JP4168863B2 - 割れ検出装置 - Google Patents

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本発明は、丸鋼材等の被加工物(以下、「ワーク」と言う。)の表面に発生する割れを検出する装置に関するものである。
ークに発生する表面割れの検出は、従来、偏光や光切断画像を用いた方法が実施されている。
特開平9−178669号公報 特開平8−193960号公報 特開平7−140080号公報
このうち、特許文献1に記載の技術は、被検査面に偏光を入射する投光部と、少なくとも3方向の異なる角度の偏光を受光する複数の受光光学系を有する受光部と、信号処理部とを有し、前記受光部は被検査面で反射した反射光を検出して画像信号に変換し、前記信号処理部は、各受光光学系から出力された光強度分布を、平均値が予め定めた基準値となるように規格化し、規格化した複数の光強度分布の変化極性と変化量とを予め定めたパタ−ンと比較し疵種を判定するものである。しかしながら、この技術は、3方向の異なる角度の受光部を必要とし、かつ、規格化、パターン化と複雑な信号処理が必要であるため、高速での検出には不向きである。
また、特許文献2に記載の技術は、照射した被検査対象面上のスリット光を撮像して得た光切断像を、前処理により信号形式を変換して得た情報を処理して非検査体表面の疵を検出する方法において、前記信号形式を変換する手段が、スリット光を撮像する手段によって得られた画像で、光切断像を横切る方向の各走査線ごとに光強度分布を求め、この光強度が予め設定された閾値以上となる画素群を求め、該当画素群中でより疵の深い位置に該当する画素を1点選択する走査を、前記各走査線上で繰り返し行い、選択した各画素を連ねることにより、前記光切断像をディジタル画像として再現するものである。しかしながら、この技術は、光切断像の光強度分布を求め、最大値となる部分を繰り返し走査したものを連ねることによりディジタル画像として判定するため、ワークに発生する割れを、周方向全域に亘って高速で検出することは難しい。また、システム的に複数の信号処理を行う必要があることから装置が大型化するという問題もある。
また、特許文献3に記載の技術は、スリット光投光手段から照射した被検査対象面上のスリット光を撮像して得られた光切断画像を処理し、前記対象物体表面の検査信号を出力する処理手段を備えた表面疵検査装置において、前記スリット光を撮像する手段をランダム走査可能とし、この撮像手段で撮像範囲中の所定の範囲のみを走査して光切断画像を得るものである。しかしながら、この技術は、高速検査のみを目的としたもので、検出精度の点で問題がある。
上述した通り、特許文献1〜3に記載された技術は、何れの技術も検出速度と検出精度の両者を両立できるものではなかった。本発明は、ワークの表面に発生する割れを、高速で、かつ高精度に検出することができる割れ検出装置を提供することを目的としている。
本発明は、レーザスリット光投光器によりワーク表面に照射されワーク表面で反射したレーザスリット光を撮像装置で撮像し、この撮像された前記レーザスリット光の信号を2値化処理したデータに対してブロブ処理し、ブロブ処理した各ブロブの画素数が所定画素数の範囲内にあるものの個数が複数か否かによりワーク表面の割れの有無を判定することを最も主要な特徴とするものである。
本発明に係る割れ検出装置は、上記の構成となすことで、ワーク表面の割れを高速でかつ精度良く認識することが可能になる。
本発明に係る割れ検出装置は、ワーク表面へレーザスリット光を照射するレーザスリット光投光器と、ワーク表面に照射されワーク表面で反射したレーザスリット光を撮像する撮像装置と、撮像された前記レーザスリット光の信号を2値化処理する手段と、2値化処理されたデータに対してブロブ処理を行うブロブ処理手段と、各ブロブの画素数が所定画素数の範囲内にあるか否かを判断する面積フィルタと、所定画素数の範囲内にあるブロブの個数が複数か否かによりワーク表面の割れの有無を判定する判定手段を備えたものである。
本発明に係る割れ検出装置は、ワーク1の表面にレーザスリット光Rを照射した場合、ワーク1の表面に割れcが存在すると、図2に示したように、レーザスリット光Rが割れcで分断されることから、ワーク表面に照射されワーク表面で反射したレーザスリット光の撮像信号を処理し、この信号処理したレーザスリット光Rの塊Aが、図3(a)に示したように、1つであればワーク表面に割れの発生がないと、また、図3(b)に示したように、複数(図3(b)では2つ)に分離されていればワーク表面に割れcが発生していると判定するので、割れ部の形状や性状にかかわらず、ワーク表面の割れを精度良く認識することが可能になる。
すなわち、図4(a)に示したようなワーク1の周方向に発生した割れcの検出を、レーザスリット光Rを照射した状態で、直接割れ部の光切断像を画像処理することで行うと、レーザスリット光Rは、いつも図4(b)に示したように完全に光切断されて割れc部に光切断像Riが現れるわけではなく、割れの状態によっては、図4(c)に示したように、光切断像Riが完全に切断されない場合もある。このような場合、直接割れ部の光切断像を画像処理する方法では、独立した光切断像Riが存在しないため、割れcを検出することができない。
これに対し、本発明のように、レーザスリット光を照射した状態で、割れにより分断されたレーザスリット光の塊の数により割れの有無の判定を行うと、レーザスリット光が完全に切断されない場合でも、精度良く割れの検出が可能になる。
その際、本発明に係る割れ検出装置では、面積フィルタを備えたことにより、目的の大きさのレーザスリット光の塊だけを精度良く検出できる。
また、本発明に係る割れ検出装置において、2値化する信号を、撮像されたワーク表面のレーザスリット光の信号をそれぞれの画素の信号に対しその周囲所定範囲の最も明るい画素の信号に置き換える膨張フィルタ処理された信号とするのが第の本発明に係る割れ検出装置である。
この第の本発明に係る割れ検出装置では、膨張フィルタを備えたことにより、細かく途切れているエッジや、レーザスリット光の塊の処理を安定して行なえるようになる。
上記の本発明に係る割れ検出装置において、ワークを回転させる回転装置を備えさせた場合には、より高速にワークの周方向全域の検出が可能になる。
以下、本発明に係る割れ検出装置を図1に示す1実施例に基づいて説明する。
図1は本発明に係る割れ検出装置の1実施例の概略構成を示したブロック図である。
図1において、11はレーザスリット光投光器であり、例えば2個で対を成す転動ローラ等の回転装置13によって回転されるワーク1の表面に、可及的に全反射するような角度θで、アンプユニット15で増幅されたレーザスリット光Rを照射する。このレーザスリット光投光器11から回転するワーク1表面に照射されたレーザスリット光Rは、ワーク1表面で反射され、例えば画素数が307200(=640×480)のCCDカメラ等の撮像装置12でその全周を撮像される。
14は前記撮像装置12で得られた画像を、例えば所定時間(例えば20ms:ワーク径が90mm、回転数が30rpmであれば、2.8mm)毎に信号処理してワーク1の表面に割れが存在するか否かを判定する処理回路であり、例えば膨張フィルタ14a、2値化処理手段14b、ブロブ処理手段14c、面積フィルタ14d、判定手段である判定回路14e、カウンタ回路14fと、外部出力手段14gを備えている。
そして、前記撮像装置12から送られた画像は、所定時間毎に、膨張フィルタ14aで各画像(画面)の夫々の画素に対してその周囲3×3の範囲(例えば画素(x,y)に対して(x+i,y+i)(i=−1,0,+1)の範囲)の最も明るい画素の濃度に置き換えられ、抽出部分を膨張させて2値化処理手段14bに送られる。
2値化処理手段14bは、送られてきた白黒映像を256階調に分け、ある諧調を閾値として2値化する。閾値の諧調と同じ或いは明度の高い諧調の画素には論理「1」 、明度の低い諧調の画素には論理「0」を割り当てる。また、カラー映像を用いる場合には、ある特定の色のみ抽出して、抽出した色について、同様に256諧調に分け、ある諧調を閾値に2値化するなどしてもよい。。
2値化処理されたデータはブロブ処理手段14cに送られ、ここで処理ウィンド内のデータに対して、上記閾値の諧調以上の明度である画素の領域(ブロブ) が求められる。すなわち、例えば隣接する画素の2値化処理されたデータがともに論理「1」である場合、同じブロブに含まれるものと判断される。また、ブロブ毎に画素数がカウントされる。画素数をカウントされた各ブロブは面積フィルタ14dに送られ、その画素数が所定画素数の範囲内にあるか否か、例えば所定画素数以上であるか否かが判断される。
すなわち、面積フィルタ14dは、目的の大きさのレーザスリット光Rの塊(ブロブ) だけを検出するために、画素数の閾値、撮像部の総画素数307200画素に対して例えば300画素が設定されており、ブロブ処理手段14cから送られてきた各ブロブの画素数が前記閾値(300)以上であるか否かを判断する。
そして、判定回路14eにおいて、画素数が閾値以上であるブロブの個数がカウントされる。すなわち、ブロブ(レーザスリット光Rの塊) が1つの場合は割れがないものと判定され、ブロブ(レーザスリット光Rの塊) が2つ以上の場合は割れが存在するものであると判定される。
判定回路14eで割れありと判定された場合、カウンタ回路14fに入力され、カウンタ回路14fはこの判定回路14eから入力された割れ判定が何回連続しているのかをカウントし、割れの長さ(例えば1カウントが2.8mmのものが3カウント連続すれば、割れ長さは8.4mm)を演算し、その結果を外部出力手段14gに出力する。
このような本発明に係る割れ検出装置では、従来のような光強度分布を求めることなく、また、各種の複雑な信号処理機器が不要で、割れ部での繰返し走査を行う必要がなく、信号処理回路の簡単なフィルタ処理のみで精度良く、ワークの表面に発生した割れを検出することができる。
ちなみに図1に示した本発明割れ検出装置を用いて、図5に示したような、直径が90mmの丸鋼材の端部40mmの範囲内に、幅0.3mmで長さが10mmの割れcを有するワーク1を30rpmで回転させ(1カウント=2.8mm)、前記端部を画素数が307200画素のCCDカメラで走査し、撮像したレーザスリット光に前述の信号処理を施したところ、割れcが存在しない部分は、図3(a)に示したように、+マークで示されるレーザスリット光の塊(ブロブ) が1つであったのに対し、割れcが存在する部分は、図3(b)に示したように、+マークで示されるレーザスリット光の塊(ブロブ) が2つであり、割れcの存在を検出できた。
本発明は上記実施例に記載の構成に限るものではなく、本発明が有する技術的思想の範囲内であれば、実施態様の変更は自由である。また、上記の実施例は請求項を引用する請求項についてのものであるが、他の請求項に記載の発明も、その請求項の構成要件が有する作用、効果を奏するものであることは言うまでもない。
以上説明したように、本発明は、ワークに発生する割れを、その形状や性状にかかわらず高速で、かつ、高精度に検出することが可能になり、特にワーク加工時、その表面に発生する割れの検出に適している。
本発明に係る割れ検出装置の1実施例の概略構成を示したブロック図である。 ワークの表面に割れが存在すると、レーザスリット光が割れで分断されることを説明する図である。 (a)はワーク表面のレーザスリット光の塊が1つの場合の図、(b)は2つの塊に分離されている場合の図である。 (a)はワークの周方向に発生した割れにレーザスリット光を照射した状態を説明する図、(b)は照射したレーザスリット光が割れ部で完全に光切断されている場合の図、(c)は照射したレーザスリット光が割れ部で完全に光切断されない場合の図である。 検出部の詳細を示した図である。
符号の説明
1 ワーク
11 レーザスリット光投光器
12 撮像装置
13 ワーク回転装置
14 処理回路
14a 膨張フィルタ
14b 2値化処理手段
14c ブロブ処理手段
14d 面積フィルタ
14e 判定回路
c 割れ
R レーザスリット光
Ri 光切断像
A レーザスリット光の塊

Claims (3)

  1. ワーク表面へレーザスリット光を照射するレーザスリット光投光器と、
    ワーク表面に照射されワーク表面で反射したレーザスリット光を撮像する撮像装置と、
    撮像された前記レーザスリット光の信号を2値化処理する手段と、
    2値化処理されたデータに対してブロブ処理を行うブロブ処理手段と、
    各ブロブの画素数が所定画素数の範囲内にあるか否かを判断する面積フィルタと、
    所定画素数の範囲内にあるブロブの個数が複数か否かによりワーク表面の割れの有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする割れ検出装置。
  2. ワーク表面へレーザスリット光を照射するレーザスリット光投光器と、
    ワーク表面に照射されワーク表面で反射したレーザスリット光を撮像する撮像装置と、
    撮像された前記レーザスリット光の信号をそれぞれの画素の信号に対しその周囲所定範囲の最も明るい画素の信号に置き換える膨張フィルタと、
    膨張フィルタ処理された信号を2値化処理する手段と、
    2値化処理されたデータに対してブロブ処理を行うブロブ処理手段と、
    各ブロブの画素数が所定画素数の範囲内にあるか否かを判断する面積フィルタと、
    所定画素数の範囲内にあるブロブの個数が複数か否かによりワーク表面の割れの有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする割れ検出装置。
  3. ワークを回転させる回転装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の割れ検出装置。
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