JP6881032B2 - ころ軸受の挙動測定装置及び挙動測定方法 - Google Patents
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Description
このため、ころ軸受が回転しているときの各ころのスキューの状態を測定することは、ころ軸受を開発するうえで重要な手段となる。特許文献1では、スキュー角を測定する方法として、レーザ光を照射して、ころの端面で反射されたレーザ光の向きを測定することによって、スキューの大きさを測定する方法が提案されている。
しかしながら、実際の測定装置においては、ころ軸受の回転軸とレーザ光の光軸の向きを完全に一致させるために精密な作業が必要であり、測定の準備に多大な工数を要していた。
本発明の一実施形態(本実施形態)を図を用いて詳細に説明する。 図1は、本実施形態にかかるころ軸受の挙動測定装置10の概略構成を示す概念図である。
本実施形態では、ころ軸受の一つである円すいころ軸受11について、その挙動を測定している。以下の説明では、円すいころ軸受11の回転軸mの方向を軸方向といい、回転軸mと直交する方向を径方向、回転軸mの回りを周回する方向を周方向という。
レーザ光Lは、その光軸に直交する断面が環状であり、その直径寸法は、円すいころ14のピッチ円直径(円すいころ14の大端面21の中心をつなぐ仮想円の直径)とほぼ同等である。こうして、レーザ光Lは、円すいころ軸受11に組込まれた全ての円すいころ14の大端面21に向けて照射されており、円すいころ14が回転軸mの回りを公転するときには、その軌跡の全範囲を照射することができる。レーザ光Lは、円すいころ14の大端面21で反射し、第1ミラー26に向けて進行する。
なお、本実施形態では、レーザ光Lの光軸に直交する断面が環状であるが、これに限らず、円すいころ14の公転時の軌跡を照射できる複数のレーザ光であってもよい。
第1反射面40は、内周面39から径方向外方に進むにしたがって円すいころ軸受11の側に向けて傾斜した円錐面であり、円すいころ軸受11と対向する向きに設置されている。第1反射面40には、全周にわたって鏡面加工が施されている。
なお、内周面39の直径寸法は、円すいころ軸受11の外径より大径である。これにより、レーザ装置25から第1ミラー26の内周側を通して、円すいころ14の大端面21にレーザ光Lを直接照射できる。
円すいころ14の大端面21で反射したレーザ光Lは、更に、第1ミラー26で反射し、投影部28に向けて進行する。
図2では、円すいころ軸受11と、Aの位置にある円すいころ14の大端面21で反射したレーザ光Lが、投影部28に投影されている状態を示している。
投影部28は、回転軸mの方向からみた形状が略正方形の板部材であって、中央に、円すいころ軸受11の外径寸法よりわずかに大きい孔41が設けられている。投影部28の第1ミラー26側の面は、第1ミラー26から入射したレーザ光Lが投影される投影面42である(図1参照)。
投影部28は、回転軸mに対して直交する向きで、孔41の中心位置と円すいころ軸受11の中心位置とを合わせて配置されている。投影面42は、円すいころ14の大端面21と、軸方向のほぼ同じ位置に設置されている。こうして、円すいころ軸受11の外周に沿って、投影面42が配置されており、投影面42には、第1ミラー26から入射したレーザ光Lによって投影点Sが形成されている。
カメラ29は、CCDなどの撮像素子を搭載しており、撮影した画像を、円すいころ14と投影点Sの位置情報を表す画像信号として、演算装置30に出力するようになっている。
挙動演算部46では、メモリ47に記憶されたプログラムに従って、カメラ29から送信された画像信号に基づいて、円すいころ軸受11の挙動としてのころのスキュー角やチルト量を測定している。測定されたスキュー角等は、表示器48に表示され、また、レコーダ49に記録されるようになっている。
基準ミラー35では、軸方向の一方でレーザ装置25と対向する側に対向面36が形成されている。対向面36は径方向外方に向かうにしたがって円すいころ軸受11に近づく向きに傾斜する円錐面である。いい換えれば、対向面36は、軸方向断面における直線Jを、回転軸mの回りに回転させたときの回転面であり、対向面36の法線は、回転軸mを含む平面上に存在する。
本実施形態では、対向面36が、直線Jによる回転面で形成されているが、円弧などの曲線による回転面であってもよい。
また、基準ミラー35は、シャフト24に着脱自在であり、円すいころ軸受11の挙動を測定するときには取り外される。
こうして、基準ミラー35には、レーザ装置25及び第1ミラー26と対向するように配置された反射面Zが形成されており、反射面Zは、レーザ装置25側から見たときに円すいころ14の大端面21と重なる位置に形成されている。反射面Zの大きさは、円すい
ころ14の大端面21に形成された反射面Wの大きさとほぼ同等である。
次に、挙動測定装置10によって、図を用いて、円すいころ軸受11の挙動を測定する挙動測定方法(以下、本測定方法)を説明する。
図2において、Aの位置にある円すいころ14(円すいころA)について、その挙動を測定する場合を例にして説明する。円すいころ軸受11の中心を原点Oとし、円すいころAの位置でピッチ円の接線方向をX軸に設定し、原点Oと円すいころAの中心を結ぶ方向をY軸に設定している。原点Oは、回転軸m上の点である。また、円すいころAの大端面21の中心を通って、Y軸に垂直な平面を平面qとし、X軸に垂直な平面を平面pとする。
基準情報取得ステップでは、上記構成の挙動測定装置10を使用して、図3に示すように、円すいころ軸受11の前方に、基準ミラー35を取り付けている。この状態で、シャフト24を回転させながら、基準ミラー35に向けて、レーザ光Lを照射している。
本測定方法は、レーザ装置25の取付誤差等によってレーザ光Lの光軸と円すいころ軸受11の回転軸mとが互いにわずかに傾いている場合において、これらの向きの精密な調整をしなくても、スキュー角を正確に測定することが出来る点に特徴がある。このため、基準情報取得ステップの説明では、円すいころ軸受11の回転軸mとレーザ光Lの光軸とがわずかに傾いている場合について説明する。
このため、図4(a)に示すように、反射面Zで反射したレーザ光Lは、スキューを生じていない円すいころの端面で反射するときと同様に、平面pから離れる向きに進行する。その後、第1ミラー26で反射して、投影面42上に投影される。図4(b)に示すように、基準投影点Sbは、Y軸に対して位相角φbだけ傾いた位置に形成される。
こうして基準投影点Sbは、スキューが生じていないときに形成される投影点と同一の位相角φbの位置に形成される。なお、位相角とは、原点Oの回りで、Y軸とのなす角度をいう。
また、カメラ29では、基準ミラー35の回転中に所定の時間間隔で繰り返し撮影することにより、画像G1を逐次取得しており、周方向の各位置において、基準ミラー35と基準投影点Sbの位置情報を逐次取得することができる。ここで、基準ミラー35と基準投影点Sbの位置情報とは、例えば、基準ミラー35の中心の位置、反射面Zの位置、基準投影点Sbの位相角などである。
ころ位置情報取得ステップでは、駆動装置とレーザ装置25との位置をそのまま維持した状態で、基準ミラー35を取り外している。この状態で、シャフト24を回転させながら、円すいころ軸受11に向けて、レーザ光Lを照射している。
図5(a)は、レーザ装置25から照射されたレーザ光Lが、円すいころAの大端面21で反射して、投影面42に到達するまでの経路を、Y軸方向から見たときの模式図で示している。図5(b)は、図5(a)を回転軸mの方向から見た模式図である。なお、円すいころAは、平面q内で図5(a)に示した向きに角度ξ分スキューしている。
円すいころがスキューしているとともに、レーザ光Lの光軸が回転軸mに対して傾いているために、反射面Wに入射したレーザ光Lは、図5(a)に実線で示したように、大端面21で反射した後、基準情報取得ステップで測定した場合に比べて、平面pから更に離れる向きに進行する。このため、レーザ光Lは、投影面42に到達するときには、Y軸に対して更に大きく離れており、投影点Sは、図5(b)に示すように、Y軸に対して位相角φa(φa>φbである)だけ傾いた位置に形成される。
なお、円すいころ軸受11が回転しているときには、投影点Sは、円すいころ14とともに回転軸mの周りを周回している。カメラ29では、基準情報取得ステップと同様に、円すいころ軸受11の回転中に所定の時間間隔で撮影することにより、画像G2を逐次取得しており、周方向の各位置において、円すいころ軸受11と投影点Sの位置情報を逐次取得することができる。
次に、挙動演算ステップについて説明する。
挙動演算ステップでは、カメラ29から送信された円すいころ軸受11と投影点Sの位置情報と、メモリ47から読み出した基準ミラー35と基準投影点Sbの位置情報とに基づいて、円すいころ軸受11の挙動情報を算出している。ここで、円すいころ軸受11の挙動情報とは、円すいころのスキューの状態や、チルトの状態をいい、具体的には、円周方向の各位置における円すいころのスキュー角やチルト量などを測定している。
以下、図6を用いて、円すいころAを例にして、挙動演算部46における円すいころ軸受の挙動情報を算出する手順を具体的に説明する。図6は、基準情報取得ステップで撮影された画像G1と、ころ位置情報取得ステップで撮影された画像G2を、原点Oの位置を合わせて重ねた図である。
スキュー角と位置ずれ量Rとの関係は、種々のスキュー角の値について、そのスキュー角に対応する位置ずれ量Rの値を組み合わせたデータとして、あらかじめメモリ47に記憶されている。当該組合せデータは、静止した円すいころ14にレーザ光Lを照射し、円すいころ14の向きを順次変化させながら投影点Sの位置の変化を測定することによって、容易に取得することができる。
なお、位置ずれ量は、位相角に限らず、基準投影点Sbに対する投影点SのX方向やY方向の位置ずれ量であってもよい。
また、回転中の円すいころ軸受11について、特定の円すいころ14に対応する投影点Sの動きを連続して撮影することによって、スキュー角の変化を連続的に測定することができる。
これは、レーザ光Lの光軸が回転軸mに対して傾いている場合には、スキューを生じていない時であっても、円すいころの端面で反射したレーザ光Lの進路が、回転軸mに対して傾いてしまうからである。レーザ光Lの光軸と回転軸mとの傾き量は、レーザ装置25の取付誤差等に起因する。取付誤差等の大きさは不確定であり、基準ミラー35を使用しない場合には、基準投影点Sbの位置(すなわち位相角φb)を特定できない。このため、投影点Sの位相角φaを測定するだけでは位置ずれ量Rを測定できないので、スキュー角を正確に測定することができない。
なお、基準投影点Sbに対する位置ずれ量は、投影点Soの位相角φaに対応する投影点Sとの径方向の位置ずれ量Roや、図示を省略するが、基準投影点Sbに対するX方向やY方向の位置ずれ量等に基づいて算出できる。
また、円筒ころ軸受の場合には、プリズムを介してレーザ光Lをころの軸線に対して斜めに照射することによって、回転軸mに対して径方向に傾いた向きに照射できる。これによって、本実施形態と同様にして測定することができる。
Claims (2)
- ころ軸受のころの一端面にレーザ光を出射する出射部と、
前記ころと前記出射部との間に着脱自在に配置され、前記ころ軸受の回転軸に対する回転面からなる反射面を備えた基準ミラーと、
前記ころの一端面で反射されたレーザ光が投影されて投影点Sが形成されるとともに、前記基準ミラーで反射されたレーザ光が投影されて基準投影点が形成される投影部と、
前記基準ミラーと前記基準投影点とを撮影して、前記基準ミラーと前記基準投影点の位置情報を表す第1信号を出力するとともに、前記ころ軸受と前記投影点Sとを撮影して、前記ころと前記投影点Sの位置情報を表す第2信号を出力する撮影部と、
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記ころ軸受の挙動情報を算出する挙動算出部とを備えることを特徴とする、ころ軸受の挙動測定装置。 - 請求項1に記載するころ軸受の挙動測定装置を使用して、ころ軸受の挙動を測定する挙動測定方法であって、
前記基準ミラーを取り付けた状態で前記基準ミラーに向けてレーザ光を照射し、前記基準ミラーと前記基準投影点とを撮影して、前記基準ミラーと前記基準投影点の位置情報を取得する基準情報取得ステップと、
前記基準ミラーを外した状態で前記ころ軸受に向けてレーザ光を照射し、前記ころ軸受と前記投影点Sとを撮影して、前記ころ軸受と前記投影点Sの位置情報を取得するころ位置情報取得ステップと、
前記基準情報取得ステップで取得した前記基準ミラーと前記基準投影点の位置情報と、前記ころ位置情報取得ステップで取得した前記ころと前記投影点Sの位置情報とに基づいて、前記ころ軸受の挙動情報を算出する挙動演算ステップと、を備えたことを特徴とするころ軸受の挙動測定方法。
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JP2017104558A JP6881032B2 (ja) | 2017-05-26 | 2017-05-26 | ころ軸受の挙動測定装置及び挙動測定方法 |
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