JP3873519B2 - インクジェットインキの製造方法、インクジェットインキ及びその利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、卵殻表面にマーキングするのに適したインクジェットインキ、それを用いた卵殻表面へのマーキング方法、ならびにマーキングした卵に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製造年月日、食品類への消費期限または,品質保持期限(賞味期限を含む)等の表示が必要とされている。このような状況において,食品の通常は食べないような部分、例えば鶏卵の卵殻に、製造年月日等をマーキングすることは,卵の衛生的な取扱いに有効である。鶏卵の卵殻への製造年月日等の表示は、鶏卵の生産、流通、販売段階での細菌汚染の対策に役立ち、購買者へ安心感を与えることにもなる。
【0003】
一方、従来より、食品等の缶詰、パックに製造年月日やロット番号を記録するためにインクジェットプリンターや熱転写プリンターが使われている。これらのプリンターは、可変情報をダイレクトに記録できるため印刷の版を作成する必要がなく、コンピューターによる情報の変更が容易であり、生産現場において種々の用途展開がなされている。
【0004】
特に、インクジェットプリンターは、高速での印字ができ、必要なインキを吐出させるだけで消耗品の量が少量で済むことから、極めて広い範囲において使用されている。また、非接触で印字できるため卵殻へのマーキングに適している。インクジェットプリンターに用いられるインキとしては、食品添加物着色料である水溶性染料を水に溶解したものがあるが、充分な印字濃度が得られなかった。また、耐水性が劣り、水に接触する食品には使用できなかった。特に、鶏卵の場合は、水中で煮沸して茹で卵とすることもあり、煮沸時に卵殻表面のマーキングから水溶性染料が溶出して鶏卵および卵白を汚染し、卵の商品価値を著しく損なう恐れがあった。
【0005】
これに対して、耐水性に優れ、卵殻の表面に印字するのに適したインクジェットインキとして、特開昭53−127010号公報に、バインダがセラックであり、水およびアルコールから成る溶剤と銅クロロフィリンナトリウムを着色剤として含む緑色インク組成物が開示されている。しかし、該インク組成物は、インクジェットプリンターのノズル周辺にセラックの堆積を生じ、ノズルの目詰まりを起こすため、長期間にわたり安定して印字することができなかった。
【0006】
また、耐水性に優れたインクジェットインキとしては、油溶性染料をメチルエチルケトン、エタノール等の揮発性の溶剤に溶解したものや、さらにこれに塩酢ビ、キシレン樹脂、ブチラール樹脂等を溶解したインキもあり、速乾性インキとして広く用いられている。これらのインキは、耐水性に優れ、擦っても落ちないような耐性を有しているが、食品添加物で構成されていないため、食品に触れるような用途には使えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、長期間の連続印字を行ってもインクジェットプリンターのノズルの目詰まりを生じず、水性のインキでありながらも,黴の発生がなく,また,卵殻内部へのインキの浸透を生じるものでもないインクジェットインキの提供にある。
また,卵殻にマーキングした場合に水に濡れたり、煮沸等の調理操作を行っても着色料の溶出が少なく、見た目の嫌悪感を生じさせないようなインクジェットインキの提供を目的とする。
【0008】
また、本発明は、水に濡れたり、煮沸等の調理操作を行っても着色料の溶出による鶏卵および卵白の汚染が少なく、見た目の嫌悪感を生じさせないようなマーキングした卵、および卵殻へのマーキング方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、市販の鉄クロロフィリンナトリウム,銅クロロフィリンナトリウム,クロロフィリンナトリウムの少なくとも1種を用いるインクジェットインキの調整において,インキ製造時の特性のばらつきおよびインキの安定性においての問題に色素の不純物に起因する問題のあることをつかんだ。
また,色素の精製によりインキ吐出の安定性および経時での品質の安定性の向上とともに,マーキングの濃度の向上もえられることを見出し,本発明にいたった。
【0010】
すなわち本発明は、精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムから選択される少なくとも一種と、水とを混合するインクジェットインキの製造方法であって、
精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムが、
鉄クロロフィル、銅クロロフィルまたはクロロフィルを、
アセトンにて洗浄した後、
鉄クロロフィル、銅クロロフィルまたはクロロフィルの2倍量以上の水によって洗浄して得られることを特徴とするインクジェットインキの製造方法に関する。
本発明は、精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムから選択される少なくとも一種と、水とを混合するインクジェットインキの製造方法であって、
精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムが、
鉄クロロフィリン、銅クロロフィリンまたはクロロフィリンを、
アセトンにて洗浄した後、
鉄クロロフィリン、銅クロロフィリンまたはクロロフィリンの2倍量以上の水によって洗浄して得られることを特徴とするインクジェットインキの製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
鉄クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム,クロロフィリンナトリウムは,卵殻表面に対して強固な親和性を示す水溶性色素であり、これは,卵殻の成分である炭酸カルシウムに接触することで凝集を起こす。すなわち,カルシウムイオンと結合することで,水不溶性となり,卵殻表面での耐水性,耐摩擦性に優れ,水に浸漬したり,水中で煮沸しても溶出することがないマーキングを行うことが出来る。
さらに,鉄クロロフィリンナトリウムおよび銅クロロフィリンナトリウム,クロロフィリンナトリウムは,精製することにより,余剰の油脂,金属未反応生成物が除かれて,濃度の向上があり,また,不純物に起因する表面張力の低下,製造時の色素の溶解性不良,濾過の不良等が大幅に改良される。
【0016】
なお,鉄クロロフィリンナトリウムおよび銅クロロフィリンナトリウム,クロロフィリンナトリウムは,防黴性を有している。また,抗菌性も有している。したがって,コンティニュアスタイプのプリンターにおいても,インキ回収中に黴が混入しても,黴の繁殖がなく,黴に起因するノズルの目詰まり,プリンター配管内のフィルターの目詰まりを起こすことがない。
鉄クロロフィリンナトリウムおよび銅クロロフィリンナトリウム,クロロフィリンナトリウムはインキ中に0.1〜10重量%の範囲で含まれることが好ましい。含有量が0.1重量%より少ないと、印字濃度が不十分であり、また、コンティニュアスタイプのインクジェットプリンターで連続運転する場合に、黴の発生を充分に抑制することができず、ノズルの目詰まりを生じることがある。一方、含有量が10重量%を越えると、色素の溶解が十分でなく,インキの安定性が悪くなる傾向にある。
【0017】
鉄クロロフィリンナトリウムおよび銅クロロフィリンナトリウムの精製は,クロロフィルを鉄置換ないし銅置換し,鉄クロロフィルないし銅クロロフィルを生成させたのち,アセトン,n−ヘキサン,エタノール,石油エーテル等の1種にて洗浄精製を行う。
また,本発明では,さらに,鉄クロロフィリンナトリウム,銅クロロフィリンナトリウムが,鉄クロロフィル,銅クロロフィルの段階において,アセトン,n−ヘキサン,エタノール,石油エーテルから選択される溶剤にて精製し,その後,鉄クロロフィリンないし銅クロロフィリンの2倍量以上の水によって洗浄後,水酸化ナトリウムによって鉄クロロフィリンナトリウムないし銅クロロフィリンナトリウムとする方法にて得られる精製品が好ましい。
【0018】
このような精製は,クロロフィルの天然物の抽出の過程において残留する脂肪,リポイド,ステリン,カリチノイド色素,クロロフィル誘導体等の除去を行う。
本発明における鉄ないし銅クロロフィリンナトリウムの精製製造工程は,以下のような工程をたどる。
すなわち,クロロフィル含有ペーストをアセトンにて加温,溶解し,その後,水酸化カリウムによる鹸化をおこなう。鹸化物をアセトンにて洗浄し,水,アセトン,ヘキサンの順で洗浄し,溶剤を除く。その後,塩化第二鉄ないし銅によって,金属の置換を行い,金属置換したクロロフィルを沈澱により捕集する。
【0019】
この沈澱物を水洗後,ヘキサン,アセトンにて洗浄し,さらにこの乾燥品の水洗をおこなう。この水洗は,金属置換したクロロフィルの2倍量以上,このましくは,10倍量以上,さらにこのましくは,50倍量以上の水にて水洗する。この後,水酸化ナトリウムによる水溶性化を行い,遠心分離による分離をおこない,鉄ないしは,銅クロロフィリンナトリウムの精製品とする。
精製方法は,溶剤中に色素を投入し,攪拌溶解をおこない,溶解物と不溶解物とに分離して溶剤とともに油脂分をとり除く方法,水に溶解させた色素溶液にこれらの溶剤を添加していき分離する方法,溶剤との混合分散物を遠心分離によって分離する方法等がとれる。
【0020】
分離後は,色素を十分乾燥して,このましくは,温度をかけ過ぎないようにして,残留する溶剤がないようにする。
なお,精製の方法において,限外濾過膜,逆浸透膜による濾過精製も有効であり,鉄クロロフィリンナトリウム,銅クロロフィリンナトリウム,クロロフィリンナトリウムのすくなくとも2倍量以上,このましくは,5倍量以上の希釈,濃縮を膜によって行い精製することが有効である。
この精製により,色素分の1〜10%の濃度向上がえられ,インキ化時の不溶解物の発生がなくなる。
【0021】
また,インキの連続吐出,回収時の安定性も向上する。
本発明のインキの媒体としては,水を用いることが好ましい。このような水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水または蒸留水を用いる。水は、インキ中に、50〜99.85重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0022】
また、本発明のインクジェットインキには、インキのノズルでの乾燥を防止するために、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンを、インキ中に1〜20重量%の範囲で含有させることが好ましい。含有量が1重量%より少ないと、乾燥防止効果が不十分でノズルの目詰りの原因となり、20重量%を越えるとマーキング面の乾燥が遅くなり、容器,包材の汚れ等の悪影響を与える。
【0023】
また,本発明のインクジェットインキには,さらにアルギン酸ナトリウム,アルギン酸カリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびメチルセルロースから選択される1種または2種以上の粘度調整剤を用いることが好ましい。
【0024】
これらの粘度調整剤は、セラック等の水溶性樹脂と異なり、インクジェットプリンターのノズル周辺に堆積することがなく、コンティニュアスタイプのインクジェットプリンターで連続運転する場合にも、ノズルの目詰まりを生じることがない。
これらの粘度調整剤は,インキ中に0.02〜5重量%の範囲で含まれることが好ましい。含有量が0.02%より少ないと,プリンターの適性粘度への調整が得られにくい。したがって,印字濃度の十分な印字条件でのインキの吐出ができなかったり,マーキング表面の滑らかさに欠ける印字条件となることがある。
【0025】
また,5重量%を越えると,インキの粘度が高くなりすぎる傾向があり,ノズルからのインキ吐出の安定性に問題を生じることがある。
【0026】
また,本発明のインクジェットインキをコンティニュアスタイプのプリンターにて使用する場合には,インキの電導度の調整が必要となることがあり,電導度の調整剤として,乳酸ナトリウム,ポリリン酸ナトリウム,ポリリン酸カリウム,メタリン酸ナトリウム,メタリン酸カリウム,リン酸三ナトリウム,リン酸三カリウム,ピロリン酸カリウム塩およびピロリン酸ナトリウム塩をインキ中に0.02〜5重量%の範囲で含有させることが好ましい。
また,これらのカリウム塩およびナトリウム塩は,インキのノズルでの乾燥を防止する効果やキレート剤としての効果もあり,ノズルの目詰まり防止にも役立つ。含有量が0.02重量%よりも少ないと十分な保湿性が得られず,含有量が5重量%よりも多いと電導度の適性範囲からずれる恐れがある。
【0028】
乳酸塩と、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンとを含有させる場合には、本発明のインクジェットインキは、精製した鉄クロロフィリンナトリウムおよび/または銅クロロフィリンナトリウム0.1〜10重量%、プロピレングリコールおよび/またはグリセリン1〜20重量%,上記特定の粘度調整剤0.02〜5重量%、乳酸ナトリウム等の電導度調整剤0.02〜5重量%、および水60〜98.86重量%から構成されることが好ましい。
本発明のインクジェットインキは、精製した鉄クロロフィリンナトリウムおよび/または銅クロロフィリンナトリウム、上記特定の粘度調整剤、水、および必要に応じて乳酸ナトリウム、プロピレングリコールおよび/またはグリセリン、色素の安定な溶解性を維持するためのpH緩衝剤などを混合攪拌したのち、0.2〜3.0μmのメンブランフィルターで濾過することにより、製造することができる。混合攪拌は、通常の羽根を具備した攪拌機のほか、高速の分散機、乳化機により行うこともできる。
【0029】
本発明のインクジェットインキの25℃における粘度は、0.9〜20cpsの範囲に調整することが好ましい。粘度が低すぎると、卵殻表面でのインクのドットの形成が不良となり、印字濃度が低くなる。一方、粘度が高すぎると、吐出の不良、乾燥不良に問題が出てくる。
表面張力は、プリンターとの適性もあるが、25〜50mN/cmの範囲に調整することが好ましい。また、コンティニュアスタイプのプリンターによりマーキングする場合には、インキの電導度は、0.3〜10mS/cmの範囲に調整することが好ましい。
【0030】
卵殻へのマーキングは、卵殻表面に、本発明のインクジェットインキを用いてインクジェット方式によりマーキングすることにより行われ、マーキングした卵が得られる。インクジェット方式には、コンティニュアス方式(多値偏向、2値偏向)、ドロップオンデマンド方式(バブルジェット方式、ピエゾ方式、電磁弁方式等)等が挙げられるが、高速でのマーキングおよび卵殻のような曲面へのマーキングは、コンティニュアス方式が適している。
インクジェットプリンターのノズル孔径は、8〜200μmであることが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。例中、部および%は、重量部および重量%をそれぞれ示す。
(実施例1)
鉄クロロフィリンナトリウムの精製
鉄置換した鉄クロロフィルをヘキサンおよびアセトンと混合して,溶剤溶解性の不純物を溶剤とともに除去する。溶剤洗浄した鉄クロロフィルを乾燥後,色素の50倍量の水にて水洗する。
【0032】
水洗した鉄クロロフィルを水酸化ナトリウムにより水溶性化し,不溶解物を遠心分離により除去し,精製した鉄クロロフィリンナトリウムを得た。
未精製品の鉄クロロフィリンナトリウムと分光吸収による比較を行ったところ,精製によるピーク高さが1.07倍となった。
下記の原料を混合、溶解したのち、0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
精製鉄クロロフィリンナトリウム 3.00部
プロピレングリコール 12.00部
アルギン酸ナトリウム 0.09部
精製水 84.91部
【0033】
(実施例2〜13)
表1に示す原料と適当量(100部から表1に示す原料の合計量を引いた量)の精製水を混合、溶解したのち、0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
【0034】
【表1】
【0035】
FeクロロフィリンNa : 精製鉄クロロフィリンナトリウム
CuクロロフィリンNa : 精製銅クロロフィリンナトリウム
クロロフィリンNa : 精製クロロフィリンナトリウム
PG : プロピレングリコール
GL : グリセリン
アルギン酸Na : アルギン酸ナトリウム
アルギン酸NPGE : アルギン酸プロピレングリコールエステル
CMC-Na : カルボキシメチルセルロースナトリウム
乳酸ナトリウム : 乳酸ナトリウム50% 水溶液
ポリリン酸Na : ポリリン酸ナトリウム
【0036】
(比較例1)
下記の原料を混合、溶解したのち、0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
食用赤色105号 1.0部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.15部
乳酸ナトリウム 0.7部
プロピレングリコール 14.0部
精製水 84.15部
【0037】
(比較例2)
下記の原料を混合、ボールミルにて8時間分散したのち、3.0μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
食用赤色3号アルミニウムレーキ 2.5部
シェラック樹脂の水/エタノール溶液 12.5 部
(岐阜セラック製造所社製「ドラッグBA−40E」、固形分40%)
乳酸ナトリウム 1.0部
プロピレングリコール 14.0部
精製水 70.0部
【0038】
(比較例3)
下記の原料を混合、溶解したのち、0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
銅クロロフィリンナトリウム 3.0部
シェラック樹脂の水/エタノール溶液 12.0部
(岐阜セラック製造所社製「ドラッグBA−40E」、固形分40%)
乳酸ナトリウム 1.0部
プロピレングリコール 14.0部
精製水 70.0部
【0039】
(比較例4)
下記の原料を混合、溶解したのち、0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
未精製鉄クロロフィリンナトリウム 3.00部
プロピレングリコール 12.00部
アルギン酸ナトリウム 0.09部
精製水 84.91部
【0040】
(比較例5)
下記の原料を混合、溶解したのち、0.8μmのメンブランフィルターで濾過し、インクジェットインキを調製した。
未精製鉄クロロフィリンナトリウム 5.00部
精製水 95.00部
【0041】
実施例および比較例で得られたインキについて、種々の特性値を測定した。測定結果を表2に示す。
粘度(cps)、表面張力(mN/cm)および電導度(mS/cm)を測定した。なお、粘度の測定は粘度計(YAMAICHI社製「デジタルビスコメイト」)を用いて行い、表面張力の測定は表面張力計(KYOWA INTERFACE社製「サーフェイステンシオメーター」)を用いて行い、電導度の測定は電導度計(HORIBA社製「コンダクティビティメーター」)を用いて行った。
【0042】
また、実施例1〜13および比較例1〜3で得られたインキをコンティニュアスタイプのインクジェットプリンターのインクタンクに入れて、卵殻表面にマーキングし、得られたマーキング物について下記の評価を行った。また、3ヶ月間連続してマーキングを行い、ノズル目詰まりの発生の有無およびインキ循環系での黴の発生の有無を評価した。さらに、3時間連続してマーキングを行い、吐出安定性を評価した(良:吐出の停止なし、不良:吐出の停止あり)。結果を表2に示す。
【0043】
・印字濃度 マーキング物の印字濃度をマクベスの濃度計で測定した。
・乾燥性 マーキング面を指触し、色素取れの有無を目視で確認した。
(良:色素取れなし、不良:色素取れあり)
・色素の水溶出 マーキング物を水に浸し、色素の溶出を目視で確認した。
・色素の煮沸溶出 マーキング物を15分間熱湯中に浸し、色素の溶出を目視で確認した。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明のインクジェットインキは樹脂を含有せず、防黴性を有しているため、本発明のインクジェットインキを用いることにより、プリンターのノズル目詰まりを起こすことなく、長期間連続してマーキングできるようになった。
また、本発明のインクジェットインキを用いることにより、卵殻表面に強固に染着し、水または熱湯中に浸しても殆ど溶出しないマーキング物が得られるようになった。
本発明のインクジェットインキは、食品に用いることのできる食品添加物からのみ構成することができるため、食品へのマーキングに適している。
Claims (2)
- 精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムから選択される少なくとも一種と、水とを混合するインクジェットインキの製造方法であって、
精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムが、
鉄クロロフィル、銅クロロフィルまたはクロロフィルを、
アセトンにて洗浄した後、
鉄クロロフィル、銅クロロフィルまたはクロロフィルの2倍量以上の水によって洗浄して得られることを特徴とするインクジェットインキの製造方法。 - 精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムから選択される少なくとも一種と、水とを混合するインクジェットインキの製造方法であって、
精製した鉄クロロフィリンナトリウム、精製した銅クロロフィリンナトリウムまたは精製したクロロフィリンナトリウムが、
鉄クロロフィリン、銅クロロフィリンまたはクロロフィリンを、
アセトンにて洗浄した後、
鉄クロロフィリン、銅クロロフィリンまたはクロロフィリンの2倍量以上の水によって洗浄して得られることを特徴とするインクジェットインキの製造方法。
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