JP2005350731A - 真空蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で、かつ、多数の蒸発源を有する場合であっても、個々の蒸発源における成膜材料の蒸発量を生後できる真空蒸着装置を提供する。
【解決手段】誘導加熱によって成膜材料の加熱を行うと共に、ルツボの上部に配置される基板に対するルツボ開口量を変更するシャッタ部材と、蒸発源の状態を検出し、この検出結果に応じてシャッタ部材によるルツボ開口量を調整する蒸着調整手段とを有することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

本発明は、真空蒸着装置の技術分野に属し、詳しくは、低コストで、かつ、蒸着レートを好適にコントロールすることができ、コンピューテッドラジオグラフィー(CR)等で放射線画像の記録(撮影)に用いられる蛍光体シートの製造における蛍光体層の形成等に最適な真空蒸着装置に関する。
放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示す蛍光体が知られている。この蛍光体は、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途に利用されている。
一例として、この蓄積性蛍光体からなる層(以下、蛍光体層とする)を有するシート(以下、蛍光体シートとする(放射線像変換シートとも呼ばれている))を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知られており、例えば、FCR(Fuji Computed Radiography)等として実用化されている。
このシステムでは、蛍光体シート(蛍光体層)に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後に、蛍光体シートに励起光を照射することで輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
このような蛍光体シートは、通常、蓄積性蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のシート状の支持体に塗布し、乾燥することによって、作成される。
これに対し、特許文献1や特許文献2に示されるように、真空蒸着等の物理蒸着法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる蛍光体シートも知られている。真空蒸着によって作製される蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バインダなどの蓄積性蛍光体以外の成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
特許第2789194号公報 特開平5−249299号公報
真空蒸着による蛍光体層の形成方法において、成膜材料の加熱蒸発方法としては、電子銃を用いる電子線加熱(EB加熱)、抵抗加熱、誘導加熱等の方法が知られている。
これらの加熱蒸発方法は、それぞれ、長所と短所を有している。
例えば、電子加熱による加熱蒸発は高い成膜レートでの蒸着が可能である反面、高価な電子銃が必須であり、装置コストが高くなってしまう。また、電子線を発生させるためには、1×10-4Pa以上のような高い真空度が必要であり、0.1Pa以下のような低い真空度での真空蒸着が好ましい場合には、対応することはできない。
また、蛍光体シートでは、ラインセンサによる放射線画像(輝尽発光光)の読み取りを可能にするために、高い膜厚分布均一性が要求される。ここで、ある程度の大きさの基板に膜厚分布均一性の高い蛍光体層を形成するためには、複数のルツボを用いて、各ルツボ毎に蒸発をコントロールするのが好ましい。ところが、電子銃は電子線を偏向するための磁石を有するので、互いの干渉を避けるために、電子銃同士を近接して配置できない。そのため、複数のルツボに対して、電子線を走査して成膜材料を加熱蒸発する必要があり、個々のルツボ毎に蒸発量をコントロールすることが困難である。
これに対して、抵抗加熱による成膜材料の加熱蒸発では、複数のルツボを用いる場合でも、個々のルツボへの供給エネルギを調整することにより、個々のルツボ毎に加熱をコントロールして蒸発量を制御できるので、高い制御性かつ精度で蒸着をコントロールでき、良好な膜厚均一性や蒸着レートの制御性を確保することができる。
その反面、蛍光体層を成膜する場合には、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)等の高価な高融点金属製のルツボを用いる必要があり、装置コストが高くなってしまう。特に、前述のように、大型の基板等に対応して複数のルツボを用いる場合には、成膜のコントロール性は高くなるものの、装置コストは、それに応じて高くなってしまう。
さらに、誘導加熱による成膜材料の加熱蒸発は、非常に安価なカーボン製のルツボ等を用いることができるので、たとえ多数のルツボを用いる場合であっても、装置コストを低減することができる。
ところが、誘導加熱では、加熱用電源として高周波電源(RF電源)を用いる必要があるため、複数のルツボを用いる場合には、個々のルツボに電源を配置するのが困難な場合が多く、複数の蒸発源で電源を共有するのが通常である。そのため、やはり、個々のルツボで成膜材料の蒸発を制御することはできない。
すなわち、従来の真空蒸着装置では、多数のルツボを用いた場合でも安価で、なおかつ、個々のルツボ毎に成膜材料の蒸発をコントロールできる真空蒸着装置は、無かった。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、多数のルツボを用いた場合にも、装置コストが安く、しかも、個々のルツボ毎に高い精度で成膜材料の蒸発をコントロールすることができる真空蒸着装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内を排気する真空排気手段と、基板の保持手段と、誘導加熱用コイル、誘導加熱発熱体、およびルツボを備える蒸発源と、前記ルツボの上部に配置され、前記基板に対する前記ルツボの開口量を変更するシャッタ部材と、前記蒸発源の状態を検出し、この検出結果に応じて前記シャッタ部材による前記ルツボの開口量を調整する蒸着調整手段とを有することを特徴とする真空蒸着装置を提供する。
このような本発明の真空蒸着装置において、前記蒸着調整手段は、前記誘導加熱発熱体およびルツボの少なくとも一方の温度を測定することにより、前記蒸発源の状態を検出するのが好ましく、また、複数の前記蒸発源を有し、そのうち少なくとも2以上の蒸発源で1つの電源を共有するのが好ましく、また、前記基板の保持手段は、基板を保持して直線状の経路で搬送するものであり、前記蒸発源は、前記直線状の基板の搬送経路と直交する方向に複数配列されるのが好ましく、さらに、前記基板に蓄積性蛍光体の層を形成するものであり、前記真空チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段を有し、前記ガス導入手段による不活性ガスの導入によって、前記真空チャンバ内の圧力を0.1〜10Paとして前記蓄積性蛍光体の層を形成するのが好ましい。
上記構成を有する本発明の真空蒸着装置によれば、誘導加熱を蒸発源として用い、かつ、ルツボや誘導加熱発熱体の温度測定等によって蒸発源の状態を把握し、これに応じてルツボの上部に配置したシャッタ部材を開閉して、個々のルツボからの成膜材料の蒸発をコントロールすることができる。すなわち、本発明によれば、多数のルツボを有する場合であっても、低コストで、しかも、個々のルツボ毎に蒸発をコントロールした、高い制御性で高精度な真空蒸着が可能な真空蒸着装置を実現できる。
特に、(蓄積性)蛍光体シートでは、前述のように、放射線画像のラインセンサによる読み取りを可能にするために、非常に高い膜厚分布均一性が要求される。そのため、本発明によれば、装置コストが安価で、かつ、多数のルツボの個々で蒸発をコントロールできる本発明によれば、生産コストを低減して、膜厚分布均一性が高い高品位な蓄積性蛍光体シートを作製することができ、好適である。
以下、本発明の真空蒸着装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の真空蒸着装置を蛍光体シートの製造装置に利用した一例の概念図を示す。なお、図1において、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図1に示す蛍光体シート製造装置10は、真空蒸着によって、基板Sの表面に蓄積性蛍光体からなる層(以下、蛍光体層とする)を形成して、(蓄積性)蛍光体シートを製造する装置である。
このような蛍光体シート製造装置10(以下、製造装置10とする)は、基本的に、真空チャンバ12と、基板保持搬送機構14と、加熱蒸発部16と、ガス導入ノズル18と、RF用マッチングボックス20とを有して構成される。なお、本発明の製造装置10は、これ以外にも、公知の真空蒸着装置が有する各種の構成要素を有してもよいのは、もちろんである。
製造装置10は、好ましい態様として、蛍光体(母体)となる材料と、付活剤(賦活剤:activator)となる材料とを別々に加熱蒸発する、二元の真空蒸着によって、図1(A)の矢印aで示す方向(図1(B)では紙面に垂直方向)に基板Sを直線状に搬送しつつ、基板Sの表面に蛍光体層を形成(成膜)する。
図示例においては、好適な一例として、蛍光体成分となる臭化セシウム(CsBr)と、付活剤成分となる臭化ユーロピウム(EuBrx(xは、通常、2〜3であり、特に2が好ましい))とを成膜材料として用いる二元の真空蒸着を行って、基板Sに蓄積性蛍光体であるCsBr:Euからなる蛍光体層を形成する。
また、ガス導入ノズル18を有する図示例の製造装置10は、好ましい態様として、系内を高い真空度に排気した後、排気を維持した状態でアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを系内に導入して、0.1〜10Pa、特に0.5〜3Pa程度の真空度(以下、中真空とする)として、真空蒸着によって蛍光体層を形成する。
これにより、後述する各種の蓄積性蛍光体からなる蛍光体層、特にアルカリハライド系蓄積性蛍光体からなる蛍光体層、中でも特にCsBr:Euからなる蛍光体層において、良好な柱状の結晶構造を有する蛍光体層を形成することができ、輝尽発光特性や画像鮮鋭性に優れた蛍光体シートを製造することができる。
本発明において、蛍光体層を形成する蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)としては、CsBr:Eu以外にも各種のものが利用可能である。一例として、特開昭57−148285号公報に開示される、一般式「MIX・aMIIX’2・bMIIIX''3:cA」で示されるアルカリハライド系蓄積性蛍光体が好ましく例示される。
(上記式において、MI は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,CuおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種の二価の金属であり、MIIIは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、X、X’およびX''は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,BiおよびMgからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a<0.5であり、0≦b<0.5であり、0≦c<0.2である。)
また、これ以外にも、米国特許第3,859,527号明細書や、特開昭55−12142号、同55−12144号、同55−12145号、同57−148285号、同56−116777号、同58−69281号、同59−75200号等の各公報に開示される蓄積性蛍光体も、好ましく例示される。
特に、輝尽発光特性や再生画像の鮮鋭性、さらに、本発明の効果が好適に発現できる等の点で、前記アルカリハライド系蓄積性蛍光体は好ましく例示され、中でも特に、MIが少なくともCsを含み、Xが少なくともBrを含み、さらに、AがEuまたはBiであるアルカリハライド系蓄積性蛍光体は好ましく、その中でも特に前記「CsBr:Eu」が、好ましい。
基板Sにも、特に限定はなく、ガラス、セラミックス、カーボン、アルミニウム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド等、蛍光体シートで利用されている各種のシート状の基板が、全て利用可能であり、さらに、形状にも、特に限定はない。
真空チャンバ12は、鉄、ステンレス、アルミニウム等で形成される、真空蒸着装置で利用される公知の真空チャンバ(ベルジャー、真空槽)である。
ガス導入ノズル18も、ボンベ等との接続手段やガス流量の調整手段等を有する(あるいは、これらに接続される)、真空蒸着装置やスパッタリング装置等で用いられている公知のガス導入手段であり、前記中真空での真空蒸着による蛍光体層の成膜を行うために、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを真空チャンバ12内に導入する。
さらに、RF用マッチングボックス20は、蛍光体層の成膜(真空蒸着)に先立って、基板Sの表面のプラズマ洗浄等を行うためのものである。
真空チャンバ12には、図示しない真空ポンプが接続される。
真空ポンプにも、特に限定はなく、必要な到達真空度を達成できるものであれば、真空蒸着装置で利用されている各種のものが利用可能である。一例として、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボモレキュラポンプ等を利用すればよく、また、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。なお、前述の蛍光体層を成膜する製造装置10においては、真空チャンバ40内の到達真空度は、8.0×10-4Pa以下であるのが好ましい。
基板保持搬送機構14は、基板Sを保持して、直線状の搬送経路で搬送(以下、直線搬送とする)するものであり、図2に模式的に示すように、駆動手段22と、リニアモータガイド24と、基板Sを保持する基板保持手段26とから構成される。なお、図2において、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
駆動手段22は、基板保持手段26(すなわち基板S)を、前記直線搬送の方向に移動するもので、基板Sの搬送方向(以下、単に「搬送方向」とする。 また、搬送方向と直交する方向を、便宜的に「配列方向」とする。)に延在して保持部材30によって回転自在に軸支されるネジ軸32a、およびネジ軸32aに螺合するナット部32bからなるボールネジ32と、前記ネジ軸32aを回転するモータ34とからなる、ボールネジを用いる公知の直線状の移動機構である。
なお、本発明において、駆動手段はボールネジ32とモータ34を利用するものに限定はされず、シリンダを利用する搬送手段、モータとモータによって回転されるリング状のチェーンを用いる搬送手段など、必要な耐熱性を有するものであれば、公知の直線状の移動(搬送)手段が、各種利用可能である。
リニアモータガイド24(以下、LMガイド24とする)は、駆動手段22による基板保持手段26(すなわち基板S)の直線搬送を補助するもので、ガイドレール24aと、長手方向に移動自在にガイドレール24aに係合する係合部材24bとからなる、公知のリニアモータガイドである。
ガイドレール24aは、搬送方向に延在して、前記ネジ軸32aを軸とする対称位置に離間して2本が配置され、共に、真空チャンバ12の天井面に固定される。一方、係合部材24bは、各ガイドレール24aに2つずつ係合するように、合計4つが基板保持手段26(後述する基台36の上面)に固定される。
基板保持手段26(以下、保持手段26とする)は、基板Sを保持して、前記LMガイド24によって案内されつつ前記駆動手段22によって直線状で移動されるものであり、基台36と、保持部材38と、防熱部材40を有して構成される。
基台36は、製造装置10が適正に設置された状態で水平となる長方形状の平板状部材である。
基板36の上面の中心には、前記ボールネジ32のナット部32bが固定され、また、基板36の上面の対角線上の対称位置には、2本のガイドレール24aの間隔に応じて前記LMガイド24の係合部材24bが固定される。
保持部材38は、下端部で基板Sを保持するものであり、基台32の角部近傍から垂下されるように、4つが配置される。
本発明において、保持部材38による基板Sの保持方法には特に限定はなく、治具等を用いる方法、静電気を利用する方法、吸着を利用する方法等、上面から板状物を保持する公知の方法が各種利用可能である。また、基板Sへの蛍光体層の蒸着領域等に応じて可能であれば、治具等を用いて、下方から基板Sの四隅を押さえる保持手段、下方から基板Sの四辺を押さえる保持手段等を利用してもよい。
また、スペーサを利用する方法、シリンダなどの昇降手段を設ける方法等によって、保持部材38の下端位置すなわち基板Sを保持/搬送する高さを調整可能にしてもよい。
前述のように、基台36は、駆動手段22によって直線搬送される。従って、基板保持搬送機構14は、保持部材38によって例えば基板Sの四隅近傍を保持し、保持手段26を駆動手段22によって搬送することにより、基板Sを直線搬送する。
後述するが、図示例の製造装置10においては、このように基板Sの搬送を直線搬送とし、かつ、複数の蒸発源を配列方向に配列することにより、膜厚分布均一性の高い蛍光体層の形成を実現している。
なお、本発明において、必要な膜厚の蛍光体層を形成できれば、成膜中における基板Sの直線搬送は、1回の直線搬送でも、1回の往復動(往復搬送)でも、複数回の往復動を行ってもよい。また、基板の搬送経路は、おおむね直線状であれば、多少、ジグザグ状であっても、波打つような経路であってもよい。
一般的に、同じ膜厚であれば、加熱蒸発部16の上部の通過回数が多い程、膜厚分布均一性を高くできるので、複数回の往復動を行って蛍光体層を形成するのが好ましい。また、往復動の回数は、蛍光体層の目的膜厚や目的とする膜厚分布均一性等に応じて、適宜、決定すればよく、最後の搬送は一方向でもよい。直線搬送の搬送速度にも、特に限定はなく、LMガイド24の速度限界、往復動の回数、目的とする蛍光体層の膜厚等に応じて、適宜、決定すればよい。
基板Sを保持する保持手段26において、上面にボールネジ32のナット部32bやLMガイド24の係合部材24b等が固定される基台36の直下には、基台下面の全面を覆って、防熱部材40が配置される。
防熱部材40は、後述する加熱蒸発部16(蒸発源)に対して基台36を覆うことにより、加熱蒸発部16からの輻射熱等によって、LMガイド24の係合部材24bおよびボールネジ32のナット部32bが加熱されるのを防止するものである。
前述のように、高い輝尽発光特性や画像鮮鋭性が得られる、良好な柱状の結晶構造を有する蛍光体層を形成(成膜)するためには、中真空で真空蒸着を行うのが好ましい。
ところが、中真空による真空蒸着では、蒸発源と基板Sすなわち係合部材24b等とを近接して配置する必要があり、係合部材24bやナット部32bは、蒸発源からの輻射熱を受けやすい。しかも、本発明の製造装置10では、誘導加熱で成膜材料を加熱するので、蒸発源からの輻射熱が非常に大きい。そのため、製造装置10では、基板Sを直線搬送する中真空での真空蒸着を行うことにより、発光特性や膜厚均一性に優れた蛍光体層を形成できる反面、係合部材24bやナット部32bは、非常に加熱され易い状態となっており、係合部材24b等からのグリスの流出等による動作不良等が非常に発生し易く、メンテナンスに手間がかかり、また、ランニングコストも高くなってしまう。
これに対し、図示例の製造装置10においては、加熱蒸発部16からの輻射熱で、LMガイド24の係合部材24aや、ボールネジ32のナット部32bが加熱されることを防止する防熱部材40を有することにより、係合部材24bやナット部32bが加熱されることによるグリスの流出等を防止し、メンテナンスの手間やランニングコストを大幅に低減することを可能にしている。
防熱部材40には、特に限定はなく、加熱蒸発部16からの輻射熱を遮蔽して、係合部材24bやナット部32b、あるいはさらに基台36が加熱されることを防止できれば、各種のものが利用可能である。一例として、ステンレス板、鋼板、アルミニウム板、モリブデン板等が例示される。また、必要に応じて、防熱部材40に冷水を流すパイプを接触する方法、板材(防熱部材40)の内部をくり抜いて水を流す方法等の公知の手段によって、防熱部材40を冷却してもよい。
真空チャンバ12の下方には、加熱蒸発部16が配置される。
加熱蒸発部16は、誘導加熱によって成膜材料である臭化セシウムおよび臭化ユーロピウムを蒸発させる部位である。
前述のように、製造装置10は、好ましい態様として、蛍光体成分である臭化セシウムと、付活剤成分である臭化ユーロピウムとを、独立して加熱蒸発する、二元の真空蒸着を行うものである。従って、加熱蒸発部16には、臭化セシウム用(蛍光体用)の蒸発源50(以下、Cs蒸発源50とする)、および、臭化ユーロピウム用(付活剤用)の蒸発源52(以下、Eu蒸発源52とする)が配置される。
また、図示例の製造装置10においては、好ましい態様として、Cs蒸発源50およびEu蒸発源52を6つずつ有し、それぞれの蒸発源は、前記配列方向(基板Sの搬送方向と直交する方向)に直線状に配列される。すなわち、製造装置10は、配列方向に配列された6つのCs蒸発源50からなる蒸発源の列と、同6つののEu蒸発源52からなる蒸発源の列とを有する。このCs蒸発源50の列と、Eu蒸発源52の列は、基板Sの搬送方向に並んで配列される。
Cs蒸発源50およびEu蒸発源52は、成膜材料の蒸発量は異なるものの、同じ構成を有する。従って、以下の説明は、Cs蒸発源50を代表例として行う。
なお、本発明の製造装置においては、図示例のように多元の真空蒸着を行う場合には、全ての成膜材料を誘導加熱で加熱蒸発するのに限定はされない。例えば、臭化セシウム(蛍光体)は誘導加熱で加熱蒸発して、臭化ユーロピウム(付活剤)は抵抗加熱で加熱蒸発する構成や、臭化セシウムは電子線加熱で加熱蒸着して、臭化ユーロピウムは誘導加熱で加熱蒸発する構成等であってもよい。
また、複数の成膜材料を別々の蒸発源に収納する多元の真空蒸着を行うものにも限定はされず、全ての成膜材料を混合して蒸発源に収納する一元の真空蒸着であってもよく、この際においても、複数の蒸発源を有するのが好ましい。
図3(A)および(B)に、Cs蒸発源50の概略図を示す。図3において、(A)は正面図、(B)は平面図である。
Cs蒸発源50(Eu蒸発源52)は、基本的に、ルツボ60と、誘導加熱用コイル62と、温度測定手段64と、シャッタ66と、シャッタ66の移動手段68とを有して構成される。
図示例において、ルツボ60は、成膜材料を収容すると共に、誘導加熱の発熱体を兼ねるものである。
ルツボ60の形成材料には、特に限定はなく、誘導加熱によって発熱可能な透磁率を有し、かつ、充分な耐熱性を有し、さらに、成膜材料を汚染する可能性の無いものであれば、各種の材料が利用可能である。臭化セシウムおよび臭化ユーロピウムを成膜材料とする製造装置10においては、カーボン製のルツボ(カーボンルツボ)が例示される。従って、本発明によれば、非常に安価なルツボを用いることが可能である。
なお、本発明においては、ルツボ60のように、ルツボが誘導加熱発熱体を兼ねる構成に限定はされず、図3(C)に示すように、タングステンやモリブデン等のルツボ70と、このルツボ70を挿通する、円筒状の誘導加熱発熱体72とを有して蒸発源を構成してもよい(図3(C)では、シャッタ等は省略)。
なお、ルツボ70は、成膜材料を汚染する可能性がなく、かつ、充分な耐熱性を有する各種の材料で、他方、無誘導加熱発熱体72は、誘導加熱によって発熱可能な透磁率を有する各種の材料で、それぞれ形成すればよい。
カーボン等によって成膜材料の汚染が懸念される場合には、このような構成を取ることが考えられ、高価な高融点金属製のルツボ70を用いる必要が生じる可能性もある。しかしながら、この構成であっても、抵抗加熱のようにルツボ70に直接通電して発熱するわけではないので、ルツボ70にかかる負担は極めて少ない。したがって、ルツボ70の長寿命化を図ることができ、製造装置のランニングコストを低減できる。
誘導加熱用コイル62(以下、コイル62とする)は、高周波の誘導加熱によってルツボ60(誘導加熱発熱体72)を加熱するもので、高周波電源(RF電源)に接続される。なお、コイル60は、中空として、内部に冷却水等を流すようにしてもよい。
本発明において、高周波電源には、特に限定はなく、成膜材料の加熱蒸発に充分な出力および周波数を有するものを、適宜、選択すればよい。なお、蛍光体層においては、蛍光体と付活剤とは、例えばモル濃度比で0.0005/1〜0.01/1程度と蛍光体の方がはるかに蒸着量が多いので、Cs蒸発源50およびEu蒸発源52における高周波電源の出力や周波数は、これに対応して、適宜、設定/調節する。
ここで、前述のように、図示例においては、Cs蒸発源50(Eu蒸発源52)は6つが配列方向に配列されるが、一例として、3つの蒸発源(コイル62)で高周波電源を共用している。従って、図示例の製造装置10においては、合計で4台の高周波電源が配置される。
高周波電源を共用するコイル62の数には、特に限定はなく、2つでもよく、可能であれば、4つ以上、あるいは全てのコイル62で電源を共有してもよい。また、高周波電源を共有するコイル62の接続は、直列でも並列でもよい。
温度測定手段64は、ルツボ60の温度を測定することにより、蒸発源の状態を検出するものである。図示例の製造装置10においては、この温度測定結果に応じて後述するシャッタ66を移動すなわちルツボ60を開閉して、ルツボ60からの成膜材料の蒸発量をコントロールする。
温度測定手段64には、特に限定はなく、熱電対等の公知の手段を用いればよい。
また、本発明の製造装置10においては、温度測定手段64に変えて、水晶振動子モニタ等を用いてルツボ60からの成膜材料の蒸発量を測定することにより、蒸発源の状態を検出し、これに応じて後述するシャッタ66を開閉して、ルツボ60からの成膜材料の蒸発をコントロールしてもよい。
シャッタ66は、ルツボ60(その蒸気排出口)の上方に配置され、基板Sに対するルツボ60(その蒸気排出口)の開口量を調整し、成膜材料の蒸発量(蛍光体層の形成にかかる成膜材料蒸気のルツボ60からの排出量)を調整するものである。
図示例においては、1つのルツボ60に対して2枚のシャッタ66が配置され、ルツボ60の中心線(上下方向の中心線)に対して、基板Sの搬送方向(矢印a方向)に互いに接離することにより、ルツボ60の開口量を調節し、成膜材料の蒸発量を調整する。
なお、本発明においては、図示例のように2枚のシャッタ66で成膜材料の蒸発量を調整するのに限定はされず、1枚のシャッタ66でルツボ60の開口量を調整するものでもよく、あるいは、いわゆるアイリス絞りのようなシャッタを利用するものでもよい。
また、図示例においては、ルツボ60の直上にシャッタ66を配置しているが、本発明は、これに限定はされず、基板Sの近傍にシャッタ66を配置して、基板Sへの成膜材料の付着量をコントロールしてもよい。
移動手段68は、温度測定手段64によるルツボ60の温度測定結果に応じて、各ルツボ60のシャッタ66を移動して、ルツボ60の開口量すなわち成膜材料の蒸発量をコントロールするものである。
一例として、製造装置10は、6つのルツボ60を有するので、或る1つのルツボ60を基準として、この基準とするルツボ60よりも高温である場合には、シャッタ66を近接して、基板Sに対するルツボ60の開口量を小さくして、蒸発量を低減する。逆に、基準とするルツボ60よりも低温である場合には、移動手段68は、シャッタ66を離間して、基板Sに対するルツボ60の開口量を大きくして、蒸発量を増加する。
これにより、全てのルツボ60における蒸発量を均一にして、膜厚均一性の高い蛍光体層を成膜することができる。また、製造装置10においては、例えば、基準となるルツボ60の温度測定結果等に応じて、全てのルツボ60の開口量を調整することにより、蒸着レートを制御することも可能である。なお、蒸着レートの制御は、高周波電源の出力調整と併用して行ってもよいのは、もちろんであり、これにより、より制御性や制御範囲を向上することができる。
以上の説明より明らかなように、製造装置10(本発明の真空蒸着装置)によれば、安価なカーボンルツボ等を利用可能な誘導加熱による蒸発源を用い、かつ、複数の蒸発源で高周波電源を共有しても、多数の蒸発源のそれぞれで、独立して、しかも高い制御性で成膜材料の蒸発量をコントロールすることができる。
すなわち、本発明によれば、複数の蒸発源をコントロールできる制御性の高い真空蒸着装置を低コストで作製することができ、例えば、図示例のような蛍光体シートの製造装置10であれば、膜厚均一性に優れ、かつ、蒸着レートを適正にコントロールした高品位な蛍光体シートを、低いコストで製造することが可能になる。
製造装置10において、シャッタ66の移動手段68には、特に限定はなく、蛍光体層の形成に対して充分な耐熱性を有するものであれば、カムを用いる移動手段、リンクを用いる移動手段、シリンダを用いる移動手段、ラックアンドピニオン等のギアを用いる移動手段、これらを適宜組み合わせた移動手段等、公知の板状物の並行移動手段が各種利用可能である。
前述のように、図示例の製造装置10においては、配列方向(基板Sの搬送方向と直交する方向)の6つのCs蒸発源50の列と、同6つののEu蒸発源52の列を有し、両蒸発源の列は、基板Sの搬送方向に並んで配列される。
製造装置10においては、このように基板Sを直線搬送とし、かつ、複数の蒸発源を配列方向に配列することにより、例えば、±3%以内という高い膜厚均一性を有する蛍光体層の成膜を可能にしている。
膜厚均一性の高い蛍光体層(真空蒸着による薄膜)を形成するためには、基板の全面に均一に成膜材料の蒸気を暴露させる必要がある。
ところが、基板Sを回転して成膜を行うと、半径方向で基板表面(成膜面)の速度(線速)が異なるため、例えば、基板全面に均一に対面するように半径方向に蒸発源を配列しても、線速の違いによって蒸発源との対面時間に差が生じ、半径方向で成膜材料蒸気の暴露量に差が生じ、この差が膜厚の差となってしまう。そのため、基板を回転して行う真空蒸着では、蒸発源の配置に工夫が必要となる。
特に、基板と蒸発源とを充分に離間できる高真空での蒸着に比べ、中真空での真空蒸着では、蒸発した成膜材料を確実に基板Sに到達させるためには、大幅に蒸発源と基板Sとの距離を短くする必要があるため、成膜材料の蒸気が充分に拡散する前に基板に到達していまい、前記線速の違いによる半径方向の暴露量の差が、より大きくなってしまう。
これに対し、図示例の製造装置10では、基板Sを直線搬送しつつ真空蒸着によって蛍光体層の形成を行うことにより、基板S表面(被成膜面)における移動速度を全面的に均一にし、かつ、個々に蒸発量を調整可能な複数の蒸発源を搬送直交方向(基板Sの直線搬送方向と直交する方向)に直線状に並べただけの、極めて簡易な蒸発源の配置で、基板Sの全面的に均一に成膜材料の蒸気を暴露することができ、厚分布均一性の高い蛍光体層を形成できる。
しかも、このような構成を有することにより、蛍光体層の面方向および厚さ方向共に、蓄積性蛍光体層中に付活剤成分を高度に均一に分散することができ、これにより、輝尽発光特性および感度等の均一性に優れた蛍光体シートを得ることができる。
配列方向に配列する蒸発源の数には、特に限定はなく、蒸発源の大きさや基板Sの最大サイズ等に応じて、適宜、決定すればよい。
なお、Cs蒸発源50の列、およびEu蒸発源52の列は、共に、配列される蒸発源同士は、製造装置10や蒸発源の構成上、可能な限り配列方向に近接して配置され、かつ、ルツボの列は、基板Sの配列方向のサイズを充分に包含する長さとするのが好ましい。これにより、搬送直交方向における成膜材料の蒸発蒸気量を均一にして、より膜厚分布均一性の高い蛍光体層を形成することができる。従って、図示例のように、シャッタ66を接離して蒸発量を調整する場合には、シャッタ66の移動方向は、基板搬送方向とするのが好ましく、かつ、これにより配列方向の蒸発量のより好適な均一化も図れる。
また、図示例のように多元の真空蒸着を行う場合には、各成膜材料の蒸発源(すなわち、Cs蒸発源50およびEu蒸発源52)が、搬送方向に並ぶように配置し、さらに、両者を製造装置10や蒸発源の構成上、可能な限り近接して配置するのが好ましい。これにより、母体となる臭化セシウム蒸気中に、臭化ユーロピウム蒸気を充分に分散して、微量成分であるユーロピウム(付活剤)を蛍光体層中に均一に分散し、輝尽発光特性等の良好な蛍光体層を形成できる。
製造装置10において、各成膜材料の蒸発源の列は、図示例の1列に限定はされず、例えば、Cs蒸発源50の列を2列、Eu蒸発源52の列を2列のように、複数列を有してもよい。
この際においては、同じ成膜材料の蒸発源の列は、搬送方向から見た際に、他の列の成膜材料蒸気の排出口(ルツボ)の配列間隙を、互いに埋めるように配置するのが好ましく、さらに、他の列を同排出口が搬送方向に重ならないように配置するのがより好ましい。言い換えれば、各搬送方向から見た際に、ルツボの列で、成膜材料蒸気の排出口が互い違いとなるようにするのが好ましい。これにより、配列方向における成膜材料の蒸発蒸気量を均一にして、より膜厚分布均一性の高い蛍光体層を形成することができる。
さらに、このように1つの成膜材料で複数の蒸着源の列を有する場合には、搬送方向に対して外側に蒸発量の多い成膜材料の蒸発源(Cs蒸発源50)の列を位置するのが好ましい。これにより、制御の必要性の高い蒸発量の多い蒸発源の制御手段を、搬送方向に対して外側の開いている空間に配置することができ、すなわち、温度センサやシャッタの駆動機構等の蒸発量センサ(あるいは、温度センサ)の選択自由度や配置の自由度、製造装置10の設計自由度を向上することができる。
なお、図示は省略するが、製造装置10の加熱蒸発部16は、全ルツボを水平方向の4方で囲む、ルツボの最上部よりも高い四角筒状の防熱板が配置され、かつ、この防熱板の上部開放面を閉塞/開放自在に、加熱蒸発部16からの成膜材料蒸気を遮蔽するためのシャッタが配置される。
以下、製造装置10による基板Sへの蛍光体層の形成(蛍光体シートの製造)の作用について説明する。
真空チャンバ12を開放して、保持手段26の保持部材38に基板Sを保持し、かつ、全てのCs蒸発源50のルツボ60に臭化セシウムを、全てのEu蒸発源52のルツボ60に臭化ユーロピウムを、それぞれ所定量まで充填した後、前記加熱蒸発部16からの成膜材料蒸気を遮蔽するためのシャッタを閉塞し、さらに、真空チャンバ12を閉塞する。
次いで、真空排気手段を駆動して真空チャンバ12内を排気し、真空チャンバ内が例えば8×10-4Paとなった時点で、排気を継続しつつ、ガス導入ノズル18によって真空チャンバ12内にアルゴンガスを導入して、真空チャンバ12内の圧力を例えば1Paに調整し、さらに、高周波電源(4台)を駆動して全てのCs蒸発源50およびEu蒸発源52のコイル62に通電して、成膜材料(ルツボ60)を加熱する。
その後、予め設定した所定時間が経過したら、前記シャッタを開放し、次いで、モータ34を駆動して、所定速度での基板Sの直線搬送を開始し、基板Sの表面への蛍光体層の形成を開始する。
基板Sを往復動しての真空蒸着による蛍光体層の形成の間、各蒸発源では、温度測定手段64による温度測定結果に応じて、温度が高すぎる場合には蒸発量が少なくなるように、温度が低すぎる場合には蒸発量が多くなるように、移動手段68がシャッタ66を移動して基板Sに対するルツボ60の開口量を調節し、全てのCs蒸発源50からの臭化セシウム蒸着量が等しくなり、かつ、全てのEu蒸発源52からの臭化ユーロピウムが等しくなるようにする。
形成する蛍光体層の膜厚等に応じて設定された所定回数の直線搬送の往復動が終了したら、基板Sの直線搬送を停止し、シャッタを閉塞し、抵抗加熱用の電源を切り、ガス導入ノズル18によるアルゴンガスの導入量を増加して、真空チャンバ12内を大気圧とし、次いで真空チャンバを開放して、蛍光体層を形成した基板Sすなわち作製した蛍光体シートを取り出す。
なお、この蛍光体シートは、基板を直線搬送しつつ、各蒸発源からの成膜材料の蒸発量をコントロールして、中真空の真空蒸着によって蛍光体層を形成したものであるので、膜厚分布均一性および膜厚精度が高く、かつ、良好な結晶性の輝尽発光特性および画像鮮鋭性に優れた蛍光体層を有する、高品位なものである。
以上の例は、好ましい態様として、本発明の真空蒸着装置を蛍光体シートの製造に利用した例であるが、本発明は、これに限定はされず、例えば、各種のレンズへの反射防止層や保護層の形成等、真空蒸着による各種の膜形成(成膜)に利用可能である。
また、本発明は、図示例のように、2つの成膜材料を別々の蒸発源に収納する二元の真空蒸着にも限定はされず、一元の真空蒸着を行う装置であってもよく、あるいは、三元以上の多元の真空蒸着を行う装置であってもよいが、好ましくは、複数の成膜材料を別々の蒸発源に収納する、二元以上の多元の真空蒸着装置である。
さらに、図示例の装置では、基板Sを直線状に搬送しつつ成膜を行っているが、本発明は、これに限定はされず、基板を回転(自転、公転、自公転)しつつ成膜を行う真空蒸着装置であってもよい。
以上、本発明の真空蒸着装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
(A)は、本発明の真空蒸着装置を利用する蛍光体シート製造装置の一例の概略正面図、(B)は、同概略側面図である。 (A)は、図1に示す蛍光体シート製造装置の基板保持搬送手段の概略平面図、(B)は同概略正面図、(C)は同概略側面図である。 (A)および(B)は、図1に示す蛍光体シート製造装置の蒸発源の一例の概念図である。 図1に示す蛍光体シート製造装置の加熱蒸発部の概略平面図である。
符号の説明
10 (蛍光体シート)製造装置
12 真空チャンバ
14 基板保持搬送手段
16 加熱蒸発部
18 ガス導入手段
22 駆動手段
24 LMガイド
24a ガイドレール
24b 係合部材
26 (基板)保持手段
30 保持部材
32 ボールネジ
32a ネジ軸
32b ナット部
34 モータ
36 基台
38 保持部材
40 防熱部材
50 Cs蒸発源
52 Eu蒸発源
60,70 ルツボ
62 (誘導加熱用)コイル
64 温度測定手段
66 シャッタ
68 移動手段
72 誘導加熱発熱体

Claims (5)

  1. 真空チャンバと、
    前記真空チャンバ内を排気する真空排気手段と、
    基板の保持手段と、
    誘導加熱用コイル、誘導加熱発熱体、およびルツボを備える蒸発源と、
    前記ルツボの上部に配置され、前記基板に対する前記ルツボの開口量を変更するシャッタ部材と、
    前記蒸発源の状態を検出し、この検出結果に応じて前記シャッタ部材による前記ルツボの開口量を調整する蒸着調整手段とを有することを特徴とする真空蒸着装置。
  2. 前記蒸着調整手段は、前記誘導加熱発熱体およびルツボの少なくとも一方の温度を測定することにより、前記蒸発源の状態を検出する請求項1に記載の真空蒸着装置。
  3. 複数の前記蒸発源を有し、そのうち少なくとも2以上の蒸発源で1つの電源を共有する請求項1または2に記載の真空蒸着装置。
  4. 前記基板の保持手段は、基板を保持して直線状の経路で搬送するものであり、
    前記蒸発源は、前記直線状の基板の搬送経路と直交する方向に複数配列される請求項3に記載の真空蒸着装置。
  5. 前記基板に蓄積性蛍光体の層を形成するものであり、
    前記真空チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段を有し、前記ガス導入手段による不活性ガスの導入によって、前記真空チャンバ内の圧力を0.1〜10Paとして前記蓄積性蛍光体の層を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の真空蒸着装置。
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