JP3871099B2 - トナー画像を有する転写シート及びこれを用いるトナー画像焼き付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像を有する転写シートに関し、特に、乾式電子写真法などによって、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像を、陶磁器、硝子、琺瑯、タイル、石などの耐熱性固体表面に転写して焼き付けするのに有用な絵付け用の転写シート、並びにトナー画像焼き付け方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窯業製品等の耐熱性固体表面に絵柄を形成する方法としては、無機顔料および釉薬成分からなる絵の具を用いて、筆などにより耐熱性固体表面上に絵柄を直接手書きし、それを通常750℃〜1300℃で焼き付ける方法が行われている。
この方法によれば、焼き付けにより、絵の具中の灰化する成分が灰化し、絵の具中の釉薬成分が溶解し、ついで室温まで冷却される際に無機顔料が釉薬成分により耐熱性固体表面上に固定化され、耐熱性固体表面上に手書きされた絵柄が形成される。この方法による場合には、同一の絵柄を有する複数の窯業製品を得るために、簡単な絵柄においても、熟練した技術者が必要になる。
【0003】
そこで、同一の絵柄を有する多数の窯業製品を作製する場合には、スクリーン印刷法により転写紙上に絵柄を形成した後、その転写紙から絵柄を剥離して窯業製品表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が一般に行われている。
この方法は、例えば、特開昭49−35407号公報に開示されているように、基体上に水溶性の糊層を有する転写紙上にスクリーン印刷法により無機顔料等を含有するインクで画像を形成し、ついで、このインク画像上にビニル系またはセルロース系の非水溶性樹脂皮膜を形成した後、この転写紙を水に浸すことにより転写紙の糊層を溶解させてインク画像を保持した樹脂皮膜を転写紙から剥離し、インク画像を保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面、例えば皿等の表面に貼り付け、それを焼き付ける方法である。
【0004】
この方法によれば、スクリーン印刷法により同一絵柄のインク画像を有する多数の転写紙を作成し、そのインク画像を多数の窯業製品表面に貼り付け、それを焼き付けることにより、同一絵柄を有する多数の窯業製品を得ることができる。
しかしながら、スクリーン印刷法による場合には、絵柄用のインク画像を形成するための版を作る工程が複数あり、膨大な時間と労力が必要となり、即時性に欠けるばかりでなく、少ロットで多品種の製品を作製する場合には製品1個あたりの単価が高くなるという難点がある。また、印刷の際には有機溶剤を使用するので、作業環境が悪いなどの不具合もある。
【0005】
このようなスクリーン印刷法による問題を解決する方法として、電子写真法を用いて転写紙上にトナー(有機重合体、無機顔料およびガラス成分からなる複合粉体、結着樹脂および窯業用顔料を含有するトナーなど)による絵柄用の画像を形成し、そのトナー画像を保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が、例えば、特開平4−135798号公報、特開平7−199540号公報、特開平7−214890号公報、特開平7−228037号公報、特開平7−300382号公報、特開平8−104050号公報、特開平8−11496号公報、特開平8−119668号公報などに開示されている。
【0006】
この方法によれば、絵柄用のトナー画像を容易に形成することができ、スクリーン印刷法に比べ工程が飛躍的に簡易化され、即時性に優れていると共に少ロット多品種の製品を容易に作製することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ここで使用されている窯業用転写シートは、構成上、その一部に糊剤層が設けられており、このため、電子写真法によって転写シート上にトナー画像を形成する際、転写シートを電子写真複写機に通紙した時、転写シートの糊剤が電子写真複写機に触れ、これが画像品質や通紙搬送性に悪影響を及ぼすといった問題が発生した。
そこで、本発明の課題は、上記のような問題点を解決し、電子写真複写機により画像を形成しても、電子写真複写機の画像品質や通紙搬送性に悪影響が生じない転写シート、並びに、その転写シートを用いるトナー画像焼き付け方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、窯業用転写紙上に電子写真法により焼成後有色であるトナー画像を形成させたものであって、該トナーは着色剤、結合剤及び紬薬フリットを主成分としており、また該転写紙は基体上に少なくとも1層の水溶性層と、その水溶性層の上に少なくとも1層の厚さ1μm以上のエチルセルロース樹脂又はブチラール樹脂を含有する樹脂フィルム層を形成させてなることを特徴とする、トナー画像を有する転写シートが提供される。
【0009】
第二に、前記樹脂フィルム層中に帯電防止剤が含有されていることを特徴とする上記第一のトナー画像を有する転写シートが提供される。
【0010】
第三に、前記基体上に設けられた層中に顔料が含有されていることを特徴とする上記第一又は第二のトナー画像を有する転写シートが提供される。
【0011】
第四に、上記第一、第二又は第三の転写シートのトナー画像層及び樹脂皮膜を支持体から剥離し、樹脂皮膜側を耐熱性固体表面に密着させて樹脂皮膜およびトナー画像層を耐熱性固体表面に張り付け、ついでトナー画像層および樹脂皮膜を有する耐熱性固体を樹脂皮膜灰化温度以上に加熱することを特徴とする、耐熱性固体表面へのトナー画像焼き付け方法が提供される。
【0012】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
先に指摘したとおり、従来使用されていた最表層が糊層である転写シート上に、電子写真複写機を用いてトナー画像を形成していると、画像品質や通紙搬送性が損われる問題が発生した。
この問題について検討を重ねた結果、最表層の糊が電子写真複写機の画像転写ドラムに付着し、付着した糊により画像転写ドラム上でのトナー画像に異常をきたすことが判明した。また、通紙搬送性の異常についても、従来の転写シートの最表層の糊が電子写真複写機の各種の搬送ロール等に付着し、ロールに異常な粘着性を帯びさせたり、ロールに紙粉などの細かな塵や埃を付着させる結果としてロールの摩擦を低下させたりするため生じることが明らかになった。
【0013】
本発明の転写シートは、糊を電子写真複写機に直接触れることがないように、糊層の表面を厚さ1μm以上のエチルセルロース樹脂又はブチラール樹脂を含有する樹脂フィルム層で被覆したことにより、転写シートの水溶性の糊が大気中の水分や取扱者の手指の水分などを吸収して粘り気を帯び、電子写真複写機に上記のような悪影響を与えないようにした転写シートである。
【0014】
樹脂フィルム層に使用する樹脂としては、エチルセルロース樹脂又はブチラール樹脂を含有する樹脂が使用できる。樹脂フィルム層は薄すぎると破れてローラーに絡まりやすかったり、膜の血管などで糊面がむき出しになるのを防ぐために1μm以上の厚さがあることが必要であり、10μm以上の厚みがあることが望ましい。
【0015】
また、転写シート表面が樹脂フィルムのままであると電子写真複写機の保護にはなるが、転写シートの電気抵抗が高すぎて、画像が上手く載らなくなってしまう問題が生じる場合がある。このような場合には、帯電防止剤を樹脂フィルム中や樹脂フィルム表面に添加して転写シートの電気抵抗をコントロールするなどして、画像品質の是正をはかることができる。
帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高分子帯電防止剤等が使用できる。また帯電防止剤は樹脂フィルム中に添加しても、樹脂フィルム上に塗布してもよく、また、樹脂フィルム以外の層中に添加あるいは層上に塗布してもよい。
【0016】
また、転写シートの表面に樹脂フィルムがあると、その摩擦が普通紙と異なるために電子写真複写機上で搬送トラブルを生じる場合がある。この場合は、樹脂フィルム中あるいは樹脂フィルム表面に顔料を添加して、搬送トラブルを防止することができる。
顔料としては、一般のものであれば特に限定なく使用できる。一般の顔料としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリンなどが使用できる他、フリットを使用することこできる。
【0017】
次に、本発明において用いる焼成後に有色であるトナーについて説明する。
「焼成後に有色であるトナー」とは、450℃以上に加熱したときに灰化しない着色剤を含有するトナーである。
焼成後に有色であるトナーは、例えば、周期律表の1族のCu、Ag、Au、2族のCd、4族のTi、5族のV、Sb、6族のSe、Cr、Mo、W、U、7族のMn、8族のFe、Co、Ni、Ir、Pt等の元素の酸化物などを単独あるいは配合(混合)して使用した窯業用顔料などの着色剤および熱可塑性樹脂を含有するものである。
従来の窯業用顔料は一般に顔料自身の吸光係数が低くく、着色剤としてこれら窯業用顔料を含有するトナーを用いて画像濃度の高いフルカラー画像を形成させるには、トナー付着量を多くすることが必要である。
【0018】
焼成後に有色であるトナーにおける着色剤としては、特に、上記金属あるいはその酸化物を複数配合(混合)し、これを1000℃〜1200℃に加熱して溶融し、複数金属の合金化処理を施した合金顔料が好ましい。
この合金顔料は吸光係数が高く、着色剤としてこの合金顔料を含有するトナーを用いることにより、少ないトナー付着量で画像濃度の高いフルカラー画像を形成させることができる。複数金属の合金化により着色度が高くなる理由としては、単体の金属の時には縮重していた金属元素のd軌道が複合金属の影響でスプリットすることにより、電子遷移可能な軌道数が増加し、見かけ上の振動子強度が増加するためであると推定される。
【0019】
熱可塑性樹脂としては、従来公知のトナーに使用されている結着樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、エポキシ系、エポキシポリオール系、テルペン系などの樹脂が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。具体的には、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−n−ブチル共重合体などを挙げることができる。
特に、熱可塑性樹脂としては、前記のように灰化温度280℃〜360℃のものが好ましい。
また、トナー中の熱可塑性樹脂の含有量としては、10〜40wt%が好ましい。
【0020】
さらに、本発明において用いる焼成後に有色であるトナーには、着色剤および熱可塑性樹脂と共に釉薬フリットを用いることが好ましい。トナー中に釉薬フリットを含有させる方法としては、例えば、着色剤と釉薬フリットとの混合物を用いる方法、着色剤と釉薬フリットとの混合物を加熱溶融した後冷却し、それを粉砕して着色剤として用いる方法などがある。
【0021】
特に、複数金属の合金化処理した合金顔料と釉薬フリットとを所定量で混合し、それを例えば650〜800℃で加熱溶融した後冷却し、それを粉砕し着色剤として用いることが好ましい。
この様な着色剤を含有するトナーを用いることにより、少ないトナー付着量で画像濃度が高く鮮明なフルカラー画像を転写シート上に形成することができ、そのトナー画像を窯業製品などの耐熱固体表面上に転写し、それを焼き付けることにより、耐熱性固体表面上に画像濃度が高く鮮明な焼き付け絵柄を形成することができる。
【0022】
トナー中における釉薬フリットの含有量としては、着色剤と釉薬フリットとの重量割合で2/8〜6/4が好ましく、特に3/7〜5/5が好ましい。2/8よりも釉薬フリット成分を増やすとトナーの着色度が低くなり、6/4よりも釉薬フリットを減らすとトナー画像を耐熱性固体表面上に焼き付けた際に、焼き付け絵柄が耐熱性固体表面から脱離する場合が生じるようになる。
【0023】
釉薬フリットは、耐熱固体表面上に転写されたトナー画像を焼き付ける際に、耐熱性固体表面にトナー中の着色剤を焼結する役割を果たすものであり、焼き付け時に溶解あるいは半溶解状態となり、室温に冷却されると完全に固化し、着色剤を耐熱固体表面上に焼結させるものである。
【0024】
釉薬フリットとしては、水酸化リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物、塩化アルミニウム、ほう酸、およびアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物のほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物のメタほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のピロりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の珪酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のメタ珪酸塩、珪酸ジルコニウム、骨灰、棚砂、メタバナジン酸アンモニウム、酸化タングステンや五酸化バナジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化モリブデン等の金属酸化物、フッ化カルシウムやフッ化アルミニウム等の金属フッ化物、ガラスレットなどを基本材料として、これらの単独または複数混合したものが挙げられる。
【0025】
釉薬フリットの結合を強める方法として、石灰長石やカリ長石、ソーダ長石、ベタライト(リチウム長石)等の長石類、カオリン、珪石、アルミナ、シリカ、石英、酸化チタン、酸化鉛、シャモット、土灰類、石灰石、マグネサイト、タルク、ドロマイト等の天然鉱物や炭酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸ストロンチウムなどを基本材料として、これら予め混合した後溶解させ、それをトナーに含有させてもよい。
【0026】
さらに、本発明において用いる焼成後に有色であるトナーには、必要に応じて帯電制御剤を含有させてもよい。この様な帯電制御剤としては従来公知の物が全て使用可能であり、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、Cr含金染料、Zn含金染料、Fe含金染料、モリブデン酸キレート染料、フッ素変成4級アンモニウム塩等が帯電極性に応じて適宜選択して用いられる。
【0027】
帯電制御剤の使用量は、熱可塑性樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、およびトナー中の分散方法を含めたトナー製造方法により異なるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が適当であり、特に2〜6重量部が好ましい。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し、トナー飛散、地肌汚れ等の不具合が発生する。10重量部を越える場合には、キャリアとの静電的付着力が強くなるため現像剤の流動性が低下したり、現像量が少なくなる等の不具合の原因となる。
【0028】
この他、トナーの流動性を向上させるために必要に応じて、疎水性シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化チタンなどの従来公知の添加剤を添加してもよい。
【0029】
本発明において、焼成後に有色であるトナーは、トナー単独の現像剤として静電潜像を顕像化する、いわゆる一成分現像剤として用いることができ、またトナーとキャリアを混合してなる二成分現像剤として用いることができる。
二成分現像剤として用いる場合のキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズなど従来公知のキャリアを用いることができ、キャリアはポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコン樹脂等で被覆されたものでもよい。トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100重量部に対してトナー1〜30重量部程度が適当であり、8〜16重量部が好ましい。
【0030】
本発明の転写シートを用いて陶磁器製品などの耐熱性固体表面に絵付けするには、例えば、基体上に水溶性層、さらにその上に樹脂(アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等)フィルム層を形成した転写シートの樹脂フィルム層上にトナー画像を形成した後、この転写シートを水に浸すことにより転写シートの水溶性層を溶解させてトナー画像を保持した樹脂皮膜を転写シートから剥離し、トナー画像を保持した樹脂皮膜を耐熱性固体表面に貼り付け、それを焼き付ければよい。この樹脂皮膜の灰化温度は330℃〜350℃が好ましい。
【0031】
耐熱性固体表面への焼き付け方法は、耐熱性固体の表面近傍に焼き付けるか、表面からより深く焼き付けるかによって適宜選定されるが、いずれの場合も電気炉あるいはガス炉を用いて行うことができる。
耐熱性固体表面の表面近傍に焼き付けを行う場合は、例えば室温から200℃/1時間程度の昇温条件で徐々に温度を上げ、750℃〜850℃で約30分〜1時間この温度に保ち、その後室温まで温度を下げて電気炉あるいはガス炉から取り出すことにより行われ、これによりトナー中の着色剤が釉薬フリットで耐熱性固体表面に焼結され、絵付けされた耐熱性固体製品が得られる。
【0032】
また、耐熱性固体表面の奥深くに焼き付けを行いたい場合には、室温から200℃/1時間程度の昇温条件で徐々に温度を上げ1100℃〜1300℃で30分〜1時間保ち、その後室温まで温度を下げる方法が採用される。この時、昇温開始温度は室温に限定されるものではないが、昇温時および冷却時において急激な温度変化を与えると、耐熱性固体によっては、耐熱性固体の厚さや材質により若干の差はあるものの、割れ、形状変化が発生する場合があるので、焼き付けを行う場合の温度変化は50℃/1時間〜500℃/1時間が好ましい。
50℃/1時間より昇温時あるいは冷却時の温度変化を遅くすると焼き付け時間が遅くなり効率が悪くなる。500℃/1時間より昇温時あるいは冷却時の温度変化を早くすると焼きムラの発生や耐熱性固体の形状変化が発生する場合がある。昇温時あるいは冷却時の温度変化の条件としては、100℃/1時間〜300℃/1時間が特に好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0034】
実施例1
まず、下記のようにして製造した釉薬フリットを用い、各色着色剤を製造し、それぞれの各色着色剤を用いて、下記のようにして焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を製造した。
【0035】
〈釉薬フリットの製造〉
Al2O3(80g)、SiO2(370g)、Na2O(50g)及びPbO(500g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1200℃で焼成し、粉砕して釉薬フリットを製造した。
【0036】
〈ブラック着色剤の製造〉
Cr2O3(110g)、MnO(270g)、Fe2O3(112g)およびCo2O3(508g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するブラック着色剤(A)を製造した。
【0037】
〈イエロー着色剤の製造〉
CuO(10g)、ZnO(190g)及びSb2O3(800g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するイエロー着色剤を製造した。
【0038】
〈マゼンタ着色剤の製造〉
Fe2O3(160g)、NiO(40g)、CuO(40g)およびAu2O(760g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するマゼンタ着色剤を製造した。
【0039】
〈シアン着色剤の製造〉
Cr2O3(170g)、Fe2O3(10g)、Co2O3(690g)およびZnO(130g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するシアン着色剤を製造した。
【0040】
上記の着色剤を用いて、下記のようにして焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を製造した。
〈焼成後に有色であるブラックトナーを含有するブラック現像剤(A)の製造〉
スチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂(Tg=54℃)100重量部とサリチル酸亜鉛誘導体(ボントロンE84、オリエント化学社製)4重量部および前記ブラック着色剤(A)230重量部をミキサーで混合したのち、2本ロールで溶融混練した。混練物を圧延冷却した後、粉砕分級を行い、体積平均粒子径9.3μmのブラックトナー(A)を製造した。さらに、疎水性シリカ(R972、日本アエロジェル社製)をブラックトナー(A)に0.5wt%添加し、ミキサーで攪拌した。
【0041】
一方、シリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製)100重量部、カーボンブラック(BP2000、キャボット社製)3重量部およびトルエン100重量部をホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製し、この被覆層形成液および平均粒子径70μmの球状フェライトキャリア1000重量部を用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。
【0042】
次に、上記トナー90gおよびキャリア910gをボールミルに入れ30分間攪拌してブラック現像剤(A)を製造した。
【0043】
〈焼成後に有色であるイエロートナーを含有するイエロー現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記イエロー着色剤を用いて体積平均粒子径9.3μmのイエロートナーを製造し、そのイエロートナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてイエロー現像剤を製造した。
【0044】
〈焼成後に有色であるマゼンタトナーを含有するマゼンタ現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記マゼンタ着色剤を用いて体積平均粒子径9.1μmのマゼンタトナーを製造し、そのマゼンタトナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてマゼンタ現像剤を製造した。
【0045】
〈焼成後に有色であるシアントナーを含有するシアン現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記シアン着色剤を用いて体積平均粒子径9.0μmのシアントナーを製造し、そのシアントナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてシアン現像剤を製造した。
【0046】
次に、坪量90g/m2の片艶紙上にデキストリン水溶液を、乾燥後のデキストリン層の厚みが20μmとなるように塗布した。さらに、この上に、トルエン−エチルアルコール溶媒に溶解したエチルセルロース樹脂(ハーキュレス社製、N−22)を、乾燥後のエチルセルロース樹脂の厚みが15μmになるように塗布し、実施例1の転写シートを得た。
【0047】
つぎに、上記のようにして製造したブラック現像剤(A)、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤およびシアン現像剤のそれぞれ450gを電子写真カラー複写機(プリテール650、リコー社製)に装着し、以下の複写条件により転写シート上にフルカラー画像を形成させてトナー画像を有する転写シートを得た。
なお、このときの環境条件を温度30℃、相対湿度85%とし、電子写真カラー複写機の手差し部より1枚ずつ、全10枚のコピー操作を行なった。このコピー操作において、10枚の転写シート通紙トラブルは発生せず、また、転写シート上の画像は良好な画像であった。
【0048】
[複写条件]
プロセススピード:180mm/sec
帯電電位:−650V
露光電位:−100〜−500V
現像バイアス:−500V
ベルト転写バイアス:1400〜1700V
転写シート転写バイアス:900〜1500V
定着ローラー温度:180℃
【0049】
上記のようにして得られたトナー画像を有する転写シートを水槽に入れ、エチルセルロース樹脂皮膜に保持されたトナー画像を転写シートから剥離して、タイル( RS252/1001、INAX社製)側に樹脂皮膜が密着するように貼付し、100℃/1時間の昇温速度で800℃まで昇温した後、800℃で30分間保ち、自然冷却させ、タイル上に絵柄を焼結させた。得られたタイル上の焼結画像は良好が画像であった。
【0050】
実施例2
実施例1で使用したエチルセルロースの厚みを2μmにした以外は実施例1と同様の方法で転写シートを作成し、トナー画像を形成させた。トナー画像形成時、10枚の転写シートの通紙トラブルは発生せず、転写シート上の画像も良好であった。また、トナー画像形成後、実施例1と同様にタイル上に絵柄を焼結させたが、得られたタイル上の焼結画像は良好な画像であった。
【0051】
実施例3
実施例1で使用したエチルセルロース樹脂の代わりにブチラール樹脂を使用し、厚みを15μmにした以外は実施例1と同様の方法で転写シートを作成し、トナー画像を形成させた。トナー画像形成時10枚の転写シートに通紙トラブルは発生せず、転写シート上の画像も良好であった。また、トナー画像形成後、実施例1と同様にタイルに絵柄を焼結させたが、得られたタイル上の焼結画像は良好な画像であった。
【0052】
実施例4
実施例1で使用したエチルセルロース樹脂の溶解液中に樹脂重量に対して20重量%の導電剤(三洋化成社製、ケミスタット2500)を添加し、電子写真カラー複写機によるコピー操作を行なう環境を10℃×20%RHに変えた以外は実施例1と同様に転写シートを作成し、その上にトナー画像を形成させた。このとき、10枚の転写シートの内3枚に給紙不良が発生したが、転写シート上の画像は良好であった。また、実施例1と同様の方法でタイルに絵柄を焼結させたが、得られたタイル上の焼結画像は良好な画像であった。
【0053】
実施例5
実施例4で使用したエチルセルロース樹脂の溶解液中に樹脂重量に対して40重量%のフリットを添加した以外は実施例4と同様に転写シートを作成し、実施例4と同様の環境でトナー画像を形成させた。実施例4で発生した給紙不良は10枚の転写シートで発生しなかった。また、転写シート上の画像は良好であった。
さらに実施例1と同様の方法でタイルに絵柄を焼結させたが、得られたタイル上の焼結画像は良好な画像であった。
【0054】
比較例1
実施例1で作成したデキストリン層を片艶紙上に形成させただけの転写紙に、実施例1と同じ条件で電子写真カラー複写機にてトナー画像を形成させた。このとき、10枚の全てにデキストリン層の糊によるシート相互の接着が発生し、複写機のロールに対して粘着し、ジャムや不送りなどの通紙不良を生じた。ただし、形成されたトナー画像には顕著な異常はなかった。
このように得られた転写シートのトナー画像上面にブチラール樹脂液を塗布し、乾燥させて樹脂皮膜を形成した後、その転写紙シートを水槽に入れ、ブチラール樹脂皮膜に保持されたトナー画像を転写シートから剥離して、タイル側に樹脂皮膜が密着するように貼付し、以下実施例1に同様にタイル上に絵柄を焼結させた。得られたタイル上の焼結画像には問題はなかった。
【0055】
比較例2
実施例1で使用したエチルセルロース樹脂膜の厚みを0.5μmにした以外は実施例1と同様の方法で転写シートを作成し、トナー画像を形成させた。
トナー画像形成時、通紙には問題を生じなかったが、樹脂膜にシワや亀裂などが生じてしまい、トナー画像としては問題が発生した。また、タイルへの転写時に、樹脂膜が破れてしまい、タイル上の焼結画像を得ることができなかった。
【0056】
比較例3
実施例4で導電剤を添加しない以外はすべて実施例4と同様に転写シートを作成し、実施例4と同様の環境でトナー画像を形成させた。このとき、10枚中4枚に給紙不良を生じた。また、転写シート上の画像には濃度低下が見られた。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、電子写真複写機の画像品質や通紙搬送性に悪影響が生じることのない窯業用転写シートを得ることができる。
Claims (4)
- 窯業用転写紙上に電子写真法により焼成後有色であるトナー画像を形成させたものであって、該トナーは着色剤、結合剤及び紬薬フリットを主成分としており、また該転写紙は基体上に少なくとも1層の水溶性層と、その水溶性層の上に少なくとも1層の厚さ1μm以上のエチルセルロース樹脂又はブチラール樹脂を含有する樹脂フィルム層を形成させてなることを特徴とする、トナー画像を有する転写シート。
- 前記樹脂フィルム層中に帯電防止剤が含有されていることを特徴とする請求項1記載のトナー画像を有する転写シート。
- 前記基体上に設けられた層中に顔料が含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載のトナー画像を有する転写シート。
- 請求項1、2又は3記載の転写シートのトナー画像層及び樹脂皮膜を支持体から剥離し、樹脂皮膜側を耐熱性固体表面に密着させて樹脂皮膜およびトナー画像層を耐熱性固体表面に張り付け、ついでトナー画像層および樹脂皮膜を有する耐熱性固体を樹脂皮膜灰化温度以上に加熱することを特徴とする、耐熱性固体表面へのトナー画像焼き付け方法。
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