JP3869499B2 - 基板処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ランプアニールチャンバや熱CVDチャンバなどのように半導体ウエハなどの基板を枚葉式で熱処理する熱処理チャンバを備え、その熱処理チャンバおよび必要によりCVDチャンバ、スパッタリングチャンバなどの他の処理チャンバと基板の搬入部および搬出部と基板の搬送装置とを集合させ、雰囲気的に隔離された処理システム(一般にクラスタツールと呼ばれている)を用い、複数枚の基板の処理を行う基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、クラスタツールと呼ばれる処理システムは、1つもしくは複数種類の処理チャンバ、基板の搬入および搬出が行われる、例えば一対のロードロック室、ならびに、基板の搬送ユニットが設置された搬送室などを備え、それらを集合させて、例えば搬送室を中心にしてその周りに処理チャンバやロードロック室を放射状に配置し、全体を周囲の大気圧雰囲気から隔離することにより構成されている。この処理システムには、CVDチャンバやスパッタリングチャンバなど、各種の処理チャンバが組み合わされるが、最近ではランプアニールチャンバや熱CVDチャンバなどの熱処理チャンバも組み合わされている。
【0003】
熱処理チャンバ、例えばランプアニールチャンバは、その壁面が赤外線透過性を有する石英ガラスなどによって形成され、壁面に対向してハロゲンランプやキセノンランプなどのランプ群からなる加熱用光源が配設されて構成されている。このランプアニールチャンバでは、チャンバ内に半導体ウエハを1枚ずつ収容し、ウエハ温度検知装置および温度コントローラにより、予めプログラムされた所望の温度にウエハが光照射加熱される。そして、ウエハの熱処理が終了すると、加熱用光源への給電を停止して、熱処理炉内においてウエハを所望の温度にまで冷却させた後、ウエハの入替えを行って、次のウエハの熱処理が行われる。
【0004】
このようなランプアニールチャンバでウエハを1枚ずつ連続して順次熱処理する場合、同一のレシピで熱処理が行われる複数枚のウエハ相互間では、ウエハの熱処理温度を正確に均等にする必要がある。ここで、ウエハの温度を決める因子としては、加熱用光源からの放射熱量、チャンバの壁面形成材からの放射熱量およびチャンバ内へのウエハの持込み熱量が挙げられる。これらの因子のうち、チャンバ内へのウエハの持込み熱量については、チャンバへのウエハの搬入時の温度を室温程度にまで予め下げておくことが可能であるので、ウエハ温度への影響を無くすことができる。また、加熱用光源からの放射熱量については、オープンループ制御では、それぞれのウエハに対して一定である。したがって、ウエハの温度に対しては、チャンバの壁面形成材からの放射熱量が大きく影響を与えることになる。
【0005】
ランプアニールチャンバによりウエハを1枚ずつ同一レシピで順次熱処理していく場合、チャンバの壁面形成材は、ウエハが加熱用光源からの光照射によって加熱されている最中は温度が上昇し、加熱が停止してウエハの入替えが行われている間に温度が降下して、図2に示すような熱サイクルをもつことになる。したがって、チャンバの壁面形成材からの放射熱量によるウエハ温度への影響を無くして、ウエハ温度の再現性を高精度に得るためには、チャンバの壁面形成材の熱サイクルを繰返し再現させることが重要である。特にオープンループ制御では、チャンバの壁面形成材の熱サイクルを各ウエハの熱処理ごとに毎回再現させることがウエハ温度の再現性の決め手となる。また、フィードバック制御でも、ウエハの温度分布の再現性を良くするといった点において、チャンバの壁面形成材の熱サイクルを繰返し再現させることは意味をもつ。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のクラスタツールに設けられたランプアニールチャンバにより同一のレシピで複数枚のウエハを連続して順次熱処理する場合には、連続処理を開始した直後の1枚もしくは数枚のウエハを熱処理する時と、それ以降の、定常状態になってからウエハを熱処理する時とで、チャンバの壁面形成材の熱サイクルが相違することになる。また、レシピが変わった直後の1枚もしくは数枚のウエハを熱処理する時と、それ以降の、定常状態になってからウエハを熱処理する時とでも、チャンバの壁面形成材の熱サイクルが相違することになる。さらに、装置の故障など、何らかの原因により、同一レシピで複数枚のウエハを連続処理している途中で熱処理をいったん中断し、その後に熱処理を再開する場合にも、再開直後の1枚もしくは数枚のウエハを熱処理する時とそれ以降とでは、チャンバの壁面形成材の熱サイクルが相違することになる。チャンバの壁面形成材の熱サイクルが各熱処理間で相違すると、上記したように、特にオープンループ制御ではウエハ温度の高精度な再現性が得られなくなる。この結果、ウエハ間での熱処理品質の均一性が得られなくなる、といった問題点がある。
【0007】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、基板を1枚ずつ熱処理する熱処理チャンバを備え、その熱処理チャンバと基板の搬入部および搬出部と基板の搬送手段とを集合させて雰囲気的に隔離された処理システムを用いた場合において、熱処理チャンバにより同一のレシピで複数枚の基板を連続して順次熱処理する際に、各基板の熱処理ごとにチャンバの壁面形成材の熱サイクルが繰返し再現されて、基板温度の再現性が高精度に得られ、もって、基板間での熱処理品質の均一性が保持されるような基板処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明の基板処理方法では、基板を1枚ずつ熱処理する熱処理チャンバを備え該熱処理チャンバと基板の搬入部および搬出部と基板の搬送手段とを集合させて雰囲気的に隔離された処理システムとして、基板の搬送手段が設置された搬送チャンバを中心にしてその周りに熱処理チャンバ、基板の搬入部および搬出部ならびにダミー基板を収容して待機させる待機チャンバを放射状に配置した処理システムを用い、前記待機チャンバ内に1枚もしくは複数枚のダミー基板を配置し、前記熱処理チャンバで複数枚の基板を順次1枚ずつ熱処理する際において、その複数枚の基板のうちの1枚目の基板の熱処理を開始する前に、または、基板の熱処理をいったん中断した後再開する前に、前記待機チャンバ内から前記ダミー基板を取り出し、1枚もしくは複数枚の前記ダミー基板を前記熱処理チャンバで加熱処理して、熱処理チャンバの壁面形成材を、複数枚の基板を順次1枚ずつ熱処理する時の熱サイクルと同一の熱サイクル下に置き、その後に複数枚の基板のうちの1枚目の基板の熱処理を開始しまたは中断後の熱処理を再開するようにした。
【0009】
上記構成の請求項1に係る発明の基板処理方法では、処理システム内の待機チャンバ内に配置された1枚もしくは複数枚のダミー基板を熱処理チャンバで加熱処理することにより、熱処理チャンバの壁面形成材が、基板の熱処理時の熱処理サイクルと同一の熱サイクル下に置かれ、その後に、基板の熱処理が開始または再開されるので、開始または再開直後の1枚目の基板を熱処理する時点で、熱処理チャンバの壁面形成材は、定常的な熱サイクルが再現される状態にある。したがって、複数枚の基板のうちの1枚目の基板の熱処理を開始した直後においても、それ以降においても、熱処理チャンバの壁面形成材の熱サイクルが繰返し再現され、また、複数枚の基板の熱処理を中断した以前と、基板の熱処理を再開した直後およびそれ以降とにおいて、熱処理チャンバの壁面形成材の熱サイクルが再現される。このため、たとえオープンループ制御であっても、各熱処理時における基板温度の再現性が精度良く得られることになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最良の実施形態について図1を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、この発明に係る基板処理方法を実施するのに使用される、クラスタツールと呼ばれる処理システムの概略構成の1例を示す模式的平面図である。この処理システムは、システム内において基板、例えば半導体ウエハの搬送を行う搬送ユニット10が設置されたトランスファーチャンバ(搬送チャンバ)12を中心にして、その周りに一対のロードロック室14、16と、3つの処理チャンバ、例えばランプアニールチャンバ18、CVDチャンバ20およびスパッタリングチャンバ22と、ダミーウエハを収容して待機させておくためのシェルフチャンバ(待機チャンバ)24とを放射状に配置して構成されている。一対のロードロック室14、16のうちの一方には、処理しようとするウエハが複数枚収容されたローダ用カセットが配置され、他方には、処理済みのウエハが収容されるアンローダ用カセットが配置される。この処理システム全体は、周囲の大気圧雰囲気から隔離され、例えば真空状態に保持される。図中の26、28は、それぞれチャンバ内の雰囲気を隔離する絶縁バルブである。
【0012】
なお、処理システムの構成は、図1に示したものに限らないことはもちろんである。例えば、処理チャンバは、ランプアニールチャンバ1つのみであってもよいし、ランプアニールチャンバに代えて熱CVDチャンバなどの熱処理チャンバを設けてもよい。また、ロードロック室を1つだけ設けてそこにローダ用カセットとアンローダ用カセットを配置するようにしてもよい。さらに、各処理チャンバでのウエハの処理時間の違いなどから、1つの処理チャンバから次の処理チャンバへウエハを順次搬送していくことができないような場合には、処理システム内にウエハを一時保管するためのバッファチャンバを設けるようにしてもよい。
【0013】
図1に示した構成の処理システムでは、処理しようとするウエハは、ローダ用カセットに複数枚収容されて一方のロードロック室14内へ搬入される。そして、メモリにあらかじめ記憶させておいた処理プログラムに基づき、搬送コントローラによって搬送ユニット10が制御されるとともに、各プロセスコントローラによって各処理チャンバ18、20、22の処理ユニットがそれぞれ制御されることにより、ロードロック室14に配置されたローダ用カセットからウエハが1枚ずつ順次抜き出されて各処理チャンバ18、20、22でそれぞれ所要の処理を施され、処理が終了したウエハは、他方のロードロック室16に配置されたアンローダ用カセット内へ1枚ずつ順次挿入されていく。そして、処理済みのウエハが複数枚収容されたアンローダ用カセットは、ロードロック室16から搬出される。なお、この発明は、上記処理システムに設けられた熱処理チャンバ、図示例ではランプアニールチャンバ18における処理方法に特徴を有したものであるので、以下では、ランプアニールチャンバ18でのウエハの処理についてだけ説明する。
【0014】
この発明に係る処理方法では、ランプアニールチャンバ18により複数枚のウエハを1枚ずつ同一のレシピで順次熱処理していく場合に、1枚目のウエハを熱処理する前に、搬送ユニット10によりシェルフチャンバ24からダミーウエハを取り出し、そのダミーウエハをランプアニールチャンバ18内へ挿入する。そして、ランプアニールチャンバ18内に収容されたダミーウエハを加熱用光源からの光照射によって加熱し、加熱後にダミーウエハを冷却してランプアニールチャンバ18内から排出する。この際、ダミーウエハの加熱レシピは、製品となるウエハの加熱レシピと同一にしてもよいし同一でなくてもよい。このダミーウエハの加熱処理は、ランプアニールチャンバ18の壁面形成材が、製品となるウエハの熱処理時の熱サイクル(図2参照)と同一の熱サイクル下に置かれるまで、1枚或いは複数枚のダミーウエハを使用して行われる。そして、ランプアニールチャンバ18の壁面形成材が定常的な熱サイクルを再現することができる状態になると、ランプアニールチャンバ18からのダミーウエハの排出動作から連続して、製品となる1枚目のウエハをランプアニールチャンバ18内へ挿入し、ウエハを熱処理する。以後、同一のレシピにより複数枚のウエハを1枚ずつ順次熱処理していく。
【0015】
また、同一のレシピで複数枚のウエハを熱処理した後、レシピが変更される場合には、変更前のレシピで最後のウエハを熱処理した後、変更後のレシピで1枚目のウエハを熱処理する前に、上記した場合と同様にして1枚もしくは複数枚のダミーウエハを加熱処理するようにする。そして、ランプアニールチャンバ18の壁面形成材が、変更後のレシピによりウエハを熱処理する時の熱サイクルが定常的に再現される状態となった後に、変更後のレシピで複数枚のウエハを熱処理する。
【0016】
さらに、装置の故障など、何らかの原因により、同一のレシピで複数枚のウエハを1枚ずつ連続して熱処理している途中で熱処理をいったん中断したような場合には、中断の原因を取り除いた後熱処理を再開する前に、上記した場合と同様にして1枚もしくは複数枚のダミーウエハを加熱処理するようにする。そして、ランプアニールチャンバ18の壁面形成材が、中断前におけるウエハの熱処理時の定常的な熱サイクルが再現される状態となった後に、残りのウエハの熱処理を再開する。
【0017】
【発明の効果】
この発明に係る基板処理方法によれば、熱処理チャンバと基板の搬入部および搬出部と基板の搬送手段とを集合させて雰囲気的に隔離された処理システムの内部において熱処理チャンバにより同一のレシピで複数枚の基板を1枚ずつ熱処理する際に、各基板の熱処理ごとに熱処理チャンバの壁面形成材に定常的な熱サイクルが再現されるので、例えオープンループ制御であっても各基板の熱処理時の基板温度の再現性が精度良く得られ、このため、同一レシピで熱処理された基板間での品質の均一性が保持されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る基板処理方法を実施するのに使用される処理システムの概略構成の1例を示す模式的平面図である。
【図2】 熱処理チャンバにより複数枚の基板を1枚ずつ順次熱処理する場合におけるチャンバの壁面形成材の熱サイクルを示す図である。
【符号の説明】
10 搬送ユニット
12 トランスファーチャンバ(搬送チャンバ)
14、16 ロードロック室
18 ランプアニールチャンバ
20、22 処理チャンバ
24 シェルフチャンバ(待機チャンバ)

Claims (1)

  1. 基板を1枚ずつ熱処理する熱処理チャンバを備え、少なくとも前記熱処理チャンバと基板の搬入部および搬出部と基板の搬送手段とを集合させて雰囲気的に隔離された処理システムを用い、複数枚の基板の処理を行う基板処理方法において、
    前記処理システムとして、基板の搬送手段が設置された搬送チャンバを中心にしてその周りに熱処理チャンバ、基板の搬入部および搬出部ならびにダミー基板を収容して待機させる待機チャンバを放射状に配置した処理システムを用い、前記待機チャンバ内に1枚もしくは複数枚のダミー基板を配置し、前記熱処理チャンバで複数枚の基板を順次1枚ずつ熱処理する際においてその複数枚の基板のうちの1枚目の基板の熱処理を開始する前にまたは基板の熱処理をいったん中断した後再開する前に、前記待機チャンバ内から前記ダミー基板を取り出し、1枚もしくは複数枚のダミー基板を前記熱処理チャンバで加熱処理して、熱処理チャンバの壁面形成材を、複数枚の基板を順次1枚ずつ熱処理する時の熱サイクルと同一の熱サイクル下に置くことを特徴とする基板処理方法。
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