JP3868325B2 - 多色粉末化粧料の製造方法 - Google Patents

多色粉末化粧料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器内に互いに色の異なる二以上の粉末化粧料部分を有する多色粉末化粧料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数色の粉末化粧料を容器内に収容し色の相違で模様を表す例えば頬紅やアイシャドウ等の多色粉末化粧料が知られている。この多色粉末化粧料を製造する方法としては、容器内に模様に対応する仕切りを挿入し、この仕切りにより画成される空間ごとに、色の異なる粉末化粧料を充填してから仕切りを除去し、充填物を圧縮成形して、乾燥する方法が一般的に採用される。
【0003】
しかしながら、このような製造方法では、仕切りの挿脱が面倒であること、仕切りの除去時に化粧料が割れる虞、縁が欠ける虞があること、仕切りの形状により定まる決まりきった模様しか形成できないこと、模様の多様化に応じて大量の仕切りを用意する必要があること、複雑な形状の模様や細かい形状の模様に対応する仕切りの形成が難しいこと、複雑な形状の模様や細かい形状の模様に対応する仕切りを用いると仕切りの隅々迄化粧料を均等に充填するのが難しいこと、等の欠点があり、量産には不向きである。
【0004】
そこで、このような問題の解消を図るべく、特開昭60−67405号公報には、粉末化粧料と溶剤から成る互いに色の異なる泥状物を、容器内に模様を形成するように充填し、多色粉末化粧料を得る方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭60−67405号公報には、各泥状物の容器に対する具体的な充填方法の記載は無く、単に各泥状物を充填していくのでは、同公報に図示されているように、比較的大雑把な仕切模様となり、複雑な模様、細かい模様を形成するのは困難である。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、複雑な模様、細かい模様、従来に無い模様を容易に形成する多色粉末化粧料の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による多色粉末化粧料の製造方法は、粉末化粧料と溶剤とを混合して成るスラリー状物の色の異なる二以上を、容器に充填する充填工程を備え、所定の後工程を経て多色粉末化粧料を得る多色粉末化粧料の製造方法において、充填工程では、容器の略中央に対応して配置された大径の第一ノズル、及び、この第一ノズルより小径を成し当該第一ノズルを略円環状に囲むように周方向に沿って複数が配置された第二ノズルを備えるノズル支持体を用い、容器の略中央から放射状に延びる一の色の模様、一の色の模様の放射状部分の間に一の色とは異色の模様を形成するように、第一ノズルから一の色のスラリー状物を吐出し、第二ノズルから一の色とは異色のスラリー状物を吐出することを特徴としている。
【0008】
このような多色粉末化粧料の製造方法によれば、容器の略中央に対応して配置された大径の第一ノズルから吐出された一の色のスラリー状物、及び、この第一ノズルを略円環状に囲む複数の小径の第二ノズルから吐出された異色のスラリー状物により、仕切りの使用による製造や、仕切りを用いずに単一ノズルの使用による製造では形成が困難な、複雑な模様、細かい模様、従来に無い模様である、容器の略中央から放射状に延びる一の色の模様と、この一の色の模様の放射状部分の間に充填された異色の模様と、を有する多色模様が容易に形成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による多色粉末化粧料の製造方法の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多色粉末化粧料の製造方法に用いられる製造具を示す正面図、図2は、図1の右側面図、図3は、図1のI−I矢視図、図4は、図3のII−II矢視図である。
【0010】
本実施形態の多色粉末化粧料の製造方法は、粉末化粧料と溶剤とを混合して成るスラリー状物を多色準備する準備工程と、この互いに色の異なるスラリー状物を図1〜図4に示す製造具を用いて容器に充填する充填工程と、容器の充填物を圧縮成形、乾燥する後工程と、を備えている。
【0011】
準備工程では、粉末化粧料を構成する多種の粉末を混合し、この混合物に油分を添加して例えばミキサ等で十分撹拌し、これに溶剤を加え混練することで、所定の粘性を有するスラリー状物を得る。
【0012】
ここで、上記粉末としては、例えば、タルク、マイカ、セリサイト、金属石鹸、無機顔料、有機顔料、パール材、防腐剤等が、また、油分としては、トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル、ワセリン、スクワラン、吸着精製ラノリン、メチルポリシロキサン、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル、メチルポリシロキサン、界面活性剤等が、また、溶剤としては一般的な溶剤であれば構わないが、例えば、軽質イソパラフィン、イオン交換水等が、各々製品に応じて適宜用いられる。
【0013】
そして、上記無機顔料、有機顔料の色を変えることで、互いに色の異なるスラリー状物を得る。
【0014】
充填工程では、先の準備工程で用意した互いに色の異なるスラリー状物を、例えばコンパクト等の容器に多色模様を形成すべく充填機を用いて充填する。この充填機は、スラリー状物を吐出するノズルが配設された製造具としてのノズル支持体を備えている。以下、ノズル支持体及び充填機について説明する。
【0015】
ノズル支持体1は、図1〜図4に示すように、中空円筒形状で両端が閉じられている本体2を有し、この本体2の一方側の端部である底部(製造時の容器との対向部)に、第一、第二ノズル3,4を備えている。
【0016】
第一ノズル3は、図3及び図4に示すように、大径を成し、本体2底部の略中央に吐出口が下方を向いて突設され、図4に示すように、吐出口とは反対側が、本体2の他方側の端部である上部を貫通するように配設されている。
【0017】
第二ノズル4は、図3及び図4に示すように、第一ノズル3より小径を成し、本体2底部において第一ノズル3を略円環状に囲むように周方向に沿って複数が配置され吐出口が下方を向いて突設されている。この第二ノズル4は、図4に示すように、本体2内の空間2aと連通するように配設され、この本体2内の空間2aは、本体2a周壁に設けられる連通管2bを介して外部と連通されている。
【0018】
そして、第一ノズル3は、吐出口とは反対側の端部が接続される第一チューブ5を介して第一押出機(不図示)に接続され、第二ノズル4は、本体2内の空間2a、連通管2b、この連通管2bの外部側端部が接続される第二チューブ6を介して第二押出機(不図示)に接続されている。
【0019】
これらの第一、第二押出機は、その内部に各々充填されるスラリー状物を各チューブ5,6を介して第一、第二ノズル3,4に各々押し出すもので、ノズル3,4の吐出圧力、吐出タイミング、吐出期間を調整することが可能とされている。
【0020】
このような構成の充填機を用いる充填工程では、先の準備工程で用意した互いに色の異なるスラリー状物を、第一、第二押出機に各々充填する。ここで、第一押出機には一の色のスラリー状物を充填し、第二押出機には一の色とは異色のスラリー状物を充填する。
【0021】
次いで、図5及び図6に示すように、容器7の略中央の上に第一ノズル3が位置するようにしてから押出機を操作し、第一ノズル3から一の色のスラリー状物を吐出して容器7に充填し、第二ノズル4から一の色とは異色のスラリー状物を吐出して容器7に充填する。
【0022】
そして、この充填工程の後工程として、容器7のスラリー状物を例えば濾紙や不織布等を介して例えばプレス機等でプレスすることで圧縮成形し、乾燥することで溶剤を除去し、図7(a)に示す多色粉末化粧料が得られる。
【0023】
図7(a)に示す多色粉末化粧料は、第一ノズル3に対応する(第一ノズル3から吐出されたスラリー状物を圧縮成形、乾燥した)一の色の粉末化粧料Aと、第二ノズル4に対応する一の色とは異色の粉末化粧料Bと、を備えるライティング模様の多色粉末化粧料である。具体的には、容器7の略中央から放射状に延びる一の色の粉末化粧料Aによる模様(中央部分及びこの中央部分から放射状に延びる部分から成る模様)と、この一の色の模様の放射状部分の間に充填された異色の粉末化粧料Bによる模様と、を備える多色粉末化粧料である。
【0024】
ここで、上記充填工程において、第一、第二ノズル3,4の吐出圧力、吐出タイミング、吐出期間の一以上を調整することで、単一のノズル支持体1の使用(このノズル支持体1の使用のみ)でも、例えば、図7(b)、(c)に示す花びら模様が容易に得られる。
【0025】
具体的には、図7(b)に示す多色粉末化粧料は、容器7の略中央から放射状に延びる一の色の粉末化粧料Aによる模様(中央部分及びこの中央部分から放射状に延びる部分から成る模様)と、この一の色の模様の放射状部分の間に充填されると共に当該一の色の模様の放射状部分を囲む異色の粉末化粧料Bによる模様と、を備える多色粉末化粧料である。また、図7(c)に示す多色粉末化粧料は、容器7の略中央から放射状に延びる一の色の粉末化粧料Aによる模様と、この一の色の模様の放射状部分の間に充填されると共に当該一の色の模様により囲まれる異色の粉末化粧料Bによる模様と、を備える多色粉末化粧料である。
【0026】
なお、第二ノズル4から吐出するスラリー状物は全て同色に限定されるものでは無く、第一ノズル3から吐出されるスラリー状物の色とは異色のスラリー状物を多色用意すると共に、各第二ノズル4に例えば各チューブを介して多色分の押出機を各々接続し、各第二ノズル4から、互いに色の異なるスラリー状物を各々吐出するようにしても良い。
【0027】
このように、本実施形態においては、充填工程で、容器7の略中央に対応して配置された大径の第一ノズル3と、この第一ノズル3を略円環状に囲むように周方向に沿って配置された複数の小径の第二ノズル4とを備えるノズル支持体1を用い、第一ノズル3から、一の色のスラリー状物を吐出し、第二ノズル4から、一の色とは異色のスラリー状物を吐出するようにしているため、仕切りの使用による製造や、仕切りを用いずに単一ノズルの使用による製造では形成が困難な、複雑な模様、細かい模様、従来に無い模様である、容器7の略中央から放射状に延びる一の色の粉末化粧料Aによる模様と、この一の色の模様の放射状部分の間に充填された異色の粉末化粧料Bによる模様と、を有する多色模様が容易に形成され、消費者の多様な要求に十分に応えられるようになっている。そして、本実施形態の多色粉末化粧料では、従来技術で述べた仕切りを用いる場合の欠点が全て無く、量産に好適である。
【0028】
以下、頬紅、アイシャドウ、フェイスパウダを得る場合の実施例を具体的に述べる。
【0029】
(実施例1)頬紅
溶剤系のプレス化粧料を以下の表1に示す基本原料にて製造した。配合量は重量%である。
【0030】
【表1】
Figure 0003868325
【0031】
(1)〜(8)の各粉末を混合した粉末部に、(9)〜(11)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物100重量部を、溶剤としての軽質イソパラフィン50重量部と混練してスラリー状物とした。このスラリー状物を、無機顔料、有機顔料の色を変えることにより複数色用意し、これらを、上記支持体(製造具)1を備える充填機を用い上記と同様の態様で容器に充填し、濾紙を介して圧縮成形後、乾燥して多色粉末化粧料としての頬紅を得た。
【0032】
(実施例2)アイシャドウ
溶剤系のプレス化粧料を以下の表2に示す基本原料にて製造した。配合量は重量%である。
【0033】
【表2】
Figure 0003868325
【0034】
(1)〜(8)の各粉末を混合した粉末部に、(9)〜(12)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物100重量部を、溶剤としての軽質イソパラフィン50重量部と混練してスラリー状物とした。このスラリー状物を、無機顔料、有機顔料の色を変えることにより複数色用意し、これらを、上記支持体(製造具)1を備える充填機を用い上記と同様の態様で容器に充填し、濾紙を介して圧縮成形後、乾燥して多色粉末化粧料としてのアイシャドウを得た。
【0035】
(実施例3)フェイスパウダ
溶剤系のプレス化粧料を以下の表3に示す基本原料にて製造した。配合量は重量%である。
【0036】
【表3】
Figure 0003868325
【0037】
(1)〜(9)の各粉末を混合した粉末部に、(10)〜(13)の油分を添加した後、ミキサで十分撹拌した。次いで、この混合物100重量部を、溶剤としての軽質イソパラフィン50重量部と混練してスラリー状物とした。このスラリー状物を、無機顔料、有機顔料の色を変えることにより複数色用意し、これらを、上記支持体(製造具)1を備える充填機を用い上記と同様の態様で容器に充填し、濾紙を介して圧縮成形後、乾燥して多色粉末化粧料としてのフェイスパウダを得た。
【0038】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、充填工程において、容器の略中央に対応して配置された大径の第一ノズルと、この第一ノズルを略円環状に囲むように周方向に沿って配置された複数の小径の第二ノズルとを備えるノズル支持体を用い、第一ノズルから、一の色のスラリー状物を吐出し、第二ノズルから、一の色とは異色のスラリー状物を吐出するようにしているため、仕切りの使用による製造や、仕切りを用いずに単一ノズルの使用による製造では形成が困難な、複雑な模様、細かい模様、従来に無い模様である、容器の略中央から放射状に延びる一の色の模様と、この一の色の模様の放射状部分の間に充填された異色の模様とを有する多色模様を容易に形成でき、消費者の多様な要求に十分に応えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る多色粉末化粧料の製造方法に用いられる製造具を示す正面図である。
【図2】 図1の右側面図である。
【図3】 図1のI−I矢視図である。
【図4】 図3のII−II矢視図である。
【図5】 図1〜図4に示す製造具による充填工程の説明図である。
【図6】 図5の斜視図である。
【図7】 図1〜図4に示す製造具により製造された各多色粉末化粧料の図であり、(a)はライティング模様の多色粉末化粧料の平面図、(b)、(c)は花びら模様の多色粉末化粧料の平面図である。
【符号の説明】
1…ノズル支持体(製造具)、3…第一ノズル、4…第二ノズル、7…容器、A,B…粉末化粧料。

Claims (1)

  1. 粉末化粧料と溶剤とを混合して成るスラリー状物の色の異なる二以上を、容器に充填する充填工程を備え、所定の後工程を経て多色粉末化粧料を得る多色粉末化粧料の製造方法において、
    前記充填工程では、
    前記容器の略中央に対応して配置された大径の第一ノズル、及び、この第一ノズルより小径を成し当該第一ノズルを略円環状に囲むように周方向に沿って複数が配置された第二ノズルを備えるノズル支持体を用い、
    前記容器の略中央から放射状に延びる一の色の模様、前記一の色の模様の放射状部分の間に前記一の色とは異色の模様を形成するように、前記第一ノズルから一の色のスラリー状物を吐出し、前記第二ノズルから前記一の色とは異色のスラリー状物を吐出することを特徴とする多色粉末化粧料の製造方法。
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