JP4255226B2 - 皮膜形成転写シート及び皮膜樹脂液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像を有する転写シートに関し、特に、乾式電子写真法などによって、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像を、陶磁器、硝子、琺瑯、タイル、石、等の耐熱性固体表面に転写して焼き付けするのに有用なトナー画像層上に皮膜を形成した焼付け用転写シート、その製造方法及び該皮膜を形成するための皮膜形成樹脂溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】
窯業製品等の耐熱性固体表面に絵柄を形成する方法としては、無機顔料および釉薬成分からなる絵の具を用いて、筆などにより耐熱性固体表面上に絵柄を直接手書きし、それを通常750〜1300℃で焼き付ける方法が行なわれている。この方法によれば、焼き付けにより、絵の具中の灰化する成分が灰化し、絵の具中の釉薬成分が溶解し、ついで室温まで冷却される際に無機顔料が釉薬成分により耐熱性固体表面上に固定化され、耐熱性固体表面上に手書きされた絵柄が形成される。この方法による場合には、同一の絵柄を有する複数の窯業製品を得るために、簡単な絵柄においても熟練した作業員が必要になる。
【0003】
そこで、同一の絵柄を有する多数の窯業製品を作製する場合には、スクリーン印刷法により転写紙上に絵柄を形成した後、転写紙から絵柄を剥離して窯業製品表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が一般に行なわれている。
この方法は、例えば、特開昭49−35407号公報に開示されているように、基体上に水溶性の糊層を有する転写紙上にスクリーン印刷法により無機顔料等を含有するインクで画像を形成し、ついで、このインク画像上にビニル系またはセルロース系の非水溶性樹脂皮膜を形成した後、この転写紙を水に浸すことにより転写紙の糊層を溶解させてインク画像を保持した樹脂皮膜を転写紙から剥離し、インク画像を保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面、例えば皿等の表面に貼り付け、それを焼き付ける方法である。
スクリーン印刷法により同一絵柄のインク画像を有する多数の転写紙を作成し、そのインク画像を多数の窯業製品表面に貼り付け、それを焼き付けることにより、同一絵柄を有する多数の窯業製品を得ることができる。
【0004】
しかしながら、スクリーン印刷法による場合には、絵柄用のインク画像を形成するための版を作る工程が複数あり、膨大な時間と労力が必要となり、即時性に欠けるばかりでなく、少ロットで多品種の製品を作製する場合には製品1個あたりの単価が高くなるという難点がある。また、印刷の際には有機溶剤を使用するので、作業環境が悪いなどの不具合もある。
【0005】
このようなスクリーン印刷法による問題を解決する方法として、電子写真法を用いて転写紙上にトナー(有機重合体、無機顔料およびガラス成分からなる複合粉体、結着樹脂および窯業用顔料を含有するトナーなど)による絵柄用の画像を形成し、そのトナー画像を保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が、例えば、特開平4−135798号公報、特開平7−199540号公報、特開平7−214890号公報、特開平7−228037号公報、特開平7−300382号公報、特開平8−104050号公報、特開平8−11496号公報、特開平8−119668号公報などに開示されている。
この方法によれば、絵柄用のトナー画像を容易に形成することができ、スクリーン印刷法に比べ工程が飛躍的に簡易化され、即時性に優れていると共に少ロット多品種の製品を容易に作製することができる。
【0006】
しかしながら、電子写真法によって転写紙上に形成された絵柄用のトナー画像を窯業製品等の耐熱性固体表面に貼り付け、それを焼き付けると、耐熱性固体表面に焼き付けられた絵柄に白ヌケや焼きムラが発生する場合があるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、このような問題点を解決し、耐熱性固体表面に焼き付けられた絵柄に白ヌケや焼きムラを発生させることのない焼付け用転写シートを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「支持体上に、焼成後に有色であるトナーからなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シートにおいて、樹脂皮膜がSi元素を有する化合物を含有し、かつ樹脂皮膜の灰化温度がトナーの灰化温度よりも低いことを特徴とする焼付け用転写シート」、(2)「前記樹脂皮膜の厚さが少なくとも10μm以上であることを特徴とする前記第(1)項に記載の焼付け用転写シート」によって解決される。
【0009】
また、上記課題は、本発明の(3)「支持体上に、焼成後に有色であるトナーからなるトナー画像層を有する転写シートのトナー画像上にSi元素を有する化合物を含有する樹脂溶液を塗布して乾燥させることにより樹脂皮膜を形成させる、焼き付け用転写シートの製造法であって、該樹脂皮膜の灰化温度がトナーの灰化温度よりも低いことを特徴とする、焼付け用転写シートの製造方法」によって解決される。
【0011】
以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
電子写真法によって転写シート上に形成された絵柄用のトナー画像を、その上に形成された樹脂皮膜と共に剥離して窯業製品等の耐熱性固体表面に貼り付け、それの焼き付けを行なった場合、焼き付け温度が250℃〜450℃のあたりで部分的に突沸現象が発生し、耐熱性固体表面に焼き付けられた絵柄に白ヌケや焼きムラが発生することが観測された。
その原因について検討した結果、樹脂皮膜の平滑性が耐熱性固体表面に焼き付けられた絵柄の白ヌケや焼きムラ発生に関与していることを見い出した。
【0012】
皮膜形成樹脂の灰化に伴う焼きムラを抑制するためには、トナー画像面側を耐熱性固体表面に密着させて貼り付ける場合、樹脂皮膜の灰化温度はトナー中の熱可塑性樹脂の灰化温度よりも低いことが必要条件となるが、このときの皮膜形成樹脂にはある程度の平滑が必要となる。トナー中の熱可塑性樹脂および樹脂皮膜は昇温により固体から液状になった後灰化するが、このとき、トナー画像上の樹脂皮膜が厚い部分では、薄い部分が灰化した後にも、熱可塑状態のままトナー画像上に残っている。この様な部分がトナー画像上に存在する境界部分の処では、トナー中の熱可塑性樹脂の方が樹脂皮膜よりも早く灰化する現象、即ち、突沸現象が発生するため、白抜けや、焼きムラの発生原因となる。したがって、焼成時に上述の様な境界部分を抑制するため、樹脂皮膜にはある程度の平滑性が要求される。
【0013】
本発明のトナー画像を有する支持体は、表面に水溶性層を有する転写紙の水溶性層上にトナー画像を形成することが好ましい。この水溶性層を形成する成分としては、水溶性の物質であればよく、例えば、デキストリンやポリビニルアルコールなどを用いることができる。画像形成方法は、例えば、通常の電子写真方式のカラー複写機やプリンターなどにより、電子写真感光体上に形成された静電潜像を焼成後に有色であるトナーにより現像し、得られたトナー画像をこの支持体に転写し、定着ローラなどにより定着した後、樹脂皮膜を形成させることによって皮膜形成転写シートを得ることができる。
【0014】
本発明において用いる焼成後に有色であるトナーとは、450℃以上に加熱したときに灰化しない着色剤を含有するトナーである。
本発明において用いる焼成後に有色であるトナーは、例えば、周期律表の1族のCu、Ag、Au、2族のCd、4族のTi、5族のV、Sb、6族のSe、Cr、Mo、W、U、7族のMn、8族のFe、Co、Ni、Ir、Pt等の元素の酸化物などを、単独あるいは配合(混合)して使用した窯業用顔料などの着色剤および熱可塑性樹脂を含有するものである。
従来の窯業用顔料は一般に顔料自身の吸光係数が低くく、着色剤としてこれら窯業用顔料を含有するトナーを用いて画像濃度の高いフルカラー画像を形成させるには、トナー付着量を多くすることが必要である。
【0015】
本発明において用いる焼成後に有色であるトナーにおける着色剤としては、特に、上記金属あるいはその酸化物を複数配合(混合)し、これを1000〜1200℃に加熱して溶融し、複数金属の合金化処理を施した合金顔料が好ましい。この合金顔料は吸光係数が高く、着色剤としてこの合金顔料を含有するトナーを用いることにより、少ないトナー付着量で画像濃度の高いフルカラー画像を形成させることができる。複数金属の合金化により着色度が高くなる理由としては、単体の金属のときには縮重していた金属元素のd軌道が複合金属の影響でスプリットすることにより、電子遷移可能な軌道数が増加し、見かけ上の振動子強度が増加するためであると推定れる。
【0016】
トナーに用いる熱可塑性樹脂としては、従来公知のトナーに使用されている結着樹脂成分を用いることができ、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、エポキシ系、エポキシポリオール系、テルペン系などの樹脂が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。具体的には、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−n−ブチル共重合体などを挙げることができる。
特に、熱可塑性樹脂の灰化温度は280〜360℃のものが好ましい。また、トナー中の熱可塑性樹脂の含有量としては、10〜40wt%が好ましい。
【0017】
さらに、本発明において用いる焼成後に有色であるトナーには、着色剤および熱可塑性樹脂と共に釉薬フリットを用いることが好ましい。トナー中に釉薬フリットを含有させる方法としては、例えば、着色剤と釉薬フリットとの混合物を用いる方法、着色剤と釉薬フリットとの混合物を加熱溶融した後冷却し、それを粉砕して着色剤として用いる方法などがある。
特に、複数金属の合金化処理した合金顔料と釉薬フリットとを所定量で混合し、それを例えば650〜800℃で加熱溶融した後冷却し、それを粉砕し着色剤として用いることが好ましい。
【0018】
この様な着色剤を含有するトナーを用いることにより、少ないトナー付着量で画像濃度が高く鮮明なフルカラー画像を転写シート上に形成することができ、そのトナー画像を窯業製品などの耐熱固体表面上に転写し、それを焼き付けることにより、耐熱性固体表面上に画像濃度が高く鮮明な焼き付け絵柄を形成することができる。
【0019】
トナー中における釉薬フリットの含有量としては、着色剤と釉薬フリットとの重量割合で2/8〜6/4が好ましく、特に3/7〜5/5が好ましい。2/8よりも釉薬フリット成分を増やすとトナーの着色度が低くなり、6/4よりも釉薬フリットを減らすとトナー画像を耐熱性固体表面上に焼き付けた際に、焼き付け絵柄が耐熱性固体表面から脱離する場合が生じるようになる。
【0020】
釉薬フリットは、耐熱固体表面上に転写されたトナー画像を焼き付ける際に、耐熱性固体表面にトナー中の着色剤を焼結する役割を果たすものであり、焼き付け時に溶解あるいは半溶解状態となり、室温に冷却されると完全に固化し、着色剤を耐熱固体表面上に焼結させるものである。
【0021】
釉薬フリットとしては、水酸化リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物、塩化アルミニウム、ほう酸、およびアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物のほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物のメタほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のピロりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の珪酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のメタ珪酸塩、珪酸ジルコニウム、骨灰、棚砂、メタバナジン酸アンモニウム、酸化タングステンや五酸化バナジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化モリブデン等の金属酸化物、フッ化カルシウムやフッ化アルミニウム等の金属フッ化物、ガラスレットなどを基本材料として、これらの単独または複数混合したものが挙げられる。
【0022】
釉薬フリットの結合を強める方法として、石灰長石やカリ長石、ソーダ長石、ベタライト(リチウム長石)等の長石類、カオリン、珪石、アルミナ、シリカ、石英、酸化チタン、酸化鉛、シャモット、土灰類、石灰石、マグネサイト、タルク、ドロマイト等の天然鉱物や炭酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸ストロンチウムなどを基本材料として、これら予め混合した後溶解させ、それをトナーに含有させてもよい。
【0023】
さらに、本発明において用いる焼成後に有色であるトナーには、必要に応じて帯電制御剤を含有させてもよい。この様な帯電制御剤としては従来公知のものが使用可能であり、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、Cr含金染料、Zn含金染料、Fe含金染料、モリブデン酸キレート染料、フッ素変成4級アンモニウム塩等が帯電極性に応じて適宜選択して用いられる。
【0024】
帯電制御剤の使用量は、熱可塑性樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、およびトナー中の分散方法を含めたトナー製造方法により異なるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が適当であり、特に2〜6重量部が好ましい。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し、トナー飛散、地肌汚れ等の不具合が発生する。10重量部を越える場合には、キャリアとの静電的付着力が強くなるため現像剤の流動性が低下したり、現像量が少なくなる等の不具合の原因となる。この他、トナーの流動性を向上させるために必要に応じて、疎水性シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化チタンなどの従来公知の添加剤を添加してもよい。
【0025】
本発明において用いる焼成後に有色であるトナーは、トナー単独の現像剤として静電潜像を顕像化する、いわゆる一成分現像剤として用いることができ、またトナーとキャリアを混合してなる二成分現像剤として用いることができる。二成分現像剤として用いる場合のキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズなど従来公知キャリアを用いることができ、キャリアはポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコン樹脂等で被覆されたものでもよい。トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100重量部に対してトナー1〜30重量部程度が適当であり、8〜16重量部が好ましい。
【0026】
本発明の焼付け用転写シートを用いて陶磁器製品などの耐熱性固体表面に絵付けするには、例えば、水溶性層を有する支持体の水溶性層上に上記トナー画像を有する転写シートを用い、そのトナー画像上にアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の溶液を塗布して樹脂皮膜を形成した後、この転写シートを水に浸すことにより転写シートの水溶性層を溶解させてトナー画像を保持した樹脂皮膜を転写シートから剥離し、トナー画像を保持した樹脂皮膜を耐熱性固体表面に貼り付け、それを焼き付ければよい。この樹脂皮膜の灰化温度はトナー中の熱可塑性樹脂より低い方が好ましい。
【0027】
耐熱性固体表面への焼き付け方法は、耐熱性固体の表面近傍に焼き付けるか、表面からより深く焼き付けるかによって適時選定されるが、いずれの場合も電気炉あるいはガス炉を用いて行なうことができる。
【0028】
耐熱性固体表面の表面近傍に焼き付けを行なう場合は、例えば室温から200℃/1時間程度の昇温条件で徐々に温度を上げ、750℃〜850℃で約30分〜1時間この温度に保ち、その後室温まで温度を下げて電気炉あるいはガス炉から取り出すことにより行なわれ、これによりトナー中の着色剤が釉薬フリットで耐熱性固体表面に焼結され絵付けされた陶磁器製品などの耐熱性固体製品が得られる。
【0029】
また、耐熱性固体表面の奥深くに焼き付けを行ないたい場合には、室温から200℃/1時間程度の昇温条件で1100〜1300℃まで徐々に温度を上げ、その後室温まで温度を下げる方法が採用される。この時、昇温開始温度は室温に限定されるものではないが、昇温時および冷却時において急激な温度変化を与えると、耐熱性固体によっては、耐熱性固体の厚さや材質により若干の差はあるものの、割れ、形状変化が発生する場合があるので、焼き付けを行なう場合の温度変化は50℃/1時間〜500℃/1時間が好ましい。
【0030】
50℃/1時間より昇温時あるいは冷却時の温度変化を遅くすると焼き付け時間が遅くなり効率が悪くなる。500℃/1時間より昇温時あるいは冷却時の温度変化を早くすると焼きムラの発生や耐熱性固体の形状変化が発生する場合がある。昇温時あるいは冷却時の温度変化の条件としては、100℃/1時間〜300℃/1時間が特に好ましい。
【0031】
本発明における焼付け用転写シートの皮膜形成樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、これらの共重合体樹脂、セルローズ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂や、それら混合物樹脂からなる。この樹脂の液としては、上記樹脂をソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレンの他、エーテル類や工業用ガソリンに溶解して調合される。市販品としては、山城インク商会のYR5062RTなどがあり、支持体サイズに合わせスクリーン印刷にてトナー画像上にこれら樹脂の皮膜を形成することができる。この他、同社のフィルムソリューションスプレーを用いる場合は、スクリーン版を必要とせず、スプレー管から直接トナー画像上に皮膜形成樹脂をスプレー噴霧して形成することができる。
【0032】
このとき、トナー画像上の樹脂被膜の凹凸差は、4mm以下であることが重要である。樹脂皮膜の凹凸差が4mmより大きくなると、前述の如く、焼成時に突沸現象が発生し、白抜けや、チジレが焼成絵柄に発生することがある。
樹脂被膜の凹凸差を4mm以下にするための手段としては、例えば、被膜形成樹脂液の粘度調整、コーティング法の選択、溶剤蒸発速度の調整、ドクターブレードによる平滑化、樹脂液塗布後のエアーナイフによる平滑化、等公知の手段が挙げられる。
また、この樹脂皮膜の膜厚に関しては、10〜3000μmが適正な膜厚である。10μm以下になると該転写紙を窯業製品等の耐熱性固体表面に貼り付ける際、破れたり伸びたりすることがあり、好ましくない。逆に3000μm以上になると、膜の可塑性が損なわれ、曲面への張り付けが困難となり好ましくない。この様な平滑性、膜厚を有するための好ましい樹脂液の粘度としては70〜10000mPa・sである。70mPa・s以下の場合樹脂液の粘性が低すぎて、トナー面の裏に樹脂液が回り込み、転写シートの分離に支障をきたすことがある。一方、10000mPa・sの場合は粘度が高いため、スクリーンメッシュの目図まりを発生させ、平滑性の良い樹脂皮膜層を得ることが困難になる。
【0033】
樹脂溶液中に焼成後に灰化する着色物に関しては、基本構造が有機物質からなる顔料ならび染料が用いられる。樹脂溶液中への溶解性を考慮すると染料が好ましい。この染料としては、特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料などの水溶性染料は、後に説明する焼付け用転写シートの耐熱固体表面上への水転写工程において、染料が水中に解け出し、作業性を劣化させるため、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好ましく、特に、油溶性染料が好ましい。この様な染料としては、例えば、以下のような染料が挙げられる。
【0034】
C.I.SOLVENT YELLOW(6,6,17,31,35,100,102,103,105)
C.I.SOLVENT orange(2,7,13,14,66)
C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,149,150,151,157,158)
C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)
C.I.SOLVENT BULE(22,63,78,83,84,85,86,91,94,95,104)
C.I.SOLVENT GREEN(24,25)
C.I.SOLVENT BROWN(3,9)など。
【0035】
市販品では例えば保土ヶ谷化学工業社製の愛染SOT染料Yellow-1.3,4、orange-1.2,3、Scarlet-1、Red-1.2,3、Brown-2、Blue-2、Violet-1、Green-1.2,3やBASF社製のSudan染料、Yellow-14.0,150、Orange-220、Red-290.380、Blue-670や三菱化成社製のダイシアン、Yellow-3G,F,H2G,HC,HL、orange-HSBlue-J,G,N,K,P,H3G,4G、やオリエント化学社製のオイルカラー、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC、日本化薬社製のカヤロン、カヤセットRed-Bなどを使用することができる。これらは、組み合わせで適時選択することもできる。
これら着色剤を皮膜形成樹脂液に含有させることにより、目視にて樹脂被膜の平滑性、膜厚を確認することが可能になる。
【0036】
本発明の焼付け用転写シートを得る行程において、焼成後に有色であるトナーを支持体上に定着させるとき、熱ローラ方式の定着ローラを使用し、該ローラにシリコンオイルを塗布した熱圧定着機構を採用した場合、トナー上のシリコンオイルの影響で、皮膜形成樹脂液が部分的にハジかれ、樹脂被膜が斑に形成される場合がある。このような斑の転写シートの場合、耐熱性固体表面に貼り付けた際の水抜きが完全に行なわれず、円形状の白抜けが焼成品に発生しやすくなる。この場合の好ましい皮膜形成樹脂液としては、該皮膜形成樹脂液中にSi元素を有する化合物を添加しておくことにより斑の発生しない焼付け用転写シートを得ることができる。
【0037】
Si元素を有する化合物としては、変性シリコーンオイル、シリコーングラフトアクリル(メタクル)樹脂等の高分子化合物の他、東レダウコーニング社製SFシリーズ等の低分子シリコン化合物があり、これらを皮膜形成樹脂液に混合して使用することができる。
このときの適正な混合量は高分子、低分子タイプとも1wt%以下が好ましい。1wt%より多く添加すると耐熱固体表面上にシリコーンの貼り跡が残る場合がある。シリコーンの貼り跡に関しては、耐熱固体表面上の釉薬フリットとの相性により決定される。即ち、ボンチャイナやホーローの様な柔らかい素地には融点の低い釉薬フリットが施されているため、シリコーンの跡残りが出やすくなる。
【0038】
焼付け用転写シートの樹脂被膜を形成するための皮膜形成樹脂液は、その吸収スペクトルが、360〜830nmに吸収ピークを有し、石英1cmセルにおける該吸収ピークの吸光度が0.1以上であることが望ましい。
吸光度0.1未満であると焼成後の図柄の不良品の発生が多くなる。
本発明の焼付け用皮膜形成転写シートの焼成絵付けに相応しい素地としては焼成温度に適した素地の選定をすることが望まれる。望ましい焼成絵付け用基材の絵付け用基材としては、絵付け面の色差をJIS Z8729記載の表色L*,a*,b*で測定することにより予め判断することが可能である。同法による焼成前後の色差ΔEが3以下であると前述のシリコーン跡残りが殆どない他、仕上げりのカラー画像が素地の変色に影響されないため好ましい。
【0039】
本発明の灰化温度の測定は示差熱重量測定により測定できる。測定には熱分析装置DSC3200(マック・サイエンス社製)や真空理工社製示唆熱重量分析装置TGD−3000等を用い、TG−DTAモードで測定することができる。皮膜形成樹脂液の粘性測定には(株)トキメック社製TV−30型粘度計コーンプレートタイプを使用し、測定することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
〈トナー現像剤の作成〉
まず、下記のようにして製造した釉薬フリットを用い、各色着色剤を製造し、それぞれの各色着色剤を用いて、下記のようにして焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を製造した。
〈釉薬フリットの製造〉
Al2O3(80g)、SiO2(370g)、Na2O(50g)及びPbO(500g)を配合し、スタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1200℃で焼成し、粉砕して釉薬フリットを製造した。
〈ブラック着色剤の製造〉
Cr2O3(110g)、MnO(270g)、Fe2O3(112g)およびCo2O3(508g)を配合し、スタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するブラック着色剤(A)を製造した。
〈イエロー着色剤の製造〉
CuO(10g)、ZnO(190g)及びSb2O3(800g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するイエロー着色剤を製造した。
〈マゼンタ着色剤の製造〉
Fe2O3(160g)、NiO(40g)、CuO(40g)およびAu2O(760g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するマゼンタ着色剤を製造した。
〈シアン着色剤の製造〉
Cr2O3(170g)、Fe2O3(10g)、Co2O3(690g)およびZnO(130g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するシアン着色剤を製造した。
【0041】
上記の着色剤を用いて、下記のようにして焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を製造した。
〈焼成後に有色であるブラックトナーを含有するブラック現像剤(A)の製造〉ポリエステル樹脂(Tg=60℃)100重量部とサリチル酸亜鉛誘導体(ボントロンE84、オリエント化学社製)4重量部および前記ブラック着色剤(A)230重量部をミキサーで混合したのち、2本ロールで溶融混練した。混練物を圧延冷却した後、粉砕分級を行ない、体積平均粒子径9.5μmのブラックトナー(A)を製造した。さらに、疎水性シリカ(R972、日本アエロジェル社製)をブラックトナー(A)に0.5wt%添加し、ミキサーで攪拌した。
【0042】
一方、シリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製)100重量部、カーボンブラック(BP2000、キャボット社製)3重量部およびトルエン100重量部をホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製し、この被覆層形成液および平均粒子径70μmの球状フェライトキャリア1000重量部を用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。
【0043】
次に、上記トナー90gおよびキャリア910gをボールミルに入れ30分間攪拌してブラック現像剤(A)を製造した。
【0044】
〈焼成後に有色であるイエロートナーを含有するイエロー現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記イエロー着色剤を用いて体積平均粒子径9.4μmのイエロートナーを製造し、そのイエロートナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてイエロー現像剤を製造した。
【0045】
〈焼成後に有色であるマゼンタトナーを含有するマゼンタ現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記マゼンタ着色剤を用いて体積平均粒子径9.6μmのマゼンタトナーを製造し、そのマゼンタトナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてマゼンタ現像剤を製造した。
【0046】
〈焼成後に有色であるシアントナーを含有するシアン現像剤の製造〉
上記ブラック現像剤(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記シアン着色剤を用いて体積平均粒子径9.5μmのシアントナーを製造し、そのシアントナーを用いた以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてシアン現像剤を製造した。
【0047】
〈トナー画像形成〉
つぎに、上記のようにして製造したブラック現像剤(A)、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤およびシアン現像剤のそれぞれ700gを電子写真カラー複写機(イマジオ5100、リコー社製)に装着し、支持体シート(SK120、日東紙工業社製:OKシリーズ)上にフルカラー画像を形成させてトナー画像を有する転写シート1を複数枚作成した。
【0048】
〈皮膜形成樹脂液の調合〉
山城インク商会のYR5062RTを皮膜形成樹脂液のベース液として、この液にメタクリル酸エチルエステル共重合体(Tg=50℃)、溶媒にソルベントナフサ(CAS No.64742−95−6)および、Si元素を有する化合物としは高分子タイプのシリコーングラフトアクリル樹脂(信越化学社製:X−22−8095)、低分子タイプとしてシリコン(東レダウコーニング社製:SF8418)の他、着色剤としてCI.SOLVENT YELLOW31,CI.SOLVENT BULE94をそれぞれ表1、表2に示す様に添加し、皮膜形成樹脂液1〜10を作成した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
〈焼付け用転写シートの作成〉
先に作成したフルカラー画像を有する転写シート1に予め作成し皮膜形成樹脂液をスクリーン印刷(70メッシュ使用)にて印刷することにより焼付け用転写シートを得ることができる。この他前述のフィルムソリューションスプレー(山城インク商会)を用い、樹脂液を噴霧することにより焼付け用転写シートを作成することも可能である。
【0052】
参考例1
カラー画像を有する転写シートに表2に記載の皮膜形成樹脂液8をスクリーン印刷し、室温無風状態で一昼夜樹脂液を乾燥させることで平滑性の優れた焼付け用転写シートが得られた。
このシートを水槽に入れ樹脂被膜に保持されたトナー画像を転写シートから剥離して、透明ガラス板にスライスして貼り付け裏面から観察したところ水、気泡の無い良好な状態で接着していた。
【0053】
比較例1
参考例1で用いた皮膜形成樹脂液8の代わりに皮膜形成樹脂液1を用いる以外は参考例1と同様の方法で、焼付け用転写シートを作成した。得られた焼付け用皮膜形成転写シートの平滑性は透明樹脂であるため確認することはできなかった。透明ガラス板に貼り付け裏面から観測したところ、画像部の処に水が残っていることが確認された。
【0054】
実施例1
参考例1で用いた皮膜形成樹脂液8の代わりに皮膜形成樹脂液9を用いる以外は参考例1と同様の方法で、焼付け用転写シートを作成した。得られた焼付け用転写シートは優れた平滑性を有していた。透明ガラス板に貼り付け裏面から観測したところ、いずれの場合も水、気泡の無い良好な状態で接着していた。
【0055】
実施例2
参考例1で用いた皮膜形成樹脂液8の代わりに皮膜形成樹脂液10を用いる以外は参考例1と同様の方法で、焼付け用転写シートを作成した。得られた焼付け用転写シートは優れた平滑性を有していた。透明ガラス板に貼り付け裏面から観測したところ、いずれの場合も水、気泡の無い良好な状態で接着していた。
【0056】
比較例2
比較例1で得られた焼付け用転写シートを参考例1と同様の方法で、ナルミボンチャイナ皿(鳴海製陶社製)に貼りつけ100度/1時間の昇温速度で800℃まで昇温した後、800℃で30分間保ち、自然冷却させ、皿上に絵柄を焼結させた。その結果画像上に円形状やピンホール状の白抜けが発生していた。
【0057】
参考例2、実施例3
参考例1、実施例2で得られた焼付け用転写シートを比較例2と同様の方法で処理したところ、ナルミボンチャイナ皿(鳴海製陶社製)に良好なフルカラー画像が形成されていた。
【0058】
比較例3
実施例1で得られた焼付け用転写シートを参考例2、実施例3と同様の方法で処理したところ、ナルミボンチャイナ皿(鳴海製陶社製)に良好なフルカラー画像が形成されていた。しかし、画像の縁に皮膜転写紙の跡が少し残っていた。
【0059】
参考例3、比較例4
カラー画像を有する転写シート1を5枚用意し、フィルムソリューションスプレーにて皮膜形成樹脂を噴霧後、室温にて30分〜150分放置した。その後、約50度の温風を1時間あてた後、一昼夜室温にて転写紙を室温中に放置した。これらの焼付け用転写シートをそれぞれ、スプレー皮膜シート1〜5とした。フィルムソリューションスプレーの代わりに先に調合した皮膜形成樹脂液1を用いる以外は同様の方法でスクリン皮膜シート1〜5を作成した。それぞれの方法で得られた焼付け用皮膜転写シートは、見かけ上凹凸のあるシートであった。
上述の転写シートそれぞれのほぼ中央部を切断し二分し、樹脂被膜の凹凸差をノギスにて2ヶ所測定し、二分した一方の転写シートを水槽に入れ、樹脂被膜に保持されたトナー画像を転写シートから剥離して、タイル(RS252/1001、INAX社製)側に樹脂皮膜が密着するようにスライスして貼付し、100度/1時間の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で10分間保ち、自然冷却させ、タイル上に絵柄を焼結させた。その結果を表3にまとめた。
【0060】
【表3】
表中○は良好、×は白抜け、ムラ発生を表わす。
スプレー法、スクリン印刷法いずれの場合も焼付け用転写シートに4mm以上の凹凸差がある場合は焼成後画像に白抜けやムラが発生していることが確認された。このときの皮膜形成樹脂液の粘度は1250mPa・s(25℃)であった。
【0061】
参考例4、実施例4,5
参考例3で用いた皮膜形成樹脂液1の代わりに皮膜形成樹脂液8、9、10を用いる以外は同様の方法で焼付け用転写シートを作成し、同様の焼成評価を行なったところ、凹凸差は全て4mm以下で焼成品も良好なフルカラー絵柄であった。このときの皮膜形成樹脂液の粘度は1250±50mPa・s(25℃)であった。
【0062】
実施例6
参考例3,4、実施例4,5で作成した焼付け用転写シートの樹脂皮膜厚をノギスにて測定した結果、凹凸を有する凹部分においての膜厚は全て10μm以上であり、タイルに貼り付ける際、樹脂皮膜が破れることはなかった。
【0063】
比較例5、6
カラー画像を有する転写シート1に、先に調合した皮膜形成樹脂液5を用いスクリーン印刷にて樹脂皮膜を形成させた転写紙を2枚作成した。このうちの一枚に関してはもう一度皮膜形成樹脂液3をスクリーン印刷した。このとき、いずれの場合も乾燥は室温にての自然乾燥48時間にて行なった。この時の膜圧はそれぞれ7μm、9μmであった。
これを上記と同様の方法でタイルに貼り付けたところ、膜が破れてしまった。
【0064】
実施例7
比較例5、6で用いた皮膜形成樹脂液5を用い、比較例5、6と同様の方法で3回スクリーン印刷を行ない焼付け用転写シートを作成した。この時の膜厚は11μmであった。これを上記と同様の方法でタイルに貼り付けた処膜破れは発生しなかった。このとき使用した皮膜形成樹脂液の粘度は70mPa・s(25℃)であった。
【0065】
比較例7
皮膜形成樹脂液4を用いる以外は実施例7と同様の評価を行なった結果、皮膜形成樹脂液が支持体シートの裏側にまで浸透し、この転写シートを水に浸してもトナー画像を保持した樹脂皮膜は分離しなかった。この時使用した皮膜形成樹脂液の粘度は68mPa・s(25℃)であった。
【0066】
参考例5
比較例1、2で用いた皮膜形成樹脂液1の代わりに皮膜形成樹脂液7を用いスクリーン印刷にて焼付け用転写シートを作成し、目視にて転写紙の平滑性の確認を行ない焼付け用転写シートの良品と不良品を選別して良品を焼成したところ、焼成品に欠陥はなかった。この樹脂液の石英1cmセルでの吸収ピークの吸光度は0.1であった。
【0067】
比較例8
皮膜形成樹脂液6を用い参考例5と同様の作業を行なった結果、焼成品の欠陥発生率は1割であった。この樹脂液の石英1cmセルでの吸収ピークの吸光度は0.9であった。
【0068】
実施例8
カラー画像を有する転写シート1に、先に調合した皮膜形成樹脂液3を用いスクリーン印刷にて樹脂皮膜を形成し、室温無風状態で一昼夜樹脂液を乾燥させることで平滑性の優れた焼付け用転写シートが得られた。
このシートを水槽に入れ皮膜形成樹脂に保持されたトナー画像を転写シートから剥離して、透明ガラス板にスライスして貼付け裏面から観察したところ水、気泡の無い良好な状態で接着していた。この皮膜形成樹脂液の粘度は10000mPa・s(25℃)であった。
【0069】
比較例9
実施例8で用いた皮膜樹脂液3の代わりに皮膜形成樹脂液2を用い、以下実施例8と同様の方法でカラー画像を有する転写シート1に皮膜形成樹脂を印刷使用としたところ、目詰まりが発生し印刷することができなかった。この皮膜形成樹脂液の粘度は10000mPa・s以上であった。
【0070】
また、トナー作成に使用したポリエステル樹脂と樹脂皮膜形成に使用したベース樹脂液中の樹脂および添加物1として用いたメタクリル酸エチルエステル共重合体のそれぞれの灰化温度を、真空理工社製示唆熱重量分析装置TGD−3000等を用い、TG−DTAモードで1.0mgを測定した。その結果、トナー作成に使用したポリエステル樹脂の灰化温度は340℃で、ベース樹脂およびメタクリル酸エチルエステル共重合体の灰化温度はそれぞれ280℃および290℃であった。
【0071】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の焼き付け用転写シートによれば、転写シート上のトナー画像を、陶磁器、ガラス、琺瑯、タイル、石などの耐熱性固体表面に焼き付けることにより、白ヌケや焼きムラのない鮮明な絵柄を耐熱性固体表面に焼結させることができるという優れた効果を奏する。
Claims (3)
- 支持体上に、焼成後に有色であるトナーからなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シートにおいて、樹脂皮膜がSi元素を有する化合物を含有し、かつ樹脂皮膜の灰化温度がトナーの灰化温度よりも低いことを特徴とする焼付け用転写シート。
- 前記樹脂皮膜の厚さが少なくとも10μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の焼付け用転写シート。
- 支持体上に、焼成後に有色であるトナーからなるトナー画像層を有する転写シートのトナー画像上にSi元素を有する化合物を含有する樹脂溶液を塗布して乾燥させることにより樹脂皮膜を形成させる、焼き付け用転写シートの製造法であって、該樹脂皮膜の灰化温度がトナーの灰化温度よりも低いことを特徴とする、焼付け用転写シートの製造方法。
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