JP3870028B2 - フルクローズド位置制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フルクローズド位置制御装置、特に数値制御工作機械のテーブル等の可動部材のフルクローズド位置制御に用いられるフルクローズド位置制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、サーボモータ(図示しない)にギヤ等で結合されて移動可能に形成されたテーブル等の可動部材からなる対象システム57の位置を制御する従来のフルクローズド位置制御装置(以降単に位置制御装置と略す)の一例を示すブロック図である。以下、この位置制御装置の構成と動作について説明する。位置制御装置58には、上位装置(図示しない)より位置指令値Xが入力される。減算器50は、位置指令値Xから位置検出値xLを減算し位置偏差X−xLを算出する。位置検出値xLは、最終的な制御対象である対象システム57の位置をリニアスケール等(図示しない)により直接検出した位置検出信号である。増幅器51は位置偏差X−xLを位置ループゲインPの増幅率で比例増幅するものであり、この増幅器51の出力は、速度指令値Vとなる。この速度指令値Vは、位置制御ループの内側に設けられている速度制御ループ56内の減算器52に入力される。減算器52では、速度指令値Vからモータ速度vmを減算し、速度偏差Vm−vmを算出する。
【0003】
モータ速度vmは、サーボモータに結合された位置検出器(図示しない)の回転角位置信号の微分値、あるいはサーボモータに結合された速度検出器(図示しない)の出力である。速度偏差V−vmは速度AMP部53によりPI(比例積分)増幅された後、パワー増幅部54で電力増幅され、対象システム57に対するトルク入力τとなる。パワー増幅部54は、電力増幅器とサーボモータで構成されており、速度AMP部53の出力を増幅してトルク入力τを出力するもので、その増幅率はトルク変換定数Ctで表される。速度ループ増幅部55は、速度AMP部53とパワー増幅部54で構成されており、その増幅率である速度ループゲインAは、速度AMP部53の増幅率とトルク変換定数Ctを乗じたものになっている。トルク入力τは対象システム57に供給され、これを駆動する。尚、対象システム57には摩擦トルクや外部から加わる外部トルク等を加算した外乱トルクτdが加わっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた従来の位置制御装置においては、フルクローズド位置制御を実現するため、位置帰還として対象システム57の位置検出値xLを用いている。速度指令値Vは位置偏差X−xLに応じて発生するため、本来は対象システム57の速度vLを速度帰還とすることが望ましい。しかしながら、制御が不安定化する恐れがあるため通常は図4の様に速度帰還としてモータ速度vmが採用され、結果として位置指令値Xに対する位置検出値xLの追従性能が制限されていた。加えて、位置ループゲインPは、対象システム57の剛性や慣性モーメントにより安定限界が発生し増幅率が制限されるため、従来の位置制御装置では結局、高い安定性と追従性能を同時に得ることができなかった。
【0005】
以上述べた従来の位置制御装置58の問題点を簡単な対象システム57の実例をもって明確化する。本例では対象システム57を、負荷とサーボモータの間を有限な剛性値を持つ部材で結合された構成をもつ、いわゆる2慣性モデルとし、そのブロック図を図5に示す。図5において、Iaはモータの慣性モーメント、ILは負荷の慣性モーメント、Kは結合部材の剛性、τrは捩じりトルクを示している。尚、図5中符号Sは微分動作を示すラプラス変換の演算子であり、1/Sは積分器を示している。数1式は、図5ブロック図を状態方程式で表現したものであり、本例における対象システム57の状態方程式である。
【数1】
【0006】
ここで、前記対象システム57を用いた時の図4の従来の位置制御装置について考える。最初に、速度帰還として対象システム57の速度vLを用いた場合の位置制御における特性方程式ψ(s)は数2式となる。
【数2】
ψ(s)=S^4+(ωp^2)S^2+(AK/IaIL)S+(PAK/IaIL)=0
但し、S^2はSの2乗を示す。また、ωpは対象システム57の固有振動角周波数を示し、ωp^2=K(1/Ia+1/IL)である。次に、図4の従来の位置制御装置そのままに速度帰還としてモータ速度vmを用いた場合の位置制御における特性方程式ψ(s)は数3式となる。
【数3】
ψ(s)=S^4+(A/Ia)S^3+(ωp^2)S^2+(AK/IaIL)S+(PAK/IaIL)=0
数2式は、Sの3乗項の係数が0であるから、対象システム57の速度vLを用いた場合の位置制御が不安定になることが確認できる。数3式については、よく知られたラウス・フルビッツの安定判別法を用いて安定条件を導出すると、数4式となる。
【数4】
PA<K
但し、数2式及び数3式の計算では、速度ループゲインAは、単なる比例ゲインとしている。
【0007】
ここで、速度ループゲインAは速度制御帯域を直接的に表さないため、速度制御帯域指標値Vbndとして、速度ループのω=1[rad/sec]時の一巡ループゲインを導入すると、
【数5】
Vbnd=AK/IaILωp^2=A/(Ia+IL)
但し、ωp^2≫1,K/IL≫1としている。
となる。そこで、速度制御帯域指標値Vbndを用いて数4式の安定条件を表現すると、
【数6】
P<K/Vbnd(Ia+IL)
となる。数6式は、図4の従来の位置制御装置において、速度制御帯域指標値Vbndを決定すると、対象システムの剛性Kに比例及び総合慣性モーメント(Ia+IL)に反比例して位置ループゲインPの設定限界が定まる関係を示している。つまり、対象システムが大型であったり剛性が低い場合は位置ループゲインPが低く制限され、フルクローズド位置制御の安定性と追従性能を共に満足させることができなかった。本発明は、これらの問題点を解消するためになされたもので、本発明の目的は、高い安定性と追従性能を同時に得ることができる位置制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、サーボモータにより制御対象である対象システムの位置を制御する位置制御装置に関するもので、本発明の上記目的は、位置制御装置に、対象システムの状態変数を推定するオブザーバと、トルク帰還増幅部と、これらにより演算されるトルク帰還のフィードバックと、対象システム速度による速度帰還と、速度制御帯域補償部を備えることによって達成される。
本発明に係るフルクローズド位置制御装置は、位置制御ループと速度制御ループとを備え、制御対象である対象システムの位置を制御するフルクローズド位置制御装置において、対象システムのトルク入力および対象システムから検出できる出力に基づき、対象システムの内部構造に応じて対象システムの状態変数を推定するオブザーバと、前記状態変数からトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部であって、前記トルク帰還をフィードバックしたときに前記速度制御ループ出力からみた前記対象システムの安定性を操作できるフィードバックゲインを定めることでトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部と、前記演算されたトルク帰還をフィードバックするトルク帰還フィードバック回路と、前記速度制御ループ内に設けられ、前記トルク帰還のフィードバックに伴う速度制御帯域の変化を補償するゲインであって、トルク帰還を行うときの対象システムの設計振動数と対象システムの固有振動数とに基づいて定められる補償ゲインを有する速度制御帯域補償部と、を具備し、速度帰還には前記オブザーバで推定された対象システム速度を用いることを特徴とする。
また、本発明に係るフルクローズド位置制御装置は、位置制御ループと速度制御ループとを備え、制御対象である対象システムの位置を制御するフルクローズド位置制御装置において、対象システムのトルク入力および対象システムから検出できる出力に基づき、対象システムの内部構造に応じて対象システムの状態変数を推定するオブザーバと、前記状態変数からトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部であって、前記トルク帰還をフィードバックしたときに前記速度制御ループ出力からみた前記対象システムの安定性を操作できるフィードバックゲインを定めることでトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部と、前記演算されたトルク帰還をフィードバックするトルク帰還フィードバック回路と、前記速度制御ループ内に設けられ、前記トルク帰還のフィードバックに伴う速度制御帯域の変化を補償するゲインであって、トルク帰還を行うときの対象システムの設計振動数と対象システムの固有振動数とに基づいて定められる補償ゲインを有する速度制御帯域補償部と、対象システムから検出できる出力としての対象システムの位置から対象システム速度を求める微分器と、を具備し、速度帰還には前記微分器から出力される対象システム速度を用いることを特徴とする。
また、前記オブザーバは、対象システムから検出できる出力として、対象システムに含まれるモータの速度を用い、状態変数として、対象システムの速度と、ねじりトルクと、モータ速度とをそれぞれ推定し、
前記トルク帰還増幅部は、前記オブザーバによって推定された対象システムの速度推定値と、ねじりトルク推定値と、モータ速度推定値とに基づいて、フィードバックゲインを定め、トルク帰還を演算することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態の位置制御装置のブロック図である。図1において、対象システム57には一例として図5で示した2慣性モデルを想定している。位置制御装置6において、前述した図4と同一の部分については同一の名称及び番号を付し、その部分についての説明を省略する。オブザーバ3は、対象システム57に対するトルク入力τとモータ速度vmとに基づいてオブザーバ演算を行い、対象システム57の速度推定値vLoと捩じりトルク推定値τroとモータ速度推定値vmoを出力する。トルク帰還増幅部4は、前記vLo,τro,vmoをフィードバックゲインベクトルFで増幅加算しトルク帰還τbをフィードバック回路を通じて出力する。
【0010】
対象システム57の速度推定値vLoは、速度帰還として速度指令値Vから減算器52により減算され、速度偏差V−vLoが算出される。速度偏差V−vLoは、速度ループゲインAを増幅率にもつ速度ループ増幅部55で増幅された後、帯域補償ゲインGを増幅率にもつ速度制御帯域補償部1でさらに増幅され速度制御ループ5の出力τcとなる。減算器2はτcから前記トルク帰還τbを減算し、対象システム57に供給されるトルク入力τになる。
【0011】
フィードバックゲインベクトルFは、
【数7】
F=[f1,f2,f3] (1×3)
但し、(1×3)は1行3列からなるマトリクスを示す。
で示され、トルク帰還増幅部4は、
【数8】
τb=F[vmo,vLo,τro]’
但し、[ ]’はマトリクス[ ]の転置を示す。
の演算を行いトルク帰還τbを出力する。トルク入力τは、
【数9】
τ=τc−τb
で算出されるから、トルク帰還τbは、よく知られた状態フィードバックとなっている。
【0012】
Ia≠0,IL≠0,K≠0であるなら数1式で表された対象システムは可制御となり、且つ、前記vLo,τro,vmoが定常的にそれぞれvL,τr,vmに一致していると仮定すると、公知の状態フィードバック理論から、フィードバックゲインベクトルFにより、τcからみた対象システムの安定性は自由に操作できる。ここで、状態フィードバックにより、τcからみた対象システムの特性方程式は、
【数10】
ψ(s)=S^3+(f1/Ia)S^2+K{(1+f3)/Ia+1/IL}S+K(f1+f2)/IaIL=0
となるから、設計パラメータωs( ωs>0)を導入して特性方程式が、
【数11】
ψ(s)=S(S+ωs)^2=0
を満たす様にフィードバックゲインベクトルFを決定すると、
【数12】
F=[f1,f2,f3]=[2Iaωs,−2Iaωs,Ia(ωs^2/K−1/IL)−1]
となる。
【0013】
オブザーバ3は、図5で示した対象システム57の前記vL,τr,vmを推定できればどのように構成してもかまわないが、本例では検出できる(すなわち、検出対象とする)対象システム57の出力をvmのみとした、3次元の最小次元オブザーバを構成する。外乱トルクτdは、時間変化が小さいものとし、dτd/dt=0として、数1式を変形すると、
【数13】
【数14】
vm=[1,0,0,0][vm,vL,τr,τd]’
となる。Ia≠0,IL≠0,K≠0であるなら数13式及び数14式で表された対象システム57は可観測となり、且つ、出力を1次元としたゴピナスの正準形式になっている。
【0014】
よって、よく知られたゴピナスの設計法を用いて、数13式及び数14式で示された対象システム57に対して3次元の最小次元オブザーバを設計すると、オブザーバゲインベクトルLを
【数15】
L=[l1,l2,l3]’ (3×1)
とした時、オブザーバの特性方程式は、
【数16】
ψ(s)=S^3−(l2/Ia)S^2+K(l1/Ia+1/IL)S−Kl3/IaIL=0
となるから、設計パラメータωo( ωo>0)を導入して特性方程式が、
【数17】
ψ(s)=(S+ωo)^3=0
を満たす様にオブザーバゲインベクトルLを決定すると、
【数18】
L=[l1,l2,l3]’=[Ia(3ωc^2/K−1/IL),−3Iaωc,−IaILωc^3/K]’
となる。図2は、本設計法により構成された3次元最小次元オブザーバの内部ブロック図である。
【0015】
設計パラメータωoはωo>0と選ぶことにより、3次元最小次元オブザーバの推定出力vLo,τro,vmoは、定常的にそれぞれvL,τr,vmに一致していく。このため前述の仮定は満たされ、図1におけるτcからみた対象システム57の特性方程式は、数11式となる。
【0016】
図3は、本発明の第2実施形態の位置制御装置のブロック図である。前述した図1の第1実施形態では、対象システム57の速度vLが検出あるいは算出利用できないものとしてオブザーバ3により、その推定値vLoを求めているが、第2の構成例では、vLを、対象システム57の位置検出値xLを微分器7により微分した微分値によって代用できるものとしている。よって、速度帰還には、この微分器出力が適用されている。また本例では検出できる対象システム57の出力をvm及びvLとできるため、オブザーバ3には例えば2次元の最小次元オブザーバを適用でき、位置制御装置の構成を簡略化できる。
【0017】
以上説明したように第1および第2実施形態によれば、設計パラメータωs( ωs>0)を用いて、τcからみた対象システムの安定性を自由に操作できる。次に、これら実施形態による本発明のフルクローズド位置制御について考える。本発明実施形態のフルクローズド位置制御における特性方程式ψ(s)は数19式となる。
【数19】
ψ(s)=S^4+(2ωs)S^3+(ωs^2)S^2+(AGK/IaIL)S+(PAGK/IaIL)=0
但し、数19式の計算では、速度ループゲインAは、従来例同様に単なる比例ゲインとしている。
数19式について従来例同様に、ラウス・フルビッツの安定判別法を用いて安定条件を導出すると、数20式となる。
【数20】
P<(1/2){ωs−AGK/(2IaILωs^2)}
【0018】
ここで、速度ループゲインAは速度制御帯域を直接的に表さないため、前述の従来例同様に速度制御帯域指標値Vbndを導入すると、本発明構成例の速度ループのω=1[rad/sec]時の一巡ループゲインは、
【数21】
Vbnd=AGK/IaILωs^2
但し、ωs≫1としている。
で表される。数5式と数21式を一致させるために、この場合、帯域補償ゲインGを
【数22】
G=(ωs/ωp)^2
と決定してやる。次に、数21式を用いて数20式の安定条件を表現すると、
【数23】
P<(1/2)(ωs−Vbnd/2)
と表現できる。
【0019】
数23式は、本発明実施形態の位置制御装置において、速度制御帯域指標値Vbndと位置ループゲインPを独立に決定できることを意味している。つまり任意に速度制御帯域指標値Vbndを選定しても、前述の設計パラメータωsを大きくとれば、位置ループゲインPの設定限界を大きくできることを示している。従来例の位置制御装置では数6式で示した様に、位置ループゲインPの設定限界が対象システムの剛性Kや総合慣性モーメント(Ia+IL)で制限されたのに対して、本発明実施形態の位置制御装置では、設計パラメータωsを大きくとることで位置ループゲインPの設定限界をアップできる。このため、フルクローズド位置制御において高い追従性能を得ることができる。
【0020】
また、前述の様に、対象システム構造と設計パラメータωsから決定されるフィードバックゲインベクトルFを用いて演算されるトルク帰還τbのフィードバックにより、τcからみた対象システムの安定性が高まるため、速度ループゲインAを大きく、つまりは、速度制御帯域指標値Vbndを大きくとることができる。加えて、本発明構成例の位置制御装置では、位置偏差X−xLに応じて発生する速度指令値Vに対して、対象システムの速度vLの速度帰還を用いているため、従来の位置制御装置と同程度の速度制御帯域指標値Vbndを選定しても、フルクローズド位置制御における追従性能は大きく改善できる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による位置制御装置は、対象システムの内部構造に応じて、その状態変数を推定するオブザーバとトルク帰還増幅部により演算されたトルク帰還τbをフィードバックすることで、速度制御ループ出力τcからみた対象システムの安定性を向上できる。その上で、対象システムの速度vLの速度帰還を用いた速度制御ループを構成し、速度制御ループ内に前記トルク帰還τbのフィードバックに伴う速度制御帯域の変化を補償する速度制御帯域補償部を設けた構成をとっている。このため、速度ループゲインAを大きく、つまりは、速度制御帯域を大きくとることができ、且つ、位置ループゲインPも大きくとることができるから、結果として、フルクローズド位置制御における高い安定性と追従性能を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるフルクローズド位置制御装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】 第1実施形態におけるオブザーバの構成例を示すブロック図である。
【図3】 本発明によるフルクローズド位置制御装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】 従来のフルクローズド位置制御装置の一例を示すブロック図である。
【図5】 対象システムの内部構造の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 速度制御帯域補償部、2 減算器、3 オブザーバ、4 トルク帰還増幅部、5 速度制御ループ、6,58 位置制御装置、50,52 減算器、51増幅器、53 速度AMP部、54 パワー増幅部、55 速度ループ増幅部、56 速度制御ループ、57 対象システム。
Claims (3)
- 位置制御ループと速度制御ループとを備え、制御対象である対象システムの位置を制御するフルクローズド位置制御装置において、
対象システムのトルク入力および対象システムから検出できる出力に基づき、対象システムの内部構造に応じて対象システムの状態変数を推定するオブザーバと、
前記状態変数からトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部であって、前記トルク帰還をフィードバックしたときに前記速度制御ループ出力からみた前記対象システムの安定性を操作できるフィードバックゲインを定めることでトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部と、
前記演算されたトルク帰還をフィードバックするトルク帰還フィードバック回路と、
前記速度制御ループ内に設けられ、前記トルク帰還のフィードバックに伴う速度制御帯域の変化を補償するゲインであって、トルク帰還を行うときの対象システムの設計振動数と対象システムの固有振動数とに基づいて定められる補償ゲインを有する速度制御帯域補償部と、
を具備し、速度帰還には前記オブザーバで推定された対象システム速度を用いることを特徴とするフルクローズド位置制御装置。 - 位置制御ループと速度制御ループとを備え、制御対象である対象システムの位置を制御するフルクローズド位置制御装置において、
対象システムのトルク入力および対象システムから検出できる出力に基づき、対象システムの内部構造に応じて対象システムの状態変数を推定するオブザーバと、
前記状態変数からトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部であって、前記トルク帰還をフィードバックしたときに前記速度制御ループ出力からみた前記対象システムの安定性を操作できるフィードバックゲインを定めることでトルク帰還を演算するトルク帰還増幅部と、
前記演算されたトルク帰還をフィードバックするトルク帰還フィードバック回路と、
前記速度制御ループ内に設けられ、前記トルク帰還のフィードバックに伴う速度制御帯域の変化を補償するゲインであって、トルク帰還を行うときの対象システムの設計振動数と対象システムの固有振動数とに基づいて定められる補償ゲインを有する速度制御帯域補償部と、
対象システムから検出できる出力としての対象システムの位置から対象システム速度を求める微分器と、
を具備し、速度帰還には前記微分器から出力される対象システム速度を用いることを特徴とするフルクローズド位置制御装置。 - 前記オブザーバは、対象システムから検出できる出力として、対象システムに含まれるモータの速度を用い、状態変数として、対象システムの速度と、ねじりトルクと、モータ速度とをそれぞれ推定し、
前記トルク帰還増幅部は、前記オブザーバによって推定された対象システムの速度推定値と、ねじりトルク推定値と、モータ速度推定値とに基づいて、フィードバックゲインを定め、トルク帰還を演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフルクローズド位置制御装置。
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