JP3871768B2 - 傾斜面を有する屋根 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、棟から軒先に向かって傾斜面が形成された傾斜面を有する屋根に関する。
【0002】
【背景技術】
建物本体上に棟から軒先に向かって傾斜した傾斜面が形成された傾斜面を有する屋根では、小屋裏空間を居室として使用することにより、建物を大幅に高くすることなく、建物の階層数を増やすことができるので、建物内部の空間を有効に活用することができる。
一方、このような小屋裏空間を利用した居室を建物の2階上部に形成した場合、建物は3階建てとなるので、道路に面した部分から安全に3階居室に到達できる非常用進入口を設ける必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、このような傾斜面を有する屋根において、非常用進入口を設ける場合、例えば、切り妻屋根の妻面等の垂直面に非常用進入口を設けなければならなかった。
従って、非常用進入口の設置位置が限定されていしまい、小屋裏空間を利用した3階居室のレイアウトが制限されてしまい、必ずしも3階居室の有効活用を図っているとは言い難かった。
【0004】
本発明の目的は、道路に面した部分から安全に到達できる非常用進入口を設けることができ、かつ小屋裏空間に形成される居室の有効活用を図ることのできる傾斜面を有する屋根を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る傾斜面を有する屋根は、図1の符号を参照して説明すれば、棟A2から軒先A3に向かって傾斜した傾斜面A4が形成された傾斜面を有する屋根A1であって、前記傾斜面には、立ち上がり壁A51と床A52とを有する凹部A5が設けられ、この凹部は、凹部屋根ユニットによって構成され、この凹部屋根ユニットは、前記床を構成する長方形状の床部と、前記立ち上がり壁を構成する立ち上がり部とを備える側面L字状のフレームと、このフレームのいずれか一方の端部において、前記立ち上がり部の上端と前記床部の屋外側先端との間に架設される斜め梁とを備えて構成され、前記凹部の端部は、前記棟に直交する前記屋根の側面A6に臨んでいることを特徴とする。
ここで、棟とは、建物の桁方向に沿って延びる屋根の最も高い部分をいい、互いに異なる傾斜方向の傾斜面同士が交差する稜線の他、片流れ屋根の上部端縁をも含むものである。
このような本発明によれば、凹部の端部が棟に直交する屋根の側面に臨んでいるので、凹部の床を立ち上がり壁に設けられた非常用進入口A54に至る通路として利用することが可能となり、非常用進入口を凹部の立ち上がり壁の自由な位置に設けることが可能となる。
従って、非常用進入口の設置位置等の制限が緩和され、小屋裏空間に形成された居室のレイアウトを自由に設定することが可能となる。
また、凹部が、凹部屋根ユニットによって構成され、この凹部屋根ユニットが、長方形状の床部と立ち上がり部とを備える側面L字状のフレームを備えているので、予め工場内で凹部屋根ユニットに床材、壁材等を組み込んでおくことができる。従って、建築現場における作業を大幅に低減することができ、建築現場の工期短縮を図ることができる。
また、凹部屋根ユニットが、前記フレームのいずれか一方の端部に架設された斜め梁を備えているので、凹部屋根ユニットのフレーム強度が向上し、輸送時、荷台に固定する縄掛け等の作業を低減することができる。
【0006】
また、本発明に係る傾斜面を有する屋根は、図8を参照して説明すれば、棟E21から軒先E31に向かって傾斜した傾斜面を構成する傾斜屋根部E2と、この傾斜屋根部に隣接して配置されかつ歩行可能な屋根面を構成する歩行屋根部E3とを備えた傾斜面を有する屋根E1であって、前記傾斜屋根部には、立ち上がり壁と床とを有する凹部E5が設けられ、この凹部は、凹部屋根ユニットによって構成され、この凹部屋根ユニットは、前記床を構成する長方形状の床部と、前記立ち上がり壁を構成する立ち上がり部とを備える側面L字状のフレームと、このフレームのいずれか一方の端部において、前記立ち上がり部の上端と前記床部の屋外側先端との間に架設される斜め梁とを備えて構成され、前記凹部の端部は、前記歩行屋根部と連通していることを特徴とする。
このような本発明によれば、歩行屋根部と傾斜面を有する屋根との取り合い部分となる側壁部にも非常用進入口を形成することが可能となるので、凹部の立ち上がり壁とともに非常用進入口の設置位置の自由度が向上し、3階居室のレイアウトの制限が一層緩和される。
また、凹部が、前記凹部屋根ユニットによって構成されているので、予め工場内で凹部屋根ユニットに床材、壁材等を組み込んでおくことができ、建築現場の工期短縮を図ることができるとともに、前記凹部屋根ユニットのフレームに架設された斜め梁によって、フレーム強度が向上し、輸送時の作業を低減することができる。
【0007】
以上において、傾斜面を有する屋根としては、具体的には、棟に直交する屋根の側面が妻面A6〜G6とされる切り妻屋根A1〜G1と、図14を参照して説明すれば、棟I2の端部から当該棟に直交する軒先I6に延びる下り棟I7が形成され、棟に直交する屋根の側面が傾斜面I8とされた寄せ棟屋根I1が考えられる。
すなわち、切り妻屋根に上述した凹部A5〜G5を設けた場合、妻面に直交して延出する凹部の立ち上がり壁に非常用進入口を形成することが可能となるので、建物の妻側および桁側いずれの方向からでも梯子等を架けて進入することが可能となり、道路からの進入方向の自由度が向上する。
また、寄せ棟屋根に凹部I5を設けた場合、棟に直交する傾斜面方向から進入可能な非常用進入口I54が形成されるので、非常用進入口のために、垂直面を有するドーマ等を別途当該傾斜面に形成する必要がなく、傾斜面を有する屋根の構造の簡素化が図られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る傾斜面を有する屋根を備え、複数の略箱状の建物ユニットを組み合わせて形成されるユニット式建物が示されている。
ユニット式建物Aは、現場打設された基礎1上に設けられる2階建ての建物本体2と、この建物本体2上に設けられる傾斜面を有する屋根A1とを含んで形成される。
傾斜面を有する屋根A1は、前記建物本体2の桁方向に沿って延びる棟A2から建物本体2の両側の桁側側面に沿って延びる軒先A3に向かって傾斜した一対の傾斜面A4を有する両流れの切り妻屋根である。
【0009】
このような傾斜面を有する屋根A1の小屋裏空間は、図1では図示を略したが、建物本体2の2階居室部分から昇降可能な3階居室部分として利用されているとともに、傾斜面を有する屋根A1の図1中手前側の傾斜面A4には、この居室部分から出入り可能な凹部A5が設けられている。
凹部A5は、立ち上がり壁A51と、床A52とを有し、図1中左側の端部は前記棟A2の延出方向に直交する側面である妻面A6に臨んでいるとともに、他方の端部には、上述した小屋裏空間の内外を仕切る壁A53が設けられている。
そして、立ち上がり壁A51には、小屋裏空間の居室部分すなわち、ユニット式建物Aの3階居室に進入するための非常用進入口A54が設けられ、X方向、Y方向のいずれからも非常用進入口A54への進入が可能となっている。
【0010】
このようなユニット式建物Aは、工場で製造された略箱状の建物ユニットを建築現場で組み合わせるユニット構法によって形成され、このようなユニット構法によれば、予め工場内で建物ユニットに壁材、床材、その他の設備部材を組み込んでおけるので、建築現場における作業を大幅に低減することができ、建築現場における工期短縮を図ることができる。
具体的には、ユニット式建物Aは、建物本体2を構成する直方体状の建物ユニット21と、傾斜面を有する屋根A1を構成する屋根ユニット31と、上述した小屋裏空間内の3階居室を構成する低建物ユニット41と、傾斜面を有する屋根A1の軒先を構成する軒先ユニット51と、凹部5を構成する凹部屋根ユニット61と、低建物ユニット41上に配設される屋根パネル71とを含んで形成される。
【0011】
建物ユニット21は、図2に示すように、鋼製材からなる軸組構造のフレーム211を有し、このフレーム211は、四隅に立設される角形鋼管からなる柱212と、これらの柱212の上端間、下端間を連絡するコ字状の断面を有する梁213とから構成されている。
そして、図2では図示を略したが、フレーム211には、予め工場で内外壁材、床材、天井材、その他の必要な設備部材が取り付けられた状態で出荷される。
尚、上述した小屋裏空間の3階居室を構成する低建物ユニット41も建物ユニット21と同様の構成であるが、傾斜面を有する屋根A1の小屋裏空間に納めるために、フレームの高さ寸法が小さくなっていて、天井高さを十分に確保するために、天井材は取り付けられていない。
【0012】
傾斜面A4を構成する屋根ユニット31は、図3に示すように、三角柱の長方形側面を底面とした軸組構造のフレーム311を有している。
このフレーム311は、4本の梁312を長方形状に組み合わせた水平フレーム313と、水平フレーム313上に立設され、傾斜面A4の束となる2本の垂直部材314と、この2本の垂直部材314の上端間を連絡する棟A2方向に延びる水平部材315と、垂直部材314の上端および水平フレーム313の上面を連絡する斜材316とを備えている。
【0013】
前記水平フレーム313の上面の端部および中間部分と、前記水平部材315の端部および中間部分とには、ブラケット317が設けられ、このブラケット317に屋根面材の取付下地となる合板318が接合固定されている。
そして、図3では図示を略したが、この合板318上には、防水用のアスファルトフェルトを介して屋根面材が釘打ち固定される。
尚、水平フレーム313には、互いに対向する一対の梁の中間部分に鋼製の中間梁319が架設されるとともに、図3では図示を略したが、この中間梁319に平行に複数本の木製の根太が架設され、その上に床面材が取り付けられ、屋根ユニット31の内部も上述した3階居室として利用される。
【0014】
凹部A5を構成する凹部屋根ユニット61は、図4に示すように、側面L字状の鋼製フレーム611を有し、このフレーム611は、床A52を構成する長方形状の床部612と、立ち上がり壁A51を構成する立ち上がり部613とから構成されている。
床部612上には、図4では図示を略したが、平面視で立ち上がり部613と平行に複数の根太が架設され、その上に床面材614が取り付けられ、この床面材614の上面は防水シートによって覆われている。
尚、上記根太の高さ寸法は、床部612の一方の端縁(立ち上がり部613が設けられる端縁)から他方の端縁に向かうに従って小さくなっている。
従って、その上に取り付けられる床面材614には、屋外側に低くなった水勾配が形成されることとなり、図4では図示を略したが、水勾配の下流側となる前記他方の端縁にはその延出方向に沿って側溝が設けられている。
【0015】
立ち上がり部613は、上述した床部612の端縁に沿って立設形成され、その側面には、前記床面材614と取り合うように、軽量気泡コンクリート板(以下ALC板)製の外壁材615が取り付けられている。
また、立ち上がり部613には、非常用進入口A54を取り付ける鋼製下地616が設けられているとともに、図4では図示を略したが、この外壁材の反対側には、3階居室の内壁を形成する珪酸カルシウム板からなる内壁材が取り付けられている。
【0016】
このような屋根ユニット31、低建物ユニット41、凹部屋根ユニット61によって形成される傾斜面を有する屋根A1の桁側端縁には、図1から判るように、軒樋を備えた軒先ユニット51が接続され、傾斜面A4に降り注ぐ雨水は、この軒先ユニット51と、縦樋(図1では図示略)とによって地表面に排出される。
尚、凹部A5の上部にあたる傾斜面A4の下部端縁にも軒先ユニット51が設けられている。
また、棟A2は、傾斜面A4の角度に合わせて当接させた2枚の屋根パネル71によって形成され、その上部を棟カバーによって覆われている。
ここで、屋根パネル71は、長方形状の下地フレームと、この下地フレーム上に取り付けられる合板および屋根面材とを含んで形成され、当該下地フレームの下端部が前記屋根ユニット31に接続されるとともに、上端部は、前記低建物ユニット41の棟A2に対応する位置に所定の間隔を開けて立設される束部材によって支持固定されている。
【0017】
以上のような第1実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、凹部A5の端部が妻面A6に臨んでいるので、凹部A5の床A52を非常用進入口A54に至る通路として利用することができ、非常用進入口A54を凹部A5の立ち上がり壁A51の自由な位置に設けることができる。
従って、非常用進入口A54の設置位置等の制限が緩和され、小屋裏空間に形成された3階居室のレイアウトを自由に設定することができる。
【0018】
また、切り妻屋根である傾斜面を有する屋根A1の妻面A6に直交して延出する凹部A5の立ち上がり壁A51に非常用進入口A54が形成されるので、ユニット式建物Aの妻側X方向、桁側Y方向のいずれの方向からでも梯子等を架け渡して3階居室に進入することができ、道路からの進入方向の自由度は一層向上する。
さらに、傾斜面を有する屋根A1が屋根ユニット31、低建物ユニット41、軒先ユニット51によって構成されているので、矩形状の屋根パネルを束部材で支持する構造の屋根よりも、垂直部材の立設本数を低減することができ、小屋裏空間の3階居室を広くかつ使いやすく確保することができる。
【0019】
そして、ユニット式建物Aが建物ユニット21、屋根ユニット31、低建物ユニット41、軒先ユニット51、凹部屋根ユニット61等を組み合わせて形成されているので、建築現場における大幅な工期短縮を図ることができる。
また、屋根ユニット31、低建物ユニット41の内装工事を予め工場で済ますことができるので、傾斜面を有する屋根A1および3階居室を形成するための現場作業を著しく軽減することができる。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部材または部分と同一又は類似の部材または部分については、その説明を省略または簡略にする。
前述した第1実施形態に係るユニット式建物Aでは、傾斜面を有する屋根A1には1つの凹部A5しか形成されていなかった。
これに対して、第2実施形態に係るユニット式建物Bの傾斜面を有する屋根B1では、図5に示すように、建物本体2の桁方向に延びる棟B2に直交する2つの妻面B6のそれぞれに臨む凹部B5が2箇所設けられている。
【0021】
2つの凹部B5は、図5中手前側の同一の傾斜面B4に形成され、ユニット式建物Bの桁方向に沿って配列されるとともに、これらの凹部B5の中間部分は、傾斜面B4によって区画され、当該傾斜面B4の小屋裏内部が3階居室の一部とされている。
従って、凹部B5には、それぞれ非常用進入口B54が設けられ、図5中左側の妻面B6近傍のX1方向、Y1方向と、図5では図示しない他の妻面近傍のX2方向、Y2方向とから、それぞれの非常用進入口B54によって3階居室に進入可能となっている。
尚、傾斜面を有する屋根B1を構成するユニット部材は、第1実施形態の傾斜面を有する屋根A1と同様に、屋根ユニット31、低建物ユニット41、軒先ユニット51、凹部屋根ユニット61を組み合わせることによって形成されている。
その他の棟B2、傾斜面B4、妻面B6、凹部B5の立ち上がり部B51および床B52等の構造は上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0022】
前述の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果がある。
すなわち、傾斜面を有する屋根B1に凹部B5が2箇所設けられているので、それぞれの凹部B5にX1方向、Y1方向、X2方向、Y2方向から進入することができ、道路から非常用進入口B54への進入路の確保が一層容易になる。
【0023】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述の第2実施形態に係るユニット式建物Bの傾斜面を有する屋根B1は、凹部B5が同一の傾斜面B4に2箇所設けられ、ユニット式建物Bの桁方向に沿って配列され、その中間部分を傾斜面B4によって区画されていた。
これに対して、第3実施形態に係るユニット式建物Cの傾斜面を有する屋根C1は、図6に示すように、両流れの傾斜面C4の一方に凹部C5の両端がユニット式建物Cの2つの妻面C6に臨んでいて、ユニット式建物Cの桁方向に沿って全体に凹部C5が形成されている。
【0024】
そして、非常用進入口C54は、図6中手前側の凹部屋根ユニット61にのみ形成されていて、他の凹部屋根ユニット61には、形成されていない。
尚、非常用進入口C54が形成されていない凹部屋根ユニット61には、前述した図4において、非常用進入口C54を取り付けるための鋼製下地616が省略されている。
また、凹部C5が一方の傾斜面C4の全体に形成されているので、3階居室は、凹部C5が形成されていない他の傾斜面C4の小屋裏空間を利用して形成される。
その他の棟C2、軒先C3等については、上述した第2実施形態の傾斜面を有する屋根B1と同様の構造である。
【0025】
このような第3実施形態に係る傾斜面を有する屋根C1によれば、前述した各実施形態の効果に加えて、以下のような効果がある。
すなわち、凹部C5が一方の傾斜面C4の全体に形成されているので、ユニット式建物Cの桁方向側面、すなわちY方向に面する側面のどの部分からでも進入可能であり、X1方向、X2方向に加え、道路からの非常用進入口C54への進入方向の自由度は第2実施形態の場合よりも一層向上する。
また、凹部C5がすべて連通しているので、非常用進入口C54を凹部C5を構成する凹部屋根ユニット61のいずれか1つに設ければよく、3階居室のレイアウトの自由度が一層向上するうえ、非常用進入口C54の設置箇所を低減することができる。
【0026】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
前述した第3実施形態に係るユニット式建物Cの傾斜面を有する屋根C1は、両流れの傾斜面C4の一方に凹部C5の両端がユニット式建物Cの2つの妻面C6に臨んでいて、ユニット式建物Cの桁方向に沿って全体に凹部C5が形成され、凹部C5のすべてが屋外空間とされていた。
これに対して、図7に示すように、第4実施形態に係る傾斜面を有するユニット式建物Dの傾斜面を有する屋根D1において、凹部D5は、第3実施形態に係る凹部C5と同様に、両端が妻面D6に臨んでいるが、凹部D5の略中央部に棟D2を形成する屋根パネル71の下端縁から軒先D3まで延びる開口部付き屋根パネル81が架設され、凹部D5の当該部分は、開口部付き屋根パネル81によって覆われている。
【0027】
開口部付き屋根パネル81は、図7では図示を略したが、上述した屋根パネル71と同様に矩形状の下地フレーム上に合板、アスファルトフェルト、屋根面材を取り付けたものである。
そして、下地フレームの内部には、開口部枠となる鋼製下地が設けられ、開口部811には、ガラスが嵌め込まれている。
【0028】
以上のような第4実施形態によれば、前述した各実施形態の効果に加え、次のような効果がある。
すなわち、凹部D5の中央部分がその上部を開口部付き屋根パネル81によって覆われているので、当該部分は雨水等が降り注ぐこともなく、凹部D5を一層有効に活用することができる。
また、開口部付き屋根パネル81の開口部分を利用して凹部D5に進入することができるので、第3実施形態の場合と比較しても、道路からの非常用進入口D54への進入方向の自由度が損なわれることもない。
【0029】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
前述した第1実施形態〜第4実施形態に係る傾斜面を有する屋根A〜Dは、建物本体2の上部全体に亘って傾斜面A4、B4、C4、D4が形成され、凹部A5、B5、C5、D5は、その端部が妻面A6、B6、C6、D6に臨んでいた。
これに対して、第5実施形態に係るユニット式建物Eの傾斜面を有する屋根E1は、傾斜面E4が形成された傾斜屋根部E2とこの傾斜屋根部E2に隣接して配置される歩行屋根部E3とを備え、傾斜屋根部E2の小屋裏空間が3階居室とされ、傾斜屋根部E2に設けられた凹部E5の端部が歩行屋根部E2と連通している。
尚、傾斜屋根部E2と歩行屋根部E3との取り合い部分には、傾斜屋根部E2の棟E21に直交して側壁E6が形成されている。
【0030】
傾斜屋根部E2に設けられる凹部E5は、前述した凹部屋根ユニット61を配置して形成され、その上部は、第4実施形態で説明した開口部付き屋根パネル81によって覆われている。
一方、歩行屋根部E3は、複数の歩行屋根ユニット91を隣接配置して形成され、この歩行屋根ユニット91は、図9に示すように、下地フレーム911上にALC(軽量気泡コンクリート)製の床面材912を取り付けた平板状のパネルである。
下地フレーム911は、断面コ字状の鋼材913を四角形状に組み合わせて形成され、下地フレーム911の長辺を構成する一対の鋼材913の間には、補強材914が架設され、この上に床面材912が載置固定されている。
尚、図9では図示を略したが、この床面材912上には、軟質の防水シートが貼られている。
【0031】
このような第5実施形態によれば、前述した第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、次のような効果がある。
すなわち、歩行屋根部E2と傾斜屋根部E3との取り合い部分となる側壁E6および凹部E5の立ち上がり壁E51のいずれにも、非常用進入口E54が自由に設置できるので、非常用進入口E54による3階居室のレイアウトの制限を一層緩和することができる。
また、凹部E5の端部が歩行屋根部E3と連通しているので、非常用進入口E54を歩行屋根部E3のための出入り口としても利用することができ、通常時、非常用進入口E54を有効に活用することができる。
【0032】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
前述した第5実施形態に係るユニット式建物Eの傾斜面を有する屋根E1は、一方のユニット式建物Eの建物本体2の妻面に臨む傾斜屋根部E2と他方の妻面に臨む歩行屋根部E3とに分割して形成されていた。
これに対して、第6実施形態に係るユニット式建物Fの傾斜面を有する屋根F1は、図10に示すように、建物本体2の妻面に臨む傾斜屋根部F2が2箇所形成されていて、この2つの傾斜屋根部F2の間に歩行屋根部F3が形成されている。尚、それぞれの傾斜屋根部F2の傾斜面F4、棟F21、軒先F31の構造は、互いに同一の構造を有し、前述した第1実施形態で説明した通りである。
尚、非常用進入口F54への進入方向は、妻面F6のX1方向およびX2方向と、凹部F5が設けられた傾斜面F4の建物本体2の桁方向全体に亘るY1方向と、凹部F5が設けられていない傾斜面F4側のY2方向との4箇所となる。
【0033】
凹部F5を構成する凹部屋根ユニット61Aは、図11に示すように、上述した他の実施形態で使用される凹部屋根ユニット61の一方の端部に立ち上がり部613の上端と床部612の屋外側先端との間に斜め梁611Aが架設されている。
そして、図11では図示を略したが、斜め梁611Aにはその延出方向に沿って合板および屋根面材が取付られ、このため、斜め梁611Aの両端には、ブラケット612Aが設けられている。
【0034】
このような第6実施形態によれば、前述の第5実施形態の効果に加えて、以下のような効果がある。
すなわち、ユニット式建物Fの略中央部に設けられた歩行屋根部F3によって、凹部F5の設けられていない側の傾斜面F4から非常用進入口F54に進入することができるので、道路からの非常用進入口F54への進入方向自由度は一層向上する。
また、凹部屋根ユニット61Aに斜め梁611Aが架設されているので、凹部屋根ユニット61Aのフレーム強度が向上し、輸送時、荷台に固定する縄掛け等の作業を軽減することができる。
【0035】
尚、本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、次に示すような変形をも含むものである。
すなわち、前述の第1実施形態における傾斜面を有する屋根A1は、凹部A5以外の部分は、すべて傾斜面A4によって構成されていたが、これに限らず、図12に示すユニット式建物Gのように、傾斜面を有する屋根G1の一部が歩行屋根部G3となっていて、この歩行屋根部G3と凹部G5とが連通していないような傾斜面を有する屋根G1であっても、第1実施形態で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
尚、この場合、傾斜面G4の小屋裏空間に形成された居室には、歩行屋根部G3への出入り口G31と、非常用進入口G54との両方を設ける必要がある。
【0036】
また、前述の第6実施形態では、傾斜面を有する屋根F1は、ユニット式建物Fの両端に配設される傾斜屋根部F2と中間部分に配設される歩行屋根部F3とから構成されていたが、これに限らず、図13に示すユニット式建物Hのように、傾斜面を有する屋根H1が、ユニット式建物Hの両端に配設される歩行屋根部H3と、これらの歩行屋根部H3の間に配設される傾斜屋根部H4とから構成される傾斜面を有する屋根H1であってもよい。
尚、凹部H5は、その上部を前述した開口部付き屋根パネル81によって覆われている。
このような傾斜面を有する屋根H1によれば、歩行屋根部H3を通路として利用することにより、凹部H5に設けられる非常用進入口H54への進入方向自由度は、ユニット式建物Hのほぼ全周に亘って確保することができる。
【0037】
さらに、前述の各実施形態では、傾斜面を有する屋根A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1は、棟に直交する方向の屋根の側面が垂直面である切り妻屋根であったが、これに限らず、図14に示すユニット式建物Iのように、棟I2の端部から当該棟I2に直交する軒先I6に延びる下り棟I7が形成され、屋根の側面が傾斜面I8とされた寄せ棟屋根形状の傾斜面を有する屋根I1に凹部I5を形成してもよい。
このような寄せ棟形状の傾斜面を有する屋根I1によれば、前述した第1実施形態で述べた効果に加えて、凹部I5を形成するだけで、棟I2に直交する傾斜面I8方向から進入可能な非常用進入口I54を形成することができるので、非常用進入口を形成するために、垂直面を有するドーマ等を傾斜面I8上に設ける必要もなく、屋根構造の簡素化を図ることができる。
【0038】
そして、前述の各実施形態では、ユニット式建物A〜Hの傾斜面を有する屋根A1〜H1に凹部A5〜H5を設けていたが、これに限らず、いわゆる在来軸組構法によって建築された建物の屋根として本発明に係る傾斜面を有する屋根を形成しても、前述の各実施形態で述べた効果と同様の効果を享受することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【0039】
【発明の効果】
前述のように、本発明の傾斜面を有する屋根によれば、凹部の端部が棟に直交する屋根の側面に臨んでいて、凹部の床を非常用進入口に至る通路として利用することができるので、道路に面した部分から安全に到達できる非常用進入口を設けることができ、かつ小屋裏空間に形成される居室の有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図2】前述の実施形態におけるユニット式建物を構成する建物ユニットの構造を表す概要斜視図である。
【図3】前述の実施形態における傾斜面を有する屋根を構成する屋根ユニットを表す概要斜視図である。
【図4】前述の実施形態における凹部を構成する凹部屋根ユニットを表す概要斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図9】前述の実施形態における歩行屋根部を構成する歩行屋根ユニットを表す概要斜視図である。
【図10】本発明の第6実施形態を表すユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図11】前述の実施形態の凹部を構成する凹部屋根ユニットを表す概要斜視図である。
【図12】前述の第1実施形態の変形となるユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図13】前述の第5実施形態の変形となるユニット式建物を表す概要斜視図である。
【図14】前述の第1実施形態の他の変形となる寄せ棟屋根に凹部を形成したユニット式建物を表す部分斜視図である。
【符号の説明】
A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1 傾斜面を有する屋根A2、B2、C2、D2、E21、F21 棟
A3、B3、C3、D3、E31、F31 軒先
A4、B4、C4、D4、E4、F4 傾斜面
E2、F2、H2、 傾斜屋根部
E3、F3、H3 歩行屋根部
A6、B6、C6、D6、E6、F6、G6 妻面(屋根の側面)
I8 寄せ棟屋根の傾斜面(屋根の側面)
Claims (6)
- 棟から軒先に向かって傾斜した傾斜面が形成された傾斜面を有する屋根であって、
前記傾斜面には、立ち上がり壁と床とを有する凹部が設けられ、
この凹部は、凹部屋根ユニットによって構成され、この凹部屋根ユニットは、前記床を構成する長方形状の床部と、前記立ち上がり壁を構成する立ち上がり部とを備える側面L字状のフレームと、このフレームのいずれか一方の端部において、前記立ち上がり部の上端と前記床部の屋外側先端との間に架設される斜め梁とを備えて構成され、
前記凹部の端部は、前記棟に直交する前記屋根の側面に臨んでいることを特徴とする傾斜面を有する屋根。 - 棟から軒先に向かって傾斜した傾斜面を構成する傾斜屋根部と、この傾斜屋根部に隣接して配置されかつ歩行可能な屋根面を構成する歩行屋根部とを備えた傾斜面を有する屋根であって、
前記傾斜屋根部には、立ち上がり壁と床とを有する凹部が設けられ、
この凹部は、凹部屋根ユニットによって構成され、この凹部屋根ユニットは、前記床を構成する長方形状の床部と、前記立ち上がり壁を構成する立ち上がり部とを備える側面L字状のフレームと、このフレームのいずれか一方の端部において、前記立ち上がり部の上端と前記床部の屋外側先端との間に架設される斜め梁とを備えて構成され、
前記凹部の端部は、前記歩行屋根部と連通していることを特徴とする傾斜面を有する屋根。 - 請求項1に記載の傾斜面を有する屋根において、
前記側面が妻面とされる切り妻屋根であることを特徴とする傾斜面を有する屋根。 - 請求項1に記載の傾斜面を有する屋根において、
前記棟の端部から前記棟に直交する軒先に延びる下り棟が形成され、前記側面が傾斜面とされた寄せ棟屋根であることを特徴とする傾斜面を有する屋根。 - 請求項2に記載の傾斜面を有する屋根において、
前記傾斜屋根部は、前記側面が妻面とされる切り妻屋根であることを特徴とする傾斜面を有する屋根。 - 請求項2に記載の傾斜面を有する屋根において、
前記傾斜屋根部は、前記棟の端部から前記棟に直交する軒先に延びる下り棟が形成され、前記側面が傾斜面とされた寄せ棟屋根であることを特徴とする傾斜面を有する屋根。
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