JP2007056191A - インキ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒子径が1〜20μmの多孔質二酸化ケイ素、食用色素、食品添加の可能な樹脂およびエタノールを含むことを特徴とする食品用ないし食品包装用インキ。多孔質二酸化ケイ素が、平均粒子径が1〜7μmであって、SiO2含量99.0重量%以上、重金属20μg/g以下、ヒ素2.0μg/g以下、水可溶分0.20重量%以下、BET比表面積 200〜800m2/gである上記インキ。
【選択図】なし
Description
したがって、未加工食品、加工食品をはじめとする対象物に対して直接、あるいは、包装材等を介して、あるいは、食品に接触する材料、あるいは、食品類を取り扱う環境を通過する材料において、重要な課題である。
また、食品類ないし関連の包装材料に、文字、図形、デザイン等の加工を施し、購買意欲をそそる商品とすることも重要である。
このような印刷においては、可食性の材料からなるインキであることが求められる。
すなわち、食品添加物着色料である水溶性染料を水に溶解したものがインクジェットインキの分野で公知であるが、水に溶解する色素のため、濃色基材での発色性は十分でなく、また、耐水性が劣り、水に接触する対象物には使用できなかった。
また、インクジェットインキの分野では、耐水性に優れ、食品の表面に印字するのに適したインクジェットインキとして、特許文献1(特開昭53−127010号公報)に、バインダがセラックであり、水およびエタノールから成る溶剤と鉄クロロフィリンナトリウムまたは(および)銅クロロフィリンナトリウムを着色剤として含む緑色インク組成物が開示されている。しかし、使用されている銅クロロフィリン等の着色材は、アルコールに対して溶解性を十分有するものでなく水溶性の色素であり、インキの濃度を上げるためには、水の使用が不可欠である。したがって、このインキは本質的に水を主体とするもので、これに少量のエタノールを混合して用いるものである。また、シェラック樹脂も、水に対して溶解性のタイプのものを使用しており、溶解安定化を図るため、モルフォリンのような食品添加物でないものをインキ原料として用いるものであった。また、樹脂の溶解性を維持させるために、メチルセルソルブのような溶剤の併用も行なったものである。これらは、食品添加物で許可されていない材料よりなるものでもあった。
また、水溶解性の色素のため、基材の耐水性としては十分な適性はなかった。
特に熱水等に晒される包装材においても、色素分の溶出を著しく少なくすることのできる適性を有するものである。
また、直接食品に接することがある材料、また、飲食に際して、食品が接する材料、あるいは、印刷部分が直接口に接触するような場合においても、衛生性においての懸念を払拭するインキおよび包装材料に関する。
さらに、種々の食品、食品に接する材料、食品包装材料等に印刷した場合に水や熱水に濡れても、着色料の溶出がなく、見た目の嫌悪感を生じさせないようなインキおよび印刷された食品ないし包装材料等の提供を目的とする。
二酸化ケイ素は、食用の色素およびその溶解分を多孔質の部分にて吸着保持し、印刷後の色素の再溶解、マイグレーションを防止する。特に、熱水に浸漬されるような用途においても溶解性の色素の溶出を防ぐ効果を発揮する。また、インキにおける流動性の調整、粘度の調整剤としても働く。
多孔質二酸化ケイ素は、好ましくは、インキとしての印刷適性から平均粒子径が1〜7μmのものが更に好ましく、食品関連に用いる適性としてSiO2含量99.0重量%以上、重金属20μg/g以下、ヒ素2.0μg/g以下、水可溶分0.20重量%以下、色素の適度な吸着、再溶質防止性からBET比表面積 200〜800m2/gであることが好ましい。
多孔質二酸化ケイ素は、色素の保持およびインキの流動性等の適性からインキ全体の0.05〜10重量%の範囲で用いる。さらに好ましい量としては、色素の溶解性、量との兼ね合いもあるが、0.3〜5重量%である。
色素としては、ウコン色素、クチナシ色素、ベニコウジ色素、コウリャン色素、シタン色素、アナトー色素、パプリカ色素、アカネ色素、アントシアニン色素、クロロフィリン色素、ベニバナ色素、ビート色素、チョウマメ色素、スピルリナ色素、ブドウ果皮色素、紫芋色素、紫トウモロコシ色素、ブルーベリー色素、食用赤色、食用黄色、食用青色およびこれらのアルミレーキ染料等を例示できる。
なお、インキは、フィルム等の非浸透性の基材を対象とする場合が多いため、印刷後の乾燥をスムーズにするため、アルコールに可溶性のものを用いるほうが優位である。
特に、アルコール可溶性である、アルコール可溶性コウリャン色素またはシタン色素、ウコン色素、ベニコウジ色素等が好ましい。これらの色素は、アルコールおよび水の混合溶剤にて抽出される色素である。また、アルコールに溶解しない色素においても、インキのアルコール以外の溶剤等に一部溶解するものにおいては、印刷後の溶解が起こりえるため、対象となる。
食用色素は、インキ全体の0.3〜50重量%の範囲で含まれることが好ましい。含有量が0.3重量%より少ないと、印字濃度が不十分であり、含有量が50重量%を越えると分散の不良および印刷適性の低下を生じる。特に連続した印刷において安定性が悪くなる傾向にある。
樹脂の使用は、密着性の付与、耐性の付与を目的とする。さらに、水に浸漬したり、こすったりしても印刷したインキが溶出することの少ない耐水性、耐摩擦性のために用いる。
このような樹脂としては、シェラック樹脂、ダンマル樹脂、コーパル樹脂がアルコール系溶剤への溶解性から用いやすい。その他、水系の樹脂も用いることもあり、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、アラビアゴムシクロデキストリン等を溶剤に応じて全部ないし一部用いることができる。
本発明で使用するシェラックは、アルコール可溶性タイプの樹脂を用いる。このシェラックは、本発明にて使用する食品添加物色素と相溶性を有する。また、アルコールに溶解してインキの粘度を上昇させる働きを有し、かつ、被印刷体に対して良好なバインダーとして機能する。
また、シェラックには、水/アルコール混合系の溶剤に溶解するタイプの樹脂もあり、アルカリサイドでの安定性を重視するには、このタイプのシェラックが好ましい。
本発明において可食性の樹脂は、インキ全体の5〜50重量%の範囲で含まれることが好ましい。含有量が5重量%より少ないと、適度な粘度が得られない。また、十分な密着も得られにくい。又、50重量%を越えるとインキの粘度が高くなりすぎ、低温での流動性が不足し、印刷の安定性も低下する。
プロピレングリコールは、インキ全体の0〜30重量%の範囲にてもちいる。食材への適度な浸透、乾燥の調整が可能となる。
また、乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が用いられる。これらは、全体の0〜5重量%用いる。これらの乳化剤は、インキ中の二酸化ケイ素、食用色素の分散安定性に寄与する。
本発明のインキは、耐水性の良い印刷物が形成でき、特に不織布を対象とするような包装材における印刷において、印刷後の色素溶出量の制御を発揮する。
また、食品の包装材としては、容器を形成する材料であり、直接食品に接するばかりか、その一部が偶発的に食品と同様に晒されるような場合においても、リスクを負わない様な材料となる。また、容器の形成において、包装材料の端面が食品と接触する可能性を有する形態があり、このような容器への包装材としての適性を本インキによる印刷物は有する。
容器形成時に食品との接触あるいは、開封後の飲食時に直接口に接する場合があっても、衛生性に対する懸念を払拭できる。
其の他、種々の印刷に対応が可能であり、印刷するデザインおよびデータには、生産地、収穫日時、生産者、日付、特殊記号等も印刷できる。
これらの表記は、経路の確実な表示方法として商品の流通形態への信頼性を付与する。
また、これら食品の包装材も印刷の対象となる。さらに本インキの用途としては、印刷後に、熱水による処理、あるいは、熱プレス、ラミネート処理を経るような用途においても、色素の溶出がない印刷物、包装袋を形成できる。
下記表1の原料を混合、ジルコニアビーズを用いたサンドミルにて分散した後、175メッシュのナイロンメッシュのフィルターで濾過しインキを調製した。
実施例および比較例で得られたインキについて、25℃における粘度を測定した。なお、粘度の測定はザーンカップNo.3を用いておこなった。
また、実施例および比較例で得られたインキをグラビアテスト印刷機にて不織布および、ポリエステルフィルムに印刷し、得られた印刷物について下記の評価を行った。結果を表2に示す。また、同様のインキをシリコンゴムの版を有するパッド印刷機にてパッド印刷して、印字物の確認性を評価した。なお、これらのインキは、食品包装用紙、ダンボール用紙等の一部浸透性を有する基材においても良好な印刷物となった。
沈降性 インキを直径10mmの円中ガラス管に45mmの高さまでいれ、半日後の分離状態を測定。
耐水性 印字面を水で湿らせ溶出の有無を確認。
密着性 被印刷体に対してインキを塗布し、綿棒のこすりによる剥離の有無。
熱水溶出量(溶出液の分光吸収) 溶出してきた色素濃度の分光光度計による吸収率。
実施例2〜7のインキの二酸化ケイ素を除いたインキについて、それぞれ、実施例2〜7と同様に行った。実施例の鮮明な発色に比べ、ややくすんだ色調となった。また、熱水溶出は、明らかな差が認められた。また、比較例6および7では、色素の沈降の程度が悪くなり、分散性の低下もみられた。
下記表5の原料を混合、ジルコニアビーズを用いたサンドミルにて分散した後、175メッシュのナイロンメッシュのフィルターで濾過しインキを調製した。
このインキは、フレキソ印刷機にて不織布に印刷し評価を行った。
実施例1と同様に、二酸化ケイ素の入っているインキは、発色性、熱水による色素の溶出性について、良好な結果であった。また、二酸化ケイ素のない比較例8のインキは、熱水による溶出が多かった。
下記表6の原料を混合、ジルコニアビーズを用いたサンドミルにて分散した後、175メッシュのナイロンメッシュのフィルターで濾過しインキを調製した。
このインキは、スクリーン印刷機にて不織布に印刷し評価を行った。
実施例1と同様に、二酸化ケイ素の入っているインキは、発色性、熱水による色素の溶出性について、良好な結果であった。また、二酸化ケイ素のない比較例9のインキは、熱水による溶出が明らかに多かった。
Claims (10)
- 平均粒子径が1〜20μmの多孔質二酸化ケイ素、食用色素、食品添加の可能な樹脂およびエタノールを含むことを特徴とする食品用ないし食品包装用インキ。
- 多孔質二酸化ケイ素が、平均粒子径が1〜7μmであって、SiO2含量99.0重量%以上、重金属20μg/g以下、ヒ素2.0μg/g以下、水可溶分0.20重量%以下、BET比表面積 200〜800m2/gである請求項1記載のインキ。
- 多孔質二酸化ケイ素0.05〜10重量%、食用色素0.3〜50重量%、食品添加の可能な樹脂5〜50重量%およびエタノールを含有する溶剤が残部よりなることを特徴とする請求項1または2記載のインキ。
- 食品添加の可能な樹脂が、シェラック樹脂である請求項1〜3いずれか記載のインキ。
- 食用色素が、天然物からの抽出色素である請求項1〜4いずれか記載のインキ。
- さらに、食品添加の可能な乳化剤を含有する1〜5いずれか記載のインキ。
- インキが、グラビア用である請求項1〜6いずれか記載のインキ。
- インキが、フレキソ用である請求項1〜6いずれか記載のインキ。
- インキが、パッド印刷用である請求項1〜6いずれか記載のインキ。
- インキが、スクリーン用である請求項1〜6いずれか記載のインキ。
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