JP2011006896A - 建築物およびその耐震補強方法 - Google Patents

建築物およびその耐震補強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011006896A
JP2011006896A JP2009150761A JP2009150761A JP2011006896A JP 2011006896 A JP2011006896 A JP 2011006896A JP 2009150761 A JP2009150761 A JP 2009150761A JP 2009150761 A JP2009150761 A JP 2009150761A JP 2011006896 A JP2011006896 A JP 2011006896A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wall
building
surface portion
strength
polyurethane foam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009150761A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Kazama
勝廣 風間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KAZAMA GIKEN KAIHATSU KK
Original Assignee
KAZAMA GIKEN KAIHATSU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KAZAMA GIKEN KAIHATSU KK filed Critical KAZAMA GIKEN KAIHATSU KK
Priority to JP2009150761A priority Critical patent/JP2011006896A/ja
Publication of JP2011006896A publication Critical patent/JP2011006896A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Abstract

【課題】耐震性のみならず、断熱性・遮音性・気密性等をも向上させた構造を備える建築物および耐震補強方法を提供する。
【解決手段】4つの壁面部・上面部・下面部の6つの面部を有して直方体形状に形成される立体ユニットを1つ以上備える建築物において、前記立体ユニットの6つの面部のうちの、少なくとも1つの壁面部を含む面部に対して、強度補強手段を適用し、前記強度補強手段として、前記面部の内部空間に発泡ポリウレタンを注入する手段、前記面部の外面に発泡ポリウレタンを吹き付ける手段、前記面部の外面から所定寸法を設けて前記外面を覆う外枠部材を取り付けて、前記面部の外面と前記外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入する手段、のいずれかを適用して、建築物の耐震強度を向上させた建築物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物とその耐震補強方法に係り、耐震性を補強することはもとより、断熱性・遮音性・気密性等をも向上させることができる建築物の構造と、建築物の耐震補強方法とに関するものである。
建築物に耐震補強を施すために、例えば、木造建築物では、筋交により補強したり、建物におけるジョイント部に補強金具を取り付けたりする手法が、よく行われている。
しかしながら、地震の際の衝撃によって、筋交が所定の位置から外れたり、補強金具を取り付けたジョイント部が破壊されたりする虞があり、筋交や補強金具だけでは十分な耐震効果が発揮されないという問題点がある。
また、既存の建物に、筋交や補強金具を取り付ける場合には、壁面を壊してから施工しなければならないので、工事や破壊箇所の修復に多くの手間や費用がかかる、という問題点もある。
本出願人は、次の特許文献1として公開されている「既設木造建築物の気密断熱改修工法」の特許出願をしている。
この出願の目的は、「住んだまま、産業廃棄物もほとんど出さずに、既設木造建築物の気密断熱化、高耐久化、省エネルギー化、快適化、等が実現できる気密断熱化工法を提供する」ことである。
特開2002−97728号公報
本発明は、建築物の従来の耐震補強に関する問題点を解決し、既存および新築の建築物において耐震性を向上させるのみならず、断熱性、遮音性、気密性、施工性等の性能をも併せて向上させることができる建造物の構造および耐震補強の施工方法を提供することを目的とする。
(1)(建築物)
4つの壁面部・上面部・下面部の6つの面部を有して立体形状に形成される立体ユニットを1つ以上備える建築物において、
前記立体ユニットの6つの面部のうちの、少なくとも1つの壁面部を含む面部に対して、強度補強手段を適用し、
前記強度補強手段として、
前記面部の内部空間に発泡ポリウレタンを注入する手段、
前記面部の外面に発泡ポリウレタンを吹き付ける手段、
前記面部の外面から所定寸法を設けて前記外面を覆う外枠部材を取り付けて、前記面部の外面と前記外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入する手段、
のいずれかが用いられる。
(2)(1)の建築物において、
前記建築物は、所定の耐震強度に基づく壁面部の必要壁倍率を有し、
強度補強された前記壁面部の壁倍率が、必要壁倍率を満足するように設定される。
(3)(1)または(2)の建築物において、
前記発泡ポリウレタンは、所定の密度を有するように設定される。
(4)(建築物の耐震補強方法)
建築物に耐震補強を施す方法であって、
前記建築物は、4つの壁面部・上面部・下面部の6面の面部を有して立体形状に形成される立体ユニットを1つ以上備え、
前記立体ユニットの6つの面部のうちの、少なくとも1つの壁面部を含む面部に対して、強度を補強するステップを行い、
前記強度を補強するステップとして、
前記面部の内部空間に発泡ポリウレタンを注入するステップ、
前記面部の外面に発泡ポリウレタンを吹き付けるステップ、
前記面部の外面から所定寸法を設けて前記外面を覆う外枠部材を取り付けて、前記面部の外面と前記外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入するステップ、のいずれかが用いられる。
本発明による建築物では、強度補強手段として、前記発泡ポリウレタンの注入または吹き付けの手段を用いているので、高い耐震強度を獲得することができるのみならず、断熱性、遮音性、気密性等をも併せて向上させることができる。
本発明による建築物は、所定の耐震強度に基づく壁面部の必要壁倍率を有し、強度補強された前記壁面部の壁倍率が、必要壁倍率を満足するように設定され、また、発泡ポリウレタンは所定の密度を有するように設定されるので、正確に計算された強度設計が実行されて、希望の耐震強度に基づく建築物を得ることができる。
そして、発泡ポリウレタンの注入については、面部または外枠部材の側端部にある隙間を用いて注入することにより、面部に穴をあけたり、その一部を破壊したりする必要が無くなり、施工工事の手間や費用を大幅に軽減することができる。
本発明によれば、既設の木造建築物の高い耐震強度化、気密断熱化、高耐久化、省エネルギー化、快適化等を、住んだまま、しかも産業廃棄物もほとんど出さずに、実現することができ、また、新築の建築物においても本技術を適用することができる。
さらに、本発明は、既設の木造建築物に適用すれば、中古住宅の評価価値を上げることにもなり、今後の国策である耐震強度が高くて良質な住宅のストック経済の構築と、中古住宅流通の推進にも大きく貢献できる。
二階建て既設木造建築に本発明を実施した場合の断面図である。 母屋に下地を打ち付けて施工をしたときの断面図である。 桁に下地を打ち付けて施工をしたときの断面図である。 布基礎と土壌に施工したときの断面図である。 床板に施工したときの断面図である。 壁体内へ現場発泡ウレタンを注入するときの主要注入個所の断面図である。 面部(平面部)の外面に外枠部材を取り付けた例を示す外観斜視図である。 建築物として住宅200を示す外観斜視による説明図である。 本発明の建築物の立体ユニットU1の説明図である。
本発明による建築物は、4つの壁面部・上面部・下面部の6面の面部を有して立体形状(直方体形状)に形成された立体ユニットを、少なくとも1つ以上備える建築物において、立体ユニットの6面の面部のうちの、少なくとも1つの壁面部を含む面部に対して、強度補強を施したものであり、強度補強の手段やステップとしては、発泡ポリウレタンを注入する手段または吹き付けする手段を用いている。
本発明で用いる発泡ポリウレタン注入/吹付手段は、新規の建築物への適用は勿論、既設の木造建築物にも容易に適用でき、屋根、桁、天井、壁、床、布基礎、土間コンクリート、床下土壌の、それぞれ特定な個所に、必要においては下地を設けたうえで、その施工をするものであり、建築物の耐震強度を補強するだけではなく、断熱性、遮音性、気密性などの面でも優れている。
また、本発明の発泡ポリウレタン注入/吹付手段を用いれば、既設の木造建築物の改修工事において、壁に穴を開けることもなく、現状の建築物をほとんど傷つけることがなく、原則として、充填済みの断熱材等は撤去しない施工方法であるので、産業廃棄物が発生することもない。しかも、住んだまま施工が可能なので住人の移動も不要である。
本発明における発泡ポリウレタン注入/吹付は、次のようにして行う。
図1は、本発明による既設木造の建築物100における施工例を示す全体図である。
まず、屋根部分については、屋根垂木1の下面に下地材4として厚さ3mm程度の合板もしくはシートを打ち付け、その下面より現場発泡ウレタン5を吹き付けて屋根部分の施工を行う。
また、屋根部分については、建築物100の上部を示す図2のように、母屋2の下面に下地材4として3mm程度の合板もしくはシートを打ち付け、その下面より現場発泡ウレタン5を吹き付けて屋根部分の施工を実施することができる。
建築物100の天井の施工については、図1に示すように、天井板6の上面に現場発泡ウレタン5の吹き付けを行う。
なお、天井の発泡ウレタンの吹き付け施工については、屋根の施工を行わない場合にも有効であるが、屋根の施工と天井の施工の両方を行ってもよい。
図3は、屋根部分の別の施工例を示す図であり、桁3の上面に下地材4として3mm程度の合板もしくはシートを打ち付け、その上面より現場発泡ウレタン5を吹き付けて屋根部分の施工を実施したものである。
建築物100の壁面部の施工は、次のように行う。
図1において、左側の壁体内の充填断熱材7と外壁材8との隙間、もしくは、右下側の充填断熱材7と内装材9の隙間には、図6に示すように、各注入個所17より現場発泡ウレタン5を注入し、壁体内の施工を行う。
また、図1の右上のように、壁体内に充填断熱材が無い場合は、壁体内の空間全体に現場発泡ポリウレタン5を注入し、壁体内の施工を行う。
なお、図1に示すように、本施工工事と平行して、開口部に気密断熱サッシ16と換気装置15を設けることにより、より快適な省エネルギー建築が実現できる。
建築物100の床下部分については、図1において、布基礎10の内側と土間コンクリート11の表面に現場発泡ウレタンを吹き付けて、床下部分の施工を行う。
また、図4の床下部分のように、土間コンクリートが無く、床下土壌12が露出している場合は、湿気防止の為土壌表面に防湿層13を施し、その上面および基礎10の内側に現場発泡ウレタンを吹き付ける施工を行い、床下部分の気密断熱を確保するとよい。
さらに、床下部分に土間コンクリートが無く、床下土壌12が露出している場合であっても、図5の例のように、布基礎10の内側と土間コンクリート11表面もしくは床下土壌12表面には処理をせず、床板14の下面に現場発泡ウレタンを吹き付けて、床部分の気密断熱を確保することもできる。
建築物の壁面部の施工において、壁体部自体の内部に隙間が確保できない場合には、次のようにして行う。
図7の上図に示すように、建築物200は、4つの壁面部・天井部・床面部の6面の平面を有して直方体形状に形成された立体ユニットを1つ以上備えており、その立体ユニットU1の6面の平面部のうちの一つを「壁面部S1」としている。
なお、破線で記載されているのは、壁面部S1に隣接する「別の壁面部」である。
図7の上図の壁面部S1には、その外面g1から所定寸法h1の間隔を設けるように、貫通する締め付けボルトや鋲などからなる取付け部材(t1)によって、その壁面部S1の外面g1を覆う平板な外枠部材W1を取り付けている。
また、図7の下図の壁面部S1には、その外面g1から所定寸法h1の間隔を設けるように、壁面部S1の左右端部に縦横方向の介在部材(nb1,nb2)を設けて、その壁面部S1の外面g1を覆う平板な外枠部材W1を取り付けている。
こうして、壁面部s1と外枠部材W1との間には、内部空間nk1が確保されているので、その内部空間nk1の中に発泡ポリウレタンを注入すればよい。
なお、発泡ポリウレタンの注入については、図6の「17」に示すように、壁面部(側面部)にある隙間を用いて注入するとよく、図7の場合にも、平面部S1と外枠部材W1との間にある側端部や上部の隙間を用いるとよい。
これにより、発泡ポリウレタンの注入に際して、平面部または外枠部材に穴をあけたり、その一部を破壊したりする必要が無くなる。
図8は、建築物の1例としての住宅200を示すものであり、その外観斜視による構造の説明図である。
この住宅200は、4つの壁面部(S1,S2,S3,S4)、天井部T1、床面部Y1の6面の平面部を有して、「壁面部(S1,S2,S3,S4)−天井部T1−床面部Y1」の6面の平面部によって、直方体の立体形状に形成された「立体ユニットU1」を備えている。
図8の住宅200において、「壁面部(S1,S2,S3,S4)」については、全てを外壁面部として説明しているが、住宅200の内部には間仕切り用の「他の壁面部」があるとしても、ここではそれは省略している。
また、この住宅200では、天井部T1の上部に屋根部YN1があるタイプとしているが、別の例として、天井部T1と屋根部YN1とが一体のもの、天井部T1がなく屋根部YN1のみがあるもの、などもあり、本発明では、天井部T1と屋根部YN1とは、両方とも「上面部(平面部)」とみなすことができる。
なお、住宅200における「4つの壁面部(S1,S2,S3,S4)」、「天井部T1」、「床面部Y1」のそれぞれや、「天井部T1と屋根部YN1とが一体のもの」や「天井部T1がなく屋根部YN1のみがあるもの」についても、「平面部」ではなく、「屈折面、屈曲面、曲面などからなるもの」もありうるが、これらを、本発明では「面部」または「平面部」とみなすことができる。
本発明では、建築物の実施例として、図8において1階建ての住宅を示しているが、これに限らず、2階建て住宅、3階建ての住宅、4階以上の住宅などにおいても、「4つの壁面部(S1,S2,S3,S4)、天井部T1、床面部Y1」の6面の面部を有する「立体ユニットU1」を備えているので、本発明を容易に適用することができる。
また、本発明は、住宅以外にも、会社事務所、倉庫、店舗、高層ビルディングなどの建築物について適用することができ、既築および新築のいずれの建築物についても適用することができることは勿論、建築物としては木造に限らず、鉄骨系、鉄筋コンクリート(RC構造)の建築物などについても適用することができる。
そして、鉄筋コンクリート(RC構造)の壁部では、壁部の外面から所定寸法を設けて外面を覆う外枠部材を取り付けておき、壁の外面と外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入することにより、坐屈に強い耐震構造を構築することができる。
次の図9は、「4つの壁面部(S1,S2,S3,S4)、天井部T1、床面部Y1」の6面の平面部により、直方体形状すなわち6面体に形成された「立体ユニットU1」を示す外観斜視図である。
本発明の建築物では、立体ユニットU1の6面の平面部である「壁面部(S1,S2,S3,S4)、天井部T1、床面部Y1」のうちの、少なくともひとつの壁面部を含む平面部に対して、発泡ポリウレタンによる強度補強手段を施すことにより、建築物の耐震強度を向上させる構成としている。
本発明では、壁面部S1の1箇所のみ、壁面部S1とそこから離れた壁面部S3の2箇所、などのように強度補強しても耐震強度は向上するが、ひとつの壁面部に隣接する2つ以上の面部に対して、発泡ポリウレタンによる強度補強手段を施すことにより、建築物の耐震強度をさらに向上させることができる。
ひとつの壁面部に隣接する2つ以上の面部としては、種々の組み合わせがあるが、例えば、壁面部どうしの組み合わせでは、「S1−S2」、「S2−S3」、「S1−S4」などとすればよいし、また、天井部T1と壁面部(S1,S2,S3,S4)のいずれかとの組み合わせや、床面部Y1と壁面部(S1,S2,S3,S4)のいずれかとの組み合わせ、などもある。
ひとつの壁面部に隣接する3つ以上の面部としても、種々の組み合わせがあるが、例えば、壁面部どうしの組み合わせでは、「S1−S2−S3」、「S4−S1−S2」などとすればよいし、また、天井部T1と壁面部(S1,S2,S3,S4)のいずれか2つとの組み合わせ、床面部Y1と壁面部(S1,S2,S3,S4)のいずれか2つとの組み合わせ、天井部T1と壁面部(S1,S2,S3,S4)のいずれかと床面部Y1との組み合わせ、などもある。
ひとつの壁面部に隣接する4つ以上の面部、隣接する5つ以上の面部、隣接する6つの面部、についても、同様のように種々の組み合わせがあり、組み合わせる平面部の数が増加するにつれて、立体ユニットU1の耐震強度も増加することとなり、ひいては、住宅200全体の耐震強度を向上させることができる。
とりわけ、立体ユニットU1のすべての平面部の「天井部T1、壁面部S1,壁面部S2,壁面部S3,壁面部S4、床面部Y1」に、発泡ポリウレタンによる強度補強手段を施すこととすれば、6つの平面部で支える安定した6面体の立体構造となるので、建築物の耐震強度を理想的に高めることができる。
さて、本発明による建築物に関する試験データを次に示して、発泡ポリウレタンによる強度補強手段について詳細に説明する。
この実験に用いた「壁材(壁面部)」は、「縦2.5m×横0.9m(約半間)×幅10.5cm(約3.5寸)」の寸法からなる板状体(ボード体)として形成したものであり、(1)2つの平行する壁面間に発泡ポリウレタンを注入する、(2)外面に発泡ポリウレタンを吹き付ける、(3)外面から所定寸法を設けてその外面を覆う外枠部材を取り付けて、外面と外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入する、のいずれかの手段を用い、また、このとき、注入または吹き付けられる発泡ポリウレタンの密度は「42kg/cm3」として統一している。
そして、「壁材の壁仕上げ」については、「仕上げなし」は発泡ポリウレタンの板状体そのままのものを示し、「両面プラスターボード」は発泡ポリウレタンの板状体の2つの壁面にプラスターボードを貼り付けたものを示している。
実験結果から「壁倍率」を求めた。その結果は下記表の通りである。
ここで、「変形角」とは、水平力よる壁の変形から、脚部変形と頭部変形の差を階高で割った角度(ラジアン)である。
「壁倍率」とは、長さ1mあたりの壁の水平強度を1.96kN/m の基準強度で割った値である。
下記表の仕上げなしの壁材(壁面部)は、変形角1/100の壁倍率の「平均値1.8」を有しており、長さ1m当り3.53kN(1.8×1.96=3.53)の地震力に耐えることを表している。
Figure 2011006896
現行の設計基準での「壁倍率」の考え方は、「変形角1/200における壁倍率」を設計に用いている。
そこで、実験結果から、仕上げなしの断熱材だけの壁の壁倍率は1.01、両面プラスターボードの間に断熱材を充填した壁の壁倍率は2.49となる。
つぎは、「住宅の壁量を床面積の関係」を、既存の住宅から調査した結果を示すものであり、X方向、Y方向の壁量を建物床面積で除した値は、次のようになった。
A棟 X方向 外壁 0.15m/m2 内壁 0.14m/m2 計 0.29m/m2
Y方向 外壁 0.21m/m2 内壁 0.10m/m2 計 0.31m/m2
B棟 X方法 外壁 0.17m/m2 内壁 0.12m/m2 計 0.29m/m2
Y方向 外壁 0.23m/m2 内壁 0.08m/m2 計 0.31m/m2
C棟 X方法 外壁 0.19m/m2 内壁 0.16m/m2 計 0.35m/m2
Y方向 外壁 0.20m/m2 内壁 0.08m/m2 計 0.28m/m2
建築基準法での建物重量は、平屋建ての場合、軽い屋根で1.07kN/m2、重い屋根で1.47kN/m2、2階建ての場合、軽い屋根で2.78kN/m2、重い屋根で3.14kN/m2と仮定して、必要壁量を定めている。
阪神大震災の結果、建物の地震時強度が建物重量の0.46倍以上有った建物の被害は少ない、との報告があった。
そこで、阪神大地震で被害にあわない、「床面積当りの壁量と壁倍率の関係」は、次のようになる。
調査した建物の最小の壁量 0.28m/m2
平家軽い屋根 必要耐力 1.07×0.46=0.492kN
必要壁耐力 0.492/0.28=1.76kN/m
必要壁倍率 1.76/1.96=0.9 全ての壁が0.9以上の壁倍率
平家重い屋根 必要耐力 1.47×0.46=0.676kN
必要壁耐力 0.676/0.28=1.42kN/m
必要壁倍率 2.42/1.96=1.23 全ての壁が1.23以上の壁倍率
2階建軽い屋根 必要耐力 2.78×0.46=1.279kN
必要壁耐力 1.279/0.28=4.57kN/m
必要壁倍率 4.57/1.96=2.33 全ての壁が2.33以上の壁倍率
2階建重い屋根 必要耐力 3.14×0.46=1.444kN
必要壁耐力 1.444/0.28=5.16kN/m
必要壁倍率 5.16/1.96=2.63 全ての壁が2.63以上の壁倍率
ここでの、必要壁倍率は変形角1/50程度に対応した壁倍率であり、実験結果は十分これらの値を満足している。
このように、本発明による発泡ポリウレタンを注入(充填)した壁材を用いることにより、阪神大地震程度の震度7クラスの地震を受けてもほとんど被害の生じない建物を作ることが出来る。
調査した建物は最近の建物で壁量が多いことが予想されるが、発泡ポリウレタンが注入された壁材では、壁倍率が大きいので、壁量が半分程度になっても安全である。
また、壁量の多い建物では外壁のみを発泡ポリウレタン入りの壁として、間仕切り壁には発泡ポリウレタンを入れなくても、建物は安全であるともいえる。
ただし、床の強度(床倍率)や、偏心率については検討が必要である。
つぎに、「壁材」の模擬体(サンプル)として、本発明による発泡ポリウレタンの注入により、「高さ200mm×横100mm×奥行き100mm」の寸法からなる「角柱体」を形成しておいて、これを用いて、「壁材の圧縮試験」と「壁材の耐震効果試験」を行った。
ここでの「角柱体」は、発泡ポリウレタンの注入または吹き付けにより形成された「壁材の模擬体」であり、発泡ポリウレタンの密度が「28kg/cm3」と「42kg/cm3」の2種類のものを用い、ここではそれを「KGK28とKGK42」としている。
<壁材の圧縮試験>
実験結果の「応力度−ひずみ度」の関係から、次のようなことが得られた。
・弾性範囲 KGK28:0.12N/mm2程度まで弾性
KGK42:0.16N/mm2程度まで弾性
・圧縮強度 KGK28:0.23N/mm2では破壊しない
KGK42:0.36N/mm2では破壊しない
実験結果からヤング係数E,せん断弾性係数G,を求める。(実験の弾性範囲と思われる値から求めた)。
Figure 2011006896
<壁材の耐震効果>
「壁材」が「壁倍率1(巾1mの壁が1.96kNの地震力に耐える)」であるとして、変形を求める。
Figure 2011006896
地震時の層間変形(1階と2階の変形の差)を階高の100分の1とすれば、KGK28を用いた壁の壁倍率は約1.3になり、KGK42を用いた壁は約1.7の壁倍率となる。
新築建築での壁倍率の考え方は、層間変形200分の1の変形のときの水平力である。
この場合は、壁倍率は上記の半分になり、KGK28で0.65程度、KGK42で0.85程度になる。
ここでの「壁材」は、圧縮にも引張にも耐えるように設計するので、実際の耐力は今回の実験結果より大きくなると考えられる。
また、「壁材」の壁両面の材料と接着することにより、壁倍率はさらに増加することが予想される。
壁倍率は小さくても、「発泡ポリウレタン」を入れた壁材が全て有効であるので、新築建物全体の耐震性能は大きく向上することが予想される。
本発明の「壁材の圧縮試験」と「壁材の耐震効果試験」では、発泡ポリウレタンの注入または吹き付けにより形成された「壁材の模擬体」としての「角柱体」は、発泡ポリウレタンの密度が「28kg/cm3」と「42kg/cm3」の2種類のものを用いているが、これに限られるものではない。
本発明を適用して、建築物の面部に発泡ポリウレタンを注入または吹き付けするにあたっては、発泡ポリウレタンの密度としては「10kg/cm3 (低密度)〜250kg/cm3 (高密度)」の範囲において適宜に調整して用いることができ、発泡ポリウレタンの密度を適切に選定するにより、建築物に合わせた正確で強力な耐震設計が可能となる。
100、200 建築物(住宅)
S1、S2、S3、S4 壁面部(側面部、平面部、面部)
T1 天井部(上面部、平面部、面部)
YN1 屋根部(上面部、平面部、面部)
Y1 床面部(下面部、平面部、面部)
W1 外枠部材(平面部、面部)
1 屋根垂木
2 母屋
3 桁
4 下地材
5 発泡ポリウレタン(現場発泡ポリウレタン)
6 天井板
7 充填断熱材
8 外壁材
9 内装材
10 布基礎
11 土間コンクリート
12 土壌
13 防湿層
14 床板
15 換気装置
16 気密断熱サッシ
17 発泡ウレタン注入個所

Claims (4)

  1. 4つの壁面部・上面部・下面部の6つの面部を有して立体形状に形成される立体ユニットを1つ以上備える建築物において、
    前記立体ユニットの6つの面部のうちの、少なくとも1つの壁面部を含む面部に対して、強度補強手段を適用し、
    前記強度補強手段として、
    前記面部の内部空間に発泡ポリウレタンを注入する手段、
    前記面部の外面に発泡ポリウレタンを吹き付ける手段、
    前記面部の外面から所定寸法を設けて前記外面を覆う外枠部材を取り付け、前記面部の外面と前記外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入する手段、
    のいずれかが用いられる、ことを特徴とする建築物。
  2. 請求項1に記載の建築物において、
    前記建築物は、所定の耐震強度に基づく壁面部の必要壁倍率を有し、
    強度補強された前記壁面部の壁倍率が、前記必要壁倍率を満足するように設定される、ことを特徴とする建築物。
  3. 請求項1または2に記載の建築物において、
    前記発泡ポリウレタンは、所定の密度を有するように設定される、ことを特徴とする建築物。
  4. 建築物に耐震補強を施す方法であって、
    前記建築物は、4つの壁面部・上面部・下面部の6つの面部を有して立体形状に形成される立体ユニットを1つ以上備え、
    前記立体ユニットの6つの面部のうちの、少なくとも1つの壁面部を含む面部に対して、強度を補強するステップを行い、
    前記強度を補強するステップとして、
    前記面部の内部空間に発泡ポリウレタンを注入するステップ、
    前記面部の外面に発泡ポリウレタンを吹き付けるステップ、
    前記面部の外面から所定寸法を設けて前記外面を覆う外枠部材を取り付けて、前記面部の外面と前記外枠部材との空間に発泡ポリウレタンを注入するステップ、
    のいずれかが用いられる、ことを特徴とする建築物の耐震補強方法。
JP2009150761A 2009-06-25 2009-06-25 建築物およびその耐震補強方法 Pending JP2011006896A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009150761A JP2011006896A (ja) 2009-06-25 2009-06-25 建築物およびその耐震補強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009150761A JP2011006896A (ja) 2009-06-25 2009-06-25 建築物およびその耐震補強方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011006896A true JP2011006896A (ja) 2011-01-13

Family

ID=43563841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009150761A Pending JP2011006896A (ja) 2009-06-25 2009-06-25 建築物およびその耐震補強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011006896A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013002115A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd 既存建物の断熱改修工法
JP2016211196A (ja) * 2015-05-01 2016-12-15 アップコン株式会社 電柱の耐震補強方法
EP3779101A1 (en) 2019-08-16 2021-02-17 Flexandrobust Systems Spolka z o.o. The method of anti-seismic protection of frames and filling walls in frame buildings

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55114746A (en) * 1980-01-14 1980-09-04 Takashi Ishikawa Method of repairing metal sheet roof
JPH084141A (ja) * 1994-06-09 1996-01-09 Nippon Light Metal Co Ltd 外断熱構造物及び外断熱工法
JPH0949273A (ja) * 1995-08-09 1997-02-18 Ig Tech Res Inc 外装施工方法
JPH09125706A (ja) * 1995-11-06 1997-05-13 San Lock Kiko:Kk 補強被覆工素材および補強被覆工
JP2000204693A (ja) * 1999-01-18 2000-07-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐震断熱パネルおよびそれを用いた耐震断熱構造
JP2000204702A (ja) * 1999-01-18 2000-07-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐震断熱パネルおよびそれを使用した耐震断熱構造
JP2002097728A (ja) * 2000-09-27 2002-04-05 Kazama Giken Kaihatsu:Kk 既設木造建築物の気密断熱改修工法
JP2003042892A (ja) * 2001-08-01 2003-02-13 Naganori Sato 建物の動的耐震性の評価方法
JP3095275U (ja) * 2003-01-16 2003-07-25 有限会社協栄建設 建物の壁、床又は天井の耐震構造

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55114746A (en) * 1980-01-14 1980-09-04 Takashi Ishikawa Method of repairing metal sheet roof
JPH084141A (ja) * 1994-06-09 1996-01-09 Nippon Light Metal Co Ltd 外断熱構造物及び外断熱工法
JPH0949273A (ja) * 1995-08-09 1997-02-18 Ig Tech Res Inc 外装施工方法
JPH09125706A (ja) * 1995-11-06 1997-05-13 San Lock Kiko:Kk 補強被覆工素材および補強被覆工
JP2000204693A (ja) * 1999-01-18 2000-07-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐震断熱パネルおよびそれを用いた耐震断熱構造
JP2000204702A (ja) * 1999-01-18 2000-07-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐震断熱パネルおよびそれを使用した耐震断熱構造
JP2002097728A (ja) * 2000-09-27 2002-04-05 Kazama Giken Kaihatsu:Kk 既設木造建築物の気密断熱改修工法
JP2003042892A (ja) * 2001-08-01 2003-02-13 Naganori Sato 建物の動的耐震性の評価方法
JP3095275U (ja) * 2003-01-16 2003-07-25 有限会社協栄建設 建物の壁、床又は天井の耐震構造

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013002115A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd 既存建物の断熱改修工法
JP2016211196A (ja) * 2015-05-01 2016-12-15 アップコン株式会社 電柱の耐震補強方法
EP3779101A1 (en) 2019-08-16 2021-02-17 Flexandrobust Systems Spolka z o.o. The method of anti-seismic protection of frames and filling walls in frame buildings

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10724228B2 (en) Building assemblies and methods for constructing a building using pre-assembled floor-ceiling panels and walls
JP5612254B2 (ja) 断熱パネルの取付構造及び建物
CN107268839A (zh) 装配式半嵌半挂外墙板保温结构
JP2011006896A (ja) 建築物およびその耐震補強方法
JP2006118338A (ja) リブフレーム構造体の建設方法及びそのリブフレーム構造体
KR101852721B1 (ko) 건축물용 제진 패널 및 이를 이용한 목조건물 건축 방법
JP3149194U (ja) スチール製パネル式組立て耐震シェルター
JP5755851B2 (ja) 壁の改修構造
KR101115016B1 (ko) 프리캐스트 콘크리트 패널을 이용한 건물 리모델링 시공 방법 및 리모델링 프리캐스트 콘크리트 패널 연결구조
JP2009215750A (ja) 木造家屋の室単位補強構造
Passoni et al. Sustainable restoration of post-WWII European reinforced concrete buildings
JP5926840B2 (ja) 壁の改修方法
JP2014201871A (ja) レンガ壁支持構造およびレンガ壁形成方法
KR100622018B1 (ko) 건축물의 구축방법 및 이로부터 구축된 건축물
TW201207203A (en) Multi-functional steel building structure
JP2013181347A (ja) 木質耐震シェルター
JP2020094450A (ja) 建築物
KR102397998B1 (ko) 목재부간의 높이 차이에 의해 하울링을 줄일 수 있는 방음벽 시스템
JP2000204693A (ja) 耐震断熱パネルおよびそれを用いた耐震断熱構造
JP6043072B2 (ja) 耐震断熱改修構造
JP3211098U (ja) 既設鉄骨建築物における耐震補強構造体
JP6427013B2 (ja) 木造建物及びその外周壁構造
Filiatrault et al. Experimental seismic investigation of a full-scale woodframe building
JP5947846B2 (ja) 建物
Melkumyan et al. Structural concept on retrofitting by base isolation and analysis of the Iasi City Hall historical building in Romania

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120605

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20120612

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20120706