JP3863085B2 - 焼成シリカ粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される樹脂の充填剤(フィラー)として好適に用いることができる焼成シリカ粒子、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機ケイ素化合物をアルコール性溶媒中で加水分解し、得られた水和物を縮合することによってシリカ粒子を得た後、該シリカ粒子を噴霧乾燥等によって乾燥すると共に造粒し、次いで焼成、分級することにより、所望の粒子径を有する焼成シリカ粒子を製造する方法が知られている。上記の焼成シリカ粒子は、例えば、半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として用いられている。
【0003】
焼成シリカ粒子を得る方法は、例えば、以下に示す特許文献に開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−96313号公報(公開日1987年5月2日)
【0005】
【特許文献2】
特開平1−234319号公報(公開日1989年9月19日)
【0006】
【特許文献3】
特開平4−240110号公報(公開日1992年8月27日)
【0007】
【特許文献4】
特開平3−288538号公報(公開日1991年12月18日)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法で得られる焼成シリカ粒子は、その表面に親水性基であるシラノール基〔≡SiOH,=Si(OH)2,−Si(OH)3〕が存在するため、吸湿性が高く、また、高温で加熱した場合には水が生成する。従って、上記の焼成シリカ粒子を例えば半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として用いると、該硬化後の樹脂組成物を劣化させるという問題点を有している。上記問題点は、具体的には、上記シリカ粒子が、硬化性樹脂であるエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、あるいは、良好な光重合性を保有する硬化性アクリル樹脂をマトリクス樹脂とする場合の充填剤として、上記の半導体素子の封止剤や歯科材料等の各種樹脂組成物に使用されている場合に起きる問題点である。具体的には、これらの樹脂組成物を使用した硬化物の耐熱下の使用や、長期下の使用により、充填剤の吸湿性、または発生する水により、硬化後の樹脂組成物自体が劣化を起こす。従って、上記焼成シリカ粒子を半導体素子の封止剤として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として用いた場合には、硬化後の樹脂組成物自体の劣化は致命的な欠陥となる。また、上記焼成シリカ粒子を歯科材料として使用される光硬化性樹脂組成物の充填剤として用いた場合には、該樹脂組成物の充填密度を高くすることができず、硬化後の樹脂組成物の強度を低下させてしまい、充填した歯科材料が歯からはずれやすい等の問題も起きる。また、吸湿性が高い充填剤が配合されていれば、歯科治療で使用した後の硬化後の歯科材料といえども、経時変化により硬化物が吸湿し、上記と同様に硬化後の歯科材料が歯からはずれやすいという問題もある。
【0009】
さらに、水和物を縮合することによって得られるシリカ粒子(上記特許文献1および2参照)は、粒度分布が狭く、粒子径が揃っているものの、シリカ粒子を乾燥させるために、乾燥装置であるスプレードライ装置を用いているため、乾燥して得られるシリカ粒子には凝集した形状のシリカ粒子が含まれている。その結果、上記特許文献に記載されているシリカ粒子を焼成すると、粒子同士の融着が起こって凝集物が生じる。従って、上記特許文献に記載されているシリカ粒子を焼成した焼成シリカ粒子には粒子径が大きな凝集物(粗大凝集粒子)が含まれるので、例えば高精度化された(高ギャップ精度が要求される)アンダーフィル用半導体素子の封止剤用や、歯科材料用の光硬化性樹脂組成物の充填剤として用いると、封止剤として使用した後の硬化物の寿命(信頼性)が問題となる場合もある。またこのような焼成シリカ粒子を用いた樹脂組成物では、充填密度が十分に高くならないという問題もある。よってこのような焼成シリカ粒子は、狭い場所での確実な充填の要求される歯科材料にも適していない。
【0010】
また、上記特許文献3の方法で得られるシリカ粒子は、粒度分布がブロードとなり、例えば、半導体素子の封止剤等に使用される場合、充填率を上げることが困難となる。また、上記特許文献4に記載の方法で得られる焼成シリカ粒子は、乾燥装置として真空蒸発器を使用しているが、焼成温度を300〜800℃の範囲として比較的低い温度で焼成を行なっているため、焼成シリカ粒子の表面にシラノール基が多く存在してしまう。また、焼成シリカ粒子の表面に細孔が残るため、吸湿性が高いものとなっている。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、例えば高精度化されたアンダーフィル用半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として好適に用いることができる焼成シリカ粒子、即ち、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない焼成シリカ粒子、および該焼成シリカ粒子を安価に製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の焼成シリカ粒子は、上記の課題を解決するために、シリカ粒子を焼成してなる焼成シリカ粒子であって、平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日間放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下であることを特徴としている。
【0013】
本発明の焼成シリカ粒子は、上記の課題を解決するために、上記シリカ粒子が、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合して得られるものであることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、焼成シリカ粒子は、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない。従って、上記焼成シリカ粒子を例えば歯科材料として使用される光硬化性樹脂組成物の充填剤として用いた場合には、該光硬化性樹脂組成物の充填密度を高くすることができ、かつ、光硬化性樹脂組成物の強度を向上させることができる。また、上記焼成シリカ粒子を例えば半導体素子の封止剤として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として用いた場合には、粗大凝集粒子が非常に少ないので該硬化性樹脂組成物を劣化させることなく、高ギャップ精度を達成することができる。これにより、例えば高精度化されたアンダーフィル用半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として好適に用いることができる焼成シリカ粒子を提供することができる。
【0015】
なお、本発明の焼成シリカ粒子を充填剤として使用した硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、配合している充填剤自体の吸湿性が非常に低いので、硬化後であっても硬化物が劣化しにくい。よって高耐久性、高寿命を有する硬化物、あるいは硬化充填物になる。よって、このような硬化物や硬化充填物を得ることのできる本発明の焼成シリカ粒子を充填剤として使用した硬化性樹脂組成物は好ましい形態である。
【0016】
本発明の焼成シリカ粒子は、上記の課題を解決するために、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合することによって得られるシリカ粒子を乾燥し、その後、該シリカ粒子を1000〜1200℃の範囲内で焼成して得られたものであることを特徴としている。
【0017】
本発明の焼成シリカ粒子は、上記の課題を解決するために、有機溶媒に含まれるシリコン化合物の濃度が0.05〜1.2モル/Lの範囲内であり、水の濃度が2〜25モル/Lの範囲内であり、触媒の濃度が0.8〜9.4モル/Lの範囲内であることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない焼成シリカ粒子とすることができる。
【0019】
本発明の焼成シリカ粒子は、上記の課題を解決するために、上記シリカ粒子が、焼成前に瞬間真空蒸発装置によって乾燥されていることを特徴としている。
【0020】
本発明の焼成シリカ粒子は、上記の課題を解決するために、上記シリカ粒子が、焼成前にスプレードライ方式によって乾燥された後に粉砕されたものであることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない焼成シリカ粒子を、効率よく提供することができる。
【0022】
本発明の焼成シリカ粒子の製造方法は、上記の課題を解決するために、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合することによってシリカ粒子を得る工程と、上記シリカ粒子を乾燥する乾燥工程と、乾燥することで得られたシリカ粒子を1000〜1200℃の範囲内で焼成する焼成工程とを含むことを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、上記範囲内でシリカ粒子を焼成することで、吸湿し難い表面状態になった焼成シリカ粒子を得ることができる。
【0024】
本発明の硬化性樹脂組成物は、平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の焼成シリカ粒子の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下である焼成シリカ粒子とマトリクス樹脂とを含むことを特徴としている。
【0025】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記マトリクス樹脂として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、GMA変性アクリル樹脂のいずれかの樹脂を含むことを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、充填密度が良好な硬化性樹脂組成物を、効率的に提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。本発明にかかる焼成シリカ粒子は、シリカ粒子を焼成してなり、平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日間放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下である構成である。また、本発明にかかる焼成シリカ粒子の製造方法は、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合することによってシリカ粒子を得た後、該シリカ粒子を1000〜1200℃の範囲内で焼成する方法である。
【0028】
本発明における「シリカ」とは、ケイ素原子が主に酸素原子との結合を介して三次元のネットワークを構成してなるシリコンの含酸素化合物を示す。該シリコンの含酸素化合物には、例えば下記組成式
nSiO(4-n)/2
(式中、Rはケイ素原子に直接、結合している炭素原子を有する有機基の平均組成式を表し、nは0〜1の数値を表す)
で示されるように、ネットワークを構成する多数のケイ素原子の一部に有機基が直接、結合している化合物も含まれることとする。
【0029】
本発明にかかる焼成シリカ粒子の原料であるシリコン化合物は、加水分解が可能であり、加水分解によって水和物を形成することができる化合物(有機ケイ素化合物)であればよく、特に限定されるものではないが、下記組成式
R'mSiX4-m
(式中、R' は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、不飽和脂肪酸残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の加水分解性基を表し、mは0〜3の整数を表す)
で示されるシラン化合物、およびその誘導体が、工業的に入手し易く安価であるので特に好ましい。
【0030】
但し、上記組成式中のmで表される整数が2または3であるシラン化合物および/またはその誘導体のみを原料として用いた場合には、三次元のネットワークを構成することができないので、シリカを得ることができない。従って、これらシラン化合物および/またはその誘導体を原料として用いる場合には、上記組成式中のmで表される整数が0または1であるシラン化合物および/またはその誘導体を併用する。
【0031】
該シラン化合物としては、具体的には、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン化合物;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール化合物;等が挙げられる。上記例示のシラン化合物のうち、アルコキシシラン化合物が、より入手し易く、かつ、得られる焼成シリカ粒子に不純物としてハロゲン原子が含まれることが無いので特に好ましい。本発明にかかる焼成シリカ粒子の好ましい形態としては、ハロゲン原子の含有量が実質的に0%であり、ハロゲン原子が検出されないことが好ましい。
【0032】
上記シラン化合物以外のシリコン化合物としては、例えば、上記組成式中のXで表される加水分解性基の一部が、カルボキシル基やβ−ジカルボニル基等の、キレート構造を形成し得る基で構成された化合物(シラン化合物の誘導体)、並びに、シラン化合物やその誘導体を部分的に加水分解して得られる低縮合物が挙げられる。シリコン化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0033】
上記原料、即ち、シリコン化合物を水を含む有機溶媒中で加水分解することにより水和物を形成した後、縮合することによって球状のシリカ粒子(微粒子)が懸濁状態で得られる。
【0034】
加水分解の具体的な方法は、具体的には、有機溶媒にシリコン化合物(原料)を一括して添加し、攪拌する方法;有機溶媒を攪拌しながらシリコン化合物を数回に分けて添加する方法;有機溶媒を攪拌しながらシリコン化合物を連続的に添加する方法;等の種々の方法を採用することができる。また、シリコン化合物を一部の有機溶媒に溶解させた溶液を予め調製し、該溶液を残りの有機溶媒に上記種々の方法を採用して添加することもできる。さらに、加水分解する際に、必要に応じて、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の塩基性触媒(以下、単に触媒と記す)を用いることもできる。上記例示の触媒のうち、アンモニアがより好ましい。
【0035】
有機溶媒は、シリコン化合物(原料)を溶解すると共に、水および触媒(必要に応じて)を溶解するか、若しくは、水および触媒が会合した状態で(ミセル状で)均一に分散することができる化合物であればよい。該有機溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテル等の(環状)エーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記例示の有機溶媒のうち、アルコール類が特に好ましい。尚、水や触媒と相溶しない有機溶媒を用いることもできるが、この場合には、水および触媒を均一に分散させるために界面活性剤を添加する必要がある。
【0036】
有機溶媒に含まれるシリコン化合物の濃度は、0.05〜1.2モル/Lの範囲内であることがより好ましい。有機溶媒に含まれる水や触媒の濃度は、得られるシリカ粒子の形状や粒子径、懸濁状態に影響を及ぼす。従って、所望する粒子径等にもよるが、水の濃度は、0.1〜50モル/Lの範囲内であることがより好ましく、2〜25モル/Lの範囲内であることがさらに好ましい。触媒の濃度(用いる場合)は、0を超え、10モル/L以下であることがより好ましく、0.8〜9.4モル/Lの範囲内であることがさらに好ましい。
【0037】
水や触媒を有機溶媒に添加する具体的な方法は、例えば、始めに一括して添加する方法;数回に分けて添加する方法;連続的に添加する方法;等の種々の方法を採用することができる。従って、シリコン化合物(原料)と、水や触媒とを有機溶媒に添加する際の互いのタイミングは、適宜工夫されるものとする。
【0038】
シリコン化合物を水を含む有機溶媒中で攪拌しながら加水分解,縮合する際の反応条件は、具体的には、反応温度は0〜100℃の範囲内がより好ましく、0〜70℃の範囲内がさらに好ましく、0〜50℃の範囲内が特に好ましい。反応時間は、30分間〜100時間程度がより好ましい。
【0039】
従って、加水分解,縮合時における最も好ましい反応条件は、有機溶媒に含まれるシリコン化合物の濃度が0.05〜1.2モル/Lの範囲内であり、水の濃度が2〜25モル/Lの範囲内であり、触媒の濃度が0.8〜9.4モル/Lの範囲内であり、かつ、反応温度が0〜50℃の範囲内である。
【0040】
シリコン化合物(原料)を水を含む有機溶媒中で加水分解,縮合することにより、球状でかつ粒度分布が狭く、粒子径が揃っているシリカ粒子(微粒子)を、懸濁状態で得ることができる。該シリカ粒子の平均粒子径の標準偏差値は1.3μm以下である。具体的には、上記反応形態を採用することで、平均粒子径が0.04〜4μmの範囲で、平均粒子径の標準偏差が1.3μm以下で、粒子径20μm以上の焼成シリカ粒子の凝集物の含有量が0.02重量%である、本発明にかかる焼成シリカ粒子を効率よく得ることができる。
【0041】
該シリカ粒子の反応液は、フィルターに通すことで、より粗大粒子を低減することは可能である。つまり、シリカ粒子の平均粒子径よりも1μm以上、孔径の大きいフィルターを使用する、例えば、シリカ粒子の平均粒子径が2μmであれば、3μmあるいはそれ以上のフィルターに通すことにより、反応中の液界面で生じた粗大凝集物等が除去されるため、より好ましい。上記フィルターは、適宜設定した空隙や空隙直径を持つメッシュであってもよい。
【0042】
上記シリカ粒子を有機溶媒から取り出して乾燥させた後、該シリカ粒子を焼成し、親水性基であるシラノール基〔≡SiOH,=Si(OH)2,−Si(OH)3〕を分解する(つまり、水酸基を分解する)と共に、細孔を塞ぐことにより、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない、非晶質の焼成シリカ粒子が得られる。該焼成シリカ粒子におけるシリカの含有量は、99.9重量%以上であることが望ましい。シリカ粒子の乾燥方法としては、例えば、いわゆる瞬間真空蒸発装置等を用いた乾燥方法や、スプレードライ方式による乾燥方式が好適である。
【0043】
瞬間真空蒸発装置を用いた場合、乾燥後のシリカ粒子の状態は単分散状態であり、そのまま、次工程である焼成を行なった場合でも単分散性を保持でき、融着による焼成シリカ粒子の凝集粗大物の生成が抑制される。また、乾燥方式として、スプレードライ方式も可能である。この場合、凝集状態でシリカ粒子を乾燥させることになるため、このまま焼成を行なうとシリカ粒子の融着が進み、凝集物ができ、単分散したものが得られないが、スプレードライ後、ハンマーミル等の粉砕装置でシリカ粒子を粉砕する粉砕工程を行なうことで、上記凝集物は粉砕されるので、シリカ粒子の焼成時に凝集が生じるのを抑制できる。
【0044】
上記スプレードライ方式による乾燥は、乾燥後、粉砕工程が必要であり、瞬間真空蒸発装置を使用する単分散状態での焼成シリカ粒子の乾燥と比較して、少し工程が複雑になるが、焼成シリカ粒子の凝集物が生じることを抑制しながら、本発明の焼成シリカ粒子を得ることができる方法である。このようなことから、より簡略化した本発明の焼成シリカ粒子を製造する工程とするには、瞬間真空蒸発装置を使用してシリカ粒子を乾燥する乾燥工程を、シリカ粒子を焼成する焼成工程の前に行なうことが好ましい。
【0045】
また、上記の瞬間真空蒸発装置としては、公知の瞬間真空蒸発装置を使用することができる。瞬間真空蒸発装置として、例えば、クラックス・システム 8B型(ホソカワミクロン株式会社製)を使用することができる。また上記のスプレードライ方式による乾燥においては、公知のスプレードライヤーや噴霧乾燥装置を使用することができる。上記スプレードライヤーとして、例えば、スプレードライヤー(ヤマト科学社製)が挙げられる。
【0046】
焼成温度は、1000〜1200℃の範囲内であることが好ましく、1050〜1100℃の範囲内であることがより好ましい。焼成温度が1000℃未満であると、シラノール基が残るため、得られる焼成シリカ粒子の吸湿性が高くなる。焼成温度が1200℃を超えると、シリカ粒子同士の融着が起こるため、凝集物(二次凝集物)が生じる。即ち、得られる焼成シリカ粒子が凝集物を含んでしまう。該凝集物は、粉砕機(解砕機)を用いても粉砕(解砕)することが困難である。尚、焼成時間は1時間程度で充分であるが、焼成温度やシリカ粒子の粒子径等に応じて設定すればよい。また、焼成は、空気中で行えばよい。
【0047】
本発明にかかる吸湿量の少ない焼成シリカ粒子を得るための好ましい形態としては、上記乾燥条件と焼成温度条件とを採用することである。さらに好ましくは、上記焼成条件である、焼成温度を1000〜1200℃、より好ましくは1050〜1100℃の範囲にして焼成を行なうことで、BET表面積が従来公知の焼成シリカ粒子の表面積よりも小さくなる。つまり吸湿し難い表面状態になった焼成シリカ粒子を得ることができる。
【0048】
上記の方法によって得られる焼成シリカ粒子の吸湿量は0.2重量%以下である。本発明の焼成シリカ粒子のより好ましい形態としては、焼成シリカ粒子の吸湿量を0.1重量%以下とすることが好ましく、0.07重量%以下とすることがより好ましく、0.05重量%以下とすることがさらに好ましい。
【0049】
なお、ここでの焼成シリカ粒子の吸湿量は、30℃,90%RH(相対湿度)の環境下で乾燥状態の焼成シリカ粒子を1日間放置した後における、該焼成シリカ粒子に含まれる水分量(重量増加分)である。なお、吸湿量の測定は、水分量が0.5%以下の焼成シリカ粒子を使用して行なう。なお、後述する実施例で使用した焼成シリカ粒子の水分量は、0.3%であった。焼成シリカ粒子の吸湿量の測定であるが、まず、焼成シリカ粒子が吸湿する前(吸湿テスト前)の当該焼成シリカ粒子の重量を測定する。次に、直径10cmの時計皿に、焼成シリカ粒子5gをのせ、時計皿の底を軽くたたき均一に薄く広げる。その後、上記環境下に1日放置し、吸湿量が一定になるまで吸湿させる(吸湿テストの実施)。次に、当該高湿度下による、吸湿テスト後の焼成シリカ粒子の重量測定を行なう。なお、上記吸湿テストを2〜3日継続しても、本発明の焼成シリカ粒子の吸湿量は実質的に増加していかない。これも本発明の焼成シリカ粒子が示す好ましい物性である。そして、以下の式に基づき、焼成シリカ粒子の吸湿量を求める。
【0050】
{吸湿テスト後のシリカ粒子の重量(g)−吸湿テスト前のシリカ粒子の重量(g)}/吸湿テスト前のシリカ粒子の重量(g)×100=シリカ粒子の吸湿量(重量%)
本発明では、上記時計皿を10個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子の吸湿量の測定を行った。そして測定数を10として、シリカ粒子の吸湿量の平均値を求め、これを吸湿量とした。
【0051】
なお、この吸湿テストをさらに2〜3日継続しても、本発明の焼成シリカ粒子は、特定の焼成条件を得て製造されているので、その表面のシラノール基が分解されており、焼成温度が1000〜1200℃の焼成を行なっていない焼成シリカ粒子の表面にあるシラノール基の量に比べて、実質的に表面に存在するシラノール基の量が少なくなっている。また、焼成温度も高いので細孔がふさがれており、BET表面積においても、焼成温度が1000〜1200℃の焼成を行なっていない焼成シリカ粒子のBET表面積に比べ、小さいことが予測できる。この表面状態の違いにより吸湿量の差が現われていると考えられる。
【0052】
よって本発明の焼成シリカ粒子が示すさらに好ましい物性としては、上記吸湿テスト1日後の吸湿量を基準として、3日継続して上記吸湿テストを行なった後の吸湿量の変化割合(通常は増加割合)が30%以下、より好ましくは20%以下、さらには10%以下、もっとも好ましくは5%以下である。この物性は、当該焼成シリカ粒子への吸湿が、ほぼ1日で恒常値になるということを意味する。この吸湿量が1日で恒常値になり、それ以降増加する割合が少ないという吸湿特性は、本発明の焼成シリカ粒子が示す好ましい物性である。
【0053】
また、該焼成シリカ粒子の平均粒子径は0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値は1.3μm以下である。さらに、焼成シリカ粒子に含まれる粒子径20μm以上の凝集物の含有量は0.02重量%以下である。該凝集物の含有量は、水90gに、焼成シリカ粒子を含有量が10重量%となるように焼成シリカ粒子を10g添加すると共に、界面活性剤を該焼成シリカ粒子に対して2重量%の割合となるように、該界面活性剤を2g加えて形成した混合物を、超音波分散を1時間行うことによってスラリー状にした後、該スラリーを20μmメッシュの網に通し、乾燥後、網を通過しなかった20μm以上の粗大凝集物の重量を測定することによって求められる。なお、上記界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸を使用する。また、粗大凝集物の含有量は、以下の式で求める。
【0054】
(粗大凝集物の重量(g)/焼結シリカ粒子の重量(g))×100=粗大凝集物の含有量(%)
本発明では、上記粗大凝集物の含有量は、測定数を10としたときの平均値としている。
【0055】
以上のように、本発明にかかる方法によれば、焼成シリカ粒子を安価に製造することができる。該焼成シリカ粒子は、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな焼成シリカ粒子の凝集物が殆ど含まれない。従って、上記焼成シリカ粒子を、例えば歯科材料として使用される光硬化性樹脂組成物の充填剤として用いた場合には、該光硬化性樹脂組成物の充填密度を高くすることができ、かつ、硬化後の樹脂組成物の強度、言い換えれば、硬化物の強度を向上させることができる。また、より細かい領域への充填性が向上する。なお、上記光硬化性樹脂組成物であるが、充填密度が良好で、硬化後の硬化物の強度が向上するので、上記の歯科材料以外の用途や、歯科材料以外の使用方法でも好ましく適応させることができる。
【0056】
また、上記焼成シリカ粒子を例えば半導体素子の封止剤として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として用いた場合には、同様に充填性が向上しているので、該硬化性樹脂組成物を劣化させることなく、高ギャップ精度を達成することができる。また高充填により、当該樹脂組成物硬化後の硬化物の強度も改良されるので、より耐久性の改良された半導体の封止剤となる。また充填性が良好であるので、金型等への充填時に、ピンホールや充填不良が発生し難い硬化性樹脂組成物となる。なお、上記硬化性樹脂組成物であるが、充填密度が良好であり、高充填が実現でき、その結果、硬化後の硬化物の強度も向上するので、上記の半導体封止剤以外の用途や、半導体封止剤以外の使用方法でも好ましく適応させることができる。従って、本発明にかかる焼成シリカ粒子は、例えば高精度化されたアンダーフィル用半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される樹脂組成物の充填剤として好適に用いることができる。
【0057】
また本発明にかかる焼成シリカ粒子とマトリクス樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を、高精度化された半導体封止剤として使用される硬化性樹脂組成物として使用するのも、また好ましい形態となる。上記半導体封止剤とは、具体的には、アンダーフィル用半導体素子の封止剤である。また本発明にかかる焼成シリカ粒子とマトリクス樹脂とを含む光硬化性樹脂組成物を、歯科材料として使用される光硬化性樹脂組成物として使用する方法も、また好ましい形態である。
【0058】
上記硬化性樹脂組成物は、具体的には、充填剤としての本発明にかかる焼成シリカ粒子(以下、「本焼成シリカ粒子」という)と、マトリクス樹脂として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、GMA変性アクリル樹脂のいずれかを含むものである。GMA変性アクリル樹脂とは、GMA変性化合物とGMA変性ポリマーとを含むものである。GMA変性樹脂とは、GMAを付加させることにより、少なくとも1つの二重結合を導入した樹脂のことである。なお、GMAとは、グリシジル(メタ)アクリレートである。上記硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物であってもよい。
【0059】
上記変性アクリル樹脂とは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を導入した樹脂である。また、上記のエポキシ樹脂は熱縮合硬化型樹脂であるが、それ以外の樹脂は、ラジカル硬化型樹脂であり、必要に応じ、重合性二重結合を一つ有する重合性単量体、例えば、スチレンや(メタ)アクリレート系単量体、あるいは重合性二重結合を2つ以上有する架橋性単量体である、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を配合することもできる。もちろん、上記重合性単量体と架橋性単量体を、併用することもできる。
【0060】
高精度化されたアンダーフィル用半導体素子の封止剤としての硬化性樹脂組成物を得るには、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂を用いることが好ましい。また歯科材料としての光硬化性樹脂組成物を得るには、変性アクリル樹脂を用いることが好ましく、光硬化性樹脂を用いることもまた好ましい。
【0061】
このとき、得られる樹脂組成物を100重量部とすれば、該樹脂組成物に含まれる上記本焼成シリカ粒子が、10〜90重量部となるように設定することが好ましい。種々の目的により、本焼成シリカ粒子の使用量は適宜工夫すればよい。
【0062】
また、得られる硬化性樹脂組成物を100重量部とすれば、該硬化性樹脂組成物に含まれるマトリクス樹脂が、10重量部〜90重量部となるように設定することが好ましい。種々の目的により、マトリクス樹脂の使用量を適宜工夫すればよい。
【0063】
また、本発明の焼成シリカ粒子としては、1種類を用いてもよく、また、平均粒子径や粒度分布の異なる2種類以上の本焼成シリカ粒子を用いてもよい。
【0064】
上記硬化性樹脂組成物が粒度分布の異なる2種類以上の本焼成シリカ粒子を含むことで、硬化性樹脂組成物の流動性が改善される。このような硬化性樹脂組成物であれば、より高精度化された型や、非常に細かく、かつ密な充填か必要な個所にも好適に使用されるため、好ましい。
【0065】
なお、用いる2種類の本焼成シリカ粒子の割合は、種々の目的により適宜工夫すればよいものとする。
【0066】
さらに、上記硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物の形態となるときには、エポキシ樹脂を使用したときにはアミン系硬化剤、また不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、変性アクリル樹脂等のラジカル硬化型樹脂を使用したときには、さらにBPO:ベンゾイルパーオキサイドやBiC75:t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、PBZ:t−ブチルパーオキシベンゾエート、DCP:ジクミルパーオキサイド等の公知のラジカル重合開始剤や、アゾ系開始剤等のラジカル重合開始剤を配合する。
【0067】
なお、ラジカル重合開始剤の配合量は、得られる樹脂組成物を100重量部とすれば、該樹脂組成物に含まれるラジカル重合開始剤が、0.1〜5重量部となるように設定することが好ましい。所望の熱硬化性樹脂を考慮して、配合量は適宜工夫すればよい。また、必要に応じ、公知の促進剤も配合できる。
【0068】
上記アミン系硬化剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ベンジルジメチルアミン;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2.]オクタン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]−7−ウンデセン等の第3級アミン、またトリフェニルホスフィン等のホスフィン類であってもよい。上記アミン系硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂の総質量に対して0.01質量%以上であることが好ましく、また、10.00質量%以下であることが好ましい。この範囲を外れると、良好な硬化促進効果が得られないおそれがある。より好ましくは、0.1質量%以上であり、また、5質量%以下である。
【0069】
上記ラジカル重合開始剤としては、具体的には、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2´アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;等が挙げられる。これらラジカル重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用することができる。
【0070】
また、上記樹脂組成物が、光硬化性樹脂の形態となるときには、さらに硬化剤としてベンゾフェノン化合物等の公知の光重合開始剤を配合してもよい。また、必要に応じて、さらに公知の増感剤を配合することもできる。
【0071】
上記光重合開始剤としては公知のものを使用でき、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。これら光重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用することができる。
【0072】
上記光重合開始剤の含有量は、上記樹脂組成物100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部であることが好ましい。光重合開始剤が少なすぎると、光照射時間を増やさなければならなかったり、充分な強度が得られなかったりする。
【0073】
さらに、必要に応じて、補強剤としてのガラス繊維やその他の無機繊維、有機繊維、顔料、湿潤剤、離型剤、エラストマーや本焼成シリカ粒子以外の他の充填剤を配合してもよい。
【0074】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。シリカ粒子並びに焼成シリカ粒子の平均粒子径、および平均粒子径の標準偏差値、および吸湿量、凝集物の含有量は、下記方法によって測定した。
【0075】
〔平均粒子径、および平均粒子径の標準偏差値〕
シラノール基を含有する通常のシリカ粒子であれば、比較的溶媒への分散が良好である。そのため、シリカ粒子を単分散した状態として、機器を用いて粒度分布、粒子径、標準偏差値を正確に測定することができる。しかしながら、本発明にかかるシリカ粒子並びに焼成シリカ粒子は、シラノール基を含有しない(シラノール基の含有率が実質0である)ため、溶媒への分散が悪くなる。従って、上記方法では、粒度分布、粒子径、標準偏差値を正確に測定することはできない。
【0076】
そこで本実施例では、次の方法により、シリカ粒子(または焼成シリカ粒子)の平均粒子径、および平均粒子径の標準偏差値を測定した。
【0077】
任意に採取したシリカ粒子の電子顕微鏡写真(95mm×70mm)を5ヶ所場所を変え、撮影する。このとき、上記電子顕微鏡写真1枚の中の粒子が50〜100個となるように測定倍率を設定する。具体的には、平均粒子径1μmのシリカ粒子(または焼成シリカ粒子)であれば、10000倍で撮影を行なう。この電子顕微鏡写真の全粒子をノギス測定し、シリカ粒子(または焼成シリカ粒子)を実測した。そしてこれら実測値から、下記式にもとづいて平均粒子径、および平均粒子径の標準偏差値を算出した。
【0078】
【数1】
Figure 0003863085
【0079】
〔吸湿量〕
焼成シリカ粒子の吸湿量は、30℃、90%RH(相対湿度)の環境下で乾燥状態の焼成シリカ粒子を1日間放置した後における、該焼成シリカ粒子に含まれる水分量(重量増加分)とする。吸湿量の測定には、水分量が0.3%以下の焼成シリカ粒子を使用した。焼成シリカ粒子の吸湿量の測定であるが、まず、焼成シリカ粒子が吸湿する前(吸湿テスト前)の当該焼成シリカ粒子の重量を測定した。次に、直径10cmの時計皿に、焼成シリカ粒子5gをのせ、時計皿の底を軽くたたき均一に薄く広げた。その後、上記環境下に1日放置し、吸湿量が一定になるまで吸湿させた(吸湿テストの実施)。次に、当該高湿度下による、吸湿テスト後の焼成シリカ粒子の重量測定を行なった。そして、以下の式に基づき、焼成シリカ粒子の吸湿量を求めた。
【0080】
{吸湿テスト後のシリカ粒子の重量(g)−吸湿テスト前のシリカ粒子の重量(g)}/吸湿テスト前のシリカ粒子の重量(g)×100=シリカ粒子の吸湿量(重量%)
以下の実施例および比較例では、上記時計皿を10個設け、一度に同じ条件でシリカ粒子の吸湿量の測定を行った。そして測定数を10として、シリカ粒子の吸湿量の平均値を求め、これを吸湿量とした。
【0081】
〔凝集物の含有量〕
焼成シリカ粒子に含まれる粒子径20μm以上の焼成シリカ粒子の凝集物の含有量は、水90gに、焼成シリカ粒子の含有量が10重量%となるように焼成シリカ粒子を10g添加すると共に、ドデシルベンゼンスルホン酸(界面活性剤)を該焼成シリカ粒子に対して2重量%の割合となるように、該界面活性剤を2g加えて形成した混合物を、超音波分散を1時間行うことによってスラリー状にした後、該スラリーを20μmメッシュの網に通し、乾燥後、網を通過しなかった20μm以上の粗大凝集物の重量を測定することによって求めた。なお、粗大凝集物の含有量は、以下の式で求めた。
【0082】
(粗大凝集物の重量(g)/焼結シリカ粒子の重量(g))×100=粗大凝集物の含有量(%)
以下に示す実施例および比較例では、上記粗大凝集物の含有量は、測定数を10としたときの平均値とした。
【0083】
〔実施例1〕
攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量2Lのガラス製反応器に、有機溶媒としてのメチルアルコール675.4gと、28重量%アンモニア水(水および触媒)263.3gとを仕込み、攪拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、シリコン化合物としてのテトラメトキシシラン134.5gをメチルアルコール55.9gに溶解してなる溶液を仕込んだ。そして、滴下装置から該溶液を1時間かけて滴下した。
【0084】
滴下終了後、さらに1時間攪拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解,縮合を行い、シリカ粒子の懸濁液を得た。該シリカ粒子の平均粒子径は0.48μmであり、平均粒子径の標準偏差値は1.3μmであった。該懸濁液を瞬間真空蒸発装置を用いて乾燥させることにより、粉体状のシリカ粒子(I)を取り出した。
【0085】
瞬間真空乾燥装置としては、クラックス・システム 8B型 (ホソカワミクロン株式会社製)を使用した。また乾燥条件として、加熱管温度175℃、減圧度200torrを採用した。
【0086】
上記の瞬間真空蒸発装置は、加熱水蒸気が供給されるジャケットで覆われた内径8mm,長さ9mのステンレス鋼管と、該鋼管の一端部に懸濁液を供給する供給部と、鋼管の他端部に接続された、粉体と蒸気とを分離するバッグフィルタが設けられた減圧状態の粉体捕集室とを備えている。そして、供給部から供給された懸濁液は、鋼管内を通過する際に加熱されて粉体と蒸気とに分離し、粉体はバッグフィルタによって捕集され、蒸気は凝縮された後、装置外に排出される構成となっている。
【0087】
得られたシリカ粒子(I)を坩堝に入れ、電気炉を用いて1050℃で1時間焼成した後、冷却し、次いで粉砕機を用いて粉砕した。これにより、焼成シリカ粒子(1)を得た。該焼成シリカ粒子(1)の平均粒子径は0.48μmであり、平均粒子径の標準偏差値は1.20μmであり、また、当該焼成シリカ粒子(1)を含む所定の超音波分散スラリーを20μmメッシュでろ過することにより産出した20μm以上の凝集物の含有量は0.01重量%であり、吸湿量は0.04重量%であった。
【0088】
〔実施例2〕
実施例1で得られた粉体状のシリカ粒子(I)を坩堝に入れ、電気炉を用いて、1200℃で1時間焼成した後、冷却し、次いで粉砕機を用いて粉砕した。これにより、焼成シリカ粒子(2)を得た。該焼成シリカ粒子(2)の平均粒子径は、0.49μmであり、平均粒子径の標準偏差値は1.27μmであり、凝集物の含有量は0.02重量%であり、吸湿量は0.02重量%であった。
【0089】
〔実施例3〕
実施例1で得られた粉体状のシリカ粒子(I)を1000℃で1時間焼成した後、冷却し、次いで粉砕機を用いて粉砕した。これにより、焼成シリカ粒子(3)を得た。該焼成シリカ粒子(3)の平均粒子径は、0.48μmであり、平均粒子径の標準偏差値は1.20μmであり、凝集物の含有量は0.01重量%であり、吸湿量は0.07重量%であった。
【0090】
〔実施例4〕
実施例1で得られた焼成シリカ粒子(1)65重量部とエポキシ樹脂(エピコ−ト YL983U、油化シェルエポキシ社製)35重量部とを、卓上3本ロールミルにて混練し、E型粘度計(1rpm、25℃)で粘度測定を行なった結果、140000cpsで、良好な流動性が認められる当該焼成シリカ粒子を含むエポキシ樹脂組成物を得た。
【0091】
〔実施例5〕
実施例1で得られた焼成シリカ粒子(1)32.5重量部と、1050℃で焼成した2.5μmの焼成シリカ粒子32.5重量%と、エポキシ樹脂(エピコート YL983U、油化シェルエポキシ社製)35重量部と、さらに、アミン系硬化剤として、2−メチルイミダゾール5重量部とを、卓上ロールミルにて混練し、E型粘度計(1rpm、25℃)で粘度測定を行なった結果、60000cpsで、実施例4の樹脂組成物より流動性がかなり優れた当該焼成シリカ粒子を含むエポキシ樹脂組成物を得た。なお、エポキシ樹脂やラジカル重合開始剤の混合時には、混練性を上げるために、加温を行なった。
【0092】
流動性が改善できた理由は、2種類の異なる平均粒子径を持つ当該焼成シリカ粒子を混合して用いたエポキシ樹脂組成物であるからと考えた。よって、本発明にかかる当該焼成シリカ粒子を含む樹脂組成物の流動性を改良するためには、2種類の異なる平均粒子径を持つ当該焼成シリカ粒子を混合して用いることが好ましい形態であると認識できた。
【0093】
アミン系硬化剤を配合した硬化性エポキシ樹脂組成物を予備加熱後、180℃に加温した封止剤用金型を使用して、封止する配線をセットし上下の型を閉じた後にプランジャーで当該型へ導入し、8分間加圧状態を保ち硬化させた。当該エポキシ樹脂組成物は、細かい構造部分まで隙間なく充填されていた。またピンホールやエアの噛みこみによる成形品の欠陥は存在しなかった。また、実施例5と同様にして、実施例5のエポキシ樹脂を、二重結合を導入したアクリル樹脂(ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート)25重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート10重量部に変更し、さらにシランカップリング剤3重量部を加えた。またアミン系硬化剤のかわりに、重合開始剤として光重合開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキサイドを0.5重量部配合して光硬化性の成形材料を作成した。上記成形材料を、以下に示す「硬化テスト・研磨性の確認法」で硬化テストおよび研磨性を確認した。成形性であるが、型の隅で充填不良やエアの噛みこみによる充填不良もなく良好な流動性を示し、また光硬化性も良好であった。
【0094】
「硬化テスト・研磨性の確認法」
下面に厚さ0.1mmのカバーグラスを付けた内径10mm、厚さ1mmのステンレス製金型に充填し、上面に同じカバーグラスを密着させた後に、両面より可視光照射器「GCライト」(ジーシー(株)製)で60秒ずつ光照射を行い成形材料の硬化物を得た。
【0095】
成形材料の硬化物の一面を♯600サンドペーパーで前研磨した後、歯科用研磨剤「エバライト」(ジーシー(株)製)で仕上げ、研磨面を作成した。この研磨面の光沢度を測定したところ、82%の良好な値を示した。
【0096】
〔実施例6〕
実施例1と同様に反応を行い、シリカ粒子の懸濁液を得た後、該懸濁液を瞬間真空蒸発装置で乾燥する前に、孔径3μmのカートリッジフィルター(東洋濾紙製)を通した。
【0097】
その後、実施例1と同様に瞬間真空蒸発装置で乾燥シリカ粒子(III)を得た。該シリカ粒子(III)を坩堝に入れ、電気炉を用いて、1050℃で1時間焼成した後、冷却し、次いで粉砕機(ハンマーミル)を用いて粉砕した。これにより、焼成シリカ粒子(6)を得た。該焼成シリカ粒子(6)の平均粒子径は0.50μmであり、平均粒子径の標準偏差値は1.18μmであり、また当該焼成シリカ粒子(6)を含む所定の超音波分散スラリーを20μmメッシュで濾過することにより産出した20μm以上の凝集物の含有量は0.01重量%であり、吸湿量は、0.03重量%であった。
【0098】
〔実施例7〕
実施例1における瞬間真空乾燥装置を、スプレードライヤー(ヤマト科学社製)
Figure 0003863085
に変更して乾燥を行い、乾燥後、さらにハンマーミルで粉砕し、その後でさらに焼成した以外は、実施例1と同様にして、焼成シリカ粒子(7)を得た。得られた焼成シリカ粒子(7)の平均粒子径は0.55μmであり、平均粒子径の標準偏差は1.3μmであった。また、実施例1と同様に、当該焼成シリカ粒子(7)を含む所定の超音波スラリーを20μmメッシュでろ過することにより産出した20μm以上の凝集物の含有量は0.01%であり、吸湿量は0.05%であった。
【0099】
〔比較例1〕
実施例1と同様の反応,操作を実施することにより、テトラメトキシシランの加水分解,縮合を行った後、乾燥させることにより、粉体状のシリカ粒子(2)を取り出した。
【0100】
得られたシリカ粒子を坩堝に入れ、電気炉を用いて850℃で1時間焼成した後、冷却し、次いで粉砕機を用いて粉砕した。これにより、比較用の焼成シリカ粒子(4)を得た。該焼成シリカ粒子の平均粒子径は0.48μmであり、平均粒子径の標準偏差値は1.22μmであり、当該粒子径20μm以上の凝集物の含有量は0.01重量%であった。しかしながら、吸湿量は0.4重量%であり、好ましい範囲から外れていた。
【0101】
〔比較例2〕
実施例1と同様の反応,操作を実施することにより、テトラメトキシシランの加水分解,縮合を行った後、乾燥させることにより、粉体状のシリカ粒子(II)を取り出した。
【0102】
得られたシリカ粒子を坩堝に入れ、電気炉を用いて1300℃で1時間焼成した後、冷却し、次いで粉砕機を用いて粉砕した。これにより、比較用の焼成シリカ粒子(5)を得た。該焼成シリカ粒子の平均粒子径は0.62μmであり、吸湿量は0.01重量%であった。しかしながら、平均粒子径の標準偏差値は2.4μmであり、当該粒子径20μm以上の凝集物の含有量は0.53重量%であり、何れの値も好ましい範囲から外れていた。
【0103】
〔比較例3〕
0.5μmのシリカ粒子(平均粒子径の標準偏差値が3.5μm、粒子径20μm以上の凝集物の量は1.1%である)65重量部と、エポキシ樹脂(エピコート YL983U、油化シェルエポキシ社)35重量部とを、卓上3本ロールミールにて混練しようとしたが、粘度が異常に高くなり、常温で十分に混練できなかった。
【0104】
【発明の効果】
本発明の焼成シリカ粒子は、以上のように、シリカ粒子を焼成してなる焼成シリカ粒子であって、平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日間放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下である構成である。また、本発明の焼成シリカ粒子は、以上のように、上記シリカ粒子が、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合して得られるものである構成である。
【0105】
それゆえ、焼成シリカ粒子は、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない。これにより、例えば高精度化されたアンダーフィル用半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される硬化性樹脂組成物の充填剤として好適に用いることができる焼成シリカ粒子を提供することができるという効果を奏する。
【0106】
本発明の焼成シリカ粒子は、以上のように、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合することによって得られるシリカ粒子を乾燥し、その後、該シリカ粒子を1000〜1200℃の範囲内で焼成して得られたものである構成である。また、本発明の焼成シリカ粒子は、以上のように、有機溶媒に含まれるシリコン化合物の濃度が0.05〜1.2モル/Lの範囲内であり、水の濃度が2〜25モル/Lの範囲内であり、触媒の濃度が0.8〜9.4モル/Lの範囲内である構成である。
【0107】
これにより、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない焼成シリカ粒子とすることができるという効果を奏する。
【0108】
また、本発明の焼成シリカ粒子は、以上のように、上記シリカ粒子が、焼成前に瞬間真空蒸発装置によって乾燥されている構成である。また、本発明の焼成シリカ粒子は、以上のように、上記シリカ粒子が、焼成前にスプレードライ方式によって乾燥された後に粉砕されたものであることを特徴としている。
【0109】
これにより、吸湿性が低く、かつ、粒度分布が狭く、粒子径が揃っており、粒子径が大きな凝集物が殆ど含まれない焼成シリカ粒子を、効率よく提供することができるという効果を奏する。
【0110】
本発明の焼成シリカ粒子の製造方法は、以上のように、加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合することによってシリカ粒子を得る工程と、上記シリカ粒子を乾燥する乾燥工程と、乾燥することで得られたシリカ粒子を1000〜1200℃の範囲内で焼成する焼成工程とを含む構成である。
【0111】
これにより、上記範囲内でシリカ粒子を焼成することで、吸湿し難い表面状態になった焼成シリカ粒子を得ることができるという効果を奏する。
【0112】
本発明の硬化性樹脂組成物は、以上のように、平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の焼成シリカ粒子の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下である焼成シリカ粒子とマトリクス樹脂とを含む構成である。また、本発明の樹脂組成物は、以上のように、上記マトリクス樹脂として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、GMA変性アクリル樹脂のいずれかの樹脂を含む構成である。
【0113】
これにより、充填密度が良好な硬化性樹脂組成物を、効率的に提供することができるという効果を奏する。

Claims (16)

  1. 加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合して得られるシリカ粒子を焼成してなる焼成シリカ粒子であって、
    上記焼成は、1000〜1200℃の範囲内で行われるとともに、
    平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日間放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下であることを特徴とする焼成シリカ粒子。
  2. 上記シリカ粒子は、焼成前に乾燥されていることを特徴とする請求項1に記載の焼成シリカ粒子。
  3. 上記加水分解,縮合後に得られるシリカ粒子の反応液をフィルターに通すことを特徴とする請求項1または2に記載の焼成シリカ粒子。
  4. 有機溶媒に含まれるシリコン化合物の濃度が0.05〜1.2モル/Lの範囲内であり、水の濃度が2〜25モル/Lの範囲内であり、触媒の濃度が0.8〜9.4モル/Lの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成シリカ粒子。
  5. 上記シリカ粒子が、焼成前に瞬間真空蒸発装置によって乾燥されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の焼成シリカ粒子。
  6. 上記シリカ粒子が、焼成前にスプレードライ方式によって乾燥された後に粉砕されたものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の焼成シリカ粒子。
  7. 上記焼成は、1050〜1100℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼成シリカ粒子。
  8. 平均粒子径が0.04〜5μmの範囲内であり、平均粒子径の標準偏差値が1.3μm以下であり、粒子径20μm以上の凝集物の含有量が0.02重量%以下であり、かつ、30℃,90%RHの環境下で1日間放置した後における当該焼成シリカ粒子の吸湿量が0.2重量%以下である焼成シリカ粒子の製造方法であって、
    加水分解が可能なシリコン化合物を、水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解,縮合することによってシリカ粒子を得る工程と、得られたシリカ粒子を1000〜1200℃の範囲内で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする焼成シリカ粒子の製造方法。
  9. さらに、上記シリカ粒子を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の焼成シリカ粒子の製造方法。
  10. 上記加水分解,縮合後に得られるシリカ粒子の反応液をフィルターに通すことを特徴とする請求項8または9に記載の焼成シリカ粒子の製造方法。
  11. 有機溶媒に含まれるシリコン化合物の濃度が0.05〜1.2モル/Lの範囲内であり、水の濃度が2〜25モル/Lの範囲内であり、触媒の濃度が0.8〜9.4モル/Lの範囲内であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の焼成シリカ粒子の製造方法。
  12. 上記シリカ粒子が、焼成前に瞬間真空蒸発装置によって乾燥されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の焼成シリカ粒子の製造方法。
  13. 上記シリカ粒子が、焼成前にスプレードライ方式によって乾燥された後に粉砕されたものであることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の焼成シリカ粒子の製造方法。
  14. 上記焼成は、1050〜1100℃の範囲内であることを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の焼成シリカ粒子の製造方法。
  15. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の焼成シリカ粒子とマトリクス樹脂とを含む硬化性樹脂組成物。
  16. 上記マトリクス樹脂として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、GMA変性アクリル樹脂のいずれかの樹脂を含むことを特徴とする請求項15記載の硬化性樹脂組成物。
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