JP2003094893A - 皮膜形成転写シート及び皮膜樹脂液 - Google Patents

皮膜形成転写シート及び皮膜樹脂液

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JP2003094893A
JP2003094893A JP2001290401A JP2001290401A JP2003094893A JP 2003094893 A JP2003094893 A JP 2003094893A JP 2001290401 A JP2001290401 A JP 2001290401A JP 2001290401 A JP2001290401 A JP 2001290401A JP 2003094893 A JP2003094893 A JP 2003094893A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性固体表面に焼き付けられた絵柄に白ヌ
ケや焼きムラを発生させることのない焼付け用転写シー
トを提供すること。 【解決手段】 支持体上に焼成後に有色であるトナーか
らなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シー
トにおいて、転写シート上の画像部面の凹凸差が4mm
以下であることを特徴とする焼付け用転写シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼成後に有色であ
るトナーにより静電潜像を現像して得られたトナー画像
を有する転写シートに関し、特に、乾式電子写真法など
によって、焼成後に有色であるトナーにより静電潜像を
現像して得られたトナー画像を、陶磁器、硝子、琺瑯、
タイル、石、等の耐熱性固体表面に転写して焼き付けす
るのに有用なトナー画像層上に皮膜を形成した焼付け用
転写シート、その製造方法及び該皮膜を形成するための
皮膜形成樹脂溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】窯業製品等の耐熱性固体表面に絵柄を形
成する方法としては、無機顔料および釉薬成分からなる
絵の具を用いて、筆などにより耐熱性固体表面上に絵柄
を直接手書きし、それを通常750〜1300℃で焼き
付ける方法が行なわれている。この方法によれば、焼き
付けにより、絵の具中の灰化する成分が灰化し、絵の具
中の釉薬成分が溶解し、ついで室温まで冷却される際に
無機顔料が釉薬成分により耐熱性固体表面上に固定化さ
れ、耐熱性固体表面上に手書きされた絵柄が形成され
る。この方法による場合には、同一の絵柄を有する複数
の窯業製品を得るために、簡単な絵柄においても熟練し
た作業員が必要になる。
【0003】そこで、同一の絵柄を有する多数の窯業製
品を作製する場合には、スクリーン印刷法により転写紙
上に絵柄を形成した後、転写紙から絵柄を剥離して窯業
製品表面に貼り付け、それを焼き付ける方法が一般に行
なわれている。この方法は、例えば、特開昭49−35
407号公報に開示されているように、基体上に水溶性
の糊層を有する転写紙上にスクリーン印刷法により無機
顔料等を含有するインクで画像を形成し、ついで、この
インク画像上にビニル系またはセルロース系の非水溶性
樹脂皮膜を形成した後、この転写紙を水に浸すことによ
り転写紙の糊層を溶解させてインク画像を保持した樹脂
皮膜を転写紙から剥離し、インク画像を保持した樹脂皮
膜を窯業製品の表面、例えば皿等の表面に貼り付け、そ
れを焼き付ける方法である。スクリーン印刷法により同
一絵柄のインク画像を有する多数の転写紙を作成し、そ
のインク画像を多数の窯業製品表面に貼り付け、それを
焼き付けることにより、同一絵柄を有する多数の窯業製
品を得ることができる。
【0004】しかしながら、スクリーン印刷法による場
合には、絵柄用のインク画像を形成するための版を作る
工程が複数あり、膨大な時間と労力が必要となり、即時
性に欠けるばかりでなく、少ロットで多品種の製品を作
製する場合には製品1個あたりの単価が高くなるという
難点がある。また、印刷の際には有機溶剤を使用するの
で、作業環境が悪いなどの不具合もある。
【0005】このようなスクリーン印刷法による問題を
解決する方法として、電子写真法を用いて転写紙上にト
ナー(有機重合体、無機顔料およびガラス成分からなる
複合粉体、結着樹脂および窯業用顔料を含有するトナー
など)による絵柄用の画像を形成し、そのトナー画像を
保持した樹脂皮膜を窯業製品の表面に貼り付け、それを
焼き付ける方法が、例えば、特開平4−135798号
公報、特開平7−199540号公報、特開平7−21
4890号公報、特開平7−228037号公報、特開
平7−300382号公報、特開平8−104050号
公報、特開平8−11496号公報、特開平8−119
668号公報などに開示されている。この方法によれ
ば、絵柄用のトナー画像を容易に形成することができ、
スクリーン印刷法に比べ工程が飛躍的に簡易化され、即
時性に優れていると共に少ロット多品種の製品を容易に
作製することができる。
【0006】しかしながら、電子写真法によって転写紙
上に形成された絵柄用のトナー画像を窯業製品等の耐熱
性固体表面に貼り付け、それを焼き付けると、耐熱性固
体表面に焼き付けられた絵柄に白ヌケや焼きムラが発生
する場合があるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、この
ような問題点を解決し、耐熱性固体表面に焼き付けられ
た絵柄に白ヌケや焼きムラを発生させることのない焼付
け用転写シートを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明の
(1)「支持体上に焼成後に有色であるトナーからなる
トナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シートにお
いて、転写シート上の画像部面の凹凸差が4mm以下で
あることを特徴とする焼付け用転写シート」、(2)
「支持体上に焼成後に有色であるトナーからなるトナー
画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シートにおいて、
樹脂皮膜がトナー画像を有する面のみに形成されている
ことを特徴とする焼付け用転写シート」、(3)「支持
体上に焼成後に有色であるトナーからなるトナー画像と
樹脂皮膜とを積層してなる転写シートにおいて、樹脂皮
膜がSi元素を有する化合物を含有することを特徴とす
る焼付け用転写シート」、(4)「支持体上に焼成後に
有色であるトナーからなるトナー画像と樹脂皮膜とを積
層してなる転写シートにおいて、樹脂皮膜が有色である
ことを特徴とする焼付け用転写シート」、(5)「前記
樹脂皮膜の厚さが少なくとも10μm以上であることを
特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに
記載の焼付け用転写シート」、(6)「前記樹脂皮膜の
灰化温度がトナー中の樹脂よりも低いことを特徴とする
前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の焼付
け用転写シート」によって解決される。
【0009】また、上記課題は、本発明の(7)「支持
体上に焼成後に有色であるトナーからなるトナー画像層
を有する転写シートのトナー画像上にSi元素を有する
化合物を含有する樹脂溶液を塗布して乾燥させることに
より樹脂皮膜を形成することを特徴とする焼付け用転写
シートの製造方法」によって解決される。
【0010】また、上記課題は、本発明の(8)「樹脂
溶液中にSi元素を有する化合物を含有することを特徴
とする焼付け用転写シートの皮膜形成樹脂液」、(9)
「粘度が70〜10000mPa・sであることを特徴
とする前記第(8)項に記載の皮膜形成樹脂液」、(1
0)「樹脂溶液中に、焼成後に灰化する有色物を含有す
ることを特徴とする焼付け用転写シートの皮膜形成樹脂
液」、(11)「皮膜形成樹脂液の吸収スペクトルが、
360〜830nmに吸収ピークを有し、石英1cmセ
ルにおける該吸収ピークの吸光度が0.1以上であるこ
とを特徴とする前記第(10)項に記載の皮膜形成樹脂
液」、(12)「Si元素を有する化合物を含有する前
記第(10)項又は第(11)項に記載の皮膜形成樹脂
液」によって解決される。
【0011】以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
電子写真法によって転写シート上に形成された絵柄用の
トナー画像を、その上に形成された樹脂皮膜と共に剥離
して窯業製品等の耐熱性固体表面に貼り付け、それの焼
き付けを行なった場合、焼き付け温度が250℃〜45
0℃のあたりで部分的に突沸現象が発生し、耐熱性固体
表面に焼き付けられた絵柄に白ヌケや焼きムラが発生す
ることが観測された。その原因について検討した結果、
樹脂皮膜の平滑性が耐熱性固体表面に焼き付けられた絵
柄の白ヌケや焼きムラ発生に関与していることを見い出
した。
【0012】皮膜形成樹脂の灰化に伴う焼きムラを抑制
するためには、トナー画像面側を耐熱性固体表面に密着
させて貼り付ける場合、樹脂皮膜の灰化温度はトナー中
の熱可塑性樹脂の灰化温度よりも低いことが必要条件と
なるが、このときの皮膜形成樹脂にはある程度の平滑が
必要となる。トナー中の熱可塑性樹脂および樹脂皮膜は
昇温により固体から液状になった後灰化するが、このと
き、トナー画像上の樹脂皮膜が厚い部分では、薄い部分
が灰化した後にも、熱可塑状態のままトナー画像上に残
っている。この様な部分がトナー画像上に存在する境界
部分の処では、トナー中の熱可塑性樹脂の方が樹脂皮膜
よりも早く灰化する現象、即ち、突沸現象が発生するた
め、白抜けや、焼きムラの発生原因となる。したがっ
て、焼成時に上述の様な境界部分を抑制するため、樹脂
皮膜にはある程度の平滑性が要求される。
【0013】本発明のトナー画像を有する支持体は、表
面に水溶性層を有する転写紙の水溶性層上にトナー画像
を形成することが好ましい。この水溶性層を形成する成
分としては、水溶性の物質であればよく、例えば、デキ
ストリンやポリビニルアルコールなどを用いることがで
きる。画像形成方法は、例えば、通常の電子写真方式の
カラー複写機やプリンターなどにより、電子写真感光体
上に形成された静電潜像を焼成後に有色であるトナーに
より現像し、得られたトナー画像をこの支持体に転写
し、定着ローラなどにより定着した後、樹脂皮膜を形成
させることによって皮膜形成転写シートを得ることがで
きる。
【0014】本発明において用いる焼成後に有色である
トナーとは、450℃以上に加熱したときに灰化しない
着色剤を含有するトナーである。本発明において用いる
焼成後に有色であるトナーは、例えば、周期律表の1族
のCu、Ag、Au、2族のCd、4族のTi、5族の
V、Sb、6族のSe、Cr、Mo、W、U、7族のM
n、8族のFe、Co、Ni、Ir、Pt等の元素の酸
化物などを、単独あるいは配合(混合)して使用した窯
業用顔料などの着色剤および熱可塑性樹脂を含有するも
のである。従来の窯業用顔料は一般に顔料自身の吸光係
数が低くく、着色剤としてこれら窯業用顔料を含有する
トナーを用いて画像濃度の高いフルカラー画像を形成さ
せるには、トナー付着量を多くすることが必要である。
【0015】本発明において用いる焼成後に有色である
トナーにおける着色剤としては、特に、上記金属あるい
はその酸化物を複数配合(混合)し、これを1000〜
1200℃に加熱して溶融し、複数金属の合金化処理を
施した合金顔料が好ましい。この合金顔料は吸光係数が
高く、着色剤としてこの合金顔料を含有するトナーを用
いることにより、少ないトナー付着量で画像濃度の高い
フルカラー画像を形成させることができる。複数金属の
合金化により着色度が高くなる理由としては、単体の金
属のときには縮重していた金属元素のd軌道が複合金属
の影響でスプリットすることにより、電子遷移可能な軌
道数が増加し、見かけ上の振動子強度が増加するためで
あると推定れる。
【0016】トナーに用いる熱可塑性樹脂としては、従
来公知のトナーに使用されている結着樹脂成分を用いる
ことができ、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン
系、ポリエチレン系、ポリアミド系、エポキシ系、エポ
キシポリオール系、テルペン系などの樹脂が挙げられ、
これらを単独あるいは混合して使用することができる。
具体的には、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル
酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合
体、スチレン−n−ブチル共重合体などを挙げることが
できる。特に、熱可塑性樹脂の灰化温度は280〜36
0℃のものが好ましい。また、トナー中の熱可塑性樹脂
の含有量としては、10〜40wt%が好ましい。
【0017】さらに、本発明において用いる焼成後に有
色であるトナーには、着色剤および熱可塑性樹脂と共に
釉薬フリットを用いることが好ましい。トナー中に釉薬
フリットを含有させる方法としては、例えば、着色剤と
釉薬フリットとの混合物を用いる方法、着色剤と釉薬フ
リットとの混合物を加熱溶融した後冷却し、それを粉砕
して着色剤として用いる方法などがある。特に、複数金
属の合金化処理した合金顔料と釉薬フリットとを所定量
で混合し、それを例えば650〜800℃で加熱溶融し
た後冷却し、それを粉砕し着色剤として用いることが好
ましい。
【0018】この様な着色剤を含有するトナーを用いる
ことにより、少ないトナー付着量で画像濃度が高く鮮明
なフルカラー画像を転写シート上に形成することがで
き、そのトナー画像を窯業製品などの耐熱固体表面上に
転写し、それを焼き付けることにより、耐熱性固体表面
上に画像濃度が高く鮮明な焼き付け絵柄を形成すること
ができる。
【0019】トナー中における釉薬フリットの含有量と
しては、着色剤と釉薬フリットとの重量割合で2/8〜
6/4が好ましく、特に3/7〜5/5が好ましい。2
/8よりも釉薬フリット成分を増やすとトナーの着色度
が低くなり、6/4よりも釉薬フリットを減らすとトナ
ー画像を耐熱性固体表面上に焼き付けた際に、焼き付け
絵柄が耐熱性固体表面から脱離する場合が生じるように
なる。
【0020】釉薬フリットは、耐熱固体表面上に転写さ
れたトナー画像を焼き付ける際に、耐熱性固体表面にト
ナー中の着色剤を焼結する役割を果たすものであり、焼
き付け時に溶解あるいは半溶解状態となり、室温に冷却
されると完全に固化し、着色剤を耐熱固体表面上に焼結
させるものである。
【0021】釉薬フリットとしては、水酸化リチウム等
のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リ
チウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、
アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物、塩化アルミ
ニウム、ほう酸、およびアルカリ金属やアルカリ土類金
属の塩化物のほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金
属の塩化物のメタほう酸塩、アルカリ金属やアルカリ土
類金属のりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の
ピロりん酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の珪酸
塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のメタ珪酸塩、珪
酸ジルコニウム、骨灰、棚砂、メタバナジン酸アンモニ
ウム、酸化タングステンや五酸化バナジウム、酸化ス
ズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化モリブデン
等の金属酸化物、フッ化カルシウムやフッ化アルミニウ
ム等の金属フッ化物、ガラスレットなどを基本材料とし
て、これらの単独または複数混合したものが挙げられ
る。
【0022】釉薬フリットの結合を強める方法として、
石灰長石やカリ長石、ソーダ長石、ベタライト(リチウ
ム長石)等の長石類、カオリン、珪石、アルミナ、シリ
カ、石英、酸化チタン、酸化鉛、シャモット、土灰類、
石灰石、マグネサイト、タルク、ドロマイト等の天然鉱
物や炭酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸ストロンチウムなど
を基本材料として、これら予め混合した後溶解させ、そ
れをトナーに含有させてもよい。
【0023】さらに、本発明において用いる焼成後に有
色であるトナーには、必要に応じて帯電制御剤を含有さ
せてもよい。この様な帯電制御剤としては従来公知のも
のが使用可能であり、例えばニグロシン系染料、四級ア
ンモニウム塩、Cr含金染料、Zn含金染料、Fe含金
染料、モリブデン酸キレート染料、フッ素変成4級アン
モニウム塩等が帯電極性に応じて適宜選択して用いられ
る。
【0024】帯電制御剤の使用量は、熱可塑性樹脂の種
類、必要に応じて使用される添加剤の有無、およびトナ
ー中の分散方法を含めたトナー製造方法により異なる
が、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜10重
量部の範囲が適当であり、特に2〜6重量部が好まし
い。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し、
トナー飛散、地肌汚れ等の不具合が発生する。10重量
部を越える場合には、キャリアとの静電的付着力が強く
なるため現像剤の流動性が低下したり、現像量が少なく
なる等の不具合の原因となる。この他、トナーの流動性
を向上させるために必要に応じて、疎水性シリカ、ステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化チタン
などの従来公知の添加剤を添加してもよい。
【0025】本発明において用いる焼成後に有色である
トナーは、トナー単独の現像剤として静電潜像を顕像化
する、いわゆる一成分現像剤として用いることができ、
またトナーとキャリアを混合してなる二成分現像剤とし
て用いることができる。二成分現像剤として用いる場合
のキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ
など従来公知キャリアを用いることができ、キャリアは
ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコン
樹脂等で被覆されたものでもよい。トナーとキャリアの
混合割合は、キャリア100重量部に対してトナー1〜
30重量部程度が適当であり、8〜16重量部が好まし
い。
【0026】本発明の焼付け用転写シートを用いて陶磁
器製品などの耐熱性固体表面に絵付けするには、例え
ば、水溶性層を有する支持体の水溶性層上に上記トナー
画像を有する転写シートを用い、そのトナー画像上にア
クリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の溶液を塗布して樹脂
皮膜を形成した後、この転写シートを水に浸すことによ
り転写シートの水溶性層を溶解させてトナー画像を保持
した樹脂皮膜を転写シートから剥離し、トナー画像を保
持した樹脂皮膜を耐熱性固体表面に貼り付け、それを焼
き付ければよい。この樹脂皮膜の灰化温度はトナー中の
熱可塑性樹脂より低い方が好ましい。
【0027】耐熱性固体表面への焼き付け方法は、耐熱
性固体の表面近傍に焼き付けるか、表面からより深く焼
き付けるかによって適時選定されるが、いずれの場合も
電気炉あるいはガス炉を用いて行なうことができる。
【0028】耐熱性固体表面の表面近傍に焼き付けを行
なう場合は、例えば室温から200℃/1時間程度の昇
温条件で徐々に温度を上げ、750℃〜850℃で約3
0分〜1時間この温度に保ち、その後室温まで温度を下
げて電気炉あるいはガス炉から取り出すことにより行な
われ、これによりトナー中の着色剤が釉薬フリットで耐
熱性固体表面に焼結され絵付けされた陶磁器製品などの
耐熱性固体製品が得られる。
【0029】また、耐熱性固体表面の奥深くに焼き付け
を行ないたい場合には、室温から200℃/1時間程度
の昇温条件で1100〜1300℃まで徐々に温度を上
げ、その後室温まで温度を下げる方法が採用される。こ
の時、昇温開始温度は室温に限定されるものではない
が、昇温時および冷却時において急激な温度変化を与え
ると、耐熱性固体によっては、耐熱性固体の厚さや材質
により若干の差はあるものの、割れ、形状変化が発生す
る場合があるので、焼き付けを行なう場合の温度変化は
50℃/1時間〜500℃/1時間が好ましい。
【0030】50℃/1時間より昇温時あるいは冷却時
の温度変化を遅くすると焼き付け時間が遅くなり効率が
悪くなる。500℃/1時間より昇温時あるいは冷却時
の温度変化を早くすると焼きムラの発生や耐熱性固体の
形状変化が発生する場合がある。昇温時あるいは冷却時
の温度変化の条件としては、100℃/1時間〜300
℃/1時間が特に好ましい。
【0031】本発明における焼付け用転写シートの皮膜
形成樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、メタク
リル酸エステル系樹脂、これらの共重合体樹脂、セルロ
ーズ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂や、そ
れら混合物樹脂からなる。この樹脂の液としては、上記
樹脂をソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンの他、エーテル類や工業用ガソリンに溶解して調合さ
れる。市販品としては、山城インク商会のYR5062
RTなどがあり、支持体サイズに合わせスクリーン印刷
にてトナー画像上にこれら樹脂の皮膜を形成することが
できる。この他、同社のフィルムソリューションスプレ
ーを用いる場合は、スクリーン版を必要とせず、スプレ
ー管から直接トナー画像上に皮膜形成樹脂をスプレー噴
霧して形成することができる。
【0032】このとき、トナー画像上の樹脂被膜の凹凸
差は、4mm以下であることが重要である。樹脂皮膜の
凹凸差が4mmより大きくなると、前述の如く、焼成時
に突沸現象が発生し、白抜けや、チジレが焼成絵柄に発
生することがある。樹脂被膜の凹凸差を4mm以下にす
るための手段としては、例えば、被膜形成樹脂液の粘度
調整、コーティング法の選択、溶剤蒸発速度の調整、ド
クターブレードによる平滑化、樹脂液塗布後のエアーナ
イフによる平滑化、等公知の手段が挙げられる。また、
この樹脂皮膜の膜厚に関しては、10〜3000μmが
適正な膜厚である。10μm以下になると該転写紙を窯
業製品等の耐熱性固体表面に貼り付ける際、破れたり伸
びたりすることがあり、好ましくない。逆に3000μ
m以上になると、膜の可塑性が損なわれ、曲面への張り
付けが困難となり好ましくない。この様な平滑性、膜厚
を有するための好ましい樹脂液の粘度としては70〜1
0000mPa・sである。70mPa・s以下の場合
樹脂液の粘性が低すぎて、トナー面の裏に樹脂液が回り
込み、転写シートの分離に支障をきたすことがある。一
方、10000mPa・sの場合は粘度が高いため、ス
クリーンメッシュの目図まりを発生させ、平滑性の良い
樹脂皮膜層を得ることが困難になる。
【0033】樹脂溶液中に焼成後に灰化する着色物に関
しては、基本構造が有機物質からなる顔料ならび染料が
用いられる。樹脂溶液中への溶解性を考慮すると染料が
好ましい。この染料としては、特に制限はないが、カチ
オン染料、アニオン染料などの水溶性染料は、後に説明
する焼付け用転写シートの耐熱固体表面上への水転写工
程において、染料が水中に解け出し、作業性を劣化させ
るため、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好
ましく、特に、油溶性染料が好ましい。この様な染料と
しては、例えば、以下のような染料が挙げられる。
【0034】 C.I.SOLVENT YELLOW(6,6,17,31,35,100,102,103,105) C.I.SOLVENT orange(2,7,13,14,66) C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,14
9,150,151,157,158) C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37) C.I.SOLVENT BULE(22,63,78,83,84,85,86,91,94,95,10
4) C.I.SOLVENT GREEN(24,25) C.I.SOLVENT BROWN(3,9)など。
【0035】市販品では例えば保土ヶ谷化学工業社製の
愛染SOT染料Yellow-1.3,4、orange-1.2,3、Scarlet-
1、Red-1.2,3、Brown-2、Blue-2、Violet-1、Green-1.
2,3やBASF社製のSudan染料、Yellow-14.0,150、Ora
nge-220、Red-290.380、Blue-670や三菱化成社製のダイ
シアン、Yellow-3G,F,H2G,HC,HL、orange-HSBlue-J,G,
N,K,P,H3G,4G、やオリエント化学社製のオイルカラー、
住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッ
ドFB,3B、イエローFL7G,GC、日本化薬社製のカヤロン、
カヤセットRed-Bなどを使用することができる。これら
は、組み合わせで適時選択することもできる。これら着
色剤を皮膜形成樹脂液に含有させることにより、目視に
て樹脂被膜の平滑性、膜厚を確認することが可能にな
る。
【0036】本発明の焼付け用転写シートを得る行程に
おいて、焼成後に有色であるトナーを支持体上に定着さ
せるとき、熱ローラ方式の定着ローラを使用し、該ロー
ラにシリコンオイルを塗布した熱圧定着機構を採用した
場合、トナー上のシリコンオイルの影響で、皮膜形成樹
脂液が部分的にハジかれ、樹脂被膜が斑に形成される場
合がある。このような斑の転写シートの場合、耐熱性固
体表面に貼り付けた際の水抜きが完全に行なわれず、円
形状の白抜けが焼成品に発生しやすくなる。この場合の
好ましい皮膜形成樹脂液としては、該皮膜形成樹脂液中
にSi元素を有する化合物を添加しておくことにより斑
の発生しない焼付け用転写シートを得ることができる。
【0037】Si元素を有する化合物としては、変性シ
リコーンオイル、シリコーングラフトアクリル(メタク
ル)樹脂等の高分子化合物の他、東レダウコーニング社
製SFシリーズ等の低分子シリコン化合物があり、これ
らを皮膜形成樹脂液に混合して使用することができる。
このときの適正な混合量は高分子、低分子タイプとも1
wt%以下が好ましい。1wt%より多く添加すると耐
熱固体表面上にシリコーンの貼り跡が残る場合がある。
シリコーンの貼り跡に関しては、耐熱固体表面上の釉薬
フリットとの相性により決定される。即ち、ボンチャイ
ナやホーローの様な柔らかい素地には融点の低い釉薬フ
リットが施されているため、シリコーンの跡残りが出や
すくなる。
【0038】焼付け用転写シートの樹脂被膜を形成する
ための皮膜形成樹脂液は、その吸収スペクトルが、36
0〜830nmに吸収ピークを有し、石英1cmセルに
おける該吸収ピークの吸光度が0.1以上であることが
望ましい。吸光度0.1未満であると焼成後の図柄の不
良品の発生が多くなる。本発明の焼付け用皮膜形成転写
シートの焼成絵付けに相応しい素地としては焼成温度に
適した素地の選定をすることが望まれる。望ましい焼成
絵付け用基材の絵付け用基材としては、絵付け面の色差
をJIS Z8729記載の表色L*,a*,b*で測
定することにより予め判断することが可能である。同法
による焼成前後の色差ΔEが3以下であると前述のシリ
コーン跡残りが殆どない他、仕上げりのカラー画像が素
地の変色に影響されないため好ましい。
【0039】本発明の灰化温度の測定は示差熱重量測定
により測定できる。測定には熱分析装置DSC3200
(マック・サイエンス社製)や真空理工社製示唆熱重量
分析装置TGD−3000等を用い、TG−DTAモー
ドで測定することができる。皮膜形成樹脂液の粘性測定
には(株)トキメック社製TV−30型粘度計コーンプ
レートタイプを使用し、測定することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。 〈トナー現像剤の作成〉まず、下記のようにして製造し
た釉薬フリットを用い、各色着色剤を製造し、それぞれ
の各色着色剤を用いて、下記のようにして焼成後に有色
であるトナーを含有する現像剤を製造した。 〈釉薬フリットの製造〉Al2O3(80g)、SiO
2(370g)、Na2O(50g)及びPbO(50
0g)を配合し、スタンプミルで粉砕したのち、ヘンシ
ェルミキサーで混合し、それを1200℃で焼成し、粉
砕して釉薬フリットを製造した。 〈ブラック着色剤の製造〉Cr2O3(110g)、M
nO(270g)、Fe2O3(112g)およびCo
2O3(508g)を配合し、スタンプミルで粉砕した
のち、ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃
で焼成して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット
500gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃
で焼成し、粉砕して合金顔料を含有するブラック着色剤
(A)を製造した。 〈イエロー着色剤の製造〉CuO(10g)、ZnO
(190g)及びSb2O3(800g)を配合しスタ
ンプミルで粉砕したのち、ヘンシェルミキサーで混合
し、それを1100℃で焼成して粉砕した。その300
gと上記釉薬フリット500gをヘンシェルミキサーで
混合した後、750℃で焼成し、粉砕して合金顔料を含
有するイエロー着色剤を製造した。 〈マゼンタ着色剤の製造〉Fe2O3(160g)、N
iO(40g)、CuO(40g)およびAu2O(7
60g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、ヘンシ
ェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成して粉
砕した。その300gと上記釉薬フリット500gをヘ
ンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成し、粉
砕して合金顔料を含有するマゼンタ着色剤を製造した。 〈シアン着色剤の製造〉Cr2O3(170g)、Fe
2O3(10g)、Co2O3(690g)およびZn
O(130g)を配合しスタンプミルで粉砕したのち、
ヘンシェルミキサーで混合し、それを1100℃で焼成
して粉砕した。その300gと上記釉薬フリット500
gをヘンシェルミキサーで混合した後、750℃で焼成
し、粉砕して合金顔料を含有するシアン着色剤を製造し
た。
【0041】上記の着色剤を用いて、下記のようにして
焼成後に有色であるトナーを含有する現像剤を製造し
た。 〈焼成後に有色であるブラックトナーを含有するブラッ
ク現像剤(A)の製造〉ポリエステル樹脂(Tg=60
℃)100重量部とサリチル酸亜鉛誘導体(ボントロン
E84、オリエント化学社製)4重量部および前記ブラ
ック着色剤(A)230重量部をミキサーで混合したの
ち、2本ロールで溶融混練した。混練物を圧延冷却した
後、粉砕分級を行ない、体積平均粒子径9.5μmのブ
ラックトナー(A)を製造した。さらに、疎水性シリカ
(R972、日本アエロジェル社製)をブラックトナー
(A)に0.5wt%添加し、ミキサーで攪拌した。
【0042】一方、シリコン樹脂溶液(KR50、信越
化学社製)100重量部、カーボンブラック(BP20
00、キャボット社製)3重量部およびトルエン100
重量部をホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶
液を調製し、この被覆層形成液および平均粒子径70μ
mの球状フェライトキャリア1000重量部を用い、流
動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に
被覆層を形成したキャリアを製造した。
【0043】次に、上記トナー90gおよびキャリア9
10gをボールミルに入れ30分間攪拌してブラック現
像剤(A)を製造した。
【0044】〈焼成後に有色であるイエロートナーを含
有するイエロー現像剤の製造〉上記ブラック現像剤
(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに
前記イエロー着色剤を用いて体積平均粒子径9.4μm
のイエロートナーを製造し、そのイエロートナーを用い
た以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にし
てイエロー現像剤を製造した。
【0045】〈焼成後に有色であるマゼンタトナーを含
有するマゼンタ現像剤の製造〉上記ブラック現像剤
(A)の製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに
前記マゼンタ着色剤を用いて体積平均粒子径9.6μm
のマゼンタトナーを製造し、そのマゼンタトナーを用い
た以外は、上記ブラック現像剤(A)の製造と同様にし
てマゼンタ現像剤を製造した。
【0046】〈焼成後に有色であるシアントナーを含有
するシアン現像剤の製造〉上記ブラック現像剤(A)の
製造におけるブラック着色剤(A)の代わりに前記シア
ン着色剤を用いて体積平均粒子径9.5μmのシアント
ナーを製造し、そのシアントナーを用いた以外は、上記
ブラック現像剤(A)の製造と同様にしてシアン現像剤
を製造した。
【0047】〈トナー画像形成〉つぎに、上記のように
して製造したブラック現像剤(A)、イエロー現像剤、
マゼンタ現像剤およびシアン現像剤のそれぞれ700g
を電子写真カラー複写機(イマジオ5100、リコー社
製)に装着し、支持体シート(SK120、日東紙工業
社製:OKシリーズ)上にフルカラー画像を形成させて
トナー画像を有する転写シート1を複数枚作成した。
【0048】〈皮膜形成樹脂液の調合〉山城インク商会
のYR5062RTを皮膜形成樹脂液のベース液とし
て、この液にメタクリル酸エチルエステル共重合体(T
g=50℃)、溶媒にソルベントナフサ(CAS N
o.64742−95−6)および、Si元素を有する
化合物としは高分子タイプのシリコーングラフトアクリ
ル樹脂(信越化学社製:X−22−8095)、低分子
タイプとしてシリコン(東レダウコーニング社製:SF
8418)の他、着色剤としてCI.SOLVENT
YELLOW31,CI.SOLVENT BULE9
4をそれぞれ表1、表2に示す様に添加し、皮膜形成樹
脂液1〜10を作成した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】〈焼付け用転写シートの作成〉先に作成し
たフルカラー画像を有する転写シート1に予め作成し皮
膜形成樹脂液をスクリーン印刷(70メッシュ使用)に
て印刷することにより焼付け用転写シートを得ることが
できる。この他前述のフィルムソリューションスプレー
(山城インク商会)を用い、樹脂液を噴霧することによ
り焼付け用転写シートを作成することも可能である。
【0052】実施例1 カラー画像を有する転写シートに表2に記載の皮膜形成
樹脂液8をスクリーン印刷し、室温無風状態で一昼夜樹
脂液を乾燥させることで平滑性の優れた焼付け用転写シ
ートが得られた。このシートを水槽に入れ樹脂被膜に保
持されたトナー画像を転写シートから剥離して、透明ガ
ラス板にスライスして貼り付け裏面から観察したところ
水、気泡の無い良好な状態で接着していた。
【0053】比較例1 実施例1で用いた皮膜形成樹脂液8の代わりに皮膜形成
樹脂液1を用いる以外は実施例1と同様の方法で、焼付
け用転写シートを作成した。得られた焼付け用皮膜形成
転写シートの平滑性は透明樹脂であるため確認すること
はできなかった。透明ガラス板に貼り付け裏面から観測
したところ、画像部の処に水が残っていることが確認さ
れた。
【0054】実施例2 実施例1で用いた皮膜形成樹脂液8の代わりに皮膜形成
樹脂液9を用いる以外は実施例1と同様の方法で、焼付
け用転写シートを作成した。得られた焼付け用転写シー
トは優れた平滑性を有していた。透明ガラス板に貼り付
け裏面から観測したところ、いずれの場合も水、気泡の
無い良好な状態で接着していた。
【0055】実施例3 実施例1で用いた皮膜形成樹脂液8の代わりに皮膜形成
樹脂液10を用いる以外は実施例1と同様の方法で、焼
付け用転写シートを作成した。得られた焼付け用転写シ
ートは優れた平滑性を有していた。透明ガラス板に貼り
付け裏面から観測したところ、いずれの場合も水、気泡
の無い良好な状態で接着していた。
【0056】比較例2 比較例1で得られた焼付け用転写シートを実施例1と同
様の方法で、ナルミボンチャイナ皿(鳴海製陶社製)に
貼りつけ100度/1時間の昇温速度で800℃まで昇
温した後、800℃で30分間保ち、自然冷却させ、皿
上に絵柄を焼結させた。その結果画像上に円形状やピン
ホール状の白抜けが発生していた。
【0057】実施例4、5 実施例1、3で得られた焼付け用転写シートを比較例2
と同様の方法で処理したところ、ナルミボンチャイナ皿
(鳴海製陶社製)に良好なフルカラー画像が形成されて
いた。
【0058】比較例3 実施例2で得られた焼付け用転写シートを実施例4、5
と同様の方法で処理したところ、ナルミボンチャイナ皿
(鳴海製陶社製)に良好なフルカラー画像が形成されて
いた。しかし、画像の縁に皮膜転写紙の跡が少し残って
いた。
【0059】実施例6、比較例4 カラー画像を有する転写シート1を5枚用意し、フィル
ムソリューションスプレーにて皮膜形成樹脂を噴霧後、
室温にて30分〜150分放置した。その後、約50度
の温風を1時間あてた後、一昼夜室温にて転写紙を室温
中に放置した。これらの焼付け用転写シートをそれぞ
れ、スプレー皮膜シート1〜5とした。フィルムソリュ
ーションスプレーの代わりに先に調合した皮膜形成樹脂
液1を用いる以外は同様の方法でスクリン皮膜シート1
〜5を作成した。それぞれの方法で得られた焼付け用皮
膜転写シートは、見かけ上凹凸のあるシートであった。
上述の転写シートそれぞれのほぼ中央部を切断し二分
し、樹脂被膜の凹凸差をノギスにて2ヶ所測定し、二分
した一方の転写シートを水槽に入れ、樹脂被膜に保持さ
れたトナー画像を転写シートから剥離して、タイル(R
S252/1001、INAX社製)側に樹脂皮膜が密
着するようにスライスして貼付し、100度/1時間の
昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で10分
間保ち、自然冷却させ、タイル上に絵柄を焼結させた。
その結果を表3にまとめた。
【0060】
【表3】 表中○は良好、×は白抜け、ムラ発生を表わす。 スプレー法、スクリン印刷法いずれの場合も焼付け用転
写シートに4mm以上の凹凸差がある場合は焼成後画像
に白抜けやムラが発生していることが確認された。この
ときの皮膜形成樹脂液の粘度は1250mPa・s(2
5℃)であった。
【0061】実施例7〜9 実施例6で用いた皮膜形成樹脂液1の代わりに皮膜形成
樹脂液8、9、10を用いる以外は同様の方法で焼付け
用転写シートを作成し、同様の焼成評価を行なったとこ
ろ、凹凸差は全て4mm以下で焼成品も良好なフルカラ
ー絵柄であった。このときの皮膜形成樹脂液の粘度は1
250±50mPa・s(25℃)であった。
【0062】実施例10 実施例6〜9で作成した焼付け用転写シートの樹脂皮膜
厚をノギスにて測定した結果、凹凸を有する凹部分にお
いての膜厚は全て10μm以上であり、タイルに貼り付
ける際、樹脂皮膜が破れることはなかった。
【0063】比較例5、6 カラー画像を有する転写シート1に、先に調合した皮膜
形成樹脂液5を用いスクリーン印刷にて樹脂皮膜を形成
させた転写紙を2枚作成した。このうちの一枚に関して
はもう一度皮膜形成樹脂液3をスクリーン印刷した。こ
のとき、いずれの場合も乾燥は室温にての自然乾燥48
時間にて行なった。この時の膜圧はそれぞれ7μm、9
μmであった。これを上記と同様の方法でタイルに貼り
付けたところ、膜が破れてしまった。
【0064】実施例11 比較例5、6で用いた皮膜形成樹脂液5を用い、比較例
5、6と同様の方法で3回スクリーン印刷を行ない焼付
け用転写シートを作成した。この時の膜厚は11μmで
あった。これを上記と同様の方法でタイルに貼り付けた
処膜破れは発生しなかった。このとき使用した皮膜形成
樹脂液の粘度は70mPa・s(25℃)であった。
【0065】比較例7 皮膜形成樹脂液4を用いる以外は実施例11と同様の評
価を行なった結果、皮膜形成樹脂液が支持体シートの裏
側にまで浸透し、この転写シートを水に浸してもトナー
画像を保持した樹脂皮膜は分離しなかった。この時使用
した皮膜形成樹脂液の粘度は68mPa・s(25℃)
であった。
【0066】実施例12 比較例1、2で用いた皮膜形成樹脂液1の代わりに皮膜
形成樹脂液7を用いスクリーン印刷にて焼付け用転写シ
ートを作成し、目視にて転写紙の平滑性の確認を行ない
焼付け用転写シートの良品と不良品を選別して良品を焼
成したところ、焼成品に欠陥はなかった。この樹脂液の
石英1cmセルでの吸収ピークの吸光度は0.1であっ
た。
【0067】比較例8 皮膜形成樹脂液6を用い実施例12と同様の作業を行な
った結果、焼成品の欠陥発生率は1割であった。この樹
脂液の石英1cmセルでの吸収ピークの吸光度は0.9
であった。
【0068】実施例13 カラー画像を有する転写シート1に、先に調合した皮膜
形成樹脂液3を用いスクリーン印刷にて樹脂皮膜を形成
し、室温無風状態で一昼夜樹脂液を乾燥させることで平
滑性の優れた焼付け用転写シートが得られた。このシー
トを水槽に入れ皮膜形成樹脂に保持されたトナー画像を
転写シートから剥離して、透明ガラス板にスライスして
貼付け裏面から観察したところ水、気泡の無い良好な状
態で接着していた。この皮膜形成樹脂液の粘度は100
00mPa・s(25℃)であった。
【0069】比較例9 実施例13で用いた皮膜樹脂液3の代わりに皮膜形成樹
脂液2を用い、以下実施例13と同様の方法でカラー画
像を有する転写シート1に皮膜形成樹脂を印刷使用とし
たところ、目詰まりが発生し印刷することができなかっ
た。この皮膜形成樹脂液の粘度は10000mPa・s
以上であった。
【0070】また、トナー作成に使用したポリエステル
樹脂と樹脂皮膜形成に使用したベース樹脂液中の樹脂お
よび添加物1として用いたメタクリル酸エチルエステル
共重合体のそれぞれの灰化温度を、真空理工社製示唆熱
重量分析装置TGD−3000等を用い、TG−DTA
モードで1.0mgを測定した。その結果、トナー作成
に使用したポリエステル樹脂の灰化温度は340℃で、
ベース樹脂およびメタクリル酸エチルエステル共重合体
の灰化温度はそれぞれ280℃および290℃であっ
た。
【0071】
【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、本発明の焼き付け用転写シートによれば、転
写シート上のトナー画像を、陶磁器、ガラス、琺瑯、タ
イル、石などの耐熱性固体表面に焼き付けることによ
り、白ヌケや焼きムラのない鮮明な絵柄を耐熱性固体表
面に焼結させることができるという優れた効果を奏す
る。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に焼成後に有色であるトナーか
    らなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シー
    トにおいて、転写シート上の画像部面の凹凸差が4mm
    以下であることを特徴とする焼付け用転写シート。
  2. 【請求項2】 支持体上に焼成後に有色であるトナーか
    らなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シー
    トにおいて、樹脂皮膜がトナー画像を有する面のみに形
    成されていることを特徴とする焼付け用転写シート。
  3. 【請求項3】 支持体上に焼成後に有色であるトナーか
    らなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シー
    トにおいて、樹脂皮膜がSi元素を有する化合物を含有
    することを特徴とする焼付け用転写シート。
  4. 【請求項4】 支持体上に焼成後に有色であるトナーか
    らなるトナー画像と樹脂皮膜とを積層してなる転写シー
    トにおいて、樹脂皮膜が有色であることを特徴とする焼
    付け用転写シート。
  5. 【請求項5】 前記樹脂皮膜の厚さが少なくとも10μ
    m以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れか1項に記載の焼付け用転写シート。
  6. 【請求項6】 前記樹脂皮膜の灰化温度がトナー中の樹
    脂よりも低いことを特徴とする請求項1ないし5いずれ
    か一項に記載の焼付け用転写シート。
  7. 【請求項7】 支持体上に焼成後に有色であるトナーか
    らなるトナー画像層を有する転写シートのトナー画像上
    にSi元素を有する化合物を含有する樹脂溶液を塗布し
    て乾燥させることにより樹脂皮膜を形成することを特徴
    とする焼付け用転写シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 樹脂溶液中にSi元素を有する化合物を
    含有することを特徴とする焼付け用転写シートの皮膜形
    成樹脂液。
  9. 【請求項9】 粘度が70〜10000mPa・sであ
    ることを特徴とする請求項8に記載の皮膜形成樹脂液。
  10. 【請求項10】 樹脂溶液中に、焼成後に灰化する有色
    物を含有することを特徴とする焼付け用転写シートの皮
    膜形成樹脂液。
  11. 【請求項11】 皮膜形成樹脂液の吸収スペクトルが、
    360〜830nmに吸収ピークを有し、石英1cmセ
    ルにおける該吸収ピークの吸光度が0.1以上であるこ
    とを特徴とする請求項10に記載の皮膜形成樹脂液。
  12. 【請求項12】 Si元素を有する化合物を含有する請
    求項10または11に記載の皮膜形成樹脂液。
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JP2011213066A (ja) * 2010-04-02 2011-10-27 Ricoh Co Ltd 焼成絵柄画像形成用転写基材の製造方法及び焼成画像形成方法

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