JP2005351756A - 蛍光体シート製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成膜中に真空チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段を有し、基板を直線状に搬送すると共に、複数の蒸発源を前記基板の搬送方向と直交する方向に配列することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
このシステムでは、蛍光体シート(蛍光体層)に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後に、蛍光体シートに励起光を照射することで輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
これに対し、特許文献1や特許文献2に示されるように、真空蒸着等の物理蒸着法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる蛍光体シートも知られている。蒸着によって作製される蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バインダなどの蓄積性蛍光体以外の成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
このようなラインセンサを用いた蛍光体シートの読み取りにおいて、好適な画像読取りを行うためには、蛍光体シートの蛍光体層の表面と、ラインセンサ(受光面)との間隙が、適正に保たれていることが必要であり、そのためには、蛍光体層の膜厚が均一であることが重要である。
当然のことであるが、輝尽発光光の焦点を適正にラインセンサに合わせるためには、蛍光体シートとラインセンサとの間隙を適正に保つ必要がある。ラインセンサと蛍光体シートとの間隙は、通常、約100μm程度である。他方、蒸着による蛍光体層を有する蛍光体シートにおいて、蛍光体層の厚さは、通常500μm程度であり、厚い場合には、1000μmを超える場合も有る。従って、両者の間隙の大きさを考えると、蛍光体シートの膜厚分布は、ラインセンサと蛍光体シートとの間隙の大きな誤差要因となる。
また、真空蒸着によって膜厚を均一にするためには、蒸発源(成膜材料の加熱蒸発部=ルツボ)の位置が重要であるが、基板を回転して行う真空蒸着では、蒸発源の位置の設定が非常に難しく、特に抵抗加熱を用いた場合には、少しでも蒸発源の位置設定が不適正であると、膜厚分布均一性が±3%以下の蛍光体層を安定して形成できない場合もある。
また、前記蒸発源が、スリット状の蒸気排出口を有するものであり、かつ、スリットの長手方向を前記基板搬送方向と直交する方向に一致して配置されるのが好ましく、また、少なくとも1種の成膜材料は、個々の蒸発源毎に成膜材料の蒸発を制御可能であるのが好ましく、また、同じ成膜材料の蒸発源の前記基板搬送方向と直交する方向の配列を複数有し、かつ、各配列の蒸発源は、前記基板搬送方向から見た際に、互いの蒸気排出口が配列方向に互い違いとなるように配置されるのが好ましく、さらに、蒸着量の最も多い成膜材料の蒸発源の配列を、前記基板搬送方向に対して外側に配置するのが好ましい。
また、真空蒸着による蓄積性蛍光体層の形成は、母体となる蛍光体成分と微量成分である付活剤成分とを別々の蒸発源に収納する、多元の真空蒸着によって行うのが好ましい。ここで、基板を直線搬送し、かつ、蒸発源を搬送方向と直交する方向に配列する本発明によれば、蓄積性蛍光体層の面および厚さ方向共に、蓄積性蛍光体層中に付活剤成分を高度に均一に分散することができ、これにより、輝尽発光特性および感度等の均一性に優れた蛍光体シートを得ることができる。
図1に示す蛍光体シート製造装置10(以下、製造装置10とする)は、蛍光体(母体)となる材料と、付活剤(賦活剤:activator)となる材料とを別々に蒸発する二元の真空蒸着によって、基板Sの表面に蓄積性蛍光体からなる層(以下、蛍光体層とする)を形成して、(蓄積性)蛍光体シートを製造する装置である。
このような製造装置10は、基本的に、真空チャンバ12と、基板保持搬送機構14と、加熱蒸発部16(後述する水晶振動子センサ54は省略)と、ガス導入ノズル18と、RF用マッチングボックス20とを有して構成される。なお、本発明の製造装置10は、これ以外にも、公知の真空蒸着装置が有する各種の構成要素を有してもよいのは、もちろんである。
また、成膜中に不活性ガスの導入を行うガス導入ノズル18を有する製造装置10は、好ましくは、一旦、真空チャンバ12内を高真空度まで排気した後、排気を行いつつガス導入ノズル18によって不活性ガスを導入して真空チャンバ12内を0.1Pa〜10Pa程度の真空度(以下、中真空とする)とし、この中真空下で、加熱蒸発部16において抵抗加熱によって成膜材料(臭化セシウムおよび臭化ユーロピウム)を加熱蒸発して、基板保持搬送機構14によって基板Sを直線状に搬送(以下、直線搬送とする)しつつ、真空蒸着による基板Sへの蛍光体層の成膜を行う。
(上記式において、MI は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,CuおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種の二価の金属であり、MIIIは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、X、X’およびX''は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,BiおよびMgからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a<0.5であり、0≦b<0.5であり、0≦c<0.2である。)
図示例においては、一例として、矩形の基板Sを用いる。
ガス導入ノズル18も、ボンベ等との接続手段やガス流量の調整手段等を有する(もしくは、これらに接続される)、真空蒸着装置やスパッタリング装置等で用いられている公知のガス導入手段であり、前記中真空での真空蒸着による蛍光体層の成膜を行うために、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを真空チャンバ12内に導入する。
さらに、RF用マッチングボックス20は、蛍光体層の成膜(真空蒸着)に先立って、基板Sの表面のプラズマ洗浄等を行うためのものである。
真空ポンプにも、特に限定はなく、必要な到達真空度を達成できるものであれば、真空蒸着装置で利用されている各種のものが利用可能である。一例として、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボモレキュラポンプ等を利用すればよく、また、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。なお、前述の蛍光体層を成膜する製造装置10においては、真空チャンバ40内の到達真空度は、8.0×10-4Pa以下であるのが好ましい。
なお、本発明において、駆動手段はボールネジ32とモータ34を利用するものに限定はされず、シリンダを利用する搬送手段、モータとモータによって回転されるリング状のチェーンを用いる搬送手段など、必要な耐熱性を有するものであれば、公知の直線状の移動(搬送)手段が、各種利用可能である。
ガイドレール24aは、搬送方向に延在して、前記ネジ軸32aを軸とする対称位置に離間して2本が配置され、共に、真空チャンバ12の天井面に固定される。一方、係合部材24bは、各ガイドレール24aに2つずつ係合するように、合計4つが基板保持手段26(後述する基台36の上面)に固定される。
基板36の上面の中心には、前記ボールネジ32のナット部32bが固定され、また、基板36の上面の対角線上の対称位置には、2本のガイドレール24aの間隔に応じて前記LMガイド24の係合部材24bが固定される。
本発明において、保持部材38による基板Sの保持方法には特に限定はなく、治具等を用いる方法、静電気を利用する方法、吸着を利用する方法等、上面から板状物を保持する公知の方法が各種利用可能である。また、基板Sへの蛍光体層の蒸着領域等に応じて可能であれば、治具等を用いて、下方から基板Sの四隅を押さえる保持手段、下方から基板Sの四辺を押さえる保持手段等を利用してもよい。
また、スペーサを利用する方法、ネジによる調整手段を利用する方法、シリンダによる昇降手段を設ける方法等によって、保持部材38の下端位置すなわち基板Sを保持/搬送する高さを調整可能にしてもよい。
後述するが、本発明においては、このように基板Sの搬送を直線搬送とし、かつ、複数の蒸発源を搬送直交方向に配列することにより、膜厚分布均一性の高い蛍光体層の形成を実現している。
一般的に、同じ膜厚であれば、加熱蒸発部16の上部の通過回数が多い程、膜厚分布均一性を高くできるので、複数回の往復動を行って蛍光体層を形成するのが好ましい。また、往復動の回数は、蛍光体層の目的膜厚や目的とする膜厚分布均一性等に応じて、適宜、決定すればよく、最後の搬送は一方向でもよい。直線搬送の搬送速度にも、特に限定はなく、LMガイド24の速度限界、往復動の回数、目的とする蛍光体層の膜厚等に応じて、適宜、決定すればよい。
防熱部材40は、後述する加熱蒸発部16(蒸発源)に対して基台36を覆うことにより、加熱蒸発部16からの輻射熱等によって、LMガイド24の係合部材24bおよびボールネジ26のナット部32bが加熱されるのを防止するものである。
ところが、抵抗加熱等による真空蒸着は、成膜材料を収容するルツボの発熱によって成膜材料を加熱するので、蒸発源からの輻射熱が非常に大きく、これにより係合部材24b等が加熱してしまい、グリスの流出による動作不良等、様々な不都合が生じる。しかも、中真空による真空蒸着では、蒸発源と基板Sすなわち係合部材24b等とを近接して配置する必要がある。そのため、係合部材24bやナット部32bは、より加熱され易い状態となっている。
すなわち、基板Sを直線搬送する中真空での真空蒸着では、特性や膜厚均一性に優れた蛍光体層を形成できる反面、係合部材24bやナット部32bからのグリスの流出による動作不良等が非常に発生し易く、メンテナンスに手間がかかり、また、ランニングコストも高くなってしまう。
これにより、係合部材24bやナット部32bが加熱されることによるグリスの流出等の不都合を防止し、長期にわたる安定した動作を可能にし、メンテナンスの手間やランニングコストを大幅に低減することを可能にしている。
加熱蒸発部16は、抵抗加熱によって,成膜材料である臭化セシウムおよび臭化ユーロピウムを蒸発させる部位である。
また、本発明において、抵抗加熱用の電源(加熱制御手段)には、特に限定はなく、サイリスタ方式、DC方式、熱電対フィードバック方式等、抵抗加熱装置で用いられる各種の方式が利用可能である。また、抵抗加熱を行う際の出力にも特に限定はなく、使用する成膜材料、ルツボの形成材料の抵抗値や発熱量等に応じて、適宜、設定すればよい。
そのため、図示例においては、蒸着量の多い臭化セシウム用(蛍光体用)のルツボ50は、円筒状(ドラム型)の大型のルツボを用いている。このルツボ50は、ドラムの側面に、ドラムの軸線方向に延在するスリット状の開口を有し、この開口に一致して、開口と同形状のスリット状の上下開口面を有する四角筒状のチムニー50aを蒸気排出口として設けている。
他方、蒸着量の少ない臭化ユーロピウム用(付活剤用)のルツボ52は、通常のボート型のルツボの上面を、同様のスリット状の開口に対応するチムニー52aを蒸気排出口として有する蓋体で閉塞してなる小型のルツボを用いている。なお、チムニー52aのスリット(開口)は、ルツボ52の長手方向に延在している。
このようなスリット状のチムニーを有するルツボを用いることにより、ルツボ内における局所加熱や異状加熱によって突沸が生じた際に、成膜材料が不意にルツボから飛び出して周囲や基板Sに付着し汚染することを防止できる。特に、中真空の蒸着では、前述のように、基板Sと蒸発源とを近接する必要があるので、その効果は大きい。
本発明においては、前述のように、基板Sを直線搬送とし、ルツボ等の蒸発源を、複数、搬送直交方向(基板Sの搬送方向と直交する方向)に配列することにより、基板Sの全面を成膜材料の蒸気で均一に暴露して、膜厚分布均一性が±3%以下の蛍光体層の形成を可能にしている。
そのため、例えば、回転する基板の全面に均一に対面するように半径方向に直線状に蒸発源を配列しても、基板面の線速の違いによって半径方向で蒸発源と対面する時間に差が生じ、これにより、回転半径方向の位置で基板S表面の蒸気の暴露量に差が生じてしまい、この差が、そのまま膜厚の差となってしまう。すなわち、基板を回転して行う中真空の真空蒸着では、基板の全面に均一に蒸気を暴露するためには、加熱蒸発部における蒸発源の配置を工夫する必要があり、±3%以内の高い膜厚分布均一性を実現するためには、蒸発源の位置設定が非常に困難になる。
特に、図示例のように、突沸による不都合を回避できる等の点で好適なスリット状のチムニーを有するルツボを用いた場合には、スリットの上部でも基板の線速が異なり、かつ、スリット上の通過長が基板の各部で異なってしまうので、高い膜厚分布均一性を実現するためには、蒸発源の位置設定がより困難になる。
図示例の製造装置10は、好ましくは、このような中真空での蛍光体層の形成を行うものであり、ガス導入ノズル18を有し、不活性ガスを導入しつつ中真空で抵抗加熱によって真空蒸着を行う。
ところが、中真空での真空蒸着では、前述のように、基板Sと蒸発源とを近接する必要があるので、蒸発源の蒸気が充分に拡散する前に基板Sに至ってしまう。従って、いかに高速で基板を回転しても、蒸気は、基板の一部にしか暴露されず、その結果、基板面の線速の違いによって半径方向に蒸気の暴露量に差がより大きくなってしまい、±3%以内の高い膜厚分布均一性を実現するためには、蒸発源の位置設定がより困難となる。
しかも、このような構成を有することにより、蛍光体層の面方向および厚さ方向共に、蓄積性蛍光体層中に付活剤成分を高度に均一に分散することができ、これにより、輝尽発光特性および感度等の均一性に優れた蛍光体シートを得ることができる。
そのため、±3%以下の膜厚分布性の高い蛍光体層を安定して形成するためには、本発明のように、搬送直交方向に複数の蒸発源を配列する必要があり、特に、蒸着量の多い成膜材料を加熱蒸発させる蒸発源(図示例においては、臭化セシウムのルツボ50)は、後述するようにセンサを用いて、個々に蒸発をコントロールするのが好ましい。
基本的に、数が多い程、膜厚分布均一性は良好になるが、多くなるにしたがって、コストや制御性等の点で不利になり、また、蒸発源の間隙も多くなるので、成膜速度等の点でも不利になる。従って、搬送直交方向のルツボの配置数は、基板Sのサイズ、目的とする蛍光体層の膜厚、要求される膜厚分布均一性、装置コスト等に応じて、適宜、決定すればよい。
本発明者の検討によれば、例えば、450×450mmの基板Sに前述のような中真空での蛍光体層の真空蒸着を行う場合には、図示例のように、スリット状の上記排出口を有するルツボを用い、6個からなるルツボの列を2列(すなわち、蛍光体および付活剤共に12個のルツボを使用)として蛍光体層の真空蒸着を行うことで、膜厚分布均一性に優れた蛍光体層が形成できる。
ルツボ50において、電極は円筒の端面に形成されており、個々のルツボ50で独立して電源に接続される。また、好ましい態様として、各ルツボ50に対応して、臭化セシウムの蒸発量を測定するための水晶振動子センサ54(図1では装置の全体構成を明瞭にするために省略)が配置され、この蒸発量の測定結果に応じて、ルツボ50への通電量が制御される。これにより、蒸着量の多い臭化セシウムの蒸発量を、各ルツボ50毎にコントロールして、より膜厚分布均一性の高い蛍光体層を形成することができる。
なお、蒸発量の制御は、温度センサによるルツボの温度測定に応じて行ってもよい。また、膜厚分布均一性の点では、図示例のように、ルツボ50の個々に対して蒸発量制御を行うのが好ましいのはもちろんであるが、装置コストの低減等を目的として、直列あるいは並列で接続した2個のルツボ等、複数のルツボ毎に蒸発量のコントロールを行うようにしてもよい。
また、ルツボ50と同様に、ルツボ52も、6個並べた配列を2つ有する。
このような構成とすることにより、搬送直交方向における成膜材料の蒸発蒸気量を均一にして、より膜厚分布均一性の高い蛍光体層を形成することができる。
このような構成とすることにより、母体となる臭化セシウム蒸気中に、臭化ユーロピウム蒸気を充分に分散して、微量成分であるユーロピウム(付活剤)を蛍光体層中に均一に分散し、輝尽発光特性等の良好な蛍光体層を形成できる。
ここで、複数列のルツボ列を有する場合には、各ルツボ列は、搬送方向から見た際に、他のルツボ列の成膜材料蒸気の排出口(前記スリット状のチムニー)の配列方向の間隙を、互いに埋めるように配置するのが好ましく、さらに、異なる列で成膜材料蒸気の排出口が搬送方向に重ならないように配置するのがより好ましい。言い換えれば、各搬送方向から見た際に、ルツボの列で、成膜材料蒸気の排出口が互い違いとなるようにするのが好ましい。図示例においては、配列方向への2列のルツボの列において、搬送方向から見た際に、一方のルツボ列の電極位置に他方のルツボ列の蒸気排出口が位置するように、各ルツボの列を配列している。
このような構成とすることにより、配列方向における成膜材料の蒸発蒸気量を均一にして、より膜厚分布均一性の高い蛍光体層を形成することができる。
このような構成とすることにより、蒸発量の多い臭化セシウムの蒸発量センサを、搬送方向に対してルツボの列の外側の開いている空間に配置することができ、すなわち、蒸発量センサ(あるいは、温度センサ)の選択自由度や配置の自由度、製造装置10の設計自由度を向上することができる。
その後、予め設定した所定時間が経過したら、前記シャッタを開放し、次いで、モータ34を駆動して、所定速度での基板Sの直線搬送を開始し、基板Sの表面への蛍光体層の形成を開始する。
例えば、図4(A)および(B)((A)は平面図、(B)はb−b線断面図)に示すように、カーボン等の充分な透磁率を有する材料からなるルツボ60、このルツボ60を挿通する加熱コイル62、および加熱コイル62に高周波電力を供給する、図示しない高周波電源とからなる、誘導加熱による蒸発源を、搬送直交方向に配列したものであってもよい。あるいは、図4(C)に示すように、ルツボ64を、充分な透磁率を有する材料からなる筒状の加熱部材66に挿通し、この加熱部材66を加熱コイル62による誘導加熱で加熱することにより、輻射熱でルツボ64を加熱する蒸発源を、搬送直交方向に配列したものであってもよい。
この際においては、1つのルツボに対して1つの高周波電源を設け、個々に蒸発をコントロールできるようにするのが好ましいが、前記ルツボ50と同様に、加熱コイル62を直列若しくは並列で接続して、複数のルツボに対して1つの高周波電源を設け、複数のルツボ毎にコントロールを行うものであってもよい。
なお、この際には、1台の電子銃から射出する電子ビームを磁力等によって走査して、各ルツボ内の成膜材料を加熱するものであってもよく、あるいは、配置可能であれば、個々のルツボに電子銃を設けてもよい。
真空排気手段を駆動して真空チャンバ12内を排気し、真空チャンバ内が8×10-4Paとなった時点で、排気を継続しつつ、ガス導入ノズル18によって真空チャンバ12内にアルゴンガスを導入して、真空チャンバ12内の圧力を1Paに調整し、さらに、抵抗加熱用の電源を駆動して、全てのルツボ50およびルツボ52に通電して成膜材料を加熱した。
なお、基板Sの搬送速度は200mm/secで、LMガイド24の端部まで搬送を行ったら、逆方向に搬送を行うことを繰り返す、往復動により成膜を行った。
また、成膜中は、各ルツボへの抵抗加熱用電源の出力はEu/Csのモル濃度比が0.003:1となるように設定した。この設定は、予め行った成膜実験に基づいて行った。但し、臭化セシウム用のルツボ50への通電量は、前記設定を基準として、水晶振動子センサ54による蒸発量の測定結果に応じて、全てのルツボ50の蒸発量が等しくなるように調整した。
その結果、膜厚分布は±2%であった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 真空チャンバ
14 基板保持搬送手段
16 加熱蒸発部
18 ガス導入手段
22 駆動手段
24 LMガイド
24a ガイドレール
24b 係合部材
26 (基板)保持手段
30 保持部材
32 ボールネジ
32a ネジ軸
32b ナット部
34 モータ
36 基台
38 保持部材
40 防熱部材
50,52,60,64 ルツボ
62 加熱コイル
66 加熱部材
Claims (8)
- シート状の基板の表面に真空蒸着によって蓄積性蛍光体層を形成する蛍光体シートの製造装置であって、
真空チャンバと、前記真空チャンバ内を排気する真空排気手段と、直線状の搬送経路で前記基板を搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送手段による基板の搬送経路の下方に前記基板搬送方向と直交する方向に配列される複数の蒸発源とを有することを特徴とする蛍光体シート製造装置。 - 複数の成膜材料によって前記蓄積性蛍光体層を成膜する多元の真空蒸着を行うものであり、同じ成膜材料の蒸発源を前記基板搬送方向と直交する方向に一列に並べ、かつ、各成膜材料の蒸発源の配列を前記基板搬送方向に並べる請求項1に記載の蛍光体シート製造装置。
- 前記多元の真空蒸着を行う成膜材料の組み合わせにおいて、各成膜材料の蒸発源の配列において、互いの蒸発源が前記基板の搬送方向に一致する位置に配置される請求項2に記載の蛍光体シート製造装置。
- 前記多元の真空蒸着を行う成膜材料が、蛍光体成分の成膜材料と付活剤成分の成膜材料であり、蛍光体成分の成膜材料の1つの蒸発源と付活剤成分の成膜材料の1つの蒸発源とを対にして、対となる蒸発源を搬送方向に並べて配置する請求項2または3に記載の蛍光体シート製造装置。
- 前記蒸発源が、スリット状の蒸気排出口を有するものであり、かつ、スリットの長手方向を前記基板搬送方向と直交する方向に一致して配置される請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体シート製造装置。
- 少なくとも1種の成膜材料は、個々の蒸発源毎に成膜材料の蒸発を制御可能である請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体シート製造装置。
- 同じ成膜材料の蒸発源の前記基板搬送方向と直交する方向の配列を複数有し、かつ、各配列の蒸発源は、前記基板搬送方向から見た際に、互いの蒸気排出口が配列方向に互い違いとなるように配置される請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光体シート製造装置。
- 蒸着量の最も多い成膜材料の蒸発源の配列を、前記基板搬送方向に対して外側に配置する請求項2〜7のいずれかに記載の蛍光体シート製造装置。
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