JP4043190B2 - 無線電話システム、無線電話システムにおける通信方法、および無線電話器と通話するベース・ユニット - Google Patents
無線電話システム、無線電話システムにおける通信方法、および無線電話器と通話するベース・ユニット Download PDFInfo
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Description
産業上の利用分野
本発明は、多ライン(multi−line)無線電話システムに関し、特に、時分割多重(Time Division Multiplexed:TDM)される無線電話システムにおけるデータの伝送に関する。
【0002】
発明の背景
電話および電話システム(無線電話システムを含む)の使用が普及している。無線電話システムでは、コードレスまたはワイヤレスの電話器がアナログまたはディジタルの無線信号によりベース・ユニットと通信し、ベース・ユニットは標準電話線を介して外部のネットワーク(電話回線)に接続される。このようにして、使用者は無線電話器を使用して、ベース・ユニットおよびネットワークを通して別の使用者と通話する。
【0003】
多ライン無線電話システムは、多数の電話の使用者とのビジネスのような、種々の状況で使用されている。このようなシステムでは、典型的に、広帯域、時分割多重アクセス(Time Division Multiple Access:TDMA)のようなディジタル通信スキームにより、N個の電話器と同時に通話する電話器が使用される。TDMAシステムでは、単一のRFチャンネルが使用され、各電話器は、全TDMAサイクル(cycle)またはエポック(epoch)内で専用のタイム・スライスまたはスロットの間にオーディオ・データ・パケットおよび非オーディオ・データ・パケットを送信する。多ライン無線電話システムでは、種々の特徴、例えば、構内交換機(Private Branch Exchange:PBX)の特徴および機能を提供することが望ましい。また、非オーディオ・データをRFチャンネルで送信あるいは受信することが望ましい。例えば、ベース・ユニット内にあるいはベース・ユニットに結合されるデバイス内に貯えられる音声メールあるいは電話のかけ手のIDデータのような、貯えられたデータを検索することが電話器に要求される。
欧州特許出願No.0399611(1990年5月22日出願)は、1次ステーションと2次ステーション間で順方向および逆方向の伝送にTDMAが使用される、時分割二重周波数チャンネルによるデータ伝送用の通信システムについて述べている。
【0004】
発明の概要
無線電話システムは、ベース・ユニットと複数の無線電話器から成る。ベース・ユニットは、ベース・トランシーバおよび情報を記憶するメモリを備える。各電話器は、トランシーバを備え、ベース・トランシーバを介して、共有無線(RF)チャンネル(shared RF channel)におけるデータ・リンクおよびオーディオ・リンクをベース・ユニットと設定する。データ・リンクは、シグナル情報を送信し、オーディオ・リンクは、電話による会議をリアルタイム(実時間)でするために音声データを送信するためのものである。電話器は、或る記憶された情報をベース・ユニットからリクエストする。それに応じて、ベース・ユニットは、記憶されているリクエストされた情報をメモリから取り出し、前記情報をオーディオ・リンクを介して、電話器に送信する。
請求の範囲と実施例との対応関係を図面で使われている参照符号で示すと次の通りである。
(請求項1) 無線電話システム(100)であって、
(a)ベース・トランシーバ(111、112)を備えるベース・ユニット(110)と、
(b)各電話器(120 i )がトランシーバ(121、122)を備える、複数の無線電話器(120)と、から成り、
各電話器(120 i )に独占的データとオーディオ・パケット・タイム・スロットを割り当てるTDMAエポック(200)に従って、時分割多重アクセス(TDMA)データ・リンクおよびTDMAオーディオ・リンクをベース・トランシーバを介して、ベース・ユニット(110)と設定し、
前記データ・リンクは、シグナル情報を伝送し、
前記オーディオ・リンクは、リアルタイムでの電話の呼出しのために音声データを伝送し、
前記ベース・ユニット(110)は、データ源からのデータを求める電話器(120 i )からのリクエストの有り次第、リクエストされたデータをデータ源から検索して、検索されたデータをオーディオ・リンクを介して、電話器(120 i )に伝送し、
前記エポック(200)は、送信・受信データ行のペアを複数個、各電話器(120 i )につきこのような行ペアを1個づつ備え、
前記各行ペアは、各電話器について送信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える偶数行と、各電話器について受信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の他の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える奇数行とから成り、
前記各電話器(120 i )は、前記各電話器についての送信・受信データ行ペアの期間に、各エポック(200)の間に一度だけ受信・送信データ・パケット・スロット(251、252)を介して、データ・パケットを受信し、且つ送信し、そして、電話器がベース・ユニットと通信しているならば、前記各電話器は、前記エポックの各行ペアのそれぞれの送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロット(253、254)の期間にオーディオ・パケットを受信し、且つ送信する、前記無線電話システム(100)。
(請求項2) 前記複数の電話器(120)が、12台の電話器から成り、そのうち一度に8台が通話し、
前記エポック(200)が、データ行のペアを12個、各電話器につきデータ行ペアを1個づつ備え、
前記各行ペアが、通話中の電話器のオーディオ通信のために送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットのペアを8個備える、請求項1記載の無線電話システム。
(請求項3) 前記データ源が、データを記憶するためのメモリ(118)であり、前記リクエストされたデータが、メモリ内に記憶されたデータである、請求項1記載の無線電話システム。
(請求項4) 前記ベース・ユニット(110)が、メモリ(118)を備える、請求項3記載の無線電話システム。
(請求項5) 前記ベース・ユニット(110)が、メモリ(118)を備える外部コンピュータに結合される、請求項3記載の無線電話システム。
(請求項6) 前記電話器が、リアルタイムの電話会議の音声データを伝送するためにオーディオ・リンクを使用していなければ、前記ベース・ユニット(110)は、記憶された情報をオーディオ・リンクを介して、電話器(120 i )に伝送し、前記電話器がリアルタイムの電話会議の音声データを伝送するためにオーディオ・リンクを使用しているならば、記憶された情報をデータ・リンクを介して、電話器に伝送する、請求項3記載の無線電話システム。
(請求項7) 前記記憶されたデータが、電話のかけ手のID情報および圧縮された音声メール・メッセージ・データの何れかである、請求項3記載の無線電話システム。
(請求項8) 前記記憶された情報をリクエストしている電話器が、記憶された情報を、受信次第、記憶された情報の性質に従って処理する、請求項7記載の無線電話システム。
(請求項9) ベース・トランシーバ(111、112)を備えるベース・ユニット(110)と、各電話器(120 i )がトランシーバ(121、122)を備える複数の無線電話器(120)と、から成る無線電話システムにおいて、
(a)前記各電話器のトランシーバを使用して、ベース・トランシーバを介して、ベース・ユニットと時分割多重アクセス(TDMA)データ・リンクを設定し、且つベース・ユニットと通話中の各電話器を使用して、各電話器(120 i )に独占的データとオーディオ・パケット・タイム・スロットを割り当てるTDMAエポック(200)に従って、ベース・トランシーバを介して、ベース・ユニットとTDMAオーディオ・リンクを設定するステップであって、前記データ・リンクはシグナル情報を送信し、前記オーディオ・リンクはリアルタイムでの電話の呼出しのために音声データを送信するためのものである、前記設定するステップと、
(b)前記電話器を使用して、データ源からのデータを、ベース・ユニットからリクエストするステップと、
(c)前記ベース・ユニットを使用して、リクエストされたデータを、リクエストに応じて、データ源から検索するステップと、
(d)前記検索されたデータを、ベース・ユニットからオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送するステップと、から成る方法であって、
エポック(200)は、送信・受信データ行のペアを複数個、各電話器(120 i )につきこのような行ペアを1個づつ備えており、
前記各行ペアは、各電話器について送信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える偶数行、および各電話器について受信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の他の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える奇数行から成り、
前記各電話器(120 i )は、各電話器の送信・受信データ行ペアの期間に、各エポック(200)の間に一度だけ、受信・送信データ・パケット・スロット(251、252)を介して、データ・パケットを受信し、且つ送信し、電話器がベース・ユニットと通話しているならば、各電話器は、前記エポックの各行ペアのそれぞれの送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロット(253、254)の期間にオーディオ・パケットを受信し、且つ送信する、前記無線電話システムにおける通信方法。
(請求項10) 前記データ源が、データを記憶するメモリであり、リクエストされたデータが、前記メモリ内に記憶されるデータである、請求項9記載の無線電話システムにおける通信方法。
(請求項11) 各電話器(120 i )が、トランシーバ(121、122)を備える、複数の無線電話器(120)と通話するベース・ユニット(110)が、
(a)ベース・トランシーバを介して、各電話器と時分割多重アクセス(TDMA)データ・リンクを設定し、且つ独占的データおよびオーディオ・パケット・タイム・スロットを各電話器(120 i )に割り当てるTDMAエポック(200)に従って、ベース・トランシーバを介して、TDMAオーディオ・リンクを、ベース・ユニットと通話中の各電話器と設定するベース・トランシーバ(111、112)であって、前記データ・リンクはシグナル情報を送信し、前記オーディオ・リンクは電話の呼出しのために音声データを送信するためのものである、前記ベース・トランシーバ(111、112)と、
(b)記憶された情報を記憶するメモリ(118)であって、ベース・ユニットは、メモリ内に記憶された情報を求める電話器からのリクエストの有り次第、リクエストされた情報をメモリから検索し、前記情報をオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送する、前記メモリ(118)と、
から成り、
前記エポック(200)は、送信・受信データ行のペアを複数個、各電話器(120 i )につきそのような行ペアを1個づつ備えており、
前記各行ペアは、各電話器について送信データ・タイム・スロット、および1度に通話する複数の電話器の最大値の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える偶数行、および各電話器について1つの受信データ・タイム・スロットおよび1度に通話する複数の電話器の最大数の他の半分について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える奇数行から成り、
前記各電話器(120 i )は、前記各電話器についての送信・受信データ行ペアの期間に、各エポック(200)の間に一度だけ、受信・送信データ・パケット・スロット(251、252)を介して、データ・パケットを受信し、且つ送信し、電話器がベース・ユニットと通話中であるならば、エポックの各行ペアのそれぞれの送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロット(253、254)の期間に前記各電話器はオーディオ・パケットを受信し、且つ送信する、前記無線電話器と通話するベース・ユニット(110)。
(請求項12) 前記データ源が、データを記憶するメモリであり、リクエストされたデータが、メモリ内に記憶されるデータである、請求項11記載の無線電話器と通話するベース・ユニット。
(請求項13) 無線電話システム(100)であって、
(a)ベース・トランシーバ(111、112)を備えるベース・ユニット(110)と、
(b)各電話器(120 i )が、トランシーバ(121、122)を備え、ベース・トランシーバを介して、データ・リンクおよびオーディオ・リンクをベース・ユニット(110)と設定する複数の無線電話器(120)とから成り、
前記データ・リンクは、シグナル情報を送信し、前記オーディオ・リンクはリアルタイムでの電話の呼出しのために音声データを送信し、データ源からの非音声データを求める電話器(120 i )からのリクエストの有り次第、ベース・ユニット(110)はリクエストされたデータをデータ源から検索して、電話器がリアルタイムの電話会議の音声データを送信するためにオーディオ・リンクを使用していなければ、検索されたデータをオーディオ・リンクを介して、電話器(120 i )に伝送し、そうでなければ、記憶された情報をデータ・リンクを介して、電話器に伝送する、前記無線電話システム(100)。
【0005】
発明の実施の態様
図1に、本発明の実施例に従う、TDMA多ライン無線電話システム100のブロック図を示す。TDMAシステム100はベース・ユニット110を備える。ベース・ユニット110は受信器112と送信器111を備え、電話線115を介して外部ネットワーク116に結合される。ベース・ユニット110は、メモリすなわち蓄積デバイス118(例えば、RAMまたはハードディスク・ドライブ)を備え、蓄積されたデータを貯える。またシステム100はN個の無線電話器1201、1202...120Nを備える。各電話器は、電話器1201の送信器121と受信器122のような、送信/受信ユニット(トランシーバ:transceiver)を備える。あるときには、これらの電話器のうちいくつかが作動しており、すなわち、フックから外されており(電話が呼出し中である)、あるときには、どの電話器も作動していない。従って、システム100はベース・ステーション110と各電話器120i(1 ≦ i ≦ N)との間で無線ネットワークを提供する。1つの実施例で、システム100は4個の電話器1201〜 1204を備え、それらがすべて同時に作動できる。別の実施例で、システム100は別の数(例えば、N=12)の電話器を備え、そのうち一度に8台までは作動できる。
【0006】
或る実施例では、本発明はTDMAシステムを備え、1つのRFチャンネルで多数のトランシーバを1つのベース・ステーションに接続する。特に、システム100はディジタル式TDMAスキーム(以下に詳細に述べる)を使用し、これにより、TDMAエポック(epoch)の大部分の間、各電話器は「オフ」に(すなわち、データを送受信しておらず、バッテリの電力をあまり使用していない状態に)なっており、それ自身のタイム・スライスまたはスロットの間のみ「オン」になっているので、電力が能率的に使用される。別の実施例では、電話器は、少なくともそのCPU(Central Processing Unit)およびトランシーバ(受信器と送信器)ユニットへの電源スイッチを切ることでオフになり、クロックおよび関連するタイマーあるいは監視回路のみがオンにされ、所定のスロット・タイムにおいてCPUを起動(wake up)させるのに十分なだけの電力が供給されている。
【0007】
図2は、本発明の実施例に従い、図1のシステムのTDMAスキームで使用されるTDMAスロット構造200を概略図で表す。TDMA多ライン無線電話システム100は、構造200を有するTDMAエポック(epoch)を使用し、全部で12台の電話器1201〜12012のうち8台、電話器1201〜1208が一度に動作できるものとする。TDMAエポック構造200は多数の行と列から成る。TDMA構造200の各行は2msフィールドのディジタル・データを表し、奇数または偶数であり、奇数行または偶数行(フィールド)でペアを成す。TDMAエポック構造200は48msエポックである。
【0008】
通常動作モードで、各フィールドは全部で9個のパケットから成る:第1列の(非オーディオ)データ・パケット(ベースからまたは電話器から送信される)および8個のオーディオ・パケット(2つで4つのペアを成す)。1行におけるこのような各ペアのオーディオ・パケットには、1パケット(タイム・スロット)のベース・オーディオ伝送(ベース・ユニット110から電話器へ)および1パケットの電話器オーディオ伝送(電話器からベースへ)が含まれる。従って、各エポック内で、1ペアのデータ・パケット・スロットと数ペアのオーディオ・パケット・スロットが各電話器に割り当てられる。これらのデータ・パケット・スロットは、それぞれの各電話器と共に「データ・リンク」を設定するために使用され、これらのオーディオ・パケット・スロットはそれぞれの各電話器と共に「オーディオ・リンク」を設定するために使用される。これらのデータ・リンクは共に、システムのデータ・チャンネルを構成し、一方、オーディオ・リンクはシステムのオーディオ・チャンネルを構成する。換言すると、TDMAのエポック構造200の第1列はデータ・チャンネル(データ・リンク)に対応し、残りの列はオーディオ・チャンネル(オーディオ・リンク)に対応している。
【0009】
電話器のデータ・リンクを使用して、非オーディオ・データ(ここでは、シグナル情報と称す)をデータ・パケットを介して伝送する。各データ・パケットは一組のデータであって、個別のタイム・スロットの間に、電話器からベース・ユニットへ、あるいはベース・ユニットから電話器に、伝送される。その個別のタイム・スロットの間、他の電話器はこのシステムのデータ・チャンネルでデータを送信も受信もしない。これらのデータ・パケットの中には種々のデータ、例えば、睡眠モードで電話器に伝送されるタイム・スタンプ情報を持つ同期データまたはワード、電話のかけ手のID情報、入来する呼出し情報、電話器でダイアルされている電話番号など、が入っている。データ・リンクで送られるこのシグナル情報を使用して、呼出しをセットアップし、入来する呼出しを電話器に知らせ、電話器とベース間の通話リンクを維持する。
【0010】
音声データ(すなわち、リアルタイムでの電話の会話のオーディオ・データを含んでいるオーディオ・パケット)は、電話器のオーディオ・リンクで伝送される。電話器のオーディオ・リンクの帯域幅はデータ・リンクの帯域幅よりもずっと広い。その理由は、各エポック内で、各電話器に1ペアのデータ・パケット・スロットと数ペアのオーディオ・パケット・スロットが割り当てられているからである。例えば、N=12で、全部の電話器は1201〜 12012、一度に8台までが作動されると、1エポック1電話器につき12ペアのオーディオ・パケットがあり、これに対し、オーディオ・チャンネル(リンク)の帯域幅がデータ・チャンネル(リンク)の帯域幅の12倍であれば、1エポック1電話器につき1ペアのデータ・パケットである。オーディオ・パケットには、ディジタル化された(そして多分、圧縮された)音声情報が入っている。
【0011】
従って、例えば、0行のペアは偶数行と奇数行から成る。この偶数行で、ベースは第1のタイム・スロット(スロット251)のデータを12台の電話器のうち1台(例えば、電話器1201)に伝送する。各電話器について、エポック200内に1つの行ペアがあり、各電話器は1エポックに一度データを受信し且つベース・ユニット110に送信することができる。第1のデータ・スロット251の後、電話器1201は作動している(オフ・フック)と仮定し、オーディオ・パケットがオーディオ・パケット・スロット253で電話器1201に伝送され、それから、他の3台の電話器について、オーディオ・パケットがオーディオ・パケット・スロット254で電話器1201によってベース・ユニット110に伝送され、そのフィールドまたは行の終わりに至る。0行ペアの奇数行で、データ・スロット252が使用されて、電話器1201からベース・ユニット110に送信されたデータを受け取り、残りの4台の動作中の電話器に対してオーディオ・パケットが送信される。1〜11行のペアにおいも同じシーケンスが起こるが、データ・パケットは、0行ペアの場合とは異なる別の電話器から別の電話器に伝送される。
【0012】
電話器の使用者は、ベース・ユニット110のメモリ118内に貯えられているデータを検索できることが望ましい。この情報は、典型的にデータ・リンクを介して伝送されるシグナル・データおよびオーディオ・リンクを介して伝送される音声データに付加されるものである。貯えられたデータには、ベース・ユニット内で利用できるすべての貯えられた/バックアップされた情報が含まれている。この情報は、音声、データ、または他のサービス情報を表している。例えば、貯えられたデータは、音声メール情報、電話のかけ手のID情報、または他のサービス情報である。
【0013】
このような貯えられた情報は典型的に、電話器によってそのデータ・リンクを介してリクエストされる。リクエスト自体は一種のシグナル情報であるからである。貯えられたデータは、同時発生の電話の呼出しに関連するオーディオ・データではないので、データ・リンクを介して伝送される。しかしながら、これは、データ・リンクの帯域幅がオーディオ・リンクの帯域幅よりも狭いので、実用的でなく、望ましくない。従って、この発明では、貯えられた情報が電話器によってリクエストされると、オーディオ・リンクは一時的に、「貯えられたデータ・リンク」に変換され、音声データの伝送は一時的に停止され(消音されまたは中断され)、貯えられたデータは、その電話器のオーディオ・データ・スロットの間、電話器に転送される。このため、貯えられたデータは、比較的狭い帯域幅のデータ・リンクを使用したときよりもずっと早い速度で伝送される。
【0014】
本発明では、最初に、電話器120iは貯えられたデータをベース・ユニット110からリクエストする。次にベース・ユニットはその貯えられたデータをメモリ118から持ってきて、それをディジタル情報として電話器120iの音声リンクの中へ組み入れる。電話器120iはそのリクエストについての情報(knowledge)があるので、そのオーディオ・リンクで予期される貯えられたデータがどのようなタイプのものであるかを知り、従って、その貯えられた情報が受信されたときに使用すべき復号化または処理のタイプを知る。
【0015】
例えば、音声メール・メッセージを検索しようとする場合、電話器120iはその音声メール・メッセージに対する適正なリクエストを、そのデータ・リンクを介して、ベース・ユニット110に伝送する。ベース・ユニット110は、貯えられた音声メール・データを引き出す。このデータはメモリ118を効率的に使用するために圧縮された形で貯えられる。リクエストされた音声メール・メッセージを表している、この圧縮されたディジタル情報は、次に、そのデータ・リンクを介さずに、そのオーディオ・リンクを介して電話器120iに伝送される。次に電話器120iは、そのオーディオ・リンクを介して受け取ったデータを、その音声復元エンジンを通して処理する。電話のかけ手のID情報が検索されると、オーディオ・リンク通って来るデータは適正に処理されて、電話器のディスプレイに表示される。
【0016】
従って、本発明は、無線システムにおいて情報の検索のために非対称のリンクを作り出し、利用できる帯域幅が効率よく使用できるようにする。
【0017】
別の実施例では、オーディオ・リンクが使用されて、貯えられたデータを、それがすでに使用されていない場合にのみ、検索する。この場合、データ・リンクが電話器によって使用され、貯えられたデータの検索をリクエストする。もしオーディオ・リンクを電話器が使用中であれば、貯えられたデータを電話器に伝送するためにデータ・リンクが使用される。しかしながら、オーディオ・リンクが使用中でなければ、代りに、オーディオ・リンクが、貯えられたデータをより高いレート(rate:速度)で伝送するために、“貯えられたデータ(stored data)”のリンクとして使用される。
【0018】
別の実施例では、電話器によって検索される貯えられた情報は実際には、ベース・ユニット110内に貯えられておらず、ベース・ユニット110の外部のデバイス、例えば、外部のPCまたは蓄積デバイス(適当なインタフェースによってベース・ユニット110に結合される)内に貯えられている。この場合、貯えられた情報は、ベース・ユニットを介して、蓄積デバイスから電話器によって引き出され、蓄積デバイスは、ベース・ユニット110内に在っても、ベース・ユニット110で直接アクセスできても、あるいは何かインタフェースを介してベース・ユニット110でアクセスできても、メモリ118と同じものであると見做される。従って、リクエストの有り次第ベース・ユニットが貯えられたデータを供給できるようにベース・ユニット110内に直接貯えられた情報、あるいはベース・ユニットに機能的に結合されたデバイス内に貯えられた情報は、いかなる情報も、ベース・ユニット110内に貯えられた情報と見做される。電話器の観点から、リクエストはベース・ユニット110で作られ、ベース・ユニット110より提供される情報はベース・ユニット110内に貯えられているように見えるからである。
【0019】
本発明の原理により上述した無線システムは移動電話システムであって、ベース・ユニット110は移動電話ネットワーク(cellular telephone network)内のセル(cell、通話可能範囲)のうちの1つを担当するベース・ステーション(base station)を表していることを、当業者は認識するであろう。
【0020】
別の実施例では、メモリ118内に実際に貯えられたデータを電話器がオーディオ・リンクで検索する代りに、ベース・ユニット110にアクセスできるデータ源から電話器がデータを検索することが望まれる。例えば、ベース・ユニット110は外部のラインを介して、データを含んでいるモデム信号を受け取る。この場合、電話器は、例えば、コンピュータの電話データ・ポートに結合される。電話器は、データ源またはチャンネル(モデムにより提供される)に接続されるベース・ユニット110からリクエストする。次にベース・ユニット110は、モデムから復号されたデータを、オーディオ・リンクを介して、電話器に伝送する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例に従う、TDMA多ライン無線電話システムのブロック図である。
【図2】 図2は、本発明の実施例に従う、図1のシステムのTDMAスキームにおいて使用されるTDMAスロット構造の概略図である。
【符号の説明】
110 ベース・ユニット
111 送信器
112 受信器
116 外部ネットワーク
121 送信器
122 受信器
Claims (13)
- 無線電話システムであって、
(a)ベース・トランシーバを備えるベース・ユニットと、
(b)各電話器がトランシーバを備える、複数の無線電話器と、から成り、
各電話器に独占的データとオーディオ・パケット・タイム・スロットを割り当てるTDMAエポックに従って、時分割多重アクセス(TDMA)データ・リンクおよびTDMAオーディオ・リンクをベース・トランシーバを介して、ベース・ユニットと設定し、
前記データ・リンクは、シグナル情報を伝送し、
前記オーディオ・リンクは、リアルタイムでの電話の呼出しのために音声データを伝送し、
前記ベース・ユニットは、データ源からのデータを求める電話器からのリクエストの有り次第、リクエストされたデータをデータ源から検索して、検索されたデータをオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送し、
前記エポックは、送信・受信データ行のペアを複数個、各電話器につきこのような行ペアを1個づつ備え、
前記各行ペアは、各電話器について送信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える偶数行と、各電話器について受信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の他の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える奇数行とから成り、
前記各電話器は、前記各電話器についての送信・受信データ行ペアの期間に、各エポックの間に一度だけ受信・送信データ・パケット・スロットを介して、データ・パケットを受信し、且つ送信し、そして、電話器がベース・ユニットと通信しているならば、前記各電話器は、前記エポックの各行ペアのそれぞれの送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットの期間にオーディオ・パケットを受信し、且つ送信する、前記無線電話システム。 - 前記複数の電話器が、12台の電話器から成り、そのうち一度に8台が通話し、
前記エポックが、データ行のペアを12個、各電話器につきデータ行ペアを1個づつ備え、
前記各行ペアが、通話中の電話器のオーディオ通信のために送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットのペアを8個備える、請求項1記載の無線電話システム。 - 前記データ源が、データを記憶するためのメモリであり、前記リクエストされたデータが、メモリ内に記憶されたデータである、請求項1記載の無線電話システム。
- 前記ベース・ユニットが、メモリを備える、請求項3記載の無線電話システム。
- 前記ベース・ユニットが、メモリを備える外部コンピュータに結合される、請求項3記載の無線電話システム。
- 前記電話器が、リアルタイムの電話会議の音声データを伝送するためにオーディオ・リンクを使用していなければ、前記ベース・ユニットは、記憶された情報をオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送し、前記電話器がリアルタイムの電話会議の音声データを伝送するためにオーディオ・リンクを使用しているならば、記憶された情報をデータ・リンクを介して、電話器に伝送する、請求項3記載の無線電話システム。
- 前記記憶されたデータが、電話のかけ手のID情報および圧縮された音声メール・メッセージ・データの何れかである、請求項3記載の無線電話システム。
- 前記記憶された情報をリクエストしている電話器が、記憶された情報を、受信次第、記憶された情報の性質に従って処理する、請求項7記載の無線電話システム。
- ベース・トランシーバを備えるベース・ユニットと、各電話器がトランシーバを備える複数の無線電話器と、から成る無線電話システムにおいて、
(a)前記各電話器のトランシーバを使用して、ベース・トランシーバを介して、ベース・ユニットと時分割多重アクセス(TDMA)データ・リンクを設定し、且つベース・ユニットと通話中の各電話器を使用して、各電話器に独占的データとオーディオ・パケット・タイム・スロットを割り当てるTDMAエポックに従って、ベース・トランシーバを介して、ベース・ユニットとTDMAオーディオ・リンクを設定するステップであって、前記データ・リンクはシグナル情報を送信し、前記オーディオ・リンクはリアルタイムでの電話の呼出しのために音声データを送信するためのものである、前記設定するステップと、
(b)前記電話器を使用して、データ源からのデータを、ベース・ユニットからリクエストするステップと、
(c)前記ベース・ユニットを使用して、リクエストされたデータを、リクエストに応じて、データ源から検索するステップと、
(d)前記検索されたデータを、ベース・ユニットからオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送するステップと、から成る方法であって、
エポックは、送信・受信データ行のペアを複数個、各電話器につきこのような行ペアを1個づつ備えており、
前記各行ペアは、各電話器について送信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える偶数行、および各電話器について受信データ・タイム・スロットおよび一度に通話する複数の電話器の最大数の他の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える奇数行から成り、
前記各電話器は、各電話器の送信・受信データ行ペアの期間に、各エポックの間に一度だけ、受信・送信データ・パケット・スロットを介して、データ・パケットを受信し、且つ送信し、電話器がベース・ユニットと通話しているならば、各電話器は、前記エポックの各行ペアのそれぞれの送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットの期間にオーディオ・パケットを受信し、且つ送信する、前記無線電話システムにおける通信方法。 - 前記データ源が、データを記憶するメモリであり、リクエストされたデータが、前記メモリ内に記憶されるデータである、請求項9記載の無線電話システムにおける通信方法。
- 各電話器が、トランシーバを備える、複数の無線電話器と通話するベース・ユニットが、
(a)ベース・トランシーバを介して、各電話器と時分割多重アクセス(TDMA)データ・リンクを設定し、且つ独占的データおよびオーディオ・パケット・タイム・スロットを各電話器に割り当てるTDMAエポックに従って、ベース・トランシーバを介して、TDMAオーディオ・リンクを、ベース・ユニットと通話中の各電話器と設定するベース・トランシーバであって、前記データ・リンクはシグナル情報を送信し、前記オーディオ・リンクは電話の呼出しのために音声データを送信するためのものである、前記ベース・トランシーバと、
(b)記憶された情報を記憶するメモリであって、ベース・ユニットは、メモリ内に記憶された情報を求める電話器からのリクエストの有り次第、リクエストされた情報をメモリから検索し、前記情報をオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送する、前記メモリと、
から成り、
前記エポックは、送信・受信データ行のペアを複数個、各電話器につきそのような行ペアを1個づつ備えており、
前記各行ペアは、各電話器について送信データ・タイム・スロット、および1度に通話する複数の電話器の最大値の半数について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える偶数行、および各電話器について1つの受信データ・タイム・スロットおよび1度に通話する複数の電話器の最大数の他の半分について複数の送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットを備える奇数行から成り、
前記各電話器は、前記各電話器についての送信・受信データ行ペアの期間に、各エポックの間に一度だけ、受信・送信データ・パケット・スロットを介して、データ・パケットを受信し、且つ送信し、電話器がベース・ユニットと通話中であるならば、エポックの各行ペアのそれぞれの送信・受信オーディオ・パケット・タイム・スロットの期間に前記各電話器はオーディオ・パケットを受信し、且つ送信する、前記無線電話器と通話するベース・ユニット。 - 前記データ源が、データを記憶するメモリであり、リクエストされたデータが、メモリ内に記憶されるデータである、請求項11記載の無線電話器と通話するベース・ユニット。
- 無線電話システムであって、
(a)ベース・トランシーバを備えるベース・ユニットと、
(b)各電話器が、トランシーバを備え、ベース・トランシーバを介して、データ・リンクおよびオーディオ・リンクをベース・ユニットと設定する複数の無線電話器とから成り、
前記データ・リンクは、シグナル情報を送信し、前記オーディオ・リンクはリアルタイムでの電話の呼出しのために音声データを送信し、データ源からの非音声データを求める電話器からのリクエストの有り次第、ベース・ユニットはリクエストされたデータをデータ源から検索して、電話器がリアルタイムの電話会議の音声データを送信するためにオーディオ・リンクを使用していなければ、検索されたデータをオーディオ・リンクを介して、電話器に伝送し、そうでなければ、記憶された情報をデータ・リンクを介して、電話器に伝送する、前記無線電話システム。
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