JP4146576B2 - 建物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、屋根付きバルコニーを有する建物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のユニット建物としては、特開平6−146416号公報に記載されているものが知られている。上記公報記載のユニット建物は、複数の居住用建物ユニットを組み合わせる居住部上に複数の屋根ユニットが載置されて屋根部が構成されている。
このユニット建物では、軒先を有する屋根ユニットを前記居住部の端部に位置する建物ユニットで支持する軒先支持構造になされ、前記建物ユニットは、前記居住部の外壁を構成する横壁と、該横壁から軒先側に向けて突出して前記軒先を有する屋根ユニットの軒先側の両側端部を支持する縦壁とを有している。
このような居住部の端部に位置する建物ユニットでは、横壁と両側の縦壁とにより囲われた屋外側の前側約半分が屋根付きバルコニー空間部として利用可能になされ、縦壁がバルコニーの袖壁になると同時に、バルコニー空間部の上方を覆う屋根ユニットを支持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報記載のような従来のユニット建物では、建物ユニットの屋外側の前側約半分を屋根付きバルコニー空間部として利用し、残りの後ろ側半分を居住空間部として利用するので、屋根付きバルコニーとして利用できる空間部の奥行きが限られるという問題があった。
【0004】
そこで本発明の目的は、奥行き寸法が制約されない広い屋根付きバルコニーを有するユニット建物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、居住部と、この居住部の上に屋根ユニットを載置して構成された屋根部とを備えた建物において、前記居住部の屋外側にバルコニーが連結され、このバルコニーの上のバルコニー用屋根ユニットが平行な二つの袖壁で支持されていることを特徴としている。
0006
さらに、請求項記載の発明は、前記バルコニー用屋根ユニットで隅棟トラスまたは隅棟梁を有する寄棟屋根部が形成され、前記袖壁の面形状が下辺を上辺より屋外側に突出させて長くした略L字形になされ、袖壁の上辺から下辺に渡る補強柱が設けられ、前記隅棟トラスまたは隅棟梁が補強柱の直上にて支持されていることを特徴としている。
0007
請求項2記載の発明は、請求項1記載の建物において、前記袖壁とバルコニーの床部とが一体化されてバルコニーユニットとされていることを特徴としている。
0008
請求項3記載の発明は、請求項2記載の建物において、前記バルコニー用屋根ユニットが、バルコニーユニットとこのバルコニーユニットと隣接し居住部を構成する建物ユニットとに跨がって設けられていることを特徴としている。
【0009】
(作 用)
請求項1記載の発明は、前記居住部の屋外側にバルコニーが連結され、このバルコニーの上にバルコニー用屋根ユニットが設けられているので、奥行き寸法が制約されない広い屋根付きバルコニーを有するユニット建物となる。
また、バルコニー用屋根ユニットが平行な二つの袖壁で支持されているので、バルコニー用屋根ユニットを安定に支持できる。
0010
請求項記載の発明は、さらに、前記バルコニー用屋根ユニットで隅棟トラスまたは隅棟梁を有する寄棟屋根部が形成され、前記袖壁の面形状が下辺を上辺より屋外側に突出させて長くした略L字形になされ、袖壁の上辺から下辺に渡る補強柱が設けられ、前記隅棟トラスまたは隅棟梁が補強柱の直上にて支持されているので、この補強柱が設けられた袖壁によって寄棟屋根部を一層強固に安定して支持できる。
0011
請求項2記載の発明は、さらに、前記袖壁とバルコニーの床部とが一体化されてバルコニーユニットとされているので、建築現場での工数を削減できる。
0012
請求項3記載の発明は、さらに、前記バルコニー用屋根ユニットが、バルコニーユニットとこのバルコニーユニットと隣接し居住部を構成する建物ユニットとに跨がって設けられているので、バルコニー用屋根ユニットを一層安定に支持できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図8は、本発明の一実施例であって、図1(イ)図はユニット建物の斜視図、(ロ)図は正面図、(ハ)図は側面図である。図2は図1に示すユニット建物の要部を分解して示す斜視図であり、図3は構築後のユニット建物の要部を示す斜視図、図4は図3のA−A線における断面図、図5は屋根部断面図である。図6は袖壁を分解して示す斜視図、図7は補強柱の配置を示す説明図であって、(イ)図は平面図、(ロ)図は正面図、(ハ)図は側面図である。図8はバルコニーを現地付けするユニット建物の分解斜視図である。
図1〜図8において、1はユニット建物、2は居住部、3、4は建物ユニット、5はバルコニーユニット、6は屋根部、7〜9は屋根ユニットである。
【0014】
本実施例のユニット建物1は、図1に示すように、上下階からなる居住部2と、この居住部2の上に屋根ユニット7、8、9を載置して構成された屋根部6とを備えている。
そして、前記居住部2の屋外側にバルコニーユニット5が連結され、このバルコニーユニット5の上のバルコニー用屋根ユニット9が平行な二つの袖壁52、52で支持されている。
【0015】
上記居住部2は、形状の異なる建物ユニット3、4から構成されている。建物ユニット3、4は、いずれも、平面視長方形であり、建物ユニット3の場合、床パネル31と、床パネル31の短辺側に立設された壁パネル32と、長辺側に立設された壁パネル33とから箱型に構成されている。
このように、建物ユニット3、4は、床パネルと壁パネルとからなる壁式工法で組み立てられているが、柱梁とから箱型に組まれた軸組式のものであってもよい。
建物ユニット3と建物ユニット4において、長辺側の長さは同一であるが、建物ユニット4の短辺側の長さは建物ユニット3の短辺側長さの約半分になされている。すなわち、建物ユニット3はフルサイズになされているのに対し、建物ユニット4はハーフサイズになされている。
【0016】
居住部2の下階部分では、上記二つの建物ユニット3、3の短辺側を互いに突き合わせて中央部に配置し、それぞれの建物ユニット3、3の両側にハーフサイズの建物ユニット4、4をそれぞれ2個ずつ合計4個配置している。
居住部2の上階部分では、上記建物ユニット3の上に同じく建物ユニット3を載せ、建物ユニット4の上にはバルコニーユニット5が搭載される部分を除いて同じくハーフサイズの建物ユニット4が載せられている。
【0017】
上記バルコニーユニット5は、図2に示すように、袖壁52、52とバルコニーの床部51とを一体化したものであって、床部51は床パネルで形成され、この床部51の両側に袖壁52、52が立設され、袖壁52、52の下端部間に手摺り壁53が設けられ、袖壁52、52の上端部間に屋根梁54が架け渡されている。
【0018】
前記袖壁52は、その面形状が下辺522を上辺521より屋外側に突出させて長くした略L字形になされ、袖壁52の上辺521から下辺522に渡る補強柱55が設けられている。
すなわち、図6に示すように、袖壁52は、略L字形状に組まれた枠体523と、この枠体523の両側に貼設された面材524とから構成され、上記補強柱55はこの枠体523の中に組み込んで設けられている。
上記枠体523を構成する枠材は、例えば、枠組壁工法用の寸法型式204製材であり、補強柱55は、例えば、寸法型式404のパラレルストランドランバー(PSL)である。
【0019】
前記屋根部6は、上記建物ユニット3、3の上に載置される2つの屋根ユニット7、7と、主として建物ユニット4の上に載置される3つの屋根ユニット8、8、8と、バルコニーユニット5の上に載置されるバルコニー用屋根ユニット9とから、寄棟屋根を構成している。
なお、屋根ユニット8とバルコニー用屋根ユニット9とは、同一の構成であって、便宜上符合を別にしているだけである。
【0020】
上記バルコニー用屋根ユニット9は、図2に示すように、バルコニーユニット5とこのバルコニーユニット5と隣接し居住部を構成する建物ユニット3とに跨がって設けられている。また、屋根ユニット8も、建物ユニット4と隣接する建物ユニット3とに跨がって設けられている。
そして、前記バルコニー用屋根ユニット9で隅棟梁93を有する寄棟屋根の一部が形成されている。
【0021】
屋根ユニット7は、寄棟屋根の棟部に沿って設けられるものであって、両側の桁枠組72と、桁枠組72、72の一側に設けられた妻枠組73と、他側に設けられた軒梁75とから枠組され、更に桁枠組72、72間に架け渡された三角形状の梁78を介して棟木71が設けられ、この棟木71の一端から分岐する隅棟梁74が設けられ、隅棟梁74と軒梁75間に垂木76、76、・・が設けられ、垂木76の先端に鼻隠し77が設けられている。
【0022】
バルコニー用屋根ユニット9は、同じく図2に示すように、上記屋根ユニット7の桁枠組72と同形状の桁枠組91と、この桁枠組91の一側に直交して設けられた妻枠組92と、妻枠組92に直交する軒梁94と、桁枠組91と軒梁94間に架け渡され前記屋根ユニット7の隅棟梁74と連続する隅棟梁93とから枠組され、桁枠組91と軒梁94間に複数の垂木95が並列して設けられ、垂木95の先端に鼻隠し96が設けられている。
また、上記バルコニー用屋根ユニット9には、桁小壁97が設けられている。
この桁小壁97は、建物ユニット3の長辺側に設けられている壁パネル33(桁壁)の上方に位置して設けられている。
上記バルコニー用屋根ユニット9には、野地板98を全面に貼設している。
【0023】
上記構成になされた居住部2と屋根部6とからなるユニット建物1の施工方法を、図2、図3、図4、図7を参照して説明する。
まず、建物基礎(不図示)のうえに下階部分を構成する建物ユニット3、4を隣接して設置し、その上に上階部分を構成する建物ユニット3、4とバルコニーユニット5をそれぞれの位置に設置して居住部2を構築する。
その後、建物ユニット3、4の上に屋根ユニット7、8を載置し、バルコニーユニット5と隣接する建物ユニット3とに跨がるようにしてバルコニー用屋根ユニット9を載置し、屋根部6を構築する。
【0024】
その際、前記隅棟梁93は、図7に示すように、袖壁52の中に設けられている補強柱55の直上にて支持されている。
そして、バルコニー用屋根ユニット9の軒梁94は、バルコニーユニット5の屋根梁54と袖壁52の上辺521に支持されている。また、バルコニー用屋根ユニット9の短辺側軒梁94と桁小壁97とが、それぞれ、隣接する建物ユニット3の壁パネル32、33とに支持されている。
【0025】
上述の本実施例によると、居住部2の屋外側にバルコニー(バルコニーユニット5)が連結され、このバルコニーユニット5の上にバルコニー用屋根ユニット9が設けられているので、奥行き寸法が制約されない広い屋根付きバルコニーを有するユニット建物1となる。
また、バルコニー用屋根ユニット9が平行な二つの袖壁52、52で支持されているので、バルコニー用屋根ユニット9を安定に支持できる。
【0026】
さらに、本実施例によると、前記袖壁52とバルコニーの床部51とを一体化してバルコニーユニット5とされているので、建築現場での工数を削減できる。
【0027】
さらに、前記バルコニー用屋根ユニット9が、バルコニーユニット5とこのバルコニーユニット5と隣接し居住部2を構成する建物ユニット3とに跨がって設けられているので、バルコニー用屋根ユニット9を一層安定に支持できる。
【0028】
さらに、前記バルコニー用屋根ユニット9で隅棟梁93を有する寄棟屋根部が形成され、前記袖壁52の面形状が下辺522を上辺521より屋外側に突出させて長くした略L字形になされ、袖壁52の上辺521から下辺522に渡る補強柱55が設けられ、前記隅棟梁93が補強柱55の直上にて支持されているので、この補強柱55が設けられた袖壁52によって寄棟屋根部を一層強固に安定して支持できる。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、バルコニーを袖壁52と床部51とが一体になされたバルコニーユニット5として示したが、このバルコニーは、図8に示すように、床部51と袖壁52とが別体になされ、施工現場で床部51に袖壁52を取り付けるようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、前記居住部の屋外側にバルコニーが連結され、このバルコニーの上にバルコニー用屋根ユニットが設けられているので、奥行き寸法が制約されない広い屋根付きバルコニーを有するユニット建物となる。
また、バルコニー用屋根ユニットが平行な二つの袖壁で支持されているので、バルコニー用屋根ユニットを安定に支持できる。
0031
請求項記載の発明は、さらに、前記バルコニー用屋根ユニットで隅棟トラスまたは隅棟梁を有する寄棟屋根部が形成され、前記袖壁の面形状が下辺を上辺より屋外側に突出させて長くした略L字形になされ、袖壁の上辺から下辺に渡る補強柱が設けられ、前記隅棟トラスまたは隅棟梁が補強柱の直上にて支持されているので、この補強柱が設けられた袖壁によって寄棟屋根部を一層強固に安定して支持できる。
0032
請求項2記載の発明は、さらに、前記袖壁とバルコニーの床部とが一体化されてバルコニーユニットとされているので、建築現場での工数を削減できる。
0033
請求項3記載の発明は、さらに、前記バルコニー用屋根ユニットが、バルコニーユニットとこのバルコニーユニットと隣接し居住部を構成する建物ユニットとに跨がって設けられているので、バルコニー用屋根ユニットを一層安定に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であって、(イ)図はユニット建物の斜視図、(ロ)図は正面図、(ハ)図は側面図である。
【図2】 図1に示すユニット建物の要部を分解して示す斜視図である。
【図3】 構築後のユニット建物の要部を示す斜視図である。
【図4】 図3のA−A線における断面図である。
【図5】 屋根部断面図である。
【図6】 袖壁を分解して示す斜視図である。
【図7】 補強柱の配置を示す説明図であって、(イ)図は平面図、(ロ)図は正面図、(ハ)図は側面図である。
【図8】 バルコニーを現地付けするユニット建物の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 ユニット建物
2 居住部
3、4 建物ユニット
5 バルコニーユニット
51 床部
52 袖壁
521 上辺
522 下辺
55 補強柱
6 屋根部
7、8 屋根ユニット
9 バルコニー用屋根ユニット
93 隅棟梁

Claims (3)

  1. 居住部と、この居住部の上に屋根ユニットを載置して構成された屋根部とを備えた建物において、前記居住部の屋外側にバルコニーが連結され、このバルコニーの上のバルコニー用屋根ユニットが平行な二つの袖壁で支持され、前記バルコニー用屋根ユニットで隅棟トラスまたは隅棟梁を有する寄棟屋根部が形成され、前記袖壁の面形状が下辺を上辺より屋外側に突出させて長くした略L字形になされ、袖壁の上辺から下辺に渡る補強柱が設けられ、前記隅棟トラスまたは隅棟梁が補強柱の直上にて支持されていることを特徴とする建物。
  2. 前記袖壁とバルコニーの床部とが一体化されてバルコニーユニットとされていることを特徴とする請求項1記載の建物。
  3. 前記バルコニー用屋根ユニットが、バルコニーユニットとこのバルコニーユニットと隣接し居住部を構成する建物ユニットとに跨がって設けられていることを特徴とする請求項2記載の建物。
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