JP3871925B2 - 裏込め構造および裏込め構築方法 - Google Patents

裏込め構造および裏込め構築方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、護岸や擁壁の裏込め構造および裏込め構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、護岸や擁壁の裏込めは、良質の土砂・砂利・砕石を入れて良く締め固めて構築され、土圧の低減に貢献し、排水層として機能している。図11に従来のケーソン式埋め立て護岸裏込め構造の一例を示す。海側と陸側の境界にはケーソン23が基礎捨石21上に設けられている。ケーソン23と基礎捨石21との陸側面には三角形状に裏込材27が積み上げられ、裏込材27と埋立材25との境界には防砂シート29が敷設されて、裏込めが構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
比較的大水深域に建造される護岸では、護岸ケーソン、矢板等のサイズは完成後の地震時の海側への滑動を考慮して決定されることが多い。滑動の際、ケーソン等に作用する土圧は裏込めを介してかかる。土圧の低減によりケーソン等のサイズを小さくすることができる。これより、護岸全体の建造コストの低減のために、ケーソン等に作用する土圧のさらなる低減が望まれている。
【0004】
また、護岸ケーソンの裏込めの施工は、成型、防砂シートの設置等に工期がかかるという問題がある。
【0005】
裏込め材が十分な排水機能を果たさない場合は、マウンドの下を通して埋め立て土砂が海側に流出し、埋め立て地の陥没につながる。このため、裏込め材のフィルター効果を確保することが求められている。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、土圧の低減を達成するとともにフィルター効果を有し、短工期に施工が可能な裏込め構造および裏込め構築方法を提供することにある。
【0007】
前述した目的を達成するための第1の発明は、網袋の内部に中詰材が充填された複数の被覆材を用いて構成され、前記中詰材の粒径が異なる複数種類の被覆材を層状に設置して構成されたことを特徴とする裏込め構造である。
【0008】
中詰材としては、砂利、砕石、人工砂利、比重を調整した砂利、リサイクルで作製した溶融スラグ石材等の粒状体材を用いてもよい。水中での使用の場合は、比重は水の比重より大きいことが好ましい。
【0009】
網袋は繊維を編んで作製した網を用いることができ、無結節網、ラッセル網、蛙股網等により形成される。ラッセル網は、他の無結節網に比べ、破断した個所が広がりにくい特徴をもつ。使用する繊維は、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維、または綿、麻等の天然繊維等で作製できる。
【0012】
の発明では、網袋の内部に中詰材が充填された複数の被覆材を設置して裏込め構造を構成する。この際に、中詰材の粒径が異なる複数種類の被覆材を製作し、中詰材の粒径に応じて各種類の被覆材を層状に設置する。
【0013】
の発明は、構造物の背後に上記に記載の裏込め構造を有する盛土を設け、前記構造物と前記盛土の間に軽量盛土を設けたことを特徴とする裏込め構造である。
【0014】
の発明では、構造物の背後の少し離れた位置に上記に記載の裏込め構造を有する盛土を設ける。一般部の土圧は前記盛土で受ける。構造物に作用する土圧は、軽量盛土によるもののみとなり、低減される。
【0015】
の発明は、網袋の内部に中詰材が充填された複数の被覆材を、前記複数の被覆材のうちの少なくとも2つの底部近傍を設置後の前記被覆材の間隔を考慮して長さを決めた連結ロープで連結して吊下げ用治具に吊す工程と、前記被覆材を、所定の位置に設置する工程と、を具備することを特徴とする裏込め構築方法である。
【0016】
の発明では、網袋の内部に中詰材が充填された複数の被覆材を、吊下げ用治具に吊す。前記被覆材を所定の位置に設置する。複数の被覆材を吊し、一括して設置するので、製作、設置が容易で、長い工期を必要としない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、袋詰め被覆材1の概略構成図を示す。袋詰め被覆材1はフィルターユニットと呼ばれ、繊維製の網袋3に中詰材5が詰められたものである。
【0018】
網袋3は繊維を編んで作製した網である。使用する繊維は合成繊維、天然繊維を問わない。また、ペットボトル等から再生したリサイクル繊維を用いてもよい。中詰材5には砕石、砂利などの他に人工石材、リサイクル石材を使用してもよい。
【0019】
網袋3の頂部には吊環7が設けられる。吊環7はクレーン等への吊り下げ用の治具として使用される。吊環7は耐久性があり、袋詰め被覆材1の重量に耐えうる強度を有する材質からなる。
【0020】
図1(a)は吊環7を用いて袋詰め被覆材1を吊り上げた状態を示す。図1(b)は袋詰め被覆材1を設置した状態を示す。吊り上げた状態に比べて設置した状態の方が被覆する面積が増加する点が袋詰め被覆材1の特徴である。
【0021】
ただし、中詰材5が多すぎると吊り上げた形状とほとんど変化無い形状で設置されてしまう。中詰材5が少なすぎると設置した状態で網袋3の網地に緩みが出て、袋詰め被覆材1が単体として一体でなくなる。
【0022】
袋詰め被覆材1は種々の形状が考えられる。図2に袋詰め被覆材1を構成する網袋3の例を示す。図2(a)は底部が丸型のT型網袋3aを示す。図2(b)は封筒型の叺型網袋3bを示す。
【0023】
図3に袋詰め被覆材1の標準的な製作方法を示す。はじめに図3(a)に示すように、製作枠11を設置し、製作枠11の内側に網袋3を網口を開いた状態でセットする。網袋3を多重にする場合はこの段階で多重にしておく。
【0024】
製作枠11は網口を固定するための枠になると同時に、投入する中詰材5の量を計測する枡としても使用する。バックホー13等を利用して網袋3の中に製作枠11一杯になるまで中詰材5を投入する。
【0025】
その後、図3(b)に示すように、網袋3の網口上部に吊環7を装着する。図3(c)に示すように、クレーン等を利用して吊環7により袋詰め被覆材1を仮吊りして、口元を固縛ロープ17で縛る。図3(d)に示すように、製作枠11をトラッククレーン15等で吊り、図3(e)に示すように製作枠11を引き抜いて、1つの袋詰め被覆材1の製作が完了する。
【0026】
上記製作法により多数の袋詰め被覆材1を工事ヤードで用意する。この袋詰め被覆材1を揚重機により吊り上げ、所定の場所に設置、積み重ねることにより裏込めを構築する。
【0027】
袋詰め被覆材1を使用した裏込め構造について説明する。図4は本発明の第1の実施の形態に係る裏込め構造の断面図を示す。図4の構造は、ケーソン式埋め立て護岸の裏込め部分に、本発明を適用したものである。その他の護岸形式、擁壁等についても同様の断面図が考えられる。
【0028】
図4において、海側と陸側の境界にはケーソン23が基礎捨石21上に設けられている。ケーソン23と埋立材25の間には、多数の袋詰め被覆材1が層状に積み重ねられて裏込めを構成している。被覆材1と埋立材25の間には防砂シート29が敷設されている。
【0029】
図5は袋詰め被覆材1を層状に配置する方法の一例を示す平面図である。図5に示すように偶数番目の層の袋詰め被覆材1aと奇数番目の層の袋詰め被覆材1bとで互いの間隙を埋めるよう、互い違いに積み重ねる。このように配置することで、袋詰め被覆材1の噛み合わせを増大させることができる。
【0030】
ここで、袋詰め被覆材1を用いた裏込め構造の特長、効果について説明する。一般に、粒状体を積み上げた場合の土圧は、積み上げ高に比例して増大する。しかし、網袋3に入れた中詰材5のような粒状体の場合には、水平方向の土圧は、網材の張力によって釣り合うこととなる。よって、袋詰め被覆材1単体としては、水平方向の土圧は作用せず、1つの粒状体要素とみなすことができる。
【0031】
通常の粒状体は、積み上げると安息角の勾配をもつ斜面を形成する。一方、袋詰め被覆材1は容易に垂直に積み上げることが可能であり、一列であっても複数段(5段以上)積み上げることができる。袋詰め被覆材1は可撓性を有するため、設置面の不陸に容易になじみ、これにより噛み合わせの効果が生じるためである。
【0032】
これはホゾなどの噛み合わせを有するコンクリートブロックが水平抵抗が大きいのと同様の原理である。コンクリートブロックはホゾを組み合わせながら設置しなくてはならない。これに対して、袋詰め被覆材1ではこれが自動的に行われるため、自由度が大きいという特長を有する。
【0033】
施工条件によっては、千鳥状に袋詰め被覆材1を設置して、噛み合わせ効果をさらに大きくすることができる。袋詰め被覆材1を用いて裏込めを構成することにより、ケーソン等に作用する土圧を大幅に低減することができる。よって、ケーソン等の重量低減、裏込め材の数量低減に寄与することができる。
【0034】
また、中詰材5の粒径に適切なものを選定することにより、袋詰め被覆材1はフィルターとしての機能を果たすことができる。
【0035】
網袋3や中詰材5の材料にリサイクル物質を利用できるので、環境負荷の低減に役立つ。特に人工軽量石材を用いた場合には、土圧低減効果に加え、接地圧を低減でき、地盤沈下を抑制する効果も期待できる。
【0036】
図6に本発明の第2の実施の形態に係る裏込め構造の断面図を示す。ここでは、粒径の異なる中詰材5を用いている。粒径の小さな中詰材5を有する袋詰め被覆材1cを上の層に、粒径の大きな中詰材5を有する袋詰め被覆材1dを下の層にして、層状に設置することにより、フィルター効果をより大きくすることができる。この場合、防砂シートを不要にすることができる。
【0037】
次に、袋詰め被覆材1を用いた裏込めの構築方法について説明する。図7は複数の袋詰め被覆材1を設置する手段を示す斜視図である。吊下げ用治具31に複数の吊下げロープ33を吊り下げる。吊下げロープ33の先端にはフックを設け、吊環7により袋詰め被覆材1を吊す。
【0038】
吊下げ用治具31は例えば鋼製のフレームからなる。フックはオートリリースフック35とすることが好ましい。吊された袋詰め被覆材1の中心間隔は設置現場に敷設された後の袋詰め被覆材1の中心間隔と同じにしておく。
【0039】
袋詰め被覆材1の直径は吊した状態の方が設置した状態に比べて小さいので、基本的には吊した状態で相互の袋詰め被覆材1が接触することはない。しかし、吊り上げ時の隣接する袋詰め被覆材1間の接触摩擦力の防止、吊り上げた状態での揺動等による袋詰め被覆材1間の接触の防止のために、吊下げロープ33の長さを何種類かに分けて、多層構造に袋詰め被覆材1を吊ってもよい。
【0040】
図7、図8は吊下げロープ33の長さを2種類にして、袋詰め被覆材1を2層構造に吊り上げた状態を示す。図8(a)は正面図であり、図8(b)は側面図である。図8に示すように、正面方向および側面方向に隣接する袋詰め被覆材1の吊下げロープ33の長さが異なるようにしている。
【0041】
図7のように袋詰め被覆材1を吊り下げた吊下げ用治具31をクレーン等の揚重機で吊り、設置位置に合わせた後、吊下げ用治具31を下げて袋詰め被覆材1を敷設する。吊下げロープ33のフックがオートリリースフックの場合には、フレームを下げて袋詰め被覆材1が設置地盤に着底したと同時に自動的にフックが外れ、袋詰め被覆材1を敷設することができる。
【0042】
上記のような方法を採用することにより、一度に多数の袋詰め被覆材1を所定の位置に効率よく敷設することができる。このようにして所定の設置面に袋詰め被覆材1を順次敷き詰め、積み重ねていき、裏込めを構築することができる。
【0043】
図7、図8のように2層構造に吊った場合は、一度に2層分の袋詰め被覆材1を敷設することができる。袋詰め被覆材1の間の接触防止効果だけでなく、敷設作業の効率を高めることができる。吊り上げ時の多層構造は本例に限らず、吊下げロープ33の長さを適宜設定することにより、2層以上の多層構造も可能である。
【0044】
多層構造に袋詰め被覆材1を吊った場合、吊下げロープ33の長さに応じて、各袋詰め被覆材1に充填される中詰材5の粒径が異なるようにしてもよい。例えば、短い吊下げロープ33に吊り下げた袋詰め被覆材1は粒径の小さな中詰材5、長い吊下げロープ33に吊り下げた袋詰め被覆材1は粒径の大きな中詰材5を有するようにする。これより、フィルター効果の高い裏込め構造を容易に構築できる。
【0045】
上述のように、袋詰め被覆材1の設置には、下地の均しや設置時の組み合わせ等の細かな精度管理を必要としない。多数の袋詰め被覆材1をフレーム等から吊り下げることにより一括設置することが可能である。吊り下げ時の形状、設置時の形状の概要を網袋3の諸元、中詰材5の諸元から事前に知ることができるので、吊り下げ方を事前に設計することができる。よって、工期の短縮、特に均し等の水中作業の軽減を図ることができる。
【0046】
図9は複数の袋詰め被覆材1の底部近傍を連結ロープ37で結合した状態を示す。連結ロープ37の長さは設置後の袋詰め被覆材1の間隔を考慮して決める。結合は陸上で可能であり、設置方法に影響しない。図9(a)は吊り上げた状態を示す図であり、図9(b)は設置した状態を示す図である。袋詰め被覆材1を結合することにより、設置面39に設置後はすべり線を横切って抵抗するようになるので、土圧の低減効果がさらに大きくなる。
【0047】
図10に本発明の第3の実施の形態に係る裏込め構造の断面図を示す。ケーソン23から少し離れた位置に袋詰め被覆材1による盛土を設置する。盛土とケーソン23との間に軽量盛土41による裏込めを構築する。埋立材25からの土圧を袋詰め被覆材1による盛土で受ける。ケーソン23に作用する土圧は軽量盛土41による土圧のみとなり、さらに低減される。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明によれば、土圧の低減を達成するとともにフィルター効果を有し、短工期が可能な裏込め構造および裏込め構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】袋詰め被覆材1の概略構成図
【図2】網袋3の種類を示す図
【図3】袋詰め被覆材1の標準的な製作方法を示す図
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る裏込め構造の断面図
【図5】袋詰め被覆材1を層状に配置する方法を示す平面図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る裏込め構造の断面図
【図7】多数の袋詰め被覆材1を設置する手段を示す斜視図
【図8】2層構造に吊り上げられた袋詰め被覆材1の状態を示す図
【図9】結合された袋詰め被覆材1を示す図
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る裏込め構造の断面図
【図11】従来の裏込め構造の断面図
【符号の説明】
1---------袋詰め被覆材
3---------網袋
5---------中詰材
7---------吊環
11---------製作枠
13---------バックホー
15---------トラッククレーン
21---------基礎捨石
23---------ケーソン
25---------埋立材
31---------吊下げ用治具
33---------吊下げロープ
35---------オートリリースフック
37---------連結ロープ
39---------設置面
41---------軽量盛土

Claims (4)

  1. 網袋の内部に中詰材が充填された複数の被覆材を用いて構成され、前記中詰材の粒径が異なる複数種類の被覆材を層状に設置して構成されたことを特徴とする裏込め構造。
  2. 前記複数の被覆材のうちの少なくとも2つは連結されていることを特徴とする請求項1記載の裏込め構造。
  3. 構造物の背後に請求項1または請求項2に記載の裏込め構造を有する盛土を設け、前記構造物と前記盛土の間に軽量盛土を設けたことを特徴とする裏込め構造。
  4. 網袋の内部に中詰材が充填された複数の被覆材を、前記複数の被覆材のうちの少なくとも2つの底部近傍を設置後の前記被覆材の間隔を考慮して長さを決めた連結ロープで連結して吊下げ用治具に吊す工程と、
    前記被覆材を、所定の位置に設置する工程と、
    を具備することを特徴とする裏込め構築方法。
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