JP4503713B2 - 真空成膜法の基板冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成膜法の基板冷却方法に関し、更に詳しくは、例えばPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法によりガラス基板上にa-SiTFT膜用のアモルファスシリコン膜(a-Si膜)、シリコン窒化膜(SiNx膜)、シリコン酸化膜(SiO2膜)等の膜、または基板上にpolySiTFT膜用のアモルファスシリコン膜(a-Si膜)、シリコン酸化膜(SiO2膜)、シリコン酸窒化膜(Si酸窒化膜)、シリコン窒化膜(SiNx膜)、ポリシリコン膜(poly-Si膜)等の膜を成膜した後、高温度のガラス基板に損傷を与えることなく速やかに冷却する真空成膜法の基板冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の例えばa-SiTFT膜の成膜に用いる枚葉式PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)装置や枚葉式スパッタ装置は図8および図9に示すように、基板aを大気中の外部との間で出入する圧力調節自在の仕込/取出室b、cと、該基板aに膜を成膜する4つの成膜室d、e、f、gと、該基板aを搬送する基板搬送用ロボットから成る搬送手段hを備えた搬送室iとから成る装置であり、そして、仕込/取出室b、cと各成膜室d、e、f、gを搬送室iの周囲に接続した装置である。
【0003】
尚、図中、jは仕込/取出室b、cの大気側に配設せる開閉バルブ、kは仕込/取出室b、c内を所定圧に排気するための真空ポンプ等の真空排気系(図示せず)に接続せる真空排気管、mは仕込/取出室b、cと搬送室iとの間に配設せる仕切バルブ、nは基板aを載置するカセット、oは基板aの加熱室、pは成膜室d、e、f、gの夫々と搬送室hとの間に配設せる仕切バルブ、qは加熱室oと搬送室iとの間に配設せる仕切バルブを夫々示す。
【0004】
そして、ガラス基板a上に例えばSi窒化膜(SiNx:H)を成膜するには、先ず、仕込/取出室bの開閉バルブjを介してカセットnに20枚程度のガラス基板aを載置する。続いて仕込/取出室b、c内、各成膜室d、e、f、g内および加熱室o内を真空排気系(図示せず)で排気して所定圧に設定した後、搬送室iの搬送手段hの作動により、仕込/取出室bのカセットnよりガラス基板aを1枚ずつ取出し、これを各仕切バルブp、qを介して加熱室o内および成膜室d、e、f、g内に順次搬送し、加熱室o内でガラス基板aを例えば350℃に加熱し、続いて成膜室d、e、f、g内で例えばPECVD法によりガラス基板a上にSiNx:H膜を成膜した後、仕込/取出室c内に搬送し、仕込/取出室c内のカセットnに載置する。
【0005】
最後に仕込/取出室cの開閉バルブjを開いて仕込/取出室c内に大気を導入して仕込/取出室c内を大気圧にベントした後、表面に成膜されたガラス基板aを仕込/取出室c内のカセットnより大気中に取り出す。
【0006】
このようにa-SiTFT膜の成膜に用いられる図8および図9に示す枚葉式PECVD装置や枚葉式スパッタ装置は、仕込/取出室を2個有しており、そして仕込/取出室b、cの夫々にはカセットnを備えている。また、カセットnには20枚程度のガラス基板aを載置出来るようになっている。
【0007】
従って、従来の枚葉式PECVD装置を用い、PECVD法にて温度350℃でガラス基板上に成膜を行なっても、例えば仕込/取出室bの基板が成膜終了後は自動的に仕込/取出室cのカセットから基板が供給されて成膜が行われるので、仕込/取出室cの基板を処理している間に仕込/取出室bの基板を冷却して大気中に取出し、新しい基板を入れて真空排気する。従って数分間の冷却時間があるため、ガラス基板aを仕込/取出室c内より大気中に取り出すまでに、ガラス基板aはカセットn上で徐冷されるから、大気中に取り出す際にはガラス基板aは100℃程度に冷却されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の枚葉式PECVDスパッタ装置は仕込/取出室内にカセットを備え、カセットに載置された多数のガラス基板を仕込/取出室内で同時に排気、或いは仕込/取出室内に大気を導入して大気圧にベントするため、仕込/取出室の体積が大きくなるばかりではなく、カセットの上下機構、ガラス基板の移載機等、仕込/取出室周辺が大変大がかりな機構となっていた。
【0009】
そこで、仕込/取出室からのガラス基板の仕入/取出を1枚ずつ行なう方式は概念として、以前よりあったが、成膜した高温度のガラス基板を大気中に取り出した際、冷却のためにガラス基板を例えば温度100℃の冷却プレートの上に置くと、急冷のためガラス基板にソリを生じたり、このソリが大きくなるとガラス基板にヒビ割れが生じ、更にはガラス基板が割れてしまうという問題があった。
【0010】
これは、大気中で熱いガラス基板を冷却プレート上に置いた瞬間にガラス基板と冷却プレートの間にある空気も加熱されて膨張する。しかし、ガラス基板の端部は冷却プレートと接していて冷却されるため、冷えて縮小しようとする。また、ガラス基板の中心付近では加熱された空気は逃げ場がないため、ガラス基板の中心部分を僅かに押し上げる。
この結果、ガラス基板の周囲は冷却されるが、ガラス基板の中心の方は冷却されないため、ますます変形がひどくなり、図10のようにおわん形の変形を生じて、変形に耐えられなくなった時点でガラス基板は割れてしまうという問題がある。
【0011】
特に、大きさが縦500mm×横400mm×厚さ1.1mmのような大型のガラス基板の場合は、その傾向が顕著である。
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解消し、成膜された高温度のガラス基板を急冷しても変形、或いは割れることのない、真空成膜法の基板冷却方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、仕込/取出室内に50℃〜300℃の恒温プレートを配設し、成膜された高温度のガラス基板を恒温プレート上に載置し、ガラス基板を仕込/取出室内で、かつ真空中で所定温度まで、或いは所定時間冷却し、その後、仕込/取出室内からガラス基板を大気中に取り出すようにした真空成膜法の基板冷却方法である。
【0014】
本発明の課題を解決するための具体的な手段を下記に記述する。
【0015】
本発明の真空成膜法の基板冷却方法は、真空状態の成膜室でガラス基板上にアモルファスシリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜およびAl、Cr等の金属膜または金属の酸化膜、窒化膜を成膜した後、ガラス基板を取出室に移して冷却する真空成膜法であって、予め、取出室内に恒温プレートを設置しておき、成膜された高温度のガラス基板を、取出室を真空に保った状態で50℃〜300℃に保たれた恒温プレート上に載置し、その状態でガラス基板を所定時間冷却した後、取出室内に大気を導入し、大気圧となった取出室内でガラス基板を冷却することを特徴とする。
【0018】
[作用]
大気中で熱いガラス基板を冷却プレート上に置いた瞬間にガラス基板と冷却プレートの間にある空気も加熱されて膨張する。しかし、ガラス基板の端部は冷却プレートと接していて冷却されるため、冷えて縮小しようとする。また、ガラス基板の中心付近では加熱された空気は逃げ場がないため、ガラス基板の中心部分を僅かに押し上げる。
この結果、ガラス基板の周囲は冷却されるが、ガラス基板の中心の方は冷却されないため、ますます変形がひどくなり、おわん形の変形を生じて、変形に耐えられなくなった時点でガラス基板は割れてしまうという問題がある。
【0019】
従って、空気のない状態、即ち真空中でガラス基板を恒温プレート上に置けば、ガラス基板を変形させずに均一に冷却することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0021】
図1および図2は本発明の真空成膜装置の1実施例を示すものであり、図中、1、2はガラス基板3を大気圧の外部との間で出し入れする大気圧の外部と区分された圧力調節自在の仕込/取出室を示し、ガラス基板3は一方の仕込/取出室1内へ開閉バルブ4を介して外部から搬入され、他方の仕込/取出室2から開閉バルブ5を介して外部に取り出される。
【0022】
また、仕込/取出室1、2内の夫々に真空ポンプ等の真空排気系6に連なる真空排気管7を接続し、仕込/取出室1、2内の圧力調節は真空排気系6の作動により行なうようにした。
【0023】
そして、仕込/取出室1、2は夫々仕切バルブ8を介して基板搬送用ロボットの搬送手段9を内部に備えた図示例では7角形の搬送室10に接続して設けられている。
また、搬送手段9を構成する基板搬送用ロボットは昇降よび旋回自在の支軸に伸縮自在の腕を備えた公知の構成のものを用いた。
【0024】
また、搬送室10内も図示していない真空ポンプ等の真空排気系に連なる真空排気管に接続され、搬送室10内の圧力調節は真空排気系の作動により行なうようにした。
【0025】
そして、搬送室10の周囲に加熱室11を仕切バルブ16を介して接続すると共に、4つの成膜室12、13、14、15を仕切バルブ17を介して接続した。
【0026】
また、加熱室11内も図示していない真空ポンプ等の真空排気系に連なる真空排気管に接続され、加熱室11内の圧力調節は真空排気系の作動により行なうようにした。また、加熱室11内には、図示していないガラス基板3を所定温度まで加熱するためのカーボン製の加熱ヒーターが配設されている。
【0027】
また、各成膜室12、13、14、15内も図示していない真空ポンプ等の真空排気系に連なる真空排気管に夫々接続され、各成膜室内の圧力調節は真空排気系の作動により行なうようにした。また、各成膜室12、13、14、15には、図示していない成膜原料ガスの導入管が夫々接続されている。
また、成膜室12、13、14、15はプラズマCVD室、スパッタ室、或いは減圧CVD室のいずれかの公知の構成のものを用いた。
【0028】
前記構成は従来の枚葉式真空成膜装置と特に変わるところがないが、本発明の特徴に従って、仕込/取出室1、2内に恒温プレート18を配設した装置である。
【0029】
次に、恒温プレート18の構成について説明する。
【0030】
恒温プレート18は厚さ10mmのグラファイト板を2枚用いて、2枚のグラファイト板の間にシースヒータを配置してサンドイッチした構成である。
そして温度制御用として熱電対が1本中心付近に固定されている。グラファイト板はパーティクルを減少させるために表面硬化処理(グラッシー処理)が施されている。
【0031】
そして、図2に示すように恒温プレート18を仕込/取出室1、2内に配設すると共に、恒温プレート18の近傍に昇降自在のホイスト19を配設した。
【0032】
また、ガラス基板3の仕込/取出室1内への搬入は、例えば次のように行なうようにした。
ガラス基板3は搬送室10側の仕切バルブ8を開いて搬送手段(基板搬送用ロボット)9の進退操作で、仕込/取出室1の外部から開かれている開閉バルブ4を介して仕込/取出室1内に搬入され、恒温プレート18の上方に搬送する。そして、搬送されてきたガラス基板3の恒温プレート18上への受け渡しは、恒温プレート18近傍に配設したホイスト19の昇降により行なう。
【0033】
また、ガラス基板3の仕込/取出室2内からの搬出は、例えば次のように行なうようにした。
恒温プレート18で所定温度までガラス基板3を冷却した後、仕込/取出室2の開閉バルブ5を開いて仕込/取出室2内を大気圧にする。そして、ガラス基板3を恒温プレート18近傍に配設したホイスト19の上昇により恒温プレート18の上方に搬送する。そして、恒温プレート18の上方に搬送されたガラス基板3は、搬送室10側の仕切バルブ8を開いて搬送手段(基板搬送用ロボット)9の前進操作で仕込/取出室2の開かれている開閉バルブ5を介して仕込/取出室2より外部に搬出する。
【0034】
ガラス基板3を冷却する恒温プレート18の温度範囲を50℃〜300℃としたのは、恒温プレートの温度が50℃以下の場合は、基板による加熱により冷却手段が別個に必要となり、また、恒温プレートの温度が300℃を超えた場合は、仕込/取出室1、2の室壁や内部治具の温度が上がりすぎ、別個に冷却手段が必要となるからである。
【0035】
また、請求項第1項における真空中でガラス基板を所定温度まで冷却する際の所定温度は、300℃以上ではガラス基板を急冷するとガラスの割れが発生する確率が増加するとの理由から300℃程度とする。
【0036】
また、請求項第2項における真空中でガラス基板を所定時間冷却する際の所定時間は、装置のタクトタイムが60秒ないし120秒であることから10秒ないし70秒程度とする。
【0037】
恒温プレート18上で冷却中のガラス基板3の温度測定は次のような手段で行なうようにした。
図2に示すように仕込/取出室2内でホイスト19の下降開始と同時に仕込/取出室2の上方から3個の熱電対20をガラス基板3の温度測定位置に懸架するようにした。また、ガラス基板3の温度測定位置は、図3に示すようにガラス基板3のコーナーA、ガラス基板3の中心B、ガラス基板3の短辺側中央部Eの3個所とした。
尚、ガラス基板3の温度測定位置はこれに限定されるものではなく、ガラス基板の大きさ、ガラス基板上に成膜する膜の材質、或いは成膜法によって適宜設定すればよい。
【0038】
次に、ガラス基板3の仕込/取出室1内への搬入から冷却まで、並びに仕込/取出室2から外部への搬出の手順について説明する。
1) ガラス基板3を外部から搬送室10の搬送手段9で仕込/取出室1内に搬入した後、真空排気系6で仕込/取出室1内を所定圧まで排気する、
2) 搬送室10の搬送手段9でガラス基板3を仕込/取出室1より加熱室11内に搬送した後、真空排気系で加熱室11内を所定圧まで排気する、
3) 加熱室11でガラス基板3を所定温度まで加熱する(10分)、
4. 加熱されたガラス基板3を搬送室10の搬送手段9で例えば成膜室12内に搬送した後、真空排気系で成膜室12内を所定圧まで排気し、公知の成膜法によりガラス基板3上に成膜する、
5) 基板上に成膜された高温度のガラス基板3を搬送室10の搬送手段9で成膜室12から仕込/取出室2に搬送する(10秒)、
6) 仕込/取出室2でホイスト19を上昇させて成膜室12から搬送されてきたガラス基板3をホイスト19で受け取る(3秒)、
7) 仕込/取出室2の搬送室10側の仕切バルブ16を閉じて、真空排気系6で仕込/取出室2内を所定圧まで排気した後、仕込/取出室2内に窒素(N2)ガスを導入し、所定のガス圧に設定する(2秒)、
8) 所定のガス圧になった時点で、ホイスト19を下降させ、ガラス基板3を所定温度に設定された恒温プレート18上に載置する(3秒)、
9) ガラス基板3が恒温プレート18で所定温度まで冷却された後、仕込/取出室2の開閉バルブ5を開いて仕込/取出室2内に大気を導入して大気圧にベントする(12秒)、
10) 仕込/取出室2内を大気圧にした後、ホイスト19を上昇させてガラス基板3を恒温プレート18の上方に搬送し、搬送室10の搬送手段9で仕込/取出室2の外部に搬出する。
【0039】
尚、図示例(図1、図2)装置では恒温プレート18を仕込/取出室1と仕込/取出室2の夫々に配設した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガラス基板を所定温度まで冷却し、その後、外部に取出す仕込/取出室2のみに恒温プレート18を配設してもよい。
【0040】
また、図示例(図1、図2)装置では仕込/取出室1と仕込/取出室2との間に4つの成膜室を配設した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、成膜室の数はガラス基板上に成膜する膜の材質、成膜法、タクトタイムに対応させて適宜設定すればよい。
【0041】
【実施例】
本発明の図1、図2装置を用いた真空成膜法の基板冷却方法の具体的実施例を比較例と共に説明する。
尚、ガラス基板の加熱から冷却までの手順は、前記手順のうち項4)のガラス基板上への成膜工程は省略して行なった。
【0042】
実施例1
本実施例はガラス基板を真空中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を調べる実験である。
【0043】
先ず、縦400mm×横500mm×厚さ1.1mmのガラス基板3(コーニング社製、商品名コーニング7059)を加熱室11内で温度300℃に加熱した。
【0044】
また、仕込/取出室2内の恒温プレート18の温度を80℃に設定した。
尚、仕込/取出室1内の恒温プレート18はそのまま(常温)とした。
【0045】
次に、300℃に加熱されたガラス基板3を搬送室10の搬送手段9を用いて仕込/取出室2内のホイスト19上に搬送した後、真空排気系6で仕込/取出室2を所定圧まで排気し、その後、仕込/取出室2内に窒素(N2)ガスを導入して、ガス圧を13.3Pa(0.1Torr)に設定した。
【0046】
続いて、ホイスト19を下降させてガラス基板3を恒温プレート18上に載置した。
【0047】
そして、ガラス基板3を恒温プレート18上に載置した時点からガラス基板3の各位置[コーナー(A)、中心(B)、短辺側中央部(E)]で基板温度の時間経過変化を調べた。
その結果を図4に○印(コーナー:A)、●印(中心:B)、△印(短辺側中央部:E)として示す。
【0048】
図4から明らかなように、仕込/取出室2内の圧力が13.3Pa(0.1Torr)であれば300秒程度経過すると、ガラス基板3は恒温プレート18とほぼ同じ温度まで降下することが分かる。
しかも、ガラス基板3のコーナー(A)、中心(B)、短辺側中央部(E)のいずれの位置においても±10℃以下の温度差で均一に降下することが分かる。
【0049】
また、冷却後、外部に取り出したガラス基板を目視により調べたところ、ガラス基板にはソリ、並びにひび割れは何ら見当らなかった。
【0050】
比較例1
本比較例はガラス基板を大気中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を調べる実験である。
【0051】
先ず、縦400mm×横500mm×厚さ1.1mmのガラス基板3(コーニング社製、商品名コーニング7059)を加熱室11内で温度300℃に加熱した。
【0052】
また、仕込/取出室2内の恒温プレート18の温度を50℃に設定した。
尚、仕込/取出室1内の恒温プレート18はそのまま(常温)とした。
【0053】
次に、300℃に加熱されたガラス基板3を搬送室10の搬送手段9を用いて仕込/取出室2内のホイスト19上に搬送した後、仕込/取出室2内に大気を導入して、仕込/取出室2内の圧力を大気圧[1atm(760Torr)]とした。
【0054】
続いて、ホイスト19を下降させてガラス基板3を恒温プレート18上に載置した。
【0055】
そして、ガラス基板3を恒温プレート18上に載置した時点からガラス基板3の各位置[コーナー(A)、中心(B)、短辺側中央部(E)]で基板温度の時間経過変化を調べた。
その結果を図5に○印(コーナー:A)、●印(中心:B)、△印(短辺側中央部:E)として示す。
【0056】
図5から明らかなように、ガラス基板3の冷却を当初から大気中(仕込/取出室2内の圧力が大気圧)で行なった場合は、ガラス基板3のコーナー(A)と短辺側中央部(E)では前記実施例1におけるガラス基板3のコーナー(A)、短辺側中央部(E)よりも速く冷却されていることが分かる。また、ガラス基板3の中心(B)ではガラス基板3の他の位置[コーナー(A)、短辺側中央部(E)]よりも遅く冷却されていることが分かる。
しかも、ガラス基板3のコーナー(A)、中心(B)、短辺側中央部(E)のいずれの位置においても不均一な温度差で降下することが分かる。
【0057】
また、冷却後、外部に取り出したガラス基板を目視により調べたところ、ガラス基板は図10に示すようなおわん型の変形をしながら冷却されていることが分かる。更にガラス基板の変形部分にはひび割れが生じていた。
【0058】
実施例2
本実施例はガラス基板を真空中で冷却し、その後、大気中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を調べる実験である。
【0059】
先ず、縦400mm×横500mm×厚さ1.1mmのガラス基板3(コーニング社製、商品名コーニング7059)を加熱室11内で温度300℃に加熱した。
【0060】
また、仕込/取出室2内の恒温プレート18の温度を80℃に設定した。
尚、仕込/取出室1内の恒温プレート18はそのまま(常温)とした。
【0061】
次に、300℃に加熱されたガラス基板3を搬送室10の搬送手段9を用いて仕込/取出室2内のホイスト19上に搬送した後、真空排気系6で仕込/取出室2内を所定圧まで排気し、その後、仕込/取出室2内に窒素(N2)ガスを導入して、ガス圧を13.3Pa(0.1Torr)に設定した。
【0062】
続いて、ホイスト19を下降させてガラス基板3を恒温プレート18上に載置し、該圧力を20秒間維持した後、仕込/取出室2内に大気を導入(ベント開始)して仕込/取出室2内を大気圧1atm(760Torr)にベントした。
尚、ベント開始後20秒で仕込/取出室2内は大気圧に到達していた。
【0063】
そして、ガラス基板3を恒温プレート18上に載置した時点からガラス基板3の各位置[コーナー(A)、中心(B)、短辺側中央部(E)]で基板温度の時間経過変化を調べた。
その結果を図6に○印(コーナー:A)、●印(中心:B)、△印(短辺側中央部:E)として示す。
【0064】
図6から明らかなように、仕込/取出室2内の圧力を13.3Pa(0.1Torr)から大気圧1atm(760Torr)となるように変えた時点、即ちベント開始と同時にガラス基板温度は急激に降下し、10秒後にはガラス基板3は恒温プレート18とほぼ同じ温度まで降下することが分かる。
しかも、ガラス基板3の冷却中に仕込/取出室2内の圧力を真空状態から途中で大気圧にしたにもかかわらず、ガラス基板3のコーナー(A)、中心(B)、短辺側中央部(E)のいずれの位置においても均一に冷却されていることが分かる。
【0065】
また、冷却後、外部に取り出したガラス基板を目視により調べたところ、ガラス基板にはソリ、並びにひび割れは何ら見当らなかった。
【0066】
実施例3
本実施例は温度の異なる恒温プレートを用い、ガラス基板を真空中で冷却し、その後、大気中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を調べる実験である。
【0067】
先ず、縦400mm×横500mm×厚さ1.1mmのガラス基板3(コーニング社製、商品名コーニング7059)を加熱室11内で温度400℃に加熱した。
【0068】
また、仕込/取出室2内の恒温プレート18の温度を300℃、200℃、80℃のいずれかに設定した。
尚、仕込/取出室1内の恒温プレート18はそのまま(常温)とした。
【0069】
次に、400℃に加熱されたガラス基板3を搬送室10の搬送手段9を用いて、300℃、200℃、80℃のいずれかの温度に設定した恒温プレート18を有する仕込/取出室2内のホイスト19上に搬送した後、真空排気系6で仕込/取出室2を所定圧まで排気し、その後、仕込/取出室2内に窒素(N2)ガスを導入して、ガス圧を13.3Pa(0.1Torr)に設定した。
【0070】
続いて、ホイスト19を下降させてガラス基板3を恒温プレート18上に載置し、該圧力を15秒間維持した後、仕込/取出室2内に大気を導入(ベント開始)して仕込/取出室内を大気圧1atm(760Torr)にベントした。
尚、ベント開始後12秒で仕込/取出室2内は大気圧に到達していた。
【0071】
そして、ガラス基板3を恒温プレート18上に載置した時点からガラス基板3の中心(B)で、夫々の恒温プレート温度毎に基板温度の時間経過変化を調べた。
その結果を図7に●印(恒温プレート温度300℃)、○印(恒温プレート温度200℃)、△印(恒温プレート温度80℃)として示す。
【0072】
図7から明らかなように、仕込/取出室2内の圧力を13.3Pa(0.1Torr)から大気圧1atm(760Torr)となるように変えた時点、即ちベント開始と同時に、温度の異なる恒温プレート18のいずれの場合においてもガラス基板温度は急激に降下し、10秒後ないし15秒後にはガラス基板3は恒温プレート18とほぼ同じ温度まで降下することが分かる。
しかも、ガラス基板3の冷却中に仕込/取出室2内の圧力を真空状態から途中で大気圧にしたにもかかわらず、温度の異なる恒温プレート18のいずれの場合においても速やかに均一な降下状態で冷却されていることが分かる。
【0073】
また、冷却後、外部に取り出したガラス基板を目視により調べたところ、いずれのガラス基板にもソリ、並びにひび割れは何ら見当らなかった。
【0074】
実施例1から明らかなように、高温度のガラス基板を真空中で冷却(ここでは恒温プレートの温度程度)することにより、ガラス基板に何らの損傷(ソリ、ひび割れ)を与えることなく、冷却出来ることが確認された。
【0075】
また、実施例2、3から明らかなように、高温度のガラス基板に対し、当初は真空中で冷却(ここでは一定時間)することにより、その後は、仕込/取出室内に大気を導入して、大気中で冷却してもガラス基板に何らの損傷(ソリ、ひび割れ)を与えることなく、速やかに冷却出来ることが確認された。
【0076】
これに対し、比較例1のように、高温度のガラス基板に対し、当初より大気中で冷却を行なうと、ガラス基板に損傷(ソリ、ひび割れ)が生じることが確認された。
【0077】
前記実施例では枚葉式PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)装置の仕込/取出室内に恒温プレートを設置した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スパッタ装置、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)装置、イオン注入装置等、ガラス基板の枚葉処理を行なう装置であれば全てに応用することが可能である。
【0078】
図示例(図1、図2)装置では搬送室10を7角形とし、搬送室10を取り囲むように仕込/取出室1と仕込/取出室2との間に加熱室11および各成膜室12、13、14、15を配設したが、本発明はこれに限定されるものではなく、仕込/取出室1と仕込/取出室2との間に内部に搬送手段を備えた基板の加熱室11および真空の各成膜室12、13、14、15を仕切バルブを介して直列状態で配置したインライン式真空成膜装置の仕込/取出室1と仕込/取出室2の夫々に、またはガラス基板を取出す側の仕込/取出室2のみに恒温プレート18を配設することも可能である。
【0079】
【発明の効果】
本発明の真空成膜法の基板冷却方法によるときは、高温度のガラス基板を仕込/取出室内の恒温プレート上で、かつ真空中で所定温度まで冷却した後、大気中に取り出すようにしたので、成膜後の高温度のガラス基板の温度を均一な状態で降下させることが出来て、ガラス基板に変形、或いはひび割れさせることなく、冷却することが出来る等の効果がある。
【0080】
また、もう一つの真空成膜法の基板冷却方法によるときは、高温度のガラス基板を仕込/取出室内の恒温プレート上で、かつ真空中で所定時間冷却した後、仕込/取出室内に大気を導入しながら冷却し、その後、大気圧となった仕込/取出室内より大気中に取り出すようにしたので、成膜後の高温度のガラスの温度を急速に降下させることが出来て、ガラス基板に変形、或いはひび割れさせることなく、速やかに冷却することが出来る等の効果がある。
【0081】
また、本発明の基板冷却方法によれば、基板温度の高速制御が可能となって、枚葉式における真空成膜を容易に、かつ連続して行なえることが出来る。
【0082】
本発明の真空成膜装置の基板冷却装置によるときは、仕込/取出室のうち少なくともガラス基板を取出す側の仕込/取出室内に高温度のガラス基板を真空中で冷却する恒温プレートを配設したので、成膜後の高温度のガラス基板を変形、或いはひび割れさせることなく、冷却させることが出来る装置を提供する効果がある。
【0083】
また、本発明の基板冷却装置によれば、基板温度の高速制御が可能となって、枚葉式における真空成膜を容易に、かつ連続して行なえて、枚葉仕込/取出を高速タクトで行なえることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の真空成膜装置の1実施例を示す説明線図、
【図2】 本発明の恒温プレートを備えた仕込/取出室の要部を示す説明線図、
【図3】 ガラス基板の温度測定位置を示す説明図、
【図4】 ガラス基板を真空中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を示す特性線図、
【図5】 ガラス基板を大気中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を示す特性線図、
【図6】 ガラス基板を真空中で冷却し、その後、大気中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を示す特性線図、
【図7】 温度の異なる恒温プレートを用い、ガラス基板を真空中で冷却し、その後、大気中で冷却した場合におけるガラス基板温度と時間との関係を示す特性線図、
【図8】 従来の枚葉式真空成膜装置を示す説明線図、
【図9】 従来の枚葉式真空成膜装置の仕込/取出室の要部を示す説明線図、
【図10】 従来の冷却プレート法で冷却した場合のガラス基板の変形状態を示す説明図。
【符号の説明】
1 仕込/取出室、 2 仕込/取出室、 3 ガラス基板、
4 仕込/取出室1の開閉バルブ、
5 仕込/取出室2の開閉バルブ、 6 真空排気系、
7 真空排気管、 8 仕切バルブ、 9 搬送手段、
10 搬送室、 11 加熱室、
12、13、14、15 成膜室、 16、17 仕切バルブ、
18 恒温プレート。
Claims (1)
- 真空状態の成膜室でガラス基板上にアモルファスシリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜およびA1、Cr等の金属膜または金属の酸化膜、窒化膜を成膜した後、ガラス基板を基板取出室に移して冷却する真空成膜法であって、予め、基板取出室内に恒温プレートを設置しておき、成膜された高温度のガラス基板を、基板取出室を真空に保った状態で50℃〜300℃に保たれた恒温プレート上に載置し、その状態でガラス基板を所定時間冷却した後、基板取出室内に大気を導入し、大気圧となった基板取出室内でガラス基板を冷却することを特徴とする真空成膜法の基板冷却方法。
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