JP3873812B2 - ケース締結構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数に分割された箱体を嵌合して構成されるケースの両側嵌合部に一体で成形された係止枠と係止突起とを用いて係止する締結構造に関するもので、特にケース嵌合後の嵌合面に隙間が生じないようにした締結構造に関し、例えば車両用空調装置のケースに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置における送風機ユニット・クーラユニット・ヒータユニット等のケースは、通常、上下2つに分割されたケース(箱体)を嵌合させて構成されている。そして、この分割ケースの締結構造としては、種々のものが考案され、実用化されている。
【0003】
図7は、従来のケース締結部の構造例を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。2つの樹脂製分割ケース1・2の結合端面1a・2aに複数個所、他方のケース側へ突出した係止枠10と、その係止枠10を係止する係止突起20とを一体成形し、この両者10・20の嵌合係止によりケース1・2を一体に締結するものである。ちなみに12・13はケース嵌合部に設けられた嵌合凹凸溝である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8は、上記従来のケース締結部構造での問題を説明するための嵌合部断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合直後、(d)は嵌合したケース1・2に開こうとする力Fが加わった状態を示す。図に示すように、係止枠10の係止面10aは係止突起20の頂点部20bを乗り越えなければ(b図参照)係止できないため、係止枠10を係止突起20に確実かつ容易に係止するには、係止枠10側のH1寸法>係止突起20のH2寸法としたうえ、H1寸法にはプラス公差、H2寸法にはマイナス公差を持たせている。
【0005】
この寸法差と公差によって、嵌合直後には両係止面10a・20a間に0.2〜0.6mm程度の隙間Sが発生する(c図参照)。その後、嵌合したケース1・2に開こうとする力Fが加わった場合、今度は両係止面10aと20aとが当接し、ケース1・2の結合端面1a・2a間に隙間Sが生じることになる(d図参照)。
【0006】
ケース嵌合部に設けられた嵌合凹凸溝12・13は、ケース同士の嵌め易さを確保するため、嵌合凸溝12は目標寸法に対してマイナス公差で作られ、嵌合凹溝13は目標寸法に対してプラス公差で作られる。このため、凸溝幅<凹溝幅の関係から嵌合凹凸溝12・13間には微細な隙間が存在することとなり、ケース内外の気密は、実際には両ケース結合端面1a・2aが当接することによって保たれていることとなる。
【0007】
よって、当接しているはずの結合端面1a・2a間に隙間Sが発生すると、嵌合凹凸溝12・13間の微細な隙間とも連通して、ケースの内部から外部へ風や水が漏れるという問題がある。また、この隙間Sによる異音(ガタ音)の発生も問題となる。本発明は、上記従来の問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、嵌合したケースの嵌合部において、隙間の発生を抑制することのできるケース締結構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では以下の技術的手段を採用する。請求項1記載の発明では、結合端面(1a)と嵌合凹凸溝(12、13)の一方とを有し樹脂材料からなる第1の分割箱体(1)と、結合端面(1a)に対応する結合端面(2a)と嵌合凹凸溝(12、13)の一方に対応する嵌合凹凸溝(12、13)の他方とを有し樹脂材料からなる第2の分割箱体(2)と、両箱体(1、2)のいずれか一方の結合端面(1a、2a)に他方の分割箱体(1、2)側に向かって延長するように一体成形され、かつ引っ掛け形状となる係止枠(10)と、両箱体(1、2)のうち、他方の分割箱体(1、2)の結合端面(1a、2a)に一体成形され、係止枠(10)内に入り込むことで係止する係止突起(20)と、係止枠(10)と係止突起(20)との少なくとも一方の係止面(10a、20a)に薄膜突起(11、21)を一体成形し、薄膜突起(11、21)を両係止面(10a、20a)で挟み込んで係止することを特徴とする。
【0009】
これにより、嵌合した分割箱体(1、2)に開こうとする力Fが加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制することができ、箱体(1、2)内部から外部への風漏れや水漏れ、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)の発生しないケース締結構造とすることができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、薄膜突起(11、21)の根元部に薄肉溝(M)を形成したことを特徴とする。これにより、係止枠(10)が係止突起(20)に掛かる時に薄膜突起(11、21)が根元から倒れ易くなり、ケース締結部の係止が容易となる。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2のケース締結構造を車両用空調装置のケース締結部に用いたことを特徴とする。これにより、分割箱体(1、2)を嵌合させて車両用空調装置として組み立て、車両取り付け以降で嵌合した分割箱体(1、2)に開く方向の力が加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制するケース締結構造となっているため、車両用空調装置から車室内へ空調風や凝縮水が漏れるという問題、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)が発生するという問題をなくすことができる。
【0012】
ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるケースの全体構造を示す斜視図である。また図2は、本発明の第1実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【0014】
まず、ケース(分割箱体)の構造の概略を図1に基づいて説明する。図1において、1・2は車両用空調装置のクーリングユニットのケースを構成する分割箱体である。この2つの分割ケース1・2は図中横に走る分割面により上下に分割可能で、ポリプロピレンのような弾性を有する樹脂で、上下型抜きにより概略U字形状に成形されている。
【0015】
そして、そのU字形状の両端部分が相互の結合端面1a・2a(図2参照)として形成されており、その結合端面1a・2aに複数個所、他方のケース側へ突出した係止枠10と、その係止枠10を係止する係止突起20とが一体成形されている。ケース1・2は、この係止枠10と係止突起20との嵌合係止により一体に結合され、その内部空間に冷却器である冷凍サイクルの冷媒蒸発器、冷媒減圧手段である膨張弁等の空調用機器が収容され、空調用通風路を形成する。
【0016】
この分割箱体からなるケース1・2の左右両端には、通風路接続用の開口部(図1では右側の開口部30のみ図示)が設けられており、この開口部30にはシール用パッキン31が貼着されている。図1の右側開口部30は車両用空調装置のヒータユニットに接続され、図1の図示しない左側の開口部は車両用空調装置の送風機ユニットに接続されている。
【0017】
この結合端面1a・2aには、その全周にわたって嵌合凹凸溝12・13が形成されており、結合端面1a側には嵌合凸溝12が形成され、結合端面2a側には嵌合凹溝13が一体成形されている。更にケース1には、結合端面1aから他方のケース側へ突出した係止枠10が形成され、その係止枠10に対応してケース2には、結合端面2aから係止枠10を係止する係止突起20がケース外方へ突出して形成されている。
【0018】
そして、ケース1に一体成形された係止枠10をケース2に一体成形された係止突起20に係止してケース1・2を結合している。係止枠10・係止突起20の構造と特徴は次で詳しく説明する。この係止枠10・係止突起20は、ケース1・2の結合端面1a・2aに沿って、適当な間隔をもって複数箇所設けられている。
【0019】
次に、係止枠10・係止突起20等、本実施形態の構造と特徴を図3も用いて詳しく説明する。図3は図2の締結部中央を縦に切った断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合後を示し円内は係止部の部分拡大図である。図に示すように、係止突起20の係止面20aに薄膜突起21を一体成形し、その薄膜突起21を両係止面10a・20aで挟み込んで係止するようにしている。
【0020】
この薄膜突起21は、発明が解決しようとする課題に記したように従来のケース結合端面1a・2a間に生じる0.2〜0.6mm程度の隙間S(図8参照)に対し、最小隙の0.2mmでも係止が成り立つよう0.2mm以下の膜厚にて形成されている。
【0021】
係止方法は、嵌合凹凸溝12・13を嵌合させながら結合端面1a・2aを当接させることにより、係止枠10は撓みながら係止突起20の斜面を乗り上げ、頂点部20bを乗り越えと元に戻ろうとする力で薄膜突起21を根元から倒しながら係止突起20に掛かる(図3(b)・(c)参照)ことで、両係止面10a・20aで薄膜突起21を挟み込んだ状態で係止される。両係止面10a・20a間の隙間が0.2mmよりも大きい場合には薄膜突起21のスプリングバック力がクッション効果となる。
【0022】
これにより、嵌合したケース1・2に開こうとする力Fが加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制することができ、ケース1・2内部から外部への風漏れや水漏れ、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)の発生しないケース締結構造とすることができる。
【0023】
また、上記のケース締結構造を車両用空調装置のケース締結部に用いている。これにより、ケース1・2を嵌合させて車両用空調装置として組み立て、車両取り付け以降に冷媒蒸発器の重み等で嵌合したケース1・2に開く方向の力が加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制するケース締結構造となっているため、車両用空調装置から車室内へ空調風や凝縮水が漏れるという問題、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)が発生するという問題をなくすことができる。
【0024】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)であり、円内は係止部の部分拡大図である。部分拡大図に示すように、第1実施形態とは薄膜突起21の根元部に薄肉溝Mを形成したことのみ異なる。この実施形態の場合、係止突起20の材質は樹脂材料に限るものではなく、金属材料等で形成されていても良い。
【0025】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。第1実施形態とは係止枠10側の係止面10aに薄膜突起11を形成したことのみ異なる。これによっても上記第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0026】
(その他の実施形態)
図6は、本発明のその他の実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。上述の実施形態では、係止突起20の係止面20a、または係止枠10の係止面10aのいずれか一方に薄膜突起11・21を設けているが、もちろん両係止面10a・20aの両方に薄膜突起11・21を設けてても良い。この場合は、両薄膜突起11・21の膜厚を合わせて最小隙の0.2mm以下となるようにしている。
【0027】
また、上述の実施形態では、図中上側のケース1に嵌合凸溝12と係止枠10を設け、図中下側のケース2に嵌合凹溝13係止突起20を設けているが、本発明は嵌合凹凸溝12・13の上下方向と、係止枠10と係止突起20による係止部分の上下方向には関連はなく、例えば、ケース1に嵌合凹溝13、ケース2に嵌合凸溝12を設けても良いし、ケース1に係止突起20、ケース2係止枠10を設けても良い。
【0028】
また、本発明は車両用空調装置のケースに限るものではなく、分割されたケース同士を結合して用いるもので、嵌合面に隙間を生じさせたくないものに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるケースの全体構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【図3】図2の締結部中央を縦に切った断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合後を示し円内は係止部の部分拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)であり、円内は係止部の部分拡大図である。
【図5】本発明の第3実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。
【図6】本発明のその他の実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。
【図7】従来のケース締結部の構造例を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【図8】従来のケース締結部構造での問題を説明するための嵌合部断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合直後、(d)は嵌合したケースに開こうとする力が加わった状態を示す。
【符号の説明】
1、2 ケース(分割箱体)
1a、2a 結合端面
10 係止枠
10a 係止面
11 薄膜突起
12、13 嵌合凹凸溝
20 係止突起
20a 係止面
21 薄膜突起
M 薄肉溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数に分割された箱体を嵌合して構成されるケースの両側嵌合部に一体で成形された係止枠と係止突起とを用いて係止する締結構造に関するもので、特にケース嵌合後の嵌合面に隙間が生じないようにした締結構造に関し、例えば車両用空調装置のケースに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置における送風機ユニット・クーラユニット・ヒータユニット等のケースは、通常、上下2つに分割されたケース(箱体)を嵌合させて構成されている。そして、この分割ケースの締結構造としては、種々のものが考案され、実用化されている。
【0003】
図7は、従来のケース締結部の構造例を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。2つの樹脂製分割ケース1・2の結合端面1a・2aに複数個所、他方のケース側へ突出した係止枠10と、その係止枠10を係止する係止突起20とを一体成形し、この両者10・20の嵌合係止によりケース1・2を一体に締結するものである。ちなみに12・13はケース嵌合部に設けられた嵌合凹凸溝である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8は、上記従来のケース締結部構造での問題を説明するための嵌合部断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合直後、(d)は嵌合したケース1・2に開こうとする力Fが加わった状態を示す。図に示すように、係止枠10の係止面10aは係止突起20の頂点部20bを乗り越えなければ(b図参照)係止できないため、係止枠10を係止突起20に確実かつ容易に係止するには、係止枠10側のH1寸法>係止突起20のH2寸法としたうえ、H1寸法にはプラス公差、H2寸法にはマイナス公差を持たせている。
【0005】
この寸法差と公差によって、嵌合直後には両係止面10a・20a間に0.2〜0.6mm程度の隙間Sが発生する(c図参照)。その後、嵌合したケース1・2に開こうとする力Fが加わった場合、今度は両係止面10aと20aとが当接し、ケース1・2の結合端面1a・2a間に隙間Sが生じることになる(d図参照)。
【0006】
ケース嵌合部に設けられた嵌合凹凸溝12・13は、ケース同士の嵌め易さを確保するため、嵌合凸溝12は目標寸法に対してマイナス公差で作られ、嵌合凹溝13は目標寸法に対してプラス公差で作られる。このため、凸溝幅<凹溝幅の関係から嵌合凹凸溝12・13間には微細な隙間が存在することとなり、ケース内外の気密は、実際には両ケース結合端面1a・2aが当接することによって保たれていることとなる。
【0007】
よって、当接しているはずの結合端面1a・2a間に隙間Sが発生すると、嵌合凹凸溝12・13間の微細な隙間とも連通して、ケースの内部から外部へ風や水が漏れるという問題がある。また、この隙間Sによる異音(ガタ音)の発生も問題となる。本発明は、上記従来の問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、嵌合したケースの嵌合部において、隙間の発生を抑制することのできるケース締結構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では以下の技術的手段を採用する。請求項1記載の発明では、結合端面(1a)と嵌合凹凸溝(12、13)の一方とを有し樹脂材料からなる第1の分割箱体(1)と、結合端面(1a)に対応する結合端面(2a)と嵌合凹凸溝(12、13)の一方に対応する嵌合凹凸溝(12、13)の他方とを有し樹脂材料からなる第2の分割箱体(2)と、両箱体(1、2)のいずれか一方の結合端面(1a、2a)に他方の分割箱体(1、2)側に向かって延長するように一体成形され、かつ引っ掛け形状となる係止枠(10)と、両箱体(1、2)のうち、他方の分割箱体(1、2)の結合端面(1a、2a)に一体成形され、係止枠(10)内に入り込むことで係止する係止突起(20)と、係止枠(10)と係止突起(20)との少なくとも一方の係止面(10a、20a)に薄膜突起(11、21)を一体成形し、薄膜突起(11、21)を両係止面(10a、20a)で挟み込んで係止することを特徴とする。
【0009】
これにより、嵌合した分割箱体(1、2)に開こうとする力Fが加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制することができ、箱体(1、2)内部から外部への風漏れや水漏れ、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)の発生しないケース締結構造とすることができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、薄膜突起(11、21)の根元部に薄肉溝(M)を形成したことを特徴とする。これにより、係止枠(10)が係止突起(20)に掛かる時に薄膜突起(11、21)が根元から倒れ易くなり、ケース締結部の係止が容易となる。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2のケース締結構造を車両用空調装置のケース締結部に用いたことを特徴とする。これにより、分割箱体(1、2)を嵌合させて車両用空調装置として組み立て、車両取り付け以降で嵌合した分割箱体(1、2)に開く方向の力が加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制するケース締結構造となっているため、車両用空調装置から車室内へ空調風や凝縮水が漏れるという問題、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)が発生するという問題をなくすことができる。
【0012】
ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるケースの全体構造を示す斜視図である。また図2は、本発明の第1実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【0014】
まず、ケース(分割箱体)の構造の概略を図1に基づいて説明する。図1において、1・2は車両用空調装置のクーリングユニットのケースを構成する分割箱体である。この2つの分割ケース1・2は図中横に走る分割面により上下に分割可能で、ポリプロピレンのような弾性を有する樹脂で、上下型抜きにより概略U字形状に成形されている。
【0015】
そして、そのU字形状の両端部分が相互の結合端面1a・2a(図2参照)として形成されており、その結合端面1a・2aに複数個所、他方のケース側へ突出した係止枠10と、その係止枠10を係止する係止突起20とが一体成形されている。ケース1・2は、この係止枠10と係止突起20との嵌合係止により一体に結合され、その内部空間に冷却器である冷凍サイクルの冷媒蒸発器、冷媒減圧手段である膨張弁等の空調用機器が収容され、空調用通風路を形成する。
【0016】
この分割箱体からなるケース1・2の左右両端には、通風路接続用の開口部(図1では右側の開口部30のみ図示)が設けられており、この開口部30にはシール用パッキン31が貼着されている。図1の右側開口部30は車両用空調装置のヒータユニットに接続され、図1の図示しない左側の開口部は車両用空調装置の送風機ユニットに接続されている。
【0017】
この結合端面1a・2aには、その全周にわたって嵌合凹凸溝12・13が形成されており、結合端面1a側には嵌合凸溝12が形成され、結合端面2a側には嵌合凹溝13が一体成形されている。更にケース1には、結合端面1aから他方のケース側へ突出した係止枠10が形成され、その係止枠10に対応してケース2には、結合端面2aから係止枠10を係止する係止突起20がケース外方へ突出して形成されている。
【0018】
そして、ケース1に一体成形された係止枠10をケース2に一体成形された係止突起20に係止してケース1・2を結合している。係止枠10・係止突起20の構造と特徴は次で詳しく説明する。この係止枠10・係止突起20は、ケース1・2の結合端面1a・2aに沿って、適当な間隔をもって複数箇所設けられている。
【0019】
次に、係止枠10・係止突起20等、本実施形態の構造と特徴を図3も用いて詳しく説明する。図3は図2の締結部中央を縦に切った断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合後を示し円内は係止部の部分拡大図である。図に示すように、係止突起20の係止面20aに薄膜突起21を一体成形し、その薄膜突起21を両係止面10a・20aで挟み込んで係止するようにしている。
【0020】
この薄膜突起21は、発明が解決しようとする課題に記したように従来のケース結合端面1a・2a間に生じる0.2〜0.6mm程度の隙間S(図8参照)に対し、最小隙の0.2mmでも係止が成り立つよう0.2mm以下の膜厚にて形成されている。
【0021】
係止方法は、嵌合凹凸溝12・13を嵌合させながら結合端面1a・2aを当接させることにより、係止枠10は撓みながら係止突起20の斜面を乗り上げ、頂点部20bを乗り越えと元に戻ろうとする力で薄膜突起21を根元から倒しながら係止突起20に掛かる(図3(b)・(c)参照)ことで、両係止面10a・20aで薄膜突起21を挟み込んだ状態で係止される。両係止面10a・20a間の隙間が0.2mmよりも大きい場合には薄膜突起21のスプリングバック力がクッション効果となる。
【0022】
これにより、嵌合したケース1・2に開こうとする力Fが加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制することができ、ケース1・2内部から外部への風漏れや水漏れ、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)の発生しないケース締結構造とすることができる。
【0023】
また、上記のケース締結構造を車両用空調装置のケース締結部に用いている。これにより、ケース1・2を嵌合させて車両用空調装置として組み立て、車両取り付け以降に冷媒蒸発器の重み等で嵌合したケース1・2に開く方向の力が加わっても、嵌合部において内部と外部が連通するような隙間の発生を抑制するケース締結構造となっているため、車両用空調装置から車室内へ空調風や凝縮水が漏れるという問題、及び嵌合部隙間による異音(ガタ音)が発生するという問題をなくすことができる。
【0024】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)であり、円内は係止部の部分拡大図である。部分拡大図に示すように、第1実施形態とは薄膜突起21の根元部に薄肉溝Mを形成したことのみ異なる。この実施形態の場合、係止突起20の材質は樹脂材料に限るものではなく、金属材料等で形成されていても良い。
【0025】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。第1実施形態とは係止枠10側の係止面10aに薄膜突起11を形成したことのみ異なる。これによっても上記第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0026】
(その他の実施形態)
図6は、本発明のその他の実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。上述の実施形態では、係止突起20の係止面20a、または係止枠10の係止面10aのいずれか一方に薄膜突起11・21を設けているが、もちろん両係止面10a・20aの両方に薄膜突起11・21を設けてても良い。この場合は、両薄膜突起11・21の膜厚を合わせて最小隙の0.2mm以下となるようにしている。
【0027】
また、上述の実施形態では、図中上側のケース1に嵌合凸溝12と係止枠10を設け、図中下側のケース2に嵌合凹溝13係止突起20を設けているが、本発明は嵌合凹凸溝12・13の上下方向と、係止枠10と係止突起20による係止部分の上下方向には関連はなく、例えば、ケース1に嵌合凹溝13、ケース2に嵌合凸溝12を設けても良いし、ケース1に係止突起20、ケース2係止枠10を設けても良い。
【0028】
また、本発明は車両用空調装置のケースに限るものではなく、分割されたケース同士を結合して用いるもので、嵌合面に隙間を生じさせたくないものに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるケースの全体構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【図3】図2の締結部中央を縦に切った断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合後を示し円内は係止部の部分拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)であり、円内は係止部の部分拡大図である。
【図5】本発明の第3実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。
【図6】本発明のその他の実施形態におけるケース締結部構造を示す斜視図(嵌合前)である。
【図7】従来のケース締結部の構造例を示す斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【図8】従来のケース締結部構造での問題を説明するための嵌合部断面図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合途中、(c)は嵌合直後、(d)は嵌合したケースに開こうとする力が加わった状態を示す。
【符号の説明】
1、2 ケース(分割箱体)
1a、2a 結合端面
10 係止枠
10a 係止面
11 薄膜突起
12、13 嵌合凹凸溝
20 係止突起
20a 係止面
21 薄膜突起
M 薄肉溝
Claims (3)
- 結合端面(1a)と嵌合凹凸溝(12、13)の一方とを有し樹脂材料からなる第1の分割箱体(1)と、
前記結合端面(1a)に対応する結合端面(2a)と前記嵌合凹凸溝(12、13)の一方に対応する嵌合凹凸溝(12、13)の他方とを有し樹脂材料からなる第2の分割箱体(2)と、
前記両箱体(1、2)のいずれか一方の結合端面(1a、2a)に他方の分割箱体(1、2)側に向かって延長するように一体成形され、かつ引っ掛け形状となる係止枠(10)と、
前記両箱体(1、2)のうち、他方の分割箱体(1、2)の結合端面(1a、2a)に一体成形され、前記係止枠(10)内に入り込むことで係止する係止突起(20)と、
前記係止枠(10)と前記係止突起(20)との少なくとも一方の係止面(10a、20a)に薄膜突起(11、21)を一体成形し、前記薄膜突起(11、21)を前記両係止面(10a、20a)で挟み込んで係止することを特徴とするケース締結構造。 - 前記薄膜突起(11、21)の根元部に薄肉溝(M)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のケース締結構造。
- 請求項1または請求項2のケース締結構造を車両用空調装置のケース締結部に用いたことを特徴とするケース締結構造。
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