JP3867392B2 - 樹脂部品の成形方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂部品の成形方法及びその装置に係り、特に、製品の品質向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
技術例1:特開平06−285989号公報には、ジェットエンジンなどに用いられる樹脂部品の製造方法の関連技術が提案されている。
【0003】
この技術例1では、図2に示すように、繊維強化樹脂フィルムを積層した積層部品aを形成しておくとともに、樹脂の射出成形により射出成形部品bを形成し、積層部品aと射出成形部品bとを組み合わせて、金型(雄型)c及び金型(雌型)dの内部に固定した状態で加熱溶融処理するとともに、射出成形部品bなどの収縮によってできた金型c,dと樹脂部品との空隙に、外部から樹脂を補給することにより、積層部品aと射出成形部品bとを一体化するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、技術例1の技術であると、金型(雄型)c及び金型(雌型)dの合わせ目には、組み合わせのためのクリアランスが必要であるために、成形時において、流動抵抗が小さくかつ樹脂量の多い射出成形部品bの付近のクリアランスGから、流動性を有する樹脂の一部が流出して成形精度を損なうとともに、樹脂の流出方向に繊維の不揃いが生じることが考えられる。
【0005】
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
▲1▼ 金型の組み合わせ性を損なうことなく、樹脂の流動し易い箇所のクリアランスを小さくすること。
▲2▼ 樹脂流出量を制限して繊維の不揃い現象の発生を抑制し、成形精度の向上を図ること。
【0006】
【課題を解決するための手段】
被成形部品を対をなす金型の内部に装填する工程と、対をなす金型を合わせるとともに金型を合わせる方向の直交する方向に金型を相対的にずらして合わせ目のクリアランスを小さくする工程と、金型を加熱する工程と、金型の温度を高めた状態で溶融樹脂を補給する工程とを有している。
金型を相対的にずらす手段として、金型の合わせ目に相互に接触する傾斜面または傾斜曲面を形成しておいて、接触部分を摺動させることにより目的とする横方向にずらす技術が採用される。
被成形部品が、積層部品と射出成形部品とを組み合わせたものとされるとともに、摺動させるための接触部分が配される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図1に基づいて、本発明に係る樹脂部品の成形方法及びその装置の第1実施形態について説明する。なお、必要に応じて図2も参照して説明する。
【0008】
図1において、符号Xは被成形部品、aは積層部品、bは射出成形部品、1は金型(雄型)、2は金型(雌型)、3は成形キャビテイ、4,5は接触部分、Gはクリアランスを示している。
【0009】
前記被成形部品Xは、積層部品a及び射出成形部品bを、図2の技術例1に準じる材料や形状を適用して、あらかじめ形成しておいて組み合わせたものであり、以下の金型(雄型,雌型)1,2を使用して、積層部品a及び射出成形部品bを融着させて一体化する成形を行うことにより、所望特性の樹脂部品を得るようにしている。
【0010】
そして、樹脂部品の成形装置として、前述した図2と類似した構造の対をなす金型(雄型,雌型)1,2が適用され、金型1,2は、その合わせ目に被成形部品Xを装填して射出成形するための成形キャビテイ3を有している。
加えて、金型(雄型,雌型)1,2の合わせ目には、金型1,2を相対的にずらして合わせ目のクリアランスGを小さくするための接触部分4,5を具備しており、該接触部分4,5は、図1に示すように、傾斜状態で摺動接触させるための凸状の曲面を有している。
【0011】
前記接触部分4,5の位置は、金型1,2の合わせ目であって、クランク状をなしている部分であるとともに、射出成形部品bに近いクリアランスGから離れた箇所に設定されている。
【0012】
このように構成されている成形装置にあっては、積層部品a及び射出成形部品bをあらかじめ形成しておいて組み合わせた被成形部品Xを、金型1,2の成形キャビテイ3に装填して、金型(雄型)1を図1の矢印で示すように移動させるとともに、その際に、接触部分4,5を摺動接触させることにより、金型1,2を合わせる方向に対して直交する方向に、金型1,2を相対的に僅かにずらして、合わせ目のクリアランスGを小さくして使用される。
【0013】
その後、クリアランスGを小さく設定した金型1,2を加熱して、温度を高めた状態で加圧するとともに、図1例に準じて外部から樹脂を補給して、積層部品aと射出成形部品bとを、一体化する成形が実施される。
【0014】
このような金型1,2の組み合わせ時や成形時にあって、射出成形部品bの付近のクリアランスGは、接触部分4,5の摺動によってほぼ零となるとともに、その反対側のクリアランスFよりも著しく小さくなる。
このため、溶融樹脂の移動し易い射出成形部品bの付近のクリアランスGを小さく、長繊維によりずれにくい積層部品aの先端付近のクリアランスFを大きくすると、流動性の差分が打ち消されることになる。
その結果、射出成形部品bの付近の偏った樹脂流出が抑制され、樹脂の流出に基づく繊維の不整現象の発生が抑制される。特に、射出成形部品bの付近における積層部品aの基部が、樹脂流出により繊維不整となることが防止される。
【0015】
一方、金型1,2の離型を行なう場合には、金型1,2による被成形部品Xの加圧の解除に加えて、図1に示す矢印と反対方向に金型1,2を移動させることにより、接触部分4,5が離れるとともに、ほぼ零となっていたクリアランスGが元に戻り、金型1,2の分離が円滑に行なわれる。
【0016】
〔他の実施の形態〕
本発明に係る樹脂部品の成形方法及びその装置にあっては、以下の技術を包含している。
a)金型1,2を相対的に横にずらす手段(方法)として、接触部分4,5を相互に接触する傾斜面で形成すること。
b)積層部品a及び射出成形部品bの双方に繊維が混入されているものに適用すること。
c)繊維の長さや量に基づく流動抵抗に応じて、クリアランスF,Gの量を設定すること。
【0017】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂部品の成形方法及びその装置によれば、以下のような優れた効果を奏する。
(1) 対をなす金型を合わせる際に、金型の合わせ目の接触により、金型を横方向にずらして所望のクリアランスを小さくするものであるから、金型の組み合わせ性を損なうことがなく、所望の部分の樹脂の流出現象の発生を抑制することができる。
(2) 金型を相対的にずらす手段として、相互に接触する傾斜面または傾斜曲面を利用することにより、金型の構造の複雑化を抑制し、実用性を高めることができる。
(3) 被成形部品の繊維量を勘案したクリアランスの設定により、樹脂流出量を制限して繊維の不揃い現象の発生を抑制し、成形精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る樹脂部品の成形方法及びその装置の第1実施形態を示す正断面図である。
【図2】 樹脂部品の製造方法の従来技術例を示す正断面図である。
【符号の説明】
X 被成形部品
a 積層部品
b 射出成形部品
1 金型(雄型)
2 金型(雌型)
3 成形キャビテイ
4,5 接触部分
F,G クリアランス
Claims (3)
- 積層部品と射出成形部品とを組み合わせた被成形部品(X)を溶融樹脂によって一体化させる樹脂部品の成形方法において、
被成形部品(X)を対をなす金型(1,2)の内部に装填する工程と、
対をなす金型を合わせるとともに金型を合わせる方向の直交する方向に金型を相対的にずらして金型間において溶融樹脂の供給部位の近傍で溶融樹脂の流動抵抗が比較的小さい部位のクリアランス(G)を小さくする工程と、
金型を加熱する工程と、
金型の温度を高めた状態で溶融樹脂を供給部位に補給する工程と
を有している樹脂部品の成形方法。 - 各々の金型(1,2)に傾斜曲面状態の接触部分(4,5)を形成しておいて、該接触部分を相互に摺動させることにより金型を合わせる方向の直交する方向に相対的にずらすことを特徴とする請求項1記載の樹脂部品の成形方法。
- 対をなす金型(1,2)を合わせて形成される成形キャビテイ(3)内に装填された積層部品と射出成形部品とを組み合わせてなる被成形部品(X)を、金型の温度を高めた状態で外部から供給された溶融樹脂によって一体化させる樹脂部品の成形装置において、
各々の金型には、合わせる方向の直交する方向に相対的にずらして金型間において溶融樹脂の供給部位の近傍で溶融樹脂の流動抵抗が比較的小さい部位のクリアランス(G)を小さくする傾斜曲面状態の接触部分(4,5)が形成されることを特徴とする樹脂部品の成形装置。
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JPH11262930A JPH11262930A (ja) | 1999-09-28 |
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- 1998-03-16 JP JP06594998A patent/JP3867392B2/ja not_active Expired - Fee Related
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