JP2006352300A - 通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ビル内において、低コストで信頼性の高い、セキュリティー関連情報等の通信を実現すること。
【解決手段】 ビル内に既存の火災通報/火災報知用の非常用設備の信号線を通信線とし、通信装置親子局間でデータ伝送を行う。これら通信装置親局や子局に取付けるカメラなどの撮像装置とPC等を用いリアルタイムで情報を収集する。また、避難指示や火災情報に関するデータを伝送し、LEDや液晶による表示装置で情報の表示を容易にする。これらの通信手段は、複数の搬送波信号に送信データを割付けて通信し、各搬送波信号に対してS/Nに応じて送信データ割付量を変更して通信する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ビル内に既存の火災通報/火災報知用の非常用設備の信号線を通信線とし、通信装置親子局間でデータ伝送を行う。これら通信装置親局や子局に取付けるカメラなどの撮像装置とPC等を用いリアルタイムで情報を収集する。また、避難指示や火災情報に関するデータを伝送し、LEDや液晶による表示装置で情報の表示を容易にする。これらの通信手段は、複数の搬送波信号に送信データを割付けて通信し、各搬送波信号に対してS/Nに応じて送信データ割付量を変更して通信する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、火災報知又は火災通報のために敷設される信号線や建物内に敷設される放送線を利用して、画像情報などを安定して伝送する通信装置に関するものである。
近年、危機管理の観点から有事に備えた設備投資が積極的に行われている。こうした中で、特に火災発生時には従来から非常釦や感知器などにより火災の発生を通報し、音響装置や非常灯や放送設備などによって建物全域に火災発生を報知する火災報知システムが用いられている。これまでの火災報知システムは異常を検出した場合に、警備員が異常検出地点まで出向いて確認していたため、正確な情報の収集に時間がかかり、警備員が危険にさらされるという問題があった。特許文献1では、カメラを設置することで画像情報を取得可能にし、これらの問題に対応する画像情報通信手段が創案されている。
また、特許文献2や特許文献3では、列車やエレベータにおける既存の通信線を利用し、複数の搬送周波数を用いるとともに、各搬送波信号のS/N比に応じて送信データ割付け量を変更して通信を行う技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術においては、カメラを設置するために新たな映像伝送用の信号線を敷設する必要があり、その敷設費用が膨大となる問題点があった。
本発明の望ましい実施態様に置いては、既存の火災通報又は火災報知用の非常用設備の信号線を通信線として利用し、通信装置親局と同子局を接続して通信することでデータ伝送を行う。また、これら通信装置親局や子局に取付けるカメラなどの撮像装置とPC等を用いリアルタイムで情報を収集する。あるいは避難指示や火災情報に関するデータを伝送し、LEDや液晶による表示装置で情報の表示を容易にする。これらの通信手段は、複数の搬送波信号(マルチキャリアとも言う)を用い、各搬送波信号に送信データを割付けて通信するものであり、各搬送波信号に対してS/N(信号とノイズの比)に応じて送信データ割付量を変更して通信する。あるいは、通信信号をより広い帯域に拡散して通信するスペクトル拡散通信方式によって通信するようにする。
さらに、本発明の望ましい実施態様においては、前記信号線に接続された非常用機器と直列にインダクタンスを接続し、かつ前記非常用機器と前記インダクタンスの直列体に並列に前記通信装置親局及び/又は子局を接続する。
本発明の望ましい実施態様によれば、既設の信号線を通信線とすることによって新たな通信線を敷設することなく情報を伝送することが可能となる。しかも、S/Nに応じたデータ割付量の変更やスペクトル拡散方式によって、ノイズ発生源である大型機器やそれが接続される電力線から発生する電磁ノイズが通信線に重畳しても、大きな影響を受けることなく安定した情報伝送が可能となる。
さらに、本発明の望ましい実施態様によれば、非常用機器が動作した場合においても通信が途絶えることなく継続でき、信頼性を向上することができる。
本発明によるその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の中で明らかにする。
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の好適な一実施例による通信システムの概略構成ブロック図である。通信装置親局としての通信装置1aは、火災通報システムに用いられる既設の信号線2を用い、通信装置子局としての通信装置1bと接続される。図では、通信装置子局である通信装置1bとして、1局のみ示しているが、通常、複数の通信装置子局1b,1c,1d,…を備えている。以下の実施例の説明では、通信装置1に限らず、機器の数字符号に、親局に属するものには、アルファベット「a」を添えて示し、子局に属するものには、アルファベット「b」〜「d」を添えて示すことにする。
さて、通信装置1a及び1bは、それぞれ、パソコン(PC)3及びカメラ4と、イーサネット(登録商標)あるいはUSB(Universal serial Bus)等の標準的な規格による通信ケーブル5で接続されている。あるいは、通信装置1bとカメラ4との間に、図示しない符号器を備え、カメラ4により撮影された画像情報を符号器に送る。この符号器によって送られる画像情報を、種々の形式で静止画フォーマットに符号化し、符号化した情報を通信装置に転送する。例えば、MPEG1形式、MPEG2形式、MPEG4形式、AVI形式、及びH.264形式などの標準的な動画フォーマットやJPEG、JPEG2000等を用いることができる。なお、カメラ4から送られるデータがすでにこれらのフォーマットになっている場合には、図1に示すように符号器は不要である。通信装置1a、1b間は既設の信号線2を用いて接続する。既設の信号線2とは、例えばまず、建物内に設置している火災発生を報知するための非常釦8と火災発生箇所を表示する受信盤6を接続している信号線2であったり、あるいは受信盤6と非常ベルを接続している信号線である。さらには、煙感知器や熱感知器と受信盤6を接続する信号線であったり、非常灯と受信盤6を接続する信号線(通信線ともいう)等がある。以下、受信盤などの火災情報を収集し管理する装置、非常釦などの火災を通報する装置、非常灯や非常ベルなどの火災を報知する装置、煙感知器や熱感知器などの火災発生を検出する装置を総称して非常用設備という。スプリッタ7a及び7bは、非常用設備に影響を与えないようにするために、受信盤6と非常釦8、非常ベル、煙感知器、熱感知器、非常灯との間に設置する。スプリッタ7a,7bは、非常用設備で使用している信号帯域のみ通過し、それ以外の信号帯域の周波数をカットする。例えば、非常釦8や感知器などの一般的な火災を通報するシステムは、直流あるいは交流電流値を検出するか、パルス信号により非常事態を通報しており、その周波数成分は最も高いものでも100kHz程度である。従って、スプリッタ7は、これらの信号に対する信号歪みの影響を無視できる500kHz以下のローパスフィルタであればよい。
図1では、カメラ4とPC3間で通信を行い、カメラ4で撮影した画像情報を伝送しているが、通信装置1に接続する機器はこれに限ったものではない。例えば、熱センサや煙センサを取付けてセンサ情報を伝送したり、建物内に設置したLEDや液晶などの表示装置に接続して、火災発生情報や避難経路情報などを表示させることもでき、あるいは、マイクとスピーカを設置して管理室と通話することもできる。
ところで、カメラ4などの機器を取付けた場合、数10kbpsから数100kbps程度の通信速度でも十分であるが、高速且つ高画質な画像情報を伝送するためには通信速度は1Mbps以上であることが要求される。一方、火災報知システムに使用されている信号線2は、低周波での通信を目的としている。このため、電磁シールドなどの加工が施されておらず、高周波域においては大型機器やそれに接続される電力線から放射される電磁ノイズが混入し、非常用設備の信号線2に重畳し、耐ノイズ性の高い通信装置1が要求される。
図2は、本発明実施形態に採用する通信装置の第1実施例の機能ブロック図である。この通信装置1は、前記のノイズの影響を顕著に低減し高速な通信を可能にするものである。通信装置1は、まず、BPF(バンドパスフィルタ)9,10と受信アンプ11、送信アンプ19、AD変換器(アナログ/ディジタル変換器)12、及びDA変換器(ディジタル/アナログ変換器)18を備えている。また、等化器13、変調器17、復調器14、アクセスコントローラ15、及びプロトコル変換器16を備えている。通信装置1と外部機器(カメラ4、PC3又は符号器等)の間のインターフェースは、例えばイーサネット(登録商標)又はUSB等の標準的な規格のデータ伝送方式によってデータを伝送するものでよく、このために通信装置1にプロトコル変換器16が設けられている。プロトコル変換器16は、PC3からデータを受け取ると、そのデータを通信装置1で扱う所定フォーマットの通信パケットに変換する。アクセスコントローラ15はプロトコル変換器16からのパケットを受信すると、このデータを変調器17に出力する。変調器17は別途入力している搬送波ごとのデータ割付情報に基づいて各搬送波に前記データを割付ける。このことをビット割付ともいう。搬送波にデータが割付けられた信号は、DA変換器18によりアナログ信号に変換され、送信アンプ19によって増幅された後、BPF10を介して非常用設備の信号線2に出力され、他の通信装置に送信する。一方他の通信装置から送信された信号は、BPF9によって通信帯域外の信号成分を抑制し、通信帯域の信号を受信アンプ11に出力する。受信アンプ11は受信信号を増幅してAD変換器12によってディジタル信号に変換された信号が等化器13に出力される。等化器13では非常用設備の信号線2の通信路ひずみ(伝送路歪み)を補正するためのものであり、等化器13において通信路ひずみ補正処理を施行済みの信号が復調器14に送られる。復調器14は別途入力している搬送波ごとのデータ割付情報に基づいて、各搬送波に割付けられているデータを取り出し、アクセスコントローラ15に出力する。アクセスコントローラ15ではこのデータから所定のフォーマットに変換してプロトコル変換器16に送る。プロトコル変換器16ではカメラ4やPC3とのインターフェースが取れるように標準的な規格(例えばイーサネット(登録商標)やUSB)に変換して、情報を出力する。
通信装置1の電源は、まず、第1に商用電源から取り、AC/DCコンバータで変換して使用する場合がある。第2に、非常用設備の信号線2に直流もしくは交流電圧が印加されている場合にはAC/DCコンバータ又はDC/DCコンバータなどの電源用コンバータ20を用いて電源電圧と交流、直流を変更して使用する場合もある。さらに、バッテリによって実現する場合もある。結合器22は、非常用設備の信号線2に装置の駆動を目的とした交流又は直流の電流が流れている場合に設置するものであり、通信装置1にこれらの電流が流れて通信装置1内で使用されている素子が破壊されるのを防ぐ目的で設置される。信号線2にこれらの電流が流れていない場合には結合器22は不要である。
図3は、図2における結合器22の一例回路構成図である。
アクセスコントローラ15は、復調器14及び変調器17にデータ割付情報を出力するが、この情報で示される割付データは常に一定ではない。一定時間ごとに通信装置1間で通信特性に対するトレーニング(学習)を行って、搬送波毎のS/Nを推定(測定あるいは判定)するか、あるいは通信時の伝送誤り率を評価し、その結果に応じて搬送波ごとあるいは全搬送波に対してデータ割付量を変更する。データの誤り率と伝送路の推定結果を併用してデータ割付量を変更しても良い。この結果に基づいて変復調処理を変更する(データ割付量を変更する)ことで、伝送エラーが少ない通信が可能となる。以下、この点を詳細に説明する。
図4は、本発明の実施例に採用可能な非常用設備に用いる信号線の通信特性図である。図に示したように、非常用設備の信号線2に重畳するノイズの強さは、低周波ほど高く、高周波、例えば5MHz以上ではあまり高くない。通信装置1から他の通信装置にデータを送信するとして、他の通信装置が信号線2に送信した送信信号の強さ(パワー)が一定であっても、信号線2の伝送特性が周波数依存性を持っている。このため、通信装置1で受信した受信信号の強さは高周波ほど低下し、かつ変動している。これは、信号線2のインダクタンスや信号線2の往路及び復路間の静電容量による通信信号の減衰や、信号線2の端点での反射などによるものである。そして、安定した画像情報の通信(通信速度は1Mbps程度以上)のためには、受信信号とノイズの比(dB表現では差)であるS/Nを所定以上とする必要がある。そこで、受信信号の高周波帯域での減衰を評価すると、30MHz以下の周波数帯域を通信帯域として使用することが望ましい。なお、EMI(electromagnetic interference:電磁干渉)の規定として、30MHz以上に対し、10m離れた地点で放射電界が30dBμV/m以下と定められている。従って、このように、使用する周波数帯域を限定することにより、外部への放射電界つまり放射ノイズを抑制することが可能となる。等化器13は、信号線2の通信路歪を補正し、復調する際に正しくデータを復元するために必要である。これは通信におけるプリアンブル信号を用いて通信路歪を評価し、この評価結果を用いて補正を行う。この等化器13がなければ、通信路歪の影響でデータが復元できない、つまり伝送エラーを生じてしまう。この点については後述する。
搬送波として使用帯域内で複数の搬送波(マルチキャリア)を用いる場合を例に採り、S/Nを評価してデータ割付量を変更する仕組みについて以下に説明する。
図5は、一般のマルチキャリアのスペクトルを示す説明図である。帯域Δfの搬送波は使用帯域に複数割当てるが、隣接した搬送波と搬送波が重ならないようにするために、搬送波24の間に所定帯域だけスペース(周波数での一定の空白でガードバンドという)を取る。各搬送波には所定の送信データのビットを割付ける。
図6は、本発明の実施例に適用可能なOFDMのスペクトルを示す説明図である。図に示すように、マルチキャリアの特殊なケースであるOFDM(直交周波数分割多重)は、搬送波のピーク点では、他の搬送波のパワーがゼロとなるように各搬送波が配置される。ここで、各搬送波の帯域をΔfとすると、時間1/(Δf/2)での逆フーリエ変換による直交性の維持を図っている。このため、一般のマルチキャリアとは異なって、各搬送波が重なり合っても信号が復元可能で、かつ使用帯域が一般のマルチキャリアより狭くて良く、周波数利用効率が一般のマルチキャリアより高いという特徴をもっている。なお、OFDMもマルチキャリアの一種である。
搬送波を用いて通信する方式として、前記のような複数の搬送波を用いて通信する方式(マルチキャリア通信方式という)と、単一の搬送波(単一キャリアともいう)を用いて通信する方式(単一キャリア通信方式という)がある。いずれも搬送波(キャリア)にデータ(ビット)を割付けて伝送する。ここで、搬送波(キャリア)にデータを割付けて伝送するとき、キャリアごとのS/Nによりそのデータ割付量には制限がある。マルチキャリア通信方式は、使用帯域内で複数の狭帯域のキャリアを設けて通信する方式である。このため、信号線2に重畳したノイズのうち、特定の周波数のノイズのレベルが高いと、そのノイズの周波数に合致するキャリアのS/Nが他のキャリアよりも低くなる。したがって、そのキャリアへのデータ割付け量がより低くなるだけであり、全キャリアとして高いデータ割付け量を維持でき、高い伝送速度を確保することが可能である。このように、マルチキャリア通信方式は、複数のキャリアを用いて通信しているため、S/Nの低くなった特定の搬送波(キャリア)に対してデータ割付量が低くなるだけである。これに対して、単一キャリア通信方式では、特定の周波数のノイズのレベルが高いだけであっても、キャリアが一つであるため、そのキャリアに割付けるデータ量が低くなり、マルチキャリア通信方式と比べ、かなり伝送速度が低下する。したがって、1Mbps以上の伝送速度を実現するためには、単一キャリア通信方式より、マルチキャリア通信方式の方が適している。
各搬送波(キャリア)ごとに複数の波形(振幅と位相が異なる)を使用し、この波形にデータ(ビット)を割付けて伝送する。多数の送信波形を用いて伝送する際の変調は多値変調と呼ばれ、各キャリアのS/Nによりそのデータ割付量(ビット割付量ともいう)には制限がある。
図7は、雑音下での伝送誤り特性とビット割付量との関係を示すグラフである。例えば、伝送誤り率を1/105に設定すれば、256QAM、64QAM、16QAM、QPSK、BPSKではS/Nがそれぞれ約22dB、約18dB、約13dB、約9dB、約6dB必要である。256QAMでは8ビットの割付が可能であり、64QAMでは6ビット、16QAMでは4ビット、QPSKでは2ビット、BPSKでは1ビットの割付が可能であり、S/Nが約6dB未満であれば、ビットの割付をしない。なお、図5は、ビット割付量とS/Nの関係を説明するための例であり、必ずしもこれに等しい値とする必要はない。ここで、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)は振幅変調、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)及びBPSK(Binary Phase Shift Keying)は位相変調である。前記例では、128QAM、32QAMなどを示していないが、その他のQAMもある。なお、誤り訂正機能を付加することにより、伝送誤り率を1/105から1/107程度にすることが可能である。従って、この場合には、例えば、伝送速度が1Mbpsであれば、確率的に10秒に1回誤りが発生することになり、誤りが発生した伝送フレームを再送することにより、何ら問題なく安定した通信が可能になる。
S/Nの推定評価:
図8は、一定時間毎のS/N評価のための処理フロー図であり,通信装置親局としての通信装置1から、通信装置子局としての他の通信装置にS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する例を示している。なお、他の通信装置から通信装置1にS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する場合も同一の処理フローが行われる。通信装置1から通常のデータを送信する場合は、ステップ1からステップ5の手順により実施しており、S/N評価のための処理は割込み処理によって実施する。ここでは、割込み処理として、一定時間で起動する割込み処理を例にしている。図8に示す処理はアクセスコントローラ15によって行われる。アクセスコントローラ15は、通常のデータ送信においては、まずステップ1にて、プロトコル変換器16から取込んだデータを基に通信装置1内のパケットデータを作成する。次に、ステップ2で、作成したパケットデータを変調器17に出力する。これによって、データが変調され、変調されたデータが他の通信装置に出力される。一方、他の通信装置から送信されてくるデータについては、ステップ3に示すように復調器14からのパケットデータを取込む。ステップ4にてCRC(Cycle Redundancy Check:巡回冗長検査)の評価を実施して、伝送誤り検出を行う。ステップ5にて、伝送誤りがあれば、他の通信装置に再送要求をし、伝送誤りがなければ取込んだデータをプロトコル変換器16に出力する。
図8は、一定時間毎のS/N評価のための処理フロー図であり,通信装置親局としての通信装置1から、通信装置子局としての他の通信装置にS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する例を示している。なお、他の通信装置から通信装置1にS/Nを評価するためのトレーニングデータを送信してS/Nを算出する場合も同一の処理フローが行われる。通信装置1から通常のデータを送信する場合は、ステップ1からステップ5の手順により実施しており、S/N評価のための処理は割込み処理によって実施する。ここでは、割込み処理として、一定時間で起動する割込み処理を例にしている。図8に示す処理はアクセスコントローラ15によって行われる。アクセスコントローラ15は、通常のデータ送信においては、まずステップ1にて、プロトコル変換器16から取込んだデータを基に通信装置1内のパケットデータを作成する。次に、ステップ2で、作成したパケットデータを変調器17に出力する。これによって、データが変調され、変調されたデータが他の通信装置に出力される。一方、他の通信装置から送信されてくるデータについては、ステップ3に示すように復調器14からのパケットデータを取込む。ステップ4にてCRC(Cycle Redundancy Check:巡回冗長検査)の評価を実施して、伝送誤り検出を行う。ステップ5にて、伝送誤りがあれば、他の通信装置に再送要求をし、伝送誤りがなければ取込んだデータをプロトコル変換器16に出力する。
このような通常のデータ通信処理を実施している状態で、S/N評価のための割込み処理が実施される。この割り込み処理においては、まず、ステップ6で、あらかじめ用意しているトレーニングデータが変調器17に出力される。この結果、トレーニングデータが変調されて、他の通信装置に送信される。これに対して、通信装置1は、ステップ10でトレーニングデータを受信し、ステップ11で搬送波ごとのS/Nを計算する。この計算については後述する。さらに、ステップ12で、搬送波番号とビット割付量をペアとしてパケットデータに変換し、変調器17に出力する。搬送波番号とビット割付量をペアとしてビット割付情報とよぶ。この結果、他の通信装置から通信装置1にビット割付情報(搬送波番号とビット割付量)が送信されてくる。他の通信装置から通信装置1へも同様の手続きによりトレーニングが実施される。このビット割付情報は、通信装置1から伝送されてきたデータを他の通信装置の復調器で復調する際に使用する。その後、通信装置1は、他の通信装置から送信されてくるビット割付情報をステップ7で受信し、ステップ8にてビット割付情報テーブルの書き換えを実施する。この処理が終了すると、ステップ9にてビット割付情報テーブルの書き換え完了を示すACK(Acknowledgement:確認応答)を送信する。通信装置Bでは、ステップ13にてACKを受信し、処理を終了する。この処理が終了すると、他の通信装置から通信装置1にトレーニング情報を送信し、他の通信装置から通信装置1への伝送に対するS/Nを評価する。これは、信号線2のS/Nが対称になっていれば必要はないが、S/Nに対称性がない場合には有効である。例えば、ノイズ源が通信装置1の近くにある場合、通信装置1側のノイズが他の通信装置のノイズより強い。したがって、通信装置1におけるS/Nが低くなるため、他の通信装置から通信装置1にデータを送信する場合には、各搬送波に割付けるビットをS/Nに応じて低くする必要が生じる。このように各通信装置でのS/Nに差がある場合には、双方向でのS/N評価を実施し、この結果得られるビット割付情報を各アクセスコントローラ15に記憶しておき、変調及び復調に対応して利用することが望ましい。
トレーニングデータを送信するか通常のデータを送信するかを区別する必要がある。
図9は、本発明の実施例に採用可能な伝送信号フォーマットの説明図である。図に示したように、伝送フォーマットを構成することにより、上記の区別を実現できる。この伝送フォーマットは、プリアンブル信号、ヘッダ、データからなっており、ヘッダの中にトレーニング情報か通常のデータ情報かを示すようにしている。ヘッダでトレーニング情報であることを示せば、データの中にはトレーニング用データが入っており、ヘッダでデータ情報であることを示せば、データの中には通常の通信のデータが入っている。
トレーニング用データとしては、256QAM、64QAM、QPSKなどがあるが、ここでは理解を容易にするために、QPSKを例に採って説明する。なお、プリアンブル信号はシンボル同期のために用いる。QPSKは各搬送波に2ビットを割付ける変調方式であり、信号点配置は図10に示すようになっている。
図10は、QPSKの信号点配置(コンスタレーション)の説明図である。図において、I軸は信号の同相成分を示し、Q軸は信号の直交成分を示す。信号点へのデータ割付は、例えば、第1象限の信号点でデータ“00”を示し、第2象限の信号点でデータ“01”、第3象限の信号点でデータ“11”、第4象限の信号点でデータ“10”を表す。そこで、全ての象限のデータを送信した方がS/Nをより一層正確に評価することが可能である。厳密でなければ、2ビットからなる適当なデータを利用しても良い。例えば、第1象限と第3象限のデータで構成し、“00”、“11”としても良いし、すべて第1象限のデータとし、“00”としても良い。
図9のトレーニング用データとして“00”、“01”、“11”、“10”が設定され、この場合、図2において、アクセスコントローラ15から変調器17に出力するビット割付情報として、各搬送波に2ビットの割付け(QPSKである)を行うよう出力する。これにより、変調器17は、QPSK変調により、2ビットずつのトレーニング用データを、各搬送波に2ビットを割付けて伝送する。トレーニングの場合には、各搬送波のS/Nを評価することが目的であるため、全搬送波に対してQPSK変調を施してデータを送信する。そして、トレーニングの際にはあらかじめQPSK変調で伝送することが決まっているため、受信側ではQPSKで復調する。なお、QPSKではどの信号点に対しても振幅が一定で、位相のみが異なるだけであり、復調処理が簡単であるが、256QAM、64QAMなどを利用してトレーニングを実施しても良い。
さて、S/Nの評価は以下のように実施される。QPSKの場合、通信線上にノイズもなく減衰もなければ、復調した際の信号点は図10のようになる。しかし、信号線上には大型機器から発生する誘導ノイズなどがあり、かつ減衰もする。減衰については、図2等化器13によって補正されるため、復調された信号は信号点配置において、基本的には真値の周りに復元されることになる。
図11は、本発明の実施例に採用可能なQPSKのS/N評価を示す説明図である。図において、丸で示した範囲が復調後の信号点の位置である。そして、原点から真値までの距離が信号の強さSであり、真値から復調後の信号点位置までの距離がノイズの強さNである。従って、両者の比を計算すればS/Nが求まる。ここで、トレーニングでは変調方式をあらかじめ定めているので、真値がどこにあるかを予め通信装置に記憶させておくことができる。前記のように、真値を用いてS/Nを計算する方式の他には、平均値を用いる方式がある。これは、復調後の信号点位置の平均を算出し、この結果を用いて原点からの距離をSとし、各復調後の信号点位置からの距離をNとする方式である。なお、いずれの方式においても、ノイズをより正確に評価(推定あるいは測定)するためには、各搬送波に対して複数回トレーニングデータを送信する必要がある。
伝送誤り率評価:
図12は、トレーニングをイベントで実行するための処理フロー図である。図8に示す方式と異なる点は、一定時間毎にトレーニングを実施するのではなく、通常のデータ伝送を実施し、伝送誤りが多数発生する場合に、トレーニングを実施させるようにしている点である。このために、ステップ4でのCRCによる誤りチェック結果を基に、ステップ5で、所定時間内での誤り発生頻度を算出し、この結果があらかじめ定めた所定値を超えた場合にトレーニングを実施する。トレーニングについては、図8と同様に、ステップ6からステップ13を実施することにより達成される。このトレーニングが終了したら、通常のデータ通信を実施する。なお、この例では、他の通信装置から通信装置1へのデータ送信時に発生した伝送誤りに基づいて、通信装置1から他の通信装置へのトレーニングを示した。しかし、逆に、通信装置1から他の通信装置Bへのデータ送信時に発生した伝送誤りに基づいて、他の通信装置から通信装置1へのトレーニングも同様に実行できる。
図12は、トレーニングをイベントで実行するための処理フロー図である。図8に示す方式と異なる点は、一定時間毎にトレーニングを実施するのではなく、通常のデータ伝送を実施し、伝送誤りが多数発生する場合に、トレーニングを実施させるようにしている点である。このために、ステップ4でのCRCによる誤りチェック結果を基に、ステップ5で、所定時間内での誤り発生頻度を算出し、この結果があらかじめ定めた所定値を超えた場合にトレーニングを実施する。トレーニングについては、図8と同様に、ステップ6からステップ13を実施することにより達成される。このトレーニングが終了したら、通常のデータ通信を実施する。なお、この例では、他の通信装置から通信装置1へのデータ送信時に発生した伝送誤りに基づいて、通信装置1から他の通信装置へのトレーニングを示した。しかし、逆に、通信装置1から他の通信装置Bへのデータ送信時に発生した伝送誤りに基づいて、他の通信装置から通信装置1へのトレーニングも同様に実行できる。
このように、伝送誤り率に応じてトレーニングをするようにしたこと(イベント駆動のトレーニング)、つまり、S/Nが悪化したときにトレーニングをするため、一定時間毎にトレーニングを実施する方式に比べ伝送効率が高くなるという特徴が得られる。
さらに、このイベント駆動のトレーニングと一定時間毎のトレーニングとを併用するとさらに伝送効率が向上する。つまり、イベント駆動のトレーニングによりS/Nが悪化したときのトレーニングが可能であり、S/Nが改善した場合には一定時間のトレーニングにより、高いS/N状態でのデータ割付が可能になるため、伝送速度をより一層速くできる。イベント駆動のトレーニングのみでは、悪化したときのトレーニングによって決まるデータ割付のみになってしまうため、伝送速度の改善ができないが、両方式を併用することにより、この問題を解決することができる。このために、アクセスコントローラにより、イベント駆動のトレーニングを図12の処理で実施し、一定時間毎のトレーニングを割込み処理で実施すればよい。
OFDM通信:
前記に加え、OFDMを含むマルチキャリア通信方式を利用して通信装置1と他の通信装置の間で通信することにより、十分なS/Nが確保できない周波数が存在する場合にも、全体として1Mbps以上の十分な通信速度を確保できる効果がある。すなわち、S/Nが確保できない周波数があっても、その他の周波数のS/Nが高ければ、これらの周波数の搬送波に多くのデータを割付け、全体として1Mbps以上の十分な通信速度を確保できる。さらに、OFDMは、周波数利用効率が高いため、一般のマルチキャリア通信方式より狭い帯域で同等の通信速度を確保することが可能になる。このため、ノイズによりS/Nが周波数によって変化するが、そのS/Nの変化がある程度の周波数範囲に亘っている場合でも、OFDMでは比較的S/Nの高い周波数帯域を使用周波数帯域として設定しやすいという特徴がある。
前記に加え、OFDMを含むマルチキャリア通信方式を利用して通信装置1と他の通信装置の間で通信することにより、十分なS/Nが確保できない周波数が存在する場合にも、全体として1Mbps以上の十分な通信速度を確保できる効果がある。すなわち、S/Nが確保できない周波数があっても、その他の周波数のS/Nが高ければ、これらの周波数の搬送波に多くのデータを割付け、全体として1Mbps以上の十分な通信速度を確保できる。さらに、OFDMは、周波数利用効率が高いため、一般のマルチキャリア通信方式より狭い帯域で同等の通信速度を確保することが可能になる。このため、ノイズによりS/Nが周波数によって変化するが、そのS/Nの変化がある程度の周波数範囲に亘っている場合でも、OFDMでは比較的S/Nの高い周波数帯域を使用周波数帯域として設定しやすいという特徴がある。
単一搬送波のS/N評価:
次に、単一キャリアを使用した場合のS/Nの評価について説明する。単一キャリアを使用して、マルチキャリアと同一の伝送速度を実現するには、単一キャリアの帯域を広くする必要がある。単一キャリアの帯域を広くすることにより、伝送速度を速くすることが可能になる。変調方式としては、マルチキャリアと変わらないため、図8及び図12に示したトレーニングがそのまま適用できる。また、S/N評価も図11に示した通りである。
次に、単一キャリアを使用した場合のS/Nの評価について説明する。単一キャリアを使用して、マルチキャリアと同一の伝送速度を実現するには、単一キャリアの帯域を広くする必要がある。単一キャリアの帯域を広くすることにより、伝送速度を速くすることが可能になる。変調方式としては、マルチキャリアと変わらないため、図8及び図12に示したトレーニングがそのまま適用できる。また、S/N評価も図11に示した通りである。
以上のように、S/Nの高い搬送波信号による通信により、機器などからのノイズが信号に重畳されても、これに大きく影響を受けることなく、既設の信号線2を用いてカメラ4で撮像した画像情報を安定して送信することが可能になる。
スペクトル拡散通信方式:
図13は、本発明の実施形態に採用する通信装置の第2実施例としてのスペクトル拡散通信装置の内部機能ブロック図である。図13において、図2に示す実施形態と異なる点は変調器25及び復調器27に係わる部分であり、その他は同一である。前記のOFDMを含めたマルチキャリア方式は、搬送波ごとにビット割付変更の処理を行った。これに対して、スペクトル拡散通信方式では、このような処理はなく、その代わりにベースバンドの帯域をより広い帯域に拡散して通信し、復調時に帯域をベースバンドの帯域に圧縮して、データを復元する。このスペクトル拡散通信方式は、通信路上にランダムのノイズが重畳される状況下での通信に対してS/Nを高くでき、安定した通信が可能であり、特定周波数帯域でのノイズ(周波数選択性ノイズという)のレベルが高くなるような場合の通信に好適である。
図13は、本発明の実施形態に採用する通信装置の第2実施例としてのスペクトル拡散通信装置の内部機能ブロック図である。図13において、図2に示す実施形態と異なる点は変調器25及び復調器27に係わる部分であり、その他は同一である。前記のOFDMを含めたマルチキャリア方式は、搬送波ごとにビット割付変更の処理を行った。これに対して、スペクトル拡散通信方式では、このような処理はなく、その代わりにベースバンドの帯域をより広い帯域に拡散して通信し、復調時に帯域をベースバンドの帯域に圧縮して、データを復元する。このスペクトル拡散通信方式は、通信路上にランダムのノイズが重畳される状況下での通信に対してS/Nを高くでき、安定した通信が可能であり、特定周波数帯域でのノイズ(周波数選択性ノイズという)のレベルが高くなるような場合の通信に好適である。
次に、図13に示すスペクトル拡散通信方式について、図2に示す方式との相違点を説明する。変調器17は、スペクトル拡散通信方式の場合、1次変調器とも呼ばれ、通常の伝送で用いられる振幅変調、周波数変調、位相変調(BPSK、QPSK)、位相と振幅を同時に変調する16QAM、64QAM、256QAMなどの各種変調方式が採用される。
変調器17の出力信号(1次変調された信号)は、DA変換器18に出力される。その出力が、スペクトル拡散変調器25に入力される。スペクトル拡散変調器25は、PN(Pseudorandom Noise)系列からなる拡散符号と乗積させて送信信号を得る。これらの処理により、拡散変調された信号が通信装置28から他の通信装置に送信されることになる。拡散変調後の帯域幅は、1次変調の帯域幅とPN系列のそれの積になる。PN系列の帯域は、1次変調の帯域幅(ベースバンドの帯域)より広い帯域にする必要があり、拡散率(PN系列の帯域幅/1次変調の帯域幅)は5倍以上にすることが望ましい。しかし、前述した機器などのノイズレベルが比較的高い場合には、少なくとも10倍以上にすることが望ましい。高画質の画像伝送のためには、最低でも1Mbpsの伝送速度が要求されるため、ベースバンドの帯域は少なくとも1MHz以上が必要であり、その10倍の帯域である10MHz以上の帯域が使用帯域として必要である。しかも、図4に示したように、その測定結果から判断して5MHz以上を使用することが有効である。つまり、5MHz以上でかつ少なくとも10MHz以上の帯域を使用帯域として使用することが有効である。
一方、復調については次のように処理される。受信アンプ11の出力信号はタイミング/同期回路26とスペクトル拡散復調器27に送られる。タイミング/同期回路26では受信信号から通信信号の開始タイミングを検出し、その検出したタイミングをスペクトル拡散復調器27に送る。スペクトル拡散復調器27では、タイミング/同期回路26から送られるタイミングに従って送信側で用いたものと全く同一の拡散符号を再度乗積して、1次変調の信号を復元する。この処理を帯域圧縮とも呼ぶ。この帯域圧縮により、S/NのうちS(信号振幅又はパワー)が向上し、機器から発生するインバータノイズのような周波数選択性ノイズのNが抑制される。このため、復調器14での復調処理でのS/Nが十分高く、通信路上でのノイズの影響を受けることなく、元の信号を復元することが可能になる。
以上のように、スペクトル拡散通信方式を用いて通信装置28と他の通信装置の間で通信することにより、マルチキャリア通信方式の時に必要であったビット割付量を決定するためのトレーニングを実施する必要がなくなる。このため、画像伝送の一時的な伝送中断が発生することがないという特徴をもたせることが可能になる。
非常用設備のネットワーク構成に対応した実施形態:
非常用設備のネットワーク構成は代表的なものとして、2方式がある。1方式目は受信盤と火災通報知機器がそれぞれ1ペアの信号線で接続されているものである。2方式目は、受信盤と火災通報知機器の間に中継器(分配器、集線装置)を設け、受信盤と中継器間は1ペアの信号線で接続され、中継器から各火災通報知機器にそれぞれ1ペアの信号線で接続されているものである。なお、システムによってはこれらの方式が混在したり、あるいは、ひとつの受信盤に複数の中継器が接続されるものがある。このような方式の場合に用いる通信装置の接続体系を、本発明の好適な実施例である図14〜図18を用いて説明する。
非常用設備のネットワーク構成は代表的なものとして、2方式がある。1方式目は受信盤と火災通報知機器がそれぞれ1ペアの信号線で接続されているものである。2方式目は、受信盤と火災通報知機器の間に中継器(分配器、集線装置)を設け、受信盤と中継器間は1ペアの信号線で接続され、中継器から各火災通報知機器にそれぞれ1ペアの信号線で接続されているものである。なお、システムによってはこれらの方式が混在したり、あるいは、ひとつの受信盤に複数の中継器が接続されるものがある。このような方式の場合に用いる通信装置の接続体系を、本発明の好適な実施例である図14〜図18を用いて説明する。
図14は、本発明の第1実施例による通信装置親局と子局間の接続構成図である。受信盤6と非常用設備がそれぞれ1ペアの信号線で接続されている場合の接続体系である。一部あるいは全ての信号線2b〜2dに、代表となる1つの通信装置1a(親局)を接続し、受信盤6を除く非常用設備の側には、それぞれ親局とのみ通信を行う通信装置1b〜1d(子局)を接続する。通信装置親局1aには、PC3やモニタ29などが接続されるか、あるいは図示しないサーバーやゲートウェイを介してLANや公衆回線(インターネット)に接続される。あるいは、画像を蓄積する装置に接続して送られる画像情報を蓄積する場合もある。一方、通信装置子局1b〜1dには、非常釦8b〜8dのほかに、カメラ4b〜4dを取付け、設置場所周辺の画像情報を伝送するとともに、液晶ディスプレイや発光ダイオードやその他の情報表示装置を接続して、火災発生情報や避難経路の情報などを表示する。あるいは、スピーカとマイクを取付けて、情報提供や情報収集を行う場合もある。そのほかに、新たにセンサを取付けて、より正確な火災情報を収集する場合もある。図14に示す構成の場合には、親局となる通信装置1aが1つで良いため、コストの低減が可能である。
図15は、本発明の第2実施例による通信装置親局と子局間の接続構成図である。図14と同符号は、同一機能要素を示し、重複説明は避ける。この場合には、各信号線2b〜2dと通信装置の間にキャパシタンス341,342を備える必要がある。なお、キャパシタンス341,342は、非常用設備で用いる信号(直流又は概ね100kHz以下の周波数成分で構成されている交流信号)は阻止し、1MHz以上の高周波電流は通過する特性を持ったものを用いる。例えば、1nF〜10nFの容量のものを用いることもできる。
図16は、本発明の第3実施例による通信装置親局と子局間の接続構成図である。図14,15と同符号は、同一機能要素を示し、重複説明は避ける。この実施形態は、各信号線2b〜2dのそれぞれに、一対の通信装置親局1a1〜1a3と子局1b〜1dを接続した構成である。通信装置1a1〜1a3は、ハブ(HUB)31を介して、PC3やモニタ29に接続される。
ところで、図16では、通信装置1a1と通信装置1b、通信装置1a2と通信装置1c、通信装置1a3と通信装置1dでそれぞれ異なる信号線2b〜2dを用いている。ここで、それぞれの信号線2b〜2dが近接している場合、同一周波数を用いると、通信装置1a1と1b、通信装置1a2と1c、並びに通信装置1a3と1dで、それぞれ用いる通信信号が漏洩して干渉し、通信不可能になる場合がある。これを考慮して、それぞれの通信装置間で異なる周波数を用いる場合につき、図17を参照して説明する。
図17は、本発明の実施形態による通信システムでの周波数の割当て説明図である。図17では、図16の通信装置1a1と1b間では通信信号57を、通信装置1a2と1c間では通信信号58を、さらに、通信装置1a3と1d間では通信信号59を用いて通信することを示している。これらの通信信号57〜59は、それぞれ、異なる周波数帯域60〜62を用いるように、通信信号周波数を割当てることで、通信装置同士の干渉を回避でき、通信エラーを減らし、信頼性高い通信とすることができる。
図18は、スペクトル拡散通信信号の周波数スペクトルの概念図である。同図(A)において、スペクトル拡散前の通信信号63は、ベースバンド通信信号の帯域幅に応じた比較的狭い周波数スペクトルである。一方、スペクトル拡散した通信信号64は、スペクトル拡散前の通信信号63よりも広い通信帯域となり、その占有周波数帯幅はスペクトル拡散前の通信信号63の帯域幅と拡散率に依存する。一方、同図(B)は、図16の実施形態において、通信装置1a1と1b間、通信装置1a2と1c間、及び通信装置1a3と1d間で、それぞれスペクトル拡散通信信号により通信した場合を示す。それぞれの通信装置間毎に、異なる周波数帯域を用いている。ベースバンド信号65〜67は、それぞれ異なるデータによって得られるものであり、それらをスペクトル拡散して通信信号68〜70を得る。このようにすることで、それぞれの通信装置間の通信環境(SN比や信号減衰)に応じて拡散率を設定することができるため、極めて安定した通信ができる。
図19は、本発明の第4実施例による通信装置親局と子局間の接続構成図であり、非常用設備の構成がバス構造によりなっている実施形態である。図14〜16と同符号は、同一機能要素を示し、重複説明は避ける。この場合には、通信装置親局1aを受信盤側に設置して、それぞれ受信盤を除く非常用設備の側に通信装置子局1b〜1eを設置している。この構成は、図14に示した構成と同一の効果が得られる。
図20は、本発明の第5実施例による通信装置親局と子局間の接続構成図であり、信号線上に中継器32が存在する場合の実施形態である。通信装置1aは、信号線201を通じて通信装置1pとのみ通信を行う。通信装置1pと通信装置1qは、イーサネット(登録商標)やUSB等の標準規格の通信線71を通して通信を行い、通信装置1qと通信装置子局1b〜1d間で、図14,15又は19と同様に、信号線202を通じて親子局間としての通信を行う。
ここで、送信信号の流れについて説明する。例えば、通信装置1dから送信された信号は、信号線202を通じて通信装置1qで受信され、一旦復調して、イーサネット(登録商標)などの標準規格のプロトコルに合った信号に変換され、LANケーブル71等を利用して通信装置1pにデータを伝送する。通信装置1pでは、受信したデータを再び変調して、信号線201を通じて通信装置1aに伝送する。逆に、通信装置1aから通信装置1b〜1dにデータを送る場合は、上記と逆ルートを辿り、同様に伝送する。
通信装置1pと通信装置1q間の非常用設備の信号線200には、1つ又は複数のブロッキングフィルタ331,332を挿入する。これらは、非常用設備で使用する信号帯域が通過帯域となり、通信装置1p、1qで使用する通信帯域が阻止帯域となるような周波数特性を持ったフィルタであり、通信装置1pと1q間の信号が、互いの送受信信号を妨害するのを回避している。なお、中継器32が、ブロッキングフィルタ331,332と同様の周波数特性を持っている場合には、ブロッキングフィルタは不要である。
また、区間Aの構成は図14〜図17の受信盤6を中継器32と置換えたと同様の、何れかの構成を採ることも可能である。
図21は、本発明の第6実施例による通信装置親局と子局間の接続である。図20の構成とほとんど同一であるが、異なる点は中継器32のところにキャパシタンス343,344からなるフィルタを設置して、中継器32近傍に設置する通信装置を取り除いた点である。フィルタは、非常用設備で使用している信号の周波数帯域を阻止域とし、通信装置1a〜1dが使用する周波数帯域が通過域となるバンドパス特性を持ったものである。例えば、通信装置1aが送信した信号は、キャパシタンス343,344を経由して通信装置1b〜1dに到達することでデータ伝送が可能となる。逆の場合も同様である。一方、非常用設備で使用する信号については、キャパシタンス343,344において開放状態となっていることから、これらが送信する信号がキャパシタンスを通過することはない。また、キャパシタンス343,344は、インダクタンスと共に用いてフィルタとして構成しても良い。図20又は図21を用いた何れの方式においても、中継器32の通過及び阻止の周波数特性に影響を受けることなく通信装置によりデータ伝送が可能である。
図22は、本発明の他の実施例による通信システムの概略構成であり、学校、ビル、オフィス、事務所、工場、店舗での放送に用いる放送設備に接続される放送線を通信線として通信する。この構成は図1と殆ど同一であり、受信盤6が放送設備51になり、非常釦8がアンプ・スピーカ52に、そして、非常用設備の信号線2が放送線53に代わっている点で異なるが、それ以外の点で差異は無い。また、詳細の構成にあっては、図14〜16、19及び20の受信盤が放送設備に、また、非常釦がアンプ・スピーカに代わる点を除けば同一の構成で実現できる。この点から非常用設備は放送設備を含むものとする。放送線は、例えば学校の場合には、教室ごとにスピーカが設置されているため分岐が多く、これが原因で伝送特性に急峻な減衰が顕著に発生する。
この点、本発明の実施例においては、急峻な減衰によりデータ伝送に誤りが発生し易い帯域には搬送波にデータを割付けないようにするため、通信誤りを低減できる。
なお、何れの場合であっても、非常用設備と通信装置の分岐点には、スプリッタ7a、7bを設けることが望ましい。
他の通信装置と異なる通信帯域を使用した通信:
通信装置は、図14〜16,18、19に示したように、通信装置同士が近接して設置される場合がある。この場合、通信信号の回り込みにより他の通信装置の通信信号同士の衝突、すなわち、複数の通信装置1が同時に送信することにより受信中の通信装置で混信が生じる状態が発生し、通信が困難となる場合がある。これを回避する実施例を図23を参照して説明する。
通信装置は、図14〜16,18、19に示したように、通信装置同士が近接して設置される場合がある。この場合、通信信号の回り込みにより他の通信装置の通信信号同士の衝突、すなわち、複数の通信装置1が同時に送信することにより受信中の通信装置で混信が生じる状態が発生し、通信が困難となる場合がある。これを回避する実施例を図23を参照して説明する。
図23は、本発明の実施形態に採用する通信装置の第3実施例の機能ブロック図であり、ミキサ36を備えたものである。この実施形態によれば、近接した通信装置の通信周波数を異なる通信周波数帯域に設定し、これに合わせて、それぞれの通信装置の周波数を同一周波数帯域に変更することで、衝突を発生することなく通信が可能となり、信頼性を向上できる。
非常用設備の信号線へのインダクタンス取付け:
図24は、非常用設備動作時にも通信を可能とする本発明の第1実施例による通信システムの概略接続構成図である。非常用設備の信号線に通信装置1aを接続して通信する点はこれまでの実施例と同様であるが、本実施例においては、非常用設備のスイッチ49と直列にインダクタンス37を取付ける点で異なっている。但し、図24では、非常用設備のスイッチ49の例として非常釦48を示している。
図24は、非常用設備動作時にも通信を可能とする本発明の第1実施例による通信システムの概略接続構成図である。非常用設備の信号線に通信装置1aを接続して通信する点はこれまでの実施例と同様であるが、本実施例においては、非常用設備のスイッチ49と直列にインダクタンス37を取付ける点で異なっている。但し、図24では、非常用設備のスイッチ49の例として非常釦48を示している。
先ず、図14などで示した非常釦48などの非常用設備は、平常時はスイッチ49が開放状態になっており、非常時にはスイッチ49が短絡することによって電流が流れて非常事態であることを受信盤6に通報する。ここで、非常釦48などの回路のインピーダンスをZとする。平常時には、前述した通り、スイッチ部分は開放されているためインピーダンスZが無限大である。通信装置1a、1bのインピーダンスは、50Ωから150Ω、場合によっては、数百Ωである。従って、通信装置1a、1bのインピーダンスが非常用設備の回路インピーダンスに比べて十分大きいため、例えば、通信装置1aから送信された通信信号は通信装置1bに到達する。
一方、非常時には、スイッチ49がONしてインピーダンスZが小さくなる。このとき、通信装置1aからの通信信号は、その構成要素である高周波電流がインピーダンスの低い非常釦48に流れてしまう。このため、通信信号が、インピーダンスの高い通信装置1bへは流れなくなり、通信ができなくなる。これを回避するために、スイッチ49と直列で、通信装置1bと並列に、インダクタンス37を挿入する。インダクタンス37の値は0.1nH程度でも良いが1nH程度が望ましく、10nH以上であれば更に望ましい。
図24ではインダクタンスのみで構成する場合を示したが、インダクタンスとキャパシタンスなどから構成される低域通過フィルタを用いても良い。この結果、高周波成分(概ね500kHz〜1MHz以上)の電流に対してフィルタ効果により見かけ上開放状態になり、高周波電流が非常釦48内の回路を流れなくなり、インピーダンスがそれに比べて低い通信装置1a、1bへ流れ、通信が可能となる。この例では、非常釦48のみについて示したが、非常釦だけにとどまらず、全ての非常用設備の回路について適用できる。その場合、スイッチだけで無く、コイルやスピーカ、マイク、放送用アンプ、放送用スピーカなども含む。また、平常と非常とインピーダンスの関係は上記例とは逆になる場合があるが、その場合であっても非常用設備の回路上にインダクタンス37を設けることに変わりはない。非常用設備の他の例として受信盤6を採りあげた場合、受信盤6の回路と直列に、且つ通信装置1aとは並列になるようにインダクタンスを設ければよい。図示していないが、インダクタンスなどの代わりにフェライトコアを通信線に取付けることもできる。
図25は、非常用設備動作時にも通信を可能とする本発明の第2実施例による通信システムの概略接続構成図である。図に示すように、電子回路55とともに構成された電子式非常釦56であっても同様であり、電子回路55のインピーダンスが低い場合(例えば10〜20Ω)にはインダクタンス37を取付けることが望ましい。
ポーリングによる通信:
図26は、図15の実施例におけるポーリング送信時の送信タイミングの説明図である。通信装置親局1aが、定期的にポーリング信号を送信し、子局1b〜1dに対して呼びかけ、通信装置子局1b〜1dが応答している様子を模式的に示したものである。
図26は、図15の実施例におけるポーリング送信時の送信タイミングの説明図である。通信装置親局1aが、定期的にポーリング信号を送信し、子局1b〜1dに対して呼びかけ、通信装置子局1b〜1dが応答している様子を模式的に示したものである。
図27は、同じく、親局1aのポーリング信号の構成例を示す図である。図に示すように、信号には、少なくとも宛先子局番号が含まれており、それ以外にも自局番号、送信データの種類、シーケンス番号、並びにCRC(cyclic redundancy check code)などが含まれる場合もある。また、データが付される場合もある。図26では、通信装置1aの送信信号に対して、通信装置1bがACK(acknowledgement)を返送している。通信装置1bでは、通信装置1aからの送信信号を受信して復調し、ポーリング信号の情報を解析することでそれが自局(通信装置1b)宛てと判定すると、通信装置1bは通信装置1a宛てにACKを返送する。このとき、ACK信号に伴ってデータを付加する場合もある。通信装置1aでは、通信装置1bからの信号を受信して復調が完了すると、今度は、通信装置1c宛てにポーリング信号を送信する。以後同様に、一部又は全ての通信装置子局に対してポーリングシーケンスを実行する。
図28は、同じく、ポーリング信号とACK信号の送信シーケンスを示す図である。
図28(A)は、ポーリング信号とACK信号の送信シーケンスについてタイムアウトが発生しない場合を示したものであるが、通信装置1aは通信装置1b〜1dまでポーリングシーケンスを完了すると再びステップ1に戻って通信装置1b宛てにポーリング信号を送信する。
一方、図28(B)は、タイムアウトが発生する場合のシーケンスである。ここでは、通信装置子局1bが、何らかの理由によりACK信号を送信しなかった場合の例を示している。ステップ2で、通信装置1bからのACK信号が通信装置1aで受信されない場合、通信装置1aは一定時間(予め設定するタイムアウト時間)経過してからステップ3で通信装置1cあてにポーリング信号を送信する。
通信装置1aは、このようにポーリングにより通信を行うことで、定期的にデータの収集や送出が可能となり、また、ひとつの通信装置が通信時間を長時間(例えば数十ms)に亘って占有することを回避できる。このため、センサ情報など定期的なデータ収集が可能となるほか、非常事態を瞬時に把握できる。また、火災発生時には、火災発生地点近傍の通信装置に対するポーリング割合を他の通信装置に比べて増やすことで、等価的に火災発生地点近傍の通信装置に対する伝送速度を向上することができる。このため、現場の状況確認のための画像情報や各種情報を容易に取得できるほか、避難指示なども滞ることなく通達することができる。
また、図28(B)のステップ2に示すタイムアウトが発生したか否かを確認することで、信号線の短絡や切断、通信装置の故障などの情報を間接的に得ることが可能となるため、システムの保守・維持に便利となる。
バッファメモリを備えた通信装置:
図29は、本発明の実施形態に採用する通信装置の第4実施例としてのバッファメモリを具備した内部機能ブロック図であり、通信装置46内にバッファメモリ47を備えた構成を示している。バッファメモリ47を備えた点を除けば、図2に示した構成とほぼ同一である。プロトコル変換器16から送られる送信データは、アクセスコントローラ15が送信モードになるまで送信すべきデータをバッファメモリ47で一時的に保存する。アクセスコントローラ47が送信モードになると、バッファメモリ47に保存されたデータが変調器17に送られ、図2に示した手順と同様の手順によって送信される。通信装置46内にバッファメモリ47を備えることで、ポーリング待ちなどによりデータを送信できない場合に送信データを廃棄することなく保存する。これを、その後のポーリング送信時又は受信時に送信できるため、温度センサ情報などを定期的に欠落することなく送信でき、統計データとしての品質を向上する。また、異常を検出した結果を破棄することなく送信するため、異常が発生していたにもかかわらず、検出結果が送信されない事態が回避でき、システムの信頼性が向上する。
図29は、本発明の実施形態に採用する通信装置の第4実施例としてのバッファメモリを具備した内部機能ブロック図であり、通信装置46内にバッファメモリ47を備えた構成を示している。バッファメモリ47を備えた点を除けば、図2に示した構成とほぼ同一である。プロトコル変換器16から送られる送信データは、アクセスコントローラ15が送信モードになるまで送信すべきデータをバッファメモリ47で一時的に保存する。アクセスコントローラ47が送信モードになると、バッファメモリ47に保存されたデータが変調器17に送られ、図2に示した手順と同様の手順によって送信される。通信装置46内にバッファメモリ47を備えることで、ポーリング待ちなどによりデータを送信できない場合に送信データを廃棄することなく保存する。これを、その後のポーリング送信時又は受信時に送信できるため、温度センサ情報などを定期的に欠落することなく送信でき、統計データとしての品質を向上する。また、異常を検出した結果を破棄することなく送信するため、異常が発生していたにもかかわらず、検出結果が送信されない事態が回避でき、システムの信頼性が向上する。
複数の通信装置に同時に同一データを送信する通信装置:
本実施例では通信装置に同報モード(又はブロードキャスティングモード)と呼ばれる通信モードを備える。この同報モードにおいて親局となる通信装置1aは接続される各子局となる通信装置1b〜1dに対して同時に同一データを送信する。構成としては、図2と殆んど同一であり、同報モードに切替える仕組みをアクセスコントローラ15内に備える。この同報モードでの送信は、平常時にメンテナンス等で用いられることもあるが、特に非常時には、建物全体の通信装置に接続される表示装置などに瞬時に同一の避難情報などを送信できる。このため、各子局となる通信装置に対して同一情報を順次伝送する場合と比較して早く情報を伝送することが可能である。これにより、避難者は設置されたLED表示盤などから即座に正確な情報を取得できるため、安全性が向上する。
本実施例では通信装置に同報モード(又はブロードキャスティングモード)と呼ばれる通信モードを備える。この同報モードにおいて親局となる通信装置1aは接続される各子局となる通信装置1b〜1dに対して同時に同一データを送信する。構成としては、図2と殆んど同一であり、同報モードに切替える仕組みをアクセスコントローラ15内に備える。この同報モードでの送信は、平常時にメンテナンス等で用いられることもあるが、特に非常時には、建物全体の通信装置に接続される表示装置などに瞬時に同一の避難情報などを送信できる。このため、各子局となる通信装置に対して同一情報を順次伝送する場合と比較して早く情報を伝送することが可能である。これにより、避難者は設置されたLED表示盤などから即座に正確な情報を取得できるため、安全性が向上する。
ところで、同報モードで送信を行う場合には、全ての通信装置子局が受信できるように信頼性の高い変調方式が必要である。そこで、信頼性の高い変調方式として同一データを複数の搬送波に割当てて送信する変調方式を図30により説明する。
図30は、本発明の実施例に適用できる同報送信の送信信号スペクトル説明図であり、同一データを複数の搬送波に割当てて送信する変調方式の概念を示している。図示するように、キャリアを12本として、キャリア1〜4に割付けるデータAを、キャリア5〜8とキャリア9〜12にも繰返し割付けている。このようにして、割付けたデータA〜Dを、前述した手順によって変調し送信する。この送信信号を受信信号とする子局では、同一データが割付いたキャリア同士を加算した結果から、ビット判定を行う。あるいは、各キャリアのビット判定を行ってから、同一データが割付いたキャリアから得られたビットで多数決論理によりビットを判定する。図示の例では、12本のキャリアに、3つの同一データを割付ける例を示した。一般的に、同一データA〜Dを割付ける回数は3回程度でよいが、更に信頼性を向上させる場合には、5回又は7回繰返して割付けることもできる。
このような変調方式を用いることで、同一の火災報知システム信号線に接続される全ての通信装置に、同時に且つ正確に情報伝送が可能となり、結果として避難情報などを正確に伝送でき、安全性及び信頼性を向上できる。
1,28,46…通信装置、2…非常用設備信号線、3…PC(パソコン)、4…カメラ、5…標準的通信規格により通信する通信ケーブル、6…受信盤、7…スプリッタ、8…非常釦、9,10…BPF(バンドパスフィルタ)、11…受信アンプ、14…復調器、15…アクセスコントローラ、16…プロトコル変換器、17…変調器、18…DA変換器、19…送信アンプ、22…結合器、24…搬送波、25…スペクトル拡散変調器、26…タイミング/同期回路、27…スペクトル拡散復調器、29…モニタ、31…ハブ(HUB)、32…中継器、331,332…ブロッキングフィルタ(BF)、341〜344…キャパシタンス、36…ミキサ、47…バッファメモリ、51…放送設備、52…アンプ・スピーカ、53…放送線、55…電子回路、56…電子式非常釦。
Claims (11)
- 建物内の火災報知のための押し釦、火災感知器、火災報知のための音響装置、非常灯等の非常用設備及び/又は放送設備に接続された信号線と、この信号線に接続されこの信号線を通信線として通信する通信装置親局と、前記信号線に接続された複数の通信装置子局と、前記通信装置親局内に設けられ、複数の周波数の異なる搬送波信号にそれぞれ複数の送信データを割付けて送信する送信手段と、複数の前記搬送波信号に対して信号と雑音の比であるS/Nの値に応じて各搬送波信号への送信データの割付量を設定する割付量設定手段とを備えたことを特徴とする通信システム。
- 建物内の火災報知のための押し釦、火災感知器、火災報知のための音響装置、非常灯等の非常用設備及び/又は放送設備に接続された信号線と、この信号線に接続されこの信号線を通信線として通信する通信装置親局と、前記信号線に接続された複数の通信装置子局と、前記通信装置親局内に設けられ、前記建物内で使用されている他の通信手段とは異なる周波数帯域において、複数の周波数の異なる搬送波信号にそれぞれ複数の送信データを割付けて送信する送信手段と、複数の前記搬送波信号に対して信号と雑音の比であるS/Nの値に応じて各搬送波信号への送信データの割付量を設定する割付量設定手段とを備えたことを特徴とする通信システム。
- 請求項1又は2において、前記通信装置親局と子局間で、直交周波数分割多重方式によって通信することを特徴とする通信システム。
- 建物内の火災報知のための押し釦、火災感知器、火災報知のための音響装置、非常灯等の非常用設備及び/又は放送設備に接続された信号線と、この信号線に接続されこの信号線を通信線として通信する通信装置親局と、前記信号線に接続された複数の通信装置子局と、前記通信装置親局内に設けられ、所定の周波数帯域に拡散して通信するスペクトル拡散通信方式によって複数の送信データを送信する送信手段とを備えたことを特徴とする通信システム。
- 請求項4において、前記所定の周波数帯域は、同一建物内で前記信号線を通信線として通信する他の通信手段で使用されている通信周波数帯域と異なる通信周波数帯域であることを特徴とする通信システム。
- 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記通信装置は、1MHz〜30MHz内の通信周波数を利用して通信することを特徴とする通信システム。
- 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記信号線に接続された非常用機器又は放送機器と直列にインダクタンスを接続し、かつ前記非常用機器と前記インダクタンスの直列体に並列に前記通信装置親局及び/又は子局を接続したことを特徴とする通信システム。
- 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記通信装置親局と複数の前記通信装置子局間で、前記通信装置親局が送信するポーリング信号に従って通信することを特徴とする通信システム。
- 請求項1〜8のいずれかにおいて、前記通信装置親局及び/又は子局は、バッファメモリを備えたことを特徴とする通信システム。
- 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記通信装置親局は、前記通信装置子局に同時に送信することを特徴とする通信システム。
- 請求項10において、前記通信装置親局は、複数の搬送波に同一のデータを割付けて送信することを特徴とする通信システム。
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JP2005173320A JP2006352300A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 通信装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013094721A1 (ja) * | 2011-12-24 | 2013-06-27 | 住友電気工業株式会社 | 給電装置及び通信方法 |
JP2014064097A (ja) * | 2012-09-20 | 2014-04-10 | Mitsubishi Electric Corp | モデムシステム |
-
2005
- 2005-06-14 JP JP2005173320A patent/JP2006352300A/ja active Pending
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