JP2007297695A - 真空蒸着用ルツボおよび真空蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ルツボ本体から突出する筒状の蒸気排出口を有し、この蒸気排出口の側面が、蒸気排出方向に広がるように少なくとも一方向に傾斜しているルツボにより、および、前記ルツボを一方向に配列すると共に、この配列方向と直交する方向に基板を往復搬送し、かつ、ルツボの蒸気排出口がルツボの配列方向に傾斜することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図3
Description
このシステムでは、変換パネル(蛍光体層)に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後に、変換パネルに励起光を照射することで輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
これに対し、特許文献1や特許文献2に示されるように、気相堆積法(真空成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる変換パネルも知られている。蒸着によって作製される蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バインダなどの輝尽性蛍光体以外の成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
そのため、形成速度(成膜速度)を考慮すると、変換パネルの製造における蛍光体層の形成には、真空蒸着が適している。
真空蒸着用のルツボには、ボート型、カップ型、チムニー型等の各種のものが知られている。しかしながら、通常のルツボを用いて蛍光体層を形成すると、溶融した成膜材料の局所加熱等に起因する突沸によって、成膜材料の液滴が不要にルツボから飛び出して基板に付着してしまう場合が有る。このようにして基板に付着した成膜材料は、結晶の異常成長の基点となってしまい、これが放射線画像の点欠陥等の原因となる。
このような筒状の蒸気排出口を有することにより、ルツボ本体の中で溶融した成膜材料の突沸が生じても、成膜材料の液滴を蒸気排出口で止めることができるので、ルツボの外部に液体状の成膜材料が排出されることがない。そのため、このような筒状の蒸気排出口を有する真空蒸着用のルツボによれば、成膜材料の突沸に起因する結晶の異常成長を防止することができる。
このような本発明の真空蒸着用ルツボにおいて、前記ルツボ本体が円筒形で、母線方向に延在する長方形の開口を側面に有するものであり、前記筒状部が、前記長方形の開口と同型の底面を有する四角筒の少なくとも1つの側面を、前記成膜材料の排出方向に向かって広がるように傾斜させてなる形状を有するのが好ましく、さらに、前記筒状部は、少なくとも前記母線方向に広がるように、前記四角筒の少なくとも1つの側面が傾斜するのが好ましい。
このような本発明の真空蒸着装置において、前記ルツボ本体が円筒形状で、母線方向に延在する長方形の開口を側面に有し、かつ、母線を前記ルツボの配列方向に向けて配置されるもので、前記筒状部が、前記開口と同型の底面を有する四角筒の前記ルツボ配列方向の少なくとも1つの側面を、前記成膜材料の排出方向に向かって広がるように傾斜させてなる形状を有するのが好ましい。
本発明の真空蒸着用ルツボは、このような構成を有することにより、突沸に起因する成膜材料液滴の不要な排出を防止でき、かつ、成膜材料の蒸発流の指向性を下げることができる。しかも、側面の傾斜の方向および傾斜の角度すなわち筒状の蒸気排出口の広がり方を選択/設定することにより、蒸発流の指向性を低下させる方向、および、指向性の高さを調整できる。従って、本発明の真空蒸着用ルツボによれば、成膜材料液滴の不要な排出を防止しつつ、成膜系内の必要な領域に十分に蒸発蒸気を供給して、基板全面に蒸気を暴露して適正な真空蒸着を行なうことができる。
このような本発明の真空蒸着装置は、ルツボを一方向に配列して、この配列方向と直交する方向に基板を往復搬送することにより、基板を回転する通常の真空蒸着と異なり、成膜材料の蒸発蒸気に暴露される基板の搬送速度(線速)を全面で均一にでき、基板の全面に均一に蒸発蒸気の暴露することができる。しかも、ルツボの蒸気排出口は、ルツボの配列方向に傾斜しているので、この方向の蒸発流の指向性が低く、すなわち、配列方向のルツボ間にも、十分に成膜材料の蒸発蒸気が至るので、より、基板の全面に均一に成膜材料の蒸気を暴露して、層厚が均一な蒸着層を形成できる。
図1に示すのは、本発明の真空蒸着装置を利用して、真空蒸着によって基板Sに輝尽性蛍光体層(以下、蛍光体層とする)を形成(成膜)して、放射線画像変換パネル(以下、変換パネルとする)を製造する製造装置10で、基本的に、真空チャンバ12と、基板搬送機構14と、加熱蒸発部16と、ガス導入手段18とを有して構成される。
一例として、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどから形成されるプラスチック板やプラスチックシート(フィルム); 石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス(パイレックスTM等)などから形成されるガラス板やガラスシート; アルミニウム、鉄、銅、クロムなどの金属類から形成される金属板や金属シート; このような金属板等の表面に金属酸化物層等の被覆層を形成してなる板やシート; 等が例示される。
また、基板Sは、必要に応じて、表面(蛍光体層の形成面)に、アルミニウム板等の基板Sの基材を保護するための保護層、輝尽発光光の反射層、この反射層の保護層等を有してもよい。この場合には、蛍光体層は、これらの層の上に形成される。
一例として、特開昭61−72087号公報に開示される、一般式「MIX・aMIIX’2・bMIIIX''3:cA」で示されるアルカリハライド系輝尽性蛍光体が好適に利用される。
(上記式において、MI は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,CuおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種の二価の金属であり、MIIIは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、X、X’およびX''は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,BiおよびMgからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a<0.5であり、0≦b<0.5であり、0<c≦0.2である。)
中でも、優れた輝尽発光特性を有する等の点で、MIが、少なくともCsを含み、Xが、少なくともBrを含み、さらに、Aが、EuまたはBiであるアルカリハライド系輝尽性蛍光体は好ましく、その中でも特に、一般式「CsBr:Eu」で示される輝尽性蛍光体が好ましい。
ガス導入手段18も、ボンベ等との接続手段やガス流量の調整手段等を有する(もしくは、これらに接続される)、真空蒸着装置やスパッタリング装置等で用いられている公知の真空チャンバ12内(成膜系内)へのガス導入手段である。図示例においては、後述する中真空での真空蒸着による蛍光体層の成膜を行うために、ガス導入手段18を用いて、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを真空チャンバ12内に導入する。
真空ポンプは、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボモレキュラポンプ等の公知のものである。また、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。なお、前述の輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を成膜する製造装置10においては、真空チャンバ12内の到達真空度は、8.0×10-4Pa以下であるのが好ましい。
基台42は、上面に前記搬送手段26のナット36および係合部材32を固定する、矩形の板状部材である。また、保持部材44は、四隅から垂下するように基台42に固定され、下端部に基板Sを保持する。なお、保持部材44による基板Sの保持方法には、特に限定はなく、吸引/吸着による方法、基板Sの周辺を下方から保持(すなわち基板Sの四辺を載置)する枠体などの保持部材を用いる方法、裏面から基板Sに螺合するネジを用いる方法等、公知の板状部材の保持方法が、全て利用可能である。
基板保持手段24は、搬送手段26によって、所定の方向(図1(A)では矢印x方向、図1(B)では紙面に垂直方向)に直線移動される。
往復搬送の回数は、蛍光体層の層厚(膜厚)や基板Sの搬送速度等に応じて、適宜、決定すればよい。また、基板Sの搬送速度も、装置の有する搬送速度限界、往復動の回数、目的とする蛍光体層の厚さ等に応じて、適宜、決定すればよい。
加熱蒸発部16は、一例として、蒸発源(蒸着源)として抵抗加熱用のルツボを用い、抵抗加熱によって成膜材料を加熱蒸発させるものである。
また、本発明の真空蒸着用ルツボは、抵抗加熱用のルツボに限定はされず、さらに、本発明の真空蒸着装置も、抵抗加熱によって成膜材料を加熱するのに限定はされず、誘導加熱や電子線加熱など、ルツボの形状等に応じて可能であれば、真空蒸着で利用される各種の成膜材料の加熱方法が全て利用可能である。
これに応じて、加熱蒸発部16は、蛍光体の成膜材料用のルツボである蛍光体用ルツボ50と、付活剤の成膜材料用のルツボである付活剤用ルツボ52との、2種類のルツボを有する。この蛍光体用ルツボ50は、本発明の真空蒸着用ルツボの一例である。
また、蛍光体用ルツボ50および付活剤用ルツボ52(ルツボの対)は、基板Sの往復搬送方向とに直交する方向に6個が配列されている。製造装置10は、この往復搬送方向と直交する方向(以下、便宜的に配列方向とする)のルツボの対の列を、往復搬送方向に並んで2つ有する。さらに、この2つのルツボの対の列は、互いのルツボの対が配列方向に互い違いに配置されて配列方向の互いの間隙を埋めており、これにより、配列方向に、より均一な成膜材料の蒸気の排出を可能にしている。
しかも、このような構成を有することにより、蛍光体層の面方向および厚さ方向共に、輝尽性蛍光体層中に付活剤成分を高度に均一に分散することができ、これにより、輝尽発光特性および感度等の均一性に優れた変換パネルを得ることができる。
各ルツボの加熱制御方法には、特に限定はなく、サイリスタ方式、DC方式、温度測定や蒸発量測定に応じたフィードバック方式、定電流方式等、抵抗加熱による真空蒸着で用いられる各種の制御方法が利用可能である。また、蛍光体用ルツボ50はフィードバック方式で付活剤用ルツボ52は定電流方式等、両者で異なる制御方法を利用してもよい。
蒸着量の少ない臭化ユーロピウム用(付活剤用)の付活剤用ルツボ52は、通常のボート型のルツボの上面を、ルツボの配列方向と一致する方向に延在する長方形のスリット状の開口(蒸気排出部)を有する蓋体で閉塞してなるものである。また、この開口を囲んで、同形状の上下開口面を有する四角筒状(煙突状)のチムニー52aが固定される。付活剤用ルツボ52においては、このチムニー52aが成膜材料の蒸気排出口となる。
図3に蛍光体用ルツボ50の概略図を示す。なお、図3において、(A)は平面図(図2と同方向)、(B)は側面図(図1(B)と同方向)、(C)は正面図(図1(A)と同方向)である。
ルツボ本体60には、母線(中心線)方向に延在するスリット状の長方形の開口62aが形成されている。チムニー62は、この開口60aと同様のスリット状の長方形の上下開口面を有する筒状を有し、開口60aを囲んでルツボ本体60の側面に固定される。すなわち、チムニー62も、ルツボ本体60の母線方向に延在する。なお、チムニー62には、チムニー62が短手方向に潰れるのを防止するための略Z字状の補強部材66が挿入される。
すなわち、チムニー62の短手側の側面は、排出方向に向って広がるように傾斜するものであり、従って、スリット状のチムニー62は、長手方向(=開口60aの長手方向=ルツボ本体60の母線方向)が、蒸気の排出方向に向かって広がる形状を有する。また、蛍光体用ルツボ50(および付活剤用ルツボ52)は、配列方向の蒸気排出口の間隙を減少できる好ましい態様として、図1(B)および図2に示すように、母線(=チムニー62の長手方向)を配列方向に一致して、配置される。
また、チムニー62が、排出方向に向って広がるように、筒の側面が少なくとも一方向に傾斜する形状を有することより、この傾斜する方向(広がる方向)への成膜材料の蒸発流(成膜材料の蒸発蒸気の流れ)の指向性を低下することができ、すなわち、蒸発蒸気を、傾斜方向に拡散させることができる。しかも、蒸発流の指向性は、チムニー62の側壁の傾斜角度に対応し、傾斜角度が大きい程、指向性は低下するので、真空蒸着装置の構成、ルツボの位置、ルツボと基板との間隔、基板のサイズ等に応じて、チムニーの側面を傾斜させる方向や傾斜角度を選択/設定することにより、蒸発流を所望する方向に流す事ができる。
これに対し、蛍光体用ルツボ50は、チムニー62が配列方向に広がる(この方向にルツボを向ける)ので、配列方向への蒸発流の指向性が低く、蛍光体用ルツボ50の間にも、十分に蒸発蒸気が行き渡る。そのため、より基板Sの全面に均一に蒸発蒸気を暴露することができ、非常に層厚の均一性が高い蛍光体層(蒸着層)を形成することができる。
例えば、図示例のように四角筒の側面を傾斜させてなる形状(角錐台)のチムニーであれば、1つの側面のみを傾斜させて、一方向のみに広がる形状を有してもよく、あるいは、4つの側壁の全てを傾斜させて4方向に広がる形状でもよく、あるいは、1つの側面を除く3つの側面を傾斜させて3方向に広がる形状であってもよい。また、四角筒にも限定はされず、三角筒でも五角以上の角筒状でもよい。
さらに、チムニーの形状は、以上のような角筒状に限定はされず、円筒の一部を一方向あるいは複数方向に広がるような形状であってもよく、円錐のように全方向に広がる形状であってもよい。
ここで、チムニーの側面の傾斜の角度には、特に限定はなく、真空蒸着装置の構成等に応じて、適宜、設定すればよい。すなわち、チムニーの側面が傾斜することによる蒸発流の指向性の大きさ(指向性低下の程度)は、角度のみならず、チムニーの高さ、チムニーの開口面の大きさ、チムニーの形状等に応じても異なる。従って、チムニーの側面の傾斜角度は、これらの要素に加え、前述のように、真空蒸着装置の構成、ルツボの位置、ルツボと基板との間隔、基板のサイズ等に応じて、適正な蒸発流の指向性が得られるように、適宜、選択/設定すればよい。
このような点を考慮すると、チムニー62の側面の傾斜角度は、図4に点線で示す鉛直方向に対する角度θで10°〜70°、特に25°〜60°、中でも特に40°〜50°の範囲とするのが好ましい。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、付活剤用ルツボ52のチムニー52aも、蒸発蒸気の排出方向に向って広がるように、配列方向(あるいはさらに、その他の方向)に傾斜する形状を有するものであってもよい。すなわち、本発明の真空蒸着装置は、多元の真空蒸着を行なう場合には、少なくとも1つの成膜材料のルツボの筒状の排出口が、蒸発蒸気の排出方向に向って、少なくとも配列方向に広がっていればよい。
なお、この際において、付活剤の蒸発量は、蛍光体層中における付活剤の濃度が目的値となるように制御するのは、当然の事である。
ここで、製造装置10においては、前述した各種の輝尽性蛍光体、特にアルカリハライド系輝尽性蛍光体、中でも特に前記一般式「CsX:Eu」で示される輝尽性蛍光体、その中でも特にCsBr:Euからなる蛍光体層を真空蒸着によって形成する場合には、一旦、系内を高い真空度に排気した後、アルゴンガスや窒素ガス等を系内に導入して、0.01〜3Pa程度の真空度(以下、便宜的に中真空とする)とし、この中真空下で抵抗加熱等によって成膜材料を加熱して真空蒸着を行うのが好ましい。
真空蒸着によって形成した輝尽性蛍光体からなる蛍光体層は、多くの場合、柱状結晶構造を有するが、このような中真空下で形成して得られる蛍光体層、中でも、前記CsBr:Eu等のアルカリハライド系の蛍光体層は、特に良好な柱状の結晶構造を有し、輝尽発光特性や画像の鮮鋭性等の点で好ましい。
基板Sとして、厚さ10mm、430×430mmのアルミニウム板を準備した。この基板Sを基板搬送機構14の保持手段24に装着した。
また、一方のルツボの列の配列方向の中心に近い1つの蛍光体用ルツボ50(ルツボ本体60)に臭化セシウムを所定量まで充填した。なお、保持手段24(すなわち基板S)は、臭化セシウムを充填した蛍光体用ルツボ50の上部に位置させた。
また、蛍光体用ルツボ50と基板Sとの距離は10cmとした。さらに、ルツボ本体50内に、R型(白金−ロジウム)熱電対を固定した。
真空チャンバ12内の圧力が2×10-3Paとなった時点で、排気をメイン排気バルブからバイパスに切り換え、さらにガス導入手段18からアルゴンガスを導入して1Paの真空度とした。
加熱を開始して30分経過した時点で、シャッタを開放して蒸着を開始し、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
乾燥空気を導入して、真空チャンバ12内を大気圧に戻した後、基板保持手段24から基板Sを取り外した。基板Sの表面には、柱状結晶が密に林立した臭化セシウム層が形成されていた。
dD=[(n+1)/2π]・dE・cosnθ・dω・dS
dD:蒸着量
dE:蒸発量
n:指向性係数
dω:立体角
dS:蒸発面面積(チムニー62の上面(蒸気排出面)の面積)
チムニー62の短手側面の角度θが26°の蛍光体用ルツボ50を用いた以外は、実施例[1−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
実施例[1−1]と全く同様にして指向性係数を算出したところ、指向性係数は7であった。
チムニー62の短手側面の角度θが45°の蛍光体用ルツボ50を用いた以外は、実施例[1−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
実施例[1−1]と全く同様にして指向性係数を算出したところ、指向性係数は5であった。
チムニーの短手側面が傾斜していない(角度θ=0°)の蛍光体用ルツボを用いた以外は、実施例[1−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
実施例[1−1]と全く同様にして指向性係数を算出したところ、指向性係数は18であった。
全ての蛍光体用ルツボ50に臭化セシウムを所定量充填して加熱し、さらに、シャッタの開放と同時に、回転駆動源38を駆動して基板Sの往復搬送(200mm/sec)を行なった以外は、実施例[1−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
なお、2列の蛍光体用ルツボ50の列の間隔は(ルツボ列の往復搬送方向の中心位置(チムニー62の中心位置)の間隔)は210mmとした。
形成した臭化セシウム層の膜厚分布を求めたところ、±2.5%であった。膜厚分布は、以下のようにして求めた。
まず、形成した臭化セシウム層について、搬送方向と垂直に基板Sを横切る均等な1400点において膜厚を測定した。なお、膜厚は、CCDレーザ変位センサ(キーエンス社製[LK−010])を用いて臭化セシウム層の膜表面の形状を測定し、また、渦電流式変位計(キーエンス社製[EX−016])を用いて基板Sの反りを測定して、両者の差分から求めた。この1400点における最大膜厚および最小膜厚を求め、「(最大膜厚−最小膜厚)/2」と、「(最大膜厚+最小膜厚)/2」とを算出し、両算出結果の比(前者/後者の%)に「±」を付して、膜厚分布とした。
蛍光体用ルツボ50を、前記実施例[1−2]のもの(チムニー62の短手側面の角度θが26°)に変えた以外は、前記実施例[2−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
形成した臭化セシウム層について、前記実施例[2−1]と同様に膜厚分布を測定したところ、膜厚分布は±2.0%であった。
蛍光体用ルツボ50を、前記実施例[1−3]のもの(チムニー62の短手側面の角度θが45°)に変えた以外は、前記実施例[2−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
形成した臭化セシウム層について、前記実施例[2−1]と同様に膜厚分布を測定したところ、膜厚分布は±1.8%であった。
蛍光体用ルツボ50を、前記比較例[1−1]のもの(チムニー62の短手側面が傾斜成し(角度θ=0°)に変えた以外は、前記実施例[2−1]と全く同様にして、基板Sの表面に臭化セシウム層を形成した。
形成した臭化セシウム層について、前記実施例[2−1]と同様に膜厚分布を測定したところ、膜厚分布は±3.8%であった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 真空チャンバ
14 基板搬送機構
16 加熱蒸発部
18 ガス導入手段
24 基板保持手段
26 基板搬送手段
30 ガイドレール
32 係合部材
34 ネジ軸
36 ナット部
38 回転駆動源
42 基台
44 保持部材
50 蛍光体用ルツボ
52 付活剤用ルツボ
60 ルツボ本体
62 チムニー
64 電極
66 補強部材
Claims (5)
- 成膜材料蒸気を排出するための開口を有するルツボ本体と、前記開口を囲んでルツボ本体から突出する成膜材料蒸気の排出口となる筒状部とを有し、
かつ、前記筒状部は、前記成膜材料の排出方向に向かって広がるように、側面が少なくとも1方向に傾斜する形状を有することを特徴とする真空蒸着用ルツボ。 - 前記ルツボ本体が円筒形で、母線方向に延在する長方形の開口を側面に有するものであり、
前記筒状部が、前記長方形の開口と同型の底面を有する四角筒の少なくとも1つの側面を、前記成膜材料の排出方向に向かって広がるように傾斜させてなる形状を有する請求項1に記載の真空蒸着用ルツボ。 - 前記筒状部は、少なくとも前記母線方向に広がるように、前記四角筒の少なくとも1つの側面が傾斜する請求項2に記載の真空蒸着用ルツボ。
- 真空チャンバと、基板を直線状に往復搬送する搬送手段と、前記搬送手段による基板搬送位置の下方に配置される、前記往復搬送方向と直交する方向に2以上のルツボを配列してなる加熱蒸発部とを有し、
かつ、前記ルツボは、成膜材料蒸気を排出するための開口を有するルツボ本体と、前記開口を囲んでルツボ本体から突出する成膜材料蒸気の排出口となる筒状部とを有し、さらに、この筒状部は、前記成膜材料の排出方向に向かって前記ルツボの配列方向に広がるように、側面が少なくとも1方向に傾斜する形状を有することを特徴とする真空蒸着装置。 - 前記ルツボ本体が円筒形状で、母線方向に延在する長方形の開口を側面に有し、かつ、母線を前記ルツボの配列方向に向けて配置されるもので、
前記筒状部が、前記開口と同型の底面を有する四角筒の前記ルツボ配列方向の少なくとも1つの側面を、前記成膜材料の排出方向に向かって広がるように傾斜させてなる形状を有する請求項4に記載の真空蒸着装置。
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