同じであるため、相違する部分のみを説明する。送信側処理は、ステップ1410で待機モードに設定後、ステップ1420でノイズ測定開始コマンドを受信側モジュールへ送信するが、この実施形態においては、受信信号レベルの測定も実行させるため、送信側モジュールは、ノイズおよび受信信号測定開始コマンドを受信側モジュールへ送信する。
受信側処理では、ステップ1520でノイズおよび受信信号測定開始コマンドを受信するが、この受信時に、受信信号レベルを測定し、測定した受信信号レベルをデータとして受信信号レベル記憶部に記憶しておく。受信側モジュールは、ステップ1540でノイズレベルを測定し、ステップ1550で送信待機時間が経過した後、測定したノイズレベルデータと、記憶しておいた受信信号レベルデータとを送信側モジュールへ送信する。
送信側処理では、ステップ1460でそれらのデータを受信した後、ステップ1470でノイズレベルと受信信号レベルとから、受信側モジュールで受信に必要なSN比に対応した送信レベルを決定する。送信側処理のその他のステップ1430、1440、1450、1480、受信側処理のステップ1510、1530は、図10に示した対応する各ステップで行われる処理と同様である。
図14に示した処理を実現するための画像形成装置が備えるべき送信側モジュールの構成例を図15に、受信側モジュールの構成例を図16に示し、それらを参照して、各モジュールの動作を詳細に説明する。いずれのモジュールも、先に説明した変調部、復調部、通信インターフェース部、送信ミキサー部、受信ミキサー部、電圧変換部、送信アンプ部、受信アンプ部、送信コンデンサ部、受信コンデンサ部、局部発振部、送信インピーダンス部を備えており、さらに以下の各部を備える構成とされている。
まず、送信側モジュールについて図15を参照して説明する。図15では、図11に示した送信側モジュールと同じ構成要素については同じ符号で示し、異なる要素のみを違う符号で示している。送信側モジュールは、上記通信インタフェース部と接続される制御部200と、制御部200と接続されるモード設定部201および送受信制御部202および測定ノイズレベル受信信号レベル記憶部220および送信ゲイン値決定部204および送信ゲイン設定部205と、送受信制御部202と接続される受信データ解析部206および測定開始コマンド送信部207とを含んで構成されている。送信ゲイン設定部205は、上記送信アンプ部と接続され、送信アンプ部が設定された送信ゲイン値を参照し、そのゲイン値で信号の送信を行うようにされている。
図15に示した送信側モジュールの構成およびそれが実行する処理は、図11に示した送信側モジュールの構成および処理とほぼ同様であるので、相違する部分のみをここでは説明する。測定開始コマンド送信部207は、ノイズおよび受信信号測定開始コマンドを受信側モジュールへ送信する。このコマンドは、ノイズレベルの測定と、受信信号レベルの測定とを指示するコマンドである。送信側モジュールは、受信側モジュールからノイズレベルデータと受信信号レベルデータとを受信するが、これら2つのデータを測定ノイズレベル受信信号レベル記憶部220に記憶する。
送信ゲイン値決定部204は、記憶されたノイズレベルデータおよび受信信号レベルデータから、受信側モジュールが受信に必要なSN比に対応した送信レベルを決定する。例えば、受信に必要なSN比が10dBであれば、測定したノイズレベルより10dB大きい信号レベルの送信信号を出力する必要がある。伝達特性は、送信信号の信号レベルと、受信信号の信号レベルとの差であり、送信信号の信号レベルは、送信ゲイン設定部205により設定された送信ゲイン値から計算することが可能である。したがって、送信側モジュールは、計算された送信信号の信号レベルと受信信号レベルデータの信号レベルから伝達特性を計算し、その伝達特性を考慮し、必要な信号レベルの送信信号を出力するように送信側モジュールの送信アンプ部が用いる送信ゲイン値を決定する。送信ゲイン値決定部204は、この送信ゲイン値を決定し、送信ゲイン設定部205が決定した送信ゲイン値を設定する。
図16に示した受信側モジュールの構成およびそれが実行する処理も、図12に示した受信側モジュールの構成および処理とほぼ同様であるので、相違する部分のみを説明する。図16も、図12に示した受信側モジュールと同じ構成要素については同じ符号で示し、異なる要素のみを違う符号で示している。この実施形態では、新たに受信信号レベル測定部230と受信信号レベル記憶部231とを備え、図12ではノイズレベル送信部219であったものが、ここではノイズおよび受信信号レベル送信部232とされている。
受信側モジュールは、送信側モジュールから送信されたノイズおよび受信信号測定開始コマンドを受信する。そのコマンドの受信に応答して、受信信号レベル測定部230が、そのコマンドの受信信号レベルを測定し、受信信号レベル記憶部231に受信信号レベルデータとして記憶させる。受信信号レベルは、上記復調部の出力レベルを測定し、その測定した出力レベルがそのまま受信信号レベルとされる。
タイミング生成部214が制御部210へ送信待機時間が経過した旨の通知を送り、制御部210がその通知を受け取ると、制御部210は、ノイズレベル記憶部212からノイズレベルデータを読み出し、また、受信信号レベル記憶部231から受信信号レベルデータを読み出し、それらのデータを送受信制御部217へ送り、送受信制御部217がノイズおよび受信信号レベル送信部232へ送る。そして、ノイズおよび受信信号レベル送信部232は、それら2つのデータを受け取ると、送信側モジュールへそれら2つのデータを送信する。
上述した実施形態では、使用される変調方式が決められており、例えば、変調方式がBPSKであれば、受信側モジュールが受信に必要なSN比が10dBであり、測定して得られたノイズレベルより10dBほど大きい信号レベルで出力するように送信ゲイン値を決定し、その送信ゲイン値を設定している。
しかしながら、受信に必要なSN比の値は、対応する変調方式で変化するため、使用する変調方式が一種類である場合、問題は生じないが、複数種類の変調方式を使用する場合には、図11や図15に示したような構成では、最適な送信ゲイン値を決定することができない。
そこで、図11や図15に示した構成に加えて、変調方式設定部と、変調方式別必要SN比データ記憶部とをさらに備える構成を採用することで、複数種類の変調方式を使用する場合であっても最適な送信ゲイン値を決定することができる。図17に、図11に示した構成に加えて上記変調方式設定部240と変調方式別必要SN比データ記憶部241とを備える構成を例示する。なお、図15に示した構成にこれら各部を備える構成を採用してもよく、その場合、それら各部が行う処理は、以下に説明する処理と同様のものである。
変調方式設定部240は、制御部200により送受信する変調方式が選択され、その選択された変調方式を設定する。上記変調部および復調部は、設定された方式を情報として受け取り、その設定された変調方式に従って変調および復調を行う。
送信ゲイン値決定部204は、変調方式設定部240に設定された変調方式を、変調方式別必要SN比データ記憶部241に記憶されているデータの中から探し、その変調方式に対応するSN比データを取得する。そして、送信ゲイン値決定部204は、取得したSN比データが示すSN比を確保することができる送信ゲイン値を決定する。送信ゲイン設定部205は、その決定された送信ゲイン値を設定する。
例えば、変調方式がBPSKである場合には、受信側モジュールが受信に必要なSN比が約10dBであるから、測定されたノイズレベルより10dBほど大きい信号レベルを送信することが可能な送信ゲイン値を決定する。変調方式が256QAMである場合は、受信側モジュールが受信に必要なSN比が約36dBであるから、測定されたノイズレベルより36dBほど大きい信号レベルを送信することが可能な送信ゲイン値を決定する。
これまで、SN比を決めるファクターとして、変調方式および受信信号レベルを考慮し、送信レベルを調整するための構成およびその構成において実行される調整処理について詳細に説明してきた。上述したように、SN比を高くすることができれば、安定した通信を行うことが可能となる。通信線上にノイズが重畳される状況下において、通信に対し、SN比を高くする方法として、スペクトラム拡散通信方式を採用することができる。このスペクトラム拡散通信方式は、変調時にベースバンド信号の帯域をより広い帯域に拡散して通信し、復調時に帯域をベースバンド信号の帯域に圧縮してデータを復元するものである。
この方式を採用すると、復調後のSN比を図11に示した変調方式と同レベルとしたとき、単位周波数当たりのパワーを小さくすることが可能となり、通信信号の高調波成分等によるEMIの影響を少なくすることが可能となる。しかしながら、受信側モジュールが受信に必要なSN比が、他のBPSK等の変調方式とは異なるため、このスペクトラム拡散通信方式で必要となる信号レベルを送信すること可能な送信ゲイン値を決定しなければならない。
図18は、スペクトラム拡散通信方式を採用した送信側モジュールの構成例を示した図である。図11および図15に示した構成では、図7に示したように変調部および復調部が通信インタフェース部と接続され、その通信インタフェース部が制御部200と接続された構成となっているが、このスペクトラム拡散通信方式を採用した構成では、その変調部および復調部の構成のみが相違したものとなっている。したがって、それ以外の構成は図11および図15に示した構成と同様であるので、ここではその記載は省略する。
図18では、通信インタフェース部に1次変調部250と1次復調部251とが接続されている。1次変調部250には、スペクトラム拡散部252が接続され、スペクトラム拡散部252には、拡散符号発生部253と、送信ミキサー部とが接続される。1次復調部251には、スペクトラム逆拡散部254が接続され、スペクトラム逆拡散部254には、タイミング同期部255と、受信ミキサー部とが接続される。
1次変調部250は、通常の伝送で用いられるBPSK、QPSK、256QAM等の変調方式が用いられ、それらの方式に従って信号が変調される。1次変調部250から出力された出力信号は、スペクトラム拡散部252へ入力され、スペクトラム拡散部252が、1次変調された信号に対し、拡散符号発生部253から出力されるPN符号(擬似ランダム符号または擬似乱数コード)と呼ばれる特殊な波形を乗積して出力する。これにより、拡散変調後の帯域幅は、1次変調後の帯域幅とPN符号の帯域幅との和となり、帯域幅が拡大する。
通常、帯域拡散の倍率が大きいことから、実質的にPN符号の帯域幅が拡散信号の帯域幅となる。このため、拡散率(PN符号の帯域幅/1次変調の帯域幅)は、5倍以上とすることが望ましいが、この画像形成装置のようにノイズレベルが比較的高い場合は、少なくとも10倍とすることが望ましい。例えば、ベースバンド信号の帯域が100kHzである場合、その10倍の帯域である1MHz以上の使用帯域が望ましい。
画像形成装置の通信では、上述したように、5MHz〜30MHzの周波数帯を使用することで、最も高い通信品質を得ることができる。このため、上述した発振周波数選択部で通信信号の高周波信号が5MHz〜30MHzの周波数になるように局部発振部から出力される信号の周波数を選択することができる。発振周波数選択部は、予め実験的に決定した周波数を選択してもよいし、スペクトラム拡散後の周波数帯域をbpとした場合、上記式1および2を用い、これらの式中bwをこのbpに変更し、これらの式を満足する周波数を選択することも可能である。
また、拡散率を大きくすることにより復調後のSN比を高くすることができることから、5MHz〜30MHzの周波数帯域をスペクトラム拡散後の周波数帯域とし、局部発振部から出力される信号の周波数をその中心周波数とすることで最大のSN比を得ることも可能である。
信号を復調する場合は、受信ミキサー部の出力信号がスペクトラム逆拡散部254とタイミング同期部255とに入力され、スペクトラム逆拡散部254では、スペクトラム拡散部252で用いた同一のPN符号を再度乗積して、1次変調信号を復元する。この処理は、帯域圧縮とも呼ばれる。この帯域圧縮により、SN比のうち信号量が向上する。
1次復調部251での復調処理ではSN比が充分に高く、通信線上でのノイズの影響を受けにくく、もとの信号を復元することが可能となる。タイミング同期部255は、スペクトラム逆拡散部254でPN符号を再度乗積するための同期をとることを目的として設けられる。図18に示したスペクトラム拡散部252、拡散符号発生部253、タイミング同期部255、スペクトラム逆拡散部254は、アナログ方式でも、デジタル方式であってもよい。
1次変調部250および1次復調部251では、通常の伝送で用いられる変調方式、すなわち上述したBPSK等を用いることができるが、それ以外に、直交周波数分割多重(OFDM)方式を用いることも可能である。このOFDM方式を採用することで、充分なSN比が得られない周波数が存在し、データの割り付けを行うことができないキャリアが存在していても、その他の周波数のSN比が高ければ、これらの周波数の搬送波へ多くのデータの割り付けが可能となり、全体として安定した通信が可能となる。
OFDM方式は、多重化方式の1つで、複数の搬送波を使用し、変調する信号波の位相が隣り合う搬送波との間で直交するようにして、搬送波の帯域の一部を重ね合わせ、周波数帯域を有効利用する方式である。
このOFDM方式は、ノイズによってSN比が周波数によって変化し、そのSN比の変化がある程度の周波数範囲にわたっている場合であっても、比較的SN比の高い周波数帯域を使用周波数帯域として設定しやすいという特徴を有している。このため、5MHz〜30MHzの周波数帯域をOFDM信号の周波数帯域とすることで最大のSN比を得ることが可能である。しかしながら、OFDM方式では、受信側モジュールが受信に必要なSN比が、BPSK等の他の変調方式とは異なるため、必要となる信号レベルを送信することが可能な送信ゲイン値を決定しなければならない。
これまでに説明してきたように、本発明の画像形成装置および送信レベルの調整方法を採用し、送信レベルを調整することで、受信側モジュールのSN比を変更し、通信品質を確保できるSN比を得ることができ、高品質の電力線通信を実現することができる。
以上、本発明について上述した実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、上記方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムとして構成し、このプログラムを提供することも可能である。また、プログラムは、ダウンロード形式により提供することもできるし、CD−ROM、SDカード、DVDといった記録媒体に格納して提供することも可能である。