JP2003194999A - 放射線像変換パネルの製造方法及び製造装置 - Google Patents

放射線像変換パネルの製造方法及び製造装置

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JP2003194999A
JP2003194999A JP2002284543A JP2002284543A JP2003194999A JP 2003194999 A JP2003194999 A JP 2003194999A JP 2002284543 A JP2002284543 A JP 2002284543A JP 2002284543 A JP2002284543 A JP 2002284543A JP 2003194999 A JP2003194999 A JP 2003194999A
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radiation image
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JP2002284543A
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Makoto Kashiwatani
誠 柏谷
Junji Nakada
純司 中田
Atsunori Takasu
厚徳 高須
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で高画質の放射線画像を与える放射線
像変換パネルを安定して製造する方法と装置を提供す
る。 【解決手段】 母体成分と付活剤成分を含む蛍光体から
なる蛍光体層を有する放射線像変換パネルの製造方法で
あって、蛍光体の母体成分を含む蒸発源に電子線を照射
して蒸発させると共に、蛍光体の付活剤成分を含む蒸発
源を抵抗加熱器により加熱して蒸発させ、基板上に蛍光
体層を堆積形成させる工程を含む放射線像変換パネルの
製造方法、および真空チャンバ中に付活剤成分加熱蒸発
用の抵抗加熱装置と母体成分加熱蒸発用の電子線照射装
置とを備えた装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄積性蛍光体を利
用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変
換パネルの製造方法と製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】X線などの放射線が照射されると、放射
線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や
赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積
した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する
蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用
して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像
変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発
せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一
旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走
査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を
光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射
線画像記録再生方法が広く実用に共されている。読み取
りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去
が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使
用される。
【0003】放射線画像記録再生方法に用いられる放射
線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基
本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層と
からなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性で
ある場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍
光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通
常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質
あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0004】蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを
分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、蒸着法
や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性
蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性
蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているも
のなどが知られている。
【0005】放射線画像記録再生方法(および放射線画
像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有す
る方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パ
ネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質
(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであ
ることが望まれている。
【0006】特許文献1に記載されているように、感度
および画質を高めることを目的として、蛍光体層を気相
堆積法により形成することからなる放射線像変換パネル
の製造方法が提案されている。気相堆積法には蒸着法や
スパッタ法などがあり、例えば蒸着法は、蛍光体または
その原料からなる蒸発源を抵抗加熱器や電子線の照射に
より加熱して蒸発源を蒸発、飛散させ、金属シートなど
の基板表面にその蒸発物を堆積させることにより、蛍光
体の柱状結晶からなる蛍光体層を形成するものである。
特に電子線蒸着法では、形状が良好で配列の整った柱状
結晶が得られやすいとされている。
【0007】気相堆積法により形成された蛍光体層は、
結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状
結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。
このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上
げることができるので高感度であり、また励起光の平面
方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を
与えることができる。
【0008】これまでに、放射線像変換パネルの蛍光体
層を蒸着法により形成する技術に関しては、上記の抵抗
加熱法や電子線蒸着法、蛍光体自体を蒸発源とする一元
蒸着法や、別々の蛍光体原料からなる二つ以上の蒸発源
を用いる多元蒸着(共蒸着)法など数々の方法が提案さ
れている。
【0009】
【特許文献1】特公平6−77079号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】付活剤で付活された蛍
光体からなる層を、蛍光体の母体成分と付活剤成分とを
別々の蒸発源として、それぞれに電子線を照射して基板
上に蛍光体の蒸着膜を形成する方法が知られている。こ
の方法は、母体成分と付活剤成分の蒸気圧が大きく異な
る場合には、電子線の電圧などを制御して各々の蒸着速
度を調節することができるので好ましい方法である。し
かしながら、本発明者の研究により、蒸着中に付活剤成
分の蒸着速度が大きく変動することが判明した。蒸着操
作は通常、均一な蒸着(気相堆積)を達成するために、
基板をその平面方向に円を描くように移動させながら行
なうので、この蒸着速度の変動によって、得られた蒸着
膜は付活剤の分布が不均一なものとなり、このような付
活剤分布が不均一な蒸着膜を有する放射線像変換パネル
は、その表面からの発光量が不均一となって、感度ムラ
を生じる傾向にある。また、放射線像変換パネルを多数
製造したときに性能にばらつきのあるパネルとなりやす
い。
【0011】本発明者は、付活剤成分の蒸着速度の変動
は、例えば付活剤成分としてハロゲン化物を用いた場合
に、原料に僅かに混入していたか、あるいは蒸着中に生
成した酸化物など不純物の影響を、電子線蒸着では受け
やすいためであることを見い出した。そこで、付活剤成
分を母体成分とは別に抵抗加熱法により蒸着させること
により、蒸着速度の変動が小さく、かつ形状の良好な柱
状結晶からなる蒸着膜が得られることを見い出し、本発
明に到達したものである。
【0012】従って、本発明は、高感度であって、高画
質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを安定して
製造する方法と装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、気相堆積法に
よって形成された少なくとも母体成分と付活剤成分とを
含む蛍光体からなる蛍光体層を基板上に有する放射線像
変換パネルを製造する方法であって、該母体成分を含む
蒸発源に電子線を照射して母体成分を蒸発させると共
に、該付活剤成分を含む蒸発源を抵抗加熱法により加熱
して付活剤成分を蒸発させ、その後、基板上に少なくと
も母体成分と付活剤成分とを含む蛍光体を形成堆積させ
ることを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法にあ
る。本発明はまた、真空チャンバ、真空チャンバ内を排
気する排気手段、真空チャンバ内に少なくとも一つ設置
される付活剤成分を含む蒸発源を加熱する抵抗加熱手
段、真空チャンバ内に少なくとも一つ設置される付活剤
成分を含む蒸発源を加熱する抵抗加熱手段、母体成分を
含む蒸発源に電子線を照射する電子線照射手段を有す
る、基板上に少なくとも母体成分と付活剤成分とを含む
蛍光体からなる蛍光体層を気相堆積させて放射線像変換
パネルを製造する装置にもある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法において、抵抗
加熱器の蒸発源が接触する部分は白金製もしくはタンタ
ル製であることが好ましい。また、蛍光体は、蓄積性蛍
光体であることが好ましく、特に下記基本組成式(I)
を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体であ
ることが好ましい。さらに、基本組成式(I)におい
て、MIがCsであり、XがBrであり、そしてAがE
uであることが好ましい。
【0015】 MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表
し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、C
u、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはS
c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、A
l、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”
はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl
及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土
類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞ
れ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0
の範囲内の数値を表す]
【0016】以下に、本発明の放射線像変換パネルの製
造方法と製造装置について、蓄積性蛍光体からなる蛍光
体層を形成する場合を例にとって詳細に説明する。
【0017】蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線
像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射
線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選
ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシ
ート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、ス
ズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどから
なる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルにお
いて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状
性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性
物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなど
の光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知
られている。本発明で用いられる基板についても、これ
らの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望
の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に
選択することができる。さらに、得られる画像の鮮鋭度
を向上させる目的で、基板の蛍光体層側の表面(支持体
の蛍光体層側の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射
層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合
には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小
な凹凸が形成されていてもよい。
【0018】本発明において蓄積性蛍光体は、基本的に
母体成分と付活剤成分とからなるものである。蓄積性蛍
光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起
光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽
発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような輝尽性
蛍光体の例は、特公平7−84588号、特開平2−1
93100号および特開平4−310900号の各公報
に詳しく記載されている。
【0019】これらのうちでも、基本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I) で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体
は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb
及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアル
カリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、B
a、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表
し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選
ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表
し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、N
a、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選
ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。
X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びI
からなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表
わす。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0
≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
【0020】上記基本組成式(I)中のMIとしては少
なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては
少なくともBrを含んでいることが好ましい。Aとして
は特にEu又はBiであることが好ましい。また、基本
組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、
二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加
物として、MI1モルに対して、0.5モル以下の量で
加えてもよい。
【0021】また、基本組成式(II): MIIFX:zLn ‥‥(II) で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン
化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、
Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、E
u、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbから
なる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表
す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2
の範囲内の数値を表す。
【0022】基本組成式(II)中のMIIとしては、Ba
が半分以上を占めていることが好ましい。Lnとして
は、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基
本組成式(II)では、その表記上F:X=1:1のよう
に見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを
示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示
すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-
オンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された
状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高
める上で好ましい。このとき通常、FはXよりもやや過
剰にある。
【0023】なお、基本組成式(II)では省略されてい
るが、必要に応じて下記のような添加物を一種もしくは
二種以上を基本組成式(II)に加えてもよい。 bA, wNI, xNII, yNIII ただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属
酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上で
は、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子で
IIFXとの反応性が低いものを用いることが好まし
い。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を
表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土
類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、
Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選
ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これ
らの金属化合物としては、特開昭59−75200号公
報に記載のようなハロゲン化物を用いることが好ましい
が、それらに限定されるものではない。
【0024】また、b、w、x及びyはそれぞれ、MII
FXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0
≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦
0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成
やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては
最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけでは
ない。また、上記化合物には最終的な組成物において添
加されたままの化合物として残留するものもあれば、M
IIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものも
ある。
【0025】その他、上記基本組成式(II)には更に必
要に応じて、特開昭55−12145号公報に記載のZ
n及びCd化合物;特開昭55−160078号公報に
記載の金属酸化物であるTiO2、BeO、MgO、C
aO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、I
23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、Th
2;特開昭56−116777号公報に記載のZr及
びSc化合物;特開昭57−23673号公報に記載の
B化合物;特開昭57−23675号公報に記載のAs
及びSi化合物;特開昭59−27980号公報に記載
のテトラフルオロホウ酸化合物;特開昭59−4728
9号公報に記載のヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオ
ロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価
もしくは2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;特開
昭59−56480号公報に記載のV、Cr、Mn、F
e、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加し
てもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を
含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成
を有するものであれば如何なるものであってもよい。
【0026】ただし、本発明において蛍光体は蓄積性蛍
光体に限定されるものではなく、付活剤によって付活さ
れた蛍光体であれば、X線などの放射線を吸収して紫外
乃至可視領域に(瞬時)発光を示す蛍光体であってもよ
い。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4
(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:
Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハ
ロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22S:P
r,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga5
12:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
【0027】まず、蒸発源として、上記蓄積性蛍光体の
主として母体成分を含むものと、主として付活剤成分を
含むものとからなる、少なくとも二個(あるいは二群)
の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と
付活剤成分の蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸着速
度を各々制御することができるので好ましい。各蒸発源
は、所望とする蓄積性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の
母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されて
いてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよ
い。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例
えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以
上としてもよい。
【0028】蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合
物それ自体であってもよく、あるいは反応して母体化合
物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。ま
た、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物で
あり、例えば付活剤元素のハロゲン化物が用いられる。
【0029】付活剤がEuである場合に、付活剤成分の
Eu化合物におけるEu2+化合物のモル比が70%以上
であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu2+
とEu3+が混合して含まれているが、所望とする輝尽発
光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤と
する蛍光体から発せられるからである。Eu化合物はE
uBrxであることが好ましく、その場合に、xは2.
0≦x≦2.3の範囲内の数値であることが好ましい。
xは、2.0であることが望ましいが、2.0に近づけ
ようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実際に
はxは2.2付近であって、Brの比率が比較的高い状
態が安定している。
【0030】蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下
であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や
付活剤成分が、例えばCsBr、EuBrxのように吸
湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に
抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源
の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜30
0℃の温度範囲で加熱処理したり、あるいは窒素雰囲気
などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の
温度で数十分乃至数時間加熱溶融することにより行うこ
とができる。
【0031】蒸発源の相対密度は、80%以上であるこ
とが好ましく、より好ましくは90%以上である。ここ
で、相対密度とは、蛍光体またはその原料固有の密度に
対する蒸発源の実際の密度の割合を意味する。蒸発源が
相対密度の低い粉体状態であると、蒸着の際に粉体が飛
散するなどの不都合が生じたり、蒸発源の表面から均一
に蒸発しないで蒸着膜の膜厚が不均一となったりする。
よって、安定した蒸着を実現するためには蒸発源の密度
がある程度高いことが望ましい。上記相対密度とするに
は一般に、粉体を20MPa以上の圧力で加圧成形した
り、あるいは融点以上の温度で加熱溶融して、タブレッ
ト(錠剤)の形状にする。ただし、蒸発源は必ずしもタ
ブレットの形状である必要はない。
【0032】また、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む
蒸発源は、アルカリ金属不純物(すなわち、蛍光体の構
成元素以外のアルカリ金属)の含有量が10ppm以下
であり、そしてアルカリ土類金属不純物(すなわち、蛍
光体の構成元素以外のアルカリ土類金属)の含有量が5
ppm以下であることが望ましい。このような蒸発源
は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有
量の少ない原料を使用することにより調製することがで
きる。これにより、不純物の混入が少ない蒸着膜を形成
することができるとともに、そのような蒸着膜は発光量
が増加する。
【0033】本発明に於ける気相堆積操作は、たとえば
図1に示すような蒸着装置を用いて基板上に蛍光体層
(膜)を形成する。図1は、本発明に用いられる蒸着装
置の構成例を示す断面図である。図1において、蒸着装
置は、蒸着チャンバ(真空チャンバ)1、基板加熱用ヒ
ータ2、基板保持部材3、蒸着防止板5、蒸着速度モニ
タ6、電子銃7、電子銃用るつぼ9a、9b、リボルバ
11、抵抗加熱ボート12、抵抗加熱器14、主排気バ
ルブ15、および補助排気バルブ16から構成される。
抵抗加熱ボート12は蒸発源がボートと反応して変質す
るのを防ぐために白金もしくはタンタルで形成すること
が望ましい。
【0034】上記の蛍光体母体成分を含む複数個の蒸発
源10a、10bを、図1の装置の電子銃用るつぼ9
a、9bに配置し、一方、付活剤成分を含む蒸発源13
を抵抗加熱ボート12に配置する。また、基板4a、4
bを基板保持部材3に保持させて固定する。装置内を主
排気バルブ15と補助排気バルブ16を介して排気して
1×10-5〜1×10-2Pa程度の真空度とする。この
際、真空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Ne
ガスなどの不活性ガスを導入してもよい。また、装置内
の雰囲気中の水分圧を、排気ポンプ15としてディフュ
ージョンポンプとコールドトラップの組合せ、あるいは
ターボ分子ポンプとコールドトラップなどを用いること
により、7.0×10-3Pa以下にすることが好まし
い。蒸着の際に、必要に応じて、基板4a、4bを、基
板加熱ヒータ2により裏面から加熱してもよい。あるい
は基板4a、4bを冷却してもよい。
【0035】次に、電子銃7から電子ビーム8を発生さ
せて蒸発源10に照射する。このとき、電子線の加速電
圧を1.5kV以上で、5.0kV以下に設定すること
が望ましい。電子線の照射により、蒸発源である蓄積性
蛍光体の母体成分等は加熱されて蒸発、飛散する。同時
に、抵抗加熱器14に電流を流すことにより蒸発源13
を加熱する。蒸発源である付活剤成分等は加熱されて蒸
発、飛散する。そして、両者は反応を生じて蛍光体を形
成するとともに基板4a表面に堆積する。この際に、リ
ボルバ11を順次回転させることにより、蒸発源10b
以下複数個の蒸発源に電子ビーム8が次々と照射される
ようにする。また、基板保持部材3により基板4a、4
bを水平方向に回転させることにより、各基板4a、4
b上に蛍光体が均一に堆積するようにする。
【0036】蒸着中、各成分の蒸着速度は蒸着速度モニ
タ6により随時検知される。各蒸発源の蒸着速度は、電
子線の加速電圧や抵抗加熱器の電流などを調整すること
により制御することができる。各蒸着速度は、一般には
0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1
〜100μm/分の範囲にある。
【0037】なお、電子線の照射および抵抗加熱器によ
る加熱を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形
成することもできる。また、蒸着終了後に蛍光体層を加
熱処理(アニール処理)してもよい。
【0038】このようにして、蓄積性蛍光体からなる柱
状結晶がほぼ厚み方向に成長した層が得られる。蛍光体
層の層厚は、通常は50〜1000μmの範囲にあり、
好ましくは200μm〜700mmの範囲にある。
【0039】なお、本発明において蒸着装置は、図1に
示した装置に限定されるものではなく、二個以上の蒸発
源に電子線照射と抵抗加熱器による加熱を行って共蒸着
させることができるものであれば、如何なる装置であっ
てもよい。例えば、抵抗加熱器14として、温度制御手
段を備えたKセル型の抵抗加熱器を用いてもよく、これ
により蒸着速度を精密に制御することが可能となる。一
般に蒸発源が三個以上である場合には、付活剤成分を含
む蒸発源にのみ抵抗加熱器による加熱を行い、それ以外
の蒸発源には電子線照射を行う。
【0040】次に、図3は、本発明の放射線像変換パネ
ルの製造に利用することのできる製造装置の別の例を示
す。図3において、製造装置は、母体成分と付活剤成分
とを別々に蒸発させて、シート状の基板Sの表面に蛍光
体層を形成堆積させる装置であり、基本的に、真空チャ
ンバ1と、基板回転機構21と、加熱蒸発部22、そし
て隔壁24とを有するもので、いわゆる回転型の真空蒸
着装置に属する装置である。真空チャンバ1には、チャ
ンバ内を排気して、所定の真空度にするための真空ポン
プ(図示なし)が接続されている。
【0041】真空チャンバ内は、開口部24aを有する
隔壁24によって、上方の基板回転機構21の側と、下
方の加熱蒸発部22の側とに分けられている。この加熱
装置は、加熱蒸発部22を二箇所に設置しているので、
開口部24aは、それぞれの位置に対応して二箇所設け
られている。真空チャンバ内の隔壁24より下方は、第
二の隔壁26によって、各加熱蒸発部毎に空間的にほぼ
分離されている。
【0042】基板回転機構21は、基板Sを保持し、回
転させるもので、回転駆動源28とターンテーブル30
とから構成される。ターンテーブル30は、上側の本体
32と下側のシースヒータ34とからなる円板であっ
て、隔壁24の開口部24aに対応する所定位置におい
て、下面(シースヒータ34の下面)に複数枚の基板S
を保持して、中心を回転軸として、回転駆動源28によ
って所定速度にて回転される。また、シースヒータ34
は、基板Sを、蛍光体層が形成される側の面とは反対の
基板面から加熱する。なお、基板Sは、マスクを兼ねる
ホルダや治具等を用いる公知の方法で、蛍光体層形成面
を下方に向けてターンテーブル30に保持すればよい。
また、ターンテーブルの回転速度には特に限定はない
が、100rpm以下が好ましく、また必要に応じて、
回転停止状態で使用することもできる。
【0043】前記のように、隔壁24によって基板回転
機構21と隔てられた下方には、加熱蒸発部22が二箇
所設けられる。図4に加熱蒸発部22の構成を示す。図
4の(A)は上面図(図4の装置の上方から見た図)で
あり、(B)は正面図(図4と同じ方向から見た図)で
ある。
【0044】それぞれの加熱蒸発部22は、付活剤成分
(例、臭化ユーロピウムなどのユーロピウム化合物)を
加熱蒸発させる加熱手段38と母体成分を加熱蒸発させ
る加熱手段40とから構成されている。付活剤の加熱手
段38は、抵抗加熱装置42によって、蒸発位置Pe
(ルツボ)に収容した付活剤成分を抵抗加熱により蒸発
させる位置に置かれる。
【0045】母体成分蒸発部40は電子線加速装置から
なっていて、電子銃44から出射した電子線を蒸発位置
Pc(ハース)に照射することにより、母体成分を加熱
蒸発させる。
【0046】本発明の製造装置において、母体成分の蒸
発位置と付活剤成分の蒸発位置との間の距離(図4
(A)におけるL)は、短いほど好ましい。母体成分の
加熱蒸発と付活剤成分の加熱蒸発を共に電子線により行
なおうとする場合、母体成分への照射の電子線と付活剤
成分への照射の電子線とが近接するように配置すること
ができない。すなわち、それぞれの電子線の照射時の経
路を規定するために必要な磁石が互いに影響を及ぼし合
うため、互いの距離(間隔)を一定以上に離す必要があ
る。一方、抵抗加熱方式では、そのような磁石の設置の
必要がないため、抵抗加熱装置と電子線照射装置とは物
理的に可能なかぎり近接させて配置することができる。
従って、上記のLは400mm以下、特に250mm以
下とすることが好ましい。また、基板と蒸発位置(基板
と最も遠い位置を基準)との距離は通常200〜800
mmの範囲であるが、特に300〜600mmとするこ
とが好ましい。
【0047】図4には、図3に示された母体成分の供給
手段46の詳細な説明図が示されている。母体成分の供
給手段46は、シリンダ48、ピストン50、ケーシン
グ52、そして昇降手段(モータ)54から構成されて
いる。シリンダ48は、その上端部が電子線の照射位置
と一致するように、真空チャンバ1の下面を貫通して一
部が外部に突出した状態で、真空チャンバの底面に固定
された円筒である。すなわち、シリンダ48がいわゆる
ハースとなっており、その上端部が母体成分の蒸発位置
Pcとなる。
【0048】また、ピストン50は、シリンダ48内に
緩くはめ込まれる円柱状のピストンヘッド50aと、先
端にピストンヘッド50aを固定するピストンピン50
bとから構成される。ピストンピン50bには、ピスト
ン50を矢印aの方向に昇降させる昇降手段54が係合
している。
【0049】シリンダ48の開放端部はケーシング52
で覆われていて、真空チャンバ内は気密が保たれ、かつ
ピストンピン50bは、ベアリング(図示なし)によっ
て、上記昇降方向に往復運動が可能なように、ケーシン
グ52に気密に軸支されている。
【0050】母体成分は、シリンダ50の内径よりも若
干小さい径の円柱状に成形されて、ピストンヘッド50
aに載置された状態でシリンダ48内に収容される。
【0051】蒸発位置Pcの母体成分が蒸発して消費さ
れると、それに応じて、昇降手段54が駆動して円柱状
の母体成分が上昇する。これにより、シリンダ48の上
面、すなわち蒸発位置には、常に、母体成分が供給さ
れ、層厚が200μmを超えるような蛍光体層の気相堆
積を有利に行なうことができる。
【0052】前述のように、図3の製造装置は回転型の
真空蒸着装置であって、基板に蛍光体層を気相堆積させ
る際にはまず、ターンテーブル30の下面の所定位置に
蛍光体層形成面を下方に向けて基板Sを装着した後、真
空チャンバを閉じて、内部空気を排気するとともに、シ
ースヒータ34を作動させて基板Sを裏面から加熱す
る。真空チャンバの内部が所定の真空度になったら、回
転駆動源28によって、ターンテーブル30を所定速度
で回転しつつ、加熱蒸発部22において、付活剤成分蒸
発部38の抵抗加熱装置42を作動させて蒸発位置Pe
(ルツボ)に収容された付活剤成分(例、臭化ユーロピ
ウム)を蒸発させ、かつ母体成分蒸発部40の電子銃を
作動させて蒸発位置Pcの母体成分(例、臭化セシウ
ム)を蒸発させ、基板でのCsBr:Euの形成を行な
う。すなわち、本発明では、付活剤成分が抵抗加熱方式
で加熱され、蒸発し、かつ両蒸発位置が近接して配置さ
れるため、気相中にて母体成分に対して極微量の付活剤
成分が均一に混合されるため、基板上に、付活剤が母体
成分中に均一に分散した蛍光体が堆積するようなる。
【0053】蛍光体層の気相堆積が終了したら、ターン
テーブル30の回転を停止し、真空チャンバ1を開放し
て、蛍光体層が堆積した基板を取り出す。
【0054】上記では、母体成分と付活剤成分とのそれ
ぞれを加熱する手段を二組用いた例を説明したが、本発
明は、この組合せに限定されるものではなく、各種の組
合せが可能である。たとえば、母体成分と付活剤成分と
のそれぞれを加熱する手段を三組もしくはそれ以上用い
てもよく、あるいは一方の側の加熱手段と他方の側の加
熱手段の数を変えてものよい。
【0055】また、本発明の製造装置は、他の真空蒸着
装置、たとえば、真空チャンバに連結するロード室とア
ンロード室とを有し、基板をロード室に装填し、次いで
真空シャンバを経てアンロード室に搬送しながら基板へ
の蛍光体層の気相堆積を行ない、蛍光体層が形成された
基板をアンロード室にて取り出す、いわゆるロードロッ
クタイプの真空蒸着装置であってもよい。
【0056】なお、基板は必ずしも、そのまま放射線像
変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蛍光体層を形
成した後、蛍光体層を基板から引き剥がし、別に用意し
た支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、支持体
上に蛍光体層を設ける方法を利用してもよい。あるい
は、蛍光体層に支持体(基板)が付設されていなくても
よい。
【0057】この蛍光体層の表面には、放射線像変換パ
ネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のた
めに、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起
光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、
透明であることが望ましく、また外部から与えられる物
理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に
保護することができるように、化学的に安定で防湿性が
高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
【0058】保護層としては、セルロース誘導体、ポリ
メチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂な
どのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解し
て調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成さ
れたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの
有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成
用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤
を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などに
よって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。ま
た、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化
チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオ
レフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、お
よびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が
分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高
分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲に
あり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜
1000μmの範囲にある。
【0059】保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染
性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フ
ッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(また
は分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面
に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹
脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。ま
た、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパー
フルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することも
できる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて
更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィ
ラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚
は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素
樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防
止剤などのような添加成分を用いることができる。特に
架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有
利である。
【0060】上述のようにして本発明の放射線像変換パ
ネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各
種のバリエーションを含むものであってもよい。たとえ
ば、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的とし
て、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し
発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよ
い。
【0061】
【実施例】[実施例1] (1)CsBr蒸発源の作製 CsBr粉末75gをジルコニア製粉末成形用ダイス
(内径:35mm)に入れ、粉末金型プレス成形機(テ
ーブルプレスTB−5型、エヌピーエーシステム(株)
製)にて40kNの圧力で加圧し、タブレット(直径:
35mm、厚み:20mm)に成形した。このとき、C
sBr粉末に掛かった圧力は約40MPaであった。次
に、このタブレットに真空乾燥機にて温度200℃で2
時間の真空乾燥処理を施した。このようにして、計6個
のタブレットを作製した。
【0062】(2)EuBrx蒸発源の作製 EuBrx(x=約2.2)粉末26gを白金るつぼに
入れた後、窒素雰囲気下で温度800℃で30分間加熱
して溶融し、これを室温まで冷却してタブレット(直
径:25mm、厚み:10mm)を得た。
【0063】(3)蛍光体層の形成 支持体として、無アルカリガラス基板(厚み:0.7m
m)を用意し、図1に示した構成の蒸着装置内の基板保
持部材に設置した。上記のCsBrタブレット6個を電
子銃用るつぼそれぞれに配置し、またEuBrxタブレ
ットを粉砕した後、白金製抵抗加熱ボートに配置した。
装置内を排気して5×10-4Paの真空度とした。次い
で、基板の蒸着面とは反対側に位置したシーズヒータ
で、ガラス基板を200℃に加熱した。CsBr蒸発源
に電子銃で加速電圧4.0kVの電子線を照射し、一方
EuBrx蒸発源には160Aの電流を抵抗加熱ボート
に流して加熱して、5μm/分の速度で共蒸着させ、C
sBr:Eu輝尽性蛍光体を堆積させた。このとき、リ
ボルバを回転させて、6個のCsBrタブレットに順次
電子線を照射した。また基板を回転させて、蒸着膜の厚
みが均一となるようにした。蒸着速度モニタにより、E
uBrx蒸発源の蒸着速度を測定した。
【0064】蒸着終了後に、装置内を大気圧に戻し、装
置から基板を取り出した。基板上には、蛍光体の柱状結
晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蛍光体層(層
厚:約500μm、面積20cm×20cm)が形成さ
れていた。また、輝尽性蛍光体のEu/Csモル濃度比
は0.003/1であった。このようにして、共蒸着に
より支持体と蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換
パネルを製造した。
【0065】[比較例1]実施例1の(3)蛍光体層の
形成において、EuBrx蒸発源にも抵抗加熱器を使用
する代わりに電子銃で電子線を照射したこと以外は、実
施例1と同様にして、基板上に蛍光体の柱状結晶がほぼ
垂直方向に密に林立した構造の蛍光体層を形成した。こ
のようにして、支持体と蛍光体層とからなる比較のため
の放射線像変換パネルを製造した。
【0066】[放射線像変換パネルの性能評価1]得ら
れた各放射線像変換パネルの発光ムラについて評価を行
った。放射線像変換パネルを、室内光を遮蔽可能なカセ
ッテに収納し、これに管電圧80kVp、管電流16m
AのX線を照射した。次いで、パネルをカセッテから取
り出した後、パネル表面をレーザ光(波長:650n
m)で順次走査し、パネルから放出された輝尽発光光を
フォトマルチプライヤで検出し、そして得られた信号情
報をレーザプリンタでX線フィルム上に記録し、これを
目視により評価した。得られた結果をまとめて表1に示
す。また、蒸着中のEuBrx蒸発源の蒸着速度の変動
を図2に示す。
【0067】図2は、実施例1および比較例1における
EuBrx蒸発源の蒸着経過時間と蒸着速度(相対値)
との関係を示すグラフである。実線は実施例1(抵抗加
熱)を表し、点線は比較例1(電子線照射)を表す。
【0068】
【表1】 表1 ───────────────────────── 実施例 発光ムラ ───────────────────────── 実施例1 無し ───────────────────────── 比較例1 有り ─────────────────────────
【0069】図2および表1の結果から明らかなよう
に、本発明の方法に従って付活剤成分であるEuBrx
の蒸着を抵抗加熱器により行って得られた放射線像変換
パネル(実施例1)は、蒸着中に蒸着速度の変動が小さ
く、結果としてX線画像には発光ムラが生じなかった。
一方、従来法に従ってEuBrxの蒸着も電子銃により
行って得られた放射線像変換パネル(比較例1)は、蒸
着速度の変動が大きく一定せず、その結果、X線画像に
は発光ムラが生じた。
【0070】
【発明の効果】本発明の製造方法そして装置によれば、
蛍光体の母体成分には電子線照射を行い、付活剤成分に
は抵抗加熱器による加熱を行って蛍光体を多元蒸着させ
ることにより、電子線蒸着に基づく良好な柱状結晶構造
を維持しながら、蒸着時のEuなど付活剤成分の蒸着速
度を安定化することができる。そして、付活剤の分布が
均一で形状の良好な蛍光体層を形成することができる。
これにより、性能が均一で製造ロットばらつきの少な
い、高感度で高画質の放射線画像を与える放射線像変換
パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる蒸着装置の構成例を示す概
略断面図である。
【図2】各実施例における付活剤成分の蒸着速度の変動
を示すグラフである。
【図3】本発明に用いられる蒸着装置の別の構成例を示
す概略断面図である。
【図4】図3の蒸着装置の構成の一部を詳細に説明する
図である。
【符号の説明】
1 蒸着チャンバ 2 基板加熱用ヒータ 4a、4b 基板 6 蒸着速度モニタ 7 電子銃 8 電子線 10a、10b 蒸発源(蛍光体母体成分) 13 蒸発源(蛍光体付活剤成分) 14 抵抗加熱器 15 主排気バルブ 16 補助排気バルブ 21 基板回転機構 22 加熱蒸発部 24 隔壁 24a 開口部 26 隔壁 28 回転駆動源 30 ターンテーブル 32 ターンテーブル本体 34 シースヒータ 38 付活剤成分加熱部(手段) 40 母体成分加熱部(手段) 42 抵抗加熱装置 44 電子銃 46 母体成分供給手段 48 シリンダ 50 ピストン 50a ピストンヘッド50a 50b ピストンピン 52 ケーシング 54 昇降装置(モータ) S 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 11/64 C09K 11/64 11/85 11/85 C23C 14/24 C23C 14/24 B G01T 1/00 G01T 1/00 B (72)発明者 高須 厚徳 神奈川県足柄上郡開成町宮台798番地 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC03 CC10 DD02 DD19 EE02 EE03 EE10 4H001 CA04 CA08 CF01 XA00 XA03 XA04 XA09 XA11 XA12 XA13 XA17 XA19 XA20 XA21 XA28 XA29 XA30 XA31 XA35 XA37 XA39 XA48 XA49 XA53 XA55 XA56 YA00 YA11 YA12 YA29 YA39 YA47 YA63 YA81 YA83 4K029 AA09 BA02 BC07 CA01 DB05 DB13 DB14 DB18 DB21

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相堆積法によって形成された少なくと
    も母体成分と付活剤成分とを含む蛍光体からなる蛍光体
    層を基板上に有する放射線像変換パネルを製造する方法
    であって、該母体成分を含む蒸発源に電子線を照射して
    母体成分を蒸発させると共に、該付活剤成分を含む蒸発
    源を抵抗加熱法により加熱して付活剤成分を蒸発させ、
    その後、基板上に少なくとも母体成分と付活剤成分とを
    含む蛍光体を形成堆積させることを特徴とする放射線像
    変換パネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 抵抗加熱器の蒸発源が接触する部分が白
    金製もしくはタンタル製である請求項1に記載の放射線
    像変換パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 蛍光体が蓄積性蛍光体である請求項1に
    記載の放射線像変換パネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 蓄積性蛍光体が、基本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからな
    る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表
    し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、C
    u、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一
    種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはS
    c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、A
    l、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一
    種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”
    はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ば
    れる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、
    Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
    r、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl
    及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土
    類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞ
    れ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0
    の範囲内の数値を表す]を有するアルカリ金属ハロゲン
    化物系輝尽性蛍光体である請求項3に記載の放射線像変
    換パネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 基本組成式(I)において、MIがC
    s、XがBr、そしてAがEuである請求項4に記載の
    放射線像変換パネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 真空チャンバ、真空チャンバ内を排気す
    る排気手段、真空チャンバ内に少なくとも一つ設置され
    る付活剤成分を含む蒸発源を加熱する抵抗加熱手段、真
    空チャンバ内に少なくとも一つ設置される付活剤成分を
    含む蒸発源を加熱する抵抗加熱手段、母体成分を含む蒸
    発源に電子線を照射する電子線照射手段を有する、基板
    上に少なくとも母体成分と付活剤成分とを含む蛍光体か
    らなる蛍光体層を気相堆積させて放射線像変換パネルを
    製造する装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006090852A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 放射線画像変換パネルの製造装置及び放射線画像変換パネルの製造方法
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