JP3870249B2 - 温・冷熱生成ケミカルヒートポンプ - Google Patents
温・冷熱生成ケミカルヒートポンプ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CaOとH2Oが反応する際に発生する温熱を給湯又は暖房用に利用するとともに、冷熱を冷凍又は冷房に利用することができるCaO/Ca(OH)2系の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6はCaO/Ca(OH)2系のケミカルヒートポンプの概念図で、ケミカルヒートポンプは、反応器、蒸発・凝縮器と両者を結ぶパイプにより構成され、反応器には蓄熱材としてCaOが充填され、蒸発・凝縮器には反応器内のCaOと反応するに見合う量のH2Oが充填され、真空に保たれている。
【0003】
放熱過程では、バルブを開けると、圧力差により蒸発・凝縮器中の水からH2Oガスが蒸発し、蒸発したH2Oガスがパイプを通って反応器へ移動し、反応器中のCaOと水和反応し、Ca(OH)2が形成され、高温熱が生成し、蒸発・凝縮器には蒸発潜熱により冷熱が生成する。
【0004】
次に、蓄熱過程は、反応器に熱を加えると、放熱過程でCaOとH2Oとが反応して生成したCa(OH)2が脱水されてCaOが再生するとともに、発生したH2Oガスは、ダクトを通って蒸発・凝縮器へ移動し凝縮され、凝縮熱により、水となって溜まり、再び温・冷熱生成前の状態に戻る。
【0005】
以上のように、CaO/Ca(OH)2系のケミカルヒートポンプは、Ca(OH)2をCaOとH2Oとに戻す反応と、CaOとH2OとによりCa(OH)2を生成する水和反応との可逆反応を利用するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のCaO/Ca(OH)2系のケミカルヒートポンプにおいては、CaOとH2Oが反応する際の温・冷熱の生成については、これまで反応器及び蒸発・凝縮器内部で確認されてきたが、反応器及び蒸発・凝縮器内部から外部へ温・冷熱を取り出すことのできるシステムがなく、CaOとH2Oが一定速度で反応を続け、さらに、一定温度の温・冷熱を外部出力することは困難であった。
【0007】
本発明は、温・冷熱を反応器及び蒸発・凝縮器の外部に出力することができるCaO/Ca(OH)2系の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、CaOを充填した反応器と水を蒸発又は凝縮させる蒸発・凝縮器がジョイントバルブを有するパイプで連結されている、反応器に熱を加えると蓄熱再生するCaO/Ca(OH)2系ケミカルヒートポンプにおいて、放熱時には反応器内に充填されたCaOと蒸発・凝縮器で蒸発したH2Oが水和反応する際に発生する温熱と蒸発・凝縮器内のH2Oが蒸発する際に発生する冷熱とを同時に外部へ連続的に取り出す熱交換器を反応器及び蒸発・凝縮器内にそれぞれ設け、反応器内の熱交換器がコイル状に巻かれた熱交換パイプ、及び蓄熱用ヒーターを有する熱交換パイプが同心円状に設置されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図lは、本発明の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプの1実施例の概略図で、図2は反応器内のコイル状の熱交換パイプ及び蓄熱用ヒーターを有する熱交換パイプの配置を示す横断面図である。
【0010】
ケミカルヒートポンプは、CaOが充填された上部の円柱型ステンレス製反応器1と、水を蒸発又は凝縮するための下部の円柱型ステンレス製蒸発・凝縮器2とがジョイントバルブ3を有するパイプ4で連結された縦型密閉系のケミカルヒートポンプである。また、反応器1と蒸発・凝縮器2とは運転初期に系内を真空にするため、真空ポンプ5に接続されている。
【0011】
なお、反応器1と蒸発・凝縮器2とはグラスウール等の断熱材6により断熱されている。
【0012】
反応器1内にはコイル状に巻かれた熱交換パイプ7、及び蓄熱用ヒーター8を有する熱交換パイプ9が同心円状に設置され(図2参照)、制御弁10と循環ポンプ11を介して暖房機などの熱利用機器12に連結され、循環ループを構成しており、制御弁10と循環ポンプ11により流量を制御し、循環する媒体の温度を調節する。
【0013】
図3は蒸発・凝縮器内のコイル状の熱交換パイプの1実施例の概略図で、図3−(a)は熱交換パイプの正面図、図3−(b)は平面図である。蒸発・凝縮器2内には反応媒体である水が充填され、熱交換パイプ13が設置され、制御弁14と循環ポンプ15を介して冷房機などの熱利用機器16に連結され、循環ループを構成しており、制御弁14と循環ポンプ15を制御することにより、循環する媒体の温度を制御する。
【0014】
反応器に充填するCaOとしては、例えば、粒径が0.7〜1.0mmの広島産寒水石(CaCO3)をマッフル炉で5時間焼成して得られたCaO粒子を用いたが、CaOはこれに限られることなく、各種のCaOを利用することができる。
【0015】
温・冷熱生成ケミカルヒートポンプは、反応器1と蒸発・凝縮器2とをつなぐバルブ3の開放により、圧力差によって蒸発・凝縮器2内の水が蒸発し、蒸発したH2Oがパイプ4を通って反応器1へと移動する。この際、反応器1内では、CaOの水和反応が起こり発熱し、温熱が生成され、一方、蒸発・凝縮器2では、水の蒸発潜熱により冷熱が生成される。
【0016】
生成された温熱は、熱交換パイプ7によって回収され、外部に取り出され、制御弁10と循環ポンプ11により媒体の流量を制御して温度調節しながら、熱利用機器12に利用され、一方生成された冷熱は、熱交換パイプ13によって回収され、外部に取り出され、制御弁14と循環ポンプ15により媒体の流量を制御して温度調節しながら、熱利用機器16に利用される。
【0017】
蓄熱過程においては反応器1に設置された熱交換パイプ9の蓄熱用ヒーター8によりCa(OH)2に熱を与え、脱水反応を行う。このとき発生した水は蒸発・凝縮器2へ移動し、蒸発・凝縮器内の熱交換パイプ13により凝縮熱が奪われることにより凝縮する。
【0018】
本装置における放熱実験結果の一例を図4及び図5に示す。
【0019】
この場合、反応器に粒子サイズ710〜1000μmのCaO粒子3.lkg、蒸発・凝縮器に水2.0リットルがそれぞれ充填され、実験開始前、反応器は300K、蒸発・凝縮器は290Kの定常状態に保たれている。
【0020】
図4は総括反応率及び生成熱量の経時変化を示すグラフで、図4において、実線は水和反応率Xt及び総合生成熱量Qt、一点鎖線は生成中温熱量QM、二点鎖線は生成冷熱量QLをそれぞれ示している。急激な初期反応の後、約100分後からは反応速度が小さくなっていることがわかる。
【0021】
600分後での到達反応率は約60%であり、生成熱量は約5000kJとなっている。
【0022】
図5は本発明の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプの蒸発・凝縮器内水温TEV、熱交換パイプの入口温度Tinlet及び出口温度Toutletを示すグラフで、熱交換媒体として水を使用し、流量は制御弁及び循環ポンプにて平均流量31ml/minとした。図5よりTEVは初期に急激に低下し、開始後25分で275Kに達していることが確認される。熱回収は25分後から開始した。この場合熱交換媒体は約Tinlet=290KがToutlet=28.0Kとなり回収されている。
【0023】
このように本装置は、温熱源だけでなく、冷熱源としても十分使用可能な低温熱が回収できることがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、CaO/Ca(OH)2系のケミカルヒートポンプにおいて、CaOとH2Oとが反応する際に発生する温熱及び冷熱を反応器及び蒸発・凝縮器内部から外部へ取り出すことができ、さらに取り出す場合、CaOとH2Oが一定速度で反応が続けられ、一定温度の温冷熱を同時に外部へ連続的に出力することができ、また、温熱は給湯または暖房用に利用でき、冷熱は冷凍または冷房に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプの1実施例の概略図である。
【図2】 反応器内のコイル状の熱交換パイプ、及び蓄熱用ヒーターを有する熱交換パイプの配置を示す横断面図ある。
【図3】 蒸発・凝縮器内のコイル状の熱交換パイプの1実施例の概略図で、図3−(a)は熱交換パイプの正面図、図3−(b)は平面図である。
【図4】 本発明の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプの放熱時の総括反応率及び生成熱量の経時変化を示すグラフである。
【図5】 本発明の温・冷熱生成ケミカルヒートポンプの蒸発・凝縮器内水温及び熱交換パイプの出入口温度の経時変化を示すグラフである。
【図6】温・冷熱生成ケミカルヒートポンプの概念図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 蒸発・凝縮器
3 ジョイントバルブ
4 パイプ
5 真空ポンプ
6 断熱材
7 熱交換パイプ
8 蓄熱用ヒーター
9 熱交換パイプ
10 制御弁
11 循環ポンプ
12 熱利用機器
13 熱交換パイプ
14 制御弁
15 循環ポンプ
16 熱利用機器
Claims (1)
- CaOを充填した反応器と水を蒸発又は凝縮させる蒸発・凝縮器がジョイントバルブを有するパイプで連結されている、反応器に熱を加えると蓄熱再生するCaO/Ca(OH)2系ケミカルヒートポンプにおいて、
放熱時には反応器内に充填されたCaOと蒸発・凝縮器で蒸発したH2Oが水和反応する際に発生する温熱と蒸発・凝縮器内のH2Oが蒸発する際に発生する冷熱とを同時に外部へ連続的に取り出す熱交換器を反応器及び蒸発・凝縮器内にそれぞれ設け、反応器内の熱交換器がコイル状に巻かれた熱交換パイプ、及び蓄熱用ヒーターを有する熱交換パイプが同心円状に設置されていることを特徴とする温・冷熱生成ケミカルヒートポンプ。
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JP24236196A JP3870249B2 (ja) | 1996-09-12 | 1996-09-12 | 温・冷熱生成ケミカルヒートポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP24236196A JP3870249B2 (ja) | 1996-09-12 | 1996-09-12 | 温・冷熱生成ケミカルヒートポンプ |
Publications (2)
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Family Applications (1)
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JP24236196A Expired - Lifetime JP3870249B2 (ja) | 1996-09-12 | 1996-09-12 | 温・冷熱生成ケミカルヒートポンプ |
Country Status (1)
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