JP3866193B2 - 給紙カセット装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどに装備される給紙カセット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
枚葉紙を積層した状態で収容し最上部の用紙から順次に給紙先に送り出す典型的な給紙カセット装置(例えば特許文献1参照)は、図6を参照して説明すると、カセット本体4に底板6が揺動中心5を中心に上下に揺動可能に取付けられ、底板6とカセット本体4の底壁4aとの間に底板6を押し上げるばね(図示していない)が設けられ、底板6に載置した用紙Pが底板6によって押し上げられ、最上部の用紙の先端側上面が送出ローラ8に押し付けられる構成になっている。
【0003】
そして送出ローラ8を回動作動させることにより、用紙Pは最上部の用紙から順次に矢印Yで示す送出方向に送り出される。残った用紙Pは底板6によって押し上げられ、最上部に位置する用紙が常に送出ローラ8に押し付けられた状態に維持される。送出ローラ8により送り出された用紙は、一対の給紙ローラ10a、10bの間を通されて搬送され、例えば静電潜像を利用した複写機においては、用紙のレジスト合わせを行う一対のレジストローラに送られ、次いで感光ドラムに送られる。
【0004】
上述のような給紙カセット装置にはその構造上、用紙の送り出しのタイミングにずれが生ずる。すなわち、図6(a)に示す底板6に載置された用紙が多い場合と図6(b)に示す少ない場合とでは、底板6の先端が揺動移動するので、用紙送出方向Yにおける用紙の先端位置が、用紙の多い場合には上流側の位置X1(図6(a))に、少ない場合には下流側の位置X2(図6(b))になる。すなわち用紙送出方向Yにおいて距離Zの違いが発生する。
【0005】
このように送り出される用紙の先端位置が変わると、送出ローラ8を作動させる給紙開始動作から用紙を所定の移動量例えば一対の給紙ローラ10a、10bの所まで動かす時間が、用紙の残量によって異なってしまう。ただし、モノクロ印刷装置では、用紙がレジストローラのニップ位置に到達してから感光体上への画像の形成を開始することで、用紙上の画像の先端位置のずれを防ぐことが可能であった。しかしながら、近年開発が盛んなカラー印刷装置、特に中間転写ドラムや中間転写ベルト(中間転写ベルトに1次転写した画像を用紙に2次転写するタイプ)を用いた印刷装置においては、用紙の搬送開始前に画像形成が開始されてしまうため、上述のモノクロ印刷装置のような制御を実施することは不可能であり、用紙の送り出しのタイミングが遅れるとそのまま用紙上の画像の先端ずれ(用紙の搬送方向下流側に画像の位置が正規の位置からずれること)となってしまう。例えば、A4用紙を長さ方向を用紙の搬送方向とする場合には75g紙500枚で最後の用紙では約5mmの画像の先端ずれが発生した。このずれは、給紙カセットに収容可能な用紙の総厚(1枚の厚さX枚数)が大きくなるほど大きくなる。
【0006】
このような給紙不良状態を改善する方法として、用紙が載置される底板を揺動させないで、カセット本体の底壁と略平行に上下動させ、用紙の先端位置が用紙の残量が変わっても常に同じになるようにする構造が採用されている(例えば特許文献2参照)。しかしながらこの方法は、給紙カセット装置が複雑になり、また用紙の大きさに応じた大きさの底板が必要になるので、コストアップが問題になる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−330673号公報(第1図、第6図)
【特許文献2】
特開2001−88950号公報(第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、揺動可能にかつ上方に付勢され設けられた底板に積層載置された用紙が、最上部の用紙から順次に底板の先端側から送出される給紙カセット装置において、最上部に位置する用紙の先端位置を、載置された用紙の量が変わっても実質上変動することがないようにすることできる、また簡単な構造で達成することができる、給紙カセット装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記技術的課題を解決する給紙カセット装置として、カセット本体に用紙送出側の端を上下に揺動可能にかつ上方に向けて弾性的に付勢し取付けられた底板を備える給紙カセット装置において、
該カセット本体には、載置された用紙の送出方向後端に当接しその位置を規定する支持部材が備えられ、
該支持部材が、積層された用紙の下部側の後端位置を上部側に対して用紙送出側に位置付ける後端規定面を有し、
該後端規定面が、底板に載置されている用紙量の変化に応じ、最上部に位置する用紙の送出側先端位置を実質上同じに維持する凹状曲面に形成され、
該カセット本体に載置された用紙の送出方向前端側に配設された前壁の底壁側には、該支持部材の該後端規定面による用紙の送出方向側への移動に対応して用紙前端を収容する凹部を形成し、前壁の上部側には上下方向に延びる平坦面を形成した、ことを特徴とする給紙カセット装置が提供される。
【0010】
そして支持部材の後端規定面によって、載置された用紙の枚数の減少に合わせ用紙の後端位置を用紙送出側に位置付けるようにし、用紙の枚数が減少しても用紙の先端位置が後方に移動しないようにする。また、簡単な構造で提供することができる。
【0011】
好適実施形態においては、該後端規定面が、底板に載置されている用紙の量が変化しても最上部に位置する用紙の送出側先端位置を実質上同じに維持する凹状曲面に形成されている。
【0012】
そして凹状曲面によって、用紙の後端位置を用紙の量の減少に合わせて漸次前方に位置付けるようにして、用紙の量が変わっても最上部の先端位置を実質上同じに維持することができるようにする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された給紙カセット装置について、その好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。なお、図6と実質上同一の部分は同一の符号で示されている。
【0014】
図1及び図2を参照して説明する。図1は給紙カセット装置を斜め上方から見て示した斜視図である。図2は給紙カセット装置を用紙送出方向における断面において簡略して示した説明図である。全体を番号2で示す給紙カセット装置は、上方が開口した矩形皿容器状のカセット本体4の底壁4aに、揺動中心5を中心に矢印Yで示す用紙送出方向側の端を上下に揺動可能にかつ上方に弾性的に付勢して取付けられた底板6を備えている。底板6の用紙送出方向Y側の端の上方には、底板6に積層載置され上方に付勢された用紙Pの最上部の用紙の先端部上面に当接して用紙を順次に送り出す送出ローラ8が画像形成装置本体に配置されている。
【0015】
送り出された用紙は上下一対の給紙ローラ10a、10bの間を通されて、例えば静電潜像を利用した複写機においては、用紙のレジスト合わせを行う一対のレジストローラ(図示していない)に送られ、次いで感光ドラム(図示していない)に送られる。送出ローラ8及び上方の給紙ローラ10aはカセット本体4が装備される装置本体に備えられ、下方の給紙ローラ10bはカセット本体4に取付けられている。
【0016】
なお、カセット本体4、底板6、送出ローラ8、給紙ローラ10a、10b、底板6を上方に付勢する手段(図示していない)などは、本発明における新規特徴を構成するものではなく、これら自体は公知の形態のものでよい。したがってこれらの構成の詳細については、必要な場合を除いて説明を省略する。
【0017】
給紙カセット装置2は、載置された用紙Pの送出方向Yの後端に当接して後端位置を規定する支持部材12をカセット本体4の底壁4aに備えている。支持部材12は、L字形状に基部12aと立設部12bを備え、基部12aを用紙送出方向Y側に位置付けて形成されている。このL字形状の基部12aと立設部12bで挟まれた内側に、用紙Pの後端部が位置付けられる。基部12aは底壁4a上に送出方向Yに所定の幅で延びる一対の案内レール14a、14bに移動自在に取付けられている。支持部材12の移動位置は、案内レール14aに平行に備えた位置決めラック16に支持部材12に備えたロック機構(図示していない)を噛み合わせることにより、用紙Pの大きさに応じて固定される。
【0018】
支持部材12は、基部12aと立設部12bで挟まれた内側に、積層状態で載置された用紙Pの後端位置を、下部側を上部側に対して用紙送出方向Y側に位置付ける後端規定面Fを有している。
【0019】
後端規定面Fは、立設部12bの上部から基部12aの用紙送出方向Y側に向けて延びた凹状曲面に形成されている。この凹状曲面は、用紙Pがフルに載置された状態(図2の状態)における最上部の用紙の送出方向Y側先端位置Xを中心にした、上方側の半径R1の円弧と下方側のそれよりも小さい半径R2の円弧とを結んだ形状に形成されている。この後端規定面Fによって、積層された用紙Pが順次に送出され残存枚数が減少すると、それに応じて用紙Pの最上部の用紙の後端位置が用紙送出方向Y側に位置付けられる(この作用については後にさらに詳述する)。
【0020】
カセット本体4の用紙送出方向Yにおける前壁4bの下部、底壁4a側には、支持部材12の後端規定面Fによる用紙Pの用紙送出方向Y側への移動に対応して用紙前端を収容するための凹部4cが形成されている。
【0021】
図2とともに図3を参照して、上述したとおりの給紙カセット装置2の作用について説明する。
【0022】
図2は用紙Pがカセット本体4内の底板6に、支持部材12の後端規定面Fによって後端位置が規定され、フルに載置された状態を、図3(a)は用紙Pがほぼ半分の状態を、図3(b)は用紙Pの量がさらに少ない状態を示している。なお図3において用紙Pの形状は説明のために簡略に示されている。
【0023】
図2の状態の用紙Pは、送出ローラ8の作動により最上部に位置する用紙から順次に送出され、図3(a)に示すように枚数が減少すると、最上部が下降し、用紙の後端位置は後端規定面Fの作用によって、最上部の用紙は図示の寸法Y1の分、用紙送出方向Y側に移動される。かくして先端位置Xはフルに搭載された状態(図2の状態)と実質上同じ位置に維持される。
【0024】
さらに用紙Pが送出され、図3(b)に示すように載置された枚数が少なくなると、用紙Pの最上部はさらに下降し、最上部に位置する用紙はさらに図示の寸法Y2の分、用紙送出方向Y側に移動され、先端位置Xは実質上同じ位置に維持される。
【0025】
したがって、カセット本体4内の揺動自在な底板6に積層載置された用紙Pの先端位置Xは、用紙Pの量に関係なく一定の位置に維持される。すなわち、フルに載置された用紙が順次に送出されて用紙の量が減っても、あるいは初期の用紙収容状態において搭載される用紙の量が少なくても、一定の位置Xに維持することができる。そして給紙開始動作から用紙Pを一対の給紙ローラ10a、10bまで移動させる時間が変化しない安定した給紙動作が得られる。さらに簡単な構造で達成することができ、従来のように底板を上下に平行に移動させる複雑な構造にならないので、コストアップを防止することができる。
【0026】
また、この給紙カセット装置2は、用紙Pの後端位置を規定する支持部材12に後端規定面Fが下方になるほど用紙送出方向Y側に位置付けられる凹状曲面に形成されているので、用紙をカセットに収容するときに用紙の後端をこれに沿って挿入することができ、用紙の挿入作業が容易である。
【0027】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えば下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0028】
(1)後端規定面F:
本実施の形態においては、後端規定面Fとして凹状曲面が備えられたが、後端規定面Fは、用紙の大きさ、厚さ、硬軟、さらに底板の形状、送出ローラの配設位置などによって、曲面の大きさを変えたり、あるいは図4(a)に示すように一つの平坦な斜面F1に、あるいは図4(b)に示す二つの平坦な上側斜面F2、下側斜面F3をつないだ形状にするなど、適宜に形成すればよい。
【0029】
(2)後端規定面F:
また、後端規定面Fを有する支持部材12は、用紙送出方向Yにおいて底板6の揺動中心5よりも後方に備えられたが、支持部材12が図5に示すように、用紙サイズが小さいときなど、揺動中心5よりも前方の底板6の中央の切欠き部7(図1)に位置付けられるような場合には、後端規定面Fを支持部材12の基部12a側になるにしたがい、より用紙送出方向Y側に用紙後端を位置付けるように形成するとよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明にしたがって構成された給紙カセット装置によれば、揺動可能な底板に積層載置された用紙が最上部から順次に底板の先端側に送出される給紙カセット装置において、最上部に位置した用紙の先端位置を、載置された用紙の量が変わっても実質上変動することがないようにすることができ、また簡単な構造で達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された給紙カセット装置を、斜め上方から見て示した斜視図。
【図2】図1に示す給紙カセット装置を矢印A−A方向に見て、用紙送出方向における断面で簡略図示した説明図。
【図3】本発明に従って構成された給紙カセット装置の作用説明図で、(a)は用紙がほぼ半分の状態、(b)は用紙がさらに少なくなった状態を示している。
【図4】後端規定面の他の形態を示した図。
【図5】支持部材を用紙送出方向の前方の底板部分に移動させた形態を示した説明図。
【図6】従来の給紙カセット装置の説明図。
【符号の説明】
2:給紙カセット装置
4:カセット本体
6:底板
8:送出ローラ
10a、10b:給紙ローラ
12:支持部材
F:後端規定面
P:用紙
Y:用紙送出方向
X:用紙の先端位置

Claims (2)

  1. カセット本体に用紙送出側の端を上下に揺動可能にかつ上方に向けて弾性的に付勢し取付けられた底板を備える給紙カセット装置において、
    該カセット本体には、載置された用紙の送出方向後端に当接しその位置を規定する支持部材が備えられ、
    該支持部材が、積層された用紙の下部側の後端位置を上部側に対して用紙送出側に位置付ける後端規定面を有し、
    該後端規定面が、底板に載置されている用紙量の変化に応じ、最上部に位置する用紙の送出側先端位置を実質上同じに維持する凹状曲面に形成され、
    該カセット本体に載置された用紙の送出方向前端側に配設された前壁の底壁側には、該支持部材の該後端規定面による用紙の送出方向側への移動に対応して用紙前端を収容する凹部を形成し、前壁の上部側には上下方向に延びる平坦面を形成した
    ことを特徴とする給紙カセット装置。
  2. 上記カセット本体が、中間転写ドラム及び中間転写ベルトを備え、中間転写ベルトに一次転写した画像を用紙に二次転写するカラー画像装置に用いられていることを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット装置。
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