JP6244973B2 - ころ挙動測定装置、ころ挙動測定方法およびころ挙動測定用治具 - Google Patents

ころ挙動測定装置、ころ挙動測定方法およびころ挙動測定用治具 Download PDF

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Description

本発明は、ころ軸受のころの挙動を測定するころ挙動測定装置に関する。また、本発明は、ころ軸受のころの挙動を測定するころ挙動測定方法に関する。また、本発明は、ころ軸受のころの挙動を測定するのに使用するころ挙動測定用治具に関する。
従来、ころ挙動測定装置としては、特開2012−247209号公報(特許文献1)に記載されているものがある。このころ挙動測定装置は、円筒ころ軸受の円筒ころの挙動を測定するようになっている。このころ挙動測定装置は、内輪を嵌合させた回転軸体を回転させた状態で、回転軸体の端面およびころの端面に施されたマークM1〜M4をビデオカメラにより撮影するようになっている。
そして、撮影した画像から得られるマークM1〜M4の軌跡より、回転軸体およびころの回転速度を算出するようになっている。また、求められた回転軸体の実際の回転速度を基準としてころの滑り率を算出するようになっている。
特開2012−247209号公報
自動調心ころの軸受のころは、スキューだけでなく、チルト(上下方向)や、前後方向にも動いていると推定される。しかしながら、上記従来のころ挙動測定装置では、ころのチルト(上下方向)や前後方向の変位は勿論、ころのスキューですらも満足に測定できないという問題がある。
そこで、本発明の課題は、ころの挙動を三次元的に測定できるころ挙動測定装置を提供することにある。また、本発明の課題は、ころの挙動を三次元的に測定できるころ挙動測定方法を提供することにある。
また、ころの挙動を三次元的により精密に測定できると好ましいことは言うまでもない。そこで、本発明の課題は、ころの挙動を三次元的により精密に測定できるころ挙動測定用治具を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のころ挙動測定装置は、
ころ軸受の外輪と内輪との間に配置されたころの軸方向の一方側の端面を覆うように配置されると共に、光が反射しにくい性質を有する材料からなる反射防止部と、
上記端面に上記端面の法線方向に重なる位置に上記端面に対して静止するように配置されると共に、互いに間隔を置いた状態でかつ同一直線上に位置しないように配置される三以上のマーカと、
光を出射する発光素子と、上記発光素子から出射された光のうちで上記三以上のマーカで反射した光を受光する受光素子とを有して、上記受光素子で受光された光に基づいて上記各マーカの軌跡を計測するマーカ計測手段と、
上記マーカ計測手段からの信号に基づいて上記三以上のマーカの夫々の三次元座標を演算するする三次元座標演算部と、
上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標に基づいて上記ころの姿勢を画定するころ姿勢画定部と
を備えることを特徴としている。
尚、この明細書では、上記光が反射しにくい材料を、上記マーカの反射率よりも反射率が低い材料として定義する。また、この条件は、マーカ測定手段から出射される光の光量を加味して調整した状態で、マーカと反射防止部とがマーカ測定手段で区別が可能である程度に、マーカと反射防止部とで反射率に差異が生じていれば満たされるものとする。
本発明によれば、マーカ計測手段から出射される光で、ころの端面に対して静止し、かつ、同一直線上にない三以上のマーカの夫々の軌跡を計測できる。したがって、ころの端面に対する三以上の相対位置を確定できるから、ころの存在位置を特定できる。したがって、上記マーカ計測手段によって経時的にころの姿勢を計測することにより、ころの挙動を三次元的に測定できて、ころのスキューのみならず、ころのチルト(上下方向)方向の動きや、ころの前後方向(軸方向)の動きまでも検知することができる。従来、ほとんど一方の軸方向の端面しかみえないころの挙動を、三つ以上のマーカを使用して三次元的に解析して把握するという技術的思想はなかったのである。
また、一実施形態では、
上記三以上のマーカのうちの一のマーカは、上記ころの端面上のころの自転中心に上記法線方向に重なる位置に配置されるようになっている。
上記実施形態によれば、一のマーカが、ころの端面上のころの自転中心にその端面の法線方向に重なる位置に配置されるから、ころの端面の中心位置の軌跡を検知できる。したがって、その一のマーカ以外の各マーカの上記中心位置に対する回転運動を精度良く検知できて、ころの端面の挙動を格段に簡易に測定できて、ころの挙動を格段に簡易に検知できる。
また、一実施形態では、
上記ころ姿勢画定部は、上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標から上記ころの上記端面の存在位置を画定し、その端面の存在位置に基づいて上記ころの姿勢を画定する。
上記実施形態によれば、先ず、マーカの設置の基準となるころの端面の存在位置を画定するから、ころの姿勢を簡易かつ正確に画定できる。
また、一実施形態では、
上記ころは、上記外輪および上記内輪に対して調心機能を有し、
上記ころのスキュー方向の傾き量とチルト方向の傾き量とを算出演算する。
上記実施形態によれば、ころのスキュー方向の傾き量とチルト方向の傾き量とを獲得できる。したがって、ころのスキュー方向の位置に限らず、ころのチルト方向の位置までも変動する可能性がある自動調心ころ軸受のころ等、調心機能を有するころにおいて、そのころの挙動を正確に検知することができる。従来、三以上のマーカを用いて、ころのチルト方向の傾き量までも検知することは、行われなかったのである。
また、一実施形態では、
上記ころの軸方向の変位量を演算する。
上記実施形態によれば、ころの軸方向の変位量を獲得できる。したがって、ころの軸方向の位置までも変動する可能性がある自動調心ころ軸受のころ等、調心機能を有するころにおいて、そのころの挙動を正確に検知することができる。従来、三以上のマーカを用いて、ころの軸方向の変位量までも検知することは、行われなかったのである。
また、一実施形態では
上記反射防止部は、上記ころの上記端面に貼り付けられた端面被覆部材であり、
上記端面被覆部材は、上記三以上のマーカを取り付ける三以上の穴を有している。
上記実施形態によれば、ころの端面に貼り付けられた端面被覆部材が、三以上のマーカを取り付ける三以上の穴を有しているから、三以上のマーカを、ころの端面に対する相対位置が精密な状態で端面被覆部材に確実に固定できる。したがって、ころの挙動を長期に亘って正確に検知できる。マーカ取り付け位置がずれると解析上の誤差要因となるため、できるだけ正確な取り付けが求められるのである。
また、本発明のころ挙動測定方法は、
光が反射しにくい性質を有する材料からなる反射防止部を、ころ軸受の外輪と内輪との間に配置されたころの軸方向の一方側の端面を覆うように配置する反射防止部配置工程と、
上記端面に上記端面の法線方向に重なる位置に、上記端面に対して静止しかつ互いに間隔を置いた状態でかつ同一直線上に位置しないように、三以上のマーカを配置するマーカ配置工程と、
発光素子から出射された光のうちで上記三以上のマーカで反射した光を受光素子で受光して、上記受光素子で受光された光に基づいて上記各マーカの軌跡を計測するマーカ軌跡計測工程と、
上記各マーカの軌跡に基づいて上記三以上のマーカの夫々の三次元座標を演算する三次元座標演算工程と、
上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標に基づいて上記ころの位置および姿勢を画定するころ姿勢画定工程と
を備えることを特徴としている。
本発明によれば、ころの特定の部位に対する三以上の相対位置を確定できるから、ころの位置および姿勢を確定できて、ころの挙動を三次元的に測定できる。また、経時的にころの姿勢を計測することにより、ころの挙動を三次元的に追跡できて、ころの三次元的な複雑な動きを解析できる。
また、一実施形態では、
原点用マーカと第1軸用マーカとを結んだ第1直線と、上記原点用マーカと第2軸用マーカとを結んだ第2直線とが直交し、かつ、上記原点用マーカと上記第1軸用マーカと上記第2軸用マーカとを含む平面の法線と、上記第1直線とが、略水平方向に延在するように、上記原点用マーカと、上記第1軸用マーカと、上記第2軸用マーカとを、上記ころ軸受が回転するときに回転中心となる中心軸の回りを回転する回転体の軸方向の端面に配置する座標決定準備工程と、
上記第1直線の延在方向を、第1軸の延在方向に設定し、上記第2直線の延在方向を、第2軸の延在方向に設定し、上記法線の延在方向を、第3軸の延在方向に設定する三次元直交座標設定工程と
を備え、
上記座標決定準備工程と、上記三次元直交座標設定工程とを、上記マーカ軌跡計測工程よりも前に行う。
尚、上記第1軸、上記第2軸および上記第3軸とは、三次元直交座標系の各軸のことである。
本発明者は、ころの挙動の測定を行う前に、ころの挙動を追跡する三次元座標を精度よく設定しなければ、挙動の測定において所望の精度を確保しにくいことを発見した。
上記実施形態によれば、原点用マーカと、第1軸用マーカと、第2軸用マーカとを含む平面の法線と、第1直線とが、略水平方向に延在する一方、第2直線が略鉛直方向に延在している状態で、上記各マーカを基準として、三次元直交座標を算出できる。したがって、ころの挙動を追跡するための三次元直交座標を、略水平面上で直交する第1および第3軸と、略鉛直方向に延在する第2軸とで構成できる。したがって、ころの挙動を追跡する三次元直交座標を、普遍的かつ絶対的な尺度であって精度高く決定できる水平方向および鉛直方向自体で構成できるから、その座標上で測定されるころの挙動を精度高く測定できる。
また、一実施形態では、
上記ころ軸受が固定される回転軸体の中心軸から間隔をおいて位置する上記回転軸体の一部分に回転中心測定用マーカを貼り付けた後、上記回転軸体を回転させて上記回転中心測定用マーカの軌跡を観測し、その軌跡に基づいて上記回転中心測定用マーカの回転中心を算出する回転中心算出工程を備える。
上記実施形態によれば、ころ軸受が固定される回転軸体の中心軸上の点を測定できる。したがって、第3軸が、上記回転中心を通過するように、三次元直交座標を、平行移動させることが可能となり、例えば、その回転中心を原点とすることにより、ころを追跡する三次元直交座標を、一意に決定できる。したがって、各実験において、三次元直交座標を精密かつ一意に決定できるから、ころの挙動を精度高く測定できるのは勿論のこと、ころの挙動のデータ解析も格段に容易に行うことができる。
また、一実施形態では、
上記原点用マーカと上記第1軸用マーカとの距離が、上記原点用マーカと上記第2軸用マーカとの距離と異なっている。
上記実施形態によれば、略水平方向に延在する第1軸と、略鉛直方向に延在する第2軸とを容易かつ明確に区別できる。
また、一実施形態では、
上記座標決定準備工程は、
上記ころ軸受が回転するときに回転中心となる中心軸の回りを回転する回転体の軸方向の端面に、原点用マーカと、第1軸用マーカと、第2軸用マーカとを、上記原点用マーカと上記第1軸用マーカとを結んだ第1直線と、上記原点用マーカと上記第2軸用マーカとを結んだ第2直線とが直交するように配置する直交マーカ配置工程と、
上記直交マーカ配置工程の後、上記回転体を回転させることにより、上記第1直線を略水平方向に延在させる第1軸水平方向配置工程と
を有する。
上記実施形態によれば、回転体の回転の回転位相を調整するだけで、第1直線を容易に略水平方向に延在させることができる。したがって、水平方向および鉛直方向で構成される三次元直交座標を、格段に容易に実現できる。
また、本発明のころ挙動測定用治具は、
平面からなる表側面と、その表側面に略平行な平面からなる裏側面とを有する一体の板材からなり、基部と、その基部から第1方向に延在する第1延在部と、上記基部から上記第1方向と直交する第2方向に延在する第2延在部とを有し、上記第1延在部が、上記表側面の法線方向と上記第1方向とを含む平面からなる側面部を有する本体部と、
上記側面部を含む平面上に配置されると共に、上記側面部が水平面上にあるか否かを判断できるレベル計と、
上記表側面上かつ上記基部上に配置される原点用マーカと、
上記表側面上において、上記原点用マーカに対して上記第1方向に間隔をおいて位置する箇所に配置される第1軸用マーカと、
上記表側面上において、上記原点用マーカに対して上記第2方向に間隔をおいて位置する箇所に配置される第2軸用マーカと
を備えることを特徴としている。
本発明によれば、互いに略平行な表側面と裏側面とを有する板材の第1延在部の側面部上にレベル計が存在しているから、そのレベル計によって側面部を水平面上に精度高く位置させることができる。すなわち、レベル計で、精度を担保できて、原点用マーカと第1軸用マーカとを結ぶ第1直線を、精度高く水平方向に延在させることができると共に、原点用マーカと第2軸用マーカとを結ぶ第2直線も、精度高く鉛直方向に延在させることができる。したがって、原点用マーカ、第1軸用マーカおよび第2軸用マーカを、マーカ計測手段で計測して、第1直線と第2直線とを三次元直交座標を構成する軸とすることによって、ころの挙動を追跡する三次元直交座標を、精度高く設定できて、それに伴ってころの挙動も精度高く測定できる。
本発明によれば、ころの挙動を三次元的に測定できるころ挙動測定装置およびころの挙動を三次元的に測定できるころ挙動測定方法を実現できる。
本発明の第1実施形態のころ挙動測定装置を示す模式図である。 自動調心ころ軸受の一のころの軸方向の一方側の端面の周辺を示す模式斜視図である。 上記ころ挙動測定装置のころの挙動の測定の原理を説明するための模式図である。 上記ころ挙動測定装置の構成を示すブロック図である。 上記ころ挙動測定装置の制御の概要を説明する図である。 第1実施形態の変形例のころ挙動測定装置の図4に対応する図である。 本発明の第2実施形態のころ挙動測定装置の構成を示すブロック図である。 ころ挙動測定用治具を正面から見たときの正面図である。 上記ころ挙動測定用治具の使用方法を説明するための図である。 回転中心算出工程を行っている最中の回転軸体の周辺部位を表す模式図である。 回転中心測定用マーカが描く軌跡を表す図である。 第2実施形態のころ挙動測定装置の三次元直交座標軸を算出するまでの制御の概要を説明する図である。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のころ挙動測定装置を示す模式図である。
図1に示すように、このころ挙動測定装置(以下、単に、測定装置という)は、マーカ計測手段としての六つの同一の赤外線カメラ1と、図示しない一体の枠部材とを備える。上記各赤外線カメラ1は、図示しないが、半導体レーザ素子や発光ダイオードからなる発光素子と、フォトダイオード等からなる受光素子とを有する。上記各赤外線カメラ1は、発光素子から出射されて被測定物で反射された光(近赤外線)を受光素子で受光することにより、被測定物の位置を検出するようになっている。
上記六つの赤外線カメラ1は、上記枠部材に固定されており、互いに相対移動できないようになっている。上記六つの赤外線カメラ1を枠部材に固定した状態で、各赤外線カメラ1の重心は、略同一平面上にあり、かつ、各赤外線カメラ1の発光素子から出射される光の光軸(発光素子から出射される光の回転対称軸)は、その平面の法線方向に向いている。また、上記各赤外線カメラ1の重心は、上記平面上の一点を中心とする同一の円上に位置している。また、上記円上に位置する六つのカメラ1の重心は、円の周方向に等間隔に位置している。
この測定装置は、自動調心ころ軸受2の凸面ころ(球面ころ、以下、単にころという)3の挙動を検出するようになっている。上記枠部材は、上記円の中心軸が自動調心ころ軸受の中心軸Pに略一致する位置に固定されている。また、この状態で、上記六つの重心が位置する平面は、自動調心ころ軸受の軸方向の一方側の端面8に軸方向に間隔をおいて位置している。尚、上記平面と、上記自動調心ころ軸受の端面8との軸方向の距離は、受光素子で受光される光の光量が大きくなるように、仕様に基づいて適宜決定されることができ、例えば、50〜60cmに設定でき、40〜90cmに設定することもでき、これ以外の長さに設定することもできる。また、上記重心が配置される円の半径も、仕様に基づいて適宜決定されることができる。
図2は、上記自動調心ころ軸受の一のころの軸方向の一方側の端面の周辺を示す模式斜視図である。
図2に示すように、この測定装置は、端面被覆部材の一例としての黒色のブラックテープ5と、三つの同一の球体部材10とを備え、ブラックテープ5は、自動調心ころ軸受の複数のころのうちの一のころ3の軸方向の一方側の端面に粘着性物質により貼り付けられている。上記球体部材10は、マーカを構成し、ブラックテープ5は、反射防止部を構成している。上記ブラックテープ5は、ころ3の上記端面を完全に覆っている。上記ブラックテープ5は、光が反射しにくい性質を有している。上記ブラックテープ5の反射率は、球体部材10の表面の反射率よりも低くなっている。上記球体部材10の反射率は、赤外線カメラ1から出射される光の光量を加味して調整した状態で球体部材10とブラックテープ5とが赤外線カメラ1で区別が可能である程度に、ブラックテープ5の反射率と異なっている。
ブラックテープ等からなる反射防止部が、光が反射しにくい性質を有することは必須である。というのは、ころの軸方向の一方側の端面を覆うように配置される反射防止部が、光が反射され易い性質を有しているとすると、反射防止部で反射されたノイズ光の光量が大きくなって、マーカで反射された信号光が認識しにくくなって、ころの挙動を正確に測定しにくくなるからである。
上記各球体部材10は、樹脂製の球体を、反射シール19でコーティングして包むことで形成されている。上記各球体部材10は、ブラックテープ5上に接着剤により固定されている。また、上記三つの球体部材10は、ころ3の端面の中心を中心とする同一の円上に周方向に等間隔に配置されている。
図3は、この測定装置のころ3の挙動の測定の原理を説明するための模式図である。尚、図3においては、六つの赤外線カメラ1に1から6までの番号を付している。この測定装置では、各赤外線カメラ1が、その各赤外線カメラ1の発光素子から広範囲に赤外線を出射して、その広範囲に出射された光のうちでいずれかの球体部材10で反射した光を、その各赤外線カメラ1の受光素子で受光するようになっている。そして、受光素子で受光した光に基づいて、三つの球体部材10の位置を特定するようになっている。三点が特定できれば、面の位置や面の向き(法線方向など)が確定するため、三つの球体部材10の三次元座標からころ3の端面の位置や面の向きを特定できるのである。
尚、実施例(第1実施形態も、以下の第2実施形態も含む)中に記載されるマーカ(第1実施形態では、球体部材10のこと)の座標(位置)とは、マーカの中心の座標を意味する。設定の分かりやすさや、作業のしやすさ等から、マーカの座標として、マーカの中心座標を用いることが好ましいからである。特に、球体を反射シート部材(これには、反射シール19も含まれる)でコーティングして包むことでマーカを形成した場合には、マーカの座標は、マーカの中心である上記球体の中心として定義することが好ましい。だだし、マーカの座標は、必ずしもマーカの中心に限定されるわけではない。マーカの表面の任意の点や、マーカの中心以外のマーカの内部の任意の点などを、マーカの座標として設定しても良い。マーカの形状や構造や、測定のしやすさや、演算のしやすさなどを考慮して、適宜マーカの任意の点をマーカ座標として設定する。
そして、ころ3の端面と、ころ3の形状の情報とから、三次元座標上のころ3の立体的な位置や姿勢を決定するようになっている。この測定装置では、各赤外線カメラ1が、継続的にこの動作を行うようになっている。そして、各赤外線カメラ1で、ころ3の挙動を三次元的に追跡して、ころ3の位置の変化をモニタにアニメーションとして映し出すようになっている。簡易に述べると、この測定装置は、各赤外線カメラ1で撮った像を画像処理して、三つの球体部材10の球形状を検出するようになっている。尚、この測定装置は、六つの赤外線カメラ1を有することにより、死角となる領域が存在しないようにして、ころ3が一回転する間のころ3の挙動を連続的に追跡するようになっている。
図4は、この測定装置の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、この測定装置は、赤外線カメラ1の他に、CPUからなる制御装置30と、モニタ31と、情報記憶装置32を備える。上記制御装置30は、CPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)と、プログラムおよびデータを格納するメモリと、各部とデータを入出力するためのI/F(インターフェイス:Interface)とを有する。尚、上記制御装置30およびモニタ31は、例えば、パーソナルコンピュータやワークスステーションで構成できる。また、上記情報記憶装置32は、磁気ディスクや光学ディスク、フラッシュメモリなどで構成され、データを記録可能となっている。上記情報記憶装置は、コンピュータや情報機器等の一部として構成され、データを記録・保持する部品と、それを駆動して読み書き操作を行なうドライブから成る。光学ディスク(CD/DVD/青色光 Discなど)装置などの場合には、ドライブとメディアとが分離している。また、ハードディスクやUSBメモリのように、ドライブおよびメディアを一体に構成できることは勿論である。
図4に示すように、上記制御装置30は、三次元座標演算部40と、ころ姿勢画定部41と、スキュー方向傾き量算出部42と、チルト方向傾き量算出部43と、軸方向変位量算出部44とを有する。上記三次元座標演算部40は、赤外線カメラ1からの信号を有線または無線で受けて、その受けた信号に基づいて三個の球体部材10の夫々の三次元座標を演算して算出するようになっている。また、上記ころ姿勢画定部41は、三次元座標演算部40が演算して算出した三個の球体部材10の夫々の三次元座標に基づいてころ3の姿勢を画定するようになっている。
詳しくは、先ず、上記ころ姿勢画定部41は、三個の球体部材10の夫々の三次元座標からころ3の端面の存在位置を画定するようになっている。面は、一般にaX+bY+cZ=1のような未知数三つの式で表現できるため、三点の三次元座標を特定できれば、式に代入して演算することで端面の位置や法線方向などの面の向きを特定することができる。
上記ころ姿勢画定部41は、その端面の存在位置(端面の姿勢に関する情報も含まれる)と、その端面に関連づけられたころの形状の情報とに基づいて、ころの姿勢を一意に画定するようになっている。ころの端面の位置や向きは上記の通り特定されているため、ころ形状や回転中心軸ところ端面の位置関係からころの姿勢を算出することができる。ここで、多くの場合は、端面の中心位置がころの回転中心と一致し、回転軸線は、ころ端面に対して垂直である。また、姿勢算出に必要なころ形状情報は、前述の制御装置30のメモリなどの記憶装置内に格納されている。図2に示すように、上記三個の球体部材10が、一直線上に存在しないから、三個の球体部材10の位置を特定できて、ころの外面の存在位置を必ず一意に特定できる。
また、上記スキュー方向傾き量算出部42は、ころ姿勢画定部41からの信号を受けて、所定時間(所定時間としては、如何なる時間も採用でき、例えば、30秒以下の如何なる時間も採用できる)毎にスキュー方向のころの中心軸の傾き量(角度)を算出するようになっている。また、上記チルト方向傾き量算出部43は、ころ姿勢画定部41からの信号を受けて、所定時間(所定時間としては、如何なる時間も採用でき、例えば、30秒以下の如何なる時間も採用できる)毎にチルト方向のころの中心軸の傾き量(角度)を算出するようになっている。また、軸方向変位量算出部44は、ころ姿勢画定部41からの信号を受けて、所定時間(所定時間としては、如何なる時間も採用でき、例えば、30秒以下の如何なる時間も採用できる)毎に軸方向の変位量を算出するようになっている。
また、図4を参照して、上記モニタ31は、ころ姿勢画定部41からの信号を受信するようになっている。上記モニタ31は、ころ姿勢画定部41からの信号に基づいてころ3の輪郭の経時変化をアニメーション的に映し出すようになっている。また、上記情報記憶装置32は、ころ姿勢画定部41からの信号に基づいてころ3の形状(輪郭)の経時変化の情報を記憶するようになっている。また、上記情報記憶装置32は、スキュー方向傾き量算出部42からの信号を受けて、所定時間毎にスキュー方向の傾き量を記憶するようになっており、ころ姿勢画定部41からの信号を受けて、所定時間毎にチルト方向の傾き量を記憶するようになっている。また、上記情報記憶装置32は、軸方向変位量算出部44からの信号を受けて、所定時間毎に軸方向の変位量を記憶するようになっている。
図5は、上記ころ挙動測定装置の制御の概要(おおまかな流れ)を説明する図である。
図5に示すように、このころ挙動測定装置は、測定を開始すると、先ず、ステップS1で、各赤外線カメラ1が、光を出射すると共に、各赤外線カメラ1が、その出射された光でかつ三つの球体部材10で反射した光を受光するようになっている。また、ステップS2では、三次元座標演算部40が、各赤外線カメラ1からの信号を受けて、三個の球体部材10の夫々の三次元座標の算出を行うようになっている。また、ステップS3では、三次元座標演算部40が算出した三個の球体部材10の夫々の三次元座標に基づいて、ころ姿勢画定部41が、ころの端面の特定およびころの姿勢の画定するようになっている。
続いて、ステップS4では、ころ姿勢画定部41が画定した所定時間毎のころの姿勢の情報に基づいて、スキュー方向傾き量算出部42が、所定時間毎のスキュー方向のころの中心軸の傾き量を算出し、チルト方向傾き量算出部43が、所定時間毎のチルト方向のころの中心軸の傾き量を算出し、軸方向変位量算出部44が、所定時間毎の軸方向の変位量を算出するようになっている。また、ころ姿勢画定部41が画定した所定時間毎のころの姿勢の情報に基づいて、モニタ31で、ころ3の輪郭の経時変化をアニメーション表示するようになっている。
その後、ステップS5で、情報記憶装置32が、制御装置30からの信号を受けて、ころ3の形状の経時変化の情報、スキュー方向の傾き量、チルト方向の傾き量および軸方向の変位量の記憶するようになっている。そして、ころ挙動測定装置が停止するまで、ステップS1からステップS5までの動作を継続的に行うようになっている。
上記第1実施形態によれば、赤外線カメラ1から出射される光で、ころ3の端面に対して静止し、かつ、同一直線上にない三個の球体部材10の夫々の軌跡を計測できる。したがって、ころ3の端面に対する三個の相対位置を確定できるから、ころ3の存在位置を特定できる。したがって、赤外線カメラ1によって経時的にころ3の姿勢を計測することにより、ころ3の挙動を三次元的に測定できて、ころ3のスキューのみならず、チルト(上下方向)方向の動きや、前後方向の動きまでも検知することができる。従来、ほとんど一方の軸方向の端面しかみえないころの挙動を、三つ以上のマーカを使用して三次元的に解析して把握するという技術的思想はなかったのである。
また、上記第1実施形態によれば、ころ姿勢画定部41が、三個の球体部材10の夫々の三次元座標からころ3の端面の存在位置を画定し、その端面の存在位置に基づいてころ3の姿勢を画定するようになっている。したがって、先ずマーカとしての球体部材10の設置の基準となるころ3の端面の存在位置を画定するから、ころ3の姿勢を簡易かつ正確に画定できる。
また、上記第1実施形態によれば、ころ3が、自動調心ころ軸受のころであるから、ころ3のスキュー方向の位置に限らず、ころ3の軸方向の位置や、ころ3のチルト方向の位置までも検知できる。従来、三個以上のマーカを使用して、ころの軸方向の位置や、ころのチルト方向の位置までも検知する技術は、なかったのである。
尚、上記第1実施形態では、六つの赤外線カメラ1を備えていたが、この発明では、マーカ計測手段は、一以上の如何なる数であっても良い。死角が存在しない仕様では、一つのマーカ計測手段を備えれば十分だからである。尚、良好なころの挙動の追跡の観点からは四以上のマーカ計測手段を備えるのが好ましく、確実なころの挙動の追跡の観点からは六以上のマーカ計測手段を備えるのが好ましい。
また、上記第1実施形態では、六つの赤外線カメラ1を、自動調心ころ軸受の中心軸の延長線上に中心を有し、かつ、この延長線を法線とする平面上にある円上に、周方向に等間隔に配置した。しかしながら、この発明では、複数のマーカ計測手段を、ころ軸受の中心軸の延長線上に中心を有し、かつ、この延長線を法線とする平面上にある円上に、周方向に等間隔でない間隔で配置しても良い。仕様によっては、検知し易い位置と、検知しにくい位置が存在する場合があるからである。
また、上記第1実施形態では、六つの赤外線カメラ1を、自動調心ころ軸受の中心軸の延長線上に中心を有し、かつ、この延長線を法線とする平面上にある円上に配置した。しかしながら、この発明では、複数のマーカ計測手段を、ころ軸受の中心軸の延長線を法線とする同一の平面上に配置する必要はない。というのは、マーカ計測手段を、ころ軸受からの軸方向の位置が異なるように配置した方が、ころの挙動を正確に解析できることがあるからである。この発明では、複数のマーカ計測手段を有する場合、各マーカ計測手段が、ころが一回転する間の少なくとも一部の位相でころのマーカを検出できれば、他のマーカ計測手段の存在位置に無関係に如何なる位置に配置されても良いのである。
また、上記第1実施形態では、自動調心ころ軸受が有する複数のころのうちの一のころのみに、球体部材10を取り付けたが、この発明では、ころ軸受が有する複数のころのうちの二以上のころにマーカを取り付けても良い。
また、上記第1実施形態では、三つの球体部材10をころ3の端面に対して静止する位置に配置したが、この発明では、全てが一直線上に位置しないように四以上のマーカをころの端面に対して静止するように配置しても良い。
また、上記第1実施形態では、マーカ計測手段が、赤外線カメラ1で、マーカ計測手段が近赤外線を出射したが、この発明では、マーカ計測手段が出射する光は、近赤外線や赤外線に限らず、可視光等であっても良く、如何なる波長の光であっても良い。暗室等の暗い領域で計測を行えば、可視光等でも測定を行うことができるからである。
また、上記第1実施形態では、マーカとして、樹脂製の球体を反射テープでコーティングしてなる球体部材10を使用したが、この発明では、マーカとして、金属製の玉軸受の玉を好適に使用できる。尚、この場合、ころの端面に玉固定部としてのざぐり等の凹部(好ましくは、玉の一部の形状に対応する球面形状を有する凹部)を設けると、マーカとしての玉をころの端面に精度良く位置決めできて好ましい。玉軸受の玉は、金属光沢を有して、光が反射し易い上、精密な球形状をしているから、挙動の検知が、格段に容易となりかつ格段に正確になるのである。
また、上記第1実施形態では、マーカが、球体部材10で略球形状をしていたが、この発明では、マーカの形状は、球以外の如何なる形状でも良い。マーカの形状としては、例えば、四角錐や立方体の形状等を、好適に使用できる。四角錐や立方体は、平面を有するから、マーカをころの端面に固定し易くなるからである。また、この発明では、マーカとして、断面楕円状の扁平した球体や円板等も好適に使用することができる。
また、上記第1実施形態では、挙動が測定されたころ3が、調心機能を有する凸面ころ(球面ころ)であったが、この発明では、挙動を測定するころは、円筒ころであっても良く、円錐ころであっても良い。この発明では、保持器で保持された状態で、軸方向の一方の端面の全域が軸方向の外部から光で検知できる構造であれば、如何なるころでも挙動を測定できるのである。
また、上記第1実施形態では、端面被覆部材の一例としての黒色のブラックテープ5が、ころの端面の全域を覆っていたが、この発明では、端面被覆部材は、ころの端面の全域を覆う必要はなく、ころの端面の一部のみを覆う構成でも良い。ころの端面で端面被覆部材に覆われない部分を、マーカで塞いでも良いからである。
また、上記第1実施形態では、端面被覆部材としてのブラックテープ5が、球体部材10を取り付ける穴を有していなかった。しかしながら、この発明では、端面被覆部材が、三以上のマーカを取り付ける三以上の穴を有しても良い。このようにすれば、三以上のマーカを、ころの端面に対する相対位置が精密な状態で確実に端面被覆部材に固定できるから、ころの挙動を長期に亘って正確に検知できるのである。
また、上記第1実施形態では、端面被覆部材が、ブラックテープであったが、この発明では、端面被覆部材は、遮光性を有する周知の樹脂部材や金属酸化物製の部材であっても良い。また、端面被覆部材を用いずに、反射防止部を形成しても良く、例えば、反射防止部は、ころの端面に直接成膜された周知の遮光膜であっても良い。また、反射防止部の材料としては、遮光性を有する如何なる材料も使用できるのは言うまでもない。
また、上記第1実施形態では、球体部材10が、ころ3の端面の中心に存在しなかったが、この発明では、ころの端面上のころの自転中心にころの端面の法線方向に重なる位置にマーカが存在すれば好ましい。図6は、変形例の一例の測定装置の図4に対応する図である。図6に示す変形例の測定装置は、上記第1実施形態の測定装置との比較において、三つの球体部材10に加えて、更に、球体部材10と同一の部材を一つ追加し、その追加した一つ(この一つを図6に60で示す)を、ころの端面の法線方向において、ころの中心に重なる位置に配置する点が、上記第1実施形態と異なる。
この変形によれば、四つの同一の球体部材10,60のうちの一の球体部材60が、ころの端面上のころの自転中心にころの端面の法線方向に重なる位置に配置されるようになっているから、ころの端面の中心位置の軌跡を検知できて、その一の球体部材60以外の各球体部材10の上記中心位置に対する回転運動を精度良く検知できる。またころの自転中心位置の軌跡をおうことでころの公転状態を把握することができる。したがって、ころの端面の挙動を格段に簡易に測定できて、ころの挙動を格段に簡易に検知できる。尚、ころの端面の法線方向において、ころの端面上のころの自転中心に重なる位置に配置されるマーカ以外のマーカの数は、この変形例のように三でなくても良く、二でも四以上でも良い。
また、上述の記載より明らかなように、上記第1実施形態では、光が反射しにくい性質を有する材料からなる反射防止部を、ころ軸受の外輪と内輪との間に配置されたころの軸方向の一方側の端面を覆うように配置する反射防止部配置工程と、上記端面に上記端面の法線方向に重なる位置に、上記端面に対して静止しかつ互いに間隔を置いた状態でかつ同一直線上に位置しないように、三以上のマーカを配置するマーカ配置工程と、発光素子から出射された光のうちで上記三以上のマーカで反射した光を受光素子で受光して、上記受光素子で受光された光に基づいて上記各マーカの軌跡を計測するマーカ軌跡計測工程と、上記各マーカの軌跡に基づいて上記三以上のマーカの夫々の三次元座標を演算する三次元座標演算工程と、上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標に基づいて上記ころの位置および姿勢を画定するころ姿勢画定工程とを備える方法で、測定装置が、ころの挙動を追跡した。しかし、上で述べた挙動の三次元的計測の技術的思想が、ころ以外の転がり軸受用部材に適用できことは言うまでもなく、例えば、ハブフレッティング試験時の玉や、分割型セグメント保持器等、軸方向の外部からの光を照射可能な転がり軸受用部材に適用できることは言うまでもない。
というのは、上記記載で、ころを転がり軸受用部材に置き換えて、転がり軸受用部材の外面の少なくとも一部に光が反射しにくい性質を有する材料からなる反射防止部を配置する反射防止部配置工程と、上記外面の少なくとも一部に、その外面の少なくとも一部の法線方向に重なる位置に上記転がり軸受用部材に対して静止すると共に、互いに間隔を置いた状態でかつ同一直線上に位置しないように、三以上のマーカを配置するマーカ配置工程と、上記転がり軸受用部材を含む転がり軸受が運転している時に上記三以上のマーカが存在可能な領域のうちの少なくとも一部の領域に出射された光のうちで上記三以上のマーカで反射した光を受光して、上記各マーカの軌跡を計測するマーカ軌跡計測工程と、上記各マーカの軌跡に基づいて上記三以上のマーカの夫々の三次元座標を演算する三次元座標演算工程と、上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標に基づいて上記転がり軸受用部材の位置および姿勢を画定する位置姿勢画定工程とを備える挙動測定を行えば、転がり軸受用部材の三以上の位置を確定できて、転がり軸受用部材の挙動を三次元的に測定でき、転がり軸受用部材の挙動の軌跡を経時的に求めることができるからである。
図7は、本発明の第2実施形態のころ挙動測定装置の構成を示すブロック図であり、第1実施形態における図4に対応するブロック図である。
第2実施形態のころ挙動測定装置は、制御装置130のみが、第1実施形態のころ挙動測定装置と異なり、その他の全ての構成は、第1実施形態のころ挙動測定装置と同一である。
第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同じ参照番号を付して、説明を省略する。また、第2実施形態では、第1実施形態と同一の作用効果および変形についても記載を省略する。
図7に示すように、第2実施形態の制御装置130は、三次元座標演算部140と、ころ姿勢画定部141と、スキュー方向傾き量算出部142と、チルト方向傾き量算出部143と、軸方向変位量算出部144と、暫定測定座標算出部145と、回転中心算出部146と、測定座標算出部147とを有する。
上記三次元座標演算部140は、第1実施形態の三次元座標演算部40と同じ演算を行い、ころ姿勢画定部141は、第1実施形態のころ姿勢画定部41と同じ演算を行い、スキュー方向傾き量算出部142は、第1実施形態のスキュー方向傾き量算出部42と同じ演算を行う。また、上記チルト方向傾き量算出部143は、第1実施形態のチルト方向傾き量算出部43と同じ演算を行い、軸方向変位量算出部144は、第1実施形態の軸方向変位量算出部44と同じ演算を行う。上記暫定測定座標算出部145および回転中心算出部146の夫々は、マーカ計測手段を構成する六つの赤外線カメラ1の夫々からの信号を受けることが可能となっている。また、上記測定座標算出部147は、暫定測定座標算出部145からの信号を受けることが可能となっており、回転中心算出部146からの信号を受けることも可能となっている。
第2実施形態のころの挙動の測定方法では、次に示すころ挙動測定用治具を、用いてころの挙動を測定するようになっている。
図8は、ころ挙動測定用治具150を正面から見たときの正面図である。
このころ挙動測定用治具(以下、単に、治具という)150は、一体の板材からなる本体部151と、レベル計152と、原点用マーカ153と、第1軸用マーカ154と、第2軸用マーカ155とを備える。上記原点用マーカ153、第1軸用マーカ154および第2軸用マーカ155の夫々は、樹脂製の球体を、反射シールでコーティングして包むことで形成されている。上記原点用マーカ153、第1軸用マーカ154および第2軸用マーカ155は、同一であり、第1実施形態の球体部材10とも同一である。
上記本体部151は、表側面170と、裏側面とを有する。上記表側面170および裏側面の夫々は、平面からなっている。上記表側面170は、裏側面と略平行になっている。
図8に示すように、上記本体部151は、所謂差金の形状を有し、図8に示す正面図で、略L字状の形状を有している。上記本体部151は、基部160と、第1延在部161と、第2延在部162とを有し、基部160は、矩形の正面形状を有している。上記本体部151は、樹脂や金属等で構成することができる。上記本体部151を、樹脂で構成すると、軽量化を図ることができて好ましい。
上記第1延在部161は、基部160から図8に矢印Aで示す第1方向に延在する一方、第2延在部161は、基部160から図8に矢印Bで示す第2方向に延在している。上記第1方向は、上記第2方向と直交している。
図8に示すように、上記第1延在部161は、平面からなる第1側面部166を有し、その第1側面部166は、上記第1方向と、表側面170の法線方向とを含んでいる。また、上記第2延在部162は、平面からなる第2側面部167を有し、その第2側面部167は、上記第2方向と、表側面170の法線方向とを含んでいる。
図8に示すように、上記基部160は、第3側面部168と、第4側面部169とを有する。上記第3側面部168は、第1側面部166を第1方向に延長してなる延長面であり、第1側面部166につながっている。また、上記第2側面部169は、第2側面部167を第2方向に延長してなる延長面であり、第2側面部167につながっている。上記第3側面部168は、第4側面部169と直交し、第3側面部168は、第4側面部169に角部171で接触している。
図8に示すように、上記レベル計152は、第1側面部166を含む平面上に配置されている。詳しくは、上記レベル計152は、第1側面部166および第3側面部168に亘る平面部に固定されている。上記レベル計152は、表示部172を有している。上記レベル計152は、レベル計152が設置されている第1側面部166が水平面上にあるか否かを判断できるようになっている。
図示しないが、上記治具150は、マグネットを有し、そのマグネットは、上記裏側面上に固定されている。上記マグネットにおける他部材への吸着面は、平面からなっている。上記マグネットの上記平面は、表側面170に平行に広がっている。
図8に示すように、上記原点用マーカ153は、表側面170上かつ基部160上に配置されている。また、上記第1軸用マーカ154は、表側面170上において、原点用マーカ153に対して上記第1方向に間隔をおいて位置する箇所に配置されている一方、第2軸用マーカ155は、表側面170上において、原点用マーカ153に対して上記第2方向に間隔をおいて位置する箇所に配置されている。上記第1軸用マーカ154は、第1延在部161上に配置され、第2軸用マーカ155は、第2延在部162上に配置されている。図8に示すように、上記原点用マーカ153と、第1軸用マーカ154との距離は、原点用マーカ153と、第2軸用マーカ155との距離よりも短くなっている。
図9は、上記治具150の使用方法を説明するための図である。
図9に示すように、上記治具150は、ころ軸受が回転するときに回転中心となる中心軸の回りを回転する回転体の軸方向の端面に上記マグネットによって貼り付けられるようになっている。図9に示す例では、上記治具150は、ころ軸受181の内輪182の軸方向の一方側の端面183に貼り付けられている。尚、図9において、参照番号180は、回転軸体を示し、参照番号185は、回転軸体180の外周面を示している。
第2実施形態のころの挙動の測定においても、第1実施形態のころの挙動の測定において説明した全ての工程(反射防止部配置工程、マーカ配置工程、マーカ軌跡計測工程、三次元座標演算工程およびころ姿勢画定工程)を行うようになっている。尚、これらの工程の説明は、第1実施形態と同一であるので、説明は、省略する。
また、第2実施形態のころの挙動の測定においては、それらの工程に加えて、座標決定準備工程と、三次元直交座標暫定設定工程と、回転中心算出工程と、三次元直交座標設定工程とを、上記マーカ軌跡計測工程よりも前に行うようになっている。
ここで、上記座標決定準備工程は、次に説明するように、直交マーカ配置工程を行った後に、第1軸水平方向配置工程を行うことによって実行する。先ず、図9を参照して、直交マーカ配置工程では、回転軸体180を、水平方向に延在させ、かつ、ころ軸受を、回転軸体180上に外嵌して固定する。その後、治具150のマグネットを、回転体の一例としての内輪182の軸方向の一方側の端面183に貼り付けることによって、治具150を、端面183に貼り付ける。このようにして、ころ軸受が回転するときに回転中心となる中心軸の回りを回転する回転体の軸方向の端面に、原点用マーカ153と、第1軸用マーカ154と、第2軸用マーカ155とを、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とを結んだ第1直線と、原点用マーカ153と第2軸用マーカ154とを結んだ第2直線とが直交するように配置する。また、このとき、原点用マーカ153、第1軸用マーカ154および第2軸用マーカ155以外の箇所であって、マーカ計測手段(六つの赤外線カメラ1で構成)からの出射光が到達する箇所に、マキシングテープ(マスキングテープ、マーキングテープ)を貼り付けたり、または、その出射光が到達する箇所を黒色ペンでぬったりして、その出射光が到達する箇所で光が反射しにくいようにする。
次に、第1軸水平方向配置工程を行う。この第1軸水平方向配置工程では、内輪182を回転軸体180に対して相対回転させて、治具150を、レベル計152の表示部172が水平であることを示す場所に位置させる。このようにして、治具150の上記第1直線を、水平方向に延在させるようにする。
続いて、三次元直交座標暫定設定工程を行う。この三次元直交座標暫定設定工程では、マーカ計測手段を構成する六つの赤外線カメラ1で、原点用マーカ153、第1軸用マーカ154および第2軸用マーカ155を計測する。その後、上記暫定測定座標算出部145が、六つの赤外線カメラ1から、原点用マーカ153、第1軸用マーカ154および第2軸用マーカ155の位置を表す信号を受けるようになっている。そして、上記暫定測定座標算出部145は、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とが結ぶ直線およびその延長線が、第1軸の一例としてのX軸を構成し、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155とを結ぶ直線およびその延長線が、第2軸の一例としてのY軸を構成し、更に、原点用マーカ153と、第1軸用マーカ154と、第2軸用マーカ155とが位置する平面の法線およびその延長線が、第3軸の一例としてのZ軸を構成し、また、原点用マーカ153の位置が、原点を構成する暫定的な三次元直交座標を算出するようになっている。
続いて、回転中心算出工程を行う。この中心中心算出工程では、先ず、回転軸体180およびころ軸受において六つの赤外線カメラ1から出射される光が到達する箇所に、マキシングテープを貼り付けたり、または、その出射される光が到達する箇所を黒色ペンでぬったりして、その出射される光が到達する箇所で光が反射しにくいようにする。
その後、図10、すなわち、回転中心算出工程を行っている最中の回転軸体180の周辺部位を表す模式図に示すように、回転軸体180の外周面185に回転中心測定用マーカ187を貼り付ける。尚、上記回転中心測定用マーカ187は、原点用マーカ153等と同一であり、第1実施形態の球体部材10とも同一である。また、図10では、ころ軸受については、内輪182のみを図示し、その他の部材は、図示を省略している。
その後、上記回転軸体180を回転させながら、六つの赤外線カメラ1で、回転中心測定用マーカ187の軌跡を測定する。
図11は、回転中心測定用マーカ187が描く軌跡を表す図である。
図11に示すように、回転中心測定用マーカ187は、円188上を移動することになる。上記回転中心算出部146は、六つの赤外線カメラ1から回転中心測定用マーカ187の軌跡を表す信号を受けるようになっている。上記回転中心算出部146は、その軌跡を表す信号に基づいて、円188が存在する平面を特定すると共に、円188の中心Pを算出するようになっている。
その後、三次元直交座標設定工程を行う。この三次元直交座標設定工程では、上記測定座標算出部147が、暫定測定座標算出部145からの暫定的な三次元直交座標の情報を表す信号と、回転中心算出部146からの回転中心測定用マーカ187の回転中心Pを表す信号とを受けるようになっている。そして、これらの情報に基づいて、上記暫定的な三次元直交座標を平行移動させて、各軸の延在方向が、上記暫定的な三次元直交座標に一致し、かつ、座標の原点が、円188の中心Pに一致する三次元直交座標を算出する。そして、この三次元直交座標を測定座標として、マーカ軌跡計測工程と、三次元座標演算工程とを行うようになっている。
図12は、第2実施形態のころ挙動測定装置が測定を行うときの基準となる三次元直交座標軸を算出するまでの制御の概要を説明する図である。
尚、図12において、S1は、第1実施形態の制御の概要を示す図5のステップS1を示す。第2実施形態の制御でも、ステップS1以後の制御は、図5に示す第1実施形態の制御と同じである。
制御をスタートする前に、先ず、上記治具150を用意する。そして、上記原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とを結ぶ第1直線が水平方向に延在する一方、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155とを結ぶ第2直線が鉛直方向に延在している状態で、治具150を、略水平方向に配置されているころ軸受の回転中心の中心軸の回りを回転する回転体(第2実施形態では内輪182)の軸方向の一方側の端面に取り付ける。
その後、ステップS01を行う。先ず、このステップS01では、各赤外線カメラ1から出射された光でかつ上記三つの座標測定用マーカ153,154,155で反射された光を受光する。
次に、ステップS02で、各赤外線カメラ1からの信号を暫定測定座標算出部145で受信して、暫定測定座標算出部145で、第1直線の延在方向をX軸とし、第2直線の延在方向をY軸とし、回転体の延在方向をZ軸とし、第1直線と第2直線との交点を原点とする暫定三次元座標軸の算出を行う。
その後、治具150を取り外し、ころ軸受が外嵌されている回転軸体180の外周面185上に一つの回転中心測定用マーカ187を配置する。そして、ステップS03で、回転軸体180を回転させた状態で、そのマーカを、各赤外線カメラ1で測定する。
続いて、ステップS04で、回転中心算出部146で、各赤外線カメラ1からの信号を受けて、マーカが描く円188の軌跡の回転中心Pを算出する。
その後、ステップS05で、測定座標算出部147で、暫定測定座標算出部145からの信号と、回転中心算出部146からの信号とを受けて、上記暫定三次元座標軸の各軸に平行な軸を有し、かつ、原点が上記回転中心Pである測定三次元座標軸を算出する。そして、この測定三次元座標軸に基づいて、次のステップS1以下で、ころの挙動の測定を行うようになっている。
上記第2実施形態によれば、原点用マーカ153と、第1軸用マーカ154と、第2軸用マーカ155とを含む平面の法線と、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とを結ぶ第1直線とが、略水平方向に延在する一方、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155とを結ぶ第2直線が略鉛直方向に延在している状態で、上記各マーカ153,154,155を基準として、三次元直交座標を算出できる。したがって、ころの挙動を追跡するための三次元直交座標を、略水平面上で直交する第1および第3軸と、略鉛直方向に延在する第2軸とで構成することができる。したがって、ころの挙動を追跡する三次元直交座標を、普遍的かつ絶対的な尺度であって精度高く決定できる水平方向および鉛直方向自体で構成できるから、その座標上で測定されるころの挙動を精度高く測定できる。
また、上記第2実施形態によれば、ころ軸受が外嵌される回転軸体180の中心軸上に位置する点(回転中心のこと)Pを測定できる。したがって、第3軸が、回転中心Pを通過するように、三次元直交座標を、平行移動させることが可能となり、例えば、その回転中心Pを原点とすることにより、ころを追跡する三次元直交座標を、一意に決定できる。したがって、各実験において、三次元直交座標を精密かつ一意に決定できるから、ころの挙動を精度高く測定できるのは勿論のこと、ころの挙動のデータ解析も格段に容易に行うことができる。
また、上記第2実施形態によれば、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154との距離が、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155との距離と異なっているから、略水平方向に延在する第1軸と、略鉛直方向に延在する第2軸とを容易かつ明確に区別できる。
また、上記第2実施形態によれば、上記直交マーカ配置工程の後、内輪182を回転させることにより、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とを結ぶ第1直線を略水平方向に延在させるようにしているから、内輪182の回転の回転位相を調整するだけで、上記第1直線を容易に略水平方向に延在させることができる。したがって、水平方向および鉛直方向で構成される三次元直交座標を、格段に容易に実現できる。
また、上記第2実施形態の治具150によれば、互いに略平行な表側面170と裏側面とを有する板材の第1延在部161の第1側面部166上にレベル計152が存在しているから、そのレベル計152によって第1側面部166を水平面上に精度高く位置させることができて、レベル計152で、精度を担保できる。したがって、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とを結ぶ第1直線を、精度高く水平方向に延在させることができると共に、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155とを結ぶ第2直線も、精度高く鉛直方向に延在させることができる。したがって、原点用マーカ153、第1軸用マーカ154および第2軸用マーカ155を、各赤外線カメラ1で計測して、上記第1直線と上記第2直線とを三次元直交座標を構成する軸とすることによって、ころの挙動を追跡する三次元直交座標を、精度高く設定でき、それに伴ってころの挙動も精度高く測定できる。
尚、上記第2実施形態では、レベル計152の数値に基づいて、内輪182に対する治具150の相対位置が変わらない状態で、内輪182を回転させて、第1直線が、水平方向に延在するようにした。しかしながら、この発明では、レベル計の数値に基づいて、そのつど、治具を固定する治具固定部に対する治具の相対位置を変動させて、第1直線が、水平方向に延在するようにしても良い。言い換えると、この発明では、座標決定準備工程は、ころ軸受が回転するときに回転中心となる中心軸の回りを回転する回転体の軸方向の端面に、原点用マーカと、第1軸用マーカと、第2軸用マーカとを、上記原点用マーカと上記第1軸用マーカとを結んだ第1直線と、上記原点用マーカと上記第2軸用マーカとを結んだ第2直線とが直交するように配置する直交マーカ配置工程と、上記直交マーカ配置工程の後、上記回転体を回転させることにより、上記第1直線を略水平方向に延在させる第1軸水平方向配置工程とを用いて行わなくても良い。
また、上記第2実施形態では、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154との距離が、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155との距離よりも短かったが、この発明では、原点用マーカと第1軸用マーカとの距離は、原点用マーカと第2軸用マーカとの距離よりも長くても良く、または、原点用マーカと第2軸用マーカとの距離と同一でも良い。
また、上記第2実施形態では、治具150の本体部151が、差金状の形状を有し、正面L字状の形状を有していた。しかしながら、この発明では、治具の本体部は、正面L字状の形状でなくても良く、正面T字状の形状や、正面矩形の形状等であっても良い。この発明では、治具の本体部は、平面からなる表側面と、その表側面に略平行な平面からなる裏側面とを有する一体の板材からなり、基部と、その基部から第1方向に延在する第1延在部と、上記基部から上記第1方向と直交する第2方向に延在する第2延在部とを有し、上記第1延在部が、上記表側面の法線方向と上記第1方向とを含む平面からなる側面部を有する構成であれば、如何なる形状であっても良い。尚、本体部が、正面矩形の形状の場合、例えば、基部は、矩形の本体部の一つの角部の周辺の一部分で構成しても良く、本体部は、第1延在部にも属さず、第2延在部にも属さず、基部にも属さない部分を有しても良い。
尚、第2実施形態のように、治具150の本体部151を、正面がL字状である差金状の部材とすれば、図9に示すように、治具150を、回転軸体180の周囲に配置できるから、治具150を、スペースを取らずに効率的に配置できて好ましい。
また、上記第2実施形態では、治具150を、回転軸体180に外嵌されて固定された内輪182の軸方向の端面183に固定したが、この発明では、回転体が、回転軸体であっても良く、治具を、回転軸体の軸方向の一方側の端面に固定しても良い。この発明では、治具は、回転軸体と同期回転する如何なる部材の軸方向の端面に固定しても良い。
また、上記第2実施形態では、座標決定準備工程と、回転中心算出工程とを、回転軸体180上にころ軸受を固定した上で行ったが、この発明では、座標決定準備工程と、回転中心算出工程とのうちの少なくとも一つの工程は、回転軸体にころ軸受を固定していない状態で行っても良い。
また、上記第2実施形態では、回転中心算出工程で、回転軸体180の外周面185上に固定された回転中心測定用マーカ187の回転中心Pを測定し、この回転中心Pを、測定座標の原点とした。しかしながら、この発明では、回転中心算出測定を行わずに、座標決定準備工程の後での、原点用マーカ153の中心位置を測定座標の原点としても良い。
また、上記第2実施形態では、原点用マーカ153と第1軸用マーカ154とを結ぶ第1直線の延在方向を、X軸の延在方向とし、原点用マーカ153と第2軸用マーカ155とを結ぶ第2直線の延在方向をY軸の延在方向とし、上記第1直線と上記第2直線とを含む平面の法線方向を、Z軸の延在方向とした。しかしながら、この発明では、原点用マーカと第1軸用マーカとを結ぶ第1直線の延在方向、原点用マーカと第2軸用マーカとを結ぶ第2直線の延在方向、および、上記第1直線と上記第2直線とを含む平面の法線方向の夫々は、X,Y,Z軸のいずれの延在方向に設定されても良いことは言うまでもない。
また、上記第2実施形態では、測定座標を六つの赤外線カメラ1の測定によって決定したが、この発明では、測定座標を、六以外の数のマーカ計測手段の測定によって決定しても良い。
また、上記第2実施形態では、座標決定準備工程の後に、回転中心算出工程を行ったが、この発明では、回転中心算出工程の後に、座標決定準備工程を行っても良い。この発明では、第2実施形態で新たに加えられた各工程は、座標決定準備工程と三次元直交座標設定工程とを、マーカ軌跡計測工程よりも前に行うことさえ満足すれば、如何なるタイミングで行われても良い。尚、仮に回転中心算出工程が存在する場合には、回転中心算出工程も、マーカ軌跡計測工程よりも前に行わなければならないことは言うまでもない。
尚、ころの挙動を測定する際に、データを測定できない位相が存在し、データが不連続となると、ころの挙動を正確に判断することができない。
そこで、本発明では、ころの挙動を測定する際に、赤外線カメラ等で構成するマーカ計測手段の数は、例えば9台や10台とすることが好ましく、9台以上の数であることが好ましい。また、本発明では、ころの挙動を測定する際に、挙動測定用のマーカが固定されたころを、常時(ころが、ころ軸受の回転中心に対して如何なる位相に存在するときでも)3台以上のマーカ計測手段で測定できるようにすると好ましい。本発明者は、試験によって、これらの条件を満足すれば、データが途切れることがなくて、連続的なデータを確実に獲得でき、ころの挙動を確実に測定できることを見出したのである。
また、本発明者は、各赤外線カメラの画素が、100〜150ピクセルであると、ころの挙動を確実かつ効率的に測定できることも見出している。したがって、本発明では、赤外線カメラ等で構成される各マーカ計測手段の画素数を、100〜150に設定すると好ましい。
また、この発明では、各信号の受送信は、有線で行っても、無線で行っても良い。また、この発明では、ころ軸受が固定される回転軸体が、軸部材であって、ころ軸受が、回転軸体の外周面に外嵌されても良く、または、ころ軸受が固定される回転軸体が、筒部材であって、ころ軸受が、回転軸体の内周面に内嵌されても良い。また、この発明では、ころの挙動の測定において、マーカ計測手段からの光が到達する箇所であって、マーカが存在していない全ての箇所に、反射防止部(マキシングテープ(マスキングテープ、マーキングテープ)や、黒色ペンでの塗りつぶし等で構成)を設けると好ましいことは、言うまでもない。また、上記第1,第2実施形態および各変形例で説明した構成のうちの二以上の構成を組み合わせて新たな実施形態を構築できることは、勿論である。
1 赤外線カメラ
2 自動調心ころ軸受
3 ころ
5 ブラックテープ
10 球体部材
19 反射シール
30,130 制御装置
31 モニタ
40,140 三次元座標演算部
41,141 ころ姿勢画定部
60 ころの端面の中心にころの端面の法線方向に重なる位置に配置された球体部材
145 暫定測定座標算出部
146 回転中心算出部
147 測定座標算出部
150 ころ挙動測定用治具
151 本体部
152 レベル計
153 原点用マーカ
154 第1軸用マーカ
155 第2軸用マーカ
160 基部
161 第1延在部
162 第2延在部
166 第1側面部
170 表側面
180 回転軸体
181 ころ軸受
182 ころ軸受の内輪
183 内輪の軸方向の一方側の端面
185 回転軸体の外周面
187 回転中心測定用マーカ

Claims (11)

  1. ころ軸受の外輪と内輪との間に配置されたころの軸方向の一方側の端面を覆うように配置されると共に、光が反射しにくい性質を有する材料からなる反射防止部と、
    上記端面に上記端面の法線方向に重なる位置に上記端面に対して静止するように配置されると共に、互いに間隔を置いた状態でかつ同一直線上に位置しないように配置される三以上のマーカと、
    光を出射する発光素子と、上記発光素子から出射された光のうちで上記三以上のマーカで反射した光を受光する受光素子とを有して、上記受光素子で受光された光に基づいて上記各マーカの軌跡を計測するマーカ計測手段と、
    上記マーカ計測手段からの信号に基づいて上記三以上のマーカの夫々の三次元座標を演算する三次元座標演算部と、
    上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標に基づいて上記ころの姿勢を画定するころ姿勢画定部と
    を備えることを特徴とするころ挙動測定装置。
  2. 請求項1に記載のころ挙動測定装置において、
    上記三以上のマーカのうちの一のマーカは、上記ころの端面上のころの自転中心に上記法線方向に重なる位置に配置されるようになっていることを特徴とするころ挙動測定装置。
  3. 請求項1または2に記載のころ挙動測定装置において、
    上記ころ姿勢画定部は、上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標から上記ころの上記端面の存在位置を画定し、その端面の存在位置に基づいて上記ころの姿勢を画定することを特徴とするころ挙動測定装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載のころ挙動測定装置において、
    上記ころは、上記外輪および上記内輪に対して調心機能を有し、
    上記ころのスキュー方向の傾き量とチルト方向の傾き量とを演算することを特徴とするころ挙動測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載のころ挙動測定装置において、
    上記ころの軸方向の変位量を演算することを特徴とする挙動測定装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載のころ挙動測定装置において、
    上記反射防止部は、上記ころの上記端面に貼り付けられた端面被覆部材であり、
    上記端面被覆部材は、上記三以上のマーカを取り付ける三以上の穴を有していることを特徴とするころ挙動測定装置。
  7. 光が反射しにくい性質を有する材料からなる反射防止部を、ころ軸受の外輪と内輪との間に配置されたころの軸方向の一方側の端面を覆うように配置する反射防止部配置工程と、
    上記端面に上記端面の法線方向に重なる位置に、上記端面に対して静止しかつ互いに間隔を置いた状態でかつ同一直線上に位置しないように、三以上のマーカを配置するマーカ配置工程と、
    発光素子から出射された光のうちで上記三以上のマーカで反射した光を受光素子で受光して、上記受光素子で受光された光に基づいて上記各マーカの軌跡を計測するマーカ軌跡計測工程と、
    上記各マーカの軌跡に基づいて上記三以上のマーカの夫々の三次元座標を演算する三次元座標演算工程と、
    上記三以上のマーカの夫々の上記三次元座標に基づいて上記ころの位置および姿勢を画定するころ姿勢画定工程と
    を備えることを特徴とするころ挙動測定方法。
  8. 請求項7に記載のころ挙動測定方法において、
    原点用マーカと第1軸用マーカとを結んだ第1直線と、上記原点用マーカと第2軸用マーカとを結んだ第2直線とが直交し、かつ、上記原点用マーカと上記第1軸用マーカと上記第2軸用マーカとを含む平面の法線と、上記第1直線とが、略水平方向に延在するように、上記原点用マーカと、上記第1軸用マーカと、上記第2軸用マーカとを、上記ころ軸受が回転するときに回転中心となる中心軸の回りを回転する回転体の軸方向の端面に配置する座標決定準備工程と、
    上記第1直線の延在方向を、第1軸の延在方向に設定し、上記第2直線の延在方向を、第2軸の延在方向に設定し、上記法線の延在方向を、第3軸の延在方向に設定する三次元直交座標設定工程と
    を備え、
    上記座標決定準備工程と、上記三次元直交座標設定工程とを、上記マーカ軌跡計測工程よりも前に行うことを特徴とするころ挙動測定方法。
  9. 請求項8に記載のころ挙動測定方法において、
    上記ころ軸受が固定される回転軸体の中心軸から間隔をおいて位置する上記回転軸体の一部分に回転中心測定用マーカを貼り付けた後、上記回転軸体を回転させて上記回転中心測定用マーカの軌跡を観測し、その軌跡に基づいて上記回転中心測定用マーカの回転中心を算出する回転中心算出工程を備えることを特徴とするころ挙動測定方法。
  10. 請求項7または8に記載のころ挙動測定方法において、
    上記原点用マーカと上記第1軸用マーカとの距離が、上記原点用マーカと上記第2軸用マーカとの距離と異なっていることを特徴とするころ挙動測定方法。
  11. 平面からなる表側面と、その表側面に略平行な平面からなる裏側面とを有する一体の板材からなり、基部と、その基部から第1方向に延在する第1延在部と、上記基部から上記第1方向と直交する第2方向に延在する第2延在部とを有し、上記第1延在部が、上記表側面の法線方向と上記第1方向とを含む平面からなる側面部を有する本体部と、
    上記側面部を含む平面上に配置されると共に、上記側面部が水平面上にあるか否かを判断できるレベル計と、
    上記表側面上かつ上記基部上に配置される原点用マーカと、
    上記表側面上において、上記原点用マーカに対して上記第1方向に間隔をおいて位置する箇所に配置される第1軸用マーカと、
    上記表側面上において、上記原点用マーカに対して上記第2方向に間隔をおいて位置する箇所に配置される第2軸用マーカと
    を備えることを特徴とするころ挙動測定用治具。
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