JP3862215B2 - 蛍光体シート製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光体シート製造の技術分野に属し、詳しくは、真空蒸着によって蓄積性蛍光体層を形成する蛍光体シートの製造において、蛍光体シートの高品質化を図った蛍光体シート製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示す蛍光体が知られている。この蛍光体は、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途に利用されている。
【0003】
一例として、この蓄積性蛍光体を含有する層(以下、蛍光体層とする)を有するシート(以下、蛍光体シートとする(放射線像変換シートとも呼ばれている)を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知られており、例えば、FCR(Fuji Computed Radiography :富士写真フイルム(株)製)等として実用化されている。
このシステムでは、蛍光体シート(蛍光体層)に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後に、蛍光体シートをレーザ光等の励起光で2次元的に走査して輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装置に被写体の放射線画像を可視像として出力する。
【0004】
このような蛍光体シートは、通常、蓄積性蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のシート状の支持体に塗布し、乾燥して、蛍光体層を形成することによって、作製される。
これに対し、真空蒸着やスパッタリング等の物理蒸着法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる蛍光体シートも知られている(特許第2789194号、特開平5−249299号等の各公報参照)。蒸着によって作製される蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バインダなどの蓄積性蛍光体以外の成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの研究によれば、真空蒸着によって蛍光体層を形成する場合に、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態で蒸着させることが、安定して高品質な画像を撮像できる蛍光体シートを得るために極めて有効な方法であることが見出された。
すなわち、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態にして蒸着させることによって、蛍光体シート上に緻密かつ均質な微細構造を有する高品質な蛍光体層を構成することが可能となり、これにより、蛍光体層の放射線特性が向上して、高品質な放射線画像が得られるようになる。
【0006】
本発明の目的は、上記知見を基に、真空蒸着によって(蓄積性)蛍光体層を成膜する蛍光体シートの製造において、上述のような蛍光体層の高品質化を図った蛍光体シート製造装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る蛍光体シート製造装置は、シート状の基板上に蓄積性蛍光体層を真空蒸着により形成する蛍光体シートの製造装置であって、真空チャンバと、この真空チャンバ内を排気する真空排気手段と、前記蛍光体層を形成する蛍光体材料の加熱蒸発手段と、蒸発した前記蛍光体材料の少なくとも1種を励起する手段とを有し、前記加熱蒸発手段は抵抗加熱、電子線加熱、誘導加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせによる加熱蒸発手段であり、励起された前記蛍光体材料を前記シート状の基板上に蒸着させることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記蛍光体材料の励起手段としては、高周波プラズマ照射による励起手段、導入した不活性ガスをイオンビーム照射することによって得るプラズマによる励起手段、もしくは、マイクロ波ECRプラズマ照射による励起手段が利用可能である。
【0009】
また、本発明に係る蛍光体シート製造装置は、前記蛍光体材料中の蛍光体と付活剤とを別々に蒸発させる多元の真空蒸着装置であって、かつ、前記蛍光体材料を励起する手段は、少なくとも蛍光体材料のうちの付活剤を励起するものであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0011】
図1に、本発明の一実施形態に係る蛍光体シート製造装置の概念図を示す。
図示例の蓄積性蛍光体シート製造装置10(以下、製造装置10とする)は、シート状の基板Sの表面に、蓄積性蛍光体を含有する層((蓄積性)蛍光体層)を二元の真空蒸着によって形成して、(蓄積性)蛍光体シートを作製するもので、基本的に、真空チャンバ12と、基板回転機構14と、加熱蒸発部22とを有して構成される、いわゆる基板回転型の真空蒸着装置を利用するものである。
また、真空チャンバ12には、系内を排気して所定の真空度にするための、図示しない真空ポンプ(真空排気手段)と、本実施形態に係る蛍光体シート製造装置の特徴的構成である、励起機構18とが接続される。
【0012】
図示例の製造装置10は、一例として、臭化セシウム(CsBr)および臭化ユーロピウム(EuBrx (xは、通常、2〜3))を成膜材料とした二元の真空蒸着を行って、基板上にCsBr:Euを蓄積性蛍光体とする蛍光体層を成膜して、蛍光体シートを作製する。
この蛍光体層の成膜においては、蛍光体成膜材料が臭化セシウムであり、付活剤(賦活剤:activator )が臭化ユーロピウムである。
【0013】
なお、本発明に係る製造装置で作製する蛍光体シートにおいて、基板Sには特に限定はなく、ガラス、セラミックス、カーボン、アルミニウム、PET、PEN、ポリイミド等、蛍光体シートにおいて利用されている各種のシート状の基板が全て利用可能である。
【0014】
また、蓄積性蛍光体も、上記CsBr:Euに限定はされず、各種のものが利用可能である。
好ましくは、波長が400nm〜900nmの範囲の励起光の照射により、300nm〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が利用される。このような輝尽性蛍光体は、特公平7−84588号、特開平2−193100号、同4−310900号の各公報に詳述されている。
【0015】
中でも、下記の基本組成式
I X・aMIIX’2 ・bMIII X''3 :zA
で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物質系輝尽性蛍光体は、特に、好ましい。
なお、上記式において、MI は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ni,Cu,ZnおよびCdからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属もしくは二価の金属を表し、MIII は、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素もしくは三価の金属を表し、Aは、Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Na,Mg,Cu,Ag,TlおよびBiからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素もしくは金属を示し、さらに、X、X’およびX''は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを示す。また、aは、0≦a<0.5の範囲内の数値を、bは、0≦b<0.5の範囲内の数値を、さらに、zは、0≦z<1.0の範囲内の数値を、それぞれ示す。
【0016】
上記基本組成式において、MI は、少なくともCsを含んでいるのが好ましく、また、Xは、少なくともBrを含んでいるのが好ましく、さらに、Aは、EuまたはBiであるのが好ましい。
また、上記基本組成式で示される金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、および酸化ジルコニウム等の金属酸化物を、MI 1molに対して0.5mol以下の量で、添加物として加えてもよい。
【0017】
さらに、成膜材料にも、特に限定はなく、蓄積性蛍光体に応じて、蛍光体を含有する材料、および、付活剤を含有する材料を、適宜、選択すればよい。
【0018】
真空チャンバ12は、鉄、ステンレス、アルミニウム等で形成される、真空蒸着装置で利用される公知の真空チャンバ(ベルジャー、真空槽)である。
図示例において、真空チャンバ12内には、上方に基板回転機構14が、また、下方に加熱蒸発部22が配設される。なお、ここでは、加熱蒸発部22が1個だけの場合を例示したが、加熱蒸発部22は複数個設けてもよいことはいうまでもない。
【0019】
前述のように、真空チャンバ12には、図示しない真空ポンプが接続される。
真空ポンプにも、特に限定はなく、必要な到達真空度を達成できるものであれば、真空蒸着装置で利用されている各種のものが利用可能である。一例として、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボモレキュラポンプ等を利用すればよく、また、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。
なお、本実施形態に係る製造装置10においては、真空チャンバ12内の到達真空度は、6.7×10-3Pa以下、特に4.0×10-4Pa以下であるのが好ましい。
【0020】
基板回転機構14は基板Sを保持して回転するもので、回転駆動源(モータ)28aと係合する回転軸28と、ターンテーブル30とから構成される。
ターンテーブル30は、上側の本体32と下側(加熱蒸発部22側)のシースヒータ34とからなる円板で、その中心に、モータ28aと係合する回転軸28が固定される。ターンテーブル30は、後述する加熱蒸発部22(成膜材料の蒸発位置)に対応する所定位置において、下面(シースヒータ34の下面)に基板Sを保持して、回転軸28によって所定速度で回転される。また、シー スヒータ34は、成膜される基板Sを裏面(成膜面と逆面)から加熱する。
なお、基板Sは、マスクを兼ねるホルダや治具等を用いた公知の方法で、成膜面を下方に向けてターンテーブル30に保持すればよい。
【0021】
真空チャンバ12内の、基板回転機構14下方には、加熱蒸発部22が配置される。図2に、加熱蒸発部22の概念図を示す。なお、図2中、(A)は上面図(図1の上方から見た図)、(B)は正面図(図1と同方向から見た図)を、それぞれ示す。
前述のように、本実施形態に係る製造装置10は、臭化セシウムおよび臭化ユーロピウムを成膜材料として用い、これらを個々に加熱蒸発する二元の真空蒸着を行うものであり、加熱蒸発部22は、ユーロピウム蒸発部38(以下、Eu蒸発部38とする)と、セシウム蒸発部40(以下、Cs蒸発部40とする)とを有する。
【0022】
Eu蒸発部38は、抵抗加熱装置42によって、蒸発位置Pe(ルツボ)に収容した臭化ユーロピウム(付活剤材料)を、抵抗加熱して蒸発する部位である。
本発明において、付活剤材料を抵抗加熱して蒸発するための抵抗加熱装置42には、特に限定はなく、用いる付活剤材料に応じて、これを好適に蒸発できるものであれば、真空蒸着装置に利用されている各種のものが利用可能である。
具体的には、加熱装置(蒸発源)としては、ボートタイプ、フィラメントタイプ、クルーシブルタイプ、チムニータイプ、Kセル(クヌーセンセル)等の、抵抗加熱装置で用いられる各種の装置が利用可能である。また、電源(加熱制御手段)も、サイリスタ方式、DC方式、熱電対フィードバック方式等、抵抗加熱装置で用いられる各種の方式が利用可能である。
また、抵抗加熱を行う際の出力にも特に限定はなく、付活剤材料等に応じて適宜設定すればよいが、図示例においては、ヒータの抵抗値によっても異なるが、50A〜1000A程度とすればよい。
【0023】
なお、蛍光体シートの蛍光体層においては、層中の付活剤と蛍光体の濃度は、例えばモル濃度比で0.0005/1〜0.01/1程度と、蛍光体層の大部分が蛍光体である。
従って、図示例においては、Eu蒸発部38(付活剤材料の蒸発部)は材料供給手段を有していないが、本発明はこれに限定はされず、必要に応じて、Cs蒸発部40(蛍光体材料の蒸発部)と同様に、材料供給手段を有してもよい。
【0024】
また、付活剤材料の加熱蒸発手段も、図示例のような抵抗加熱手段に限定はされず、電子線(EB)加熱や誘導加熱等、真空蒸着で用いられている加熱蒸発手段が、各種利用可能である。
中でも、蛍光体層中における微量な付活剤の分散性、微量蒸発のコントロール性等の点で、図示例のような抵抗加熱は好ましい。
【0025】
一方、Cs蒸発部40は、電子銃44から出射した電子線(エレクトロンビーム=EB)を蒸発位置Pc(ハース)に照射することにより、蛍光体材料である臭化セシウムを加熱蒸発する、電子線加熱装置である。
本実施形態に係る製造装置10は、蛍光体層を真空蒸着で形成する蛍光体シートの製造において、蛍光体材料と付活剤材料とを別々に加熱蒸発する二元蒸着とし、かつ、付活剤材料の加熱蒸発を抵抗加熱で行い、蛍光体材料の加熱蒸発を電子線加熱で行い、さらに後述するように、蒸発した付活剤材料を励起することにより、蛍光体層(すなわち蛍光体中)に付活剤が均一に分散された、極めて高品質な蛍光体シートを効率良く製造可能としている。
【0026】
本実施形態に係る製造装置10において、Cs蒸発部40(蛍光体成膜材料の蒸発手段)は、電子線による加熱を行うものであれば、基本的に、公知の各種の蒸発手段が利用可能である。
従って、電子銃にも、特に、限定はなく、電子線を180°偏向して蒸発位置に入射する180°偏向銃、同270°偏向銃、90°偏向直進銃等、真空蒸着において利用されている各種の電子銃が利用可能である。図示例においては、電子銃44は、一例として、270°偏向銃を利用している。
【0027】
電子銃44のエミッション電流やEBの加速電圧にも限定はなく、成膜材料や成膜する膜厚に応じた十分なものであればよい。
図示例においては、一例として、EBの加速電圧は−1kV〜−30kV、エミッション電流は、Cs蒸発部40が50mA〜2Aとするのが好ましい。
【0028】
ここで、前述のように、蛍光体シートに成膜される蛍光体層は、通常の真空蒸着膜に比して非常に厚く、薄くても200μm程度、通常500μm程度、厚い場合には、1000μmを超える場合も有る。また、付活剤と蛍光体とは、例えば、モル濃度比で0.0005/1〜0.01/1程度と、蛍光体層の大部分が蛍光体である。
そのため、図示例の製造装置10においては、好ましい態様として、Cs蒸発部40は、臭化セシウム(蛍光体材料)の供給手段である材料供給手段46を有している。
【0029】
図示例において、材料供給手段46は、基本的に、シリンダ48と、ピストン50と、ケーシング52と、昇降手段(モータ)54とから構成される。
シリンダ48は、その上端部が電子線の照射位置と一致するように、真空チャンバ12の下面を貫通して一部が外部に突出した状態で、真空チャンバ12の壁面に固定される円筒である。すなわち、図示例においては、シリンダ48がいわゆるハースとなっており、その上端部が臭化セシウムの蒸発位置Pcとなる。
【0030】
また、ピストン50は、シリンダ48内に緩く挿嵌される円柱状のピストンヘッド50aと、先端にピストンヘッド50aを固定するピストンピン50bとから構成される。ピストンピン50bには、ピストン50を昇降(矢印a方向)する昇降手段54が係合する。
さらに、シリンダ48の開放端はケーシング52で覆われて真空チャンバ12内は気密に保たれ、かつ、ピストンピン50bは、図示しないベアリングによって、前記昇降方向に往復動可能にケーシング52に気密に軸支される。
【0031】
臭化セシウムは、シリンダ50の内径よりも若干小径の円柱状に成形されて、ピストンヘッド50aに載置された状態でシリンダ48内に収容される。なお、柱状の成膜材料は、公知の方法で成形すればよく、例えば、粉末状の成膜材料を成形用のダイスに投入して、粉末金型プレス成形機で成形した後、真空乾燥処理を行う方法等が例示される。
基板への成膜によって、蒸発位置Pcの臭化セシウムが消費されると、それに応じて、昇降手段54が駆動して円柱状の臭化セシウムを上昇させる。これにより、シリンダ48の上面すなわち蒸発位置には、常に、臭化セシウムが供給され、200μmを超えるような厚膜の成膜にも好適に対応することができる。
【0032】
なお、本発明において、材料供給手段は図示例に限定はされず、真空蒸着装置等で用いられている材料供給手段が、各種、利用可能である。
具体的な一例として、本出願人による特願2001−296364号の明細書に記載される各種の材料供給手段が好適に利用される。
【0033】
前述のように、蛍光体シートでは、付活剤は蛍光体に対して極微量であり、蛍光体層の成分コントロールは重要である。
ここで、本発明者らの検討によれば、付活剤を蛍光体中に均一に分散して添加(ドープ)した、厚さが200μmを超える高品質な蛍光体層を形成するためには、蛍光体の成膜材料と付活剤の成膜材料とで別々に蒸気を発生させ、両者を十分に混合した混合蒸気を生成して、この混合蒸気で基板に成膜を行うのが好ましい。このためには、蛍光体材料と付活剤材料の蒸発位置を近接して配置するのが好ましく、両者の蒸発位置が近いほど、付活剤を均一に分散した、良質な蛍光体層を形成できる。しかも、両蒸発位置が近いほど、2つの蒸気の混合領域を多くできるので、材料の利用効率も向上できる。
【0034】
一般的に、真空蒸着における加熱手段としては、蒸発速度や制御性等の点で、電子銃を用いた電子線による加熱が好ましく利用される。
ところが、二元(多元)の真空蒸着装置において、加熱手段として電子線を用いると、各材料の蒸発位置を近接して配置することができず、付活剤を均一に分散した良好な蛍光体層を安定して形成することができない場合がある。
そこで、周知のように、電子線加熱では、電子銃から出射した電子線を偏向してハース(成膜材料)に照射するための磁石が必要である。ところが二元の真空蒸着において電子線加熱を利用する場合には、蒸発位置を近づけると、この磁石による磁場が互いに干渉してしまい、電子線をハースに適正に照射できなくなってしまう。
【0035】
そこで、本実施形態に係る製造装置10においては、電子線加熱と抵抗加熱とを組み合わせることにより、上述の磁場の問題は解消し、両加熱手段による成膜材料の蒸発位置は、製造装置10の構成や各蒸発手段の構成等に応じて、物理的に可能な限り近接して配置するようにした。
ここで、蒸着量が多い蛍光体材料の蒸発を電子線加熱で行うことにより、良好な制御性かつ効率で蒸発を行うことができ、成膜のコントロールを、より好適に行える。他方、抵抗加熱は、微量な成膜材料を空間的に高い均一性で分散して蒸発させることができるので、これを付活剤材料の加熱手段として用いることにより、混合蒸気中に微量の付活剤材料の蒸気を好適に分散して、付活剤をより均一に分散した、高品質な蛍光体層を形成することができる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る製造装置10においては、前述のように、蒸発した付活剤材料を励起することにより、蛍光体層(すなわち蛍光体中)に付活剤が均一に分散された、極めて高品質な蛍光体シートを効率良く製造可能としている。以下、この点について詳述する。
【0037】
図1に示した励起機構18は、その平面図を図3に示すように、略円形の高周波誘導コイル(以下、RFコイルとする)20と、これに付随する電源部20aおよびインピーダンス調整用のマッチングボックス20bとから構成される。
ここで、上記RFコイル20は、前述のEu蒸発部38から蒸発するユーロピウム蒸気流を囲むような位置に配設されていることが少なくとも必要であり、後述するように、前述のCs蒸発部40から蒸発する臭化セシウム蒸気流をも囲み込むように配設するのが好ましい。
【0038】
上述の励起機構18の機能は、蒸発部(Eu蒸発部38、もしくはこれとCs蒸発部40の両方)から蒸発してくる臭化ユーロピウムもしくはこれと臭化セシウムの蒸気流を、このRFコイル20により形成するプラズマ空間を通して励起し、この励起された状態の臭化ユーロピウムもしくはこれと臭化セシウムを、基板S上に蒸着させるというものである。
このような励起により高エネルギー状態とされた臭化ユーロピウムもしくはこれと臭化セシウムを、基板S上に蒸着させることにより、前述のような、緻密な微細構造を有する高品質な蛍光体層を形成することが可能となり、この結果、蛍光体層の放射線特性が向上して、高品質な放射線画像が得られるようになるという効果がもたらされるものである。
【0039】
ここで、励起機構18には、1〜5kW程度のRF電源と、電源に接続されるRFコイル20またはRF電極が使用可能である。なお、RF電極としては、通常用いられる周波数13.56MHzのものが好適に用い得る。
【0040】
なお、本実施形態に係る製造装置10において、蛍光体材料の蒸発位置と付活剤材料の蒸発位置との距離、すなわち図2(A)における、臭化セシウムの蒸発位置Pc(ハース(ハースライナ))と、臭化ユーロピウムの蒸発位置Pe(ルツボ)との距離Lには、特に限定はないが、両者を近接して配置した方が、両蒸気の混合を好適にして、蛍光体層における付活剤の分散状態を良好にでき、かつ、付活剤蒸気のプラズマ空間通過も、より高い効率で行うことができる。
本発明者らの検討によれば、この距離Lは、具体的には、400mm以下、特に、250mm以下とするが好ましい。
【0041】
なお、異なる場所から発生させた蛍光体材料と付活剤材料の蒸気を混合して混合蒸気を生成し、この混合蒸気によって基板に成膜を行うためには、両成膜材料の蒸発位置と基板との間に、ある程度の距離が必要である。しかしながら、逆に、この距離が遠過ぎると、成膜材料の利用効率が低下する。
このような点を考慮すると、本実施形態に係る製造装置10においては、蛍光体層の成膜に供される基板Sと、蒸発位置(両成膜材料における最も基板と遠い位置)との距離を、200mm〜800mm、特に、300mm〜600mmとするのが好ましい。
【0042】
両成膜材料の蒸着レートにも特に限定はなく、成膜材料、目的とする蛍光体層の組成、膜厚、生産性等に応じて、適宜、決定すればよい。図示例では、一例として、CsBrは蒸着速度200nm/secで蒸発させ、また、EuBrはRH、蒸着速度1nm/secで蒸発させている。
なお、蛍光体材料の蒸着レートと、付活剤材料の蒸着レートとの比は、形成する蛍光体層の組成に応じて、適宜、決定すればよい。さらに、蒸発レートのコントロールは、蒸発エネルギの調整等の公知の方法によればよい。
また、成膜速度にも特に限定はないが、図示例においては、10nm/sec〜5000nm/secが好ましい。
【0043】
さらに、成膜する蛍光体層の膜厚にも特に限定は無く、良好な撮像性能が得られるように、蓄積性蛍光体の組成等に応じて、適宜、決定すればよいが、図示例においては、50μm〜1000μm、特に、200μm〜500μmが好ましい。
【0044】
前述のように、製造装置10は、基板回転型の真空蒸着装置を利用するものであり、蛍光体シートを製造する際には、まず、ターンテーブル30下面の所定位置に成膜面を下方に向けて基板Sを装着した後、真空チャンバ12を閉塞して減圧すると共に、シースヒータ34を駆動して、基板Sを裏面から加熱する。
【0045】
真空チャンバ12の内部が所定の真空度になったら、モータ28aと係合する回転軸28によってターンテーブル30を所定速度で回転しつつ、加熱蒸発部22において、Eu蒸発部38の抵抗加熱装置42を駆動して、蒸発位置Pe(ルツボ)に収容された臭化ユーロピウムを蒸発させ、かつ、Cs蒸発部40の電子銃44を駆動して、蒸発位置Pcの臭化セシウムを蒸発させ、この蒸気をさらに、励起機構18のRFコイル20により形成されるプラズマ空間を通して励起して、基板SへのCsBr:Euの蒸着すなわち蛍光体層の成膜が開始される。
【0046】
なお、前述のように、両蒸発位置は近接して配置され、かつ、臭化ユーロピウムの蒸発は抵抗加熱で行われるので、加熱蒸発部22では、極微量な臭化ユーロピウムの蒸気が均一に分散された、両成膜材料の混合蒸気が構成され、この混合蒸気がプラズマにより励起されることによって、付活剤が均一に分散されたCsBr:Euが蒸着される。ここで、蒸着厚みは、例えば500μmであるが、本装置によれば、任意の厚みの蒸着膜を容易に設定することが可能である。
【0047】
また、前述のように、本実施形態に係る製造装置10においては、蛍光体材料である臭化セシウムの加熱蒸発を電子線による加熱で行っているので、良好な成膜効率を確保できると同時に、励起機構18のRFコイル20による臭化ユーロピウム(および臭化セシウム)の励起により、緻密な蛍光体層を形成することができる。
【0048】
成膜を終了したら、ターンテーブル30の回転を停止し、真空チャンバ12を開放して、蛍光体層の成膜を終了した基板Sを取り出し、再度、成膜を行う際には、以下、同様にして、基板Sを装填して、成膜を行えばよい。
【0049】
上述の例では、臭化セシウムと臭化ユーロピウムを蒸発させる加熱蒸発部22を1つ用いた例を示したが、本発明は、これに限定はされず、各種の構成が利用可能である。例えば、上述のような、電子線加熱を用いる蛍光体材料の蒸発手段と、抵抗加熱を用いる付活剤材料の蒸発手段との組み合わせを、2組以上有する、多元の真空蒸着を行う構成であってもよい。あるいは、付活剤材料の蒸発手段は1つとし、蛍光体材料の蒸発手段のみを2以上の複数にした多元の真空蒸着を行う構成であってもよい。
さらに、必要に応じて、電子線加熱を用いる蛍光体材料の蒸発手段と、抵抗加熱を用いる付活剤材料の蒸発手段に加え、これ以外の加熱手段を用いる蒸発手段を有するものであってもよい。
【0050】
また、上述の例では用いていないが、アルゴンガスのような不活性ガスを導入する手段を付加して、真空チャンバ12内にアルゴンガスを導入しつつ、蒸着操作を行うようにしてもよい。この場合には、真空チャンバ12内の圧力の均一化等が容易になり、操作が安定化するという効果が得られる。なお、ここで用いる不活性ガス導入手段としては、公知の各種の手段が用い得る。
【0051】
上記実施形態によれば、真空蒸着によって蛍光体層を成膜する蛍光体シートの製造において、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態で蒸着させることが可能となり、これにより、蛍光体シート上に緻密な微細構造を有する高品質な蛍光体層が形成された蛍光体シートを製造することが可能となる。そして、これにより、蛍光体層の放射線特性が向上して、高品質な放射線画像が得られるようになるという効果が得られる。
【0052】
図4に、本発明の他の実施形態に係る製造装置10Aの概念図を示す。なお、本実施形態に係る製造装置10Aは、基本的には、先に説明した実施形態(図1〜図3)に示した製造装置10と同様であり、励起機構(励起機構18A)の構成のみが異なるものであるので、以下では、この相違部分について詳細に説明することにする。
【0053】
上述のように、図4における励起機構18Aが、本実施形態に係る製造装置10Aの特徴的構成部分である。この励起機構18Aは、真空チャンバ12の側壁に配設されたイオン銃(イオンビーム照射装置)24と、これに接続される電源部20aから構成される。なお、イオンビームを所望の範囲で移動(振動または回転移動)させるためのイオン銃移動機構を有してもよい。
イオン銃(イオンビーム照射装置)24としては、カウフマン型、エンドホール型、DCマグネトロン型、RF型の各種のものが使用可能であり、ビーム電流は50mA〜5Aが使用できる。図示例では、一例として、ビーム電流1Aでアルゴンプラズマ空間を形成している。
【0054】
また、真空チャンバ12の側壁の他の面には、アルゴンガス等の不活性ガスの導入部24aが設けられる。このアルゴンガスは、イオン銃24によるイオンビーム照射領域において、イオンビーム照射によりプラズマ化してプラズマ空間を形成し、加熱蒸発部22において蒸発した後、ここを通過する付活剤材料蒸気もしくはこれと蛍光体材料蒸気の両方の励起を行う。これ以外の励起機構18Aの基本的な機能は、先に示した実施形態に係る製造装置の励起機構の機能と同様である。
【0055】
本実施形態に係る製造装置10Aによって蛍光体シートを製造する際には、前述の実施形態の場合と同様に、まず、ターンテーブル30下面の所定位置に成膜面を下方に向けて基板Sを装着した後、真空チャンバ12を閉塞して減圧すると共に、シースヒータ34を駆動して、基板Sを裏面から加熱する。
【0056】
真空チャンバ12の内部が所定の真空度になったら、モータ28aと係合する回転軸28によってターンテーブル30を所定速度で回転しつつ、加熱蒸発部22において、Eu蒸発部38の抵抗加熱装置42を駆動して、蒸発位置Pe(ルツボ)に収容された臭化ユーロピウムを蒸発させ、かつ、Cs蒸発部40の電子銃44を駆動して、蒸発位置Pcの臭化セシウムを蒸発させ、この蒸気をさらに、励起機構18Aのイオン銃24(ビーム電流は、1Aとした)により形成されるプラズマ空間を通して励起して、基板SへのCsBr:Euの蒸着すなわち蛍光体層の成膜が開始される。
【0057】
成膜を終了したら、ターンテーブル30の回転を停止し、真空チャンバ12を開放して、蛍光体層の成膜を終了した基板Sを取り出す。以降の操作は、前述の実施形態の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0058】
上記実施形態によっても、真空蒸着によって蛍光体層を成膜する蛍光体シートの製造において、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態で蒸着させることが可能となり、これにより、蛍光体シート上に緻密な微細構造を有する高品質な蛍光体層が形成された蛍光体シートを製造することが可能となる。そして、これにより、蛍光体層の放射線特性が向上して、高品質な放射線画像が得られるようになるという効果が得られる。
【0059】
図5に、本発明のさらに他の実施形態に係る製造装置10Bの概念図を示す。本実施形態に係る製造装置10Bも、基本的には、先に説明した実施形態(図1〜図3)に示した製造装置10と同様であり、励起機構(励起機構18B)の構成のみが異なるものであるので、以下では、この相違部分について詳細に説明することにする。
【0060】
上述のように、図5における励起機構18Bが、本実施形態に係る製造装置10Bの特徴的構成部分である。この励起機構18Bは、真空チャンバ12の側壁に配設されたマイクロ波ECRプラズマ発生装置26から構成される。なお、マイクロ波ECRプラズマ発生装置26は、マイクロ波ECR放電によりこの放電領域内のガス(ここでは、付活剤材料蒸気、もしくはこれと蛍光体材料蒸気の両方)をプラズマ化するものである。なお、この機能は、先に示した各実施形態に係る製造装置の励起機構の機能と同様である。
【0061】
マイクロ波ECRプラズマ発生装置26としては、ECR周波数が2.45GHz、出力500〜3000W程度のマイクロ波電源26aを有するものが好適に用い得る。より詳細には、マイクロ波ECRプラズマ発生装置26は、上述のマイクロ波電源26aと導波路26bで接続されてなり、外部磁石26cを有しており、ここで発生するECRにより、アンテナ26dを介して、付活剤材料蒸気、もしくはこれと蛍光体材料蒸気の両方をプラズマ化する。なお、外部磁石26cとしては、永久磁石または電磁石が用い得る。図示例では、一例として、外部磁石26cとして磁場875ガウスの永久磁石を用い、マイクロ波電力1kWでアルゴンプラズマ空間を形成するようにしている。
【0062】
本実施形態に係る製造装置10Bにおいても、蛍光体シートを製造する際には、前述の各実施形態の場合と同様に、まず、ターンテーブル30下面の所定位置に成膜面を下方に向けて基板Sを装着した後、真空チャンバ12を閉塞して減圧すると共に、シースヒータ34を駆動して、基板Sを裏面から加熱する。
【0063】
真空チャンバ12の内部が所定の真空度になったら、モータ28aと係合する回転軸28によってターンテーブル30を所定速度で回転しつつ、加熱蒸発部22において、Eu蒸発部38の抵抗加熱装置42を駆動して、蒸発位置Pe(ルツボ)に収容された臭化ユーロピウムを蒸発させ、かつ、Cs蒸発部40の電子銃44を駆動して、蒸発位置Pcの臭化セシウムを蒸発させ、この蒸気をさらに、励起機構18Bのマイクロ波ECRプラズマ発生装置26により形成されるアルゴンガス・プラズマ空間を通して励起して、基板SへのCsBr:Euの蒸着すなわち蛍光体層の成膜が開始される。
【0064】
成膜を終了したら、ターンテーブル30の回転を停止し、真空チャンバ12を開放して、蛍光体層の成膜を終了した基板Sを取り出す。以降の操作は、前述の実施形態の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0065】
また、上述の例では用いていないが、アルゴンガスのような不活性ガスを導入する手段を付加して、真空チャンバ12内にアルゴンガスを導入しつつ、蒸着操作を行うようにしてもよい。この場合には、真空チャンバ12内の圧力の均一化等が容易になり、操作が安定化するという効果が得られる。なお、ここで用いる不活性ガス導入手段としては、公知の各種の手段が用い得る。
【0066】
上記実施形態によっても、真空蒸着によって蛍光体層を成膜する蛍光体シートの製造において、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態で蒸着させることが可能となり、これにより、蛍光体シート上に緻密な微細構造を有する高品質な蛍光体層が形成された蛍光体シートを製造することが可能となる。そして、これにより、蛍光体層の放射線特性が向上して、高品質な放射線画像が得られるようになるという効果が得られる。
【0067】
以上、本発明を実施形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜の変更・改良を行ってもよいことはいうまでもない。
例えば、本発明に係る蛍光体シート製造装置は、図示例のような回転型の真空蒸着装置を利用するものにも限定されず、例えば、真空チャンバに連結するロード室とアンロード室とを有し、基板をロード室に装填し、ロード室→真空チャンバ→アンロード室と基板を搬送しつつ成膜を行い、アンロード室から取り出す、いわゆるロードロックタイプの真空蒸着装置を利用するものであってもよく、あるいは、基板を所定位置に固定して蒸着を行うタイプの真空蒸着装置を利用するものであってもよい。
【0068】
また、上記各実施形態において用いた励起手段である、高周波プラズマ発生装置、イオンビーム照射装置およびマイクロ波ECRプラズマ照射装置については、それぞれ下記のような特徴があるので、使用条件に合わせて適宜選択するようにすれば、もっとも効率的な成膜条件で、蛍光体シートの製造を行うことが可能になる。
すなわち、1番目の高周波プラズマ発生装置については、発生する蒸気流の濃度の高いところに用いるのがよく、励起エネルギーが蒸気流の圧力によって決まるという特性があり、上記流の発生位置に合わせて装置を配設することが好ましい。また、発生するプラズマの密度は1010個/cm3 程度で比較的低いが、装置全体としては安価であるという特徴がある。
【0069】
2番目のイオンビーム照射装置については、蒸気流の濃度にもあまり影響されないので配置の融通性に富み、また、励起エネルギーが可変で、非常に使いやすい反面、価格はやや高いという点が特徴である。なお、発生するプラズマの密度は中庸というところである。
3番目のマイクロ波ECRプラズマ照射装置については、蒸気流の濃度にはあまり関係なく使用できる点、装置が安価であるという点、発生するプラズマの密度が高い(101112個/cm3 )という点など利点は多いが、励起エネルギーが蒸気流の圧力によって決まるという点に注意が必要である。
【0070】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、層厚が200μmを超えるにもかかわらず、蛍光体に比して極微量の付活剤を高度に均一に分散し、さらに、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態にして蒸着させることにより、蛍光体シート上に緻密な微細構造を有する高品質な蛍光体層を構成することが可能となり、これにより、蛍光体層の放射線特性が向上して、高品質な放射線画像が得られるようになる。高品質な蛍光体層を安定して成膜することができ、このような蛍光体操を有する高品質な蛍光体シートを安定して製造することができるという顕著な効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る蛍光体シート製造装置を示す概念図である。
【図2】 図1に示した蛍光体シート製造装置の加熱蒸発部の概念図であって、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【図3】 図1に示した蛍光体シート製造装置の励起機構の概念図である。
【図4】 本発明の他の実施形態に係る蛍光体シート製造装置を示す概念図である。
【図5】 本発明のさらに他の実施形態に係る蛍光体シート製造装置を示す概念図である。
【符号の説明】
10,10A,10B (蓄積性蛍光体シート)製造装置
12 真空チャンバ
14 基板回転機構
18,18A,18B 励起機構
20 RFコイル
22 加熱蒸発部
24 イオン銃
24a アルゴンガス導入部
26 マイクロ波ECRプラズマ発生装置
26a マイクロ波電源
26b 導波路
26c 外部磁石
26d アンテナ
28 基板回転機構の回転軸
30 ターンテーブル
34 シースヒータ
38 Eu蒸発部
40 Cs蒸発部
42 抵抗加熱装置
44 電子銃
46 材料供給手段

Claims (5)

  1. シート状の基板上に蓄積性蛍光体層を真空蒸着により形成する蛍光体シートの製造装置であって、
    真空チャンバと、この真空チャンバ内を排気する真空排気手段と、前記蛍光体層を形成する蛍光体材料の加熱蒸発手段と、蒸発した前記蛍光体材料の少なくとも1種を励起する手段とを有し、
    前記加熱蒸発手段は抵抗加熱、電子線加熱、誘導加熱のいずれか、またはこれらの組み合わせによる加熱蒸発手段であり、
    励起された前記蛍光体材料を前記シート状の基板上に蒸着させることを特徴とする蛍光体シート製造装置。
  2. 前記蛍光体材料を励起する手段は、前記蒸発した蛍光体材料に高周波プラズマ照射することによって励起するものであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体シート製造装置。
  3. 前記蛍光体材料を励起する手段は、前記蒸発した蛍光体材料を、導入した不活性ガスをイオンビーム照射することによって得るプラズマによって励起するものであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体シート製造装置。
  4. 前記蛍光体材料を励起する手段は、前記蛍光体材料をマイクロ波ECRプラズマ照射することによって励起するものであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体シート製造装置。
  5. 前記蛍光体材料中の蛍光体と付活剤とを別々に蒸発させる多元の真空蒸着装置であって、かつ、前記蛍光体材料を励起する手段は、少なくとも蛍光体材料のうちの付活剤を励起するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体シート製造装置。
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