JP3872272B2 - 既設木造建築物の気密断熱改修工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設木造建築物の屋根、桁、天井、壁、床、布基礎、土間コンクリート、床下土壌の、それぞれ特定な個所に、必要において下地を設けたうえ気密断熱工事を施すことにより、気密断熱の連続性を確保する気密断熱改修工法に関するもので、特に現状の建築物をほとんど傷つけず、原則として充填済みの断熱材等は撤去しない施工方法なので産業廃棄物も発生しない、しかも住んだまま施工が可能なので住人の移動も不要であることに特徴がある気密断熱改修工法に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来、既設木造建築物の省エネルギー化については、天井へ繊維系断熱材を吹き込む方法や、床下の床根太間に繊維系断熱材を充填する等の部分的施工法しかなかった、特に壁体内の気密断熱化は外壁や内装材の撤去をしなければ施工困難であった為、実際の施工は改修工事費用負担、産業廃棄物の処理費用等のコストアップ面から、なかなか実施されなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って従来の既設木造建築物の気密断熱改修工法では、気密断熱化工事の必須要件である屋根、壁、床、等の外気に接する境界面(外皮)における気密断熱の連続性を確保することが困難であった、しかしより高性能な気密断熱化工事を求めるならば、結局は建物の建替えあるいは大幅な改築工事が必要となる。又、地球環境保護の為、二酸化炭素の排出規制、産業廃棄物の排出規制等の各種規制が実施されているが、この点の対応にも産業廃棄物を出さない既設住宅の省エネルギー化が早急な課題である。
0004
【課題を解決する為の手段】
(1)既設の木造建築物に気密断熱改修を行う「既設木造建築物の気密断熱改修工法」であって、
a1)屋根垂木の下または母屋の下に合板もしくはシートからなる下地材を打ち付け、その下地材の下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
a2)桁の上に合板もしくはシートからなる下地材を打ち付け、その下地材の上面または下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
のいずれかを行うステップと、
b1)壁体内に充填断熱材が有る場合、壁体内の充填断熱材と外壁材の間、もしくは、充填断熱材と内装材の間に、現場発泡ポリウレタンを注入する、
b2)壁体内に充填断熱材が無い場合、壁体内空間全体に現場発泡ポリウレタンを注入する、
のいずれかを行うステップと、
c1)床板の下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
c2)「布基礎の内側」および「土間コンクリート表面あるいは床下土壌表面」に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
のいずれかを行うステップと、を備えることを特徴とする。
そして、本発明の工法によれば、a1)屋根垂木の下または母屋の下、a2)桁の上、のいずれかに下地材を打ち付けて、そこに現場発泡ポリウレタンを吹き付けることにより、屋根の下面(下部)もしくは天井の上面(上部)の気密断熱施工することができるし、また、壁体内の気密断熱は、充填断熱材を現状で使えるものについては撤去せずに、外壁材と充填断熱材の間、もしくは充填断熱材と内装材の隙間をから注入ホースで現場発泡ポリウレタンを注入し、布基礎の内側と土間コンクリート表面には現場発泡ポリウレタンを吹き付けることができる。
【0005】
(2)前記壁体内に現場発泡ポリウレタンを注入するにあたっては、
前記壁体間の隙間である注入箇所より現場発泡ポリウレタンを注入する、ことを特徴とする。
なお、既設木造建築物の気密断熱改修工法は、古い建物の場合は、壁体内に充填断熱材が無い場合があり、この場合に壁体内空間全体に現場発泡ポリウレタンを注入する
【0006】
(3)既設木造建築物の気密断熱改修工法は、床下土間コンクリートが無く、土間の土壌が表面に露出している場合に、床下土壌からの湿気を防ぐ為防湿シート又は塗膜吹付け防水材等で防湿層を施した後、その表面に現場発泡ポリウレタンを吹き付けすることを特徴とする。
【0007】
(4)土間にコンクリートが打設されている場合、既設木造建築物の気密断熱改修工法は、床板の下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付けし、布基礎の内側と土間コンクリート表面には処理しないことを特徴とする。
【0008】
(5)土間にコンクリートが打設されていない場合、既設木造建築物の気密断熱改修工法は、床板の下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付けし、布基礎の内側と床下土壌表面には処理しないことを特徴とする。
【0009】
図1は本発明による既設木造建築物の実施例を示す全体図であるがまず屋根垂木1の下面に下地材4として厚さ3mm程度の合板もしくはシートを打ち付け、その下面より現場発泡ウレタン5を吹き付けて屋根部分の気密断熱を行う。
【0010】
図2は母屋2の下面に下地材4として3mm程度の合板もしくはシートを打ち付け、その下面より現場発泡ウレタン5を吹き付けて屋根部分の気密断熱を実施したものである。
【0011】
図1で屋根断熱を行わない場合は、天井断熱として天井板6の上面に現場発泡ウレタン5を吹き付けて天井部分の気密断熱を行う。
【0012】
図3は桁3の上面に下地材4として3mm程度の合板もしくはシートを打ち付け、その上面より現場発泡ウレタン5を吹き付けて屋根部分の気密断熱を実施したものである。
【0013】
図1左側で壁体内の充填断熱材7と外壁材8との隙間もしくは図1右下側の充填断熱材7と内装材9の隙間に図6の各注入個所17より現場発泡ウレタン5を注入し、壁体内の気密断熱を行う、図1右上で壁体内に充填断熱材が無い場合は、壁体内空間全体に現場発泡ポリウレタン5を注入し、壁体内の気密断熱を行う。
【0014】
図1の布基礎10の内側と土間コンクリート11の表面に現場発泡ウレタンを吹き付けて床下部分の気密断熱を行う。
【0015】
図1で本工事と平行して開口部に気密断熱サッシ16と換気装置15を設けることにより、より快適な省エネルギー建築が実現できる。
【0016】
図4の土間コンクリートが無く床下土壌12が露出している場合は、湿気防止の為土壌表面に防湿層13を施し、その上面および基礎10の内側に現場発泡ウレタンを吹き付け、床下部分の気密断熱を確保する。
【0017】
図5は布基礎10の内側と土間コンクリート11表面もしくは床下土壌12表面には処理をせず、床板14の下面に現場発泡ウレタンを吹き付けて床部分の気密断熱を確保する実施例である。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、既設木造建築物の気密断熱化、高耐久化、省エネルギー化、快適化等を住んだまま、しかも産業廃棄物もほとんど出さずに実現できる。又この事は既設中古住宅の評価価値を上げることになり、今後の国策である良質な住宅のストック経済の構築と、中古住宅流通の推進にも大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二階建て既設木造建築に本発明を実施した場合の断面図
【図2】母屋に下地を打ち付け気密断熱工事をしたときの断面図
【図3】桁に下地を打ち付け気密断熱工事をしたときの断面図
【図4】布基礎と土壌に気密断熱工事をしたときの断面図
【図5】床板に気密断熱工事をしたときの断面図
【図6】壁体内への現場発泡ウレタン主要注入個所の断面図
【符号の説明】
1屋根垂木
2母屋
3桁
4下地材
5現場発泡ポリウレタン
6天井板
7充填断熱材
8外壁材
9内装材
10布基礎
11土間コンクリート
12土壌
13防湿層
14床板
15換気装置
16気密断熱サッシ
17現場発泡ウレタン注入個所

Claims (3)

  1. 既設の木造建築物に気密断熱改修を行う工法であって、
    a1 屋根垂木の下または母屋の下に合板もしくはシートからなる下地材を打ち付け、その下地材の下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
    a2 桁の上に合板もしくはシートからなる下地材を打ち付け、その下地材の上面または下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
    のいずれかを行うステップと、
    b1 )壁体内に充填断熱材が有る場合、壁体内の充填断熱材と外壁材の間、もしくは、充填断熱材と内装材の間に現場発泡ポリウレタンを注入する、
    b2 )壁体内に充填断熱材が無い場合、壁体内空間全体に現場発泡ポリウレタンを注入する、
    のいずれかを行うステップと、
    c1 )床板の下面に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
    c2 )「布基礎の内側」および「土間コンクリート表面あるいは床下土壌表面」に現場発泡ポリウレタンを吹き付ける、
    のいずれかを行うステップと、
    を備えることを特徴とする、既設木造建築物の気密断熱改修工法。
  2. 前記壁体内に現場発泡ポリウレタンを注入するにあたっては、
    前記壁体間の隙間である注入箇所より現場発泡ポリウレタンを注入する、
    ことを特徴とする、請求項1記載の既設木造建築物の気密断熱改修工法。
  3. 前記土間コンクリートが打設されていない場合、前記土間の土壌表面に、防湿シート又は塗膜吹付け防水材で防湿層を施し、その表面に現場発泡ポリウレタンを吹き付けすることを特徴とする、請求項1記載の既設木造建築物の気密断熱改修工法。
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