JP3849355B2 - 窯業品印刷用乾式トナーと画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は窯業品に画像形成するための窯業品印刷用乾式トナー及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窯業品印刷には一般に転写紙が使用される。すなわち所望の画像を印刷した転写紙を陶磁器、プレート等の窯業品の表面に張り付けた後、焼き付けが行われる。
【0003】
これら転写紙の印刷にはスクリーン印刷が広く用いられている。しかし、このスクリーン印刷はスクリーンの作製に手間とコストがかかるため小ロット印刷には不向きであるのに加え、インクに溶剤を用いることから作業環境が悪くなるという問題を有する。
【0004】
そこで小ロット印刷及び作業環境改善を達成する見地から、近年電子写真方式を用いた印刷が注目されてきている。
【0005】
この方式の代表的なものとしては、特開平8−119668号公報で紹介されているように感光体ドラムに無機質発色剤を含む乾式トナーを現像した後、台紙上に転写し、それを熱等により台紙上に定着し窯業品印刷用転写紙を得るという方式が挙げられる。実際には上記手段により得られた転写紙に樹脂成分よりなるカバーコートを施し窯業品印刷に供する。
【0006】
上記の様な電子写真方式に使用される窯業品印刷用乾式トナーとしては、例えば特開平7−195540号公報に開示されているようにビニル重合体及び無機顔料及びガラス成分からなる平均粒径1〜20μmの複合粉体や、特開平8−104050号公報に開示されているような有機重合体を主成分とする有機成分50〜80wt%と無機顔料及びガラス成分50〜20wt%からなる平均直径1〜20μmの複合粉体や、特開平8−119668号公報に開示されているように結着樹脂及び窯業用顔料さらにガラス質を含有するトナーが提案されている。
【0007】
上記の様な乾式トナー及び電子写真方式による窯業品印刷によれば、確かに作業環境を向上し、工程の簡略化、小ロット印刷への対応は計れる。
【0008】
しかし、先ず第1番目の問題として、環境問題に対する意識が近年高まってきており、窯業品製造現場における鉛、カドミウムによる作業環境汚染や、食器等として使用される際の鉛やカドミウムの溶出が問題視されるようになってきている。このため窯業品印刷用絵の具やトナーを構成する無機顔料、ガラス成分としては鉛及びカドミウムを含まないものを使用することが必須になってきている。
【0009】
しかし、公知の乾式トナーは構成成分として鉛やカドミウムを含むガラス質及び/又は無機顔料を使用している。このため上記の問題を鑑みると、今後使用することはできない。
【0010】
鉛及びカドミウムを含まない無機顔料あるいはガラス成分あるいは釉薬としてはすでに幾つかのものが存在するが、一般に鉛及びカドミウム成分の非添加は無機顔料、ガラス成分、釉薬の融点や屈服点の上昇、屈折率の低下、弾性の低下等を生ずる。このため窯業品表面の艶が無くなる、発色性が低下する、貫入が発生し易くなるなどの種々の問題を有している。
【0011】
また電子写真方式では乾式トナーを何層にも重ねて印刷する。さらに無機顔料及びガラス質は乾式トナー中に分散された状態で存在する。このため、焼き付け(焼成又は焼き込みともいう)の際には無機顔料及びガラス質が嵩高い状態で存在しており上記の問題が助長される。
【0012】
第2番目の問題として、乾式トナー中の無機顔料及びフラックスの分散状態が悪いため無機顔料及びフラックスの遊離を生じたり、トナー粒子間で顔料及びフラックスの含有量の異なるものが生ずる。このため電子写真方式により印刷を行う際に乾式トナーの飛散やカブリが生じ印刷品質が低下してしまう。
【0013】
乾式トナー中の無機顔料及びフラックスの分散性の向上には、無機顔料及びフラックスの粒径を小さくすることが考えられるが、これは焼き込み時の発色性の低下を生ずる。
【0014】
これらの問題を解決する手段としては、アルカリ成分等の導入による低融点、屈服点化や、焼成の高温化により顔料及びフラックスの溶融促進することが考えられるが、これらの手段では上記の問題をすべて同時に満足することはできない上、焼き込み工程の煩雑化や、色味の変化等別の問題を生ずる。
【0016】
このように公知の技術では上記の問題を解決し、充分に要求を満たすものが得られていないのが現状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の状況を鑑みてなされたものである。
【0018】
即ち、本発明の第1の目的は、作業環境の向上、工程の簡略化、小ロット印刷への対応を図り、且つ、鉛やカドミウムのような有害物質の溶出の無い、安全性が高い窯業品印刷用乾式トナーを得ること、及び電子写真方式に於いて、艶、発色性の低下等の問題を生じない高品質な窯業品印刷を施すことを可能にする窯業品印刷用乾式トナーと、それを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0019】
本発明の第2の目的は、作業環境の向上、工程の簡略化、小ロット印刷への対応を図り、且つ、印刷時にトナー飛散やカブリを生じず、且つ焼き込み時に発色性の低下を生じない、良好な電子写真方式による窯業品印刷を施すことを可能にする窯業品印刷用乾式トナーと、それを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明の目的は下記構成を採ることにより達成されることがわかった。
【0022】
即ち、本発明の目的は下記〔1〕と〔2〕の構成によって達成されることが明かとなった。
【0025】
〔1〕 電子写真方式を利用した窯業品印刷用乾式トナーにおいて、該乾式トナーが少なくとも樹脂と無機顔料とフラックスを含有し、該無機顔料とフラックスが鉛及びカドミウムを含まず、且つ該無機顔料の体積平均粒径(Dp)が1.0〜5.0μmであり、該フラックスの体積平均粒径(Df)がDpに対し0.1Dp〜0.9Dpの関係を有することを特徴とする窯業品印刷用乾式トナー。
【0026】
〔2〕 〔1〕記載の窯業品印刷用乾式トナーを用いて画像形成した転写紙用台紙を用いて、窯業品へ印刷することを特徴とする画像形成方法。
【0029】
本発明のごとき窯業品印刷には、一般的によく用いられる電子写真方式の画像形成方法及び装置を利用する。
【0030】
本発明においては、電子写真方式、即ち感光体上に静電潜像を形成し、これを乾式トナーにより現像し、例えば水溶性糊層と支持層よりなる台紙等の像担持体上に乾式トナー像を転写する。ついでこの顕画像を有する台紙を熱ロール定着器等を通過させ定着画像を得る。これに例えば樹脂成分よりなるカバーコートを施し窯業品印刷用転写紙とする。
【0031】
さらに台紙上の乾式トナー層を水により剥離し窯業品表面に移した後、絵付け焼き込みを行い窯業品印刷を完成する。
【0032】
又、カラー印刷を行う場合には、必要な色と同じ数の現像器を具備した電子写真印刷機を用い、感光体上あるいは感光体上から中間転写体に、繰り返しカラー乾式トナー像を形成した後、一括して台紙上に転写する方式が使用できる。
【0033】
この場合、熱ロール定着方式を用いると簡便性、生産性の点から実際的である。熱ロール定着方式では、通常の複写機やプリンタ等で用いられているように定着器には離型性オイルが用いられてもよい。
【0034】
無機顔料とフラックスはそれぞれ独立した状態でトナー中に導入されても予め混合されて導入されても良い。しかし、あらかじめ無機顔料とフラックスをフリット化し、それを体積平均粒径0.3〜5μmに粉砕し乾式トナーに用いることで、さらに窯業品への焼き込み品質を向上させることも可能である。
【0035】
無機顔料及びフラックスの粒径測定方法に関しては、特に限定されるものではないが、例えばレーザー散乱方式の粒度分布測定装置が好適に使用できる。
【0036】
本発明ではSIMPATIC社製HELOSを使用し、体積基準による50%平均径を算出した。また、測定においては予め試料を界面活性剤及び超音波処理により水等の測定媒中に分散させた。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の構成及び関連技術を更に説明する。
【0038】
本発明の乾式トナーは少なくとも結着樹脂と無機顔料及びフラックスを含有し、必要に応じてさらにその他の添加剤を含有していても良い。
【0039】
その平均粒径は体積平均粒径で通常は1〜30μm、好ましくは5〜20μmがよい。
【0040】
上記無機顔料及びフラックスはそれぞれ独立した状態で上記乾式トナー中に導入されても、あらかじめ混合した上導入されても良いことはすでに述べた。
【0041】
本発明に使用される無機顔料及びフラックスは無機顔料の体積平均粒径(Dp)が1.0〜5.0μmであり、フラックスの体積平均粒径(Df)がDpに対し0.1Dp〜0.9Dpの関係を有するものである。
【0042】
無機顔料及びフラックス共に、一次体積平均粒径が5μmより大きいものは、粒子同士が焼結しにくくなると共に粒子自体も溶融しにくくなり、艶が低下する。一方平均一次粒径があまりに小さいと顔料が退色、変色する。
【0043】
本発明に使用される乾式画像による顕像の担持体としては、シクロデキストリン等の水溶性糊層、及び台紙あるいはプラスチックフィルム等の支持層よりなるものが挙げられる。
【0044】
上記顕像の担持体は厚さが50〜200μmのものが好適に使用される。より好ましくは80〜150μmである。
【0045】
本発明に使用されるカバーコートとしては、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂あるいは(メタ)アクリル酸エステルと他のビニル単量体との共重合体等が好適に用いられる。
【0046】
また本発明においてカバーコートはスクリーン印刷方式等の湿式塗布により行われるのが望ましい。
【0047】
本発明の乾式トナーを構成する結着樹脂としては特に限定されず、従来公知の種々の樹脂が用いられる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、好ましくはスチレン−アクリル樹脂、又はポリエステル樹脂である。
【0048】
又、本発明の乾式トナーを構成する結着樹脂は軟化点として100〜160℃を有するものが好適に使用される。より好ましくは115〜140℃である。
【0049】
上記その他の添加剤としては、例えばサリチル酸誘導体、アゾ系金属錯体等の荷電制御剤、低分子量ポリオレフィン、カルナウバワックス等の定着性改良剤等が挙げられる。
【0050】
また、流動性付与の観点から、本発明の乾式トナーには無機微粒子が添加されていてもよい。無機微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。
【0051】
本発明に使用される無機顔料としては、金属酸化物及びその固溶体、金属複酸化物及びその固溶物、珪酸塩及びその固溶体等公知のものを使用可能である。
【0052】
例えば、プラセオジウムイエロー、クロムチタンイエロー、バナジウムイエロー、クロムアルミナピンク、クロムチンピンク、カドミウムレッド、マンガンピンク、セレンレッド、金ピンク、コバルトブルー、バナジウムブルー、クロム銅ブラック、マンガンフェライトブラック、クロムグリーン等を使用することが可能である。
【0053】
本発明に使用されるフラックスとしては、公知のものを使用可能である。
【0054】
例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、珪素、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム等の水酸化物、酸化物、塩化物、塩やその複合物よりなるガラス質を使用することが可能である。
【0055】
本発明に於いて無機顔料及びフラックスの乾式トナー中における含有率は30〜60%が好ましい。
【0056】
無機顔料及びフラックス含有率が30%未満であると窯業品印刷において充分な濃度を確保することが出来ず、60%より多いと電子写真特性の悪化を引き起こす可能性がある。
【0057】
また上記無機顔料とフラックスの存在比は1:9〜7:3が好ましい。無機顔料存在比が1:9未満であると発色性が低下し、7:3より多いと艶が無くなることがある。
【0058】
次に、これに限定されるものではないが、図1に本発明に用いられる電子写真画像形成装置の一例を示す構成断面図を挙げて説明をする。
【0059】
図1において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザー光源1から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー2により、図1の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズを介して、感光体面上に照射され静電潜像を作る。感光体は、あらかじめ帯電器5により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0060】
感光体面上の静電潜像は、現像器6により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写紙用台紙8に転写器7の作用により転写される。さらに感光体4と転写紙用台紙8は分離器(分離極)9により分離されるが、現像像は転写紙用台紙8に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0061】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器11にて清掃され、帯電前露光(PCL)12にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器5により、一様帯電される。
【0062】
又、クリーニングブレード13は、厚さ1〜30mm程度のゴム状弾性体を用い、材質としてはウレタンゴムが最も良く用いられる。ブレードは感光体に圧接して用いられるため熱を伝え易く、解除機構を設け、画像形成動作を行っていない時には感光体から離しておくのが望ましい。
【0063】
本発明は、電子写真法による画像形成方法及び装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に関するものである。
【0064】
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0065】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、▲1▼レーザー光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、▲2▼半導体レーザーを用い、レーザー強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0066】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザービームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmの丸状あるいは楕円状である。
【0067】
尚、上記例では、レーザービームによるスポット露光による方式を示したが、通常光によるアナログ露光による方式でも同様に画像形成出来ることは、容易に理解できる。
【0068】
又、上記画像形成装置は、感光体4と、帯電器5、現像器6、クリーニング器11あるいは転写器7等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを搭載する形態にすることもできる。
【0069】
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置に搭載するためのプロセスカートリッジの例を、図2に断面図、図3に斜視図として示した。このプロセスカートリッジはガイドレール等により装置内に装填される。
【0070】
図2から明らかなごとく、本例ではプロセスカートリッジ20内に、感光体4を中心に帯電器5、現像器6、クリーニング器11、PCL12が収納され一つのユニットとしてプロセスカートリッジを形成している。このようなプロセスカートリッジの形態をとることにより、本発明の効果をよりよく発揮させることができるので、好ましい実施態様といえる。
【0071】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、発明の態様はこれに限定されない。尚、本発明の実施例比較例における「部」とは「重量部」を表す。
【0072】
〔1〕実施例1
乾式トナー製造例1−1
ポリエステル樹脂60部(ガラス転移点56℃・軟化点125℃)と、酸化物換算のモル%でTiO2/Sb2O5/NiO=70/25/5の組成を有し、体積平均粒径が3μmである鉛及びカドミウムを含まない無機顔料(イエロー)の12部と、酸化物換算のモル%でSiO2/Al2O3/B2O3/Na2O3/K2O/CaO/ZnO/SrO=63/10/8/2/7/6/2/2の組成を有するカラス成分であり体積平均粒径が2μmである鉛及びカドミウムを含まないフラックスの28部を、予備混合、混練、粉砕、分級をして体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。
【0073】
次いでこの着色粒子100部に疎水性シリカを1部添加して混合し、本発明の乾式トナー1を得た。
【0074】
乾式トナー製造例1−2〜1−8及び比較乾式トナー製造例1−1〜1−4
使用する無機顔料とフラックス組成及びその添加量を変更した以外は、乾式トナー製造例1−1と同様にして、乾式トナー1−2〜1−8及び比較乾式トナー1−1〜1−4を得た。
【0075】
表1に使用した無機顔料、フラックス及びその添加量をまとめて記載した。
【0076】
【表1】
【0077】
実施例1−1
乾式トナー1−1の30部を、スチレン−アクリル樹脂を被覆したフェライトキャリア(粒径45μm)170部と混合して二成分現像剤とし、転写紙印刷用出力機の現像器に装填した。
【0078】
転写紙印刷用出力機としてはコニカ社製のカラーレーザープリンタKL2010を改造して使用した。出力は台紙上に2cmの階調パッチ出力を行った。
【0079】
転写紙用台紙としてはシクロデキストリンを表面にコートした厚紙を用い、プリンタからの出力後、スクリーン印刷によりアクリル樹脂よりなるカバーコートを塗布し、乾燥して窯業品印刷用転写紙とした。
【0080】
上記転写紙について水によりシクロデキストリン膜より乾式トナー層を剥離し窯業品表面に移した。
【0081】
窯業品としてはボンチャイナプレートを使用した。
【0082】
上記乾式トナー層を張り付けた磁器製プレートをまず100℃の条件で10分間保持し、ついで0.5℃/分の条件で850℃まで昇温し、45分間保持した後室温まで徐冷した。
【0083】
目視にて焼き込み(焼成)後の画像品質を官能評価したところ艶があり、色味・濃度とも良好であった。
【0084】
実施例1−2〜1−8及び比較例1−1〜1−4
乾式トナーとしてそれぞれ乾式トナー1−2〜1−8及び比較乾式トナー1−1〜1−4を使用し、焼成温度条件を変更した以外は実施例1と同様にして転写紙印刷・焼成を行った。
【0085】
表2に使用した乾式トナー、焼成温度条件及び目視による官能評価結果をまとめて記載した。
【0086】
【表2】
【0087】
上記表2の結果から、本発明内のもの(乾式トナー1−1、1−3、1−5、1−7及び1−8)はいずれも優れた特性を示すことがわかる。
【0088】
即ち、本発明内のものは安全性が高く有害物質の流出のない、かつ艶、発色性の良好である高品質な窯業品印刷を施すことを可能にする乾式トナーが得られることがわかる。
【0089】
〔2〕実施例2
乾式トナー製造例2−1
ポリエステル樹脂(ガラス転移点56℃・軟化点125℃) 60部
バナジウムイエロー(体積平均粒径3μm) 12部
フラックス(無色透明ガラス質、体積粒径1μm) 28部
を、予備混合、混練、粉砕、分級し体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。次いでこの着色粒子100部に疎水性シリカの1部を添加、混合し本発明の乾式トナー2−1を得た。
【0090】
乾式トナー製造例2−2
ポリエステル樹脂(ガラス転移点56℃・軟化点125℃) 60部
クロムマンガンピンク(体積平均粒径4μm) 12部
フラックス(無色透明ガラス質、体積粒径2μm) 28部
を、予備混合、混練、粉砕、分級して体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。次いでこの着色粒子100部に疎水性シリカの1部を添加、混合し本発明の乾式トナー2−2を得た。
【0091】
乾式トナー製造例2−3
ポリエステル樹脂(ガラス転移点56℃・軟化点125℃) 60部
バナジウムブルー(体積平均粒径3μm) 12部
フラックス(無色透明ガラス質、体積粒径2μm) 28部
を、予備混合、混練、粉砕、分級をし体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。次いで着色粒子100部に疎水性シリカの1部を添加、混合して本発明の乾式トナー2−3を得た。
【0092】
乾式トナー製造例2−4
ポリエステル樹脂(ガラス転移点56℃・軟化点125℃) 60部
クロム銅ブラック(体積平均粒径2μm) 12部
フラックス(無色透明ガラス質、体積粒径1μm) 28部
を、予備混合、混練、粉砕、分級し体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。次いでこの着色粒子100部に疎水性シリカの1部を添加、混合して本発明の乾式トナー2−4を得た。
【0093】
比較乾式トナー製造例2−1
ポリエステル樹脂(ガラス転移点56℃・軟化点125℃) 60部
アンチモンイエロー(体積平均粒径0.8μm) 12部
フラックス(無色透明ガラス質、体積粒径9μm) 28部
を、予備混合、混練、粉砕、分級して体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。ついてこの着色粒子100部に疎水性シリカの1部を添加、混合して比較乾式トナー2−1を得た。
【0094】
比較乾式トナー製造例2−2
ポリエステル樹脂(ガラス転移点56℃・軟化点125℃) 60部
クロムグリーン(体積平均粒径0.2μm) 12部
フラックス(無色透明ガラス質、体積粒径0.8μm) 28部
を、予備混合、混練、粉砕、分級して体積平均粒径15μmの着色粒子を得た。次いでこの着色粒子100部に疎水性シリカの1部を添加、混合し比較乾式トナー2−2を得た。
【0095】
実施例2−1
乾式トナー1の30部ををスチレン−アクリル樹脂を被覆したフェライトキャリア(粒径45μm)170部と混合し二成分現像剤とし、転写紙印刷用出力機の現像器に装填した。
【0096】
転写紙印刷用出力機としてはコニカ社製のカラーレーザープリンタKL2010を改造して使用した。出力は台紙上に2cmの階調パッチ出力を行った。
【0097】
又、転写紙用台紙としてはシクロデキストリンを表面にコートした厚紙を用いた。
【0098】
この時点でカブリ、トナー飛散の有無を目視で確認したところ、どちらについても発生は認められず良好な印刷像であった。
【0099】
次いで、スクリーン印刷によりアクリル樹脂よりなるカバーコートを上記印刷済み台紙に塗布後、乾燥して窯業品印刷用転写紙とした。
【0100】
上記転写紙について水によりシクロデキストリン膜より乾式トナー層を剥離し窯業品表面に移した。窯業品としてはボンチャイナ製プレートを使用した。
【0101】
上記乾式トナー層を張り付けたプレートをまず100℃の条件で10分間保持し、次いで0.5℃/分の条件で850℃まで昇温し、45分間保持した後室温まで徐冷した。
【0102】
目視にて焼き込み後の品質を官能評価したところ、鮮やかな色を有し、且つ濃度も高く良好な発色性を有していた。
【0103】
実施例2−2〜2−4及び比較例2−1〜2−2
乾式トナーとしてそれぞれ乾式トナー2−2〜2−4及び比較乾式トナー2−1〜2−2を使用した以外は実施例2−1と同様にして転写紙印刷、焼成を行った。
【0104】
表3に使用した乾式トナー、及びカブリ及びトナー飛散の有無、及び発色性をまとめたが、本発明内の実施例2−2〜2−4のみが優れた特性が得られることがわかる。
【0105】
【表3】
【0120】
【発明の効果】
本発明により、下記の効果が得られる。
【0121】
第1には、実施例1で明らかなごとく、作業環境の向上、工程の簡略化、小ロット印刷への対応を図り、且つ、鉛やカドミウムのような有害物質の溶出の無い、安全性が高く衛生的な窯業品印刷用乾式トナーを得ること、及び電子写真方式に於いて艶、発色性の低下等の問題を生じない高品質な窯業品印刷を施すことを可能にする窯業品印刷用乾式トナーと、それを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
【0122】
第2には、実施例2で明らかなごとく、作業環境の向上、工程の簡略化、小ロット印刷への対応を図り、且つ、印刷時にトナー飛散やカブリを生じず、且つ焼き込み時に発色性の低下を生じない、良好な電子写真方式による窯業品印刷を施すことを可能にする窯業品印刷用乾式トナーと、それを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる電子写真画像形成装置の一例を示す構成断面図。
【図2】本発明のプロセスカートリッジの断面図。
【図3】本発明のプロセスカートリッジの斜視図。
【符号の説明】
1 半導体レーザー光源
2 ポリゴンミラー
4 感光体
5 帯電器
6 現像器
7 転写器
8 転写紙用台紙
9 分離極
10 定着器
11 クリーニング器
12 帯電前露光(PCL)
13 クリーニングブレード
20 プロセスカートリッジ
Claims (2)
- 電子写真方式を利用した窯業品印刷用乾式トナーにおいて、該乾式トナーが少なくとも樹脂と無機顔料とフラックスを含有し、該無機顔料とフラックスが鉛及びカドミウムを含まず、且つ該無機顔料の体積平均粒径(Dp)が1.0〜5.0μmであり、該フラックスの体積平均粒径(Df)がDpに対し0.1Dp〜0.9Dpの関係を有することを特徴とする窯業品印刷用乾式トナー。
- 請求項1記載の窯業品印刷用乾式トナーを用いて画像形成した転写紙用台紙を用いて、窯業品へ印刷することを特徴とする画像形成方法。
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JP18200999A JP3849355B2 (ja) | 1999-06-28 | 1999-06-28 | 窯業品印刷用乾式トナーと画像形成方法 |
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