JP3873792B2 - 圧力センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力検出用のセンサ素子を、該センサ素子と外部とを接続するためのターミナルを有するケースに搭載してなる圧力センサに関し、特に、耐EMC(Electromagnetic Compatibility)性向上のためのコンデンサを備える圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の圧力センサとしては、特開平7−243926号公報に記載のものが提案されている。このものは、圧力検出用のセンサ素子と、該センサ素子を搭載するとともに該センサ素子の外部接続用の複数個のターミナルを内蔵するケースとを備えるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような圧力センサにおいては、EMC(ElectromagneticCompatibility)耐性が低く、電磁波の照射等によってセンサ素子にノイズ電流が流れ、誤動作を生じるという問題がある。
【0004】
この問題に対して、一般には、センサ素子を構成する半導体チップ内の回路に対して、ノイズ電流を緩和するためのコンデンサを組み込むことが行われている。しかし、上記ノイズ電流の緩和効果を向上させるために容量の大きいコンデンサを形成しようとすると、センサ素子自体が大きくなってしまい、限られたスペースの中では限度がある。
【0005】
そのような点を鑑みて、圧力センサにおけるセンサ素子以外の部位、具体的にはケースの適所にノイズ電流緩和用のコンデンサを配設したものが、従来より製品化されている。このような圧力センサのケース部分の断面構成を図10に示す。
【0006】
図10に示すように、ケース100は樹脂にて一体成形されたものであり、ターミナル200がインサート成形されてケース100に埋設固定されている。そして、ターミナル200はケース100における一端面側に突出しており、ケース100に形成された中空部としてのコネクタ部110内に位置している。
【0007】
このコネクタ部110は、ターミナル200における突出部の先端を外部と電気的に接続するためのものである。また、図示しないが、ケース100における上記一端面と対向する他端面側にはセンサ素子が搭載されており、当該他端面側にて、ターミナル200とセンサ素子とはワイヤボンディング等により電気的に接続されている。
【0008】
そして、図10に示すように、ケース100内にてターミナル200から枝分かれした分岐部210が設けられている。また、この分岐部210におけるケース100の一端面から露出する部位には、各ターミナル200間を電気的に接続するように、コンデンサ300が設けられている。また、コンデンサ300はポッティング樹脂400によって包み込まれて封止されている。
【0009】
しかしながら、この図10に示す圧力センサにおいては、コンデンサ300の実装面であるケース100の一端面の径D1’が、コネクタ部110の内径D2’よりも小さい。
【0010】
そのため、EMC耐性をより向上させるべく、容量すなわちサイズの大きいコンデンサ300を搭載しようとしても、コンデンサの実装面積が限られているため困難である。また、コネクタ部110は、相手側の接続部材との関係からサイズや形状が限られるため、このような一体成形されたケース100においては、コネクタ部110とは独立してコンデンサ実装部分の面積を大きくするには制約がある。
【0011】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、センサ素子を搭載し且つセンサ素子を外部接続するためのターミナルを有するケースを備えた圧力センサにおいて、当該ケースに容量の大きなコンデンサを適切に組み付けることができるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1のケース(11)と、第1のケースにおける第1の面(11a)側に搭載された圧力検出用のセンサ素子(40)と、第1のケースに埋設されて固定されセンサ素子と電気的に接続されたターミナル(20)と、第1のケースにおける第1の面と対向する第2の面(11b)を覆うように第1のケースに組み付けられた中空筒状の第2のケース(12)とを備え、ターミナルは、第2の面(11b)から第2のケースにおける中空部に突出し、その突出部の先端にて外部と電気的に接続されるようになっており、ターミナルから枝分かれするとともに第1のケースに埋設されて固定された分岐部(21)が形成されており、分岐部の一部が第2の面に露出した露出部(22)となっており、分岐部の露出部に、センサ素子へのノイズ電流を緩和するためのコンデンサ(60)が搭載され電気的に接続されており、第1のケースにおける第2の面の径(D1)が、前記第2のケースの中空部のうち前記ターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径(D2)よりも大きくなっていることを特徴とする。
【0013】
それによれば、圧力センサにおけるケース(10)を、第1のケース(11)と第2のケース(12)とを組み合わせたものとすることにより、コンデンサ(60)の実装部とコネクタ部とが独立して成形されたケース構成を実現することができる。
【0014】
それにより、コンデンサの実装部である第1のケース(11)においては、コンデンサの実装面である第2の面(11b)を、コネクタ部である第2のケース(12)のサイズや形状とは無関係に大きくすることが容易となる。
【0015】
そのため、本圧力センサでは、コンデンサの実装面である第2の面(11b)の径(D1)を、第2のケースの中空部のうちターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径(D2)すなわちコネクタ部の径よりも大きくしたものとすることが容易に実現できる。
【0016】
よって、本発明によれば、センサ素子を搭載し且つセンサ素子を外部接続するためのターミナルを有するケースを備えた圧力センサにおいて、当該ケースに容量の大きなコンデンサを適切に組み付けることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明では、第1のケース(11)と、第1のケースにおける第1の面(11a)側に搭載された圧力検出用のセンサ素子(40)と、第1のケースに埋設されて固定されセンサ素子と電気的に接続されたターミナル(20)と、第1のケースにおける第1の面と対向する第2の面(11b)を覆うように第1のケースに組み付けられた中空筒状の第2のケース(12)とを備え、ターミナルは、第2の面(11b)から第2のケースにおける中空部に突出し、その突出部の先端にて外部と電気的に接続されるようになっており、ターミナルから枝分かれするとともに第1のケースに埋設されて固定された分岐部(21)が形成されており、分岐部の一部が第2の面に露出した露出部(22)となっており、分岐部の露出部に、センサ素子へのノイズ電流を緩和するためのコンデンサ(60)が搭載され電気的に接続されており、第2の面に露出した露出部の少なくとも一部が、第2のケースの中空部のうちターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径(D2)より外側の領域に配置されていることを特徴とする。
【0018】
それによっても、請求項1と同様に、コンデンサ(60)の実装部とコネクタ部とが独立して成形されたケース構成を実現することができるため、コンデンサの実装部である第1のケース(11)におけるコンデンサ実装面である第2の面(11b)を、コネクタ部である第2のケース(12)のサイズや形状とは無関係に大きくすることが容易となる。
【0019】
そのため、本圧力センサでは、コンデンサの実装面である第2の面(11b)に露出したターミナル分岐部の露出部(22)の少なくとも一部を、第2のケースの中空部のうちターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径(D2)すなわちコネクタ部の径よりも外側の領域に配置することが容易に実現できる。
【0020】
よって、本発明によれば、センサ素子を搭載し且つセンサ素子を外部接続するためのターミナルを有するケースを備えた圧力センサにおいて、当該ケースに容量の大きなコンデンサを適切に組み付けることができる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る圧力センサS1の全体概略を示す断面図である。この圧力センサS1は例えば車両に搭載され車両のエアコン冷媒の圧力を検出するものに適用することができる。
【0023】
また、図2は、図1中のケース10単体の断面図であり、ケース10を第1のケース11と第2のケース12とに分割した状態で示している。また、図3(a)は図2中のA矢視図、図3(b)は第1のケース11に埋設固定されたターミナル20の埋設状態の一例を示す断面図である。
【0024】
さらに、図4(a)は、第1のケース11にチップコンデンサ(本発明でいうコンデンサ)30を搭載した状態を示す断面図であり、(b)は(a)のB矢視図である。なお、図2および図4(a)では、第1のケース11内に埋設された部分のターミナル20は省略してある。
【0025】
図1、図2に示すように、ケース10は第1のケース11と第2のケース12とを組み合わせたものである。これら第1および第2のケース11、12は、それぞれ、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を一回の型成形することにより作られた一体成形体である。
【0026】
図示例では、第1のケース11は段付円柱状をなしている。第1のケース11の一端側に凹部13が形成されており、この凹部13内に圧力検出用のセンサ素子40が搭載されている。ここで、第1のケース11の一端側に位置する凹部13の底面を第1の面11aとし、第1のケース11において第1の面11aと対向する他端側の面を第2の面11bとする。
【0027】
また、第1のケース11には、金属等からなるターミナル20が埋設されて固定されている。本例では、3本のターミナル20が設けられており、各ターミナル20は、第1のケース11の軸方向に沿って第1のケース11を貫通している。そして、各ターミナル20の一端部は第1の面11aに突出し、各ターミナル20の他端部は第2の面11bに突出している。
【0028】
ここで、本例の3本のターミナル20は、センサ素子40の入力信号Vcc用端子、出力信号Vout端子、接地GND用端子に応じて設けられたものである。本例では、各ターミナル20は、図3(a)や図4(b)に示すように、入力信号Vcc用、出力信号Vout用、接地GND用に振り分けられている。
【0029】
一方、各ターミナル20の一端部は、図1に示すように、第1のケース11の凹部13内にて、センサ素子40に対してワイヤ50によって結線され電気的に接続されている。このワイヤ50は金やアルミ等のワイヤボンディング等により形成されたものである。また、凹部13内に突出するターミナル20の根元部周囲はシリコンゴム等からなるシール剤55にて封止されている。
【0030】
ここで、センサ素子40は、受けた圧力を電気信号に変換しこの電気信号をセンサ信号として出力するタイプのものである。限定するものではないが、本例のセンサ素子40は、受圧面としてのダイヤフラムを有する半導体ダイヤフラム式のものである。
【0031】
このセンサ素子40は、シリコン半導体基板等に形成されたダイヤフラムをガラス等よりなる台座41に陽極接合等により一体化したものである。そして、センサ素子40は、その台座41にて凹部13の底面すなわち第1の面11aに接着されている。
【0032】
また、各ターミナル20の他端部側は、第2の面11bから突出しており、その突出部の先端にて外部の配線部材等と接続可能となっている。そして、各ターミナル20には、各ターミナル20における第1のケース11への埋設部から枝分かれした分岐部21が形成されている。
【0033】
図1、図3に示すように、この分岐部21は、その枝分かれ部すなわち根元部分が第1のケース11に埋設されて固定された形となっている。そして、分岐部21の一部、本例では分岐部21の終端部側の一部が、第1のケース11の第2の面11bに露出した露出部22となっている。なお、図3(a)、図4(b)において、露出部22以外の分岐部21の部分は破線にて模式的に示してある。
【0034】
そして、図1、図4に示すように、第1のケース11の第2の面11bにおいては、分岐部21の露出部22に、センサ素子40へのノイズ電流を緩和するためのチップコンデンサ60が搭載されている。このチップコンデンサ60は、露出部22にAgペーストやはんだ等の導電性の接続部材を用いて電気的に接続されている。
【0035】
本例では、2個のチップコンデンサ60が設けられており、個々のチップコンデンサ60が、2箇所の露出部22をつないだ形となっている。本例では、図4(b)に示すように、出力信号Vout用のターミナル20をコモン(共通)として2個のチップコンデンサ60を搭載している。
【0036】
このように、センサ素子40を搭載し且つターミナル20を内蔵し固定した第1のケース11は、樹脂にて一体成形されたものであり、ターミナルから枝分かれする分岐部21が埋設されて固定されており、分岐部21の露出部22にチップコンデンサ60が搭載されたものとなっている。
【0037】
そして、第1のケース11における他端側には、第2のケース12が超音波用着等により接合されている。本例の第2のケース12は略円筒状であって、実際に外部と接続を行うコネクタ部として構成されている。そして、この第2のケース12の中空部にターミナル20の他端部が突出して延びた形となっている。
【0038】
また、この第2のケース12によって、第1のケース11の第2の面11bが覆われて外部から隠された形となっている。それによって、チップコンデンサ60の外部への露出度が小さくなり、異物の侵入等によるチップコンデンサ60への悪影響が抑制できる。
【0039】
ここにおいて、図1に示すように、第1のケース11における第2の面11bの径D1が、チップコンデンサ60が実装されるコンデンサ実装面の径D1であり、ターミナル20における突出部の先端が位置する第2のケース12の中空部の内径D2が、外部と接続されるコネクタ部の内径D2である。そして、本実施形態では、コンデンサ実装面の径D1がコネクタ部の内径D2よりも大きくなっている。
【0040】
次に、上記図1に示すように、第1のケース11の一端側には、ハウジング70が組み付けられている。このハウジング70は、例えばめっきを施した炭素鋼等の鉄鋼材料等よりなる段付円筒状をなす。ハウジング70は、自動車のエアコン配管からエアコン冷媒が導入される圧力導入孔71と、圧力センサS1をエアコン配管等に固定するためのネジ部72とを有する。
【0041】
更に、ハウジング70における第1のケース11側には、圧力導入孔71の開口部を覆うように、例えばステンレス等の薄い金属製のメタルダイアフラム80が設けられている。このメタルダイアフラム80は、例えばステンレス等の金属からなる押さえ部材(リングウェルド)81を介してハウジング70に全周溶接され、気密接合されている。
【0042】
このハウジング70は、図1に示す様に、ハウジング70における第1のケース側の端部73を第1のケース11の一端側にかしめることにより、第1のケース11と固定され一体化されている。こうして組み合わせられた第1のケース11とハウジング70において、第1のケース11とメタルダイアフラム80との間で、圧力検出室90が構成されている。
【0043】
この圧力検出室90には、図示しないが、圧力伝達媒体であり封入液であるオイル(フッ素オイル等)が封入されている。このオイルの封入により、凹部13にはセンサ素子40及びワイヤ50等の電気接続部分を覆うようにオイルが充填され、更に、オイルはメタルダイアフラム80により覆われて封止された形となる。
【0044】
また、圧力検出室90の外周囲には、環状の溝91が形成され、この溝91内には、圧力検出室90を気密封止するためのOリング92が配設されている。このOリング92は、第1のケース11と押さえ部材81とにより挟まれて押圧されている。こうして、メタルダイアフラム80とOリング92とにより圧力検出室90が封止され閉塞されている。
【0045】
かかる圧力センサS1の基本的な圧力検出動作について述べる。圧力センサS1は、例えば、ハウジング70のネジ部72によって、車両におけるエアコン配管系の適所に、該配管系内部と連通するように取り付けられる。そして、該配管系内のエアコン冷媒がハウジング70の圧力導入孔71より圧力センサS1内に導入される。
【0046】
すると、このエアコン冷媒の圧力がメタルダイアフラム80から圧力検出室90内の上記オイルを介して、センサ素子40の表面に印加される。そして、印加された圧力に応じた電気信号がセンサ信号として、センサ素子40から出力される。このセンサ信号は、センサ素子40からワイヤ50、ターミナル20を介して、外部の回路等へ伝達され、エアコン冷媒の圧力が検出される。
【0047】
ここで、上記圧力センサS1においては、例えば、電磁波の照射等によってケース10の外部からノイズ電流がターミナル20、ワイヤ50を介してセンサ素子40へ注入される場合がある。
【0048】
ここにおいて、本実施形態では、センサ素子40と電気的に接続されているターミナル20に対して、分岐部21を介してチップコンデンサ60を搭載しており、それによって、センサ素子40に流れるノイズ電流を緩和するようにしている。
【0049】
つまり、外部からのノイズ電流は、出力信号Vout用のターミナル20や入力信号Vcc用のターミナル20を通してセンサ素子40へ注入されるが、センサ素子40と外部との間にチップコンデンサ60が介在した形となっているため、このノイズ電流をチップコンデンサ60により吸収することができる。そのため、本実施形態によれば、耐EMC性を向上させることができる。
【0050】
次に、上記圧力センサS1の製造方法について、図5〜図8に示す断面図も参照して述べる。
【0051】
まず、上記図2および図3(a)に示す状態の第1のケース11を用意する。この第1のケース11は、ターミナル20をインサート成形することにより一体成形される。
【0052】
そして、この第1のケース11の第2の面11bにチップコンデンサ60を搭載し、Agペースやはんだ等によりチップコンデンサ60と露出部22とを電気的に接続する。ここまでの状態が上記図4に示される。
【0053】
次に、図5、図6に示すように、チップコンデンサ60が搭載された第1のケース11と第2のケース12とを組み付けて、両ケース11、12との接触部にて超音波溶着させる。これにより、ケース10が形成される。
【0054】
次に、図7に示すように、第1のケース11の凹部13の底面すなわち第1の面11aにセンサ素子40を接着固定し、シール剤(接着剤)55を注入し、ワイヤボンディングを行ってターミナル20とセンサ素子40とをワイヤ50で結線する。また、Oリング92を組み付ける。そして、センサ素子40側を上にして第1のケース11を配置し、第1のケース11の上方から、ディスペンサ等により上記オイルを一定量注入する。
【0055】
また、一方、図8に示すように、ハウジング70に対して、押さえ部材81およびメタルダイアフラム80を全周溶接して、ハウジング70と一体化させる。そして、上記図7に示すアッシーに対して、このハウジング70を上から水平を保ったまま、第1のケース11に嵌合するように降ろす。この状態のものを真空室に入れて真空引きを行い圧力検出室90内の余分な空気を除去する。
【0056】
その後、第1のケース11とハウジング70の押さえ部材81とが十分接するまで押さえ、メタルダイアフラム80とOリング92とによりシールされた圧力検出室90を形成する。次に、ハウジング70における端部73を第1のケース11の一端側にかしめることによりケース10とハウジング70とを一体化する。こうして、上記図1に示す圧力センサS1が完成する。
【0057】
ところで、本実施形態によれば、ケース10を、第1のケース11と第2のケース12とを組み合わせたものとすることにより、チップコンデンサ60の実装部とコネクタ部とが独立して成形されたケース構成を実現することができる。
【0058】
それにより、チップコンデンサ60の実装部である第1のケース11においては、コンデンサ実装面である第2の面11bを、コネクタ部である第2のケース12のサイズや形状とは無関係に大きくすることが容易となる。
【0059】
そのため、本圧力センサS1では、コンデンサ実装面である第2の面11bの径D1を、第2のケース12の中空部のうちターミナル20における突出部の先端が位置する部分の内径D2すなわちコネクタ部の径D2よりも大きくしたものとすることが容易に実現できる。
【0060】
そして、本圧力センサS1では、コンデンサ実装面である第2の面11bに露出したターミナル分岐部の露出部22の少なくとも一部を、第2のケース12の中空部における上記内径D2すなわちコネクタ部の径D2よりも外側の領域に配置することが容易に実現できる。
【0061】
よって、本実施形態によれば、センサ素子40を搭載し且つセンサ素子40を外部接続するためのターミナル20を有するケース10を備えた圧力センサS1において、コネクタ部のサイズや形状を極力変更することなく、当該ケース10に容量すなわちサイズの大きなチップコンデンサ60を適切に組み付けることの可能な構成を提供することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、分岐部21の根元部分が第1のケース11に埋設され固定された状態で、分岐部21の露出部22にチップコンデンサ60を組み付けて搭載することができる。そのため、当該組み付け時に分岐部21が変形したり、振れたりすることがなくなり、第1のケース11にチップコンデンサ60を適切に組み付けることができる。
【0063】
また、本実施形態では、このようにターミナル20および分岐部21が第1のケース11にしっかりと固定されているため、第2のケース12を超音波溶着する際にも、その振動等によって発生する応力を受けて分岐部11が変形したりすることを防止できる。
【0064】
なお、ケース10にチップコンデンサ60を設けることで、センサ素子40に設ける場合に比べて、容量の大きいチップコンデンサを用いることができる。しかし、ケース10のうちセンサ素子40の搭載部周辺は、メタルダイアフラム80によるオイル封止やワイヤボンディング等が行われる部分であり、この部分にて容量の大きいチップコンデンサを配置しようとしても、体格の大型化や構成の複雑化を招く等の制約が多く、容易ではない。
【0065】
その点、本実施形態では、ケース10の途中部に、コンデンサ60を設けている。このコンデンサ搭載部は、ケース10のうちセンサ素子40の搭載部や外部接続部であるコネクタ部としての第2のケース12といった部位の形状に依存することのない部分であり、形状や大きさの自由度が高い。したがって、より大きなチップコンデンサ60が搭載可能となっている。
【0066】
特に、図1に示す例では、分岐部21の枝分かれの方向は、ターミナル20の軸よりも外方に向かう方向となっている。そのため、各ターミナル20が密集している場合でも、容量すなわちサイズの大きいチップコンデンサ60を搭載するスペースを容易に確保することができる。
【0067】
また、本実施形態では、第1のケース11の第2の面11bは、第2のケース12によって覆われているため、第2の面11bに搭載されたチップコンデンサ60が、第2のケース12にて覆われた形となっており、異物等の侵入によるチップコンデンサ60への悪影響を抑制しやすくなっている。
【0068】
そして、この超音波溶着は、上記図10に示した従来の圧力センサのようにチップコンデンサ60の保護のために樹脂封止を行う場合に比べて、手間がかからず簡単に行えるため、製造工程の面からもコストダウンが期待される。
【0069】
なお、本実施形態において、チップコンデンサ60のさらなる保護を図るために、チップコンデンサ60を樹脂等にて被覆するようにしても良い。
【0070】
(他の実施形態)
なお、上記図4(b)に示す例では、出力信号Vout用のターミナル20をコモン(共通)として2個のチップコンデンサ60を搭載しているが、図9に示すように、接地用のターミナル20をコモン(共通)として2個のチップコンデンサ60を搭載しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサの全体概略断面図である。
【図2】図1中のケースの単体構成図であって当該ケースを第1のケースと第2のケースとに分割した状態で示す断面図である。
【図3】(a)は図2中のA矢視図、(b)は第1のケースに埋設固定されたターミナルの埋設状態を示す断面図である。
【図4】(a)は第1のケースにチップコンデンサを搭載した状態を示す断面図であり、(b)は(a)のB矢視図である。
【図5】図1に示す圧力センサの製造方法を示す工程図である。
【図6】図5に続く製造方法を示す工程図である。
【図7】図6に続く製造方法を示す工程図である。
【図8】図7に続く製造方法を示す工程図である。
【図9】チップコンデンサの接続構成の他の例を示す図である。
【図10】ケースにチップコンデンサを内蔵させた従来の圧力センサの概略断面図である。
【符号の説明】
11…第1のケース、11a…第1の面、11b…第2の面、
12…第2のケース、20…ターミナル、21…分岐部、22…露出部、
40…センサ素子、60…チップコンデンサ、D1…第2の面の径、
D2…第2のケースの中空部のうちターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径。
Claims (2)
- 第1のケース(11)と、
前記第1のケースにおける第1の面(11a)側に搭載された圧力検出用のセンサ素子(40)と、
前記第1のケースに埋設されて固定され、前記センサ素子と電気的に接続されたターミナル(20)と、
前記第1のケースにおける前記第1の面と対向する第2の面(11b)を覆うように前記第1のケースに組み付けられた中空筒状の第2のケース(12)とを備え、
前記ターミナルは、前記第2の面(11b)から前記第2のケースにおける中空部に突出し、その突出部の先端にて外部と電気的に接続されるようになっており、
前記ターミナルから枝分かれするとともに前記第1のケースに埋設されて固定された分岐部(21)が形成されており、
前記分岐部の一部が前記第2の面に露出した露出部(22)となっており、
前記分岐部の露出部に、前記センサ素子へのノイズ電流を緩和するためのコンデンサ(60)が搭載され電気的に接続されており、
前記第1のケースにおける前記第2の面の径(D1)が、前記第2のケースの中空部のうち前記ターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径(D2)よりも大きくなっていることを特徴とする圧力センサ。 - 第1のケース(11)と、
前記第1のケースにおける第1の面(11a)側に搭載された圧力検出用のセンサ素子(40)と、
前記第1のケースに埋設されて固定され、前記センサ素子と電気的に接続されたターミナル(20)と、
前記第1のケースにおける前記第1の面と対向する第2の面(11b)を覆うように前記第1のケースに組み付けられた中空筒状の第2のケース(12)とを備え、
前記ターミナルは、前記第2の面(11b)から前記第2のケースにおける中空部に突出し、その突出部の先端にて外部と電気的に接続されるようになっており、
前記ターミナルから枝分かれするとともに前記第1のケースに埋設されて固定された分岐部(21)が形成されており、
前記分岐部の一部が前記第2の面に露出した露出部(22)となっており、
前記分岐部の露出部に、前記センサ素子へのノイズ電流を緩和するためのコンデンサ(60)が搭載され電気的に接続されており、
前記第2の面に露出した露出部の少なくとも一部が、前記第2のケースの中空部のうち前記ターミナルにおける突出部の先端が位置する部分の内径(D2)より外側の領域に配置されていることを特徴とする圧力センサ。
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