JP3869207B2 - サブレートスイッチング遠隔通信スイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に遠隔通信分野に関し、特に、プログラム可能なカードを有するプログラム可能な遠隔通信スイッチであって、前記カードが該スイッチの任意のポートに呼び出し処理及び通信サービスを動的に提供する、遠隔通信スイッチに関する。
関連特許との相互参照
以下の本出願人の特許は本発明に関連するものである。
「Expandable Telecommunications System」と題する米国特許第4.544.163号
「Telecommunications Switch With Programmable Communications Services」と題する米国特許第4.349.579号
【0002】
【従来の技術】
従来のディジタル遠隔通信スイッチは、時分割多重化(TDM)技術を用いてスイッチングを行うためにタイムスロット交換(TSI)を採用するものが多い。既知のように、従来のTSIは、ディジタル情報(即ち音声・データ等)を格納するための記憶装置、カウンタ、及び制御記憶装置を備えている。カウンタは、記憶装置に加えられる連続的なアドレスを周期的に生成する。かかる各アドレスが記憶装置に加えられると、タイムスロット(即ち1バイト)として知られる部分ディジタル情報が、前記アドレスに対応する記憶装置における特定の場所に格納される。一般に、従来の遠隔通信スイッチでは、該スイッチの単一の一意の「ポート」に各タイムスロットが関連付けされる。この場合、各ポートとは、電話回線、トランク、又はその他の装置について可能な接続を表すものである。
【0003】
スイッチング機能は、カウンタと同時にアドレスを生成する制御記憶装置により実行される。しかし、該制御記憶装置により生成されるアドレスは、動的に変更される可能性があり、一般には連続するものではない。このため、読み出し動作中にそれらの再順序付けされたアドレスがTSI記憶装置に加えられ、これにより、以前に格納された情報を記憶装置から読み出す順番が切り換えられ又は交換されることになる。このようにして、特定のタイムスロット中に任意の所与のポートから読み出された後に記憶装置に格納された情報は、その後、別のタイムスロット中に記憶装置から読み出されて任意の他のポートに送られる。
【0004】
上記の基本的な時間切り替え機能に加えて、多くのディジタル遠隔通信スイッチは、通信又は呼び出し処理サービスを提供する。かかるサービスには、典型的にはトーン生成やトーン検出、及び特定のシステム用途の要件を満たすための他の既知のサービスが含まれる。
【0005】
呼び出し処理サービスを提供するための従来の技術は、必要不可欠な専用回路(例えば、適当なプロトコルの1つ又は2つ以上のトーン生成器及び1つ又は2つ以上のトーン受信器)を用いてスイッチを構成し、かかる専用回路と適当なポートとの間の通信経路をTSIを用いて確立することである。例えば、ユーザが受話器を取り上げ、当該電話回線が現在オフフック状態にあることをスイッチが検出する。次いで該スイッチは、これに応じて利用可能なトーン生成器とオフフックラインとの間でTSIを介して通信経路を確立し、最終的に、トーン生成器により生成されたダイアルトーンがユーザに聞こえることになる。
【0006】
しかし、この従来の技術には大きな欠点があり、かかる問題の解決策が、本出願人の「Telecommunications Switch With Programmable Communications Services」と題する米国特許第5,349,579号に明確に記載されている。
【0007】
該米国特許第5,349,579号に記載されている動的なリソースの割り当ては技術水準の大きな進歩となるものであるが、そこに開示されているシステムは、タイムスロット全体(例えばバイト全体)の情報を切り換えること又は処理することしかできないものである。即ち、各タイムスロットにおいて、パルス符号変調された(PCM)データが、ディジタル信号処理モジュールによりバイト単位でTSIとの間で読み書きされる。このアーキテクチャの1つの側面は、たった1つのDSPしか各タイムスロットを使用することができない、ということである。即ち、DSPが1バイト未満のタイムスロットを使用することを欲する場合であっても、実際には1バイト全体がDSPに渡されてしまう。このため、1バイト中の幾つかのビットが該タイムスロットで使用されないことになる。
【0008】
ディジタル無線サービス及び該サービスで利用可能となる広範な機能の出現と共に、多数のDSPがタイムスロットの全バイト数よりも小さいバイト数を使用する場合に1タイムスロット全体をDSPに渡すのは非効率的となり得る。
【0009】
また、メインのノーマルレートスイッチと該ノーマルレートスイッチにモジュール式に接続される「アドオン」サブレートスイッチとを備えたディジタル通信スイッチングシステムを提供することも知られている(国際特許出願WO-97/27720)。サブレートタイムスロットは、ノーマルレートスイッチを介してサブレートスイッチへ送信される。該サブレートスイッチは、1つのタイムスロットにおける1つ又は2つ以上のサブレートチャネルに対応する1つ又は2つ以上のビットを選択的にスイッチングし、ノーマルレート未満のデータ伝送速度に適応することが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、単一ビットから1タイムスロット全体までの範囲の大きさを有する情報ユニットの切り換え及び処理を可能にするプログラム可能な遠隔通信スイッチを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
要するに、本発明によれば、プログラム可能な遠隔通信スイッチは、1つのCPU/マトリクスカード、1つ又は2つ以上のラインカード、及び1つ又は2つ以上プログラム可能な遠隔通信サービスカードを備えており、それらカードは全て通信可能な関係で接続される。CPU/マトリクスカードは、スイッチのポートに対応するタイムスロットを有するタイムスロット交換手段(TSI)と、ホストコンピュータから受信したメッセージを処理して前記ラインカード及び前記通信サービスカードを制御する中央呼出処理手段とを備えている。各々の通信サービスカードは、それぞれ別個にプログラム可能なものであり、及びCPU/マトリクスカードから受信したメッセージを処理する。該通信サービスカードは、特定用途の要件を満たすよう動的にプログラムすることが可能な複数のディジタル信号プロセッサ(DSP)モジュールを備えている。
【0012】
CPU/マトリクスカード、ラインカード、及び通信サービスカードは、複数のバスを介して相互に接続され、これにより、それらのカード間でメッセージを双方向に送ることが可能となる。詳細には、CPU/マトリクスカード及び通信サービスカードは、TDMバスに接続され、それらのカードが、全タイムスロットにおいてラインカードから送信された全てのPCM情報を継続して受信するようになっている。しかし、任意の所与のタイムスロットにおいて、該所与のタイムスロットに関連するポートを有するラインカードにPCM情報を送信することが許容されるのはCPU/マトリクスカード又は利用可能な通信サービスカードのうちの一方のみである。このため、任意の所与のタイムスロットにおいて、対応するポートに送信されるPCM情報は、CPU/マトリクスカード上のTSIまたは通信サービスカードの何れか一方から発せられることになる。この構成の結果として、通信サービスカードは、他の呼び出しのために利用可能となるはずのタイムスロットを占有することなくTDMバスを介してラインカード(ポート)に直接PCM情報を送信することが可能となる。
【0013】
好適には、通信サービスカード上にあるDSPモジュールの各々は、それ自体のTSIを備えている。重要なことに、これにより、ラインカードから送信された全ての情報を各DSPモジュールが同時に受信することが可能となる。加えて、各DSPモジュールがそれ自体の専用のTSIを備えており、及びかかるTSIの各々が同一のTDMバスに並列に接続されているため、1つ又は2つ以上のTSIが1タイムスロット中に前記バス上にデータを出力することが可能となる。
【0014】
有利なことに、これにより、複数の通信サービスカードのTSIを同一タイムスロットでの送信に割り当てることが可能になる。例えば、第1のDSPモジュールが8ビットのタイムスロットのうちの3ビットしか必要とせず、及び第2のDSPモジュールが5ビット又はそれ未満しか必要としない場合には、同一のタイムスロットで送信を行うように該両方のDSPモジュールを割り当てることができる。第1のTSIは、例えば下位3ビットとして、データを出力することになり、一方、第2のTSIは、該タイムスロットの残りのビットとしてデータを出力することになる。有利なことに、これにより、タイムスロットのビットレベルでの「サブレート(sub-rate)」多重化を行う能力を有する遠隔通信スイッチが提供される。該システムは、可変長PCMその他のデータの使用を容易化するものとなる。
【0015】
本発明の上述その他の目的、特徴、及び利点については、添付図面に図示し以下に示す本発明の好適な実施形態の詳細な説明を参照することにより一層明確となろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を実施することが可能なプログラム可能な遠隔通信スイッチ10の好適実施形態の主な機能上の構成要素を示すものである。(公衆交換電話ネットワーク(PSTN)若しくはプライベートネットワーク(又はそれらの両方)に対する結合を表す)ネットワーク/ライン・インターフェイス12は、一連のラインカード入出力(I/O)カード14上で提供される。必要であれば、冗長I/Oカード16及び冗長I/Oバス17を随意選択的に配設して、I/Oカード14のうちの1つが故障した際にスイッチを継続して動作させることが可能である。
【0017】
1つ又は2つ以上のディジタルネットワーク(T1,E1,J1)又はアナログトランク/ライン・ラインカード18は、ラインカード(LC)I/Oライン20を介してI/Oカード14と通信を行う。ラインカードはまた、冗長スイッチングバス22a,22bと通信可能な関係で接続される。この場合も、必要であれば、1つ又は2つ以上の冗長ラインカード23を配設し、冗長LC I/Oライン24を介して冗長I/Oカード16と通信を行うように前記冗長ラインカード23を構成することが可能である。別のタイプのカードをスイッチ10内に配設することにより、DS3、SONET、SS7その他の別のタイプの通信プロトコルをスイッチ10によりサポートすることも可能である、ということが理解されよう。
【0018】
スイッチ10の動作の制御並びに実際のスイッチング機能は、CPU/マトリクスカード又はノードスイッチ26aにより行われる。CPU/マトリクスカードが選択された場合、スイッチ10は、スタンドアロンデバイスとして(即ち、拡張可能な遠隔通信システムにおけるスイッチングノードとして動作するのとは逆に)動作する。この場合には、CPU/マトリクスカードはホストインターフェイス27aと接続され、該インターフェイス27aを介して外部のホスト装置(図示せず)との通信が行われる。
【0019】
また、ノードスイッチが選択された場合には、スイッチ10は、拡張可能な遠隔通信システムにおけるスイッチングノードとして動作することが可能となる。かかる実施例では、ノードスイッチは好適にはリングI/Oカード28aと接続され、該カード28aを介して一対の光ファイバリング29aとの通信が行われる。該ノードスイッチはまた、ホストインターフェイス27aを介して外部のホスト装置と通信を行うことが可能である。
【0020】
CPU/マトリクスカードが選択されるかノードスイッチが選択されるかにかかわらず、同一の予備の(matching standby)CPU/マトリクスカード又はノードスイッチ26bを随意選択的に配設し、適当なホストインターフェイス27b若しくはリングI/Oカード28b(又はその両方)と連携させることが可能である。かかる構成では、アクティブ及びスタンバイ装置26a,26b間での直接通信のために、連結手段32が配設される。
【0021】
適当なCPU/マトリクスカードの構成及び動作の詳細については、既述の米国特許第5,349,579号に見い出すことができる。同様に、適当なノードスイッチの構成及び動作の詳細については、既述の米国特許第5,544,163号に見い出すことができる。該米国特許第5,544,163号には、高速・高帯域幅のディジタル通信スイッチと、複数のプログラム可能なスイッチングノードを接続するためのネットワークとについて説明されている。該スイッチングノードは、可変長のパケット化された情報をノード間ネットワークを介して送受信するための回路を備えており、これにより、各ノードは、全てのタイムスロットに耳を傾ける(listen)ことにより全ての他のノードからの情報を受信することが可能となり、及び、指定された時間にタイムスロットへの書き込みを行うことにより全ての他のノードへ情報を送信することが可能となる。
【0022】
トーン検出及び生成、コンファレンシング(conferencing:会議)、音声記録通知(announcement)、コールプログレス分析、言語認識、ADPCM圧縮、その他多くのプログラム可能な通信サービスは、1つ又は2つ以上の多機能ディジタル信号処理(MFDSP)カード33により提供される。ISDN一次速度(Primary Rate)サービスその他のパケット通信サービスは、1つ又は2つ以上のPRI−32パケットエンジンカード34により提供される。冗長MFDSPカード33及び冗長PRI−32カード34を配設することも可能である。
【0023】
図2は、CPU/マトリクスカード26aの概要を示すブロック図である。中央呼出プロセッサ54は、高速データリンク制御(HDLC)バス40及びラインカードLCステータス/制御バス44を備えたスイッチングバス22aに接続される。該中央呼出プロセッサ54はまた、ホスト選択回路55、ランダムアクセス及びリードオンリーメモリ56、監視用(watchdog)タイミング回路58、入出力(I/O)制御回路60、タイミング及び制御/選択回路62、及びタイムスロット交換手段(TSI)64に接続される。タイミング及び制御/選択回路62は、TSI64、タイミング/制御バス46(ループタイミング用)、符号REF1,REF2で示す複数の(例えば3つの)タイミング信号源、及び発振器(CPU/マトリクスカード26a上に配置された自励発振器により供給することが可能)に接続される。
【0024】
例えばMotorola68302マイクロプロセッサを含む中央呼出プロセッサ54は、CPU/マトリクスカード26a上の他の回路の全てにわたる制御を有している。中央呼出プロセッサ54は、Integrated Systemにより販売されているSOS(商標)等のリアルタイムオペレーティングシステム下で動作し、Q.931ライクなメッセージ及びCCITT標準プロトコルを使用して、HDLCバス40を介して通信を行う。HDLCバス40を使用することにより、中央呼出プロセッサ54は、該バスに接続された全てのカードに同時にメッセージを送ることが可能となる。中央呼出プロセッサ54は、LCステータス/制御バス44を使用して特定のカードを選択し、HDLCバス40を介してメッセージを送ることが可能である。ホスト選択回路55は、電源オン時に内部ホスト又は外部ホストと通信を行うか否かをプロセッサ54に知らせる。
【0025】
I/O制御カード60は、中央呼出プロセッサ54と外部ホスト(図示せず)との間の通信を管理する。
【0026】
タイミング及び制御/選択回路62は、以下で更に説明するように、中央呼出プロセッサ54からの命令に応じて動作し、CPU/マトリクスカード26aの同期化に利用することが可能な5つの信号のうちの1つを選択する。かかる信号の2つはタイミング/制御バス46により提供され、その他の3つの信号は信号REF1,REF2,OSCILLATORである。
【0027】
TSI64は、好適には、到来するPCMデータをTDMバス42を介して受信し、及び中央呼出プロセッサ54により命令された際にディジタルメモリタイムスイッチとして従来の態様でタイムスロットを交換するよう動作する、非ブロックマトリクス(non-blocking matrix)である。
【0028】
図3は、MFDSPカード33を示すブロック図である。該カード33は、HDLCバス40、TDMバス42、及びLSステータス/制御バス44とのインターフェイスをとる一連のバスドライバ/レシーバ65を備えている。該バスドライバ/レシーバ65は、好適には、開放コレクタ出力を有するものとなる。これは、MFDSPカード33が、TDMバス42を、CPU/マトリクスカード26a、ラインカード14,18、及びパケットエンジンカード34と共有するからである。したがって、開放コレクタ出力を有するバスドライバ/レシーバ65を使用することにより、適当なカードをTDMバス42に直接接続することが可能になる。冗長性を提供するために、バス40,42,44の幾つか又は全てを複製することが可能である。
【0029】
各TDMバス42は、「LSpcm」及び「SLpcm」で示す2つの通信経路を提供する。経路LSpcm42aは、ラインカード14,18から、CPU/マトリクスカード26a、MFDSPカード33、及びパケットエンジンカード34へ、PCM情報を伝達する。逆に、経路SLpcm42bは、CPU/マトリクスカード26a、MFDSPカード33、及びパケットエンジンカード34からラインカード14,18へPCM情報を伝達する。好適実施例では、2つの8ビットパラレルバスが経路LSpcm42a及び経路SLpcm42bにそれぞれ使用される。代替的には、それらの経路は、複数のタイムスロットを各々有する複数の多重化されたシリアルバスにより提供することが可能である。TDMバス42は、他のタイプ及び構成のバスを使用して、様々なカード間に適当な通信を確立するよう実施することが可能なものである、ということが理解されよう。
【0030】
CPU66(例えば、Motorola 68302マイクロプロセッサ)は、HDLCバス40並びにリードオンリーメモリ(ROM)68、ランダムアクセスメモリ(RAM)70、タイミング及び制御回路72、及び複数のディジタル信号処理モジュール94〜96と同期シリアル通信経路を介してインターフェイスする。バッテリー71は、一次電源の中断が発生した場合にRAM70に格納されている情報が保存されるように該RAM70用のバックアップ電力を提供する。
【0031】
マルチプレクサ74は、バスドライバ/レシーバ65からの情報をライン75上へ送り、該情報が、MFDSPカード33上にあるディジタル信号処理モジュール94〜96の各々に入力される。逆に、マルチプレクサ76は、ディジタル信号処理モジュール94〜96の各々からの情報をバスドライバ/レシーバ65へ送る。
【0032】
重要なことに、複数のディジタル信号処理モジュール94〜96の各々は、CPU66と動作可能に接続されたタイムスロット交換(TSI)100〜102及びディジタル信号プロセッサ104〜106(例えば、25MHzで動作するTexas Instruments社製の型番TI-320C31)備えている。本発明によれば、複数のディジタル信号処理モジュール94〜96の各々は、それ自体のTSI100〜102をそれぞれ備えている。重要なことに、これは、各モジュールがラインカード34,38(図1)から送信された全ての情報を同時に受信することを可能にする。加えて、各ディジタル信号処理モジュールがそれ自体の専用のTSIを備えており、及びそれらTSIの各々が同一バスに並列に接続されているため、1つ又は2つ以上のTSIが単一のタイムスロットでTDMバス42上にデータを出力することが可能となる。有利なことに、これにより、複数のTSI100〜102を同一の送信タイムスロットに割り当てることが可能となる。
【0033】
各TSIは、好適には少なくとも8ビット×4Kの記憶容量を有する。しかし、当業者であれば理解されるように、例えば全体的なシステム構成や特定用途の要件に応じて他のサイズの記憶装置を使用することも可能である。
【0034】
ここでMFDSPカード33の一般的な動作について簡単に説明する。CPU66は、HDLCバス40を介して(CPU/マトリクスカード26a上の)中央呼出プロセッサ54との間でメッセージの送受信を行う。中央呼出プロセッサ54からCPU66へ送られるメッセージは、典型的には、特定のアクションが実行されるべきことを命じるために使用される。CPU66から中央呼出プロセッサ54へ送られるメッセージは、典型的には、特定のアクションが実行されたことを報告するために使用される。
【0035】
MFDSPカード33は、タイミング/制御バス46を介して受信されたタイミング信号によりCPU/マトリクスカード26aとの同期がとられる。結果的に、TSI100〜102の各々は、ラインカード14,18から送信されたPCMデータを(LSpcmバス42aを介して)絶えず受信するよう接続される。このため、あらゆるラインカード14,18から送信されたPCMデータは、MFDSPカードの複数のTSI100〜102(図3及び図4)内、及びCPU/マトリクスカードのTSI64(図2)内における対応する記憶位置に同時に格納される。
【0036】
プログラム可能なディジタル信号処理モジュール94〜96のTSI100〜102中にデータが格納されると、該データは、ディジタル信号プロセッサ104〜106により処理する(即ち操作する)ことが可能になる。そのプログラム可能な処理は、トーン生成又は検出、コールプログレス分析、記録された通知(announcement)の再生、言語認識、ADPCM圧縮、コンファレンシング、ISDN呼出制御、並びにセルラー及びPCSシステム等の有線及び無線システムの両者に関連する他のあらゆる既知の信号処理、といった機能を含むことが可能である。
【0037】
任意のタイムスロットにおいて、CPU/マトリクスカード26a、MFDSPカード33、及びパケットエンジンカード34のうちの1つのみが、PCMデータをTDMバス42を介してラインカード14へ送ることが許容される。PCMデータの送信を許容するカードの選択は、HDLCバス40を介したメッセージの交換を介して中央呼出プロセッサ54により指示される。
【0038】
所与のタイムスロットについて、MFDSPカード33がPCMデータの送信のために選択されない場合には、TSI100〜102がそれぞれ所定のビットパターン(例えばFFhex)を出力し、これによりドライバ/レシーバ65が有効にターンオフされる。このため、所与のタイムスロットについて、MFDSPカード33はTDMバス42に一切影響を与えないものとなる。
【0039】
図4は、関連するTSI100〜102及びDSP104〜106を含むDSPモジュール94〜96を備えたMFDSPカード33の一部を概略的に示すブロック図である。DSPモジュール104〜106の各々は、(ワイヤードORとして機能的に示す)MFDSPカードバス110上にデータを送信し、該バス110の全てのラインは好適には電気的にプルアップされる。詳細には、1つ又は2つ以上のディジタル信号処理モジュール94〜96が情報ビットをMFDSPカードバス110上に同時に送信することが可能となっている。該情報は、TDMバス42(即ちSLpcmバス)上の単一の8ビットのタイムスロットへと有効に結合される。
【0040】
有利なことに、本発明は、PCS(即ち無線通信システム)で特に有用となるサブレート多重化及びボコーダ(vocoding:音声作動符号化)機能を含む様々な機能の性能を促進させるものとなる。例えば、PCSシステムでは、システム帯域幅(例えばRF帯域幅)を一層効率的に使用するために、有線システム(例えばPSTNシステム)で一般に使用される8ビットサンプルではなく4ビットの音声サンプルを使用する。この場合には、無線加入者への送信のためにPSTNから受信した8ビットのタイムスロットの4ビットへの音声作動符号化(即ち圧縮)が最初に行われなければならない。これは、かかる8ビットサンプルをLSpcmバス42を介してラインカード14,18の一方から受信する本発明により達成される。所与の呼び出しについて、かかる8ビットサンプルが上述のTSI回路100〜102の全てに格納されることになる。一般に、DSP104〜106のうちの1つのみが、受信した8ビットサンプルを所定の圧縮アルゴリズムに従って処理するよう割り当てられて、かかる各サンプルが(例えば4ビット値に)縮小される。同様に、LSpcmバスを介して受信された他の呼び出しに関する8ビットサンプルに対して上記と同様の圧縮機能を実行するようDSP105を割り当てることが可能である。これに対し、スイッチ10により受信された無線加入者からPSTN宛ての4ビットサンプルの圧縮解除を行うようDSP106をプログラムすることが可能である。
【0041】
DSP104が圧縮機能を実行した後、その結果として得られた4ビットサンプルがTSI100に格納される。続いて、SLpcmバス42上の適当な(8ビットの)タイムスロットと同期して、該4ビットサンプルがTSI100から読み出されて該バス上におかれる。該時間スロットの残りの4ビットは、別の呼び出しに関する以前に圧縮された4ビットサンプル(又は4ビット未満の他の任意の情報)を伝達するために使用することが可能である。このようにして、本発明により、専用の8ビットタイムスロットを用いる従来のスイッチング技術を使用して処理することができる呼び出しの数の2倍の呼び出しを遠隔通信スイッチが行うことが可能となる。しかし、本発明は、8ビットを4ビットに圧縮し又は4ビットの音声サンプルを8ビットサンプルに圧縮解除するスイッチングシステム内の処理に制限されるものではない、ということが当業者には理解されよう。本発明は、十分な数のDSPモジュールが存在し利用可能であれば、単一ビットから1タイムスロット全体(例えば1バイト)を含むものまで任意のサイズの情報ユニットについてタイムスイッチング機能を行うことが可能なものである。
【0042】
本発明の範囲は、本書で開示したプログラム可能なディジタル信号処理カードに伴う遠隔通信スイッチングシステムに限定されるものではない、ということが理解されよう。本発明により提供されるサブレートスイッチングは、様々な通信デバイスに組み込むことが可能である。例えば、並列に構成されたTSIの各々は、ディジタル信号処理チップに1つずつ関連するものである必要はなく、本発明に従ってビットレベル(即ちサブレートスイッチング)でタイムスロットを多重化するという利点を生かすことが可能な多数のスイッチングシステム構成が存在する、ということが当業者には理解されよう。
【0043】
更に、当業者には自明のことであるが、本発明が本書で開示したクロック速度、バス幅、又はバスタイプで動作するシステムに制限されるものではないことは明らかである。本発明は、様々なクロック速度及びバス幅及びタイプを採用したシステムが本発明の幾つかの又は全ての利点を達成することが可能であることを意図したものである。
【0044】
幾つかの好適実施例に関して本発明を図示及び説明してきたが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなくその形態及び細部に様々な変更、省略、及び追加を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サブレートスイッチング型の遠隔通信スイッチを示すブロック図である。
【図2】 図1の遠隔通信スイッチにあるCPU/マトリクスカードを示すブロック図である。
【図3】 図1の遠隔通信スイッチにある通信サービスカードを示すブロック図である。
【図4】 TSIを各々有する複数の並列DSPモジュールを備えた通信サービスカードの一部を示す概略的なブロック図である。
【符号の説明】
10 プログラム可能な遠隔通信スイッチ
12 ネットワーク/ライン・インターフェイス
14 ラインカードI/Oカード
16 冗長I/Oカード
17 冗長I/Oバス
18 ラインカード
20 ラインカードI/Oライン
22 冗長I/Oカード
22a,22b 冗長スイッチングバス
23 冗長ラインカード
24 冗長LC I/Oライン
26a,26b CPU/マトリクスカード又はノードスイッチ
27a,27b ホストインターフェイス
28a,28b リングI/Oカード
29a,29b 光ファイバリング
33 多機能ディジタル信号処理(MFDSP)カード
34 PRI−32パケットエンジンカード
Claims (10)
- 遠隔通信スイッチ(10)又は遠隔通信システムのノードで使用するための通信サービスカード(33)であって、前記遠隔通信スイッチが、ホストにより生成されたメッセージに応じて複数のポートのうちの様々なポート間の通信経路の接続及び切断を動的に行うための制御可能なスイッチング手段(26a)を備えており、該制御可能なスイッチング手段(26a)が、前記ポートに対応する複数のタイムスロットを切り換えるタイムスロット交換手段(TSI)(64)と前記メッセージを処理する手段(54)とを備えており、該制御可能なスイッチング手段(26a)がTDMバス(42)と通信可能な関係にあり、前記ポートを表すアナログ又はディジタルライン又はトランクを1つ又は2つ以上の終端手段(18)が終端させ、該終端手段(18)が前記バスに接続され、該バスが前記制御可能なスイッチング手段(26a)から前記終端手段(18)へ情報を伝達するための第1の経路(42b)と前記終端手段から前記制御可能なスイッチング手段へ情報を伝達するための第2の経路(42a)とを有しており、該通信サービスカードが、
複数のディジタル信号処理モジュール(105)であって、その各々が、流入タイムスロットとして構成されるデータを処理する能力を有すると共に、受信したデータを組み合わせて内部に格納するタイムスロット交換(TSI)回路(101)によりデータを受信し、該TSI回路の各々が互いに並列に配置され、該TSI回路が受信データを格納し、該TSI回路の各々が、処理されたデータからなる選択可能な量の流出タイムスロットであって前記複数のポートのうちの任意のポート宛の流出タイムスロットを前記TDMバス42上に送信する、複数の信号処理モジュール(105)と、
前記モジュールの各々と通信可能な関係で接続されたタイミング及び制御バス(46)であって、複数のTSI回路内への受信データの格納と該TSI回路から前記TDMバス42上へのデータの送信とを制御し、これにより、1つのTSI回路から送信された前記所定量のタイムスロットが、1つのタイムスロットのうち、前記量の流出タイムスロットのビット数に対応する部分に配置されて、前記複数のポートのうちの1つ宛にされる、タイミング及び制御バス(46)と
を備えていることを特徴とする、通信サービスカード(33)。 - 複数のディジタル信号プロセッサ(104,105,106)を備えており、該ディジタル信号プロセッサの各々が、前記TSI回路(100,101,102)のうちの1つ及び中央処理装置(66)と通信可能な関係で接続されており、前記TSI回路に格納されているデータについてプログラム可能なデータ処理機能を実行するようになっていることを更に特徴とする、請求項1に記載の通信サービスカード(33)。
- 前記プログラム可能なデータ処理が、サブレートスイッチング、トーン生成、トーン検出、コールプログレス分析、記録された通知の再生、言語認識、圧縮、コンファレンシング、ISDN呼出制御、又は音声作動符号化のうちの1つからなることを更に特徴とする、請求項2に記載の通信サービスカード(33)。
- 前記所定量の流出タイムスロットが、ゼロから該流出タイムスロットに含まれるビットの最大数までの範囲にあることを更に特徴とする、請求項1に記載の通信サービスカード(33)。
- 第1の処理グループが、前記8つのTSI回路(100,101,102)のうちの第1のTSI回路と、前記8つのディジタル信号プロセッサ(104,105,106)のうちの第1のディジタル信号プロセッサとから構成されて、流入タイムスロットの4ビットについて第1のデータ処理機能を実行し、第2の処理グループが、前記8つのTSI回路のうちの第2のTSI回路と、前記8つのディジタル信号プロセッサのうちの第2のディジタル信号プロセッサとから構成されて、第2の4ビット信号について第2のデータ処理機能を実行することを更に特徴とする、請求項4に記載の通信サービスカード(33)。
- 第1の処理グループが、前記8つのTSI回路のうちの4つのTSI回路と、前記8つのディジタル信号プロセッサのうちの4つのディジタル信号プロセッサとから構成されて、流入タイムスロットの4ビットについて第1のデータ処理機能を実行し、第2の処理グループが、前記8つのTSI回路の残りの4つのTSI回路と、前記8つのディジタル信号プロセッサの残りの4つのディジタル信号プロセッサとから構成されて、第2の4ビット信号について第2のデータ処理機能を実行することを更に特徴とする、請求項5に記載の通信サービスカード(33)。
- 前記遠隔通信スイッチが、複数の他の遠隔通信スイッチ又は遠隔通信システムを形成するノードと通信可能な関係でノード間ネットワーク(29a)により接続されることを更に特徴とする、請求項1に記載の通信サービスカード。
- 前記TSI回路により受信されるデータが前記ノード間ネットワーク(29a)から受信され、前記TSI回路により送信されるデータが前記ノード間ネットワークへと送信されることを更に特徴とする、請求項7に記載の通信サービスカード。
- 遠隔通信スイッチ(10)又は遠隔通信システムのノードにおいて単一のカード(33)で通信サービスを提供する方法であって、前記遠隔通信スイッチが、ホストにより生成されたメッセージに応じて複数のポートのうちの様々なポート間の通信経路の接続及び切断を動的に行うための制御可能なスイッチング手段(26a)を有しており、該制御可能なスイッチング手段(26a)が、前記ポートに対応する複数のタイムスロットを切り換えるタイムスロット交換手段(TSI)(101)と前記メッセージを処理する手段とを備えており、該制御可能なスイッチング手段(26a)がTDMバス(42)と通信可能な関係にあり、前記ポートを表すアナログ又はディジタルライン又はトランクを1つ又は2つ以上の終端手段(18)が終端させ、該終端手段(18)が前記バスに接続され、該バスが前記制御可能なスイッチング手段から前記終端手段へ情報を伝達するための第1の経路(42b)と前記終端手段から前記制御可能なスイッチング手段へ情報を伝達するための第2の経路(42a)とを有しており、前記単一のカードが複数のディジタル信号処理モジュール(105)を有しており、その各モジュールがタイムスロット交換手段及びプログラム可能なデータプロセッサを備えており、各モジュールのタイムスロット交換手段がタイムスイッチングバスに対して並列に通信可能な関係で接続されており、該方法が、
A.複数のディジタル信号を構成するタイムスイッチングバスから第1のタイムスロットを受信し、
B.該第1のタイムスロットを前記タイムスロット交換手段の各々に格納し、
C.前記複数のディジタル信号の1つ又は2つ以上にプログラム可能なデータ処理機能を実行して1つ又は2つ以上の処理済みディジタル信号を提供し、
D.1つ又は2つ以上の前記処理済みディジタル信号を前記第1のタイムスロット交換手段に格納し、
E.前記1つ又は2つ以上の処理済みディジタル信号からなる第2のタイムスロットを前記タイムスロット交換手段から前記タイムスイッチングバスへ送信する、
という各ステップを有することを特徴とする、通信サービスの提供方法。 - 前記複数のディジタル信号のうちの選択された信号を組み合わせて、前記複数のディジタル信号処理モジュールのうちの選択された1つにおいて、選択されたビット長のディジタル処理機能を実行する、というステップを更に特徴とする、請求項9に記載の方法。
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