JP2009068754A - 冷蔵庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】壁面等に密着して設置しても放熱性能を低下することなく、かつ、ゴミやほこりによる汚れが少なく、外観にも優れた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】断熱箱体を、扉のシール面を有する外箱と、合成樹脂等にて形成した内箱と、外箱と内箱との間に設けた断熱材とで構成し、当該断熱箱体の下部に冷凍サイクルの少なくとも圧縮機或いは放熱器を設置し、かつ、放熱器の放熱通路を断熱箱体の背面側に設けた冷蔵庫において、外箱を構成する背面板とその両側の側面板とを一枚の鋼板によって形成すると共に、背面板及び側面板の外郭を所定の曲率半径の曲面で形成し、かつ、背面板及び側面板の外郭の曲率半径よりも小さい曲率半径の曲面で形成し、もって、当該背面板及び当該側面板とで形成される稜線部を内側に凹ませるように、当該稜線部を、圧縮機或いは放熱器の放熱通路とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、断熱箱体の内部に、その冷凍サイクルを構成する圧縮機や放熱器等の放熱通路を形成した冷蔵庫に関するものである。
圧縮機や放熱器等の放熱通路を有する冷蔵庫の従来例としては、例えば、以下の特許文献1や従来技術の一例を示した添付の図12(a)に示すように、冷蔵庫箱体1の下部に圧縮機や放熱器を備えた機械室2を有し、当該機械室の背面開口部を覆う背面カバー3の上部と共に、その側面に、所謂、スリット3aを設けることにより、前記圧縮機や放熱器の放熱を行うものが既に知られている。また、例えば、以下の特許文献2や従来技術の一例を示した添付の図13(a)にも示されるように、冷蔵庫箱体5の下部に、圧縮機8や放熱器9を備えた機械室7を設けると共に、箱体5の背面板5a両側に、空気が通るための通気段部5hを形成して、もって、当該通気段部5hを前記圧縮機8や放熱器9の放熱用通路として利用するもの等が、既に知られている。
また、一方、断熱箱体を有する冷蔵庫の従来例としては、例えば、以下の特許文献3に示すように、冷蔵庫本体の上部に合成樹脂等でなるトップテーブルを設けたもの、または、例えば、以下特許文献4や従来技術の一例を示した添付の図14に示されるように、U字状に折曲成形した外箱11内に、内箱12の高さ寸法H12方向より挿入して、当該外箱11と内箱12とを装着し、その後、背面板13とトップテーブル14とを取り付けるもの、又は、例えば、以下の特許文献5や従来技術の一例を示した添付の図15に示されるように、逆U字状に折曲成形した外箱21に内箱や背面板を取り付けるもの等が既に知られている。
加えて、以下の特許文献6及び7によれば、背面板の両側を直角に折り曲げて、背面板に連なる左側面板と右側面板とを一体的に構成して(組み立てて)なる冷蔵庫の外箱も、既に知られている。
実公昭61−1333号公報 特開2003−130531号公報 特開平9−170871号公報 特開2001− 227859号公報 特開2006− 105507号公報 実開昭51−88756号公報 実開昭58−174691号公報
上述したように、従来は、上記の特許文献1や図12(a)に示すように、背面カバー3の上部及び側面にスリット3aを設けることにより、圧縮機や放熱器の放熱を行おうとするものであり、そのためには、冷蔵庫箱体1の背面板1aより前記背面カバー3の後部表面3bを予め設定された突出寸法δ1だけ突出して、該突出寸法δ1部を前記圧縮機や放熱器の放熱通路とする必要がある。
従って、当該冷蔵庫の外形寸法は、冷蔵庫箱体1より前記突出寸法δ1だけ大きくなってしまい、それでは、容積効率(冷蔵庫の外形容積に対する定格内容積の比率)がその分だけ低減してしまうと言う問題があった。加えて、図12(b)にも示すように、前記冷蔵庫箱体1は、背面壁(厚さt2部)と側面壁(厚さt1部)とがほぼ直角に合わさることから、その継ぎ目となる稜線部の断熱材厚さt3は、前記t2やt1より厚くなってしまい、そのため、当該部分の断熱材を必要以上に使用せざるを得ない。従って、その分だけ、製造コスト上、不利となってしまうと言う問題があった。
また、上記の特許文献2や図13(a)に示す冷蔵庫箱体では、箱体5の背面板5a両側に空気が通る通気段部5hを形成しているが、当該部分の熱漏洩を増加させないためには、前記通気段部5h該当部の断熱材厚さt7を、背面壁(厚さt8部)と側面壁(厚さt6部)とにほぼ同じにする必要がある。従って、通気段部5hの寸法t4とほぼ同程度の寸法t5の分だけ、内箱6側に凸部6hを形成する必要があり、そのため、やはり、当該冷蔵庫の定格内容積がその分だけ減少してしまうと言う問題があった。
しかしながら、上述した特許文献1や2には、これらの問題点を具体的に解消するための解決策については提示していない。
従って、本発明は、まず、上述した従来の構成が有する問題を解決しようとするものであり、その目的は、余分な断熱厚さを有する箇所や、内箱側に凸部等を形成する必要が無く、しかも、冷蔵庫の設置場所として、例えば、壁面等に密着設置しても、その放熱性能における低下の程度の少ない冷蔵庫を提供するものである。
一方、トップテーブルを有する冷蔵庫の従来例としては、例えば、上記の特許文献3に示すように、冷蔵庫本体の上部にトップテーブルを設けるものでは、冷蔵庫本体の本体天面とトップテーブルとが2重に構成されることから、当該2重に構成される部分での原材料費やその製作費用等が余分に必要となる。そのため、従来技術では、製造コスト低減上の観点から、例えば、上記特許文献4や添付の図14に示されるような、外箱11を底面とその両側に立ち上がる面とにより、U字状に折曲成形して、その上面開口部にトップテーブル14を取り付けるものが既に知られている。しかしながら、かかる従来技術に示されるような箱体構成、つまり、外箱11をU字状に折曲成形して、その背面に背面板13を取り付ける構成のものでは、該外箱11の側面板11aと背面板13の継ぎ目が形成されるため、当該継ぎ目にゴミやほこり等が付着する恐れが生じると言う問題があった。
同様に、前述した図12(b)に示した従来技術になる構造においても、冷蔵庫箱体1の側面板1b後部には、背面板1aを挟持する挟持部1fを形成してあるために、該挟持部の段部1gにゴミやほこり等が付着する恐れが生じると言う問題があり、更に、前述した図13(b)に示す例においても、冷蔵庫箱体5の側面板5b後部には、背面板5aを挟持する挟持部5fを形成してあるために、該挟持部の段部5gにゴミやほこり等が付着する恐れが生じると言う問題があった。
加えて、上記側面板や背面板を構成する原材料である鋼板は、一般的に、ある程度の大きさを有する伸びやうねりの許容差がある。従って、例えば、図12(b)に示したように、側面板1bや背面板1aを平面に形成すると、上述した鋼板原材料の伸びやうねりの許容差寸法によって、その表面に凹凸が生じてしまう恐れがある。従って、表面での凹凸の形成を防止するためには、側面板1bや背面板1aの断熱材側に図示しない補強を取り付ける、若しくは、該側面板1bや背面板1aの使用鋼板原材料の板厚を増さなければならないという問題もあった。しかしながら、前述した特許文献1〜7には、かかる問題点を解消するための具体的な対処方法については、何らの提示もない。
従って、本発明は、上記に詳述した従来技術になる冷蔵庫箱体構成を有していた冷蔵庫における問題を解決しようとするものであり、その目的とするところは、上述した目的に加えて、更に、冷蔵庫背面板と側面板左右との継ぎ目を無くして、ゴミ、ほこり等による汚れが少なく、清掃性が良好な冷蔵庫を提供すると共に、補強板などを採用することなく、比較的薄い板厚の側面板及び背面板でも製造が可能であり、その外観にも優れた冷蔵庫を提供することを目的とするものである。
本発明では、上述した目的を達成するため、まず、断熱箱体を、扉のシール面を有する外箱と、合成樹脂等にて形成した内箱と、前記外箱と内箱との間に設けた断熱材とで構成し、当該断熱箱体の下部に冷凍サイクルの少なくとも圧縮機或いは放熱器を設置し、かつ、前記放熱器の放熱通路を前記断熱箱体の背面側に設けた冷蔵庫において、前記外箱を構成する背面板とその両側の側面板とを一枚の鋼板によって形成すると共に、前記背面板及び前記側面板の外郭を所定の曲率半径の曲面で形成し、かつ、前記背面板及び前記側面板の外郭の曲率半径よりも小さい曲率半径の曲面で形成し、もって、当該背面板及び当該側面板とで形成される稜線部を内側に凹ませるように、当該稜線部を、前記圧縮機或いは放熱器の放熱通路とした冷蔵庫が提供される。
また、本発明では、前記に記載した冷蔵庫において、前記背面板及び前記側面板の外郭を、前記背面板及び前記側面板の外郭の曲率半径よりも小さい曲率半径の曲面に代えて、平面で形成し、もって、当該背面板及び当該側面板とで形成される稜線部を内側に凹ませるように、当該稜線部を、前記圧縮機或いは放熱器の放熱通路としてもよい。或いは、本発明によれば、前記に記載した冷蔵庫において、前記内箱を真空成形等にて形成し、当該内箱の背面部と側面部とを結ぶ稜線部を予め設定した成形性の良い大きさの曲面または曲面に近い面とすると共に、当該稜線部の背面板と側面板とが近づくように、前記背面板と前記側面板との稜線部を所定の大きさの曲面または曲面に近い面とすることが好ましく、又は、前記外箱の上部及び下部に曲面又は曲面に近い面を持つ天井板及び底面板を装着すると共に、前記シール面の左右を連結するように上部前板と下部前板とを設けることが好ましい。加えて、前記扉のシール面裏面に内箱フランジを挟持する挟持部を設けると共に、前記外箱内に前記内箱を組み込む時には、前記外箱を構成する側面板左右を上記曲面または曲面に近い面を利用して撓ませることにより前記シール面の開口寸法を広げて、該開口部より前記内箱を挿入することにより前記挟持部に内箱フランジを挟持するようにすることが好ましい。
上述したように、本発明によれば、余分な断熱厚さを有する箇所や、内箱側に凸部等を形成する必要が無く、しかも、冷蔵庫の設置場所として、例えば、壁面等に密着して設置しても、その放熱性能における低下の程度の少なく、かつ、背面板と側面板左右との継ぎ目を無くして、ゴミ、ほこり等による汚れが少なく、清掃性が良好な冷蔵庫を提供するとが可能となるという優れた効果を発揮する。加えて、本発明によれば、補強板などを採用することなく、比較的薄い板厚の側面板及び背面板でも製造が可能であり、その外観にも優れた冷蔵庫を提供することが可能となる。
更に、以下の実施例の説明からも明らかなように、断熱箱体を扉のシール面を有する外箱と、合成樹脂等にて形成した内箱と、前記外箱と内箱との間に設けた断熱材とで構成し、冷凍サイクルの少なくとも圧縮機或いは放熱器を前記断熱箱体下部に設置してその放熱通路を前記断熱箱体背面側に有する冷蔵庫において、前記外箱を構成する背面板と側面板左右とを一枚の鋼板によって形成すると共に、前記背面板と側面板との稜線部を断熱材側に凹ませるようにして、該稜線部を、前記圧縮機或いは放熱器の放熱通路としたので、箱体断熱に、余分な断熱厚さを有する箇所や、内箱側に凸部等を形成する箇所の無い、しかも、冷蔵庫の設置場所の壁等に密着設置しても、前記稜線部が圧縮機或いは放熱器の放熱通路となるので、放熱性能の低下の程度が少ない冷蔵庫を提供できる。
また、外箱を構成する背面板と側面板左右とを一枚の鋼板によって形成したので、冷蔵庫背面板と側面板左右との稜線部に継ぎ目が無い。従って、冷蔵庫背面部及びその稜線部が、ゴミ、ほこり等による汚れが少なく、清掃性良好な冷蔵庫を提供できる。
以下、本発明の種々の実施の形態になる冷蔵庫について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
添付の図1は、本発明の第1の実施例になる冷蔵庫の要部の縦断面図であり、図2は当該図1におけるA−A線による断面図を示す。
これら図1〜2において、冷蔵庫本体30は、断熱箱体40と、当該断熱箱体40の前面開口を開閉可能に閉塞する扉73、74とにより構成されており、かつ、その内部には、それぞれ区画形成された冷蔵温度室71と冷凍温度室72とを有している。そして、前記冷凍温度室72背面部には、当該冷蔵庫を冷却するための冷却器36と、冷却器36にて生成した冷気を送風循環するための送風機37とを備えている。
また、上記の扉73、74のそれぞれには、前記断熱箱体40の前面開口シール面51をヒンジ60により開閉可能に閉塞するための、後述するパッキング75が備えられている。そして、上記断熱箱体40は、後述する外箱50と、内箱41と、これら外箱50と内箱41との間に設けられた断熱材48と共に、更には、前記外箱50の上部に装着されてトップテーブルの機能を持つ天井板42と、そして、前記外箱50の下部に装着され、もって、機械室上板44との間に後述する機械室31を形成する底板43とにより構成されている。
そして、前記機械室31は、庫外空気の吸込み口31aと吐出口31bとを有しており、当該機械室31内には、冷凍サイクルを構成する圧縮機32や放熱器33、及び、庫内の排水を処理する露受皿34とが設けられている。加えて、前記圧縮機32や放熱器33を冷却し終えた空気が後述する断面略三角状稜線部D1,D2(図4のD1,D2部)に流通できるように、前記機械室の吐出口31bには、開口スリット35aを有する背面カバー35が設けられている。
次に、添付の図3は、上述した図2におけるB−B線による断面図であり、図4は本発明の第1の実施例における冷蔵庫を設置したときの状態を説明するための平面図である。なお、上述した図1及び図2と同一の構成については、それぞれ、同一符号を付して示しており、ここでは、その詳細な説明は省略する。
先ず、図3において、外箱50は、背面板53と、その左右に伸びる側面板52と、更には、左右のシール面51とを含み、これらを一枚の鋼板によって、一体的に形成することにより、継ぎ目の無い構造としている。つまり、前述した図12(b)の段部1gや図13(b)の段部5gのようなゴミやほこりの溜まる箇所を形成することなく、かつ、背面板53と側面板52とが、それぞれ、外側に所定の湾曲面を形成するように形成されている。即ち、かかる湾曲面からなる背面板53と側面板52とによれば、こられの面で形成される稜線部54を、平面で形成した場合に比較して、断熱材48側に凹ませ、もって、該稜線部54を、前記圧縮機32或いは放熱器33の放熱通路として使用することができる。なお、この実施例では、背面板53と側面板52とを、以下に述べる稜線部の曲率半径Rに比較して大きな曲率半径R52、R53(R52、R53>R12、R22)、で形成すると共に、その間の稜線部54を、図のR12、R22のような曲面または曲面に近い面として形成している。
換言すれば、図4にも示すように、当該冷蔵庫を、例えば、その3面を家屋の壁で囲まれた狭小な設置場所や、家具等に近接した設置された場合にも、上記背面板53や側面板52の曲面、そして、曲面R12,R22を形成する稜線部54が、前記家屋の壁や家具等との間に断面略三角状の稜線部D1、D2を形成することとなり、前述した圧縮機32や放熱器33を冷却し終えた空気(冷蔵庫の外気)が通流する放熱通路とすることが可能となる。そして、内箱41を、樹脂を真空成形等により形成し、その際、当該内箱41の背面部と側面部とを結ぶ稜線部を、予め設定した、成形性の良い大きさの曲面又は曲面に近い面(図3に示すR11,R21)とすると共に、当該稜線部の背面板53と側面板52とが接近するように、前記背面板53と前記側面板52とで形成される稜線部54を、所定の大きさの曲面又は曲面に近い面となるように形成している。なお、ここで、該内箱稜線部の断熱材48は、その断熱材厚さがほぼ均一と成るように、例えば、t11,t21の厚さに設定しても良い。
換言すれば、内箱41の背面部と側面部とを結ぶ稜線部を、予め設定した成形性の良い大きさの曲面R11,R21(R11,R21<R52、R53)とすると共に、当該稜線部の断熱材厚さt11,t21がほぼ均一と成るように、外箱を構成する背面板と側面板との間の稜線部を、所定の大きさの曲面R12,R22とし、当該曲面R12,R22の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D1,D2を、圧縮機或いは凝縮器の放熱通路として利用する構成としている。なお、上記断熱材の厚さt11は、冷蔵室内の冷凍温度(冷蔵室内温度)と庫外の温度との温度差による熱漏洩を少なくするものであり、他方、断熱材の厚さt21は、冷凍室の室内温度(冷凍室内温度)と庫外の外気温度との温度差による熱漏洩を少なくするものであるため、通常は、t11<t21に設定されるが、例えば、R11=R21として設定した場合には、R12<R22となるが、上述した図1にも示すように、冷蔵庫の上部が冷蔵室の温度であり、下部が冷凍室の温度である場合は、予めR12=R22として設定することによれば、一枚の鋼板によって、上述した背面板53とその左右の側面板52とを一体に成形し易くすることが出来る。
また、上記冷凍室側の断熱材(厚さ=t21内)には、例えば、真空断熱材等の高断熱性を有する断熱材をより多く使用することにより、上記断熱材の厚さをt11=t21とすることが出来るのことから、R12=R22とすることが、即ち、稜線部での曲面を設定し易くなるという効果が得られる。
また、上記シール面51の裏面には、内箱フランジ41aを挟持するための挟持部55が設けられており、後述するように、当該内箱41を外箱50の内部に組み込めるように構成してある。そして、上記外箱50を構成する背面板53と、その左右に伸びる側面板52とは、それぞれ、その断熱壁を減少させない方向に、且つ、当該背面板53と左右側面板52とを一枚の鋼板によって成形した時に当該鋼板の伸びやうねりによる歪が小さくなるような湾曲面(R52、R53>R12、R22)で形成されており、例えば、図3示すようにV11>V12、V13の寸法関係を示すような凸状曲面に形成されている。
換言すれば、当該冷蔵庫は、上記図4に示すように、その設置場所において家屋の壁や家具等に近接して設置された場合にも、当該曲面R52,R53の外殻とR12、R22で形成された稜線部とが、家屋の壁や家具等との間に、前述したように、圧縮機32や放熱器33を冷却し終えた空気が流通できる程度の間隙D3、D4が形成できるように構成されている。換言すれば、前述した断面略三角状稜線部D1,D2部の放熱通路が、拡大できるように構成されている。
以上のように構成になる本発明の第1の実施例によれば、内箱の背面部と側面部とを結ぶ稜線部を予め設定した成形性の良い大きさの曲面または曲面に近い面とし、外箱の背面部と側面部を曲面または曲面に近い面とすると共に、当該外箱を構成する背面板と側面板との稜線部を、背面部や側面部を形成する曲面よりも小さな曲率半径(即ち、R11,R21<R52、R53)の曲面または曲面に近い面とすることにより、当該曲面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部を、圧縮機或いは放熱器の放熱通路とすることが可能となり、もって、内箱の成形性の良い冷蔵庫の構造を提供できる。更には、その外形の意匠性にも優れ、かつ、余分な断熱厚さを有する箇所も少なく、製造コスト上有利な冷蔵庫を提供できる。
また、冷蔵庫の設置場所として、壁面等に密着して設置しても、上記断面略三角状稜線部が圧縮機或いは放熱器の放熱通路となることから、放熱性能の低下の程度が少ない冷蔵庫を提供できる。更に、外箱を構成する背面板とその左右の側面板とを一枚の鋼板によって形成したことにより、左右側面板と背面板との間に継ぎ目が形成されないことから、当該部の原材料の重複(所謂、ダブリ)がなく、製造コスト上においても有利な冷蔵庫を提供できる。
加えて、左右側面板と背面板との間には継ぎ目を形成されないことから、特に、背面かの外観(意匠性)に優れていることから、該冷蔵庫を、通常の台所に限らず、例えば、居室に置くことも出来、または、間仕切り等にも利用することも可能となる。更には、万一、当該冷蔵庫と家具とが当接しても、当該冷蔵庫や家具の表面には傷がつき難い。また、当該冷蔵庫を家屋の壁面や家具等に隣接して設置した場合でも、壁面や家具等に隣接する左右の側面板と背面板と間には継ぎ目がないのことから、ほこり等による汚れが少なく、清掃性にも優れた冷蔵庫とすることも可能になる。
また、冷蔵庫を、当該冷蔵庫を取り囲むような壁面に近接して設置した場合にも、平面壁と背面板或いは側面板との間に空気流通間隙を生じるように、その背面板や側面板を凸状の曲面としており、そのことから、当該冷蔵庫の壁面等に密着して設置しても、放熱性能の低下の程度が少ない冷蔵庫が提供されることとなる。そして、背面板や側面板を凸状の曲面としたことによれば、当該背面板や側面板を製造する際の鋼板の伸びやうねりによる歪が小さくなり、もって、外観の美しい冷蔵庫を提供することが可能になる。
加えて、背面板や側面板を凸状の曲面としたことによれば、当該背面板や側面板を構成する鋼板原材料の、製造時における伸びやうねりの許容差寸法を大きくできること、また、当該背面板や側面板を構成する鋼板の原材料の板厚をより薄くすることが可能となること、更には、当該背面板や側面板の裏面に、従来のような別部品からなる補強板等が不用となること等により、製造コスト上も有利な冷蔵庫とすることが出来ることとなる。
次に、本発明の第2の実施例について、添付の図5を参照しながら詳細に説明する。
添付の図5は、本発明の第2の実施例になる冷蔵庫の断面図であり、上記第1の実施例において上記図3により示したC部に相当する拡大断面図である。なお、前述した第1の実施例と同一の構成については、やはり、同一の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
図5に於いて、参照符号56は、前述した曲面又は曲面に近い面、例えば、R12,R22を形成する稜線部54と、背面板53自体が形成する曲面又曲面に近い面R53との接続部との間に設けられた、製作工程時の基準となる平面部であり、他方、参照符号57は、前述した曲面または曲面に近い面、例えばR12,R22を形成する稜線部54と、側面板52自体が形成する曲面又は曲面に近い面R52との間の接続部に設けられた、やはり、製作工程時の基準となる平面部である。なお、これらの平面部56,57を設けることによれば、上述した一枚の鋼板から製造される背面板53と左右の側面板52との剛性を向上させることが可能となる。
また、上述した図3にV11、V12、V13で示した寸法を予め所定の大きさに設定しておき、更に、上記図5に示した平面部56、57の平面大きさ寸法δ31、δ32を出来る限り大きく設定することによれば、前述した図4に示す間隙D1、D2、D3、D4をより大きく設定することが可能となることから、前述した圧縮機32や放熱器33を冷却し終えた空気の流通を更に促進する効果も期待できる。
以上のように構成された本発明の第2の実施例になる冷蔵庫の箱体によれば、特に、その外箱を構成する背面板や側面板の剛性をより向上することが可能となることから、外箱自体の製造工程時や一時保管時等の変形が少なくハンドリング性が向上する。また、外箱単体での剛性が向上することから、例えば、製品の倉庫保管時や車載時の積み重ね加重による変形が少なく、また、前述した断熱材との接着強度を低減し、或いは、断熱材との接着を省略しても、前述した倉庫保管時や車載時の積み重ね加重による変形が少ない冷蔵庫を提供することが可能となる。
次に、本発明の第3の実施例について図6により説明する。なお、図6(a)は本発明の第3の実施例(その1)における断面説明図であり、図6(b)は本発明の第3の実施例(その2)における断面説明図である。なお、前述した第1の実施例と同一構成については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、これらの実施例は、前述した背面板53と側面板52との稜線部54を、断熱材側に凹ませるようにした形状についての変形例である。
先ず、図6(a)について説明する。即ち、この第3の実施例になる冷蔵庫の箱体は、図にも明らかなように、背面板53とその左右の側面板52とを一枚の鋼板によって、一体的に形成することにより、上述した継ぎ目の無い構成とすると共に、更に、冷蔵温度室71(上記図1の71相当)側の内箱41の背面部と側面部とを結ぶ稜線部41bは、内箱41を合成樹脂等の真空成形等によっても容易に成形できるようになっている。具体的には、図にも明らかなように、予め設定された成形性の良い大きさの傾斜面(以下、「メントリ面」という)、例えば、図6(a)に示すL11寸法×L12寸法をメントリ面とし、かつ、当該稜線部の断熱材厚さt11がほぼ均一と成るよう、外箱を構成する背面板53と側面板52との稜線部54bに所定の大きさのメントリ面を設け、当該メントリ面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D5が、上述した圧縮機或いは凝縮器の放熱通路となるように構成されている。加えて、冷凍温度室72(上記図1の72相当)側の内箱41の背面部と側面部とを結ぶ稜線部41cは、当該内箱41を合成樹脂等の真空成形等にて容易に成形できるように、予め設定された成形性の良い大きさのメントリ面、例えば、図6(a)に示すL21寸法×L22寸法のメントリ面とし、かつ、当該稜線部の断熱材厚さt21がほぼ均一と成るように、外箱を構成する背面板53と側面板52との稜線部54cを所定の大きさのメントリ面とし、もって、当該メントリ面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D6が、上述した圧縮機或いは凝縮器の放熱通路となるように構成されている。
即ち、上記図4に示した実施例と同様に、当該冷蔵庫を家屋の壁面や家具等に隣接して設置した場合にも、当該メントリ面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D5、D6が、上述した圧縮機や凝縮器を冷却し終えた空気の放熱通路と成るように構成されている。
続いて、図6(b)について説明すると、やはり、図にも明らかなように、背面板53とその左右の側面板52とを、一枚の鋼板によって一体的に形成することにより、継ぎ目の無い構成にすると共に、冷蔵温度室71(上記図1の71相当)側の内箱41の背面部と側面部とを結ぶ稜線部41eを、当該内箱41を合成樹脂等の真空成形等にて容易に成形できるように、予め設定された成形性の良い大きさの凹状曲面、例えば、図6(b)に示すL31寸法×L32寸法の凹状曲面として形成し、かつ、当該稜線部の断熱材厚さt11がほぼ均一と成るよう、外箱を構成する背面板53と側面板52との稜線部54eを所定の大きさの凹状曲面とし、もって、当該凹状曲面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D7が、上述した圧縮機或いは凝縮器の放熱通路となるように構成されている。加えて、冷凍温度室72(図1の72相当)側の内箱41の背面部と側面部とを結ぶ稜線部41fも、当該内箱41を合成樹脂等の真空成形等にて容易に成形できるように、予め設定された成形性の良い大きさの凹状曲面、例えば、図6(b)に示すL41寸法×L42寸法の凹状曲面とし、かつ、当該稜線部の断熱材厚さt21がほぼ均一と成るように、外箱を構成する背面板53と側面板52との稜線部54fを所定の大きさの凹状曲面とし、もって、当該凹状曲面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D8が、上述した圧縮機或いは凝縮器の放熱通路となるように構成されている。
即ち、やはり、上記の図4に示した実施例と同様に、当該冷蔵庫を家屋の壁面や家具等に隣接して設置した場合にも、当該凹状曲面の外郭が形成する断面略三角状の稜線部D7、D8が、上述した圧縮機や凝縮器を冷却し終えた空気の放熱通路と成るように構成してある。但し、図6(b)の例は、換言すれば、図6(a)にて述べたメントリ面の断面形状に対して、凹状曲面54e、54fの凹状寸法δ35、δ36寸法分だけ、前記放熱通路が拡大できるように構成されている。そして、上記背面板53と、左右の側面板52とは、それぞれの断熱壁を減少させない方向に、且つ、当該背面板53と左右の側面板52とを、一枚の鋼板によって成形した時に、当該鋼板の伸びやうねりによる歪が小さくなるように、例えば、図6(b)にV11、V12、V13で示す寸法だけ突出した凸状形状の面として形成されている。
つまり、当該第3の実施例になる冷蔵庫は、上記図4にも示すように、その設置場所として、家屋の壁面や家具等に近接して設置した場合にも、上記背面板53と左右の側面板52と前記家屋の壁面や家具等との間に、上述した圧縮機や放熱器を冷却し終えた空気が流通できる間隙D9、D10が形成できるように構成されている。換言すれば、上述した断面略三角状の稜線部D1,D2部(図4のD1,D2部)の放熱通路を上記の実施例に比較して拡大できるように構成されている。
なお、以上のように構成されているので、本発明の第3の実施例になる冷蔵庫では、内箱の背面部と側面部とを結ぶ稜線部を予め設定した成形性の良い大きさのメントリ面、又は、凹状曲面とすると共に、当該稜線部の断熱材厚さがほぼ均一と成るように、外箱を構成する背面板と側面板との稜線部を所定の大きさのメントリ面、又は、凹状曲面とし、もって、当該メントリ面又は凹状曲面の外郭が形成する稜線部を、上述した圧縮機或いは放熱器の放熱通路としたので、冷蔵庫を壁面等に密着して設置しても、上述した稜線部が圧縮機或いは放熱器の放熱通路となるので、放熱性能の低下の程度が少ない冷蔵庫を提供できる。
加えて、背面板或いは側面板を凸状形状としたので、当該背面板及び/又は側面板を構成する鋼板原材料の伸びやうねりの許容差寸法を大きくできるのことから、製造コスト上も有利な冷蔵庫を提供することができる。
更に、本発明の第4の実施例について、添付の図7〜図9を参照しながら説明する。なお、図7は本発明の第4の実施例における断熱箱体の斜視図であり、図8は本発明の第4の実施例における内箱と外箱との組み込み関係説明図である。なお、ここでも、前述した実施例と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
先ず、本発明の第4の実施例では、図7に示すように、断熱箱体40は、後述する外箱50と、内箱41と、そして、当該外箱50と内箱41との間に設けた断熱材48とによって構成されている。そして、外箱50を構成する背面板53と左右側面板52と、更には、断熱箱体の開口前面を形成する左右シール面51とを、一枚の鋼板によって形成している。加えて、当該一枚の鋼板によって形成したためにその垂直圧縮強度が比較的大きい外箱50に、更に、上部にその背面部が曲面または曲面に近い面を持つ天井板42を、下部にその背面部が曲面又は曲面に近い面を持つ底面板43を装着すると共に、前記シール面51の左右を連結するように上部前板45と中前板46と下部前板47とを設けている。このことによれば、前記断熱箱体40を、特に、垂直圧縮強度や横方向からの加重に対する強度の向上を図ることが可能な構造とすることができる。そして、上記断熱箱体の開口前面を形成する左右シール面51の裏面には、内箱フランジ41aを挟持する挟持部55を設けられており、もって、当該挟持部55に内箱フランジ41aを装着できるように構成されている。
加えて、前記挟持部55を有する左右側面板52を、図8に示す点線の状態から、同図における実線で示す状態のように、その背面部に設けた曲面又は曲面に近い面を利用して撓ませることにより、左右シール面51の開口寸法X51を、内箱フランジ41aの幅寸法X41より大きく広げる。このことにより、この第4の実施例では、図のX51寸法部より内箱41を外箱50内に挿入し、もって、前記挟持部55に内箱フランジ41aを挿入して装着できる構成を実現している。
そして、前記一枚の鋼板によって形成したためにその垂直圧縮強度が比較的大きい外箱50は、その底面部50aをほぼ平面として、添付の図9にも示すように、当該外箱50単体をほぼ垂直に置けるように構成されている。換言すれば、外箱50自体の製造工程時や製品の一時保管時等において、上記図9に示すように、外箱50単体自体でほぼ垂直に保管できるように、その底面部50aをほぼ平面とし、且つ、その背面板53と左右側面板52とを一枚の鋼板によって形成されている。
以上のように構成されていることから、本発明の第4の実施例によれば、外箱50単体での垂直強度が、例えば、図15に示したような従来技術になるU字形や逆U字形(外箱の天井板と側面板左右とを一枚の鋼板によって形成したもの)よりも大きくなることから、外箱50自体の製造工程時や、その一時保管時等における安定性が良く、そのため、そのハンドリング性が向上するという効果が得られる。また、外箱50単体での垂直強度が、従来のU字形や逆U字形よりも大きいので、断熱箱体40としての積載強度が向上する。そのため、その倉庫保管時や車載時の積み重ね加重による変形が少ない冷蔵庫を提供することが可能となる。更には、外箱50単体での垂直強度が従来のU字形や逆U字形より大きいので、前述した断熱材48自体との接着強度を低減しても、又は、断熱材48自体との接着を省略しても、倉庫保管時や車載時の積み重ね加重による変形が少ない冷蔵庫を提供することができる。
ところで、一般の家庭用冷蔵庫、例えば、定格内容積100〜500リットルクラスのものに於いては、通常、その内箱の高さ寸法H12(添付の図14のH12)より、内箱の奥行き深さ寸法H11(上記図8に示すH11)の方が小さい。従って、本発明による外箱50と内箱41との組合せ時には、当該外箱50内に挿入する内箱41の挿入代、つまり、奥行き深さ寸法H11(上記図8に示すH11)を、従来の図14のH12寸法に比較して、小さくすることが出来る。これにより、外箱50と内箱41との組合せ時の作業工程が容易となり、その分製造コスト上有利な冷蔵庫を提供できる。
最後に、本発明の第5の実施例について、添付の図10及び図11を参照しながら説明する。なお、図10は本発明の第5の実施例になる冷蔵庫おける箱体と扉の関係位置説明図(その1)であり、図11は本発明の第5の実施例における箱体と扉の関係位置説明図その2である。なお、ここでも、前述した実施例と同一構成については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
先ず、添付の図10に於いて、点線にて表示した扉90は、上述した実施例になる冷蔵庫を構成するものであり、上述した断熱箱体40側に固定された、ここでは図示しないヒンジの回動軸90aにより、回動可能に軸支されることにより、前記断熱箱体40の前面開口シール面51に取り付けられたパッキング75を介して、開閉可能に閉塞するように構成されている。そして、図に二点鎖線で示す扉80は、参考のために表示した従来技術になる扉であり、当該断熱箱体40側に固定された、やはり図示しないヒンジの回動軸80aにより、回動可能に軸支されることにより、前記断熱箱体40の前面開口シール面51に取り付けられたパッキング75を介して、開閉可能に閉塞するように構成されている。
次に、上述した構成において、従来技術になる扉80の寸法関係を説明すると、当該従来技術の扉80の幅寸法W80は、ほぼ従来の断熱箱体のシール面51の幅寸法V80と同様に、つまり、断熱箱体40の前面側幅寸法V80とほぼ同じ大きさ寸法に設定される。そして、ヒンジの回動軸80aの扉側の端面80cや、扉の表端面80dからの位置W81やW82は、当該ヒンジの回動軸80a自体の強度や扉80自体の強度によって、予め設定された所定の寸法に設定されている。なお、扉80を開放角度90度に開放したときに、扉の表端面80dが、断熱箱体40の前面側幅寸法V80よりはみ出すことのないように、前記寸法W81=W82と設定することも可能である。
一方、断熱箱体40の前面開口シール面51は、当該シール面51と、パッキング75に内蔵される磁石等との間の吸着力を強めるため、通常、塗装された鋼板等、磁性材料にて構成される。従って、当該シール面51を構成する部材の熱伝導率は比較的大きくなるために、当該シール面51の幅寸法V51は出来るだけ小さい寸法に設定される。従って、ヒンジの回動軸80aからパッキングのシール面75aまでの離隔位置寸法L80は、あまり大きくない所定の寸法L80に設定されることは当業者のよく知るところである。
また、上記断熱箱体のシール面51や扉体のシール面90bの製造上の反りやうねり等を吸収するため、更には、シール面51と扉体のシール面90bとの間隙寸法D11自体の製造誤差等を吸収するために、パッキング75の無加重高さ寸法D13は、上記扉とそのシール面との間隙寸法D11より所定の寸法D12分だけ大きい寸法に設定されることも、やはり、当業者のよく知るところである。
従って、従来技術になる冷蔵庫では、開放した扉80を回動して閉じる際に、パッキングのシール面75aの軌跡は、図のR80で示すようになり、扉を完全に閉じた時のパッキングのシール面75aの設定位置よりδ80だけ手前で、当該パッキング75とシール面51が当接してしまうこととなる。つまり、図11(b)にも示したように、扉開放角度Θ80のときにパッキング75とシール面51が当接してしまい、そのため、扉が完全に閉じるとき(Θ80=0のとき)には、δ80寸法分だけ、パッキングのシール面75aが断熱箱体のシール面51との摩擦によって、ねじり応力を受けることになる。換言すれば、冷蔵庫の扉80の開閉の度に、パッキングのシール面75aが、断熱箱体のシール面51との摩擦によってねじり応力を受けることから、当該パッキング75の磨耗や変形が促進されてしまうこととなる。
そこで、本発明では、上記摩擦によってねじり応力を受ける原因となる上記δ80寸法を出来るだけ小さくして、もって、パッキング75の磨耗や変形の促進をより小さくなるようにしたものである。以下、本発明の一実施例を、同図において点線で表示した扉90により説明する。
本発明になる断熱箱体40では、当該断熱箱体40のシール面51の幅寸法V80に比較し、ヒンジ側の側面板52aを凸状に、即ち、寸法V89だけヒンジ側に膨らまして形成されている。そして、本発明になる扉90の幅寸法W90は、前記ヒンジ側の側面板52aを凸状にヒンジ側に膨らました後の前記断熱箱体40の幅寸法V90(V90=V80+V89)とほぼ同じ幅寸法に設定されている。加えて、本発明になる扉90のヒンジ回動軸90aの扉側端面90cや、扉表端面90dからの位置、W91やW92は、当該ヒンジの回動軸90a自体の強度や、当該扉90自体の強度によって、ほぼ、前述したW81やW82と同じ寸法に設定されている。
従って、ヒンジの回動軸90aからパッキングのシール面75aまでの離隔寸法L90は、従来の寸法L80より大きくすることが出来る。即ち、例えば、本例では、L90=L80+L89・・・・(L89=W89=V89)のように、上記従来の寸法L80よりも、前述したヒンジ側の側面板52aの凸状寸法V89分だけ、大きく設定することが可能となる。
なお、ここで、扉90とそのシール面との間隙寸法D11やパッキング75の無加重高さ寸法D13(D13=D11+D12)を従来例と同一と仮定すれば、開放した扉90を回動して閉じる際には、パッキングのシール面75aの軌跡は、同図においてR90により示すようになる。即ち、扉を完全に閉じた時点でのパッキングのシール面75aの設定位置よりも、寸法δ90(δ90<δ80)だけ手前で、当該パッキング75とシール面51とが当接することになる。従って、本発明の第5の実施例になる冷蔵庫では、図11(a)に示したように、扉の開放角度Θ90(Θ90<Θ80)のときにパッキング75とシール面51が当接して、扉が完全に閉じるまで(Θ90=0のときまで)上記δ90寸法分だけ、パッキングのシール面75aが断熱箱体のシール面51との摩擦によってねじり応力を受けることに成るが、しかしながら、当該δ90寸法は従来のδ80寸法より小さく設定されることから、上記パッキング75の磨耗や変形を小さくすることが出来る。
以上に詳細に説明したように、本発明になる冷蔵庫は、外箱を構成する背面板と側面板との稜線部を断熱材側に凹ませるようにし、当該稜線部を、圧縮機或いは放熱器の放熱通路としたので、冷蔵庫を壁面等に密着して設置した場合にも、換言すれば、その設置場所によらず、前記稜線部が圧縮機又は放熱器の放熱通路として利用することが可能となることから、放熱性能の低下の程度が少ない冷蔵庫を提供できる。更に、本発明は、上述した冷蔵庫に限定されることなく、同様に、その内部に収納した圧縮機又は放熱器を使用する業務用ショウケース、或いは、業務用冷蔵庫等(即ち、本発明で言う冷蔵庫)へも適用することが可能である。
本発明の第1の実施例における冷蔵庫の要部説明する縦断面図である。 上記図1におけるA−A線断面説明図である。 上記図2におけるB−B線断面説明図である。 上記第1の実施例になる冷蔵庫を設置した状態を説明する平面図である。 本発明の第2の実施例になる冷蔵庫を示すための断熱箱体の断面図であり、上記図3のC部に相当する部分の拡大断面図である。 本発明の第3の実施例になる冷蔵庫を示すための断熱箱体の断面図である。 本発明の第4の実施例になる冷蔵庫の斜視図である。 上記第4の実施例になる冷蔵庫おける、内箱と外箱との組み込み関係を説明する図である。 本発明の第4の実施例になる冷蔵庫の断熱箱体の斜視図である。 本発明の第5の実施例になる冷蔵庫おける箱体と扉の位置関係を説明する一部拡大断面図である。 上記本発明の第5の実施例になる冷蔵庫おける箱体と扉の動作を説明するための一部拡大断面図である。 従来技術になる冷蔵庫の斜視図とその要部断面図である。 他の従来技術になる冷蔵庫の斜視図とその要部断面図である。 更に他の従来技術になる冷蔵庫の箱体構成を示す展開斜視図である。 更に他の従来技術になる冷蔵庫の箱体構成を示す展開斜視図である。
符号の説明
30…冷蔵庫本体、31…機械室、31a…機械室の吸込み口、31b…機械室の吐出口、32…圧縮機、33…放熱器、34…露受皿、35…背面カバー、35a…開口スリット、36…冷却器、37…送風機、40…断熱箱体、41…内箱、41a…内箱フランジ、42…天井板、43…底板、44…機械室上板、45…上部前板、46…中前板、47…下部前板、48…断熱材、50…外箱、50a…外箱底面部、51…シール面、52…側面板、52a…ヒンジ側側面板、53…背面板、54…背面板と側面板との稜線部、55…挟持部、56、57…平面部、60…ヒンジ、71…冷蔵温度室、72…冷凍温度室、73、74、80、90…扉、75…パッキング、75a…パッキングのシール面、80a、90a…ヒンジの回動軸、80c、90c…扉側端面、80d、90d…扉表端面、90b…扉体のシール面。

Claims (5)

  1. 断熱箱体を、扉のシール面を有する外箱と、合成樹脂等にて形成した内箱と、前記外箱と内箱との間に設けた断熱材とで構成し、当該断熱箱体の下部に冷凍サイクルの少なくとも圧縮機或いは放熱器を設置し、かつ、前記放熱器の放熱通路を前記断熱箱体の背面側に設けた冷蔵庫において、
    前記外箱を構成する背面板とその両側の側面板とを一枚の鋼板によって形成すると共に、前記背面板及び前記側面板の外郭を所定の曲率半径の曲面で形成し、かつ、前記背面板及び前記側面板の外郭の曲率半径よりも小さい曲率半径の曲面で形成し、もって、当該背面板及び当該側面板とで形成される稜線部を内側に凹ませるように、当該稜線部を、前記圧縮機或いは放熱器の放熱通路としたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記請求項1に記載した冷蔵庫において、前記背面板及び前記側面板の外郭を、前記背面板及び前記側面板の外郭の曲率半径よりも小さい曲率半径の曲面に代えて、平面で形成し、もって、当該背面板及び当該側面板とで形成される稜線部を内側に凹ませるように、当該稜線部を、前記圧縮機或いは放熱器の放熱通路としたことを特徴とする冷蔵庫。
  3. 前記請求項1記載に記載した冷蔵庫において、前記内箱を真空成形等にて形成し、当該内箱の背面部と側面部とを結ぶ稜線部を予め設定した成形性の良い大きさの曲面または曲面に近い面とすると共に、当該稜線部の背面板と側面板とが近づくように、前記背面板と前記側面板との稜線部を所定の大きさの曲面または曲面に近い面としたことを特徴とする冷蔵庫。
  4. 前記請求項1記載に記載した冷蔵庫において、前記外箱の上部及び下部に曲面又は曲面に近い面を持つ天井板及び底面板を装着すると共に、前記シール面の左右を連結するように上部前板と下部前板とを設けたことを特徴とする冷蔵庫。
  5. 前記請求項4記載に記載した冷蔵庫において、前記扉のシール面裏面に内箱フランジを挟持する挟持部を設けると共に、前記外箱内に前記内箱を組み込む時には、前記外箱を構成する側面板左右を上記曲面または曲面に近い面を利用して撓ませることにより前記シール面の開口寸法を広げて、該開口部より前記内箱を挿入することにより前記挟持部に内箱フランジを挟持するようにしたことを特徴とする冷蔵庫。
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