JP3871244B2 - ころ軸受のスキュー測定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はころ軸受のころのスキュー(ころ倒れ)を測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
円錐ころ軸受や円筒ころ軸受、あるいは針状ころ軸受においては、ころの軸が進行方向に対して正しく直交せずに、周方向に倒れる、いわゆるスキューを生じることがある。このようなスキューが発生すると、振動・騒音の発生と入った軸受の回転性能が劣化するばかりでなく、滑りの発生による偏磨耗や焼付き等が発生して軸受が損傷してしまうこともある。
【0003】
このようなスキューの発生を実験的に調査し、あるいは、実機においてスキューの発生を未然に防止すべくスキューを刻々と測定する装置が種々研究されている。
【0004】
従来のころ軸受のスキュー測定装置としては、起電力あるいは渦電流を利用したセンサSを用いた図4および図5にそれぞれ要部断面図を示すものが知られている。
【0005】
図4に示すものは、内輪41と外輪42およびこれらの間に転動自在に設けられた複数の円すいころ43を備えた円すいころ軸受において、外輪42の軌道面42aに軸方向に所定の間隔を開けて2つのセンサS1,S2を埋め込み、円すいころ43が2つのセンサS1,S2の配設位置を通過したときの各センサS1およびS2の出力差から、円すいころ43のスキューを測定するように構成されている。
【0006】
一方、図5に示すものは、同じく内輪51と外輪52および円すいころ53からなる円すいころ軸受において、円すいころ53の大端面に近接して2つのセンサSを固定配置し、その大端面の傾きの変化を捉えることによって円すいころ53のスキューを測定するように構成されている。この図5の測定装置においては、固定されたセンサSを用いて経時的にスキューを測定するために、内輪51と外輪52を逆向きに回転させることにより、円すいころ53が公転しないようにし、1つの円すいころ53の大端面を常時センサSに対向させて測定するように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上の従来のころ軸受のスキュー測定装置のうち、図4に示したものでは、円すいころ43がセンサS1,S2の配設位置を通過した瞬間におけるスキューしか測定できず、スキューの経時的な変化を測定できないという欠点がある。
【0008】
一方、図5に示したものは、スキューの経時的な変化の測定は一応可能であるが、円すいころ53が公転しない状態でのスキューの測定であるため、円すいころ53が公転する実際の使用状態におけるスキューの測定ができないという欠点がある。また、センサSと円すいころ53の大端面とのギャップ調整等に手間がかかるという問題もある。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、実際の使用状態と同様に公転しているころのスキューを、経時的に測定することのできるころ軸受のスキュー測定装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のころ軸受のスキュー測定装置は、ころ軸受の回転中におけるころのスキューを測定する装置であって、ころ軸受の一端面側から、当該ころ軸受の回転時におけるころの一端面の公転軌跡に沿った円環状の断面のレーザ光を照射する照射光学系と、当該ころ軸受に組み込まれている複数のころのうち、少なくとも一つの特定のころにより反射されるレーザ光を受光してその受光位置情報を出力し得る受光手段と、その受光手段の出力に含まれる刻々の受光位置情報から上記特定のころのスキュー情報を得る演算手段を備えていることによって特徴づけられる。
【0011】
ここで、本発明において、受光手段に対して特定のころにより反射されるレーザ光のみを導く手法として、例えば、断面円環状のレーザ光をころの端面中央部のぬすみ部に照射するように設定するとともに、スキューを測定すべき特定のころのぬすみ部のみを鏡面に研磨する方法等を採用することができる。
【0012】
また、本発明において、受光位置情報を出力し得る受光手段としては、例えばCCD等を用いることができる。
【0013】
本発明は、公転中のころの端面に常時レーザ光を照射して得られる刻々の反射光の位置情報から、ころのスキューを経時的に測定することによって所期の目的を達成するものである。
【0014】
すなわち、ころ軸受の一端側からころの端面に対して、軸受回転時におけるころの端面の軌跡に沿った断面円環状のレーザ光を照射すると、各ころの端面には、軸受回転による公転中において常時レーザ光が照射された状態となる。軸受に組み込まれている複数のころのうちの特定の1個ないしは複数個のころの端面のみを、例えば上記したように研磨する等によってレーザ光を反射するようにしておくと、その特定のころは公転中の姿勢に応じた角度でレーザ光を反射する。その反射光を、CCD等の受光手段により受光することにより、特定のころの公転中における刻々の姿勢に係る情報が得られ、その受光手段の出力からその特定のころの刻々のスキューを求めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明を円すいころ軸受のスキュー測定に適用した実施の形態の全体構成図で、機械的・光学的構成を表す模式図と、電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。また、図2はそのA矢視図である。
【0016】
測定対象である円すいころ軸受Bは、内輪1、外輪2およびこれらの間に転動自在に配置された複数の円すいころ3、およびその各円すいころ3を周方向一定のピッチで保持する保持器4によって構成されおり、軸受Bの回転時において各円すいころ3は、その転動面3aが内輪1の軌道面1a並びに外輪2の軌道面2aを転動しながら、大端面3bが内輪1の鍔面1bに当接しながら公転する。
【0017】
各円すいころ3の大端面3bには、その中央部分にぬすみ部3cが形成されている。そして、各円すいころ3のうち、図2においてMで示される特定の1個の円すいころ3についてのみ、そのぬすみ部3bが研磨加工によって鏡面に仕上げられており、他の円すいころ3のぬすみ部3bは熱処理のままとなっている。
【0018】
さて、この円すいころ軸受Bの大端面側に、レーザ光の照射光学系5と反射光の検出光学系6が配置されている。照射光学系5は、図3にその構成例を模式的に示すように、レーザ光源5aと、そのレーザ光源5aの出力光を平行光束とするコリメートレンズ5bと、そのコリメートレンズ5bを経た平行レーザ光を軸線に沿って入射するとともに、その入射面が軸線に対して所定の斜めの角度にカットされた光ファイバ5cと、その光ファイバ5cを通過することによって断面が環状で、かつ、円錐状に広がりを持つレーザ光を、断面が環状の平行なレーザ光、つまり円筒状のレーザ光Lcに変換する円錐プリズム5dを主体として構成されている。光ファイバ5cのレーザ光入射面を所定の斜めの角度にカットすることにより断面が円環状で円錐状に広がるレーザ光が得られることは公知である(K.Iga et.al.,"Fandamentals of Microoptics", Academic Press/Ohm-sha.NewYork,1984 およびJ.E.Batubara et.al.,"Image transmission by a step-index multimode fiber", Ipn.J.Appl.Phys.,Vol.21,No.12.pp.L749-751 Dec.1984) 。
【0019】
この光ファイバ5cを経たレーザ光を円錐プリズム5dを通過させることにより断面円環状の平行光束とされたレーザ光Lcの断面の円環の直径は、図2に示すように、軸受Bの保持器4の大端面側の直径よりも僅かに小さく、また、そのレーザ光の光軸は軸受Bの中心と一致しており、この断面円環状のレーザ光Lcは、円すいころ軸受Bの回転時における円すいころ3の大端面3bのぬすみ部3cの公転軌跡に沿った状態となり、各円すいころ3は、その大端面3bが軸受Bの回転時において常時レーザ光Lcに照射された状態となる。
【0020】
円すいころ軸受Bの各円すいころ3のうち、図2においてMで示される特定の1つの円すいころ3の大端面3bのぬすみ部3cが鏡面mに仕上げられているため、レーザ光Lcはこの特定の円すいころ3のぬすみ部3cによる反射光の強度が他の部位における反射光強度よりも大きくなる。そして、この特定の円すいころ3のぬすみ部3cの鏡面mからの反射光は、以下に示す検出光学系6によって検出される。
【0021】
検出光学系6は、円筒形の内面に反射面が形成された円筒ミラー6aとCCDセル6bによって構成されている。照射光学系5からの断面円環状の平行レーザ光Lcを、円すいころ3のぬすみ部3cに照射することによって生じる反射光は、ぬすみ部3cの軸受Bの軸心に対する角度に起因して軸心から遠ざかる方向に向かい、円筒ミラー6aによって反射された後、CCDセル6bに入射する。
【0022】
このCCDセル6bの出力は、画像処理部7aおよびスキュー演算部7bを備えた演算装置7に刻々と取り込まれる。ここで、演算装置7は、実際にはコンピュータとそこにインストールされたプログラムによっな構成されているが、図11においては、そのプログラムに書き込まれた機能を達成するブロック図の形で示している。
【0023】
さて、演算装置7の画像処理部7aにおいては、CCDセル6bからの各画素ごとの出力のうち、特定の円すいころ3のぬすみ部3cからの反射光に係る情報のみを抽出する。すなわち、前記したように、この特定の円すいころ3のぬすみ部3cは鏡面mに仕上げられて、そこからの反射光強度は他の部位からの反射光強度よりも強いため、適当なスレッシュホールド値を設定して2値化することによって、特定の円すいころ3のぬすみ部3cからの反射光のみを抽出することができる。
【0024】
スキュー演算部7bでは、画像処理部7aにおける処理によって特定の円すいころ3のぬすみ部3cの鏡面mからの反射光の受光情報のみが得られるように2値化されたCCDセル6bの画素情報から、その刻々の反射光の受光軌跡と、あらかじめ記憶しているスキューの発生していない状態での理想的な受光軌跡である基準軌跡とを比較し、受光軌跡が基準軌跡から逸脱している場合にはスキューが発生していると判断し、基準軌跡からの逸脱量に基づいて刻々のスキューの量(角度)を求め、表示器8に表示し、あるいはレコーダ9にプロットする。
【0025】
ここで、基準軌跡は、例えば照射光学系5および検出光学系6、および円すいころ軸受Bを含む検出系の構造に基づいて幾何学的に算出するか、あるいは、スキューが生じないように配慮して計測した受光軌跡を数値化することによって得ることができる。また、円すいころ軸受Bの特定の円すいころ3の受光軌跡の基準軌跡からの逸脱量とスキュー量(角度)との関係についても、検出系の構造に基づいて幾何学的に演算することができる。
【0026】
以上の本発明の実施の形態によると、円すいころ軸受Bを通常の使用状態と同様に各円すいころ3が公転している状態において、そのスキューの発生を経時的に連続して測定することができる。
【0027】
なお、以上の実施の形態においては、円すいころ軸受Bに組み込まれている複数の円すいころ3のうちの特定の1個の円すいころ3についてのスキューを測定した例を示したが、2個以上の円すいころ3のぬすみ部3cを鏡面mに仕上げてその各反射光をCCDセル6bに入射させると、CCDセル6bには、周方向に互いに所定の距離だけ離れた2つ以上の反射光の軌跡が描かれ、これを相互に分離することによって、その各円すいころ3のスキューを同時に測定することも可能となる。
【0028】
また、本発明で用いる照射光学系5は、以上の実施の形態のように光ファイバ5cを利用したものに限られることなく、断面が円環状の平行な光束に成形できるものであれば、任意の公知の光学系を用いることができる。
【0029】
更に、以上の実施の形態においては、円すいころ軸受のころのスキューについて計測した例を示したが、円筒ころ軸受についても本発明を適用することができる。この場合、ころの端面は軸受の軸心に対して直交しているため、断面が円環状の平行光束を照射するとその反射光は照射光学系側に向かい、検出光学系の配設が困難となる。この場合、断面が円環状で、かつ、円錐状に広がりを持つレーザ光を照射することにより、ころの端面からの反射光を照射光学系の配設位置とは異なる方向に向かわせる等によって対処することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ころ軸受の一端面側から、ころの一端面の公転公転軌跡に沿った円環状の断面形状を有するレーザ光を照射し、端面を反射しやすい状態とした特定のころによる反射光を、CCD等の受光位置に係る情報を出力し得る受光手段によって受光し、その刻々の位置情報からころのスキューを求めるので、ころが公転する転がり軸受の通常の使用状態において、1個もしくは複数個のころのスキューを経時的に測定することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体構成図で、機械的・光学的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1の実施の形態において用いる照射光学系5の構成例を示す模式図である。
【図4】従来のころ軸受のスキュー測定装置の構成例を示す要部断面図である。
【図5】従来のころ軸受のスキュー測定装置の他の構成例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 内輪
1a 軌道面
1b 鍔面
2 外輪
2a 軌道面
3 円すいころ
3a 転動面
3b 大端面
3c ぬすみ部
4 保持器
5 照射光学系
5a レーザ光源
5b コリメートレンズ
5c 光ファイバ
5d 円錐プリズム
6 検出光学系
6a 円筒ミラー
6b CCDセル
7 演算装置
7a 画像処理部
7b スキュー演算部
8 表示器
9 レコーダ
B 円すいころ軸受
M 特定の円すいころ3
m 鏡面
【発明の属する技術分野】
本発明はころ軸受のころのスキュー(ころ倒れ)を測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
円錐ころ軸受や円筒ころ軸受、あるいは針状ころ軸受においては、ころの軸が進行方向に対して正しく直交せずに、周方向に倒れる、いわゆるスキューを生じることがある。このようなスキューが発生すると、振動・騒音の発生と入った軸受の回転性能が劣化するばかりでなく、滑りの発生による偏磨耗や焼付き等が発生して軸受が損傷してしまうこともある。
【0003】
このようなスキューの発生を実験的に調査し、あるいは、実機においてスキューの発生を未然に防止すべくスキューを刻々と測定する装置が種々研究されている。
【0004】
従来のころ軸受のスキュー測定装置としては、起電力あるいは渦電流を利用したセンサSを用いた図4および図5にそれぞれ要部断面図を示すものが知られている。
【0005】
図4に示すものは、内輪41と外輪42およびこれらの間に転動自在に設けられた複数の円すいころ43を備えた円すいころ軸受において、外輪42の軌道面42aに軸方向に所定の間隔を開けて2つのセンサS1,S2を埋め込み、円すいころ43が2つのセンサS1,S2の配設位置を通過したときの各センサS1およびS2の出力差から、円すいころ43のスキューを測定するように構成されている。
【0006】
一方、図5に示すものは、同じく内輪51と外輪52および円すいころ53からなる円すいころ軸受において、円すいころ53の大端面に近接して2つのセンサSを固定配置し、その大端面の傾きの変化を捉えることによって円すいころ53のスキューを測定するように構成されている。この図5の測定装置においては、固定されたセンサSを用いて経時的にスキューを測定するために、内輪51と外輪52を逆向きに回転させることにより、円すいころ53が公転しないようにし、1つの円すいころ53の大端面を常時センサSに対向させて測定するように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上の従来のころ軸受のスキュー測定装置のうち、図4に示したものでは、円すいころ43がセンサS1,S2の配設位置を通過した瞬間におけるスキューしか測定できず、スキューの経時的な変化を測定できないという欠点がある。
【0008】
一方、図5に示したものは、スキューの経時的な変化の測定は一応可能であるが、円すいころ53が公転しない状態でのスキューの測定であるため、円すいころ53が公転する実際の使用状態におけるスキューの測定ができないという欠点がある。また、センサSと円すいころ53の大端面とのギャップ調整等に手間がかかるという問題もある。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、実際の使用状態と同様に公転しているころのスキューを、経時的に測定することのできるころ軸受のスキュー測定装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のころ軸受のスキュー測定装置は、ころ軸受の回転中におけるころのスキューを測定する装置であって、ころ軸受の一端面側から、当該ころ軸受の回転時におけるころの一端面の公転軌跡に沿った円環状の断面のレーザ光を照射する照射光学系と、当該ころ軸受に組み込まれている複数のころのうち、少なくとも一つの特定のころにより反射されるレーザ光を受光してその受光位置情報を出力し得る受光手段と、その受光手段の出力に含まれる刻々の受光位置情報から上記特定のころのスキュー情報を得る演算手段を備えていることによって特徴づけられる。
【0011】
ここで、本発明において、受光手段に対して特定のころにより反射されるレーザ光のみを導く手法として、例えば、断面円環状のレーザ光をころの端面中央部のぬすみ部に照射するように設定するとともに、スキューを測定すべき特定のころのぬすみ部のみを鏡面に研磨する方法等を採用することができる。
【0012】
また、本発明において、受光位置情報を出力し得る受光手段としては、例えばCCD等を用いることができる。
【0013】
本発明は、公転中のころの端面に常時レーザ光を照射して得られる刻々の反射光の位置情報から、ころのスキューを経時的に測定することによって所期の目的を達成するものである。
【0014】
すなわち、ころ軸受の一端側からころの端面に対して、軸受回転時におけるころの端面の軌跡に沿った断面円環状のレーザ光を照射すると、各ころの端面には、軸受回転による公転中において常時レーザ光が照射された状態となる。軸受に組み込まれている複数のころのうちの特定の1個ないしは複数個のころの端面のみを、例えば上記したように研磨する等によってレーザ光を反射するようにしておくと、その特定のころは公転中の姿勢に応じた角度でレーザ光を反射する。その反射光を、CCD等の受光手段により受光することにより、特定のころの公転中における刻々の姿勢に係る情報が得られ、その受光手段の出力からその特定のころの刻々のスキューを求めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明を円すいころ軸受のスキュー測定に適用した実施の形態の全体構成図で、機械的・光学的構成を表す模式図と、電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。また、図2はそのA矢視図である。
【0016】
測定対象である円すいころ軸受Bは、内輪1、外輪2およびこれらの間に転動自在に配置された複数の円すいころ3、およびその各円すいころ3を周方向一定のピッチで保持する保持器4によって構成されおり、軸受Bの回転時において各円すいころ3は、その転動面3aが内輪1の軌道面1a並びに外輪2の軌道面2aを転動しながら、大端面3bが内輪1の鍔面1bに当接しながら公転する。
【0017】
各円すいころ3の大端面3bには、その中央部分にぬすみ部3cが形成されている。そして、各円すいころ3のうち、図2においてMで示される特定の1個の円すいころ3についてのみ、そのぬすみ部3bが研磨加工によって鏡面に仕上げられており、他の円すいころ3のぬすみ部3bは熱処理のままとなっている。
【0018】
さて、この円すいころ軸受Bの大端面側に、レーザ光の照射光学系5と反射光の検出光学系6が配置されている。照射光学系5は、図3にその構成例を模式的に示すように、レーザ光源5aと、そのレーザ光源5aの出力光を平行光束とするコリメートレンズ5bと、そのコリメートレンズ5bを経た平行レーザ光を軸線に沿って入射するとともに、その入射面が軸線に対して所定の斜めの角度にカットされた光ファイバ5cと、その光ファイバ5cを通過することによって断面が環状で、かつ、円錐状に広がりを持つレーザ光を、断面が環状の平行なレーザ光、つまり円筒状のレーザ光Lcに変換する円錐プリズム5dを主体として構成されている。光ファイバ5cのレーザ光入射面を所定の斜めの角度にカットすることにより断面が円環状で円錐状に広がるレーザ光が得られることは公知である(K.Iga et.al.,"Fandamentals of Microoptics", Academic Press/Ohm-sha.NewYork,1984 およびJ.E.Batubara et.al.,"Image transmission by a step-index multimode fiber", Ipn.J.Appl.Phys.,Vol.21,No.12.pp.L749-751 Dec.1984) 。
【0019】
この光ファイバ5cを経たレーザ光を円錐プリズム5dを通過させることにより断面円環状の平行光束とされたレーザ光Lcの断面の円環の直径は、図2に示すように、軸受Bの保持器4の大端面側の直径よりも僅かに小さく、また、そのレーザ光の光軸は軸受Bの中心と一致しており、この断面円環状のレーザ光Lcは、円すいころ軸受Bの回転時における円すいころ3の大端面3bのぬすみ部3cの公転軌跡に沿った状態となり、各円すいころ3は、その大端面3bが軸受Bの回転時において常時レーザ光Lcに照射された状態となる。
【0020】
円すいころ軸受Bの各円すいころ3のうち、図2においてMで示される特定の1つの円すいころ3の大端面3bのぬすみ部3cが鏡面mに仕上げられているため、レーザ光Lcはこの特定の円すいころ3のぬすみ部3cによる反射光の強度が他の部位における反射光強度よりも大きくなる。そして、この特定の円すいころ3のぬすみ部3cの鏡面mからの反射光は、以下に示す検出光学系6によって検出される。
【0021】
検出光学系6は、円筒形の内面に反射面が形成された円筒ミラー6aとCCDセル6bによって構成されている。照射光学系5からの断面円環状の平行レーザ光Lcを、円すいころ3のぬすみ部3cに照射することによって生じる反射光は、ぬすみ部3cの軸受Bの軸心に対する角度に起因して軸心から遠ざかる方向に向かい、円筒ミラー6aによって反射された後、CCDセル6bに入射する。
【0022】
このCCDセル6bの出力は、画像処理部7aおよびスキュー演算部7bを備えた演算装置7に刻々と取り込まれる。ここで、演算装置7は、実際にはコンピュータとそこにインストールされたプログラムによっな構成されているが、図11においては、そのプログラムに書き込まれた機能を達成するブロック図の形で示している。
【0023】
さて、演算装置7の画像処理部7aにおいては、CCDセル6bからの各画素ごとの出力のうち、特定の円すいころ3のぬすみ部3cからの反射光に係る情報のみを抽出する。すなわち、前記したように、この特定の円すいころ3のぬすみ部3cは鏡面mに仕上げられて、そこからの反射光強度は他の部位からの反射光強度よりも強いため、適当なスレッシュホールド値を設定して2値化することによって、特定の円すいころ3のぬすみ部3cからの反射光のみを抽出することができる。
【0024】
スキュー演算部7bでは、画像処理部7aにおける処理によって特定の円すいころ3のぬすみ部3cの鏡面mからの反射光の受光情報のみが得られるように2値化されたCCDセル6bの画素情報から、その刻々の反射光の受光軌跡と、あらかじめ記憶しているスキューの発生していない状態での理想的な受光軌跡である基準軌跡とを比較し、受光軌跡が基準軌跡から逸脱している場合にはスキューが発生していると判断し、基準軌跡からの逸脱量に基づいて刻々のスキューの量(角度)を求め、表示器8に表示し、あるいはレコーダ9にプロットする。
【0025】
ここで、基準軌跡は、例えば照射光学系5および検出光学系6、および円すいころ軸受Bを含む検出系の構造に基づいて幾何学的に算出するか、あるいは、スキューが生じないように配慮して計測した受光軌跡を数値化することによって得ることができる。また、円すいころ軸受Bの特定の円すいころ3の受光軌跡の基準軌跡からの逸脱量とスキュー量(角度)との関係についても、検出系の構造に基づいて幾何学的に演算することができる。
【0026】
以上の本発明の実施の形態によると、円すいころ軸受Bを通常の使用状態と同様に各円すいころ3が公転している状態において、そのスキューの発生を経時的に連続して測定することができる。
【0027】
なお、以上の実施の形態においては、円すいころ軸受Bに組み込まれている複数の円すいころ3のうちの特定の1個の円すいころ3についてのスキューを測定した例を示したが、2個以上の円すいころ3のぬすみ部3cを鏡面mに仕上げてその各反射光をCCDセル6bに入射させると、CCDセル6bには、周方向に互いに所定の距離だけ離れた2つ以上の反射光の軌跡が描かれ、これを相互に分離することによって、その各円すいころ3のスキューを同時に測定することも可能となる。
【0028】
また、本発明で用いる照射光学系5は、以上の実施の形態のように光ファイバ5cを利用したものに限られることなく、断面が円環状の平行な光束に成形できるものであれば、任意の公知の光学系を用いることができる。
【0029】
更に、以上の実施の形態においては、円すいころ軸受のころのスキューについて計測した例を示したが、円筒ころ軸受についても本発明を適用することができる。この場合、ころの端面は軸受の軸心に対して直交しているため、断面が円環状の平行光束を照射するとその反射光は照射光学系側に向かい、検出光学系の配設が困難となる。この場合、断面が円環状で、かつ、円錐状に広がりを持つレーザ光を照射することにより、ころの端面からの反射光を照射光学系の配設位置とは異なる方向に向かわせる等によって対処することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ころ軸受の一端面側から、ころの一端面の公転公転軌跡に沿った円環状の断面形状を有するレーザ光を照射し、端面を反射しやすい状態とした特定のころによる反射光を、CCD等の受光位置に係る情報を出力し得る受光手段によって受光し、その刻々の位置情報からころのスキューを求めるので、ころが公転する転がり軸受の通常の使用状態において、1個もしくは複数個のころのスキューを経時的に測定することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体構成図で、機械的・光学的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1の実施の形態において用いる照射光学系5の構成例を示す模式図である。
【図4】従来のころ軸受のスキュー測定装置の構成例を示す要部断面図である。
【図5】従来のころ軸受のスキュー測定装置の他の構成例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 内輪
1a 軌道面
1b 鍔面
2 外輪
2a 軌道面
3 円すいころ
3a 転動面
3b 大端面
3c ぬすみ部
4 保持器
5 照射光学系
5a レーザ光源
5b コリメートレンズ
5c 光ファイバ
5d 円錐プリズム
6 検出光学系
6a 円筒ミラー
6b CCDセル
7 演算装置
7a 画像処理部
7b スキュー演算部
8 表示器
9 レコーダ
B 円すいころ軸受
M 特定の円すいころ3
m 鏡面
Claims (1)
- ころ軸受の回転中におけるころのスキューを測定する装置であって、
ころ軸受の一端面側から、当該ころ軸受の回転時におけるころの一端面の公転軌跡に沿った円環状の断面形状を有するレーザ光を照射する照射光学系と、当該ころ軸受に組み込まれている複数のころのうち、少なくとも一つの特定のころにより反射されるレーザ光を受光してその受光位置情報を検出可能な受光手段と、その受光手段の出力に含まれる刻々の受光位置情報から上記特定のころのスキュー情報を求める演算手段を備えていることを特徴とするころ軸受のスキュー測定装置。
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